【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1によるデバイスおよび請求項15による方法を用いて達成される。本発明の実施形態の追加の利点および特徴は、従属請求項に定義されている。
【0006】
そのデバイスは、電子放出窓が設けられた放出体を具備している。この放出体は、電子放出窓を通じて、電子のような電荷担体を放出するように形成されている。電子は電子雲を形成する。そのデバイスは、無菌ガス媒体の流れを供給するように形成された少なくとも1つの出口をさらに具備し、無菌ガス媒体は、少なくとも電子放出窓を含んだ放出体部の周囲に、局所的な無菌区域を維持するように構成されており、したがって、局所的な無菌区域の外部からの媒体の任意の流れが、局所的な無菌区域内に流入することを防止している。
【0007】
放出体部は、放出体の残りの部分に接続された第1端部と、電子放出窓を具備した第2端部と、を備えている。出口は、無菌ガス媒体が、第1端部から第2端部への方向に、放出体部に沿って流れるように配置されている。包装容器は基本的にチューブ形状であり、開口部は、放出体の包装容器内への挿入を可能にするように形成されている。
【0008】
包装容器は、開口部の反対側の他端において閉鎖される。「チューブ形状」との用語は、包装容器の断面の可能な形状に関して、限定を含んでいない。このことは、断面が丸まった形状、長方形、円形、多角形、および/または角のある形状であり得ることを意味している。包装容器は軸に沿って延び、断面はその軸に沿って一定でなくてもよい。
【0009】
包装容器は、例えばPETのような例えばプラスチック材料から形成されるか、または積層カートン材料から形成されることが可能である。後者に関して、共通タイプの積層カートン材料は、紙または板紙のコア層と、例えばポリマ材料またはアルミニウム箔の1つ以上のバリア層と、を具備したものである。増えつつある共通タイプのパッケージは、充填設部内で製造された「カートンボトル」であり、前述のパッケージラミネートのパッケージブランクが形成され、スリーブとしてシールされる。そのスリーブは一端において閉じられ、熱可塑性プラスチック材料の上部は、スリーブ端部に直接射出成型されている。包装ラミネートのシートは、包装ラミネートのマガジンリールから切り出される。
【0010】
有利に、例えば包装容器の注ぎ口または底部である包装容器の開口部は、少なくとも電子放出窓を具備した放出体部がそこを通過して、特に包装容器の内面を殺菌することが可能であるように、十分に大きくなければならない。1つ以上の実施形態においては、放出体は、基本的に一定の丸まった形状、特に円形断面を有する。断面の直径は、約5〜100mmの範囲である。
【0011】
殺菌は、微生物を排除又は殺す任意の工程を参照した用語であり、微生物は、包装容器の表面または製品内に存在し得る例えば菌類、バクテリア、ウィルス、および胞子のような伝染性物質を含んでいる。(食品)包装産業において、これは一般的に無菌包装として参照され、すなわち殺菌された包装容器内に殺菌された製品を包装し、すなわち製品および包装容器の両方を生きた細菌および微生物のいない状態に維持しており、製品の鮮度は、特別な冷却を必要とすることなく保存されることが可能であり、すなわち周囲温度において保存されるが、滅菌が包装容器の内部で維持されることが可能である。これに関連して、「商業的殺菌」との用語は、一般的に、通常の非冷凍状態の食品内において成長可能な微生物が存在しないとして使用され、およびそのことを意味しており、非冷凍状態において、食品は製造の際に分配および貯蔵される。本願においては、「殺菌」との用語は、少なくとも商業的殺菌状態を参照している。
【0012】
前述の通り、局所的な無菌区域外部からの媒体の任意の流れは、局所的な無菌区域内への流入を防止されている。無菌状態を維持し且つ再感染の危険性を無くするために、殺菌された表面および/または殺菌された表面近傍の空気の空間は、非衛生的なまたは未殺菌の媒体/空気と接触しない。これに関連して、少なくとも1つの出口によって供給される媒体または空気は、個々に特別な混合を有する必要がないということが、明確にされた。しかしながら、媒体または混合物が衛生的または殺菌されていることは、確実にされていなければならない。
【0013】
