(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
油脂を含有するマヨネーズ様食品であって、該油脂が、以下の条件(a)〜(i)を満たす油脂組成物を1〜15質量%、以下の条件(j)を満たす液状油を80〜99質量%含有するマヨネーズ様食品。
(a)全構成脂肪酸に占める炭素数12以下の脂肪酸含有量が18〜29質量%である。
(b)全構成脂肪酸に占めるパルミチン酸含有量が25〜40質量%である。
(c)全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含有量が6〜18質量%である。
(d)全構成脂肪酸に占める不飽和脂肪酸含有量が18〜27質量%である。
(e)全構成脂肪酸に占める炭素数20以上の脂肪酸含有量が1質量%以下である。
(f)全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含有量に対するラウリン酸含有量(ラウリン酸含有量/ステアリン酸含有量)が、1.4〜3.0である。
(g)全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含有量に対するパルミチン酸含有量(パルミチン酸含有量/ステアリン酸含有量)が、2.0〜3.5である。
(h)全トリグリセリドに占めるC42〜48トリグリセリド(構成する脂肪酸残基の総炭素数が42〜48であるトリグリセリド)含有量が45〜60質量%である。
(i)全構成脂肪酸に占めるトランス脂肪酸含有量が1質量%以下である。
(j)全構成脂肪酸に占める不飽和脂肪酸含有量が70質量%以上である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品は、油脂を含有するマヨネーズ様食品であって、該油脂が、以下の条件(a)〜(i)を満たす油脂組成物を1〜15質量%、以下の条件(j)を満たす液状油を80〜99質量%含有することを特徴とする。
(a)全構成脂肪酸に占める炭素数12以下の脂肪酸含有量が15〜33質量%である。
(b)全構成脂肪酸に占めるパルミチン酸含有量が20〜45質量%である。
(c)全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含有量が4〜22質量%である。
(d)全構成脂肪酸に占める不飽和脂肪酸含有量が13〜30質量%である。
(e)全構成脂肪酸に占める炭素数20以上の脂肪酸含有量が2質量%以下である。
(f)全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含有量に対するラウリン酸含有量(ラウリン酸含有量/ステアリン酸含有量)が、1.2〜5.0である。
(g)全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含有量に対するパルミチン酸含有量(パルミチン酸含有量/ステアリン酸含有量)が、1.6〜5.0である。
(h)全トリグリセリドに占めるC42〜48トリグリセリド(構成する脂肪酸残基の総炭素数が42〜48であるトリグリセリド)含有量が40〜65質量%である。
(i)全構成脂肪酸に占めるトランス脂肪酸含有量が5質量%以下である。
(j)全構成脂肪酸に占める不飽和脂肪酸含有量が70質量%以上である。
【0013】
本発明において、マヨネーズ様食品とは、水中油型に乳化した半固形状の調味料又は水中油型に乳化した液状の調味料のことであって、具体的には、マヨネーズ、マヨネーズタイプの調味料(サラダクリーミードレッシング、半固体状ドレッシング)、タルタルソース、サラダ用調味料、乳化液状ドレッシングのことである。
本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品は、好ましくは水中油型に乳化した半固形状の調味料である。
【0014】
本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品は、マヨネーズ様食品に含まれる油脂が、以下の条件(a)〜(i)を満たす油脂組成物(以下、条件(a)〜(i)を満たす油脂組成物は、油脂組成物Aとする。)を1〜15質量%含有する。
(a)全構成脂肪酸に占める炭素数12以下の脂肪酸含有量が15〜33質量%である。
(b)全構成脂肪酸に占めるパルミチン酸含有量が20〜45質量%である。
(c)全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含有量が4〜22質量%である。
(d)全構成脂肪酸に占める不飽和脂肪酸含有量が13〜30質量%である。
(e)全構成脂肪酸に占める炭素数20以上の脂肪酸含有量が2質量%以下である。
(f)全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含有量に対するラウリン酸含有量(ラウリン酸含有量/ステアリン酸含有量)が、1.2〜5.0である。
