(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0036】
<実施形態1>
以下、本発明の貨幣処理装置の一実施形態である硬貨処理装置1について、図面を参照して説明する。
【0037】
本実施形態において、シュート16および封緘ユニット20が、特許請求の範囲に記載の「収納処理部」に対応する。また、識別部50が、特許請求の範囲に記載の「計数部」に対応する。印字領域131は、特許請求の範囲に記載の「印刷領域」に対応する。レシート印字ユニット14およびタグ印字ユニット21は、特許請求の範囲に記載の「出力部」に対応する。リジェクト箱26は、特許請求の範囲に記載の「他の収納部」に対応する。また、封緘具19は、特許請求の範囲に記載の「封止部材」に対応する。
【0038】
ただし、上記記載は、あくまで、特許請求の範囲の構成と実施形態の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって特許請求の範囲に記載の発明が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【0039】
図1(a)は、扉23が開かれた状態の硬貨処理装置1の外観を示す斜視図であり、
図1(b)は、シュート16の近傍が示された硬貨処理装置1の要部の正面図である。なお、
図1(a)には、便宜上、収納袋18が透明な状態に描かれている。
【0040】
硬貨処理装置1は、いわゆる硬貨計数機であり、たとえば、郵便局などの店舗に設置される。硬貨処理装置1は、投入された硬貨を計数し収納袋18に収納する計数処理を行う。硬貨が詰められた収納袋18は、硬貨処理装置1から取り出され、店舗内に一時的に保管された後、現金センター等の外部施設に運ばれる。
【0041】
なお、本実施形態では、硬貨処理装置1は、金種別に硬貨が収納される複数の収納箱を備えない構成とされているが、複数の収納箱を備え、識別および計数後の硬貨を金種別に収容箱に収納する機能を有するように構成されてもよい。
【0042】
図1(a)に示すように、硬貨処理装置1は、ほぼ直方体状の筐体10を備える。筐体10の天面には、中央部に硬貨の投入口であるホッパー11が設けられる。ホッパー11は蓋12で覆われており、ホッパー11に硬貨が投入される際に蓋12が開放される。
【0043】
また、筐体10の天面には、ホッパー11の左方に操作表示部13とレシート印字ユニット14が設けられる。操作表示部13は、たとえばタッチパネルであり、硬貨の計数結果(枚数、金額)等の情報を含む画面など、各種の画面を表示するとともに、表示された画面(画面に含まれる各種ボタン等)に対する操作を受け付ける。レシート印字ユニット14は、レシート用紙に所定の情報の印字を行い、排出する。
【0044】
筐体10内には、前面が開放された収容室15が設けられる。収容室15内には、右側の天面から垂下するように、硬貨が放出される円筒状のシュート16が設けられる。シュート16には、C字状かつ環状の固定リング17が設けられる。
【0045】
シュート16から放出された硬貨を収納するために、収納袋18が、収容室15内に収容されて、シュート16に取り外し可能に装着される。収納袋18は、その収納口18aがシュート16と固定リング17との間に挟まれることによりシュート16に固定される。収納袋18は、麻などの布により形成される。収納袋18は、ナイロンなどの樹脂、紙など、他の材料により形成されてもよい。
【0046】
図2(a)は、硬貨が収納され、封緘具19により封緘された状態の収納袋18を示す図であり、
図2(b)は、封緘具19の平面図である。
【0047】
図2(a)に示すように、硬貨が収納された収納袋18は、収納口18a側が帯状の封緘具19により縛られる。これにより、収納袋18が封緘具19により封緘される。
【0048】
図2(b)に示すように、封緘具19は、いわゆる結束バンドであり、帯状のバンド部110と、バンド部110の基端部に設けられるヘッド部120と、ヘッド部120からバンド部110と反対方向に延びる印字タグ130とにより構成される。バンド部110には、先端側と基端側の所定長さの領域を除くロック領域111に、返しを有するセレーション112が形成される。ヘッド部120には、爪部121を有する開口122が形成される。印字タグ130は、ほぼ長方形状に形成され、一方の面に印字領域131を有する。なお、印字領域131は、印字タグ130に印字がなされたが、字と共に模様等が印字タグ130に印刷されてもよい。
【0049】
収納袋18が封緘具19により縛られる際には、バンド部110が、収納袋18の収納口18a側に巻かれてヘッド部120の開口122に挿入され、輪の状態になる。そのまま、バンド部110が挿入方向に引かれると、バンド部110の輪が縮まって収納袋18が締め付けられる。バンド部110は、そのロック領域111まで開口122に挿入されると、開口122の爪部121とセレーション112の返しが係合するため、挿入方向に移動できるがその反対方向、即ち開口122から抜ける方向に移動できなくなる。よって、収納袋18がバンド部110により締め付けられて縛られた状態になると、その縛られた状態が維持される。
【0050】
図1(a)に戻り、シュート16に装着された収納袋18を、硬貨が収納された後に封緘具19により自動的に封緘するため、収容室15内には、シュート16の左後方であってシュート16よりやや低い位置に封緘ユニット20が配置される。また、封緘具19により収納袋18の封緘を行った際に、収納袋18に収納された硬貨の在高情報や、硬貨の収納日等の他の情報を、封緘具19の印字タグ130に印字するため、収容室15内には、封緘ユニット20の左側近傍にタグ印字ユニット21が配置される。封緘ユニット20は、収容室15内に張り出す直方体状のボックス部22の右側面に固定される。タグ印字ユニット21は、その大部分がボックス部22内に収容され、印字タグ130が置かれるタグ置き部314がボックス部22内から露出する。これら封緘ユニット20とタグ印字ユニット21の構成については、追って詳細に説明する。
【0051】
収容室15は、前方に倒すようにして開くことができる扉23により覆われる。筐体10内には、収容室15の周囲に、ロック装置24と開閉検知センサ25が設けられる。
【0052】
扉23は、ロック装置24により閉じられた状態にロックすることができる。ロック装置24は、たとえば、ソレノイドのオン・オフによりケースから出入りするプランジャを含み、プランジャを扉23に設けられた係合穴に嵌り込ませることにより、扉23をロックする。また、開閉検知センサ25により、扉23の開閉が検知される。開閉検知センサ25は、たとえば、マイクロスイッチ等で構成される。この場合、扉23が閉じると、マイクロスイッチのスイッチ部が閉じられる。
【0053】
筐体10の前部には、収容室15の隣に、正常な硬貨でないリジェクト硬貨が収納されるリジェクト箱26が設けられる。リジェクト箱26を筐体10の前方から取り外すことにより、リジェクト硬貨をリジェクト箱26から取り出すことができる。後述のように、リジェクト箱26は、収納袋18への収納対象から外された硬貨の収納にも用いられる。
【0054】
図1(b)に示すように、収容室15内において、シュート16の近傍には、シュート16に収納袋18が装着されたか否かを検知する装着検知器27が設けられる。装着検知器27は、L字形の検知レバー27aと、フォトセンサ27bとを含む。検知レバー27aは、支持体27cにより回動可能に支持される。
図1(b)の破線に示すように、収納袋18がシュート16に装着されたとき、収納袋18により押されて検知レバー27aが上方へ回動する。フォトセンサ27bの発光素子と受光素子との間に検知レバー27aが挿入され、発光素子からの光が検知レバー27aで遮断されて受光素子に届かなくなる。これにより、収納袋18がシュート16に装着されたことが検知される。なお、装着検知器27は、上記と異なる構成であってもよい。
【0055】
また、収容室15内において、装着検知器27の下方には、収納袋18内が硬貨でフル状態(満杯状態)となったこと検知するフル検知センサ28が設けられる。フル検知センサ28は、たとえば、磁気センサであり、シュート16に装着された収納袋18の上部であって封緘具19により封緘される部分よりも下に位置する。収納袋18内にフル状態の位置まで硬貨が貯められると、フル検知センサ28により硬貨が検知される。なお、フル検知センサ28は、他の方式により、収納袋18のフル状態を検知してもよい。たとえば、フル検知センサ28は、収納袋18内に硬貨が貯められたときの重量を検知することにより、フル状態を検知するものであってもよい。
【0056】
図3は、硬貨処理装置1の内部の構成を示す平面図である。
【0057】
筐体10内には、収容室15よりも上側に、投入部30、搬送部40および識別部50が配置される。
【0058】
投入部30は、ホッパー11の下方に配置され、収納袋18への硬貨収納時に駆動される回転円盤31と、回転円盤31を囲む円環状の周壁32とを含む。周壁32には、筐体10の右側面と対向する一部分が切り欠かれることにより、硬貨の出口33が形成される。投入部30には、出口33の近傍であって回転円盤31の上方に、規制部材34が配置される。回転円盤31と規制部材34との間には、硬貨の厚みより僅かに大きな隙間が形成される。
【0059】
投入部30には、ホッパー11を通じて硬貨が投入される。投入された硬貨は、回転円盤31上に載せられる。回転円盤31が上方から見て右方向に回転すると、回転円盤31上の硬貨が、遠心力によって周壁32側へと移動して出口33から排出される。このとき、回転円盤31と規制部材34との隙間を硬貨が通ることで、硬貨が複数枚の重なった状態で排出されることが防止される。よって、投入部30の出口33からは、硬貨が一枚ずつ排出される。
【0060】
搬送部40は、投入部30から排出された硬貨をシュート16に装着された収納袋18へ搬送する。搬送部40は、搬送通路部60と、搬送ベルト機構70と、振分機構80とを備える。
【0061】
搬送通路部60は、硬貨が移動する搬送通路61を有する。搬送通路61は、筐体10の右側面に沿う通路底板62の上面に、通路底板62の外縁側に沿う外側通路部材63と通路底板62の内縁側に沿う内側通路部材64とが配置されることにより、外側通路部材63と内側通路部材64の間に形成される。搬送通路61は、投入部30の出口33に繋がり、出口33から筐体10の前面近傍へと延びる。搬送通路61は、サイズの最も大きな500円硬貨より僅かに大きな幅を有する。搬送通路61の終端の位置には、通路底板62に、シュート16へ繋がる投出口65が形成される。
【0062】
搬送ベルト機構70は、搬送通路61の上方に設けられる。搬送ベルト機構70は、投入部30の出口33の近傍に配置された第1プーリ71と、投出口65の上方に配置された第2プーリ72と、第1プーリ71と第2プーリ72との間に架け渡された搬送ベルト73を含み、第1プーリ71および第2プーリ72を駆動して搬送ベルト73を周回させる。搬送ベルト73が周回すると、投入部30から排出された硬貨が、搬送ベルト73と搬送通路61の底面に挟まれるようにして搬送通路61を投出口65へと向かって移動する。この際、硬貨は、外側通路部材63の壁面63aに接触し、壁面63aに沿うようにして移動する。
【0063】
搬送通路61には、長円状のリジェクト孔66が形成される。外側通路部材63の壁面63aからリジェクト孔66における壁面63aから遠い縁までの寸法は、サイズが最も小さな1円硬貨の径よりも小さくされる。このため、搬送通路61を壁面63aに沿って移動する硬貨は、通常、リジェクト孔66を跨ぐようにして通過する。
【0064】
硬貨をリジェクト孔66に導くため、リジェクト孔66に対応して振分機構80が設けられる。振分機構80は、レバー81と、レバー81の一端に回転自在に取り付けられたローラ82とを含む。レバー81は、その他端に支点81aを有し、支点81aを中心に回動できるよう外側通路部材63に取り付けられる。外側通路部材63には、リジェクト孔66の近傍に凹部63bが形成され、この凹部63bにローラ82が収容される。
