特許第6971569号(P6971569)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971569
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】送信装置、および送信方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 27/26 20060101AFI20211111BHJP
   H04B 1/04 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   H04L27/26 114
   H04L27/26 200
   H04L27/26 312
   H04B1/04 J
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-249604(P2016-249604)
(22)【出願日】2016年12月22日
(65)【公開番号】特開2018-107516(P2018-107516A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 逸平
(72)【発明者】
【氏名】棚橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】多賀 昇
(72)【発明者】
【氏名】大野 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】松下 賢一
【審査官】 谷岡 佳彦
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/136096(WO,A1)
【文献】 特開2013−093747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/26
H04B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)のサブキャリアの周波数帯域に、予め設定された間隔でパイロットシンボルを挿入する挿入部と、
前記サブキャリアの周波数帯域内に、当該周波数帯域の一部であり、予め設定された外部装置へ送信する送信信号に従って変調されかつ一方の端に前記パイロットシンボルを有する所定帯域を配置する配置部と、
前記サブキャリアの周波数帯域を複数のブロックに分割する分割部と、
前記ブロックに対して逆高速フーリエ変換を行うIFFT部と、
逆高速フーリエ変換を行った前記ブロック毎に、PAPR(Peak-to-Average Power Ratio)特性を低減する位相回転を行う位相回転部と、
前記位相回転部によって位相回転を行った前記送信信号を合成して前記外部装置に送信する送信部と、を備え、
前記分割部は、前記所定帯域と、当該所定帯域において前記一方の端とは反対側の他方の端の外側の少なくとも1つの前記パイロットシンボルとを、1つの前記ブロックに含め、
前記位相回転部は、前記ブロックのうち前記所定帯域を含む第1ブロックに対して行う位相回転の量の候補を、前記ブロックのうち前記所定帯域を含まない第2ブロックに対して行う位相回転の量の候補より多くする送信装置。
【請求項2】
前記送信部は、前記所定帯域の前記送信信号をブーストする請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
OFDMのサブキャリアの周波数帯域に、予め設定された間隔でパイロットシンボルを挿入し、
前記サブキャリアの周波数帯域内に、当該周波数帯域の一部であり、予め設定された外部装置へ送信する送信信号に従って変調されかつ一方の端に前記パイロットシンボルを有する所定帯域を配置し、
前記サブキャリアの周波数帯域を複数のブロックに分割し、
前記ブロックに対して逆高速フーリエ変換を行い、
逆高速フーリエ変換を行った前記ブロック毎に、PAPR特性を低減する位相回転を行い、
位相回転を行った前記送信信号を合成して前記外部装置に送信し、
前記所定帯域と、当該所定帯域において前記一方の端とは反対側の他方の端の外側の少なくとも1つの前記パイロットシンボルとを、1つの前記ブロックに含め、
前記ブロックのうち前記所定帯域を含む第1ブロックに対して行う位相回転の量の候補を、前記ブロックのうち前記所定帯域を含まない第2ブロックに対して行う位相回転の量の候補より多くする、
