(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記バイパスダクト(76)に流入するバイパス空気量を選択的に制限するための、前記バイパスダクト(76)に結合した流れ制限システム(80)をさらに備える、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の空気流制御システム。
【背景技術】
【0002】
発電システム、例えば単純サイクルガスタービン発電システムからの排気ガスは、大気中に放出される排気ガスの組成に関して厳格な規制要件に適合しなければならない場合が多い。ガスタービン発電システムの排気ガス中に典型的に見いだされる規制を受ける成分の1つは、窒素酸化物(すなわちNO
x)であり、これは、例えば一酸化窒素及び二酸化窒素を含む。排気ガス流からNO
xを除去するために、選択的触媒還元(SCR)などの技術がしばしば利用される。SCRプロセスにおいて、アンモニア(NH
3)または同種のものがNO
xと反応して、窒素(N
2)及び水(H
2O)を生成する。
【0003】
SCRプロセスの有効性は、処理される排気ガスの温度に一部依存する。ガスタービン発電システムからの排気ガスの温度は、約1000°Fを上回ることが多い。しかしながら、SCR触媒は、妥当な触媒寿命にわたって有効性を維持するには約900°Fより低温で稼働させる必要がある。この点で、単純サイクルガスタービン発電システムからの排気ガスは、典型的にはSCRに先立って冷却される。
【0004】
周囲空気などの冷却ガスを排気ガスと混合することによりガスタービン発電システムの排気ガス温度を900°F未満に下げるために、大型の外部ブロアシステムが用いられている。外部ブロアシステムの故障による触媒の損傷の可能性があるので、冗長外部ブロアシステムが典型的に利用される。これらの外部ブロアシステムは、ブロア、モータ、フィルタ、吸気構造、及び大型ダクトなどの多くの構成要素を含み、これらは高価であり、嵩高く、ガスタービン発電システムの運用コストを付加することになる。さらに、外部ブロアシステムとガスタービン発電システムの動作とは本来的に連動していないので、SCR触媒が種々のガスタービン動作モード中に過剰温度に起因して損傷を受ける可能性が高くなる。過剰温度によるSCR触媒の損傷(例えば、外部ブロアシステムが故障した場合又は排気ガスを十分に冷却できない場合)を防止するために、温度の問題が是正されるまでガスタービンを運転停止する必要がある場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0012】
各図面は、必ずしも縮尺通りではない点に留意されたい。当該図面は、本発明の典型的な態様のみを描くことを意図しており、従って、本発明の範囲を限定するものとみなすべきではない。図面では、同じ参照符号は、複数の図面にわたり同じ要素を示している。
【0013】
上述のように、本開示は、一般に発電システムに関し、より具体的には、発電システムの排気ガスを冷却するためのシステム及び方法に関する。
【0014】
図1は、ガスタービンシステム12及び排気処理システム14を含むターボ機械システム(例えば単純サイクルガスタービン発電システム10)のブロック図を示す。ガスタービンシステム12は、天然ガス及び/又は水素リッチ合成ガスなどの液体又は気体燃料を燃焼させて高温燃焼ガスを発生させ、ガスタービンシステム12を駆動することができる。
【0015】
ガスタービンシステム12は、吸気セクション16、圧縮機構成要素18、燃焼器構成要素20、及びタービン構成要素22を含む。タービン構成要素22は、シャフト24を介して圧縮機構成要素18に駆動結合する。作動時、空気(例えば周囲空気)は、吸気セクション16を通ってガスタービンシステム12に入り(矢印26で示される)、圧縮機構成要素18内で加圧される。圧縮機構成要素18は、シャフト24に結合した複数の圧縮機ブレードを含む少なくとも1つの段を含む。シャフト24の回転が、対応する圧縮機ブレードの回転を生じさせ、それにより空気が吸気セクション16を通って圧縮機構成要素18内に引き込まれ、空気は燃焼器構成要素20に入る前に圧縮される。
【0016】