【0065】
搬送通路61にはリジェクト孔66の直前に硬貨の通過を検知する通過検知センサ67が配置される。正常な硬貨でない硬貨等、リジェクト対象の硬貨(リジェクト硬貨)の通過を通過検知センサ67が検知すると、振分機構80は、レバー81を上方から見て左方向に回動させ、ローラ82を搬送通路61内へ進出させる。外側通路部材63の壁面63aに沿って移動してきたリジェクト硬貨は、ローラ82によってリジェクト孔66側に押され、リジェクト孔66を跨ぐことができず、傾くようにしてリジェクト孔66に落下する。リジェクト孔66に落下したリジェクト硬貨は、シュート(図示せず)を通ってリジェクト箱26に収納される。
【0066】
識別部50は、搬送通路61における、リジェクト孔66よりも硬貨の流れの上流側に配置される。識別部50は、磁気センサ51と一対のイメージセンサ52を含み、搬送通路61を搬送される硬貨の正損、真偽、金種等を識別する。また、識別部50は硬貨の計数を行う。
【0067】
ホッパー11を通じて投入部30に投入された硬貨は、投入部30から一枚ずつ搬送通路61に排出される。排出された硬貨は、搬送通路61を搬送されて識別部50で識別および計数される。識別部50により正常と識別された硬貨は投出口65へと搬送される。投出口65に至った硬貨は、投出口65から落下し、シュート16を通って収納袋18に収納される。一方、識別部50により正常でないと識別された硬貨、即ちリジェクト硬貨は、振分機構80によりリジェクト孔66へと送られ、リジェクト箱26に収納される。なお、識別部50では、リジェクト硬貨の計数は行われない。
【0068】
図4(a)および(b)は、封緘ユニット20とタグ印字ユニット21の構成を示す図である。
図4(a)は、封緘ユニット20とタグ印字ユニット21を上方から見た図であり、ボックス部22と封緘ユニット20の筐体210が断面で示されている。
図4(b)は、封緘ユニット20の前側を右側方から見た図である。
【0069】
封緘ユニット20は、筐体210と、第1ローラ部220と、第2ローラ部230と、第3ローラ部240と、駆動部250と、ガイド部260と、第1検知センサ270と、第2検知センサ280と、を含む。
【0070】
筐体210は、長方形状の底面板211および天面板212と、これらに繋がる側面板213とで構成される。底面板211および天面板212との間に、3つのローラ部220、230、240と、ガイド部260と、2つの検知センサ270、280の配置スペースが形成される。側面板213は、ボックス部22の側面に固定される。
【0071】
筐体210内の前側に、前後に並ぶようにして、前方から順に、第1ローラ部220、第2ローラ部230および第3ローラ部240が配置される。
【0072】
第1ローラ部220、第2ローラ部230および第3ローラ部240は、それぞれ、主動ローラ221、231、241と従動ローラ222、232、242とを含む。各主動ローラ221、231、241と各従動ローラ222、232、242との間には、封緘具19のバンド部110が挟み込まれる隙間が形成される。
【0073】
第1ローラ部220の主動ローラ221には、外周面に、バンド部110のセレーション112に噛み合う歯221aが形成される。第1ローラ部220の従動ローラ222と、第2ローラ部230および第3ローラ部240の主動ローラ231、241および従動ローラ232、242は、同じ構成であり、少なくとも外周部がゴムなどの弾性材料により形成される。
【0074】
各主動ローラ221、231、241が固定されたローラ軸223、233、243と各従動ローラ222、232、242が固定されたローラ軸224、234、244の下端部および上端部は、それぞれ、筐体210の底面板211および天面板212に回転可能に支持される。
【0075】
駆動部250は、3つの主動ローラ221、231、241を回転駆動する。駆動部250は、3つのローラギア251、252、253と、これらローラギア251、252、253と噛み合う2つの連結ギア254、255と、ローラギア253に噛み合う駆動ギア256と、駆動ギア256に取り付けられたモータ257とを含む。
【0076】
各ローラギア251、252、253は、底面板211から下方に突出する各ローラ軸223、233、243に取り付けられる。各連結ギア254、255が固定された軸258、259は、底面板211に回転可能に支持される。モータ257は、図示しない取付部を介して底面板211に固定される。
【0077】
モータ257が回転すると、その回転が5つのギア251〜255により3つのローラ軸223、233、243に伝達される。これにより、3つの主動ローラ221、231、241が、各主動ローラ221、231、241と各従動ローラ222、232、242との間に挟まれたバンド部110を後方へ引き込む方向に回転する。
【0078】
ガイド部260は、筐体210内において、第3ローラ部240の後方に配置される。ガイド部260は、前後方向に延びる左右のガイド板261、262を含む。左右のガイド板261、262の間に、バンド部110が通されるガイド溝263が形成される。
【0079】
第1検知センサ270は、筐体210内において、第2ローラ部230と第3ローラ部240の間に配置される。また、第2検知センサ280は、筐体210内において、ガイド部260の後方に配置される。第1検知センサ270および第2検知センサ280は、たとえば、フォトセンサであり、それぞれの配置位置までバンド部110が到達したことを検知する。
【0080】
タグ印字ユニット21は、ほぼ長方形状を有するベース板310と、ベース板310に左右方向に移動可能に取り付けられる印字部320と、印字部320を左右方向に移動させる駆動部330とを含む。
【0081】
ベース板310には、中央部に、左右に延びるシャフト311が取り付けられる。シャフト311には、シャフト311上をスライド可能なボールブッシュ312が設けられる。シャフト311は、両端部がベース板310の左右両側に設けられた固定部313に固定される。
【0082】
ベース板310には、前部に、タグ置き部314が設けられる。タグ置き部314は、ベース板310の前端部から立ち上がる支持板315と、支持板315の後方に配置された、左右2つのローラ316とにより構成される。支持板315と2つのローラ316との間には、封緘具19の印字タグ130の厚みに相当する隙間が形成される。タグ置き部314には、印字タグ130を検知するための検知センサ317が配置される。検知センサ317は、たとえば、フォトセンサである。
【0083】
印字部320は、印字ヘッド321を有するキャリッジ322と、キャリッジ322に搭載されるインクカートリッジ323とを含む。キャリッジ322は、ボールブッシュ312に固定される。印字ヘッド321は、タグ置き部314の支持板315と対向する。
【0084】
駆動部330は、第1プーリ331と、第2プーリ332と、ベルト333と、モータ334とを含む。第1プーリ331は、ベース板310の左側に配置され、モータ334に接続される。第2プーリ332はベース板310の右側に配置され、その軸332aがベース板310に回転可能に支持される。ベルト333は、左右の固定部313に設けられた開口313aを通されて、第1プーリ331と第2プーリ332との間にかけ渡される。ベルト333は、取付板335を介して印字部320のキャリッジ322に取り付けられる。モータ334は、ベース板310に下方から固定され、第1プーリ331を回転駆動する。モータ334の回転によりベルト333が左右方向に周回すると、キャリッジ322、即ち印字ヘッド321が左右方向に移動する。
【0085】
図5(a)は、収納袋18に巻かれた封緘具19が封緘ユニット20とタグ印字ユニット21にセットされた状態を示す図であり、
図5(b)は、封緘ユニット20の動作によって封緘具19により収納袋18が縛られた状態を示す図である。
【0086】
図5(a)に示すように、収納袋18に巻かれた封緘具19は、封緘ユニット20とタグ印字ユニット21にセットされる。この際、封緘ユニット20において、封緘具19は、ヘッド部120を通されたバンド部110の先端部が、第3ローラ部240の手前の位置まで第1ローラ部220および第2ローラ部230のローラ間に挿入される。第1検知センサ270により、バンド部110の先端部、即ち封緘具19が検知される。また、タグ印字ユニット21において、封緘具19の印字タグ130が、印字領域131を印字ヘッド321側に向けた状態でタグ置き部314に置かれる。印字タグ130は、支持板315と2つのローラ316とで挟まれ、印字領域131の反対側の面が支持板315の面(支持面)で支えられる。検知センサ317により、印字タグ130が検知される。
【0087】
上記のように封緘具19が封緘ユニット20にセットされた状態では、バンド部110のロック領域111がヘッド部120の開口122に達していない。よって、この状態では、バンド部110をヘッド部120から抜くことができる。
【0088】
封緘ユニット20では、モータ257の動作により第1ローラ部220、第2ローラ部230および第3ローラ部240の各主動ローラ221、231、241が回転する。これにより、封緘具19のバンド部110が後方へ引き込まれる。このとき、第1ローラ部220の主動ローラ221の歯221aがバンド部110のセレーション112に噛み合うことにより、バンド部110が引き込まれやすくなる。バンド部110の先端部は、ガイド部260のガイド溝263に案内されて後方へ移動する。バンド部110による封緘具19の輪が絞られていき、収納袋18の収納口18aが閉じられていく。
【0089】
図5(b)に示すように、封緘具19により収納袋18が十分に縛られて収納口18aが閉じると、収納袋18の封緘が完了する。この状態では、バンド部110の先端部がガイド部260よりも後方に移動し、第2検知センサ280により検知される。第2検知センサ280による検知に基づいて、モータ257が停止し、封緘ユニット20による封緘動作が終了する。
【0090】
タグ印字ユニット21では、印字部320が、左右方向に移動しながら印字ヘッド321により印字タグ130の印字領域131へ印字を行う。この際、印字タグ130は、支持板315の面でしっかりと支えられているので、印字タグ130の印字領域131へ良好に印字できる。
【0091】
図6は、硬貨処理装置1の構成を示すブロック図である。
【0092】
硬貨処理装置1は、上記の構成に加えて、制御部401と、記憶部402とを備える。
【0093】
制御部401は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路を備える。制御部401は、記憶部402に記憶された動作プログラムに従って、操作表示部13、投入部30、搬送部40、識別部50、開閉検知センサ25、装着検知器27、フル検知センサ28、レシート印字ユニット14、封緘ユニット20、タグ印字ユニット21、ロック装置24等を制御する。
【0094】
また、制御部401は、投入部30および搬送部40における硬貨の搬送動作を監視して、投入部30および搬送部40における硬貨詰まり(ジャム)を検知する。この他、制御部401は、開閉検知センサ25、装着検知器27およびフル検知センサ28からの検知結果により、扉23の開閉、シュート16に対する収納袋18の着脱、および収納袋18のフル状態を検知する。
【0095】
記憶部402は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部401の動作プログラムを記憶し、また、制御部401の制御処理の際にワーク領域として利用される。
【0096】
次に、収納袋18に硬貨を収納するための処理について説明する。
【0097】
図7は、硬貨の収納処理を示すフローチャートである。
図8(a)、(b)は、硬貨の収納処理の際に操作表示部13において表示される画面を示す図である。
【0098】