ことを含む送信方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、送信装置、および送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式は、送信信号のPAPR(Peak-to-Average Power Ratio)が非常に高いことが知られている。PAPRが高い送信信号は、電力増幅器による歪みの原因となるため、PAPRの低減は重要な研究テーマであり、数々のPAPRの低減方法が考案されている。その中で、PTS(Partial Transmit Sequence)は、送信信号に歪みを付与しない特長を有するため、好適なPAPRの低減方法とされている。ここで、PTSは、OFDMのサブキャリアを複数のブロックに分割し、当該各ブロックに対応する送信信号に対して、PAPRを低減する位相回転を行う方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−82283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、PTSを行った送信信号を送信する送信装置は、送信信号に対して行った位相回転の量である位相回転量を、当該送信信号を受信する受信装置に対して通知する必要がある。しかしながら、送信装置と受信装置との間で送信信号を伝送する伝送路の環境が劣悪であると、送信装置は、受信装置に対して、位相回転量を通知できない場合がある。この場合、受信装置は、受信した送信信号を復調することが難しくなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の送信装置は、挿入部と、配置部と、分割部と、IFFT部と、位相回転部と、送信部と、を備える。挿入部は、OFDMのサブキャリアの周波数帯域に、予め設定された間隔でパイロットシンボルを挿入する。配置部は、サブキャリアの周波数帯域内に、当該周波数帯域の一部であり、予め設定された外部装置へ送信する送信信号に従って変調されかつ一方の端にパイロットシンボルを有する所定帯域を配置する。分割部は、サブキャリアの周波数帯域を複数のブロックに分割する。IFFT部は、ブロックに対して逆高速フーリエ変換を行う。位相回転部は、逆高速フーリエ変換を行ったブロック毎に、PAPR特性を低減する位相回転を行う。送信部は、位相回転部によって位相回転を行った送信信号を合成して外部装置に送信する。また、分割部は、所定帯域と、当該所定帯域において一方の端とは反対側の他方の端の外側の少なくとも1つのパイロットシンボルとを、1つのブロックに含める。また、位相回転部は、ブロックのうち所定帯域を含む第1ブロックに対して行う位相回転の量の候補を、ブロックのうち所定帯域を含まない第2ブロックに対して行う位相回転の量の候補より多くする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本実施形態にかかる送信装置の構成の一例を示す図である。
図2図2は、本実施形態にかかる送信装置による送信信号の送信に用いる周波数帯域の配置処理の一例を示す図である。
図3図3は、本実施形態にかかる送信装置によるサブキャリアの周波数のPTSブロックへの分割例を示す図である。
図4図4は、本実施形態にかかる送信装置による位相回転量の候補の生成例を示す図である。
図5図5は、本実施形態にかかる送信装置において逆高速フーリエ変換を行った各PTSブロックの送信信号の信号強度の一例を示す図である。
図6図6は、本実施形態にかかる送信装置において位相回転を行った各PTSブロックの送信信号の信号強度の一例を示す図である。
図7図7は、本実施形態にかかる受信装置の構成の一例を示す図である。
図8図8は、本実施形態にかかる受信装置によって受信する送信信号の帯域の一例を示す図である。
図9図9は、本実施形態にかかる送信装置において移動体受信向け帯域の低画質放送データをブーストする例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付の図面を用いて、本実施形態にかかる送信装置、および送信方法について説明する。
【0008】
図1は、本実施形態にかかる送信装置の構成の一例を示す図である。図1に示すように、本実施形態にかかる送信装置1は、誤り訂正符号化部101、コンスタレーションマッパー102、周波数配置部103、パイロット挿入部104、セグメント分割部105、部分波形生成部106、加算部107、PAPR評価部108、GI挿入部109、および位相回転パターン生成部110を有する。
【0009】
誤り訂正符号化部101は、外部装置に送信する送信信号に対して、誤りが発生した場合にそれを検出し、当該検出した誤りを訂正する誤り検出訂正処理を実行する。本実施形態では、誤り訂正符号化部101には、外部装置に送信する送信信号として、低画質放送データおよび高画質放送データが入力され、それぞれのデータに対して誤り検出訂正処理を実行する。ここで、低画質放送データは、送信装置1がデータを送信する外部装置のうち、移動体(予め設定された外部装置の一例。本実施形態では、後述する受信装置2)に送信する移動体受信向けのデータである。高画質放送データは、送信装置1がデータを送信する外部装置のうち、固定された装置に送信する固定受信向けのデータである。