(g)全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含有量に対するパルミチン酸含有量(パルミチン酸含有量/ステアリン酸含有量)が、1.6〜5.0である。
(h)全トリグリセリドに占めるC42〜48トリグリセリド(構成する脂肪酸残基の総炭素数が42〜48であるトリグリセリド)含有量が40〜65質量%である。
(i)全構成脂肪酸に占めるトランス脂肪酸含有量が5質量%以下である。
【0015】
本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品の製造に使用される油脂組成物Aは、全構成脂肪酸に占める炭素数12以下の脂肪酸含有量が15〜33質量%である(条件(a))。また、全構成脂肪酸に占める炭素数12以下の脂肪酸含有量は、好ましくは15〜31質量%であり、より好ましくは18〜29質量%である。なお、本発明において、炭素数12以下の脂肪酸は、炭素数が8〜12である。
【0016】
本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品の製造に使用される油脂組成物Aは、全構成脂肪酸に占めるパルミチン酸含有量が20〜45質量%である(条件(b))。また、全構成脂肪酸に占めるパルミチン酸含有量は、好ましくは23〜43質量%であり、より好ましくは25〜40質量%である。
【0017】
本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品の製造に使用される油脂組成物Aは、全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含有量が4〜22質量%である(条件(c))。また、全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含有量は、好ましくは5〜20質量%であり、より好ましくは6〜18質量%である。
【0018】
本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品の製造に使用される油脂組成物Aは、全構成脂肪酸に占める不飽和脂肪酸含有量が13〜30質量%である(条件(d))。全構成脂肪酸に占める不飽和脂肪酸含有量は、好ましくは16〜28質量%であり、より好ましくは18〜27質量%である。なお、本発明において、不飽和脂肪酸は、炭素数が16〜24である。
【0019】
本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品の製造に使用される油脂組成物Aは、全構成脂肪酸に占める炭素数20以上の脂肪酸含有量が2質量%以下である(条件(e))。全構成脂肪酸に占める炭素数20以上の脂肪酸含有量は、より好ましくは1.5質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下である。なお、本発明において、炭素数20以上の脂肪酸は、炭素数が20〜24である。
【0020】
本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品の製造に使用される油脂組成物Aは、全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含有量に対するラウリン酸含有量(ラウリン酸含有量/ステアリン酸含有量)が、1.2〜5.0である(条件(f))。全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含有量に対するラウリン酸含有量は、好ましくは1.3〜4.0であり、より好ましくは1.4〜3.0である。
【0021】
本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品の製造に使用される油脂組成物Aは、全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含有量に対するパルミチン酸含有量(パルミチン酸含有量/ステアリン酸含有量)が、1.6〜5.0である(条件(g))。全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含有量に対するパルミチン酸含有量は、好ましくは1.8〜4.0であり、より好ましくは2.0〜3.5である。
【0022】
本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品の製造に使用される油脂組成物Aは、全トリグリセリドに占めるC42〜C48トリグリセリド含有量が40〜65質量%である(条件(h))。C42〜C48トリグリセリド含有量は、好ましくは43〜63質量%であり、より好ましくは45〜60質量%である。C42〜C48トリグリセリドを構成する脂肪酸は、好ましくは炭素数8〜24の脂肪酸である。なお、本発明において、C42〜C48トリグリセリドは、構成する脂肪酸残基の総炭素数が42〜48であるトリグリセリドのことである。また、本発明において、C42〜C48トリグリセリドは、C42〜C48TAGと記載することがある。