収納処理において、ユーザは予め、封緘具19を収納袋18に収納口18a側に巻いて輪の状態にし、封緘具19が付けられた収納袋18をシュート16に装着する。そして、ユーザは、
図5(a)に示すように、封緘具19のバンド部110を封緘ユニット20にセットするとともに、封緘具19の印字タグ130をタグ印字ユニット21にセットした後、扉23を閉じる。このようにして、収納袋18および印字タグ130がユーザにより適切にセットされる。
【0099】
そして、ユーザは、
図8(a)に示す初期画面500を操作する。初期画面500には、各種処理を開始するためのボタン501〜503が含まれている。収納処理を行う場合、ユーザは、ボタン501を操作する。これにより、
図7に示す処理が開始される。
【0100】
ステップS11において、制御部401は、操作表示部13に、
図8(b)の受付画面510を表示させる。受付画面510には、3つのボタン511〜513が含まれている。未だ、収納袋18に対する硬貨の収納が行われていない場合、ボタン512は、操作不能に無効化されている。ユーザは、1つの取引について収納袋18に硬貨を収納する場合、ボタン511を操作する。これにより、ステップS12の判定がYESとなる。
【0101】
ステップS12の判定がYESとなると、制御部401は、硬貨を計数しつつ収納袋18に収納する計数処理を実行する(S13)。計数処理については、追って
図9〜
図11を参照して説明する。
【0102】
ステップS13の計数処理が終了すると、制御部401は、処理をステップS11に戻す。これにより、再度、
図8(b)の受付画面510が表示される。この場合、収納袋18に硬貨が収納された状態にあるため、ボタン512は有効化されている。 ユーザは、さらに他の取引における硬貨を同一の収納袋18に収納する場合、受付画面510において、再度、ボタン511を操作する。これにより、ステップS12の判定がYESとなって、次の取引に係る硬貨が、計数されつつ、同一の収納袋18に収納される。ユーザは、同一の収納袋18に硬貨を収納させることを所望する全ての取引について、収納袋18に対する硬貨の収納が終了するまで、同様の操作を行う。
【0103】
こうして、全ての取引に対する処理が終了すると、ユーザは、その後のステップS11の処理により表示される受付画面510(
図8(b)参照)において、ボタン512を操作する。これにより、ステップS12の判定がNOとなり、ステップS14の判定がYESとなる。
【0104】
ステップS14の判定がYESとなると、制御部401は、収納袋18を封緘して装置から取り出すための回収処理を実行する(S15)。回収処理については、追って
図14(a)〜
図15(b)を参照して説明する。回収処理(S15)が終了すると、制御部401は、収納袋18に対する収納処理を終了する。
【0105】
なお、収納袋18をセットした後、最初に表示される受付画面510において、ユーザは、収納袋18に対する硬貨の収納を中止することができる。この場合、ユーザは、
図8(b)の受付画面510において、ボタン513を操作する。これにより、
図7のステップS12の判定がNOとなり、ステップS14の判定がNOとなる。これにより、制御部401は、操作表示部13に表示される画面を、
図8(b)の受付画面510から
図8(a)の初期画面500に切り替えて(S16)、処理を終了する。
【0106】
次に、
図7のステップS13の計数処理について説明する。
【0107】
図9は、硬貨の計数処理を示すフローチャートである。
図10(a)〜(c)は、それぞれ、計数処理の際に操作表示部13において表示される画面を示す図である。
【0108】
ステップS21において、制御部401は、当該取引に対して、取引番号を自動付番により設定する。次に、制御部401は、ホッパー11に対する硬貨の投入を促すための画面を操作表示部13に表示させる(S22)。これにより、操作表示部13に、
図10(a)の投入要求画面520が表示される。
【0109】
投入要求画面520には、ユーザに硬貨の投入を促すメッセージ520aと、ボタン520bとが含まれる。ユーザは、メッセージ520aを参照して、ホッパー11に当該取引に係る硬貨を全て投入する。その後、ユーザは、ボタン520bを操作する。これにより、制御部401は、
図10(b)の計数処理画面521を操作表示部13に表示させるとともに、識別部50に硬貨の計数処理を実行させる(S23)。
図10(b)に示すように、計数処理画面521には、硬貨が計数処理中であることを示すメッセージ521aが含まれる。ユーザは、メッセージ521aにより、硬貨が計数処理中であることを把握する。
【0110】
制御部401は、計数処理中に、搬送部40で硬貨詰まり(ジャム)が発生したか否かを判定する(S24)。たとえば、制御部401は、通過検知センサ67や搬送通路61のその他の位置に配置された通過検知センサ(図示せず)の位置を硬貨が通過しないことや、その位置に硬貨が留まっていることに基づいて硬貨詰まりが発生したと判定する。
【0111】
制御部401は、ジャムが発生したと判定した場合(S24:YES)、ジャムを解消するためのジャム処理を行う(S25)。ジャム処理については、追って、
図12(a)および
図13を参照して説明する。一方、ジャムが発生することなく(S24:NO)、投入された全ての硬貨の計数が終了すると(S26:YES)、制御部401は、操作表示部13に
図10(c)の選択画面522を表示させる(S27)。また、制御部401は、上記したジャム処理(S25)が完了した場合も、操作表示部13に選択画面522を表示させる(S27)。
【0112】
選択画面522には、計数処理が終了したことを示すメッセージ522aと、今回の取引による計数結果画像522bと、ボタン522c、522dとが含まれる。計数結果画像522bには、金種ごとの硬貨の枚数および金額、並びに、硬貨の合計の枚数および金額が、計数結果として表示される。ユーザは、選択画面522に含まれるメッセージ522aを確認するとともに、計数結果画像522bの表示内容(計数結果)を確認する。
【0113】
ユーザは、計数結果に問題がないと判断した場合、ボタン522dを操作して、当該取引を確定させる。これにより、ステップS28の判定がYESとなる。この場合、制御部401は、記憶部402に、この計数結果を在高履歴ファイル402aに登録させる(S29)。
【0114】
図11は、在高履歴ファイル402aのデータ構造を示す図である。
【0115】
在高履歴ファイル402aには、当該取引において処理された硬貨の計数結果が、
図9のステップS21で設定された当該取引の取引番号に対応付けられて記憶される。記憶される計数結果は、
図10(c)の選択画面522に表示される計数結果と略同じであり、金種別の硬貨の枚数と、当該取引における硬貨の合計枚数および合計金額(在高)である。また、当該取引が確定された日付が、当該取引に対応付けて記憶される。
【0116】
さらに、当該取引に係る硬貨が収納される収納袋18を特定するための袋番号が自動付番されて、取引番号に対応付けられる。したがって、複数の取引に係る硬貨が1つの収納袋18に収納される場合は、1つの袋番号に複数の取引番号が対応づけられて記憶される。
【0117】
この他、各取引には、ステータスが対応付けられる。ステータスは、各取引により処理された硬貨を収納する収納袋18に対して回収処理、すなわち、収納袋18を封緘して装置から取り出す処理が行われたか否かを示す。回収処理が終了すると、ステータスが「未回収」から「回収済」に変更される。
図9のステップS29のタイミングでは、未だ回収処理が行われていないため、ステップS29で登録される計数結果(在高情報)のステータスは、「未回収」となる。
【0118】
図10(c)に戻り、ユーザは、計数結果画像522bの表示内容、すなわち、当該取引の計数結果に問題があると判断した場合、ボタン522cを操作する。たとえば、ユーザが把握していた硬貨の合計金額と計数結果画像522bに表示された計数結果とが合致しない場合、ユーザは、ボタン522cを操作する。これにより、
図9のステップS28の判定がNOとなる。
【0119】
ステップS28の判定がNOとなると、制御部401は、再度、当該取引に対する計数処理をやり直すためのやり直し処理を実行する(S30)。やり直し処理については、追って
図12(b)を参照して説明する。ステップS30のやり直し処理が終了すると、制御部401は、処理をステップS27に戻して、ステップS27、28の処理を再度実行する。これにより、ユーザは、再度、ステップS27で表示される選択画面522の計数結果画像522bを参照して、当該取引に係る硬貨の計数結果に間違いがないかを確認する。計数結果に間違いがない場合、ユーザは、
図10(c)のボタン522dを操作する。これにより、制御部401は、当該取引に係る計数結果を在高履歴ファイル402aに登録し(S29)、
図9の処理を終了する。
【0120】
次に、
図9のステップS25のジャム処理について説明する。
【0121】
図12(a)は、ジャム処理を示すフローチャートである。
【0122】
ステップS31において、制御部401は、操作表示部13に、
図13(a)のジャム解消画面530を表示させる。ジャム解消画面530には、ユーザにジャムの解消を促すためのメッセージ530aと、ボタン530bとが含まれる。ジャム解消のための手順がジャム解消画面530にさらに表示されてもよい。
【0123】
ユーザは、メッセージ530aを確認してジャムの解消を行う。たとえば、ユーザは、搬送通路61を確認して、搬送通路61に詰まっている硬貨を取り除く。ユーザは、ジャムを解消した後、ジャム解消画面530のボタン530bを操作する。これに応じて、制御部401は、ユーザが収納袋18をシュート16から取り出すための処理を実行する(S32)。具体的には、制御部401は、封緘ユニット20およびタグ印字ユニット21を動作させることなく、ロック装置24に解除動作を行わせて、扉23のロックを解除する。さらに、制御部401は、
図13(b)に示す取出誘導画面531を、操作表示部13に表示させる。取出誘導画面531は、収納袋18を取り出すことを促すメッセージ531aと、ボタン531bとが含まれている。
【0124】
ユーザは、メッセージ531aを参照することにより、扉23を開いて収納袋18をシュート16から取り外し、その後、ボタン531bを操作する。これに応じて、制御部401は、
図12(a)のステップS33における硬貨再投入処理を実行する。ステップS33において、制御部401は、
図13(c)に示す再投入誘導画面540を操作表示部13に表示させる。
【0125】
再投入誘導画面540は、取り出した収納袋18内の硬貨をホッパー11に投入すること、および、その後、この収納袋18をシュート16に再びセットすることを促すメッセージ540aと、ボタン540bとが含まれる。ユーザは、メッセージ540aを参照して、取り外した収納袋18に収納されている硬貨をホッパー11に投入し、この収納袋18を再びシュート16に装着する。そして、ユーザは、扉23を閉じて、ボタン540bを操作する。このとき、開閉検知センサ25により、扉23が正常に閉じられたことが検知される。
【0126】
ユーザがボタン540bを操作すると、制御部401は、操作表示部13に
図10(b)の計数処理画面521を表示させるとともに、識別部50に、ホッパー11に投入された硬貨の計数処理を実行させる(S34)。制御部401は、硬貨の計数中に、ジャムが発生したか否かを判定する(S35)。ジャムが発生した場合(S35:YES)、制御部401は、処理をステップS31に戻して、ステップS31〜S34の処理を再度実行する。
【0127】
一方、ジャムが発生することなく(S35:NO)、全ての硬貨の計数が終了すると(S36:YES)、制御部401は、今回の計数結果と、前回以前の計数結果とに基づいて、ジャムが発生したときの取引における硬貨の在高を算出する(S37)。
【0128】
具体的には、制御部401は、
図11の在高履歴ファイル402aにおいて、ステータスが未回収となっている取引の計数結果(枚数、金額)を抽出する。この計数結果は、ジャムが発生したときに行われていた取引よりも以前の取引によって、当該収納袋18に収納された硬貨の計数結果である。制御部401は、在高履歴ファイル402aから抽出した計数結果と、
