(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1つのボスが、前記中央プレナムセクション(24)から当該コア(10)の第1の側に向かって外向きに延びる第1のボスと、前記中央プレナムセクション(24)から当該コア(10)の第2の側に向かって外向きに延びる第2のボスとを含む、請求項1に記載のコア(10)。
前記少なくとも1つのボスが前記中央プレナムセクション(24)から一対の外側通路セクション(26)の間を通って外向きに延び、前記少なくとも1つのボスが、当該コア(10)の正圧側面又は負圧側面上に配置される、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のコア(10)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の図面は縮尺通りではない点に留意されたい。当該図面は、本開示の典型的な態様のみを描くことを意図しており、従って、本開示の範囲を限定するものとみなすべきではない。図面では、同じ参照符号は、複数の図面にわたり同じ要素を示している。
【0011】
上述のように、本開示は、全体的に、タービンシステムに関し、より詳細には、多重壁タービン翼形部鋳造のための中央プレナム支持体に関する。
【0012】
セッター焼成ステップは、多重壁翼形部(例えば、多重壁タービン翼形部)の鋳造プロセスにおいて使用されるコア(例えば、セラミックコア)の寸法を制御し、修正するために利用されることが多い。
図1に示すように、このステップは、例えば、コア10を下側セッターブロック12内に配置し、コア10及び下側セッターブロック12に対して上側セッターブロック14を閉鎖し、焼成プロセスを実施することを含む。下側及び上側セッターブロック12、14は、コア10の所望の形状を定めるキャビティ16(
図2)を形成する。焼成プロセス中、コア10は高温になって軟化する。軟化したコア10に接触する上側セッターブロック14の重量により、コア10はキャビティ16の形状に一致する。
図2に示すように、キャビティ16は、下側及び上側セッターブロック12、14の内面18、20により定められる。
【0013】
コア10は、多重壁翼形部22の鋳造プロセス中に使用される(例えば、
図8及び
図9を参照されたい)。
図3に示すように、コア10は、多重壁翼形部22の中央プレナム124(
図8〜
図11)を形成するように構成された複数の中央プレナムセクション24と、多重壁翼形部22の外側冷却通路126(
図8〜
図11)を形成するように構成された複数の外側通路セクション26とを含む。コア10は、少なくとも部分的に外側通路セクション26により定められる外面28を有する。
【0014】
実施形態によれば、各々の中央プレナムセクション24は、中央セクション32、少なくとも1つの下側ボス34、及び少なくとも1つの上側ボス36を含む。下側及び上側ボス34、36は、中央プレナムセクション24の中央セクション32から、コア10の外面28へ、しかしこれを超えずに外向きに延びる。各々の下側ボス34は、コア10を用いて形成される多重壁翼形部22(
図8、
図9)の正圧側面に対応する、コア10の「正圧」すなわち凹状側面上に配置される。同様に、各々の上側ボス36は、コア10を用いて形成される多重壁翼形部22(
図8、
図9)の負圧側面に対応する、コア10の「負圧」すなわち凸状側面上に配置される。下側及び上側ボス34、36は、焼成中、下側セッターブロック12及び上側セッターブロック14により形成されるキャビティ16における中央プレナムセクション24の位置を制御し、その移動を防止する。
図3〜
図5及び
図7に示すように各々の下側及び上側ボス34、36は、一対の外側通路セクション26の間に中央プレナムセクション24から外向きに延びることができる。
【0015】
下側及び上側ボス34、36は、下側及び上側セッターブロック12、14の内面18、20にしっかりと係合するように構成される。