燃焼器構成要素20は、1又は2以上の燃焼器を含むことができる。実施形態において、複数の燃焼器が、シャフト24の周りに概ね円形又は環状配置で複数の周方向位置で燃焼器構成要素20内に配置される。圧縮空気が圧縮機構成要素18から出て燃焼器構成要素20に入ると、圧縮空気は、燃焼器内で燃焼のために燃料と混合される。例えば、燃焼器は、燃焼、エミッション制御、燃料消費、出力などに適した比率で燃料空気混合気を燃焼器内に注入するように構成された、1又は2以上の燃料ノズルを含むことができる。燃料空気混合気の燃焼は、高温加圧排気ガスを発生させ、これは次にタービン構成要素22の1又は2以上のタービン段(各々が複数のタービンブレードを有する)を駆動するために利用される。
【0017】
作動時、タービン構成要素22に流入して通過する燃焼ガスは、タービンブレードに当たり及びタービンブレード間を流れることにより、タービンブレードを駆動させ、それによりシャフト24を回転させる。タービン構成要素22内で、燃焼ガスのエネルギーは、仕事に変換され、その一部は回転シャフト24を通じて圧縮機構成要素18を駆動するために用いられ、残りは、負荷、例えば、限定ではないが電気を発生させるための発電機28及び/又は他のタービンなどを駆動するための有用な仕事に利用される。
【0018】
タービン構成要素22を通って流れる燃焼ガスは、排気ガス流32としてタービン構成要素22の下流側端部30を出る。排気ガス流32は、排気処理システム14に向かって下流方向34に連続して流れることができる。タービン構成要素22の下流側端部30は、混合領域33を介して排気処理システム14のCO除去システム(例えば、CO触媒36を含む)及びSCRシステム(例えば、SCR触媒38を含む)に流体結合することができる。上述のように、燃焼プロセスの結果として、排気ガス流32は、窒素酸化物(NO
x)、硫黄酸化物(SO
x)、炭素酸化物(CO
x)、及び未燃焼炭化水素などの特定の副産物を含む場合がある。特定の規制要件のため、排気処理システム14を使用して、このような副産物の濃度を大気に放出する前に低減するか又は実質的に最小化することができる。
【0019】
排気ガス流32内のNO
xを除去する又は量を低減するための1つの技術は、選択的触媒還元(SCR)プロセスを用いることによる。例えば、排気ガス流32からNO
xを除去するためのSCRプロセスにおいて、アンモニア(NH
3)又は他の適切な還元剤を排気ガス流32に注入することができる。アンモニアは、NO
xと反応して窒素(N
2)及び水(H
2O)を生成する。
【0020】
図1に示すように、アンモニア蒸発システム40及びアンモニア注入グリッド42を用いて、アンモニア溶液(例えばタンク46に貯蔵される)を気化させてSCR触媒38の上流で排気ガス流32に注入することができる。アンモニア注入グリッド42は、例えば気化したアンモニアを排気ガス流32に注入するための開口部/ノズルを有する管網を含むことができる。理解されるように、排気ガス流32のアンモニア及びNO
xは、SCR触媒38を通過する際に反応して窒素(N
2)及び水(H
2O)を生成し、これにより排気ガス流32からNO
xが除去される。結果として得られた排出物は、ガスタービンシステム12のスタック44を通じて大気中に放出することができる。
【0021】
アンモニア蒸発システム40は、例えば、ブロアシステム48と、1又は2以上のヒータ50(例えば電気ヒータ)と、アンモニア注入グリッド42を介して排気ガス流32に注入される気化アンモニアを供給するためのアンモニア気化器52とをさらに含むことができる。アンモニアは、ポンプシステム54を用いてタンク46からアンモニア気化器52へとポンプ輸送することができる。個々のブロア/ポンプが故障した場合にアンモニア蒸発システム40の連続動作を保証するために、ブロアシステム48は冗長ブロアを含むことができ、さらにポンプシステム54は冗長ポンプを含むことができる。
【0022】
SCRプロセスの有効性は、一部には、処理される排気ガス流32の温度に依存する。ガスタービンシステム12から発生する排気ガス流32の温度は、約1100°Fを上回る場合が多い。しかしながら、SCR触媒38は、典型的には、約900°F未満の温度で稼働させる必要がある。
【0023】