【0010】
コンスタレーションマッパー102は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)のサブキャリアの周波数帯域において、予め設定された周期で配置するパイロットシンボル(例えば、スキャッタードパイロットSP)のコンスタレーションを決定する。
【0011】
周波数配置部103は、OFDMのサブキャリアの周波数帯域において、送信信号の送信に用いる周波数帯域を決定する。図2は、本実施形態にかかる送信装置による送信信号の送信に用いる周波数帯域の配置処理の一例を示す図である。図2に示すように、周波数配置部103は、OFDMのサブキャリアの周波数帯域に、当該周波数帯域の一部であり、低画質放送データに従って変調され、かつ一方の端に、後述するパイロット挿入部104により挿入されるスキャッタードパイロットSPを有する移動体受信向け帯域(所定帯域の一例)を配置する。また、図2に示すように、周波数配置部103は、OFDMのサブキャリアの周波数帯域において、高画質放送データに従って変調されかつ移動体受信向け帯域以外の帯域を固定受信向け帯域とする。
【0012】
パイロット挿入部104は、図2に示すように、OFDMのサブキャリアの周波数帯域に対して、予め設定された間隔で、スキャッタードパイロットSP(パイロットシンボルの一例)を挿入する。セグメント分割部105は、サブキャリアの周波数帯域を複数のブロック(以下、PTSブロックと言う)に分割する。ここで、PTSブロックは、サブキャリアの周波数帯域のうち、後述する部分波形生成部106によって同一の位相回転が行われるブロックである。
【0013】
図3は、本実施形態にかかる送信装置によるサブキャリアの周波数のPTSブロックへの分割例を示す図である。本実施形態では、セグメント分割部105は、図3に示すように、サブキャリアの周波数帯域を、位相回転量θ1で位相回転が施されるPTSブロック、位相回転量θ2で位相回転が施されるPTSブロック、および位相回転量θ3で位相回転が施されるPTSブロックを含む複数のPTSブロックに分割する。その際、セグメント分割部105は、図2および図3に示すように、移動体受信向け帯域と、当該移動体受信向け帯域において一方の端(すなわち、スキャッタードパイロットSPが挿入された端)とは反対側の他方の端の外側の少なくとも1つのスキャッタードパイロットSPとを、1つのPTSブロックに含めるものとする。
【0014】
部分波形生成部106は、IFFT部106aと、位相回転部106bと、を有する。IFFT部106aは、各PTSブロックに対して逆高速フーリエ変換を行う。位相回転部106bは、逆高速フーリエ変換を行ったPTSブロックに対して、PAPR(Peak-to-Average Power Ratio)を低減する位相回転(PTS:Partial Transmit Sequence)を行う。本実施形態では、位相回転部106bは、逆高速フーリエ変換を行ったPTSブロック毎に、PAPRが最小となる位相回転を行うものとする。
【0015】
位相回転パターン生成部110は、部分波形生成部106それぞれが備える位相回転部106bによる位相回転の位相回転量の候補を生成する。図4は、本実施形態にかかる送信装置による位相回転量の候補の生成例を示す図である。位相回転パターン生成部110は、図4に示すように、移動体受信向け帯域を含むPTSブロックに対して行う位相回転の位相回転量の候補θ2を、移動受信向け帯域を含まないPTSブロックに対して行う位相回転の位相回転量の候補θ1,θ3よりも多くする。
【0016】
加算部107(送信部の一例)は、各位相回転部106bにより位相回転が行われた送信信号を合成して、外部装置に送信する。PAPR評価部108は、加算部107により合成された送信信号のPAPRを求める。GI挿入部109は、加算部107により合成された送信信号に対してGI(Guard Interval)を挿入する。
【0017】
図5は、本実施形態にかかる送信装置において逆高速フーリエ変換を行った各PTSブロックの送信信号の信号強度の一例を示す図である。図6は、本実施形態にかかる送信装置において位相回転を行った各PTSブロックの送信信号の信号強度の一例を示す図である。図5および図6において、縦軸は、送信信号の虚数成分の信号強度を表し、横軸は、送信信号の実数成分の信号強度を表す。
【0018】
IFFT部106aから出力される3つのPTSブロックの送信信号を、位相回転を行わずに合成した場合、図5に示すように、3つのPTSブロックの送信信号のPAPRは、大きくなる。IFFT部106aから出力される3つのPTSブロックの送信信号に対して、それぞれ異なる位相回転(例えば、90°、270°、180°)を行って合成した場合、図6に示すように、3つのPTSブロックの送信信号のPAPRは、小さくなる。