【0023】
本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品の製造に使用される油脂組成物Aは、全構成脂肪酸に占めるトランス脂肪酸含有量が5質量%以下である(条件(i))。全構成脂肪酸に占めるトランス脂肪酸含有量は、好ましくは3質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下である。
【0024】
本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品は、マヨネーズ様食品に含まれる油脂が、油脂組成物Aを1〜15質量%含有し、好ましくは2〜13質量%含有し、より好ましくは3〜7質量%含有する。
【0025】
本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品が、前記油脂組成物Aを前記範囲で含有すると、冷凍耐性を有するマヨネーズ様食品が得られる。なお、本発明において、冷凍耐性とは、冷凍及び解凍後の乳化安定性が良く、油の分離が起こりにくいことである。
【0026】
本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品の製造に使用される油脂組成物Aは、全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含有量に対する不飽和脂肪酸含有量(不飽和脂肪酸含有量/ステアリン酸含有量)が、好ましくは5.0以下である。全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含有量に対する不飽和脂肪酸含有量は、より好ましくは1.0〜4.0であり、さらに好ましくは1.2〜3.0である。
【0027】
油脂の脂肪酸の分析は、AOCS Ce1f−96に準じて、ガスクロマトグラフィー法で測定することができる。
油脂のトリグリセリドの分析は、AOCS Ce5−86に準じて、ガスクロマトグラフィー法で測定することができる。
【0028】
本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品の製造に使用される油脂組成物Aは、上記条件を満たす限り、原料油脂として、どのような食用油脂を使用してもよい。油脂組成物の原料油脂としては、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、胡麻油、ココアバター、シア脂、サル脂、パーム油、パーム核油、ヤシ油、牛脂、豚脂、乳脂、魚油、鯨油等の各種の植物油脂及び動物油脂、並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択された一又は二以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。本発明の実施の形態に係る油脂組成物は、上記食用油脂を一種以上組み合せて原料油脂として使用してもよい。
【0029】
本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品の製造に使用される油脂組成物Aは、好ましくはエステル交換油脂であり、より好ましくはラウリン系油脂と非ラウリン系油脂との混合油脂のエステル交換油脂であり、さらに好ましくはラウリン系油脂と非ラウリン系油脂との混合油脂のランダムエステル交換油脂である。
【0030】
上記ラウリン系油脂とは、油脂を構成する脂肪酸のうちラウリン酸が30質量%以上の油脂であり、例えば、ヤシ油、パーム核油、これらを分別して得られるパーム核オレイン、パーム核ステアリン等の分別油、これらをエステル交換した油脂、及びこれらの硬化油(例えば、パーム核極度硬化油、パーム核オレイン極度硬化油)等が挙げられる。本実施の形態においては、これらから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
【0031】
上記非ラウリン系油脂とは、油脂を構成する脂肪酸のうち炭素数16以上の脂肪酸が90質量%を超える油脂であり、具体的には、菜種油、大豆油、コーン油、紅花油、綿実油、ヒマワリ油、ココアバター、シア脂、サル脂、パーム油等、並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択された一又は二以上の処理を施した加工油脂を例示することができる。本実施の形態においては、これらから選ばれる1種又は2種以上を混合して用いることができる。
【0032】