実施形態によれば、「過大(oversized)」圧縮機構成要素18を用いて、排気ガス流32の温度をSCR触媒38に適したレベルまで下げるための冷却空気をもたらすことができる。圧縮機構成要素18は、流量容量を有しており、その流量容量に基づいて吸気セクション16から空気流(周囲空気)を引き入れるように構成される。圧縮機構成要素18の流量容量は、燃焼器構成要素20及びタービン構成要素22の少なくとも一方の流量容量よりも約10%から約40%大きくすることができ、過剰の空気流を生じる。すなわち、燃焼器構成要素20及びタービン構成要素22の少なくとも一方が圧縮機構成要素18から供給される空気の全てを利用することはできず、圧縮機構成要素18によって過剰の空気流が作り出される。この過剰空気流を用いて、ガスタービンシステム12の排気ガス流32を冷却することができる。実施形態によれば、過剰空気流の少なくとも一部を供給するために、圧縮機構成要素18の圧縮機段60のうちの少なくとも1つを「過大」にすることができる。
【0024】
単一の過大圧縮機段60の使用を以下で説明するが、これは限定を意図したものではなく、他の実施形態においては更なる過大圧縮機段60を用いることができる。一般に、過大圧縮機構成要素18の少なくとも1つの過大圧縮機段60によって引き込まれる空気流の増大百分率は変更することができ、ガスタービンシステム12に対する負荷、ガスタービンシステム12に引き込まれる空気の温度、SCR触媒38における排気ガス流32の温度、等を含む幾つかの因子に基づいて選択的に制御することができる。
【0025】
図2に示すように、複数の入口ガイドベーン64を含むガイドベーン組立体62を用いて、圧縮機構成要素18に送られる空気量を制御することができる。各入口ガイドベーン64は、独立したアクチュエータ66により選択的に制御する(例えば回転させる)ことができる。種々の実施形態によるアクチュエータ66を
図2に模式的に示しているが、任意の既知のアクチュエータを利用することができる。例えば、アクチュエータ66は、電気機械式モータ、又は他の任意の型式の適切なアクチュエータを含むことができる。
【0026】
アクチュエータ66は、空気流制御装置100からのコマンドに応答して独立に及び/又は集合的に制御して、入口ガイドベーン64の位置決めを選択的に変更することができる。すなわち、入口ガイドベーン64は、アクチュエータ66によりピボット軸の周りで選択的に回転させることができる。実施形態において、各入口ガイドベーン64は、他のあらゆる入口ガイドベーン64から独立して個々にピボット運動することができる。他の実施形態において、入口ガイドベーン64のグループが、他の入口ガイドベーン64のグループとは独立してピボット運動することができる(すなわち、1つのグループ内の全ての入口ガイドベーン64が一緒に同じ量だけ回転をするように、2つ以上がグループでピボット運動する)。入口ガイドベーン64の各々に関する位置情報(例えば、電気機械式センサ又は同種のものにより検知される)を空気流制御装置100に提供することができる。
【0027】
過大圧縮機段60により供給される増大した空気流は、圧縮機構成要素18における空気圧を高めることができる。例えば、圧縮機構成要素18の流量容量がタービン構成要素22の流量容量よりも約10%から約40%大きい場合、約5インチ水柱から約15インチ水柱の対応する圧力上昇を達成することができる。この圧力上昇を用いて、圧力損失を克服すること、及び下流の排気処理システム14における冷却空気と排気ガス流32との適正な混合(後述する)を促進することができる。圧力上昇を用いて、ガスタービンシステム12を過給することもできる。
【0028】
空気抽出システム70は、圧縮機構成要素1によって引き込んだ少なくとも一部の過剰空気を、ガスタービンシステム12の燃焼器構成要素20及びタービン構成要素22を迂回して分流して、混合領域33に入れる。このガスタービンシステム12の燃焼器構成要素20及びタービン構成要素22を有効にバイパスする「バイパス空気」は、混合領域33の排気ガス流の温度をSCR触媒38に適したレベルまで下げるために利用することができる。
【0029】
図1及び
図2を参照すると、空気抽出システム70を利用して、過大圧縮機段60を使用して供給される追加空気流の少なくとも一部を抽出することができる。空気流72は、例えば1又は2以上の抽出ダクト74(
