(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記設定条件決定部は、前記超音波走査により生成される超音波画像上に、前記設定条件として求めた前記超音波走査のフォーカス位置を示す印を配置して、前記表示部に表示させる、請求項2に記載の医用画像処理装置。
前記設定条件決定部は、前記設定条件として、更に、前記注目領域の大きさに応じた観察対象領域を示す印の大きさを求め、超音波走査により生成される超音波画像上に、前記設定条件として求めた観察対象領域を示す印を配置して、前記表示部に表示させる、請求項1〜3のいずれか一つに記載の医用画像処理装置。
前記設定条件決定部は、前記設定条件として、更に、前記乳房の大きさに応じた位置に超音波走査により生成される超音波画像の表示深度を求める、請求項1〜3のいずれか一つに記載の医用画像処理装置。
前記設定条件決定部は、前記乳房の複数の領域のうち、前記注目領域の位置の情報に対応する領域のみを前記超音波走査の走査領域に設定する、請求項1〜6のいずれか一つに記載の医用画像処理装置。
前記設定条件決定部は、前記乳房の複数の領域のうち、前記注目領域の位置の情報に対応する領域に対して、前記走査順序の優先度を高く設定する、請求項1〜6のいずれか一つに記載の医用画像処理装置。
前記設定条件決定部は、前記走査順序を示した情報として、走査前の領域と、走査中の領域と、走査終了後の領域とを異なる形態で前記模式図上に示した情報を前記表示部に表示させる、請求項1〜6のいずれか一つに記載の医用画像処理装置。
前記設定条件決定部は、前記超音波プローブを当接する位置と乳頭との距離を示す情報を前記超音波走査用の模式図上に更に配置する、請求項10に記載の医用画像処理装置。
前記設定条件決定部は、前記乳房の複数の領域のうち、前記注目領域の位置の情報に対応する領域のみを前記超音波走査の走査領域に設定する、請求項12に記載の医用画像処理装置。
前記設定条件決定部は、走査前の領域と、走査中の領域と、走査終了後の領域とを異なる形態で示した走査順序を、前記超音波走査時に参照される表示部に表示させる、請求項12に記載の医用画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、実施形態に係る医用画像処理装置及び超音波診断装置を説明する。なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。また、一つの実施形態に記載した内容は、原則として他の実施形態にも同様に適用される。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る医用情報処理システムの構成例を示す図である。本実施形態に係る医用情報処理システムは、乳がん検診が行われる施設に設置され、マンモグラフィ画像と超音波画像とを併用した乳腺画像診断に利用される。例えば、
図1に示すように、本実施形態に係る医用情報処理システム1は、院内サーバ装置10と、マンモグラフィ装置20と、画像処理装置30と、読影結果保管装置40と、超音波診断装置100とを有する。各装置は、ネットワーク50を介して相互に接続され、マンモグラフィ装置20や超音波診断装置100によって撮像された画像などを相互に送受信する。
【0009】
院内サーバ装置10は、医療情報システムを管理する。医療情報システムは、院内で利用される情報システムであり、例えば、電子カルテシステム、レセプト電算処理システム、オーダリングシステム、受付(個人、資格認証)システム、診療支援システムなどが挙げられる。一例をあげると、院内サーバ装置10は、健診の予約を受け付ける。例えば、院内サーバ装置10は、健診を受ける患者の患者情報や検査種別などの入力を受付ける。そして、院内サーバ装置10は、各検査で使用される各装置に検査予約を登録する。これにより、マンモグラフィ装置20や超音波診断装置100において、予約された検査が実行される。
【0010】
マンモグラフィ装置20は、被検体の乳房にX線を照射し、乳房を透過したX線を検出してマンモグラフィ画像を生成する。
【0011】
画像処理装置30は、マンモグラフィ装置20によって生成されたマンモグラフィ画像や、超音波診断装置100によって生成された超音波画像などを処理する。この画像処理装置30は、主に、マンモグラフィ検査の技師によってマンモグラフィ検査が行われる際に利用される。また、画像処理装置30は、マンモグラフィ検査の技師からマンモグラフィ画像に関する所見の入力を受け付け、受け付けた所見を示す情報を所見情報として記憶する。例えば、画像処理装置30は、画像保管サーバやワークステーションなどであり、医用画像処理装置の一例である。
【0012】
図2は、第1の実施形態に係る画像処理装置30の構成例を示す図である。
図2に示すように、画像処理装置30は、入力装置31と、ディスプレイ32と、通信制御インターフェース33と、記憶回路34と、処理回路35とを有する。
【0013】
入力装置31は、操作者から各種操作や各種情報の入力を受け付ける。例えば、入力装置31は、キーボードやマウス、ボタン、トラックボール、タッチパネルなどである。
【0014】
ディスプレイ32は、操作者から各種操作を受け付けるためのGUIや各種画像を表示する。例えば、ディスプレイ32は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、タッチパネルなどである。
【0015】
通信制御インターフェース33は、ネットワーク50を介して他の装置との間で行われる通信を制御する。例えば、通信制御インターフェース33は、ネットワークカードやネットワークアダプタであり、Ethernet(登録商標)のLANを介してネットワーク50に接続することで、他の装置との間で通信を行う。また、例えば、通信制御インターフェース33は、無線LANを介してネットワーク50に接続することで、他の装置との間で無線通信を行う。
【0016】
記憶回路34は、画像データ34a、所見情報34b、及び患者情報34cなどの各種データや画像処理及び表示処理を行うための制御プログラム34dを記憶する記憶装置である。また、記憶回路34に記憶されるデータは、図示しないインターフェースを介して、外部装置へ転送することができる。
【0017】
記憶回路34が記憶する各種データについて説明する。例えば、記憶回路34は、画像データ34aとして、被検体の乳房を撮像したマンモグラフィ画像と、当該マンモグラフィ画像の撮影方向を示す情報とを記憶する。具体的には、記憶回路34は、マンモグラフィ画像と撮影方向を示す情報とを、画像ごとに関連付けて記憶する。この記憶回路34には、後述する画像データ取得機能35aによってマンモグラフィ画像と撮影方向を示す情報とが格納される。
【0018】
より具体的には、記憶回路34は、MLO(Mediolateral-Oblique:内外斜位)方向のマンモグラフィ画像(MLO画像)と、CC(Cranio-Caudal:頭尾)方向のマンモグラフィ画像(CC画像)とを記憶する。また、ここでいう撮影方向を示す情報は、例えば、マンモグラフィ装置の装置座標系で表される位置情報であり、マンモグラフィ装置によってマンモグラフィ画像が生成された際に付帯情報として各画像に付与される。
【0019】
また、例えば、記憶回路34は、被検体のマンモグラフィ画像に関する所見情報34bを記憶する。この記憶回路34には、後述する所見情報作成機能35bによって所見情報が格納される。一例をあげると、記憶回路34は、所見情報34bとして、「乳房領域情報(ブレストの大きさ)」と、「体表からROIまでの距離」と、「腫瘤の大きさ・形状」とを対応付けた情報を記憶する。
【0020】
図3及び
図4を用いて所見情報34bについて説明する。
図3及び
図4は、第1の実施形態に係る所見情報34bを説明するための図である。
図3では、患者Aの所見情報34bを説明し、
図4では、患者Bの所見情報34bを説明する。
【0021】
ここで、所見情報34bとして記憶される「乳房領域情報」は、ブレストの大きさを示す。例えば、「乳房領域情報」として「L」、「M」、「S」などの値が記憶される。
図3に示す例では、「乳房領域情報」は、「L」であり、
図4に示す例では、「乳房領域情報」は、「S」である。
【0022】
また、所見情報34bとして記憶される「体表からROIまでの距離」は、マンモグラフィ画像において設定された関心領域(ROI:Region Of Interest)とマンモグラフィ画像における体表との距離を示す。
図3に示す例では、「体表からROIまでの距離」は、「4cm」であり、
図4に示す例では、「体表からROIまでの距離」は、「1cm」である。なお、ROIは、後述する領域設定機能35dによって設定される。
【0023】
また、所見情報34bとして記憶される「腫瘤の大きさ・形状」は、マンモグラフィ画像において検出された病変部の候補領域の大きさや形状を示す。
図3に示す例では、「腫瘤の大きさ・形状」は、「5mm」であり、