非ラウリン系油脂は、好ましくはパーム系油脂である。上記パーム系油脂としては、パーム油及びパーム分別油等のパーム油の加工油脂であれば何れも使用することができる。具体的には、(1)パーム油の1段分別油であるパームオレイン及びパームステアリン、(2)パームオレインを分別した分別油(2段分別油)であるパームオレイン(パームスーパーオレイン)及びパーム中融点部(パームミッドフラクション(PMF))、(3)パームステアリンを分別した分別油(2段分別油)であるパームオレイン(ソフトパーム)及びパームステアリン(ハードステアリン)、(3)パームオレイン又はパームステアリンを分別した分別油(2段分別油)であるパーム中融点部等が例示できる。パーム系油脂としては、好ましくはパームステアリン(ヨウ素価5〜40、好ましくは15〜35)、パーム中融点部(ヨウ素価40〜50)である。パーム系油脂としては、1種又は2種以上のパーム系油脂を混合して使用してもよい。
油脂のヨウ素価は、「基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会編)」の「2.3.4.1−1996 ヨウ素価(ウィイス−シクロヘキサン法)」に準じて測定することができる。
【0033】
上記、ラウリン系油脂と非ラウリン系油脂との混合油脂の混合比(ラウリン系油脂:非ラウリン系油脂)は、好ましくは質量比35:65〜65:35であり、より好ましくは質量比40:60〜60:40であり、さらに好ましくは質量比45:55〜55:45である。
【0034】
本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品の製造に使用される油脂組成物Aがエステル交換油脂である場合のエステル交換の方法は、特に制限はなく、通常の方法により行うことができ、ナトリウムメトキシド等の合成触媒を使用した化学的エステル交換、リパーゼを触媒とした酵素的エステル交換のどちらの方法でも行うことができる。
【0035】
化学的エステル交換によるエステル交換反応は、位置特異性の乏しい反応であり、ランダムエステル交換反応となる。
化学的エステル交換は、例えば、原料油脂を十分に乾燥させ、ナトリウムメトキシドを原料油脂に対して0.1〜1質量%添加した後、減圧下、80〜120℃で0.5〜1時間攪拌しながら反応を行うことができる。エステル交換反応終了後は、水洗等により触媒を除去した後、通常の食用油脂の精製工程で行われる脱色・脱臭処理を施すことができる。
【0036】
酵素的エステル交換は、1,3位特異性の高いエステル交換反応、又は、ランダムエステル交換反応(位置特異性の乏しいエステル交換反応)のどちらでも行うことができる。1,3位特異性の高いエステル交換反応を行うことのできるリパーゼ製剤としては、リゾプスオリザエ由来及び/又はリゾプスデルマ由来(例えば、国際公開第2009/031679号に記載)や、リゾムコールミーハイ由来の固定化リパーゼ(ノボザイムズ社製のリポザイムTLIM、リポザイムRMIM等)等が挙げられる。ランダムエステル交換反応を行うことのできるリパーゼ製剤としては、アルカリゲネス属由来リパーゼ(例えば、名糖産業株式会社製のリパーゼQLM、リパーゼPL等)、キャンディダ属由来リパーゼ(例えば、名糖産業株式会社製のリパーゼOF等)等が挙げられる。
【0037】
酵素的エステル交換は、例えば、リパーゼ粉末又は固定化リパーゼを原料油脂に対して0.02〜10質量%、好ましくは0.04〜5質量%添加した後、40〜80℃、好ましくは40〜70℃で0.5〜48時間、好ましくは0.5〜24時間攪拌しながら反応を行うことができる。エステル交換反応終了後は、濾過等により触媒を除去した後、通常の食用油脂の精製工程で行われる脱色・脱臭処理を施すことができる。
【0038】
本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品の製造に使用される油脂組成物Aは、固体脂含量(以下、SFCとする。)が好ましくは10℃で55〜75%、20℃で35〜55%、30℃で15〜35%、35℃で20%以下であり、より好ましくは10℃で60〜72%、20℃で40〜53%、30℃で20〜30%、35℃で15%以下であり、さらに好ましくは10℃で63〜70%、20℃で43〜51%、30℃で22〜28%、35℃で13%以下である。
油脂のSFCは社団法人 日本油化学会編、「基準油脂分析試験法」の2.2.9−2003 固体脂含量(NMR法)に準じて測定することができる。
【0039】
本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品は、マヨネーズ様食品に含まれる油脂が、以下の条件(j)を満たす液状油(以下、条件(j)を満たす液状油は、液状油Bとする。)を80〜99質量%含有する。
(j)全構成脂肪酸に占める不飽和脂肪酸含有量が70質量%以上である。
【0040】
本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品の製造に使用される液状油Bは、全構成脂肪酸に占める不飽和脂肪酸含有量が70質量%以上である(条件(j))。全構成脂肪酸に占める不飽和脂肪酸含有量は、好ましくは75質量%以上であり、より好ましくは80〜95質量%である。なお、本発明において、液状油とは、5℃で液状の油脂のことである。
【0041】
