特許第6971583号(P6971583)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゼネラル・エレクトリック・カンパニイの特許一覧

特許6971583分離式液体ジェット誘導レーザノズルキャップ
<>
  • 特許6971583-分離式液体ジェット誘導レーザノズルキャップ 図000002
  • 特許6971583-分離式液体ジェット誘導レーザノズルキャップ 図000003
  • 特許6971583-分離式液体ジェット誘導レーザノズルキャップ 図000004
  • 特許6971583-分離式液体ジェット誘導レーザノズルキャップ 図000005
  • 特許6971583-分離式液体ジェット誘導レーザノズルキャップ 図000006
  • 特許6971583-分離式液体ジェット誘導レーザノズルキャップ 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971583
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】分離式液体ジェット誘導レーザノズルキャップ
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/146 20140101AFI20211111BHJP
【FI】
   B23K26/146
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-29590(P2017-29590)
(22)【出願日】2017年2月21日
(65)【公開番号】特開2017-164812(P2017-164812A)
(43)【公開日】2017年9月21日
【審査請求日】2020年2月18日
(31)【優先権主張番号】15/059,327
(32)【優先日】2016年3月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ジャオリ・フー
(72)【発明者】
【氏名】アベ・デニス・ダーリン
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・エー・ジマーマン
【審査官】 奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−180308(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/087288(WO,A2)
【文献】 国際公開第2015/087209(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/14−26/146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体ジェット誘導レーザシステム(20)のためのヘッド組立体(21)であって、当該ヘッド組立体(21)が、
前記レーザシステム(20)のレーザフォーカス光学モジュール(24)に取り外し可能に配設された結合用ユニット(57)を
備えており、前記結合用ユニット(57)
前記結合用ユニット(57)に取り外し可能に接続されたノズル組立体(77)であって、軸方向及び半径方向を規定するとともに液体ジェットノズル(65)及びノズルキャップ(77)を備えるノズル組立体(60)
を備えており、前記液体ジェットノズル(65)、液体ジェット(33)を形成するように構成され、前記ノズルキャップ(77)
ノズルキャップ本体(78)であって、軸方向に配列されノズルキャップ本体(78)の中心を通じて延びる液体ジェット穴(79)を画定するノズルキャップ本体(78)と、
アシストガス(31)源と流体連通している複数の軸方向アシストガス導管(81a、81b)及び固定アシストガス導管(32)であって、前記液体ジェット穴(79)と同心の環状パターンで配置された入口ポート(61a、61b)を通じて前記ノズルキャップ本体(78)に入り、前記液体ジェット(33)の最も近くでアシストガス(31)を排出するように配置された軸方向出口ポート(91a、91b)及び固定出口ポート(35)までアシストガス(31)を個別に輸送するために前記ノズルキャップ本体(78)を通じて延びる複数の軸方向アシストガス導管(81a、81b)及び複数の固定アシストガス導管(32)と
を備えており
前記複数の軸方向アシストガス導管(81a、81b)の少なくとも一部、前記液体ジェット穴(79)との流体連通から仕切られており、前記固定出口ポート(35)の少なくとも一部が、前記液体ジェット穴(79)と半径方向流体連通するために配置される、液体ジェット誘導レーザシステム(20)のためのヘッド組立体(21)。
【請求項2】
前記軸方向出口ポート(91a、91b)の少なくとも一部0度〜40度の範囲内において液体ジェット収束角度θで前記アシストガス(31)を噴射するように配置される、請求項1記載のヘッド組立体(21)。
【請求項3】
前記複数の軸方向アシストガス導管(81a、81b)及び前記複数の固定アシストガス導管(32)の直径0.13mm〜0.76mm(0.005インチ〜0.03インチの範囲内である、請求項1又は請求項2に記載のヘッド組立体(21)。
【請求項4】
ダイヤフラムスロット(41)内に取り外し可能に配設されたダイヤフラム(42)をさらに備える、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のヘッド組立体(21)。