図4に示す例では、「腫瘤の大きさ・形状」は、「2.5mm」である。なお、ROIは、後述する領域設定機能35dによって設定される。なお、腫瘤の大きさは、例えば、後述する所見情報作成機能35b又はコンピュータ支援診断(Computer Aided Diagnosis:CAD)の機能を用いることにより領域設定機能35dによって設定される。なお、所見情報34bとして、乳頭から腫瘤などの関心領域までの距離が記憶されてもよい。
【0024】
また、例えば、記憶回路34は、患者を一意に識別可能な患者情報34cを記憶する。例えば、患者情報には、患者ID(Identifier)、氏名、年齢、受信歴などが含まれる。
【0025】
処理回路35は、画像処理装置30の動作を制御する。処理回路35は、
図2に示すように、画像データ取得機能35aと、所見情報作成機能35bと、表示制御機能35cと、領域設定機能35dと、位置特定機能35eと、送信機能35fとを実行する。ここで、例えば、
図2に示す処理回路35の構成要素である画像データ取得機能35aと、所見情報作成機能35bと、表示制御機能35cと、領域設定機能35dと、位置特定機能35eと、送信機能35fが実行する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路34に記録されている。処理回路35は、各プログラムを記憶回路34から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路35は、
図2の処理回路35内に示された各機能を有することとなる。
【0026】
画像データ取得機能35aは、被検体の乳房を撮像したマンモグラフィ画像と、当該マンモグラフィ画像の撮影方向を示す情報とを取得する。なお、画像データ取得機能35aは、被検体の左右それぞれの乳房について、MLO画像及びCC画像を取得する。具体的には、画像データ取得機能35aは、通信制御インターフェース33を介してマンモグラフィ装置20と通信を行うことで、診断対象の被検体に関するマンモグラフィ画像と、当該マンモグラフィ画像の撮影方向を示す情報とを取得し、取得したマンモグラフィ画像と撮影方向を示す情報とを記憶回路34に格納する。なお、画像データ取得機能35aは、通信制御インターフェース33を介した通信以外の方法でマンモグラフィ画像と当該マンモグラフィ画像の撮影方向を示す情報とを取得してもよい。例えば、画像データ取得機能35aは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に、マンモグラフィ画像と当該マンモグラフィ画像の撮影方向を示す情報とが記録される場合、この記録媒体からマンモグラフィ画像と当該マンモグラフィ画像の撮影方向を示す情報とを取得してもよい。ここで、コンピュータで読み取り可能な記録媒体とは、例えば、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)、USB(Universal Serial Bus)メモリ等である。
【0027】
所見情報作成機能35bは、操作者から入力された所見に基づいて、被検体のマンモグラフィ画像に関する所見情報を作成する。具体的には、所見情報作成機能35bは、入力装置31を介して、マンモグラフィ検査の技師からマンモグラフィ画像に関する所見の入力を受け付ける。そして、所見情報作成機能35bは、受け付けた所見を示す所見情報を作成する。例えば、所見情報作成機能35bは、
図3及び
図4に示した所見情報を作成する。所見情報作成機能35bは、作成した所見情報を記憶回路34に格納する。
【0028】
表示制御機能35cは、マンモグラフィ画像を参照するための参照画面をディスプレイ32に表示する。具体的には、表示制御機能35cは、入力装置31を介して操作者から表示要求を受け付けた場合に、診断対象の被検体に関するマンモグラフィ画像を記憶回路34から読み出し、診断対象の被検体に関する所見情報34bを記憶回路34から読み出す。そして、表示制御機能35cは、読み出したマンモグラフィ画像及び所見情報を配置した参照画面をディスプレイ32に表示する。
【0029】
領域設定機能35dは、マンモグラフィ画像に関心領域を設定する。例えば、領域設定機能35dは、被検体の左右それぞれの乳房について、MLO画像及びCC画像それぞれに関心領域を設定する。具体的には、領域設定機能35dは、入力装置31を介して、表示制御機能35cによって表示された参照画面に配置されたマンモグラフィ画像上で任意の位置に任意の大きさの範囲を指定する操作を操作者から受け付ける。そして、領域設定機能35dは、操作者によって指定された範囲を関心領域として設定する。
【0030】
なお、例えば、領域設定機能35dは、コンピュータ支援診断の機能を用いて、マンモグラフィ画像から病変部の候補領域を自動検出し、検出した領域を関心領域として設定してもよい。また、例えば、領域設定機能35dは、CADによって検出された領域に対して、操作者がMLO画像とCC画像との間で調整を行う操作を受け付け、調整後の領域を関心領域として設定してもよい。
【0031】
位置特定機能35eは、マンモグラフィ画像上での関心領域の位置情報と、撮影方向を示す情報とに基づいて、乳房を模式的に表した模式図上での関心領域の位置情報を特定する。具体的には、位置特定機能35eは、検査対象の被検体のマンモグラフィ画像と当該マンモグラフィ画像の撮影方向を示す情報とを記憶回路34から読み出し、読み出したマンモグラフィ画像及び撮影方向を示す情報に基づいて、模式図上での関心領域の位置を特定する。
【0032】
図5は、第1の実施形態に係る位置特定機能35eによって用いられる模式図の一例を示す図である。
図5に示す例は、乳房を模式的に表した模式図の一例として、乳腺領域の模式図を示している。例えば、
図5に示すように、乳腺領域の模式図は、左右それぞれの乳房について、乳房の領域を表す円形の領域(以下、乳房領域)と、腋窩部の領域を表す略三角形の領域(以下、腋窩領域)とを有する。
【0033】
ここで、乳房領域を表す円形の領域は、上下及び左右に分けられて、4つの領域「A」〜「D」に分割される。例えば、「A」の領域(以下、A領域)は、乳房の内側上部の領域を示し、「B」の領域(以下、B領域)は、乳房の内側下部の領域を示す。また、例えば、「C」の領域(以下、C領域)は、乳房の外側上部の領域を示し、「D」の領域(以下、D領域)は、乳房の外側下部の領域を示す。また、腋窩領域を表す略三角形の領域「C’」(以下、C’領域)は、領域Cから斜め上方に伸び、かつ、領域Cから離れるにつれて細くなる形状を有する。また、例えば、「E」の領域(以下、E領域)は、乳輪部分を示す。なお、ここでいう模式図としては、乳房における位置関係を示すものであれば、各種の図を用いることができる。
【0034】
位置特定機能35eは、模式図上における各領域の位置情報に基づいて、乳腺領域の模式図のテンプレート上に関心領域を示す印を配置した保存用の模式図を生成する。なお、保存用の模式図は、例えば、JPEG(Joint Photographic Experts Group)やGIF(Graphics Interchange Format)、ビットマップなどの形式の画像データとして生成される。
【0035】
図6及び
図7を用いて保存用の模式図について説明する。
図6及び
図7は、第1の実施形態に係る保存用の模式図を説明するための図である。
図6左図には、患者Aのマンモグラフィ画像を示し、
図6右図には、患者Aの保存用の模式図を示す。同様に、
図7左図には、患者Bのマンモグラフィ画像を示し、
図7右図には、患者Bの保存用の模式図を示す。
【0036】
位置特定機能35eは、患者Aの右乳房のB領域中に関心領域が設定された場合、
図6右図に示すように保存用の模式図を生成する。また、位置特定機能35eは、患者Bの右乳房のC領域中に関心領域が設定された場合、
図7右図に示すように保存用の模式図を生成する。
【0037】
そして、位置特定機能35eは、生成した保存用の模式図を、対応するマンモグラフィ画像と関連付けて記憶回路34に記憶させる。例えば、位置特定機能35eは、生成した保存用の模式図をマンモグラフィ画像に付帯情報として付帯させて、マンモグラフィ画像の画像データとともに記憶回路34に記憶させる。または、位置特定機能35eは、生成した保存用の模式図を対象の被検体に割り当てられている患者IDと対応付けて、記憶回路34に記憶させる。
【0038】
なお、例えば、位置特定機能35eは、模式図のテンプレートを用いて保存用の模式図を生成する際に、模式図上での関心領域の位置情報を示すだけでなく、乳腺密度が所定値より高い領域や、石灰化している領域、腫瘍の領域などをマンモグラフィ画像から抽出して、模式図上に表示してもよい。例えば、位置特定機能35eは、模式図上でこれらの領域に対応する部分について、領域の種類ごとに模式図の色とは異なる色で表示したり、あらかじめ領域の種類ごとに決められたマークを表示したりする。
【0039】