本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品の製造に使用される液状油Bは、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、ハイオレイン種ひまわり油、ハイリノール種ひまわり油、ハイオレイン種サフラワー油、ハイリノール種サフラワー油、綿実油、米油、オリーブ油、落花生油、亜麻仁油や、エステル交換、分別、水素添加等によりこれらが加工処理された油脂等を使用することができる。本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品の製造に使用される液状油Bは、1種又は2種以上を使用することができる。本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品の製造に使用される液状油Bは、好ましくは大豆油、ハイリノール種サフラワー油である。
【0042】
本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品は、マヨネーズ様食品に含まれる油脂が、液状油Bを80〜99質量%含有し、好ましくは85〜98質量%含有し、より好ましくは87〜97質量%含有する。
【0043】
本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品が、前記液状油Bを前記範囲で含有すると、冷凍耐性を有するマヨネーズ様食品が得られる。
【0044】
本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品は、油脂を好ましくは5〜85質量%含有し、より好ましくは10〜80質量%含有し、更に好ましくは50〜80質量%含有する。通常、マヨネーズ様食品は、油脂含有量が多いほど、乳化安定性が悪い。そのため、通常、マヨネーズ様食品の油脂含有量の高いと、冷凍耐性を有するマヨネーズ様食品はより得られにくい。しかしながら、本発明によると、油脂含有量が高くても、冷凍耐性を有するマヨネーズ様食品を提供することができる。
【0045】
本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品は、好ましくは食酢又はかんきつ類の果汁を含有する。
【0046】
本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品の製造に使用される食酢は、例えば、穀物酢(米酢、米黒酢、大麦黒酢等)、果実酢(りんご酢、ぶどう酢等)等の醸造酢、合成酢等を使用することができる。本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品の製造に使用される食酢は、1種又は2種以上を使用することができる。
【0047】
本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品の製造に使用されるかんきつ類の果汁は、例えば、レモン果汁、オレンジ果汁、かぼす果汁、ゆず果汁等を使用することができる。本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品の製造に使用されるかんきつ類の果汁は、1種又は2種以上を使用することができる。
【0048】
本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品の食酢又はかんきつ類の果汁の配合量は、食酢又はかんきつ類の果汁の酸度によって異なるため、特に制限されることはない。本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品は、マヨネーズ様食品の酸度が好ましくは0.3〜4質量%、より好ましくは0.4〜3質量%、更に好ましくは0.5〜2質量%となるように、食酢又はかんきつ類の果汁をマヨネーズ様食品に配合する。
【0049】
本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品は、粘度が好ましくは30Pa・s以上であり、より好ましくは70〜300Pa・sであり、更に好ましくは100〜200Pa・sである。なお、本発明において、粘度とは、BH型粘度計で20℃の試料を測定した時の値である。
【0050】
本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品は、油脂、食酢、かんきつ類の果汁以外に、通常マヨネーズ様食品の製造に使用されている原料を配合することができる。通常マヨネーズ様食品の製造に使用されている原料としては、例えば、食塩、砂糖類、香辛料、全卵、卵黄、卵白、たん白加水分解物、はつみつ、調味料(アミノ酸等)、酸味料、香辛料抽出物、でん粉、加工でん粉、糊料、着色料、乳化剤、ピクルス、野菜片等が挙げられる。
【0051】
本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品は、従来公知のマヨネーズ様食品の製造方法により製造することができる。例えば、油相と水相を別々に調製した後、水相に油相を添加して乳化することで、本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品を製造することができる。