【請求項5】
前記ダイヤフラム(42)、前記液体ジェット(33)の軸方向に直交して配置され、前記ダイヤフラム(42)を通じて伝わるアシストガス(31)を阻止するのに十分な距離延びる、請求項4に記載のヘッド組立体(21)。
【請求項6】
:41:10の範囲内でアスペクト比を定めるダイヤフラム中央穴をさらに備える、請求項4に記載のヘッド組立体(21)。
【請求項7】
前記結合用ユニット(57)、環状ダクト(69)に供給するための液体を備える、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のヘッド組立体(21)。
【請求項8】
環状空間(85)を通じて前記複数の軸方向アシストガス導管(81a、81b)及び複数の固定アシストガス導管(32)へアシストガス(31)を供給するように構成されたアシストガスマニホルド(83)をさらに備える、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のヘッド組立体(21)。
【請求項9】
前記結合用ユニット(57)、前記ノズル組立体(60)に取り外し可能に配設される窓要素(62)を備える、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のヘッド組立体(21)。
【請求項10】
レーザフォーカス光学モジュール(24)に取り付けるように構成された側方移動組立体(30)と、
前記側方移動組立体(30)に取り外し可能に取り付けられた結合用組立体(22)と
を備え液体ジェット誘導レーザシステム(20)であって、
前記側方移動組立体(30)、前記液体ジェット誘導レーザシステム(20)のレーザビームに直交する平面内で前記結合用組立体(22)の位置を調整することを可能にし、前記結合用組立体(22)
結合用ユニット(57)に取り外し可能に接続されたノズル組立体(77)であって、軸方向及び半径方向を規定するとともに液体ジェットノズル(65)及びノズルキャップ(77)を備えるノズル組立体(60)
を備えており、前記液体ジェットノズル(65)、液体ジェット(33)を形成するように構成され、前記ノズルキャップ(77)
ノズルキャップ本体(78)であって、軸方向に配列されノズルキャップ本体(78)の中心を通じて延びる液体ジェット穴(79)を画定するノズルキャップ本体(78)と、
アシストガス(31)源と流体連通している複数の軸方向アシストガス導管(81a、81b)及び固定アシストガス導管(32)であって、前記液体ジェット穴(79)と同心の環状パターンで配置された入口ポート(61a、61b)を通じて前記ノズルキャップ本体(78)に入り、前記液体ジェット(33)の最も近くでアシストガス(31)を排出するように配置された軸方向出口ポート(91a、91b)及び固定出口ポート(35)までアシストガス(31)を個別に輸送するために前記ノズルキャップ本体(78)を通じて延びる複数の軸方向アシストガス導管(81a、81b)及び複数の固定アシストガス導管(32)と
を備えており、前記複数の軸方向アシストガス導管(81a、81b)の少なくとも一部、前記液体ジェット穴(79)との流体連通から仕切られており、前記固定出口ポート(35)の少なくとも一部が、前記液体ジェット穴(79)と半径方向流体連通するために配置される、液体ジェット誘導レーザシステム(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
概して、液体ジェット誘導レーザシステム用のノズルキャップが開示される。具体的には、ノズルキャップは、液体ジェットの乱れを減少させるために軸方向アシストガスから液体ジェットを分離させる。
【背景技術】
【0002】
液体ジェット誘導レーザ技術は、液体マイクロジェット(LMJ:Liquid MicroJet)と呼ばれる場合があり、例えば、フォーカス用レンズによって、レーザフォーカスを小さい液体ジェットの中に結合する。この結合は、結合用ユニット内で行われる。結合用ユニットは、フォーカス用レンズ側に金属チャンバを備えることができ、これはレーザプロテクト窓で閉じられている。チャンバの反対側は、ノズルを備える。結合用ユニットに供給された液体は、窓とノズルの間を流れ、液体ジェットの形態でノズルを出る。焦点面内のレーザスポットのエネルギーは、液体ジェット内部に取り込まれ、内部反射によってワークピースへ案内される。この方法は、加工を行うために必要なエネルギーが液体ジェットの層流長さ全長にわたって利用可能であるので、ワークピースの距離を精密に制御する必要性を無くす。液体ジェットを形成するために、適切な光誘導能力を与える任意の液体を使用することができる。
【0003】
アシストガスを液体ジェットに供給することによって、液体ジェットの層流長さを増加させて、プロセスの作動距離を延ばすことができる。アシストガスは、液体と周囲空気との間の抵抗を減少させることによって液体ジェットの層流長さを増加させるために、直接境界層として液体ジェットへ誘導される。このようにして、液体ジェットはアシストガスによって結合用ユニットの内部で囲まれ、アシストガスは液体ジェットの方へ向けられる。例えば、アシストガスは、垂直面内で移動する液体ジェットへ向けて水平面内で結合用ユニットに入ることができる。次いで、アシストガスおよび液体ジェットは、アシストガスによって液体ジェットが中央において囲まれた状態でこのシステムを出る。
【0004】