【0019】
次に、図7および図8を用いて、本実施形態にかかる受信装置2の構成の一例について説明する。図7は、本実施形態にかかる受信装置の構成の一例を示す図である。図8は、本実施形態にかかる受信装置によって受信する送信信号の帯域の一例を示す図である。
【0020】
図7に示すように、本実施形態にかかる受信装置2は、GI削除部201、FFT部202、帯域切出部203、伝送路推定部204、コンスタレーションデマッパー205、および誤り訂正復号化部206を有する。また、受信装置2は、図8に示すように、図示しないチューナ(受信部の一例)によって、OFDMのサブキャリアの周波数帯域のうち、移動体受信向け帯域と、当該移動体受信向け帯域において一方の端とは反対側の他方の端の外側の少なくとも1つのスキャッタードパイロットSPとを含む帯域の送信信号を受信する。
【0021】
GI削除部201は、図示しないチューナによって受信した送信信号から、GIを削除する。FFT部202は、GIが削除された送信信号に対して高速フーリエ変換を行う。帯域切出部203は、高速フーリエ変換を行った送信信号から、移動体受信向け帯域の送信信号(すなわち、低画質放送データ)を切り出す。伝送路推定部204(推定部の一例)は、高速フーリエ変換を行った送信信号から、スキャッタードパイロットSPを抽出し、当該抽出したスキャッタードパイロットSPに基づいて、移動体受信向け帯域の伝送路応答を推定する。
【0022】
ここで、送信装置1と受信装置2間の振幅変動をa(f)とし、送信装置1と受信装置2間の位相変動をφ(f)とした場合、移動体受信向け帯域の伝送路応答は、H(f)=a(f)×e^(j×φ(f))と表される。そして、受信装置2は、上述したように、OFDMのサブキャリアの周波数帯域のうち、移動体受信向け帯域と、当該移動体受信向け帯域において一方の端とは反対側の他方の端の外側の少なくとも1つのスキャッタードパイロットSPとを含む帯域の送信信号を受信する。そして、移動体受信向け帯域を含むPTSブロックには、送信装置1において同一の位相回転量(例えば、図3に示すθ2)の位相回転が行われている。そのため、位相回転を位相変動の一部とみなした場合、移動体受信向け帯域の伝送路応答は、H(f)=a(f)×e^(j×(φ(f)+θ2))と表すことができる。
【0023】
よって、移動体受信向け帯域において、スキャッタードパイロットSPが配置されたサブキャリアをf_sp1,f_sp2,...とした場合、伝送路推定部204は、サブキャリアの伝送路応答であるH(f_sp1),H(f_sp2),...それぞれの間を内挿することによって、移動体受信向け帯域の全体の伝送路応答H(f)を推定できる。ここで、仮に、受信装置2が、OFDMのサブキャリアの周波数帯域のうち、移動体受信向け帯域の送信信号のみを受信した場合、移動体受信向け帯域の他方の端の外側のスキャッタードパイロットSPが得られない。そのため、伝送路推定部204は、移動体受信向け帯域の全体の伝送路応答Hを外挿によって求めなければならず、伝送路応答の推定精度が著しく低下する。
【0024】
これに対して、本実施形態では、伝送路推定部204は、移動体受信向け帯域全体の伝送路応答を、内挿によって求めることができるので、伝送路応答の推定精度を向上させることができる。また、移動体受信向け帯域に行われた位相回転を位相変動の一部として見なして、伝送路応答を推定可能となるので、送信装置1から位相回転量を取得しなくても、移動体受信向け帯域の低画質放送データを復号できる。これにより、位相回転量が未知のままでも低画質放送データを復号できるので、送信装置1と受信装置2との間で送信信号を伝送する伝送路の環境が劣悪な場合でも、受信した送信信号を復調できる。
【0025】
コンスタレーションデマッパー205は、帯域切出部203により切り出された低画質放送データを、所定の変調方式によってデマッピングして、誤り訂正復号化部206に出力する。誤り訂正復号化部206は、コンスタレーションデマッパー205から出力された低画質放送データに、誤り検出訂正処理を実行する。また、誤り訂正復号化部206(復号部の一例)は、伝送路推定部204により推定された伝送路応答に基づいて、低画質放送データを復号する。
【0026】
上述したように、受信装置2は、送信装置1から位相回転を取得しなくても、移動体受信向け帯域の低画質放送データを復号できる。通常、送信装置1は、低画質放送データに行った位相回転を誤って通知することを防止しかつ当該位相回転の情報量を減らすため、低画質放送データに行う位相回転の位相回転量の候補を{0,π}等のように少なくすることが多い。しかしながら、受信装置2は、移動体受信向け帯域の低画質放送データを復号する際、位相回転を用いない。
【0027】