図12(a)のステップS34で計数した硬貨の計数結果との差分を金種ごとに算出し、算出結果を、今回の取引における各金種の計数結果として取得する。ステータスが「未回収」の計数結果が在高履歴ファイル402aに存在しない場合、制御部401は、今回の計数結果を、ジャムが発生したときの取引における硬貨の在高として取得する。
【0129】
こうしてジャムが発生したときの取引における計数結果を取得すると、制御部401は、
図12(a)のジャム処理を終了する。これにより、制御部401は、
図9のステップS25の処理を終了し、処理をステップS27に進める。この場合、制御部401は、
図12(a)のステップS37で算出した計数結果を、
図10(c)の計数結果画像522bとして表示させる。ユーザは、計数結果画像522bを参照することにより、当該取引に係る硬貨の計数が適正に行われたか否かを判別し、その判別結果に応じて、ボタン522c、522dの何れかを操作する。
【0130】
ボタン522dが操作されると、制御部401は、
図12(a)のステップS37で算出した計数結果を、
図9のステップS29において、
図11の在高履歴ファイル402aに登録する。これにより、今回の取引に係る計数結果が、在高履歴ファイル402aに登録される。このとき、当該取引に対するステータスは、「未回収」に設定される。
【0131】
続いて、
図9のステップS30のやり直し処理について説明する。
【0132】
図12(b)は、やり直し処理を示すフローチャートである。
【0133】
やり直し処理は、
図12(a)のジャム処理に比べて、ステップS31(ジャム復旧処理)がステップS44の後段に移動されている点のみにおいて相違している。すなわち、
図12(b)のステップS41〜S47は、
図12(a)のステップS32〜S37と同様であり、
図12(b)のステップS45は、
図12(a)のステップS31と同様である。つまり、
図12(b)のやり直し処理では、まず、収納袋18の取出し(S41)、収納袋18の再装着および硬貨の再投入(S42)、並びに硬貨の計数(S43、S46)が行われ、この計数の際にジャムが生じると(S44:YES)、ジャムの復旧処理が行われる(S45)。
図12(b)の各ステップにおける処理は、
図12(a)の対応するステップの処理と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0134】
図12(b)のやり直し処理においても、ステップS47において、ステップS43の計数結果と、在高履歴ファイル402aにおいてステータスが「未回収」に設定されている前回以前の取引に係る計数結果との差分により、今回の取引に係る各金種の計数結果が算出される。この場合、制御部401は、
図9のステップS30から移行するステップS27において、
図12(b)のステップS47で算出した各金種の計数結果を、
図10(c)の計数結果画像522bとして表示させる。そして、ユーザにより
図10(c)のボタン522dが操作されると、制御部401は、
図9のステップS29において、
図12(b)のステップS47で算出した計数結果を、
図11の在高履歴ファイル402aに登録する。これにより、今回の取引に係る計数結果が、在高履歴ファイル402aに登録される。
【0135】
次に、
図7のステップS15の回収処理について説明する。
【0136】
図14(a)は、回収処理を示すフローチャートである。
【0137】
まず、制御部401は、封緘ユニット20を動作させ、封緘具19による収納袋18の封緘を行う(S51)。次に、制御部401は、タグ印字ユニット21とレシート印字ユニット14とを動作させ、収納袋18に収納された硬貨の在高情報(各取引における計数結果)を、印字タグ130とレシート用紙132に印字させる(S52)。在高情報が印字されたレシート用紙132は、所定サイズに切断されてレシート印字ユニット14から排出される。
【0138】
印字タグ130の印字領域131には、たとえば、
図15(a)に示すように、硬貨の合計金額と金種ごとの硬貨の枚数とが印字される。また、印字領域131には、今回の封緘処理で封緘される収納袋18の袋番号と、当該収納袋18に対して行われた取引の取引番号と、硬貨処理装置1が設置された店舗の名称と、収納袋18が封緘された日付とが印字される。
【0139】
レシート用紙132には、たとえば、
図15(b)に示すように、収納袋18の袋番号と、硬貨処理装置1が設置された店舗の名称と、収納袋18が封緘された日時と硬貨の合計金額とが印字される。また、レシート用紙132には、取引ごとの在高情報が印字される。ここでは、取引ごとに、取引番号と、その取引番号の取引が行われた日時と、金種ごとの硬貨の枚数とが印字される。印字タグ130は印字可能な面積が限られているため、印字される情報が制限される。ユーザは、レシート用紙132を参照することにより、収納袋18に収納されている硬貨の在高の詳細な情報を把握することができる。
【0140】
図14(a)に戻り、印字タグ130およびレシート用紙132への在高情報の印字が終了すると、制御部401は、在高履歴ファイル402aにおいて当該収納袋18に対応付けられている各取引のステータスを「未回収」から「回収済」に変更する(S53)。
図14(b)に示すように、回収対象の収納袋18(ここでは、袋番号007番)に対応付けられている各取引のステータスが、一度に、「回収済」に変更される。その後、制御部401は、収納袋18の取出し処理を実行する(S54)。この処理は、
図12(a)のステップS32と同様である。こうして、ユーザは、封緘済みの収納袋18を装置から取り出す。これにより、収納袋18の回収処理が終了する。
【0141】
図9の計数処理(S23)の途中や、
図12(a)の計数処理(S34)の途中において、収納袋18が満杯になる場合がある。本実施形態では、このような場合に、今回の取引に係る処理を取り消すか、今回の取引に係る処理を継続して残りの硬貨を新たな収納袋18に収納するかの選択を、ユーザが行えるようになっている。以下、この処理について説明する。
【0142】
図16は、収納袋18が満杯になったことを検出した場合の処理(フル検知処理)を示すフローチャートである。
【0143】
図16の処理は、
図9のステップS23の計数処理および
図12(a)のステップS34の処理が開始されると、並行して行われる。そして、
図16のステップS61の判定がYESとなると、
図9および
図12(a)の処理は終了し、その後は、
図16の処理が代替的に行われる。
【0144】
計数処理中にフル検知センサ28により収納袋18がフル状態となったことが検知された場合(S61:YES)、制御部401は、計数処理を終了し(S62)、
図17(a)の問い合わせ画面550を操作表示部13に表示させる(S63)。
【0145】
問い合わせ画面550には、収納袋18が満杯になったことを報知するメッセージ550aと、計数結果画像550bと、ボタン550c、550dとが含まれる。
【0146】
ユーザは、メッセージ550aおよび計数結果画像550bを確認した後、当該取引に対する処理を取り消すか、継続するかを検討する。ユーザは、当該取引の処理を取り消す場合、ボタン550cを操作し、当該取引の処理を継続する場合、ボタン550dを操作する。ユーザがボタン550cを操作すると、
図16のステップS64の判定がNOとなり、制御部401は、取消処理を実行する(S65)。取消処理(S65)については、追って、
図19を参照して説明する。
【0147】
他方、ユーザがボタン550dを操作すると、ステップS64の判定がYESとなり、制御部401は、
図9のステップS21において設定された当該取引の取引番号を修正する(S66)。たとえば、
図18に示すように、当該取引に設定された取引番号が「0004」であった場合、制御部401は、当該取引の取引番号を「0004−1」に修正する。
【0148】
次に、制御部401は、当該フル検知が
図12(a)のジャム処理中に検知されたものであるか否かを判定する(S67)。すなわち、収納袋18の満杯は、
図9のステップS23における通常の計数処理の他、
図12(a)のステップS34におけるジャム処理時の計数処理においても起こり得る。
図16のステップS67では、これら2つの計数処理のうち、何れの計数処理において、収納袋18の満杯が生じたかが判別される。
【0149】
なお、
図12(b)のやり直し処理は、当該取引に対する全ての硬貨の計数がフル検知されることなく一旦終了した後に、再度、実行されるものであるため、やり直し処理では、ステップS43の計数処理において収納袋18が満杯になることは想定されにくい。このため、
図16のステップS67では、
図12(b)のやり直し処理は、判定の対象外とされている。しかし、やり直し処理時にもフル検知が生じる可能性がある場合は、ステップS67の判定対象に、やり直し処理が含まれてもよい。この場合、やり直し処理時にフル検知が生じると、ステップS67の判定がYESとなる。
【0150】
ステップS67の判定がYESであると、制御部401は、フル検知までの硬貨の計数結果と、在高履歴ファイル402aにおいてステータスが「未回収」に設定されている前回以前の取引に係る計数結果との差分により、フル検知までに計数された当該取引に係る各金種の計数結果を算出する(S68)。すなわち、ジャム処理時にフル検知が生じた場合、フル検知までの計数結果は、当該取引においてジャム検知までに当該収納袋18に収納された硬貨と、当該取引より以前の取引により当該収納袋18に収納された硬貨とが合わさった全硬貨の計数結果となる。よって、ステップS68の処理により、上記の差分を算出することで、フル検知までに計数された当該取引に係る各金種の計数結果を算出できる。
【0151】
ステップS67の判定がNOの場合、すなわち、通常の計数処理においてフル検知が生じた場合、制御部401は、ステップS68の処理をスキップする。この場合、制御部401は、
図9のステップS23において、当該取引においてフル検知が生じるまでに収納袋18に収納された硬貨を計数しているため、その計数結果を、当該取引に係る計数結果とすればよい。このため、制御部401は、ステップS67の判定がNOの場合は、ステップS68の処理をスキップして、それまでの計数結果を当該取引の計数結果として用いる。
【0152】
こうして、ステップS67の判定がYESまたはNOの場合の当該取引における計数結果を取得した後、制御部401は、当該計数結果を、ステップS66で修正された取引番号に対応付けて、在高履歴ファイル402aに登録する(S69)。そして、制御部401は、
図14(a)に示した処理と同様の回収処理を実行し(S70)、当該収納袋18をユーザに取り出させる。また、この回収処理により、たとえば、
図18に示すように、取引番号「0004−1」に対応付けて、フル検知が生じるまでの当該取引の計数結果が、在高履歴ファイル402aに登録される。
【0153】
その後、ユーザにより、収納袋18が取り出されると、制御部401は、新しい収納袋18をセットするための処理を実行する(S71)。すなわち、制御部401は、
図17(b)に示す収納袋セット要求画面551を、操作表示部13に表示させる(S70)。収納袋セット要求画面551は、ユーザに新しい収納袋18をセットするよう促すメッセージ551aと、ボタン551bとが含まれる。ユーザは、メッセージ551aを参照して、新しい収納袋18をシュート16にセットした後、ボタン551bを操作する。これにより、制御部401は、ホッパー11に残っている硬貨について、取引番号を設定する(S72)。この場合、この取引番号は、1つの取引に係る硬貨が2つの収納袋18に分割して収納されたことが分かるように設定される。
【0154】
たとえば、ステップS66の処理で修正された取引番号が「0004−1」である場合、ステップS71で設定される取引番号は、「0004−2」である。そして、制御部401は、