図7に示すような確実な係合を与えるために、各々の下側ボス34の外側接触面38は、対応する接触領域における下側セッターブロック12の内面18の輪郭に合致する輪郭を有する。同様に、各々の上側ボス36の外側接触面40は、対応する接触領域における上側セッターブロック14の内面20の輪郭に合致する輪郭を有する。有利なことに、従来の技術とは異なり、下側ボス34及び上側ボス36は、外側通路セクション26には接触せず、そのため、中央プレナム124と、コア10を用いて形成された多重壁翼形部22の外側冷却通
路126(
図8〜
図11)との間に穴が形成されることが防止される。
【0016】
図4には、下側ボス34及び隣接する外側通路セクション26の平面図が示される。
図5には、上側ボス36及び隣接する外側通路セクション26の平面図が示される。
【0017】
図4に示すように、各々の下側ボス34は、実質的に楕円形の構成を有することができる。チャネル42(
図3及び
図7(破線)、並びに
図6も参照されたい)は、下側ボス34の第1の端部の周りで広がり、下側ボス34の第2の端部で収束する。下側ボス34の両側における、コア10の外側通路セクション26に対応する外側冷却通路126を通って流れる空気(
図10に矢印Aで表される)の乱流及び圧力損失を制限するために、下側ボス34は、約3:1乃至約10:1の長さ対幅の比を有することができる。特定の実施形態においては、約7:1の長さ対幅の比を用いることができる。下側ボス34は、楕円形として説明されるが、他の何らかの適切な構成を有してもよい。
【0018】
同様に、
図5に示すように、実施形態において、上側ボス36もまた実質的に楕円形の構成を有することができる。チャネル44(
図3及び
図7(破線)、並びに
図6も参照されたい)は、上側ボス36の第1の端部の周りで広がり、上側ボス36の第2の端部で収束する。上側ボス36の両側における、コア10の外側通路セクション26に対応する外側冷却通路126を通って流れる空気(
図11に矢印Bで表される)の乱流及び圧力損失を制限するために、上側ボス36は、約3:1乃至約10:1の長さ対幅の比を有することができる。特定の実施形態においては、約7:1の長さ対幅の比を用いることができる。上側ボス36は、楕円形として説明されるが、他の何らかの適切な構成を有してもよい。
【0019】
図12は、複数の下側ボス34を含むコア10の平面図である。
図13は、複数の上側ボス36を含むコア10の平面図である。
図12に示すように、チャネル42は、下側ボス34の第1の端部の周りで広がり、下側ボス34の第2の端部で収束する。チャネル42はまた、下側ボス34を隣接する下側ボス34にも接続する。同様に、
図13に示すように、チャネル44は、上側ボス36の第1の端部の周りで広がり、上側ボス36の第2の端部で収束する。チャネル44はまた、上側ボス36を隣接する上側ボス36にも接続する。
【0020】
実施形態によれば、中央プレナムセクション24は、バンパーを使用することなく、位置制御が可能になり、冷却流がキャビティ間で(例えば、中央プレナム124と外側冷却通路126(
図8〜
図11)との間で)流れるのを潜在的に可能にする、バンパーを使用することで形成される穴を排除する。さらに、中央プレナムセクション24の位置をより良く制御することにより、バンパーを使用することなく、よりしっかりと管理されたリブ壁厚がもたらされ、タービンブレードが、決定論的解決法でより少ない冷却空気を使用することを可能にし、従って、ガスタービンの性能及び出力が向上する。中央プレナムセクション24の下側及び上側ボス34、36の、下側及び上側セッターブロック12、14への直接的な接触線が形成され、外側
通路セクション26と関係なく、中央プレナムセクション24の位置を制御することが可能になる。
【0021】
多重壁翼形部の内壁の厚さを測定するのは困難で費用がかかり、多くの場合、MRI測定を必要とする。
図8において、こうした内壁130を示す。
【0022】
実施形態によれば、多重壁翼形部22の内壁130の厚さT
1は、費用及び時間のかかるMRI測定を必要とすることなく、容易に推測することができる。例えば、多重壁翼形部22の外壁132は、第1の点X及び第2の点Yにおいて測定して(例えば、超音波を用いて)、厚さT