図2に戻る。送信機能35fは、操作者からの指示に応じて、所見情報作成機能35bによって生成された所見情報34bや位置特定機能35eによって生成された保存用の模式図を読影結果保管装置40や超音波診断装置100に送信する。具体的には、送信機能35fは、入力装置31を介して、画像処理装置30又は超音波診断装置100の操作者から表示情報の送信指示を受け付ける。そして、送信機能35fは、表示情報の送信指示を受け付けると、操作者によって指定された表示情報を記憶回路34から読み出して、読影結果保管装置40又は超音波診断装置100に送信する。
【0040】
なお、
図2における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路34に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路34にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。
【0041】
図1に戻る。読影結果保管装置40は、医用情報処理システム1において撮像された画像に対する読影結果を記憶する。例えば、読影結果保管装置40は、マンモグラフィ画像を読影した結果である所見情報34bや及び保存用の模式図や、超音波画像を読影した結果を記憶する。
【0042】
超音波診断装置100は、超音波を送受信する超音波プローブで被検体を走査することで収集された反射波データに基づいて、超音波画像を生成する。
【0043】
図8は、第1の実施形態に係る超音波診断装置100の構成例を示す図である。
図8に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、超音波プローブ101と、入力装置102と、ディスプレイ103と、装置本体104とを備える。超音波プローブ101は、後述する装置本体104が備える送受信回路110と通信可能に接続される。また、入力装置102、及びディスプレイ103は、装置本体104が備える各種の回路と通信可能に接続される。
【0044】
超音波プローブ101は、被検体Pの体表面に接触され、超音波の送受信を行う。例えば、超音波プローブ101は、複数の圧電振動子(振動子とも言う)を有する。これら複数の圧電振動子は、送受信回路110から供給される送信信号に基づいて、超音波を発生させる。発生した超音波は、被検体Pの体内組織において反射され、反射波信号として複数の圧電振動子にて受信される。超音波プローブ101は、複数の圧電振動子にて受信した反射波信号を、送受信回路110へ送る。
【0045】
なお、第1の実施形態は、超音波プローブ101は、被検体P内の2次元領域を走査(2次元走査)する1Dアレイプローブであっても、被検体P内の3次元領域を走査(3次元走査)するメカニカル4Dプローブや2Dアレイプローブであっても適用可能である。
【0046】
入力装置102は、例えば、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等に対応する。入力装置102は、超音波診断装置100の操作者からの各種設定要求を受け付け、受け付けた各種設定要求を装置本体104の各回路に対して適宜転送する。
【0047】
ディスプレイ103は、操作者が入力装置102を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体104において生成された超音波画像データに基づく画像(超音波画像)等を表示したりする。
【0048】
装置本体104は、超音波プローブ101が受信した反射波信号に基づいて、超音波画像データを生成する装置である。
図8に示すように、装置本体104は、例えば、送受信回路110と、Bモード処理回路120と、ドプラ処理回路130と、画像生成回路140と、画像メモリ150と、記憶回路160と、処理回路170と、通信制御インターフェース180とを有する。送受信回路110、Bモード処理回路120、ドプラ処理回路130、画像生成回路140、画像メモリ150、記憶回路160、処理回路170、及び通信制御インターフェース180は、互いに通信可能に接続される。
【0049】
送受信回路110は、超音波プローブ101による超音波の送受信を制御する。例えば、送受信回路110は、後述する処理回路170の指示に基づいて、超音波プローブ101が行う超音波送受信を制御する。送受信回路110は、送信波形データを作成し、作成した送信波形データから超音波プローブ101が超音波を送信するための送信信号を生成する。そして、送受信回路110は、超音波プローブ101に送信信号を印加することで、超音波がビーム状に集束された超音波ビームを送信させる。
【0050】
また、送受信回路110は、超音波プローブ101が受信した反射波信号に所定の遅延時間を与えて加算処理を行うことで、反射波信号の受信指向性に応じた方向から反射成分が強調された反射波データを生成し、生成した反射波データをBモード処理回路120及びドプラ処理回路130に送信する。
【0051】
例えば、送受信回路110は、アンプ回路(適宜「Amp」と記載する)、A/D(Analog/Digital)変換器(適宜「ADC」と記載する)、生成回路、直交検波回路(適宜「IQ」と記載する)等を有する。アンプ回路は、反射波信号をチャネル毎に増幅してゲイン補正処理を行う。A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をA/D変換する。
【0052】
生成回路は、デジタルデータに受信指向性を決定するのに必要な受信遅延時間を与える。そして生成回路は、受信遅延時間が与えられた反射波信号の加算処理を行う。生成回路の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。
【0053】
そして、直交検波回路は、加算器の出力信号をベースバンド帯域の同相信号(I信号、I:In-phase)と直交信号(Q信号、Q:Quadrature-phase)とに変換する。そして、直交検波回路は、I信号及びQ信号(以下、IQ信号と記載する)を反射波データとして、バッファに格納する。なお、直交検波回路は、加算器の出力信号を、RF(Radio Frequency)信号に変換した上で、バッファに格納しても良い。IQ信号や、RF信号は、位相情報が含まれる信号(受信信号)となる。なお、直交検波回路は、生成回路の後段に配置されるものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、直交検波回路は、生成回路の前段に配置されてもよい。かかる場合、生成回路は、I信号及びQ信号の加算処理を行う。
【0054】
Bモード処理回路120は、送受信回路110が反射波信号から生成した反射波データに対して各種の信号処理を行う。Bモード処理回路120は、送受信回路110から受信した反射波データに対して、対数増幅、包絡線検波処理等を行って、サンプル点(観測点)ごとの信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。Bモード処理回路120は、生成したBモードデータを画像生成回路140へ送る。
【0055】
ドプラ処理回路130は、送受信回路110から受信した反射波データより、移動体のドプラ効果に基づく運動情報を、走査領域内の各サンプル点で抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。具体的には、ドプラ処理回路130は、移動体の運動情報として、平均速度、分散値、パワー値等を各サンプル点で抽出したドプラデータを生成する。ここで、移動体とは、例えば、血流や、心壁等の組織、造影剤である。ドプラ処理回路130は、生成したドプラデータを画像生成回路140へ送る。
【0056】
画像生成回路140は、Bモード処理回路120やドプラ処理回路130が生成したデータから超音波画像データを生成する。例えば、画像生成回路140は、Bモード処理回路120が生成したBモードデータから、反射波の強度を輝度で表したBモード画像データを生成する。また、画像生成回路140は、ドプラ処理回路130が生成したドプラデータから、移動体情報を表すドプラ画像データを生成する。このドプラ画像データは、速度画像データ、分散画像データ、パワー画像データ、又は、これらを組み合わせた画像データである。
【0057】
画像メモリ150は、Bモード処理回路120、ドプラ処理回路130、及び画像生成回路140により生成されたデータを記憶するメモリである。例えば、画像メモリ150は、画像生成回路140により生成された超音波画像データを、被検体Pの心電波形に対応付けて記憶する。なお、画像メモリ150に記憶されるデータ量が画像メモリ150の記憶容量を超過する場合には、古いデータから順に削除され、更新される。
【0058】
記憶回路160は、各種データを記憶する記憶装置である。例えば、記憶回路160は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行うための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。また、記憶回路160に記憶されるデータは、図示しないインターフェースを介して、外部装置へ転送することができる。