図9のステップS22以降の処理を実行する。これにより、新たにセットされた収納袋18に対して、ホッパー11に残っている硬貨の収納処理が行われる。この処理が終了すると、
図9のステップS29において、残りの硬貨に対する計数結果が、在高履歴ファイル402aに登録される。この場合、この計数結果には、
図16のステップS71で設定された取引番号が対応付けられる。たとえば、
図18に示すように、取引番号「0004−2」に対して、ホッパー11に残っていた硬貨の計数結果が対応付けられる。その後、他の取引に対する処理が行われると、
図18に示すように、他の取引に対して
図9のステップS21で設定された取引番号に、他の取引に係る硬貨の計数結果が対応付けられて記憶される。
【0155】
次に、
図16のステップS65の取消処理について説明する。
【0156】
図19は、取消処理を示すフローチャートである。
【0157】
まず、制御部401は、収納袋18の取出し処理(S81)と、当該収納袋18に収納されている硬貨の再投入処理(S82)を実行する。ステップS81、82の処理は、
図12(a)のステップS32、S33と同様である。ユーザが、収納袋18内の硬貨をホッパー11に再投入する操作を行うと、制御部401は、再投入された硬貨を収納袋18とリジェクト箱26とに振り分ける処理を行う(S83)。
【0158】
ステップS83において、制御部401は、在高履歴ファイル402aにおいてステータスが「未回収」になっている取引の計数結果を読み出す。そして、制御部401は、収納袋18に収納される硬貨の金種および金種ごとの枚数が、読み出した計数結果の金種ごとの総計と合致するように、ホッパー11に再投入された硬貨を収納袋18に収納する。所定の金種に対して収納袋18に対する収納が完了すると、制御部401は、その後、当該金種の硬貨が識別部50で識別された場合、その硬貨をリジェクト箱26に振り分ける。
【0159】
振り分け処理時にジャムが検知されると(S84:YES)、制御部401は、ジャム復旧処理を行った後(S85)、処理をステップS81に戻して、再度同様の処理を行う。ジャム復旧処理(S85)は、
図12(a)のステップS31の処理と同様である。こうして、ジャムが発生することなく(S84:NO)、全ての金種について、収納袋18に対する収納が終了すると(S86:YES)、ホッパー11に残っている全ての硬貨をリジェクト箱26に搬送し(S87)、回収処理を実行する(S88)。回収処理(S88)は、
図14(a)と同様である。これにより、フル検知時に在高履歴ファイル402aにおいてステータスが「未回収」になっていた取引に係る硬貨のみが収納袋18に収納された状態で、収納袋18が封緘され、取出し可能となる。このとき、在高履歴ファイル402aにおいて当該取引に対するステータスが「未回収」から「回収済」に変更される。こうして、フル検知処理が終了する。
【0160】
次に、複数の収納袋18の在高を集計するための集計処理について説明する。
【0161】
図20は、集計処理を示すフローチャートである。この処理は、
図8(a)の初期画面において、ボタン502が操作されることにより実行される。
【0162】
制御部401は、
図21(a)に示す集計入力画面560を操作表示部13に表示させる。集計入力画面560には、集計対象の袋番号の入力を促すメッセージ560aと、袋番号の入力エリア560b、560cと、ボタン560d、560e、560fと、テンキー560gとが含まれる。ユーザは、メッセージ560aを参照して、入力エリア560b、560cに集計対象の袋番号を入力する。
【0163】
ここでは、入力エリア560b、560cが、範囲指定により、袋番号を特定するように調整されている。たとえば、袋番号001〜004までの収納袋18の集計を行う場合、ユーザは、入力エリア560bに「001」を入力し、入力エリア560cに「004」を入力する。範囲指定でなく、集計対象の袋番号を個別に入力するように、入力エリアが構成されてもよい。
【0164】
ユーザは、入力エリア560b、560cに袋番号を入力すると、ボタン560eを操作する。これにより、制御部401は、
図20のステップS102の処理を実行する。
【0165】
なお、ユーザは、入力エリア560b、560cに入力した袋番号を訂正する場合、訂正対象の入力エリアを選択して、ボタン560dを操作する。これにより、当該入力エリアの袋番号が削除され、ユーザは、適切な袋番号を入力し直すことができる。また、ユーザは、集計処理を中止する場合、ボタン560fを操作する。これにより、制御部401は、画面を、
図8(a)の初期画面500に戻す。
【0166】
ステップS102において、制御部401は、在高履歴ファイル402aから入力エリア560b、560cで範囲指定された袋番号に対応付けられている取引結果(計数結果)を読み出し、読み出した取引結果を集計する。そして、制御部401は、
図21(b)に示す集計結果画面561を操作表示部13に表示させる(S103)。
【0167】
集計結果画面561には、ユーザが指定した収納袋18の範囲を示す項目561a、561bと、この範囲の集計結果が表示されることを示すメッセージ561cと、集計結果が表示される集計結果画像561dと、ボタン561e、561fとが含まれる。
【0168】
ユーザは、集計結果画像561dに表示された集計結果を確認した後、ボタン561eを操作する。これにより、どうようの集計結果が、レシート印字ユニット14によりレシート用紙に印字され、送出される。ユーザは、集計結果が印字されたレシート用紙を収納袋18の回収業者に提示することができる。こうして、集計処理が終了する。印字を行わない場合、ユーザは、ボタン561fを操作する。これにより、制御部401は、画面を、
図21(a)の集計入力画面560に戻す。
【0169】
このような集計結果は、たとえば、レシート印字ユニット14によりレシート用紙に印字し、収納袋18の回収業者に提示することができる。
【0170】
なお、上記では、収納袋18の袋番号を範囲指定したが、収納袋18を1つずつ指定しても構わない。
【0171】
ユーザは、たとえば、窓口で保有していた硬貨の残金が少なくなったような場合、収納袋18を開封して、収納袋18から硬貨を取り出す。この場合、在高履歴ファイル402aから、開封した収納袋18に係る取引結果を消去する必要がある。以下、この場合の消去処理について説明する。
【0172】
図22は、消去処理を示すフローチャートである。この消去処理は、
図8(a)の初期画面において、ボタン503が操作された場合に実行される。
【0173】
まず、制御部401は、
図23(a)に示す消去受付画面570を操作表示部13に表示させる(S201)。消去受付画面570には、収納袋18の袋番号または取引番号の何れかを入力するよう促すメッセージ570aと、入力エリア570b、570cと、ボタン570d、570e、570fと、テンキー570gとが含まれる。
【0174】
在高履歴ファイル402aから消去する取引情報を袋番号により特定する場合、ユーザは、入力エリア570bに、当該袋番号を入力する。また、在高履歴ファイル402aから消去する所望の袋番号の取引情報を当該袋番号に対応付けられている何れかの取引番号により特定する場合、ユーザは、入力エリア570cに、当該取引番号を入力する。
【0175】
たとえば、
図11の在高履歴ファイル402aにおいて、ユーザが、袋番号002に対応付けられた取引情報を消去したい場合、入力エリア570bに「002」と入力する。あるいは、この場合、ユーザは、当該袋番号002の収納袋18に対応付けられている取引番号0005〜0010の何れかを、入力エリア570cに入力してもよい。
【0176】
たとえば、ユーザは、封緘済みの収納袋18を開封する場合、当該収納袋18を封緘している封緘具19の印字領域131の印字(
図15(a)参照)を参照して、袋番号あるいは取引番号を確認する。そして、ユーザは、確認した袋番号あるいは取引番号の何れかを、
図23(a)の入力エリア570b、570cの何れかに入力して、ボタン570eを操作する。入力した袋番号あるいは取引番号を訂正する場合、ユーザは、訂正対象の入力エリアを操作した後、ボタン570dを操作する。その後、ユーザは、テンキー570gにより、袋番号または取引番号を入力し、ボタン570eを操作する。
【0177】
こうして、ボタン570eが操作されると、制御部401は、
図22のステップS202において、消去対象の袋番号を特定する(S202)。入力エリア570bに袋番号が入力された場合、制御部401は、入力された袋番号を、消去対象の袋番号として特定する。入力エリア570cに取引番号が入力された場合、制御部401は、在高履歴ファイル402aにおいて、入力された取引番号に対応付けられている袋番号を、消去対象の袋番号として特定する。その後、制御部401は、
図23(b)に示す消去確認画面571を操作表示部13に表示させる。
【0178】
消去確認画面571には、
図22のステップS202で特定された袋番号を表示する表示エリア571aと、表示エリア571aに表示されている袋番号の取引情報を消去することを報知するメッセージ571bと、ボタン571c、571dとが含まれる。ユーザは、表示エリア571aに表示された袋番号を確認した後、ボタン571cを操作する。これにより、制御部401は、
図22のステップS204において、当該袋番号に対応付けられている全ての履歴情報を消去する。こうして、消去処理が終了する。
【0179】
なお、履歴情報が消去されても、在高履歴ファイル402aにおいて登録されている残りの履歴情報の袋番号および取引番号は修正されない。たとえば、
図11の場合、袋番号002の履歴情報が消去されても、袋番号003以降の番号が繰り上がることはない。取引番号も同様である。
【0180】
図23(a)の消去受付画面570においてボタン570fが操作されると、制御部401は、画面を、
図8(a)の初期画面500に戻す。また、
図23(b)の消去確認画面571において、ボタン571dが操作されると、制御部401は、画面を、
図23(a)の消去受付画面570に戻す。
【0181】
<実施形態1の効果>
本実施形態によれば、以下の効果が奏され得る。
【0182】
収納袋18には、複数の取引による硬貨が纏めて収納される。よって、シュート16に対する収納袋18の着脱回数を低減でき、ユーザの作業負担を軽減できる。また、複数の取引に対して1つの収納袋18が用いられるため、多数の収納袋18を用意しておかなくてもよい。これにより、収納袋18に掛かる費用と収納袋18の保管スペースを削減できる。また、1つの収納袋18に収納された硬貨の計数結果が、取引ごとに、記憶部402に記憶される。このため、1つの収納袋18を用いた複数取引に対する硬貨の処理を、適切に管理できる。
【0183】
また、
図11に示すように、記憶部402の在高履歴ファイル402aには、各取引の取引結果が記憶されている。このため、たとえば、制御部401が計数処理を再度実行する場合、以前までの計数結果を有効に活用して、複数の取引に対する処理を円滑に再度実行できる。
【0184】
たとえば、
図12(a)に示すように、制御部401によって計数処理が実行されている間にジャム(硬貨詰まり)が発生した場合、制御部401は、再度の計数処理において計数された硬貨の計数結果からジャムが発生する以前までになされた取引の計数結果を差し引くことにより、今回分の取引の計数結果を算出することができる。これにより、制御部401は、ジャムが発生した取引の計数結果を円滑に取得でき、当該計数結果を在高履歴ファイル402aに適正に登録できる。このように、ジャムが発生した場合であっても、適切に今回の取引による硬貨を適切に計数し、収納袋18に収納することができる。
【0185】
あるいは、
図12(b)に示すように、ユーザによりやり直し処理が選択された場合、制御部401は、再度の計数処理において計数された硬貨の計数結果から以前までになされた取引の計数結果を差し引くことにより、今回分の取引の計数結果を円滑に算出することができる。これにより、制御部401は、やり直し処理時の計数結果を円滑に取得でき、当該計数結果を在高履歴ファイル402aに適正に登録できる。