図2)を用いて抽出することができる。抽出された空気、又は「バイパス空気」(BA)は、ガスタービンシステム12には入らず、代わりに矢印BAで示されるようにバイパスダクト76を通って混合領域33に導かれ、そこでバイパス空気を用いて排気ガス流32を冷却することができる。残りの空気(すなわち、過大圧縮機段60により発生しかつ抽出ダクト74を介して抽出されなかった追加空気流の一部)は、ガスタービンシステム12の圧縮機構成要素18に入り、通常の方式でガスタービンシステム12を通って流れる。これはガスタービンシステム12を過給するように作用し、ガスタービンシステム12の効率及び出力が高くなる。
【0030】
バイパス空気は、1又は2以上のバイパスダクト76を通してタービン構成要素22の下流の混合領域33に向かって送ることができる。バイパス空気は、バイパスダクト76から出て、バイパス空気注入グリッド110(
図1)を通って混合領域33に入り、そこでバイパス空気(例えば、周囲空気)は、排気ガス流32と混合して、これをSCR触媒38との使用に適した温度まで冷却する。実施形態において、ガスタービンシステム12から発生する排気ガス流32の温度は、混合領域33でバイパス空気により約1100°Fから約900°F未満の低い温度まで冷却される。バイパス空気注入グリッド110は、例えば、バイパス空気を混合領域33に導く(例えば注入する)ための複数のノズル112又は同種のものを含むことができる。バイパス空気注入グリッド110のノズル112は、混合領域33内でのバイパス空気と排気ガス流32との混合を最大化するような方式で混合領域33の周りに分散配置することができる。バイパス空気注入グリッド110のノズル112は、所定位置に固定すること、及び/又は混合領域33へのバイパス空気の注入方向を選択的に調節するために可動にすることもできる。
【0031】
補助混合システム78(
図1)は、混合領域33の内部に配置して混合プロセスを強化することができる。補助混合システム78は、例えば、静止型混合器、バッフル、及び/又は同種のものを含むことができる。また、CO触媒36は、背圧(例えば、タービン構成要素22に向かう戻り方向の)をかけることにより、混合プロセスの改善を補助することができる。
【0032】
図2に示すように、各抽出ダクト74に入る空気流は、例えば、ダンパ82、ガイドベーン、又は空気流を選択的に制限することができるその他の装置を含む流れ制限システム80を用いて、選択的に制御することができる。各ダンパ82は、独立したアクチュエータ84により選択的に制御する(例えば回転させる)ことができる。アクチュエータ84は、電気機械式モータ、又は他のいずれかの型式の適切なアクチュエータを含むことができる。ダンパ82を、空気流制御装置100からのコマンドに応答して独立的に及び/又は集合的に制御して、所望量のバイパス空気が混合領域33の中に導かれるようにダンパ82の位置決めを選択的に変更することができる。ダンパ82の各々に関する位置情報(例えば、電気機械式センサ又は同種のものにより検知される)を空気流制御装置100に提供することができる。
【0033】
バイパス空気は、例えば1又は2以上の空気出口90内に配置された1又は2以上のダンパ88(又は空気流を選択的に制限することができる他の装置、例えばガイドベーン)を含む空気放出システム86を用いて、1又は2以上のバイパスダクト76から選択的に放出することができる。空気出口90内のダンパ88の位置は、独立したアクチュエータ92により選択的に制御する(例えば回転させる)ことができる。アクチュエータ92は、電気機械式モータ、又は他のいずれかの型式の適切なアクチュエータを含むことができる。各ダンパ88を、空気流制御装置100からのコマンドに応答して制御して、所望量のバイパス空気がバイパスダクト76から放出されることができるようにダンパ88の位置決めを選択的に変更することができる。各ダンパ88に関する位置情報(例えば、電気機械式センサ又は同種のものにより検知される)を空気流制御装置100に提供することができる。更なる空気流制御は、空気流制御装置100からのコマンドにより制御される1又は2以上の絞り弁94を通じて1又は2以上のバイパスダクト76からバイパス空気を放出することによりもたらすことができる。
【0034】