アシストガスと液体ジェットの間には依存性がある。例えば、アシストガスの圧力特性と流れの特性は、液体ジェットの層流を最適化するように選択することができる。アシストガスの他の動作条件は、液体ジェットに悪い影響を及ぼし得る。例えば、アシストガスの高圧は液体ジェットの層流を短くさせ得、アシストガスのさらに高い圧力は液体ジェットを破壊し得る。アシストガスは、液体ジェット内のレーザビームの内部反射を中断させ、それによってレーザ加工の出力に影響を及ぼす可能性もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/0165559号明細書
【発明の概要】
【0006】
本開示の態様および利点は、以下の明細書中に一部記載されており、または明細書から明らかであり得、あるいは本開示の実施を通じて学ぶことができる。
【0007】
レーザシステムのレーザフォーカス光学モジュールに取り外し可能に配設された結合用ユニットを有する液体ジェット誘導レーザシステムのためのヘッド組立体が開示される。結合用ユニットは、結合用ユニットに取り外し可能に接続されたノズル組立体を有する。ノズル組立体は、軸方向および半径方向を規定し、液体ジェットノズルおよびノズルキャップを有する。液体ジェットノズルは、液体ジェットを形成するように構成される。ノズルキャップは、ノズルキャップ本体であって、軸方向に配列されノズルキャップ本体の中心を通じて延びる液体ジェット穴を画定するノズルキャップ本体を有する。複数の軸方向アシストガス導管および固定アシストガス導管は、アシストガス源と流体連通しており、液体ジェット穴と同心の環状パターンで配置された入口ポートを通じてノズルキャップ本体に入る。軸方向アシストガス導管および固定アシストガス導管は、液体ジェットの最も近くでアシストガスを排出するように配置された軸方向出口ポートおよび固定出口ポートまでアシストガスを個別に輸送するためにノズルキャップ本体を通じて延びる。複数の軸方向アシストガス導管の少なくとも一部は、液体ジェット穴との流体連通から仕切られる。レーザフォーカス光学モジュールに取り付けるように構成された側方移動組立体を側方移動組立体に取り外し可能に取り付けられた結合用ユニットと共に有する液体ジェット誘導レーザシステムも開示されている。
【0008】
本開示のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の明細書および添付の特許請求の範囲を参照することでより良く理解されよう。添付図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成するものであり、本開示の実施形態を例示し、本明細書と共に本開示の原理を説明する役割を果たす。
【0009】
最良の形態を含み当業者に向けられた本発明の十分かつ実施可能な開示が、本明細書に記載されており、これは以下の添付図面の参照を行う。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ヘッド組立体の一実施形態の断面図である。
図2】ノズルキャップの一実施形態の側面図である。
図3】ノズルキャップの一実施形態の平面図である。
図4】ノズルキャップの一実施形態の斜視図である。
図5】固定アシストガスポートを有するノズルキャップの別の実施形態の斜視図である。
図6】ノズルキャップの一実施形態の端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書および図面における参照符号を繰り返し使用するのは、本開示の同一または類似の特徴または要素を表すためである。
【0012】
次に、本開示の実施形態の参照が詳細になされる。本開示の実施形態の1つまたは複数の例は、図面に示されている。各例は、本開示を説明することによって与えられるが、本開示を限定するものではない。実際、本開示の範囲または精神から逸脱することなく様々な修正形態および変更形態が本開示になされてもよいことは当業者に明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示または説明された特徴は、もっとさらなる実施形態をもたらすために別の実施形態と共に使用することができる。したがって、本開示は添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内にあるそのような修正形態および変更形態を含むことが意図される。
【0013】
本明細書中に使用されるとき、用語「軸方向の」および「半径方向の」は、中央流体経路内の流体の流れに対しての相対的方向を指し、「軸方向の」は中央流体経路に平行であり、「半径方向の」は中央流体経路に直交しかつ中央流体経路内の共通中心点から発散するものである。また、「上流」は、流体が流れてくる方向を指し、「下流」は、流体が流れて行く方向を指す。
【0014】
全ての方向の言及(例えば、半径方向、軸方向、近位、遠位、上側、下側、上方、下方、左、右、側方、前方、後ろ、上、下、上方、下方、垂直、水平、時計回り、反時計回り)は、読み手の理解を助けるための特定の目的のために使用されるものにすぎず、特に本発明の位置、向き、または使用に関して限定をもたらすものではない。接続の言及(例えば、取り付けられる、結合される、接続される、および接合される)は、幅広く解釈されるべきであり、別段示されない限り、要素を集めたものの間に中間部材を含んでもよく、要素間の相対移動を含んでもよい。したがって、接続の言及は、必ずしも2つの要素が直接接続され、互いに固定関係にあることを意味するものではない。例示的な図面は、図示のためにすぎず、本明細書に添付された図面に表された寸法、位置、順序、および相対的サイズは、変わってもよい。