そのため、送信装置1は、移動体受信向け帯域の低画質放送データに行う位相回転の位相回転量の候補を、移動体受信向け帯域を含まないPTSブロックに対して行う位相回転の位相回転量の候補よりも多くすることができる(図4参照)。その際、送信装置1は、移動体受信向け帯域の低画質放送データに行う位相回転の位相回転量の候補を、離散量および連続量のいずれとしても良い。通常、OFDMのサブキャリアの周波数帯域の送信信号に行う位相回転の位相回転量の候補が多くなるほど、PAPRをより低減できる。
【0028】
図9は、本実施形態にかかる送信装置において移動体受信向け帯域の低画質放送データをブーストする例を説明するための図である。図9に示すように、本実施形態では、送信装置1の加算部107は、移動体受信向け帯域の低画質放送データを、移動体受信向け帯域以外の帯域(固定受信向け帯域)の送信信号よりブーストする。これにより、移動体受信向け帯域を含むPTSブロックは、他のPTSブロックよりPAPRの寄与度を高くなる。よって、移動体受信向け帯域の低画質放送データに行う位相回転の候補を多くすることで、PAPRの低減量を増やすことができる。
【0029】
このように、本実施形態にかかる送信装置1および受信装置2によれば、位相回転量が未知のままでも低画質放送データを復号できるので、送信装置1と受信装置2との間で低画質放送データを伝送する伝送路の環境が劣悪な場合でも、受信した低画質放送データを復調できる。
【0030】
なお、本実施形態の送信装置1および受信装置2で実行されるプログラムは、ROM(Read Only Memory)等に予め組み込まれて提供される。本実施形態の送信装置1および受信装置2で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0031】
さらに、本実施形態の送信装置1および受信装置2で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の送信装置1および受信装置2で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0032】
本実施形態の送信装置1で実行されるプログラムは、上述した各部(誤り訂正符号化部101、コンスタレーションマッパー102、周波数配置部103、パイロット挿入部104、セグメント分割部105、部分波形生成部106、加算部107、PAPR評価部108、GI挿入部109、および位相回転パターン生成部110)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(Central Processing Unit)が上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、誤り訂正符号化部101、コンスタレーションマッパー102、周波数配置部103、パイロット挿入部104、セグメント分割部105、部分波形生成部106、加算部107、PAPR評価部108、GI挿入部109、および位相回転パターン生成部110が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0033】
また、本実施形態の受信装置2で実行されるプログラムは、上述した各部(GI削除部201、FFT部202、帯域切出部203、伝送路推定部204、コンスタレーションマッパー205、および誤り訂正復号化部206)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(Central Processing Unit)が上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、GI削除部201、FFT部202、帯域切出部203、伝送路推定部204、コンスタレーションマッパー205、および誤り訂正復号化部206が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0034】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0035】
1 送信装置
2 受信装置
101 誤り訂正符号化部
102 コンスタレーションマッパー
205 コンスタレーションデマッパー
103 周波数配置部
104 パイロット挿入部
105 セグメント分割部
106 部分波形生成部
106a IFFT部
106b 位相回転部
107 加算部
108 PAPR評価部
109 GI挿入部
110 位相回転パターン生成部
201 GI削除部
202 FFT部
203 帯域切出部
204 伝送路推定部
206 誤り訂正復号化部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9