変化する動作条件下でSCR触媒38における適切な温度を維持するために、空気流制御装置100を用いて、過大圧縮機段60から発生し、バイパス空気として分流されてバイパスダクト76を通って混合領域33に入る空気の量を、ガスタービンシステム12に入る(及び排気ガス流32として出る)空気の量に対して調節することができる。ガスタービンシステム12の様々な負荷百分率における、混合領域33に入るバイパス空気流と、排気ガス流32の温度との間の例示的な関係を
図3に示す。この例において、
図3は、1)ガスタービンシステム12の様々な負荷百分率におけるガスタービンシステム12の排気ガス流32の温度変動と、2)対応する、ガスタービンシステム12の様々な負荷百分率における、SCR触媒38の温度を適切なレベル(例えば900°F)に維持するために必要なバイパス空気流の、排気ガス流32に対する百分率で表した変動と、を示す。
図3に表されるように、SCR触媒38における温度を調節するために、排気ガス流32の温度が変化する場合に、バイパスダクト76を通って混合領域33に流入するバイパス空気の流量を変更(例えば、空気流制御装置100の制御下で)することができる。
【0035】
空気流制御装置100は、ガスタービン発電システム10の動作に関連するデータ102を受け取ることができる。このようなデータは、例えば、排気ガス流32が混合領域33に入る際の温度、混合領域33内で混合/冷却が生じた後のSCR触媒38における排気ガス流32の温度、ガスタービンシステム12の過大圧縮機段60及び/又は圧縮機構成要素18により吸気セクション16に引き込まれる空気の温度、及びガスタービン発電システム10の種々の位置において得られる他の温度データを含むことができる。データ102は、例えば、吸気セクション16内で、入口ガイドベーン64で、過大圧縮機段60及び/又は圧縮機構成要素18の他の段の入口で、抽出ダクト74内で、バイパスダクト76内で、タービン構成要素22の下流側端部30で、及びガスタービン発電システム10内の種々の他の位置で得られる、空気流及び圧力のデータをさらに含むことができる。負荷データ、燃料消費データ、及びガスタービンシステム12の動作に関連する他の情報を空気流制御装置100に提供することもできる。空気流制御装置100は、入口ガイドベーン64、ダンパ82及び88、弁94、等に関連付けられる位置情報をさらに受け取ることができる。このようなデータの入手方法(例えば、適切なセンサ、フィードバックデータ等を用いる)は当業者には明らかであり、このようなデータの入手に関する更なる詳細は本明細書では示さない。
【0036】
受け取ったデータ102に基づいて、空気流制御装置100は、バイパスダクト76を通って混合領域33に流入するバイパス空気の量を必要に応じて変更して、SCR触媒38における温度を適切なレベルに維持するように構成される。これは、例えば、ガスタービンシステム12の圧縮機構成要素18によって吸気セクション16へ引き込まれる空気流(この流れは、例えば、1又は2以上の入口ガイドベーン64の位置を調節することにより制御することができる)、抽出ダクト74へ流入する空気流72(この流れは、例えば、1又は2以上のダンパ82の位置を調節することにより制御することができる)、及び抽出ダクト74からバイパスダクト76を通って混合領域33に流入するバイパス空気流(この流れは、例えば、1又は2以上のダンパ88の位置及び/又は絞り弁94の動作状態を調節することにより制御することができる)のうち、少なくとも1つを変更することにより達成することができる。
【0037】
空気流制御装置100は、バイパスダクト76を通って混合領域33に流入するバイパス空気の量を例えばデータ102及び/又は操作者からの命令を用いて制御するように構成されたプログラムコードを実行する少なくとも1つのプロセッサを有する、コンピュータシステムを含むことができる。空気流制御装置100により生成されるコマンドを用いて、ガスタービン発電システム10の種々の構成要素(例えば、アクチュエータ66、84、92、弁94及び/又は同種のもの)の動作を制御することができる。例えば、空気流制御装置100により生成されるコマンドを用いて、アクチュエータ66、84及び92の動作を制御して、入口ガイドベーン64、ダンパ82及びダンパ88の回転位置をそれぞれ制御することができる。空気流制御装置100により生成されるコマンドを用いて、ガスタービン発電システム10のその他の制御設定を有効にすることもできる。