2及びT
3をそれぞれ求めることができる。点Xは、(この場合)外側冷却通路126に隣接し、一方、点Yは、コア10の中央プレナムセクション24の下側ボス34(
図7)により形成された中央プレナム124の突起部134に隣接する。外側冷却通路126の深さD
1及び中央プレナム124の突起部134の深さD
2は、それぞれ、コア10の対応する外側通路セクション26に及び対応する下側ボス34の寸法から既知であるので、内壁130の厚さT
1は、T
1=(T
3+D
2)−(T
2+D
1)として求めることができる。内壁130の厚さは、多重壁翼形部22の他の点においても、同様の方法で求めることができる。
【0023】
様々な実施形態において、互いに「結合される」ものとして記載される構成要素は、1つ又はそれ以上の境界部に沿って接合することができる。一部の実施形態において、これらの境界部は、別個の構成要素間の接合部を含むことができ、他の場合では、これらの境界部は、堅固に及び/又は一体的に形成される相互接続部を含むことができる。すなわち、一部の場合において、互いに「結合される」構成要素は、単一の連続部材を定めるよう同時に形成することができる。しかしながら、他の実施形態では、これらの結合された構成要素は、別個の部材として形成されて、その後、既知のプロセス(例えば、締結、超音波溶接、接着)を通じて接合してもよい。
【0024】
要素又は層が別の要素「の上にある」、「に係合される」、「に接続される」、又は「に結合される」と呼ばれる場合、要素又は層は、直接的に別の要素の上にあり、係合され、接続され、又は結合することができ、或いは、介在要素が存在してもよい。対照的に、要素が別の要素の「直接的に上にあり」、「直接係合され」、「直接接続され」、又は「直接結合される」と呼ばれる場合には、介在する要素又は層は存在しない。要素間の関係を記述するのに使用される他の用語は、同様に解釈すべきである(例えば、「間にある」と「直接間にある」、「隣接する」と「直接隣接する」、その他)。本明細書で使用される用語「及び/又は」は、関連して挙げられる要素の1つ又はそれ以上の要素の何れか及び全ての組み合わせを含む。
【0025】
本明細書で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、本開示を限定するものではない。本明細書で使用される単数形態は、前後関係から明らかに別の意味を示さない限り、複数形態も含む。更に、本明細書内で使用する場合に、「含む」及び/又は「備える」という用語は、そこに述べた特徴部、完全体、ステップ、動作、要素及び/又は構成要素の存在を明示しているが、1つ又はそれ以上の特徴部、完全体、ステップ、動作、要素、構成要素及び/又はそれらの群の存在又は付加を排除するものではないことは理解されるであろう。
【0026】
本明細書は、最良の形態を含む実施例を用いて本発明を開示し、また、あらゆる当業者が、あらゆるデバイス又はシステムを実施及び利用すること、並びにあらゆる組み込み方法を実施することを含む本発明を実施することを可能にする。本発明の特許保護される範囲は、請求項によって定義され、当業者であれば想起される他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、請求項の文言と差違のない構造要素を含む場合、或いは、請求項の文言と僅かな差違を有する均等な構造要素を含む場合には、本発明の範囲内にあるものとする。
【0027】
最後に、代表的な実施態様を以下に示す。
[実施態様1]
タービン翼形部鋳造のためのコアであって、
中央プレナムセクションと、
複数の外側通路セクションと、
を備え、
中央プレナムセクションは、中央プレナムセクションからコアの外側輪郭まで外向きに延びる少なくとも1つのボスを含む、コア。
[実施態様2]
少なくとも1つのボスは、中央プレナムセクションからコアの第1の側に向かって外向きに延びる第1のボスと、中央プレナムセクションからコアの第2の側に向かって外向きに延びる第2のボスとを含む、実施態様1に記載のコア。
[実施態様3]