【0059】
また、記憶回路160は、Bモード処理回路120、ドプラ処理回路130、及び画像生成回路140により生成されたデータを記憶する。例えば、記憶回路160は、操作者により指定された所定心拍分の超音波画像データを記憶する。
【0060】
通信制御インターフェース180は、ネットワーク50を介して他の装置との間で行われる通信を制御する。例えば、通信制御インターフェース180は、ネットワークカードやネットワークアダプタであり、Ethernet(登録商標)のLANを介してネットワーク50に接続することで、他の装置との間で通信を行う。また、例えば、通信制御インターフェース180は、無線LANを介してネットワーク50に接続することで、他の装置との間で無線通信を行う。
【0061】
処理回路170は、超音波診断装置100の処理全体を制御する。具体的には、処理回路170は、入力装置102を介して操作者から入力された各種設定要求や、記憶回路160から読み込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づいて、送受信回路110、Bモード処理回路120、ドプラ処理回路130、及び画像生成回路140等の処理を制御する。また、処理回路170は、画像メモリ150が記憶する超音波画像データをディスプレイ103に表示させる。
【0062】
また、処理回路170は、
図8に示すように、取得機能171と、設定条件決定機能172とを実行する。なお、取得機能171及び設定条件決定機能172の詳細については後述する。
【0063】
なお、
図3における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路160に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路160にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。
【0064】
このような、医用情報処理システム1では、乳がん検診において、マンモグラフィ画像と超音波画像とを併用した乳腺画像診断が実施される。
図9は、マンモグラフィ画像と超音波画像とを併用した乳腺画像診断の一例を示す図である。
【0065】
図9に示すように、例えば、院内サーバ装置10のレセプト電算処理システムにて、乳がん検診の予約を受け付ける(ステップS1)。続いて、マンモグラフィ装置20によって、マンモグラフィ画像が撮像される(ステップS2)。そして、読影医は、マンモグラフィ画像を読影する(ステップS3)。
【0066】
続いて、マンモグラフィ画像の読影結果を参照して、超音波走査を行う(ステップS4)。そして、読影医は、マンモグラフィ画像と超音波画像とを併用した乳腺画像診断を実施し、総合判定を行う(ステップS5)。
【0067】
このようなマンモグラフィ画像と超音波画像とを併用する検診では、ワークフローの効率化が望まれる。例えば、マンモグラフィ画像から得られた乳房の質の情報をもとに超音波診断装置の画質を自動調整する技術や、マンモグラフィ画像の読影時に関心領域の位置を特定して超音波診断装置の操作者(ソノグラファー)に提示する技術が知られている。
【0068】
ところで、ステップS4にて超音波走査を行う場合、超音波診断装置100の操作者(ソノグラファー)は、超音波走査の開始時に、超音波画像診断における条件を設定する。ここで、例えば、ソノグラファーは、一方の手で超音波プローブ101を操作し、他方の手で入力装置102を操作して、超音波画像診断における条件を設定することになる。また、超音波画像診断における条件は、読影結果に応じて異なる場合がある。このため、ソノグラファーは、被検体ごとに超音波画像診断における条件を設定することになる。このように、超音波走査の開始時に、被検体ごとに超音波画像診断における条件を設定する操作は、ソノグラファーにとって負担となる。
【0069】
そこで、医用情報処理システム1では、例えば、被検体の乳房を撮像したX線画像の読影結果に基づく、乳房における注目領域の位置を示す注目領域情報を取得し、超音波走査の開始時に、乳房に対する超音波画像診断における条件を、注目領域情報を参照して設定することで、超音波診断装置100のソノグラファーの負担を軽減する。ここで言う注目領域とは、例えば、マンモグラフィ画像に設定されたROIやマンモグラフィ画像上の腫瘤を示す。また、ここで言う注目領域情報とは、所見情報34b(例えば、乳房における注目領域の位置、当該注目領域の大きさ、乳房の大きさの少なくとも1つの情報)や保存用の模式図などを示す。
図10は、第1の実施形態に係る医用情報処理システム1における処理の流れを説明するための図である。
【0070】
図10に示すように、例えば、院内サーバ装置10のレセプト電算処理システムにて、乳がん検診の予約を受け付ける。これにより、マンモグラフィ装置20は、マンモグラフィ画像を撮像し、撮像したマンモグラフィ画像を画像処理装置30に送信する。画像処理装置30は、医師による読影の結果に基づく、
図3及び
図4に示した所見情報を生成する。また、画像処理装置30は、
図6及び
図7に示した保存用の模式図を生成する。
【0071】
そして、画像処理装置30は、マンモグラフィ画像の読影結果や所見情報34bのうち位置やサイズに関わる情報を超音波診断装置100に送信する。すなわち、超音波診断装置100は、被検体の乳房を撮像したマンモグラフィ画像の読影結果に基づく、乳房における注目領域の位置を示す注目領域情報を取得する。そして、超音波診断装置100は、超音波走査の開始時に、乳房に対する超音波画像診断における条件を、注目領域情報を参照して設定する。
【0072】
第1の実施形態では、超音波診断装置100の処理回路170が実行する取得機能171及び設定条件決定機能172により、例えば、超音波走査の開始時に、超音波画像診断に際して、超音波走査のフォーカス位置を送信条件として設定する場合について説明する。
【0073】
取得機能171は、被検体の乳房を撮像したX線画像に基づいて求められた、乳房における注目領域の位置、当該注目領域の大きさ、乳房の大きさの少なくとも1つの情報を、注目領域情報として取得する。例えば、取得機能171は、被検体の乳房を撮像したX線画像の読影結果に基づいて求められた、乳房における注目領域の位置、当該注目領域の大きさ、乳房の大きさの少なくとも1つの情報を、注目領域情報として取得する。ここで、取得機能171は、注目領域情報として、所見情報として記憶される「乳房領域情報」と、「体表からROIまでの距離」と、「腫瘤の大きさ」とを取得する。例えば、取得機能171は、X線画像撮像時の体表から注目領域までの距離を乳房における注目領域の位置の情報として取得する。また、取得機能171は、注目領域の大きさを示す注目領域情報を取得する。また、取得機能171は、乳房の大きさを示す注目領域情報を取得する。
【0074】
そして、取得機能171は、取得した注目領域情報を記憶回路160に記憶させる。これにより、記憶回路160は、注目領域情報を記憶する。すなわち、記憶回路160は、被検体の乳房を撮像したX線画像に基づいて求められた、乳房における注目領域の位置、当該注目領域の大きさ、乳房の大きさの少なくとも1つの情報を記憶する。例えば、記憶回路160は、被検体の乳房を撮像したX線画像の読影結果に基づいて求められた、乳房における注目領域の位置、当該注目領域の大きさ、乳房の大きさの少なくとも1つの情報を記憶する。ここで、記憶回路160は、X線画像撮像時の体表から注目領域までの距離を乳房における注目領域の位置の情報として記憶する。
【0075】
設定条件決定機能172は、乳房に対する超音波画像診断における設定条件を、注目領域情報を参照して設定する。言い換えると、設定条件決定機能172は、乳房に対する超音波画像診断における設定条件を、注目領域の位置、注目領域の大きさ、乳房の大きさの少なくとも1つの情報に基づいて求める。例えば、設定条件決定機能172は、超音波画像診断に際して、X線画像撮像時の体表から注目領域までの距離を参照し、設定条件として、超音波走査を行う超音波プローブ101が当接される体表から注目領域までの距離に応じた位置を超音波走査のフォーカス位置とする送信条件を求める。
【0076】
ここで、設定条件決定機能172は、マンモグラフィ画像における体表から注目領域までの距離を、超音波画像における体表から注目領域までの距離へと変換する係数を用いて、フォーカス位置を設定する。ここでは、係数を0.75として説明する。例えば、
図3に示す所見情報を取得した場合、設定条件決定機能172は、「体表からROIまでの距離」が「4cm」であるので、フォーカス位置を3cmに設定する。また、例えば、