1つ以上の実施形態においては、放出体および包装容器は、互いに対して相対移動するように形成され、放出体部は、開口部を介して包装容器内に一時的に配置される。局所的な無菌区域は、少なくとも相対移動の間、包装容器の開口部を含むように形成されている。
【0014】
1つ以上の実施形態においては、放出体および包装容器は、第1位置と第2位置との間で互いに対して相対移動するように形成されている。第1位置は、包装容器および放出体が互いに係合していない位置であり、第2位置は、放出体部が、包装容器の内面の殺菌のために、包装容器の開口部を通じて包装容器内に完全に挿入された位置である。
【0015】
第2位置は、包装容器の内部、特に開口部の反対に配置された包装容器の端部の殺菌が可能であるように、包装容器の内部に十分に深く配置されるべきである。
【0016】
「放出体と包装容器との間の相対移動」との用語は、あらゆる可能な移動手段を含んでいる。1つ以上の実施形態においては、放出体は包装容器に対して移動する(包装容器は軸に沿って固定されている)。それとは異なり、1つ以上の実施形態においては、包装容器は放出体に向かっておよび放出体から離れるように移動する(放出体は軸に沿って固定されている)。したがって、放出体は包装容器内に挿入され、放出体は、包装容器内に受容される。言い換えると、包装容器が移動して、放出体を取り囲む。それとは異なり、1つ以上の実施形態においては、放出体および包装容器の両方が移動する。各々が相対移動の一部を実行する。
【0017】
放出体と包装容器との間には、ギャップが形成されている。ギャップは、一定のサイズまたは厚さを有する。しかしながら、ギャップは一定である必要は無い。そのサイズは、放出体および包装容器が互いに相対移動された場合に変化し得る。このことは、放出体および包装容器が互いに対して相対移動された場合、ギャップが厚くおよび/または薄く成り得ることを意味している。包装容器内への放出体の挿入は、包装容器外部への、開口部を通じたまたはギャップを通じた媒体の流出を基本的に生じる。挿入される放出体の体積は、包装容器内に存在する空気を包装容器の外部に強制的に流すか、または押し出し、すなわち流れが放出体と包装容器との間のギャップに生じる。その代わりに、放出体が包装容器の外部に引き抜かれた場合、包装容器内への媒体の流入が生じる。流入は、包装容器を離れた放出体の体積を補填し、すなわち、放出体が包装容器から離れた場合、空気が外部から包装容器内に自然に吸引され、包装容器と放出体との間のギャップ内に流れる。言うまでもなく、放出体が移動せず、包装容器が放出体から離れるように移動した場合、前述の流入は、同じ方法で生じる。同じ方法において、放出体が移動せず、方法容器が放出体に向かって移動(および停止)した場合、流出が生じる。容器は軽く、放出体は重く、且つ脆弱な電子放出窓を備えているので、多くの機器は、放出体に向かっておよび放出体から離れるように移動するのが容器であり、一方で放出体自身は固定であるように設計されている。
【0018】
1つ以上の実施形態においては、第2位置から第1位置への移動の際に、無菌ガス媒体の流れは、大量の無菌ガス媒体が出口を通じて追加され、包装容器の開口部および放出体部が少なくとも局所的な無菌区域内に残留するように制御される構成とされている。
【0019】
1つ以上の実施形態においては、放出体は無菌であり、包装容器の内面の殺菌は、ランインと呼ばれる、放出体と包装容器との間の第1位置から第2位置への相対移動の間に実行される。一般的に、殺菌された放出体を備えている場合、未殺菌の包装容器による放出体の再感染の危険性を回避することが重要である。したがって、ランインのみが殺菌に関して使用される。ランアウト(第2位置から第1位置への移動)は、殺菌の観点から無駄であると考えられる。効果的な殺菌を得るためにおよび可能な限り短時間で使用するために、獲得可能な全時間からランインのためのタイムスパンを可能な限り長くするか、または少なくともランアウトのためのタイムスパンよりも長くすることが有利である。しかしながら、急速なランアウトは、包装容器内への媒体の大量の流入の原因となる。この問題は本発明により解決され、第2位置から第1位置への急速な移動が、再感染の危険性を排除することを達成し得る。
【0020】