【0186】
また、
図16のフル検知処理においてユーザにより取消処理が選択された場合、制御部401は、フル検知されるまでの間に在高履歴ファイル402aに登録された取引の計数結果に整合するよう、収納袋18に硬貨を収納させつつ、フル検知時に行われていた取引に係る処理を円滑に取り消すことができる。また、このとき、フル検知時に行われていた取消対象の取引に係る硬貨は、リジェクト箱26に振り分けられるため、ユーザは、リジェクト箱26から取消対象の取引係る硬貨を円滑に回収することができる。
【0187】
また、
図16のフル検知処理においてユーザにより処理の継続が選択された場合、収納袋18が満杯になるまで、収納袋18に硬貨を収納させることができる。よって、収納袋18をより効率的に利用できる。また、この場合、1つの取引に係る硬貨が2つの収納袋18に分割されて収納されるが、各収納袋18に収納された硬貨の計数結果は、
図18に示すように、同じ取引に対する計数結果であることが分かるように識別番号が付与されて、在高履歴ファイル402aに登録される。よって、識別番号により、当該取引に用いられた収納袋18を特定できる。よって、取引と収納袋18との関係を正確に管理できる。
【0188】
また、
図15(a)に示すように、収納袋18に収納される硬貨の計数結果が収納袋18を封緘する封緘具19の印字タグ130に印字される。このため、ユーザは、収納袋18がシュート16から取り外されて他の場所に保管されても、収納袋18に一体化されている印字タグ130により、当該収納袋18に収納されている硬貨の計数結果を把握できる。
【0189】
また、
図15(a)に示すように、印字タグ130には、その収納袋18に対して行われた複数の取引の取引番号が印字される。これにより、ユーザは、印字タグ130を参照することにより、収納袋18に対して行われた各取引を把握できる。よって、ユーザは、たとえば、保管場所に保管されている収納袋18から、所定の取引に対応する収納袋18を探すことができる。
【0190】
また、
図22、
図23(a)、(b)に示すように、制御部401は、消去処理において、既に回収した収納袋18を特定する情報(袋番号、取引番号)の入力を受け付けると、在高履歴ファイル402aから当該収納袋18に対応付けられている取引情報を消去する。これにより、ユーザは、たとえば、保管場所に保管されている収納袋18を開封して収納袋18内の硬貨を使用する場合、当該収納袋18を特定する情報を入力することにより、当該収納袋18に対応付けられている全取引の計数結果を、在高履歴ファイル402aから一度に消去できる。
【0191】
この場合、ユーザは、取引情報を消去したい収納袋18の袋番号(収納袋18の識別情報)または当該袋番号に対応付けられている取引番号(取引の識別番号)の何れかを入力すればよい。よって、ユーザは、簡便な入力操作により、所望の収納袋18に対応付けられている取引情報(計数結果)を円滑に消去できる。
【0192】
また、
図20、
図21(a)、(b)に示すように、制御部401は、集計処理において袋番号を受け付けた場合、在高履歴ファイル402aから該当する袋番号の収納袋18を読み出して、それらの集計結果を操作表示部13に表示させ、さらに、集計結果を印刷用紙に印刷して出力させる。これにより、ユーザは、集計対象の収納袋18に収納されている硬貨の集計結果を把握できる。また、集計結果を印刷した印刷用紙を、収納袋18の回収業者に提示できる。
【0193】
なお、取引情報を消去したい収納袋18を回収した日付を指定することにより、当該収納袋18に対応付けられている全取引の計数結果を、在高履歴ファイル402aから一度に消去してもよい。
【0194】
<実施形態2>
上記実施形態1では、印字タグ130を備える封緘具19によって収納袋18を封緘したが、収納袋の封緘はこれに限られない。たとえば、収納袋の収納口をパウチしてもよい。実施形態2では、そのような構成の硬貨処理装置について説明する。
【0195】
実施形態2においては、封止機構710と装着部617とが、特許請求の範囲に記載の「収納処理部」に対応する。また、識別部629が、特許請求の範囲に記載の「計数部」に対応する。また、レシート印字ユニット624aおよびプリンタ624bが特許請求の範囲に記載の「出力部」に対応する。また、リジェクト硬貨収納箱は、特許請求の範囲に記載の「他の収納部」
ただし、上記記載は、あくまで、特許請求の範囲の構成と実施形態の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって特許請求の範囲に記載の発明が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【0196】
図24は、硬貨処理装置6の外観を示す斜視図である。
図26では、装着部617が引き出された状態の硬貨処理装置6が示されている。
【0197】
図24に示すように、硬貨処理装置6は、ほぼ直方体状の筐体600を備える。筐体600の天面には、中央部に硬貨の投入口であるホッパー611が設けられる。ホッパー611は蓋612で覆われており、ホッパー611に硬貨が投入される際に蓋612が開放される。
【0198】
筐体600内の前部には、6つの金種別硬貨収納箱613が、左右方向に並ぶように配置されている。各金種別硬貨収納箱613は上面が開口する。6つの金種別硬貨収納箱613は、右側から順に、1円硬貨が収納される1円収納箱613a、50円硬貨が収納される50円収納箱613b、5円硬貨が収納される5円収納箱613c、100円硬貨が収納される100円収納箱613d、10円硬貨が収納される10円収納箱613e、500円硬貨が収納される500円収納箱613fとされる。6つの金種別硬貨収納箱613は、筐体600の左端部の位置から中央部よりもやや右側の位置に掛けて配置される。
【0199】
6つの金種別硬貨収納箱613の前方は、扉614により覆われる。扉614は前方に倒すようにして開くことができ、扉614が開かれると6つの金種別硬貨収納箱613が外部に露出する。この状態で各金種別硬貨収納箱613を前方へ引き出すことができ、その中に収納された硬貨を取り出すことができる。
【0200】
筐体600内の前部には、6つの金種別硬貨収納箱613の右方に、前面が開口する収容部615が設けられる。収容部615内には、収納袋616が装着される装着部617が収容される。収納袋616には硬貨が収納される。装着部617は、収納袋616の上部を保持する上保持部618と、方形の板状に形成され、収納袋616の底面を保持する下保持部619とを含む。装着部617の後部において、上保持部618と下保持部619との間が、方形の板状を有する連結部620により連結される。上保持部618には、封止機構(後述する)が含まれる。収納袋616に硬貨が収納された後、封止機構によって収納袋616の収納口が封止される(パウチされる)。
【0201】
装着部617は、収容部615に収容された状態において、その前部が筐体600の前面よりも前方へ張り出す。筐体600には、収容部615から前方に張り出すように装着部カバー621が設けられており、装着部617の上保持部618が、上側と左右両側から装着部カバー621に覆われる。上保持部618の前側には扉622が取り付けられており、装着部カバー621の前面の開口621aが扉622で塞がれる。扉622の下端部には、取っ手622aが設けられる。
【0202】
操作者が取っ手622aを持って扉622を前方に移動させると、
図26のように、装着部617が前方に引き出される。装着部617全体が収容部615よりも前に出た状態となり、装着部617の上保持部618の大部分が外部に露出した状態となる。装着部617が前方に引き出される際、上保持部618の両側が、装着部カバー621の内側に設けられたレール623により案内される。装着部617が前方に引き出されると、装着部617への収納袋616の装着が可能となり、また、装着部617からの収納袋616の取り外しが可能となる。
【0203】
硬貨処理装置6は、レシート印字ユニット624aとプリンタ624bとを備える。レシート印字ユニット624aは、筐体600内の上部であってホッパー611の左方に配置される。レシート印字ユニット624aは、レシート用紙に印字を行う。たとえば、レシート印字ユニット624aは、収納袋616に収納された硬貨の在高情報(金種別の硬貨の枚数等)を、レシート用紙に印字する。印字後のレシート用紙は、筐体600の天面に形成された排出口624cから排出される。
【0204】
プリンタ624bは、ラベルシールの印字領域に印字を行う。プリンタ624bは、筐体600の天面であってホッパー611の上方にプリンタ624bが配置される。プリンタ624bは、汎用のプリンタを用いることができる。ラベルシールの印字領域には、収納袋616に収納された硬貨の在高情報(金種別の硬貨の枚数等)が印字される。印字後のラベルシールは、プリンタ624bの排出口(図示せず)から排出される。
【0205】
なお、ラベルシールには、上記実施形態1の印字タグ130と同様、文字の他、模様やマーク等が印刷されてもよい。
【0206】
筐体600の天面には、ホッパー611の右方に表示部625と操作部626とが設けられる。液晶パネル等で構成され、硬貨の計数結果(枚数、金額)等の情報を表示する。操作部626は、3つのボタン626aは、収納処理を受け付ける。ボタン626bは、収納袋616の集計を受け付ける。ボタン626cは、収納袋616の履歴の消去を受け付ける。
【0207】
図25は、硬貨処理装置6の内部の構成を示す平面図である。
【0208】
筐体600内には、6つの金種別硬貨収納箱613および装着部617よりも上側に、投入部627、搬送部628および識別部629が配置される。
【0209】
投入部627は、ホッパー611の下方に配置され、回転円盤630と、回転円盤630を囲む円環状の周壁631とを含む。周壁631には、筐体600の右側面と対向する一部分が切り欠かれることにより、硬貨の出口632が形成される。投入部627には、出口632の近傍であって回転円盤630の上方に、規制部材633が配置される。回転円盤630と規制部材633との間には、硬貨の厚みより僅かに大きな隙間が形成される。
【0210】
投入部627には、ホッパー611を通じて硬貨が投入される。投入された硬貨は、回転円盤630上に載せられる。回転円盤630が上方から見て右方向に回転すると、回転円盤630上の硬貨が、遠心力によって周壁631側へと移動して出口632から排出される。このとき、回転円盤630と規制部材633との隙間を硬貨が通ることで、硬貨が複数枚の重なった状態で排出されることが防止される。よって、投入部627の出口632からは、硬貨が一枚ずつ排出される。
【0211】
搬送部628は、投入部627から排出された硬貨を、6つの金種別硬貨収納箱613と装着部617に装着された収納袋616へ選択的に搬送する。搬送部628は、搬送通路部634と、第1搬送ベルト機構635と、第2搬送ベルト機構636と、第1振分機構637と、第2振分機構638と、開閉板639とを備える。
【0212】
搬送通路部634は、硬貨が移動する搬送通路640を有する。搬送通路640は、筐体600の右側面と前面とに沿うL字状の通路底板641の上面に、通路底板641の外縁側に沿うL字状の外側通路部材642と通路底板641の内縁側に沿うL字状の内側通路部材643とが配置されることにより、外側通路部材642と内側通路部材643の間に形成される。搬送通路640は、投入部627の出口632に繋がり、出口632から筐体600の前面近傍へと延びる第1通路640aと、第1通路640aに続き、左側へ湾曲する第2通路640bと、第2通路640bに続き、筐体600の前面に沿って筐体600の左側面近傍へと延びる第3通路640cとで構成される。第1通路640aおよび第2通路640bは、外側通路部材642と内側通路部材643とで挟まれ、サイズの最も大きな500円硬貨より僅かに大きな幅を有する。一方、第3通路640cの位置には、内側通路部材643が配置されておらず、第3通路640cは、外側通路部材642と反対側が開放されている。