図4に示す所見情報を取得した場合、設定条件決定機能172は、「体表からROIまでの距離」が「1cm」であるので、フォーカス位置を0.75cmに設定する。なお、係数は、任意に設定可能である。なお、マンモグラフィ画像における体表から注目領域までの距離を、超音波画像における体表から注目領域までの距離へと変換する係数は、操作者の指示に応じて任意の値に変更可能である。
【0077】
更に、設定条件決定機能172は、超音波走査により生成される超音波画像上に、設定条件として求めた超音波走査のフォーカス位置を示す印を配置して、超音波走査時に参照されるディスプレイ103に表示させる。
【0078】
図11〜
図14を用いて、第1の実施形態に係る取得機能171及び設定条件決定機能172について説明する。
図11〜
図14は、第1の実施形態を説明するための図である。
図11では、
図3に示す所見情報を取得した場合に、超音波走査時に参照されるディスプレイ103に表示される超音波画像を示し、
図12では、
図4に示す所見情報を取得した場合に、超音波走査時に参照されるディスプレイ103に表示される超音波画像を示す。
図11に示すように、設定条件決定機能172は、超音波画像上においてフォーカス位置に対応する位置に、「フォーカス位置3cm」と三角形の印とを配置する。また、
図12に示すように、設定条件決定機能172は、超音波画像上においてフォーカス位置に対応する位置に、「フォーカス位置0.75cm」と三角形の印とを配置する。
【0079】
また、設定条件決定機能172は、超音波走査により生成される超音波画像の表示深度を乳房の大きさに応じた位置とする送信条件を設定する。言い換えると、設定条件決定機能172は、乳房の大きさに応じた位置に超音波走査により生成される超音波画像の表示深度を求める。ここで、設定条件決定機能172は、ブレストの大きさから表示スケールを設定する基準を規定した表示スケール設定情報を用いて、表示スケールを設定する。
図13は、表示スケール設定情報の一例を示す図である。
【0080】
図13に示すように、表示スケール設定情報は、「乳房領域情報(ブレストの大きさ)」と、「デフォルト設定」と、「変更後設定」とを対応付けた情報を記憶する。ここで、「乳房領域情報(ブレストの大きさ)」は、乳房の大きさを示し、例えば、「Large」、「Middle」、「Small」が記憶される。
【0081】
また、「デフォルト設定」は、デフォルト時の表示深度を示し、例えば、「8cm」が記憶される。また、「変更後設定」は、乳房の大きさに応じた表示深度を示し、例えば、「10cm」、「変更しない」、「5cm」が記憶される。
【0082】
一例をあげると、設定条件決定機能172は、
図3に示す所見情報を取得した場合、「乳房領域情報」が「L」であるので、
図11に示すように、超音波プローブ101から「10cm」である深さ方向の位置を表示深度に設定する。また、設定条件決定機能172は、
図4に示す所見情報を取得した場合、「乳房領域情報」が「S」であるので、
図12に示すように、超音波プローブ101から「5cm」である深さ方向の位置を表示深度に設定する。なお、
図11及び
図12では、表示深度の差異を明確にすることを目的として大きさの異なる超音波画像を図示しているが、ディスプレイ103において超音波画像が表示される領域は同一である。すなわち、ディスプレイ103において表示される超音波画像の大きさは、同一である。このため、処理回路170は、例えば、表示深度に応じて超音波画像を拡大又は縮小する。
【0083】
また、設定条件決定機能172は、超音波走査により生成される超音波画像上において、注目領域の大きさに応じた観察対象領域を、超音波走査時に参照されるディスプレイ103に表示させる条件を更に設定する。言い換えると、設定条件決定機能172は、設定条件として注目領域の大きさに応じた観察対象領域を示す印の大きさを求め、超音波走査により生成される超音波画像上に、設定条件として求めた観察対象領域を示す印を配置して、超音波走査時に参照されるディスプレイ103に表示させる。ここで、設定条件決定機能172は、腫瘤の大きさからROIを設定する基準を規定したROI設定情報を用いて、ROIを設定する。
図14は、腫瘤の大きさからROIを設定する基準を規定したROI設定情報の一例を示す図である。
【0084】
図14に示すように、ROI設定情報は、「腫瘤の大きさ」と、「デフォルト設定」と、「変更後設定」とを対応付けた情報を記憶する。ここで、「腫瘤の大きさ」は、読影結果に基づく腫瘤の大きさを示し、例えば、「5mm」、「2.5mm」、「0.1mm」が記憶される。
【0085】
また、「デフォルト設定」は、デフォルト時のROIの大きさを示し、例えば、「5mm」が記憶される。また、「変更後設定」は、腫瘤の大きさに応じたROIの大きさを示し、例えば、「1cm」、「変更しない」、「0.2mm」が記憶される。
【0086】
一例をあげると、設定条件決定機能172は、
図3に示す所見情報を取得した場合、「腫瘤の大きさ」が「5mm」であるので、
図11に示すように、ROIの大きさを「1cm」に設定する。また、設定条件決定機能172は、
図4に示す所見情報を取得した場合、設定条件決定機能172は、「腫瘤の大きさ」が「2.5mm」であるので、
図12に示すように、ROIの大きさを「5mm」に設定する。更に、設定条件決定機能172は、腫瘤の形状に応じて、ROIの形状を変更可能としてもよい。
【0087】
図15は、第1の実施形態に係る超音波診断装置100の処理手順を示すフローチャートである。
図15に示すように、取得機能171は、マンモグラフィ装置20から読影結果に基づく、注目領域情報を取得する(ステップS101)。
【0088】
続いて、設定条件決定機能172は、ブレストの大きさから表示スケール(表示深度)を設定する(ステップS102)。続いて、設定条件決定機能172は、体表からROIまでの距離からフォーカスを設定する(ステップS103)。さらに、設定条件決定機能172は、腫瘤の大きさからROI幅を設定する(ステップS104)。そして、設定条件決定機能172による設定処理の終了後、処理回路170は、超音波プローブ101による超音波走査を制御して、超音波画像の撮像を開始する(ステップS105)。なお、
図15に示すステップS102、ステップS103、及びステップS104のうちいずれか一つのみを実行してもよく、いずれか一つを実行しなくてもよい。また、ステップS102、ステップS103、及びステップS104の処理順序は、任意に入れ替え可能である。
【0089】
上述したように、第1の実施形態では、マンモグラフィ画像撮像時の体表から腫瘤などの注目領域までの距離を注目領域情報として取得する。そして、超音波画像診断に際して、注目領域情報を参照し、超音波走査を行う超音波プローブ101が当接される体表から注目領域までの距離に応じた位置を超音波走査のフォーカス位置とする送信条件を設定する。これにより、第1の実施形態によれば、例えば、ソノグラファーの負担を軽減することが可能になる。
【0090】
また、第1の実施形態では、超音波走査により生成される超音波画像上に超音波走査のフォーカス位置を示す印を更に配置して、超音波走査時に参照されるディスプレイ103に表示させる。これにより、第1の実施形態によれば、例えば、ソノグラファーは、フォーカス位置の印を参照して、フォーカス位置を視覚的に把握することで、腫瘤などの注目領域を容易に探すことが可能になる。この結果、第1の実施形態によれば、例えば、ソノグラファーの負担を軽減することが可能になる。
【0091】
また、第1の実施形態では、注目領域の大きさを示す注目領域情報を更に取得し、超音波走査により生成される超音波画像上において、注目領域の大きさに応じた観察対象領域を、超音波走査時に参照されるディスプレイ103に表示させる表示条件を更に設定する。これにより、第1の実施形態によれば、例えば、ソノグラファーは、検査対象とする注目領域の大きさを事前に視覚的に把握して、超音波走査を行うことができる。この結果、第1の実施形態によれば、例えば、ソノグラファーの負担を軽減することが可能になる。
【0092】
また、第1の実施形態では、超音波走査により生成される超音波画像の表示深度を乳房の大きさに応じた位置とする送信条件を設定する。これにより、第1の実施形態によれば、例えば、ソノグラファーは、乳房の大きさに応じた走査範囲が設定されるので、設定された走査範囲を精査すればよい。この結果、第1の実施形態によれば、例えば、ソノグラファーの負担を軽減することが可能になる。
【0093】
このように第1の実施形態では、超音波走査の開始時に、フォーカス位置や表示深度などの送信条件を初期条件として設定する。さらに、第1の実施形態では、フォーカス位置やROIをディスプレイ103に表示させる。これにより第1の実施形態によれば、ソノグラファーの負担を軽減することが可能になる。この結果、第1の実施形態によれば、超音波検査時間を短縮してワークフローを改善することが可能になる。
【0094】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、超音波走査のフォーカス位置を送信条件として設定する場合について説明した。ところで、ソノグラファーは、各撮像領域で超音波走査を開始する前に、撮像領域と対応するボディーマーク上の位置にプローブマークを配置する。