第1のボスは、第1のセッターブロック上の対応する接触領域の輪郭に合致する輪郭を有する外側接触面を有し、第2のボスは、第2のセッターブロック上の対応する接触領域の輪郭に合致する輪郭を有する外側接触面を有する、実施態様2に記載のコア。
[実施態様4]
コアは、第1のセッターブロックと第2のセッターブロックとの間に配置され、少なくとも1つのボスは、焼成プロセス中、
第1のセッターブロック及び
第2のセッターブロックにより形成されるキャビティにおける中央プレナムセクションの位置を制御し、その移動を防止する、実施態様3に記載のコア。
[実施態様5]
少なくとも1つのボスは、楕円形状を有する、実施態様1に記載のコア。
[実施態様6]
楕円形状は、約3:1乃至約10:1の範囲の長さ対幅の比を有する、実施態様5に記載のコア。
[実施態様7]
楕円形状は、約7:1の長さ対幅の比を有する、実施態様5に記載のコア。
[実施態様8]
少なくとも1つのボスは、一対の外側通路セクションの間に中央プレナムセクションから外向きに延びる、実施態様1に記載のコア。
[実施態様9]
少なくとも1つのボスは、コアの正圧側面又は負圧側面上に配置される、実施態様1に記載のコア。
[実施態様10]
鋳造は、多重壁翼形部鋳造を含む、実施態様1に記載のコア。
[実施態様11]
鋳造のためのコアを形成する方法であって、
第1のセッターブロック上にコアの第1の側を配置するステップであって、コアは、中央プレナムセクションと、複数の外側通路セクションとを含み、中央プレナムセクションは、中央プレナムセクションからコアの外側輪郭まで外向きに延びる少なくとも1つのボスを含む、ステップと、
コアの第2の側に対して第2のセッターブロックを閉鎖するステップと、
コアを加熱するステップと、
を含む、方法。
[実施態様12]
少なくとも1つのボスは、中央プレナムセクションからコアの第1の側に向かって外向きに延びる第1のボスと、中央プレナムセクションからコアの第2の側に向かって外向きに延びる第2のボスとを含む、実施態様11に記載の方法。
[実施態様13]
第1のボスは、第1のセッターブロック上の対応する接触領域の輪郭に合致する輪郭を有する外側接触面を有し、第2のボスは、第2のセッターブロック上の対応する接触領域の輪郭に合致する輪郭を有する外側接触面を有する、実施態様12に記載の方法。
[実施態様14]
第1のボス及び第2のボスは、中央プレナムセクションからコアの外側輪郭まで外向きに延びる、実施態様12に記載の方法。
[実施態様15]
少なくとも1つのボスを用いて、コアの加熱中、
第1のセッターブロック及び
第2のセッターブロックにより形成されるキャビティにおける中央プレナムセクションの位置を制御するステップをさらに含む、実施態様11に記載の方法。
[実施態様16]
少なくとも1つのボスを用いて、コアの加熱中、
第1のセッターブロック及び
第2のセッターブロックにより形成されるキャビティにおける中央プレナムセクションの移動を防止するステップをさらに含む、実施態様11に記載の方法。
[実施態様17]
少なくとも1つのボスは、楕円形状を有する、実施態様11に記載の方法。
[実施態様18]
楕円形状は、約3:1乃至約10:1の範囲の長さ対幅の比を有する、実施態様17に記載の方法。
[実施態様19]
多重壁翼形部の内壁の厚さT1を測定する方法であって、内壁は、多重壁翼形部の外側冷却通路と中央プレナムとの間に配置され、中央プレナムは、多重壁翼形部の外壁に向かって延びる突起部を含む、方法において、
外側冷却通路に隣接する第1の点における多重壁翼形部の外壁の厚さ測定値T2を得るステップと、
中央プレナムの突起部に隣接する第2の点における多重壁翼形部の外壁の厚さ測定値T3を得るステップと、
を含み、
D1は外側冷却通路の深さであり、D2は中央プレナムの突起部の深さであり、かつ、D1及びD2は多重壁翼形部を形成するのに使用されるコアの対応する寸法から既知であるものとして、多重壁翼形部の内壁の厚さT1は、T1=(T3+D1)−(T2+D2)によって与えられる、方法。
[実施態様20]
突起部は、コアの中央プレナムセクションの下側ボス又は上側ボスに対応する、実施態様19に記載の方法。