【0213】
第1搬送ベルト機構635は、第1通路640aと第2通路640bの上方に設けられる。第1搬送ベルト機構635は、第1通路640aにおける投入部627の出口632の近傍に配置された第1プーリ644と、第2通路640bに配置された第2プーリ645と、第1プーリ644と第2プーリ645との間に架け渡された搬送ベルト646を含む。搬送ベルト646が周回すると、投入部627から排出された硬貨が、搬送ベルト646と第1通路640aの底面に挟まれるようにして第1通路640aを移動し、第2通路640bへと至る。
【0214】
第2搬送ベルト機構636は、第2通路640bと第3通路640cの上方に設けられる。第2搬送ベルト機構636は、第2通路640bに配置された第1プーリ647と、第3通路640cの左端に配置された第2プーリ648と、第1プーリ647と第2プーリ648との間に架け渡された2本の搬送ベルト649を含む。搬送ベルト649が周回すると、第2通路640bに至った硬貨が、搬送ベルト649と第2通路640bの底面に挟まれるようにして第2通路640bを移動し、さらに、搬送ベルト649と第3通路640cの底面に挟まれるようにして第3通路640cを移動する。
【0215】
第1搬送ベルト機構635および第2搬送ベルト機構636によって搬送通路640を搬送される硬貨は、外側通路部材642の壁面642aに接触し、壁面642aに沿うようにして移動する。
【0216】
第1通路640aには、長円状のリジェクト孔650が形成される。外側通路部材642の壁面642aからリジェクト孔650における壁面642aから遠い縁までの寸法は、サイズが最も小さな1円硬貨の径よりも小さくされる。このため、第1通路640aを壁面642aに沿って移動する硬貨は、通常、リジェクト孔650を跨ぐようにして通過する。
【0217】
硬貨をリジェクト孔650に導くため、搬送部628には、リジェクト孔650に対応して第1振分機構637が設けられる。第1振分機構637は、レバー651と、レバー651の一端に回転自在に取り付けられたローラ652とを含む。レバー651は、その他端に支点651aを有し、支点651aを中心に回動できるよう外側通路部材642に取り付けられる。外側通路部材642には、リジェクト孔650の近傍に凹部642bが形成され、この凹部642bにローラ652が収容される。
【0218】
第1通路640aにはリジェクト孔650の直前に硬貨の通過を検知する通過検知センサ653が配置される。正常な硬貨でないリジェクト硬貨の通過を通過検知センサ653が検知すると、レバー651が上方から見て左方向に回動し、ローラ652が第1通路640a内へ進出する。外側通路部材642の壁面642aに沿って移動してきたリジェクト硬貨は、ローラ652によってリジェクト孔650側に押され、リジェクト孔650を跨ぐことができず、傾くようにしてリジェクト孔650に落下する。リジェクト孔650に落下したリジェクト硬貨は、シュート(図示せず)を通ってリジェクト硬貨収納箱(図示せず)に収納される。
【0219】
第2通路640bには、その底面を構成する通路底板641に、方形状の選別口654が形成される。選別口654は、開閉板639により塞がれる。開閉板639の上を硬貨が移動できるように、開閉板639の表面は通路底板641の表面と面一となっている。開閉板639は、その一端側に設けられた軸639aを中心に下方に回動できる。開閉板639が下方に回動されると、選別口654が開かれる。選別口654が開かれた場合、第2通路640bへ至った硬貨が選別口654へ落下する。選別口654に落下した硬貨は、シュート(図示せず)を通り、装着部617に装着された収納袋616に収納される。
【0220】
第3通路640cには、6つの選別孔655が形成される。6つの選別孔655は、右から順に、1円選別孔655a、50円選別孔655b、5円選別孔655c、100円選別孔655d、10円選別孔655e、500円選別孔655fとされ、それぞれ位置が、1円収納箱613a、50円収納箱613b、5円収納箱613c、100円収納箱613d、10円収納箱613e、500円収納箱613fの位置に対応する。1円選別孔655a、50円選別孔655b、5円選別孔655c、100円選別孔655d、10円選別孔655eは長円形状を有し、500円選別孔655fは方形状を有する。
【0221】
硬貨は、サイズが小さい順に、1円、50円、5円、100円、10円、500円となる。外側通路部材642の壁面642aから各選別孔655における壁面642aから遠い縁までの寸法は、1円選別孔655aでは1円硬貨の径より大きく50円硬貨の径より小さくされており、50円選別孔655bでは50円硬貨の径より大きく5円硬貨の径より小さくされており、100円選別孔655dでは100円硬貨の径より大きく10円硬貨の径より小さくされており、10円選別孔655eでは10円硬貨の径より大きく500円硬貨の径より小さくされており、500円選別孔655fでは500円硬貨の径より大きくされている。このため、第3通路640cを外側通路部材642の壁面642aに沿って移動する5円以外の各金種の硬貨は、それぞれに対応する選別孔655へ至ったときに、その選別孔655を跨ぐことができず、傾くようにしてその選別孔655に落下する。各選別孔655に落下した硬貨は、シュート(図示せず)を通って、その選別孔655に対応する金種別硬貨収納箱613に収納される。
【0222】
一方、5円選別孔655cでは、上記の寸法が5円硬貨の径よりも小さくされている。これは、5円硬貨と100円硬貨では径の差が小さいため、上記の寸法を5円硬貨の径より大きく100円硬貨の径より小さくすると、誤って5円選別孔655cに100円硬貨が落下しやすいためである。よって、5円硬貨を5円選別孔655cに強制的に落下させることができるように、搬送部628には、5円選別孔655cに対応して第2振分機構638が設けられる。
【0223】
第2振分機構638は、レバー656と、レバー656の一端に回転自在に取り付けられたローラ657とを含む。レバー656は、その他端に支点656aを有し、支点656aを中心に回動できるよう外側通路部材642に取り付けられる。外側通路部材642には、5円選別孔655cの近傍に凹部642cが形成され、この凹部642cにローラ657が収容される。
【0224】
第3通路640cには、5円選別孔655cの直前に硬貨の通過を検知する通過検知センサ658が配置される。5円硬貨の通過を通過検知センサ658が検知すると、レバー656が上方から見て右方向に回動し、ローラ657が第3通路640c内へ進出する。外側通路部材642の壁面642aに沿って移動してきた5円硬貨は、ローラ657によって5円選別孔655c側に押され、5円選別孔655cを跨ぐことができず、傾くようにして5円選別孔655cに落下する。5円選別孔655cに落下した硬貨は、シュート(図示せず)を通って、5円収納箱613cに収納される。
【0225】
搬送通路640(第1通路640a)における、リジェクト孔650よりも硬貨の流れの上流側に識別部629が配置される。識別部629は、磁気センサ659と一対のイメージセンサ660を含み、搬送通路640を搬送される硬貨の正損、真偽、金種等を識別する。また、識別部629は硬貨の計数を行う。
【0226】
投入部627から排出された硬貨は識別部629で識別および計数され、その結果、正常と識別された硬貨が第2通路640bに搬送される。第2通路640bでは、選別口654が開かれている。よって、第2通路640bに至った硬貨は、選別口654から落下して収納袋616に収納される。リジェクト硬貨は、第1振分機構637で振り分けられてリジェクト硬貨収納箱に収納される。
【0227】
図26は、装着部617を構成する上保持部618の斜視図である。
【0228】
上保持部618は、四角形の枠体700内に、装着部617に装着された収納袋616の収納口を閉じるための封止機構710を備える。枠体700は、前面板701と、後面板702と、左側面板703と、右側面板704とにより構成される。前面板701と後面板702には、左右方向に延びる細長いガイド孔705が形成される。左側面板703と右側面板704の上端には、フランジ部706が形成される。フランジ部706は、上保持部618が装着部カバー621内に収容された際に、装着部カバー621のレール623に載せられ、レール623上を移動する。
【0229】
封止機構710は、固定封止部材720と、可動封止部材730と、X字型のリンク機構740と、取付部材750とを含む。固定封止部材720、可動封止部材730および取付部材750は、前面板701と後面板702との間に跨る長さを有する。固定封止部材720は、枠体700内の右端、即ち右側面板704の内側に固定される。固定封止部材720の上面には、前側と後側に2つの突起721が設けられる。可動封止部材730は、左右方向に移動可能に枠体700内に固定される。即ち、可動封止部材730の前端部と後端部にシャフト731が設けられ、このシャフト731が、前面板701と後面板702のガイド孔705に嵌め込まれ、可動封止部材730の移動に合わせてガイド孔705内を移動する。可動封止部材730の上面には、固定封止部材720の2つの突起721と前後方向において同じ位置に、2つの突起732が設けられる。リンク機構740は、十字に組まれた第1アーム741および第2アーム742を含み、可動封止部材730と取付部材750に連結される。取付部材750は、枠体700内の左端、即ち左側面板703の内側に固定される。
【0230】
リンク機構740において、第1アーム741の一端側の軸741aが、可動封止部材730に形成されたスリット状のガイド孔733に移動可能に嵌め込まれ、第2アーム742の一端側の軸742aが、取付部材750に形成されたスリット状のガイド孔751に移動可能に嵌め込まれる。また、第1アーム741の他端側の軸741bが取付部材750に形成された孔752に回転可能に嵌め込まれ、第2アーム742の他端側の軸742bが、可動封止部材730に形成された孔734に回転可能に嵌め込まれる。
【0231】
リンク機構740は、第2アーム742の一端側の軸742aを取付部材750のガイド孔751内で移動させることにより、左右方向に伸縮させることができる。リンク機構740が伸びると、可動封止部材730が固定封止部材720に当接できる位置まで左方向に移動する。リンク機構740が縮むと、可動封止部材730が右方向へ移動し、元の位置に戻る。
【0232】
また、後面板702には、収納袋616内が硬貨でフル状態(満杯状態)となったこと検知するフル検知センサ760が設けられる。フル検知センサ760は、たとえば、磁気センサであり、装着部617に装着された収納袋616の上部に位置するように取り付けられる。収納袋616内にフル状態の位置まで硬貨が貯められると、フル検知センサ760により硬貨が検知される。なお、フル検知センサ760は、他の方式により、収納袋616のフル状態を検知してもよい。たとえば、フル検知センサ760は、収納袋616内に硬貨が貯められたときの重量を検知することにより、フル状態を検知するものであってもよい。
【0233】
図27は、収納袋616の構成を示す斜視図である。
【0234】
収納袋616は、透明、半透明または色つきのビニル樹脂(ポリエチレン、ポリオレフィン)等により形成される袋本体800を備える。袋本体800の上端部は、収納口801として開口する。袋本体800には、収納口801の近傍のほぼ半面に、粘着剤が塗られた帯状の粘着面802が形成される。粘着面802には、剥離紙803が取り付けられる。収納口801には、封止機構710の固定封止部材720の突起721および可動封止部材730の突起732に引っ掛けられる4つのタブ804が形成される。タブ804には、突起721、732が挿入される孔805が形成される。
【0235】