【0095】
例えば、ソノグラファーは、右乳房を撮像する場合、ディスプレイ103に、右乳房用のボディーマークを表示させる。そして、ソノグラファーは、右乳房において撮像領域と対応するボディーマーク上の位置に、模式的な超音波プローブを配置する。続いて、ソノグラファーは、撮像を開始し、超音波画像を得る。
【0096】
ここで、撮像した超音波画像を保存する場合、撮像領域と対応するボディーマーク上の位置に超音波プローブを配置したボディーマークが超音波画像と対応付けて保存される。一方、撮像した超音波画像を保存せずに撮像領域を移動させて撮像する場合には、移動後の撮像領域と対応するボディーマーク上の位置にプローブマークを配置してから、撮像を開始する。これにより、読影医は、撮像された超音波画像がどの領域を撮像したのかを把握することが可能になる。
【0097】
また、ソノグラファーは、マンモグラフィ画像の読影結果を参照して、超音波走査を実行する場合がある。例えば、
図6及び
図7に示す保存用の模式図を参照して、保存用の模式図における腫瘤の位置に対応する患者の位置に超音波プローブ101を当接して、超音波検査を実行する。かかる場合、ソノグラファーは、各患者に対して、各撮像領域で超音波走査を開始する前に、撮像領域と対応するボディーマーク上の位置にプローブマークを配置する操作を行うことになる。このように、超音波走査を開始する前に、撮像領域と対応するボディーマーク上の位置にプローブマークを配置する操作は、ソノグラファーにとって負担となり得る。
【0098】
そこで、第2の実施形態では、超音波診断装置100の処理回路170が実行する取得機能171及び設定条件決定機能172により、例えば、超音波画像診断に際して、超音波走査の開始時に、注目領域情報を参照して、超音波プローブ101を当接する位置を示す情報を超音波走査用の模式図(ボディーマーク)上に配置する場合について説明する。
【0099】
なお、第2の実施形態に係る医用情報処理システムの構成例は、超音波診断装置100が有する処理回路170の取得機能171及び設定条件決定機能172において実行される一部の機能を除いて、
図1に示した構成例と同様である。
図16〜
図19を用いて、第2の実施形態に係る取得機能171及び設定条件決定機能172について説明する。なお、
図16〜
図19は、第2の実施形態を説明するための図である。
【0100】
取得機能171は、被検体の乳房を撮像したX線画像に基づく、乳房における注目領域の位置を示す注目領域情報を取得する。例えば、取得機能171は、被検体の乳房を撮像したX線画像の読影結果に基づく、乳房における注目領域の位置を示す注目領域情報を取得する。ここで、第2の実施形態に係る取得機能171は、被検体の乳房を撮像したX線画像の読影結果に基づいて求められた、乳房を模式的に表した乳房診断用の模式図上における注目領域の位置の情報を、注目領域情報として取得する。例えば、取得機能171は、注目領域情報として、
図6に図示した保存用の模式図や
図7に図示した保存用の模式図を取得する。
【0101】
そして、取得機能171は、取得した注目領域情報を記憶回路160に記憶させる。これにより、記憶回路160は、注目領域情報を記憶する。すなわち、記憶回路160は、被検体の乳房を撮像したX線画像に基づいて求められた、乳房を模式的に表した乳房診断用の模式図上における注目領域の位置の情報を記憶する。例えば、記憶回路160は、被検体の乳房を撮像したX線画像の読影結果に基づいて求められた、乳房を模式的に表した乳房診断用の模式図上における注目領域の位置の情報を記憶する。
【0102】
設定条件決定機能172は、乳房に対する超音波画像診断における条件を、注目領域情報を参照して配置する。ここで、第2の実施形態に係る設定条件決定機能172は、超音波走査の開始時に、注目領域情報を参照して、超音波プローブ101を当接する位置を示す情報を超音波走査用の模式図上に配置し、超音波走査時に参照されるディスプレイ103に表示させる表示条件を設定する。
【0103】
例えば、設定条件決定機能172は、マンモグラフィ診断用の模式図と超音波診断用のボディーマークとを対応付けた対応情報を用いて、模式図から適切なボディーマークを選択する。
図16は、マンモグラフィ診断用の模式図と、超音波診断用のボディ―マークとを対応付けた対応情報の一例を示す図である。
図16に示すように、マンモグラフィ診断用の右乳房模式図は、超音波診断用のボディーマーク#1と対応付けられており、マンモグラフィ診断用の左乳房模式図は、超音波診断用のボディーマーク#2と対応付けられている。
【0104】
そして、設定条件決定機能172は、右乳房模式図が取得された場合には、超音波診断用のボディーマーク#1を選択し、左乳房模式図が取得された場合には、超音波診断用のボディーマーク#2を選択する。
図17では、右乳房模式図が取得された場合に、設定条件決定機能172が選択する超音波診断用のボディーマーク#1を示す。
【0105】
続いて、設定条件決定機能172は、模式図からプローブ初期位置を設定する。ここで、設定条件決定機能172は、
図6に示す模式図を取得した場合、注目領域の位置が右乳房のB領域であると判定する。そして、設定条件決定機能172は、
図18に示すように、超音波診断用のボディーマーク#1において、右乳房のB領域中に配置された注目領域と対応する位置にプローブの初期位置を示すプローブマークを配置する。
【0106】
また、設定条件決定機能172は、
図7に示す模式図を取得した場合、注目領域の位置が右乳房のC領域であると判定する。そして、設定条件決定機能172は、
図19に示すように、超音波診断用のボディーマーク#1において、右乳房のC領域中に配置された注目領域と対応する位置にプローブの初期位置を示すプローブマークを配置する。なお、設定条件決定機能172により配置されるプローブマークの位置は正確な位置である必要はなく、保存用の模式図における関心領域に対応するおおよその位置であればよい。このように、設定条件決定機能172は、乳房に対する超音波画像診断における設定条件として、超音波走査の開始時に、注目領域の位置の情報を参照して、超音波プローブ101を当接する位置を示す情報を超音波走査用の模式図上に配置する位置を求める。そして、設定条件決定機能172は、求めた位置に超音波プローブ101を当接する位置を示す情報を配置した超音波走査用の模式図を、超音波走査時に参照されるディスプレイ103に表示させる。
【0107】
また、設定条件決定機能172は、所見情報34bを参照して、超音波プローブ101を当接する位置と乳頭との距離を示す情報を超音波走査用の模式図上に更に配置する。例えば、設定条件決定機能172は、
図18に示すように、超音波プローブを当接する位置と乳頭との距離を示す情報として、「Nipple to ROI 23mm@MG」と両矢印とをボディーマーク上に設定する。また、設定条件決定機能172は、
図19に示すように、超音波プローブを当接する位置と乳頭との距離を示す情報として、「Nipple to ROI 23mm@MG」と両矢印とをボディーマーク上に設定する。なお、超音波プローブを当接する位置と乳頭との距離を示す情報は、
図18に示す例に限定されるものではない。例えば、超音波プローブを当接する位置と乳頭との距離を示す情報は、マンモグラフィ画像での乳頭からの距離を示していれば、任意に変更可能である。
【0108】
図20は、第2の実施形態に係る超音波診断装置100による処理手順を示すフローチャートである。
図20に示すように、取得機能171は、マンモグラフィ装置20から読影結果に基づく、注目領域情報を取得する(ステップS201)。
【0109】
続いて、設定条件決定機能172は、模式図から適切なボディーマークを選択する(ステップS202)。そして、設定条件決定機能172は、模式図からプローブ初期位置を設定する(ステップS203)。続いて、設定条件決定機能172は、乳頭から関心部までの距離を表示させる(ステップS204)。そして、設定条件決定機能172による設定処理の終了後、処理回路170は、超音波プローブ101による超音波走査を制御して、超音波画像の撮像を開始する(ステップS205)。
【0110】
上述したように、第2の実施形態に係る超音波診断装置100は、乳房を模式的に表した乳房診断用の模式図上における注目領域の位置を注目領域情報として取得する。そして、第2の実施形態に係る超音波診断装置100は、超音波走査の開始時に、注目領域情報を参照して、超音波プローブ101を当接する位置を示す情報を超音波走査用の模式図上に配置し、超音波走査時に参照されるディスプレイ103に表示させる表示条件を設定する。これにより、第2の実施形態によれば、ソノグラファーは、検査の開始時に、撮像領域と対応するボディーマーク上の位置に、模式的な超音波プローブを手動で配置する操作を省略することが可能になる。更に、ソノグラファーは、検査の開始時に、おおよその走査位置を視覚的に把握することが可能になる。この結果、第2の実施形態によれば、例えば、ソノグラファーの負担を軽減し、超音波検査時間を短縮してワークフローを改善することができる。