【0052】
本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品は、冷凍耐性を有する。特に、本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品は、―20℃での冷凍耐性を有する。従って、本発明の実施の形態に係るマヨネーズ様食品は、冷凍された後に解凍して使用されるマヨネーズ様食品に適している。冷凍された後に解凍して使用されるマヨネーズ様食品の具体例は、冷凍食品の調理に使用されるマヨネーズ様食品、冷凍品で流通する弁当に付けられるマヨネーズ様食品等である。
【実施例】
【0053】
次に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
〔油脂の脂肪酸分析方法〕
油脂の脂肪酸の分析は、AOCS Ce1f−96に準じて、ガスクロマトグラフィー法で測定した。
〔油脂のトリグリセリド分析方法〕
油脂のトリグリセリドの分析は、AOCS Ce5−86に準じて、ガスクロマトグラフィー法で測定した。
〔油脂のSFC測定方法〕
油脂のSFCは、社団法人 日本油化学会編、「基準油脂分析試験法」の2.2.9−2003 固体脂含量(NMR法)に準じて測定した。
〔油脂のヨウ素価測定方法〕
油脂のヨウ素価は、「基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会編)」の「2.3.4.1−1996 ヨウ素価(ウィイス−シクロヘキサン法)」に準じて測定した。
【0054】
〔油脂組成物Aの製造〕
パームステアリン(沃素価32、炭素数16以上の脂肪酸含量98.4質量%)15質量部とパーム中融点部(沃素価45、炭素数16以上の脂肪酸含量98.8質量%)35質量部とパーム核油の極度硬化油(ラウリン酸含有量48.4質量%)50質量部を混合した。得られた混合油を、ランダムエステル交換反応を行うことにより、油脂組成物Aを得た。
エステル交換反応は、常法に従い、原料油脂を十分に乾燥させ、ナトリウムメトキシドを原料油脂に対して0.2質量%添加した後、減圧下、120℃で0.5時間攪拌しながら反応を行った。反応は50質量%のクエン酸水溶液を添加して中和することで終了し、その後等量の熱湯で3回洗浄して脱水乾燥し、常法により脱色、脱臭して油脂組成物Aとした。
油脂組成物Aは、炭素数12以下の脂肪酸含有量が26.2質量%、パルミチン酸含有量が31.2質量%、ステアリン酸含有量が13.1質量%、不飽和脂肪酸含有量が20.6質量%、炭素数20以上の脂肪酸含有量が0.5質量%、ステアリン酸含有量に対するラウリン酸含有量が1.70、ステアリン酸含有量に対するパルミチン酸含有量が2.39、C42〜48トリグリセリド含有量が54.4質量%、トランス脂肪酸含有量が0.2質量%、ステアリン酸含有量に対する不飽和脂肪酸含有量が1.58であった。また、油脂組成物Aは、SFCが10℃で66.1%、20℃で47.2%、30℃で25.7%、35℃で11.3%であった。
【0055】
〔液状油B〕
液状油Bとして、以下のものを使用した。
大豆油(不飽和脂肪酸含有量:84.3質量%、5℃での性状:液状)
ハイリノール種サフラワー油(不飽和脂肪酸含有量89.8質量%、5℃で液状)
【0056】
〔マヨネーズ様食品の製造〕
製造した油脂組成物A、前記液状油Bを使用し、表1〜表2に示した配合で、マヨネーズ様食品を製造した。マヨネーズ様食品は、下記製造手順の1〜3に従って、製造した。得られたマヨネーズ様食品の20℃での粘度をBH型粘度計で測定した。粘度の測定結果を表1〜2に示した。
【0057】
<マヨネーズ様食品の製造手順>
1.製造容器に卵黄、食酢、食塩、マスタードを投入し、10秒間撹拌する。
2.撹拌しながら1分30秒間かけて油を投入する。
3.そのまま1分間撹拌することで乳化させる。
【0058】
〔マヨネーズ様食品の冷凍耐性の評価〕
下記評価手順の1〜4に従って、得られたマヨネーズ様食品の冷凍耐性を評価した。冷凍耐性は、下記評価基準により評価した。評価は、◎又は○の場合を合格とした。評価結果を表1〜表2に示した。
【0059】
<冷凍耐性の評価手順>
1.マヨネーズ様食品を100mLのガラスバイアルビンに入れる。
2.マヨネーズ様食品が入ったガラスバイアルビンを−20℃の冷凍庫に入れ、1週間
保存する。
3.マヨネーズ様食品が入ったガラスバイアルビンを20℃の恒温槽へ移し、解凍する。
4.目視にて油の分離の有無を確認する。
【0060】
<冷凍耐性の評価基準>
◎:油の分離がみられない
○:油の分離がほとんどみられない
×:油が分離している
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
表1〜表2から分かるように、実施例のマヨネーズ様食品は、−20℃での冷凍耐性を有していた。
一方、表1〜表2から分かるように、比較例のマヨネーズ様食品は、−20℃での冷凍耐性がなかった。