収納処理が行われる際、ユーザは、筐体600(収容部615)から装着部617を引き出し、収納袋616を装着部617に装着する。このとき、ユーザは、収納袋616の4つのタブ804を固定封止部材720と可動封止部材730の4つの突起721、732に引っ掛けるようにして、収納袋616の収納口801を固定封止部材720と可動封止部材730に保持させる。ユーザは、収納袋616の粘着面802から剥離紙803を剥がした後、収納袋616が装着された装着部617を筐体600内に戻す。
【0236】
図28は、硬貨処理装置6の構成を示すブロック図である。
【0237】
硬貨処理装置6は、上記の構成に加えて、制御部901と、記憶部902と、通信部903と、ロック装置904と、を備える。
【0238】
制御部901は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路を備える。制御部901は、記憶部902に記憶された動作プログラムに従って、レシート印字ユニット624a、通信部903、表示部625、操作部626、投入部627、搬送部628、識別部629、封止機構710、ロック装置904等を制御する。
【0239】
通信部903は、制御部901からの制御に従って、プリンタ624bと通信を行う。
【0240】
ロック装置904は、装着部617が引き出せないように、装着部カバー621に対して扉622をロックする。たとえば、ロック装置904は、ソレノイドのオン・オフによりケースから出入りするプランジャを含み、プランジャを扉622に設けられた係合穴に嵌り込ませることにより、扉622をロックする。
【0241】
また、制御部901は、投入部627および搬送部628における硬貨の搬送動作を監視して、投入部627および搬送部628における硬貨詰まり(ジャム)を検知する。この他、制御部901は、フル検知センサ760の検知結果に基づいて、収納袋18のフル状態を検知する。
また、記憶部902は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部901の動作プログラムを記憶し、また、制御部901の制御処理の際にワーク領域として利用される。
【0242】
実施形態2の硬貨処理装置6による収納処理に関する各処理は、上記実施形態1の各処理と同様に行われる。ただし、
図7のステップS15の回収処理は、以下のように異なる。
【0243】
ステップS51において、制御部901は、封止機構710を動作させ、収納袋616の収納口801を封止させる。
【0244】
ステップS52において、制御部901は、レシート印字ユニット624aを動作させ、レシート用紙に対する印字を行う(S52)。この場合、レシート用紙に印字される情報は、上記実施形態1のレシート用紙132に印字される情報と同様である。また、制御部901は、通信部903を介してプリンタ624bを動作させ、ラベルシートの印字面に対する印字を行う。この場合、ラベルシートに印字される情報は、上記実施形態1の印字タグ130の印字領域131に印字される情報と同様である(
図16(a)、(b)参照)。
【0245】
ステップS54において、制御部901は、ロック装置904に解除動作を行わせて、扉622のロックを解除する。これにより、装着部617が筐体600から引き出せるようになる。
【0246】
実施形態2では、ステップS52において情報が印字されたラベルシートが、ユーザにより回収された収納袋616に貼付される。これにより、ユーザは、収納袋616に収納されている硬貨の在高情報を容易に把握することができる。
【0247】
なお、上記実施形態1では、
図19のステップS86における振り分け処理において、再投入された硬貨を収納袋18とリジェクト箱26とに振り分ける処理が行われていた。実施形態2では、上記実施形態1と同様に、再投入された硬貨が収納袋616とリジェクト硬貨収納箱(図示せず)とに振り分けられる。この他、実施形態2では、当該振分処理において、リジェクト箱に替えて、6つの金種別硬貨収納箱613に、リジェクト対象の硬貨が振り分けられてもよい。
【0248】
また、上記実施形態2では、収納袋616自身に、当該収納袋616に収納されている在高情報が印字されてもよい。
【0249】
図29は、上記実施形態2の変更例に係る、収納袋616の構成を示す斜視図である。
【0250】
収納袋616には、収納口801に、収納された硬貨の在高情報が印字されるタブ状の被印字部806が形成される。この場合、硬貨処理装置6には、在高情報を印字するための印字ユニットが、装着部617に設けられる。
【0251】
また、上記実施形態2では、収納袋616の収納口801が粘着面802による接着によって封止された。しかしながら、収納袋616の収納口801がヒートシールによって封止されるような構成が採られてもよい。この場合、固定封止部材720と可動封止部材730には、互いに当接する面にヒートシール用のヒータが設けられる。固定封止部材720と可動封止部材730と間に収納口801がはさみ込まれた状態でヒータに通電されると、収納口801の部分が溶着(接着)する。これにより、収納袋616の収納口801が封止される。
【0252】
また、上記実施形態2では、6つの金種別硬貨収納箱613が設けられていたが、これら金種別硬貨収納箱613を省略して装置が構成されてもよい。
【0253】
<その他の変更例>
上記実施形態1では、取消処理において、再投入されて振り分けられた硬貨のうち、リジェクト箱26に収納された硬貨の金額を、操作表示部13の画面に表示してもよい。上記実施形態2の場合は、リジェクト硬貨収納箱(図示せず)に収納された硬貨の金額が表示部625に表示されてもよい。
【0254】
また、在高履歴ファイル402aに登録される情報は、
図11に示す情報に限られない。たとえば、ステータスは、袋番号に一括して対応付けられてもよい。また、日付の欄に追加して当該取引が行われた時刻が登録されてもよい。また、取引ごとに各金種の合計が対応付けられてもよい。
【0255】
さらに、上記実施形態1の構成において、収納袋18の封緘する部材は、封緘具19に限定されない。たとえば、紐により収納袋18を締め付けて封緘する構成が用いられてもよい。また、収納袋18の封緘は、自動に限らず、手動で行われてもよい。
【0256】
さらに、上記実施形態1の構成において、封緘具19に印字タグ130が設けられなくてもよい。たとえば、実施形態2と同様、装置と通信部を介して接続されるプリンタを用いて、ラベルシールに硬貨の在高情報を印字するように構成してもよい。この場合、ユーザは印字されたラベルシールを回収済の収納袋18に貼り付ける。
【0257】
さらに、上記実施形態1の構成において、印字タグ130に印字される情報は、上記実施形態1に記載の情報に限られない。たとえば、印字領域131が広ければ、さらに、取引ごとに、金種ごとの枚数および金額、および合計金額が印字されてもよい。また、回収した日付とともに時刻が印字されてもよい。また、印字領域131が狭小であれば、支店名や金種ごとの枚数は印字されなくてもよい。
【0258】
さらに、印字タグ130に印字される情報は、収納袋18に収納されている硬貨の計数結果および当該収納袋18の袋番号の少なくとも一方の情報を含むものであってもよい。この場合、硬貨の計数結果は、たとえば、上記したとおり、金種ごとの枚数および金額、および合計金額が含まれる。
【0259】
さらに、レシート用紙に印字される情報は、上記実施形態1に記載の情報に限られない。たとえば、取引ごとに合計金額が印字されてもよい。また、回収した日付とともに時刻が印字されてもよい。また、支店名は印字されなくてもよい。
【0260】
さらに、レシート用紙に印字される情報が、操作表示部13の画面や表示部625に表示されてもよい。
【0261】
また、上記実施形態1の構成において、ホッパー11の容量が小さい場合、全ての硬貨をホッパー11に投入することができないため、ホッパー11への硬貨の投入を複数回に分けて行うことが起こり得る。この場合、ユーザが同じ取引番号に含めたい硬貨を継続してホッパー11に投入できるよう、
図9のステップS27において操作表示部13の画面に表示される
図10(c)の選択画面522に継続ボタンが含まれる。ユーザが継続ボタンを操作すると、制御部401は、処理をステップS22に戻す。そして、制御部401は、ステップS22〜27の処理を再度行う。ユーザは、同じ取引に含めたい硬貨の投入が完了すると、
図9のステップS27において、選択画面522のボタン522d(
図10(c))を操作する。この場合、同じ取引で複数回の計数処理が行われているため、制御部401は、各計数処理の結果を算出し、算出した各計数結果の総計をその取引の計数結果として在高履歴ファイル402aに登録する。
【0262】
また、上記実施形態1の構成では、ホッパー11の容量が大きい場合、フル処理により、1取引の硬貨が3つ以上の収納袋18に収納されることが起こり得る。この場合、在高履歴ファイル402aには、たとえば、取引番号が「0004−1」、「0004−2」、「0004−3」と、ハイフン以降の数が収納袋18の数に応じて増加するように登録される。これにより、ホッパー11の容量に応じて、ユーザは取引を行うことができる。この点は、実施形態2においても同様である。
【0263】
また、上記実施形態1では、
図16のフル検知処理において、ユーザが取引の取消操作を行った場合に(S64:YES)、
図19の取消処理が行われたが、他の場面で取消処理が行われてもよい。たとえば、
図10(c)の選択画面522に当該取引を取り消すためのボタンが含まれ、このボタンが操作されたことに応じて、
図19の取消処理が行われてもよい。あるいは、
図10(b)の計数処理画面521に当該取引を取り消すためのボタンが含まれ、このボタンが操作されたことに応じて、
図19の取消処理が行われてもよい。この場合、制御部401は、計数処理を終了した後、
図19の取消処理を行う。
【0264】
また、上記実施形態1では、フル検知処理において収納袋18の満杯が検知された場合、一旦、処理を継続するか否かがユーザに問い合わされたが、フル検知時に、ユーザへの問い合わせ無しに、そのまま処理を継続する工程へと移行してもよく、あるいは、フル検知時に、ユーザへの問い合わせ無しに、そのまま処理を取り消す工程へと移行してもよい。また、
図8(b)の受付画面510のボタン511が操作されることに応じて、フル検知時に処理を継続するか取り消すかの選択を受け付け、その後、
図10(a)の投入要求画面520へと移行してもよい。あるいは、硬貨処理装置1の導入時等において、フル検知時に処理を継続するか取り消すかの設定がユーザによりなされてもよい。店舗の運用に応じて、当該設定が予めなされてもよい。
【0265】
また、上記実施形態1では、
図8(b)の受付画面510のボタン511が操作されることに応じて、取引番号が設定されたが(
図9のステップS21)、
図9のステップS29において計数結果が登録される際に取引番号が設定されてもよい。
【0266】
また、上記実施形態1では、回収処理において、収納袋18に対応付けられている各取引のステータスが「未回収」から「回収済」に変更されるタイミング(S53)は、封緘具19による収納袋18の封緘が行われた後であれば、他のタイミングであってもよい。たとえば、上記変更が、収納袋18の封緘が行われたタイミングでなされてもよく、あるいは、ユーザが収納袋18をシュート16から取り出したタイミングでなされてもよい。
【0267】
また、上記実施形態1では、消去処理において、特定した袋番号の収納袋18に対応付けられている各取引の履歴情報が消去されたが、これに代えて、特定した袋番号の収納袋18に対応付けられている各取引のステータスが、「回収済」から「開封済」に変更されてもよい。この場合、ステータスが「開封済」に変更された取引の取引結果は、集計処理には反映されない。
【0268】
また、硬貨処理装置1、6の構成も、上記実施形態1、2の構成に限らず、たとえば、操作表示部13が、装置本体とは独立し、且つ、装置本体と通信可能な端末であってもよい。さらに、上記実施形態1、2では、処理対象の貨幣が硬貨であったが、硬貨に限らず紙幣が収納袋に収納される貨幣処理装置に本発明が適用されてもよい。
【0269】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜変更可能である。