1つ以上の実施形態においては、デバイスは、第1位置から第2位置への移動を制御するように形成されており、包装容器の内部から開口部に向かった方向に流れる任意の未殺菌ガス媒体は、電子雲によって殺菌され、したがって、放出体部の周囲の局所的な無菌区域を維持している。
【0021】
1つ以上の実施形態においては、局所的な無菌区域は軸に沿って形成されており、放出体および包装容器は、軸に沿って互いに対して相対移動するように形成されている。
【0022】
1つ以上の実施形態においては、デバイスは、軸に直交した面内にプレートを具備している。1つ以上の実施形態においては、そのプレートは、局所的な無菌区域の1つの周縁を決定している。プレートは、軸に従って平行に、直交するように、または角度を成すように配向され得る。1つ以上の実施形態においては、プレートは丸まった形状である。1つ以上の実施形態においては、プレートは円形である。もちろん、プレートは長方形、角のある形状、多角形、またはそれらに類似した別のデザインを有し得る。プレートは少なくとも1つの出口を具備し、この少なくとも1つの出口は好適に基本的にリング形状である。1つ以上の実施形態においては、出口は代わって丸まった形状または円形である。言い換えると、出口のノズルは好適にリング形状である。しかしながら、1つの出口は、リング、グリッド、またはそれらに類似して配置された複数のノズルも具備し得る。同一の出口に属したノズルは、個々に同じ方法において制御または駆動される。しかしながら、異なったノズルは異なった出口に属してもよく、ノズルの外部へのガス媒体の流れは、適切なパイプシステムを介して、異なった出口を調節することによって別個に調節可能である。有利に、リング形状、丸まった形状、または円形のデザインは、基本的に区域を円筒形とすることが可能であり、その円筒は好適に軸に沿って延びている。「ノズル」は厳密に言えばオリフィスのみを意味しているが、以下において、「出口」との用語は「ノズル」との用語と同様にも使用される。
【0023】
1つ以上の実施形態においては、出口は、軸に従って種々の角度に沿って媒体の流れを案内するように形成されている。軸がプレートの中心線である場合、ノズルから外部への媒体の流れは、それぞれ軸または中心線に向かって好適に導かれることが可能である。軸もしくは中心線から離れるように、または基本的にそれらに平行に導かれることも可能である。それぞれ種々の調節または流出角度を備えた種々の出口またはノズルは、非常に一貫性のある且つ滑らかな区域を生じるように形成されている。特に、出口は、区域内に層流を供給するように形成されているか、または層流が区域を形成している。一般的に、区域は1つの(大きい)出口またはノズルを使用して形成されることが可能であり、それは例えばリング形状ノズルである。しかしながら、区域は、それぞれ様々な位置に配置された複数の小さい出口またはノズルを使用しても形成され得る。
【0024】
1つ以上の実施形態においては、デバイスは、軸に沿って無菌ガス媒体を案内するように形成された少なくとも1つのガイド要素を具備し、局所的な無菌区域は、軸に沿って展開されることが可能である。
【0025】
1つ以上の実施形態においては、少なくとも1つの出口は、媒体の流れを基本的にガイド要素に向かって導くように形成されている。このことは、軸に沿って中実な、耐久性のある且つ滑らかな区域の形状をサポートするように形成された渦または旋風を生じることが可能である。1つ以上の実施形態においては、ガイド要素は好適に丸まった、円形の、楕円形の、多角形の、または角のある一定の断面を有する。
【0026】
1つ以上の実施形態においては、ガイド要素はプレートに接続され、ガイド要素は、好適にプレートの中心に配置されている。1つ以上の実施形態においては、ガイド要素の断面は、軸に沿って基本的に一定のままである。軸に沿った区域の範囲は、有利に基本的に軸に沿って広がったガイド要素と同じ範囲である。包装容器が放出体部と係合した場合、局所的な無菌区域は包装容器の開口部に広がっているが、しかしながら無菌ガス媒体の流れは、包装容器の外側のさらに下に広がることが可能であるが、無菌区域の一部ではない。一般的に、軸に沿った局所的な無菌区域の範囲は、出口から流出する媒体の流れの速度に依存している。その範囲は、例えば区域を取り囲んだ環境媒体の圧力または速度のような、環境状態にも依存している。
【0027】
1つ以上の実施形態においては、ガイド要素は放出体の一部であるか、または放出体に配置されている。