【0038】
従来の大型外部ブロアシステム及び/又は他の従来の冷却構造体の代わりに、圧縮機構成要素18における過大圧縮機段60及び空気抽出システム70を使用することは、多くの利点をもたらす。例えば、冗長外部ブロアシステム及び付随する構成要素(例えば、ブロア、モータ、及び関連の吸気構造、フィルタ、ダクト、等)の必要性が排除される。このことは、ガスタービン発電システム10の製造及び運用コスト、並びに全体の設置面積を削減する。設置面積は、圧縮機構成要素18の過大圧縮機段60が、外部ブロアシステムと共に用いられる場合が多い独立した専用吸気構造ではなく既存の吸気セクション16を通じて空気を引き入れるので、さらに削減される。
【0039】
過大圧縮機段60の使用は、より信頼性の高い効率的なガスタービン発電システム10を提供する。例えば、混合領域33の冷却のために用いられるバイパス空気は、圧縮機構成要素18の過大圧縮機段60により引き込まれるので、大型外部ブロアシステムはもはや必要とされない。さらに、過大圧縮機段60から発生する過剰空気流の少なくとも一部を用いてガスタービンシステム12を過給することができる。
【0040】
ガスタービン発電システム10の所要動力は、過大圧縮機段60がガスタービンシステム12のシャフト24に結合されてこれにより駆動されるので、低減される。この構成は、従来の外部ブロアシステムに一般に使用される大型ブロアモータの必要性を排除する。
【0041】
種々の実施形態において、互いに「結合している」と記述された構成要素は、1又は2以上の界面に沿って接合することができる。幾つかの実施形態において、これらの界面は、異なる構成要素間の接合部を含むことができ、他の場合には、これらの界面は、強固に及び/又は一体に形成された相互接続を含むことができる。すなわち、幾つかの場合には、互いに「結合した」構成要素は、同時に形成されて単一の連続部材を定めることができる。しかしながら、他の実施形態において、これらの結合した構成要素は、別個の部材として形成され、その後、既知のプロセス(例えば、締結、超音波溶接、ボンディング)により接合することができる。
【0042】
ある要素又は層が、別の要素の「上にある」、別の要素に「係合する」、「接続する」又は「結合する」と言及される場合、これは、直接、他の要素の上にある、他の要素に直接係合する、直接接続する又は直接結合する場合もあり、又は介在する要素が存在する場合もある。対照的に、ある要素が他の要素の「直接、上にある」、他の要素に「直接係合する」、「直接接続する」又は「直接結合する」と言及される場合、介在する要素又は層は存在し得ない。要素間の関係を説明する他の語も同様の仕方で解釈すべきである(例えば、「間」と「直接的な間」、「隣接」と「直接的な隣接」等、)。本明細書において用いる場合、「及び/又は」という用語は、1又は2以上の関連する列挙要素のいずれかの及び全ての組合せを含む。
【0043】
本明細書で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、本開示を限定するものではない。本明細書で使用される場合、単数形態は、前後関係から明らかに別の意味を示さない限り複数形態も含む。さらに、本明細書内で使用する場合に、用語「備える」及び/又は「備えている」という用語は、そこに述べた特徴部、完全体、ステップ、動作、要素及び/又は構成部品の存在を明示しているが、1又は2以上の他の特徴部、完全体、ステップ、動作、要素、構成部品及び/又はそれらの群の存在又は付加を排除するものではないことは理解されるであろう。
【0044】
本明細書は、最良の形態を含む実施例を用いて本発明を開示し、また、当業者が、任意の装置又はシステムを作成すること及び使用すること並びに任意の組み込まれた方法を行うことを含めて、本開示を実施することを可能にする。本発明の特許保護される範囲は、請求項によって定義され、当業者であれば想起される他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、請求項の文言と差違のない構造要素を有する場合、あるいは、請求項の文言と僅かな差違を有する均等な構造要素を含む場合には、本発明の範囲内にあるものとする。