【0111】
(第3の実施形態)
ソノグラファーは、超音波検査において、例えばデフォルトで設定されている走査順序で走査する。ここで、ソノグラファーは、例えば、保存用の模式図を参照して超音波走査を実行する場合、病巣部位などの関心領域を優先的に走査してもよいものである。そこで、第3の実施形態では、超音波診断装置100の処理回路170が実行する取得機能171及び設定条件決定機能172により、例えば、超音波走査の開始時に、注目領域情報を参照して、超音波走査における乳房の複数の領域に対する走査順序を走査条件として設定する場合について説明する。
【0112】
なお、第3の実施形態に係る医用情報処理システムの構成例は、超音波診断装置100が有する処理回路170の取得機能171及び設定条件決定機能172において実行される一部の機能を除いて、
図1に示した構成例と同様である。
【0113】
取得機能171は、被検体の乳房を撮像したX線画像に基づく、乳房における注目領域の位置を示す注目領域情報を取得する。例えば、取得機能171は、被検体の乳房を撮像したX線画像の読影結果に基づく、乳房における注目領域の位置を示す注目領域情報を取得する。ここで、第3の実施形態に係る取得機能171は、被検体の乳房を撮像したX線画像の読影結果に基づいて求められた、乳房を模式的に表した乳房診断用の模式図上における注目領域の位置の情報を、注目領域情報として取得する。例えば、取得機能171は、注目領域情報として、
図6に図示した保存用の模式図や
図7に図示した保存用の模式図を取得する。
【0114】
そして、取得機能171は、取得した注目領域情報を記憶回路160に記憶させる。これにより、記憶回路160は、注目領域情報を記憶する。すなわち、記憶回路160は、被検体の乳房を撮像したX線画像に基づいて求められた、乳房を模式的に表した乳房診断用の模式図上における注目領域の位置の情報を記憶する。例えば、記憶回路160は、被検体の乳房を撮像したX線画像の読影結果に基づいて求められた、乳房を模式的に表した乳房診断用の模式図上における注目領域の位置の情報を記憶する。
【0115】
設定条件決定機能172は、乳房に対する超音波画像診断における条件を、注目領域情報を参照して設定する。ここで、第3の実施形態に係る設定条件決定機能172は、乳房に対する超音波画像診断における設定条件として、注目領域の位置の情報を参照して、超音波走査における乳房の複数の領域に対する走査順序を求める。
【0116】
図21は、第3の実施形態に係る超音波診断装置100による処理手順を示すフローチャートである。
図21に示すように、取得機能171は、マンモグラフィ装置20から読影結果に基づく、注目領域情報を取得する(ステップS301)。例えば、取得機能171は、注目領域情報として、「保存用の模式図」を取得する。
【0117】
続いて、処理回路170は、撮像条件を設定する(ステップS302)。例えば、処理回路170は、画質、表示スケール(表示深度)、フォーカス位置を設定する。なお、処理回路170は、第1の実施形態と同様にして、表示スケール(表示深度)やフォーカス位置を設定してもよい。
【0118】
また、設定条件決定機能172は、模式図の情報からプロトコルを設定する(ステップS303)。なお、ステップS303の詳細については、
図22〜
図24を用いて後述する。そして、設定条件決定機能172による設定処理の終了後、処理回路170は、超音波プローブ101による超音波走査を制御して、超音波画像の撮像を開始する(ステップS304)。
【0119】
図22〜
図24は、第3の実施形態を説明するための図である。
図22では、保存用の模式図中に関心領域が配置されていない場合の処理を説明する。かかる場合、設定条件決定機能172は、デフォルトで設定されている走査順序を走査条件として設定する。ここで、デフォルトで設定されている走査順序では、ソノグラファーは、
図22右図に示すように、乳房の領域Aをスキャンし(ステップS401)、続いて、領域Bをスキャンする(ステップS402)。そして、ソノグラファーは、領域C、C´をスキャンし(ステップS403)、最後に領域D、Eをスキャンする(ステップS404)。なお、
図22において説明した、デフォルトで設定されている走査順序は、あくまで一例であり、走査者や施設によっては異なる走査順序がデフォルトで設定される場合がある。
【0120】
また、設定条件決定機能172は、走査前の領域と、走査中の領域と、走査終了後の領域とを異なる形態で示した走査順序を、超音波走査時に参照されるディスプレイ103に表示させる。例えば、設定条件決定機能172は、
図22右図に示すように、超音波走査用のボディーマークを領域Aと、領域Bと、領域C及び領域C´と、領域D及び領域Eとに4分割し、走査前の領域をドットで示し、走査中の領域を網掛けで示し、走査終了後の領域を白抜きで示すものとする。
【0121】
そして、設定条件決定機能172は、
図22右図に示すように、スタート時には、ボディーマークにおける全ての領域を走査前であることを示すドットで表示させる。続いて、設定条件決定機能172は、ステップS401において、最初に走査する領域Aを走査中であることを示す網掛けで表示させ、残りの領域Bと、領域C及び領域C´と、領域D及び領域Eとを走査前であることを示すドットで表示させる。
【0122】
そして、設定条件決定機能172は、領域Aの走査終了後のステップS402において、次に走査する領域Bを走査中であることを示す網掛けで表示させ、走査終了後の領域Aを白抜きで表示させ、残りの領域C及び領域C´と、領域D及び領域Eとを走査前であることを示すドットで表示させる。
【0123】
また、設定条件決定機能172は、領域Bの走査終了後のステップS403において、次に走査する領域C及び領域C´を走査中であることを示す網掛けで表示させ、走査終了後の領域Aと領域Bとを白抜きで表示させ、残りの領域D及び領域Eとを走査前であることを示すドットで表示させる。続いて、設定条件決定機能172は、領域C及び領域C´の走査終了後のステップS404において、次に走査する領域D及び領域Eを走査中であることを示す網掛けで表示させ、走査終了後の領域Aと領域Bと領域C及び領域C´とを白抜きで表示させる。そして、設定条件決定機能172は、領域D及び領域Eの走査終了後に、全ての領域を走査終了後であることを示す白抜きで表示させる。
【0124】
図22に示す例では、保存用の模式図中に関心領域が配置されていない場合の処理を説明した。一方で、保存用の模式図中に関心領域が配置されている場合、デフォルトで設定されている走査順序ではなく、関心領域が配置されている領域を優先的に走査してもよい。そこで、設定条件決定機能172は、乳房の複数の領域のうち、注目領域の位置の情報に対応する領域に対して、走査順序の優先度を高く設定する場合について
図23を用いて説明する。
【0125】
図23に示す例では、
図6に示すように、保存用の模式図中の領域Bに関心領域が配置されているものとする。かかる場合、設定条件決定機能172は、
図22に示したデフォルトで設定されている走査順序を、
図23右図に示すように、領域Bの走査順序の優先度を高く設定する。すなわち、領域Bの走査順序の優先度を高く設定した走査順序では、ソノグラファーは、
図23右図に示すように、乳房の領域Bをスキャンし(ステップS501)、続いて、領域Aをスキャンする(ステップS502)。そして、ソノグラファーは、領域C、C´をスキャンし(ステップS503)、最後に領域D、Eをスキャンする(ステップS504)。
【0126】
なお、設定条件決定機能172は、注目領域情報に対応する領域に対して、走査順序の優先度を高く設定する場合も、
図23右図に示すように、走査前の領域と、走査中の領域と、走査終了後の領域とを異なる形態で超音波走査時に参照されるディスプレイ103に表示させる。
【0127】
なお、
図23に示す例では、関心領域が配置されている領域を優先的に走査する場合について説明した。しかしながら、設定条件決定機能172は、乳房の複数の領域のうち、注目領域の位置の情報に対応する領域のみを超音波走査の走査領域に設定するようにしてもよい。
図24に示す例では、
図6に示すように、保存用の模式図中の領域Bに関心領域が配置されている場合について説明する。かかる場合、設定条件決定機能172は、領域Bをスキャンし(ステップS601)、処理を終了する。また、設定条件決定機能172は、
図24右図に示すように、走査前の領域と、走査中の領域と、走査終了後の領域とを異なる形態で超音波走査時に参照されるディスプレイ103に表示させる。かかる場合、設定条件決定機能172は、スタート時には、領域Bのみを走査前であることを示すドットで表示させ、他の領域Aと、領域C及び領域C´と、領域D及び領域Eとを走査終了後であることを示す白抜きで表示させる。そして、設定条件決定機能172は、ステップS601において、最初に走査する領域Bを走査中であることを示す網掛けで表示させ、残りの領域Aと、領域C及び領域C´と、領域D及び領域Eとを走査終了後であることを示す白抜きで表示させる。そして、設定条件決定機能172は、領域Bの走査終了後に、全ての領域を走査終了後であることを示す白抜きで表示させる。