【0028】
1つ以上の実施形態においては、ガイド要素は外側面を具備している。外側面は、媒体を軸に沿って案内するように形成された、少なくとも1つの溝を具備している。
【0029】
1つ以上の実施形態においては、デバイスは、局所的な無菌区域の外径を限定するように形成されたパイプを具備している。パイプは好適にプレートに取り付けられている。パイプは、包装容器の開口部の周囲のすべての空気が無菌とされることを確実にしている。結果的に、包装容器内に吸引されるすべての空気は、局所的な無菌区域からの空気であり、無菌の空気のみが容器内に進入することを意味している。特に、パイプは保護シールドとして作用する。好適な実施形態においては、複数の例えば8〜13の放出体が回転する回転ラックに配置されている。回転ラックの回転は、いくつかの機器においては、局所的な無菌区域の構築を阻害し得る。しかしながら、パイプは、回転ラックの回転にかかわらず、区域の形状を保護することを補助している。
【0030】
本発明は、電子線によって包装容器の内面を殺菌するための方法にも関する。その方法は、電子放出窓が設けられた放出体を設けるステップを含み、電子放出体は、電子のような電荷担体を、電子放出窓を通じて放出するように形成されている。その電子は、電子雲を形成する。その方法は、無菌ガス媒体の流れを供給するように形成された少なくとも1つの出口を設けるステップと、その流れを用いて、少なくとも電子放出窓を含んだ放出体部の周囲に、局所的な無菌区域を維持し、したがって、局所的な無菌区域の外部からの媒体の任意の流れが、局所的な無菌区域内に流入することを防止するステップと、をさらに含んでいる。
【0031】
1つ以上の実施形態においては、その方法は、放出体と包装容器との間の相対移動を提供するステップを含み、放出体部は、開口部を介して一時的に包装容器内に配置され、少なくともその相対移動の間に、局所的な無菌区域が開口部を含むように形成されている。
【0032】
1つ以上の実施形態においては、その方法は、放出体と包装容器とを第1位置と第2位置との間で互いに対して相対移動させるステップを含んでいる。第1位置は、包装容器および放出体が互いに係合していない位置であり、第2位置は、放出体部が包装容器の内面の殺菌のために、包装容器内に完全に挿入された位置である。
【0033】
1つ以上の実施形態においては、その方法は、第2位置から第1位置へ移動するステップを含み、その移動の際に、無菌ガス媒体の流れを制御して、大量の無菌ガス媒体が出口を通じて追加され、包装容器の開口部および放出体部が、少なくとも局所的な無菌区域内に留まるようにしている。
【0034】
1つ以上の実施形態においては、その方法は、第1位置から第2位置への移動を制御するステップを含み、開口部に向かった方向における包装容器の内側からの任意の未殺菌のガス媒体の流れは、電子雲によって殺菌され、したがって、放出体部周囲の局所的な無菌区域を維持している。
【0035】
1つ以上の実施形態においては、装置は充填設備内の放射チャンバ内に配置されており、充填設備は、包装容器内に内容物を充填するための少なくとも1つの充填ステーションと、充填後に開口部を密封するための少なくとも1つのステーションと、も具備している。例えば、複数の放出体が、回転ラックまたは回転するように形成された同様のものに設けられている(例えば本願出願人により出願された特許文献1参照)。例えばコンベアを介して運搬された包装容器は、回転ラックに到着し、(回転)放出体の1つと整列される。回転ラックの一回転のうちの少なくとも一部の間に、内部の殺菌が実行される。包装容器は持ち上げられて、放出体を取り囲み、次に再度下降され、すなわち相対移動が行われる。持ち上げは、コンベアに設けられたリフタによって実行される。内側の殺菌の後、包装容器はコンベアを利用して回転ラックを離れる。したがって、回転ラックのサイズ、回転ラックに配置された放出体の数および/または回転ラックの回転速度により、殺菌の所定の時間間隔が得られる。
【0036】
本発明による方法は、本発明による電気機械の特徴および利点を含むことが可能であり、その逆も可能である。
【0037】
本発明の追加の利点および特徴は、添付図を参照するとともに、以下の本発明の好適な実施形態の記載に示されている。単一の特徴または個々の実施形態の特性は、本発明の範囲内で組み合わされることが明確に可能である。