【0128】
このように、第3の実施形態では、乳房を模式的に表した乳房診断用の模式図上における注目領域の位置を注目領域情報として取得し、超音波画像診断に際して、注目領域情報を参照して、超音波走査における乳房の複数の領域に対する走査順序を走査条件として設定する。これにより、第3の実施形態によれば、例えば、ソノグラファーは、病巣部位と疑わしい関心領域から優先的に検査することが可能になる。更に、ソノグラファーは、検査の開始時に、走査順序を視覚的に把握することが可能になる。この結果、第3の実施形態によれば、例えば、ソノグラファーの負担を軽減し、超音波検査時間を短縮してワークフローを改善することができる。
【0129】
ところで、上述した第3の実施形態では、マンモグラフィ画像の読影結果に基づく、関心領域の位置を参照して、走査順序を設定するものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、マンモグラフィ画像の撮像において、乳房の領域のうち撮像できない領域であるブラインドエリアが生じる場合がある。このようなことから、第3の実施形態に係る超音波診断装置100は、ブラインドエリアの位置を参照して、走査順序を設定するようにしてもよい。
【0130】
図25は、MLO画像の撮影におけるブラインドエリアを示す図であり、
図26は、CC画像の撮影におけるブラインドエリアを示す図である。例えば、
図25に示すように、MLO画像の撮影では、乳房の上部内側(
図25の左図を参照)及び下部(
図25の右図を参照)にブラインドエリア301が生じやすい。また、例えば、
図26に示すように、CC画像の撮影では、乳房の上部(
図26の左図を参照)及び外側の腋窩に近い側(
図26の右図を参照)にブラインドエリア302が生じやすい。
【0131】
ここで、例えば、MLO画像の撮影又はCC画像の撮影で生じたブラインドエリアに病変部が存在していた場合には、MLO画像及びCC画像の少なくとも一方に関心領域が設定されない場合もあり得る。例えば、
図25の左図に示すように、乳房の上部内側のブラインドエリアに病変部が存在していた場合には、その病変部がMLO画像に描出されず、その結果、MLO画像に関心領域が設定されない場合がある。また、例えば、
図26の左図に示すように、乳房の上部のブラインドエリアに病変部が存在していた場合には、その病変部がCC画像に描出されず、その結果、CC画像に関心領域が設定されない場合がある。
【0132】
このようなことから、例えば、MLO画像及びCC画像の少なくとも一方に関心領域が設定されない場合に、乳房の模式図上に、ブラインドエリアを示す情報をさらに表示するようにしてもよい。この場合には、例えば、画像処理装置30において、位置特定機能35eが、マンモグラフィ画像に基づいて、ブラインドエリアが生じているか否かをさらに特定する。そして、位置特定機能35eは、特定した結果に基づいて、模式図上での関心領域の位置情報に加えて、模式図上でのブラインドエリアの位置情報を示した保存用の模式図を生成する。そして、例えば、超音波診断装置100が、位置特定機能35eによって生成された保存用の模式図に基づいて、模式図上での関心領域の位置情報とともに、模式図上でのブラインドエリアの位置情報をさらに出力する。
【0133】
そして、設定条件決定機能172は、保存用の模式図を参照して、ブラインドエリアが生じていると判定した場合には、ブラインドエリアが生じている領域の走査の優先順位を高めるようにしてもよい。
【0134】
また、設定条件決定機能172は、マンモグラフィ画像の所見に基づいて、超音波診断装置100の撮像時に使用するアプリケーションを自動的に設定するようにしてもよい。例えば、設定条件決定機能172は、マンモグラフィ画像において設定された関心領域の情報から、例えば石灰化所見で確認された場合、石灰化状況を観察しやすいアプリケーションが簡便に立ち上がるプロトコルを適用する。また、例えば、設定条件決定機能172は、良悪性の鑑別が困難な腫瘤であれば、血流情報を得ることが可能なカラードプラ画像や腫瘤の硬さ情報を得ることが可能なエラストグラフィ画像を簡便に撮像できるプロトコルを適用する。
【0135】
(その他の実施形態)
実施形態は、上述した実施形態に限られるものではない。
【0136】
例えば、上述した実施形態では、取得機能171は、注目領域情報(乳房における注目領域の位置、注目領域の大きさ、乳房の大きさ、及び乳房を模式的に表した乳房診断用の模式図上における注目領域の位置)を、読影医等の医師による、被検体の乳房を撮像したX線画像の読影結果に基づいて取得するものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、取得機能171は、X線画像を参照する技師等によって付された情報に基づいて、注目領域情報を取得するようにしてもよい。例えば、技師は、X線画像を参照し、「乳房領域情報(ブレストの大きさ)」と、「体表からROIまでの距離」と、「腫瘤の大きさ・形状」とを対応付けて記憶回路34に記憶させる。或いは、技師は、X線画像を参照して、乳房を模式的に表した乳房診断用の模式図上における注目領域の位置に印を付けて保存用の模式図を生成する。そして、技師は、生成した保存用の模式図を対象の被検体に割り当てられている患者IDと対応付けて、記憶回路34に記憶させる。すなわち、取得機能171は、被検体の乳房を撮像したX線画像に基づいて求められた、注目領域情報(乳房における注目領域の位置、注目領域の大きさ、乳房の大きさ、及び乳房を模式的に表した乳房診断用の模式図上における注目領域の位置の少なくとも1つの情報)を取得する。そして、取得機能171は、取得した注目領域情報を記憶回路160に記憶させる。これにより記憶回路160は、被検体の乳房を撮像したX線画像に基づいて求められた、注目領域情報(乳房における注目領域の位置、注目領域の大きさ、乳房の大きさ、及び乳房を模式的に表した乳房診断用の模式図上における注目領域の位置の少なくとも1つの情報)を記憶する。
【0137】
超音波診断装置100による撮像後、超音波画像の読影結果を参照して、再度マンモグラフィ画像を読影する場合がある。このようなことから、超音波診断装置100によって撮像された超音波画像の読影結果に基づいて設定された関心領域の位置情報を画像処理装置30に送信することによって、マンモグラフィ画像を読影する際に最適な順序でマンモグラフィ画像が表示されるように制御してもよい。
【0138】
かかる場合、超音波診断装置100の処理回路は、位置特定機能を更に実行する。位置特定機能は、超音波画像において設定された関心領域の位置情報を特定する。そして、位置特定機能は、特定した関心領域の位置情報を画像処理装置30に送信する。そして、画像処理装置30の処理回路35は、画像読出機能を更に実行する。画像読出機能は、位置特定機能により特定された関心領域の位置情報に基づいて、MLO画像あるいはCC画像のどちらを優先的に表示するかを切り替える。これにより、総合判定フェーズにおいて、超音波画像の読影結果に連動して、マンモグラフィ画像の読影のワークフローを最適化することが可能になる。
【0139】
上述した実施形態では、超音波診断装置100において、取得機能171と設定条件決定機能172とを実行するものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、画像処理装置30において、取得機能171と設定条件決定機能172とを実行するようにしてもよい。あるいは、画像処理装置30において、取得機能171を実行し、超音波診断装置100において、設定条件決定機能172を実行するようにしてもよい。
【0140】
上記の実施形態の説明において、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0141】
また、上記の実施形態で説明した制御方法は、予め用意された制御プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この制御プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この制御プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0142】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、マンモグラフィ画像と超音波画像とを併用する検診において、ワークフローを効率化することができる。
【0143】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。