【0015】
図1は、レーザフォーカス光学モジュール24に結合された結合用組立体22を備えることができる液体ジェット誘導レーザシステム20のヘッド組立体(21)の一実施形態の断面図を示す。レーザフォーカス光学モジュール24は、レーザビーム26とフォーカスレンズ28などの光学素子とを備えることができる。いくつかの実施形態では、レーザビーム26の焦点の調整は、レーザフォーカス光学モジュール24と結合用組立体22との間に結合することができる側方移動組立体30によって助けられ、このようにして、レーザビーム26の方向に直交するラテラル面(lateral plane)内で結合用組立体22が移動することを可能にする。
【0016】
マウント51は、環状コネクタ部53を有し、レーザフォーカス光学モジュール24からのフォーカスされたレーザビーム26を側方移動組立体30に通過させるように漏斗型を形成する。レーザビーム26は、窓要素62を通じて液体ジェットノズル65内の流体ノズル71の中にフォーカスされる。マウント51は、結合用ユニット57を環状形状で囲み、同軸配置で保持する。結合用ユニット57の上部は開口部59を有し、開口部59は上から下へ円錐形に先細りしている。下端円錐形の開口部59の下端には、窓要素62が接触する肩部が形成されている。窓要素62の下面には、液体ジェットノズル65とノズルキャップ77とを有するノズル組立体60がある。薄い中間空間63は、窓要素62と液体ジェットノズル65との間の流体流入路として働く。
【0017】
液体70(例えば、水)は、環状ダクト69を介して、次いで半径方向路67を介して中間空間63の中に必要な圧力(例えば400バール)を用いて導入される。液体ジェットノズル65は、流体ノズル71に隣接した結合用ユニット57の円筒形内部空間に下方から挿入される。液体ジェットノズル65は、中間空間63に面するその上側に、流体ノズル71が挿入される凹部を有する。流体ノズル71は、光導波路のやり方でレーザ放射を誘導する流体33の微細ジェット(図2参照)を形成する中央軸方向ダクトを有する。このダクトは、所望の流体ジェットの直径、例えば30から60マイクロメートルに相当する直径を有する。
【0018】
流体ノズル71に隣接して、本例では上部分空間73と下部分空間75とから形成されているガス保持空間が存在する。これは、液体ジェットノズル65の下端で導入されるアシストガス31が、流体ジェット33を乱すことなく広がることを可能にする。
【0019】
図2図6は、液体ジェットノズル65の下面に設置されているノズルキャップ77の様々な図である。ノズルキャップ77は、上部分空間73と下部分空間75とが互いに隣接する位置で接続する。ノズルキャップ77は、軸方向に配列され下部分空間75を形成する空洞から下先端までノズルキャップ本体78の中心を通じて延びる液体ジェット穴79を画定するノズルキャップ本体78を有する。ノズルキャップ77は、軸方向に上から下まで円錐形に先細りしている。液体ジェット穴79は、例えば1〜2mmの直径を有する。
【0020】
ノズルキャップ77は、ノズルキャップ77の上面に隣接して配置されたアシストガスマニホルド83を有する(図1参照)。マニホルド83は、環状空間85を通じて供給を受ける(図1参照)。マニホルド83から、アシストガス31は、複数の軸方向アシストガス導管81a、81bおよび固定アシストガス導管32へ導入される。複数の軸方向ガス導管81a、81bおよび固定アシストガス導管32は、アシストガス31を様々な位置へ送り届けるのに適した任意の個数の導管であり得る。軸方向アシストガス導管81a、81bと固定アシストガス導管32の両方の直径は、異なってもよくまたは同じでもよく、約0.13mm(約0.005インチ)の直径から0.76mm(0.03インチ)の直径の範囲内とすることができる。複数の軸方向アシストガス導管81a、81bは、入口ポート61a、61b(図2)を通じてノズルキャップ本体78に入るアシストガス源31と流体連通しており、液体ジェット穴79と同心の環状パターンで配置されている。固定アシストガス導管32も、アシストガス源31と流体連通しており、中央流体経路に直交して静的アシストガスを排出する半径方向パターンで延びるように配置することができる。軸方向アシストガス導管81a、81bは、液体ジェット33の最も近くでアシストガス31を排出するように配置された軸方向出口ポート91a、91bまでアシストガス31を個別に輸送するためにノズルキャップ本体78を通じて延びる。軸方向アシストガス導管81a、81bの少なくとも一部は、アシストガス31を液体ジェット33から分離するために、液体ジェット穴79との流体連通から仕切られる。軸方向出口ポート91a、91bは、約10度から約40度の範囲内において液体ジェット収束角度θでアシストガスを噴射するように形成された軸方向出口ポートとして構成することができる。
【0021】
図2および図5は、液体ジェット穴79を貫く軸方向に直交して配置され、かつダイヤフラム42を通じて伝わるアシストガスを阻止するのに十分な距離延びる、ダイヤフラムスロット41内に取り外し可能に配設することができるダイヤフラム42の一実施形態を示す。ダイヤフラムは、約1.0mm〜12.7mm(約0.04インチから0.5インチ)の厚さとすることができ、約0.51mm〜1.27mm(約0.02インチから0.05インチ)の直径の中央穴を有する。これらの寸法は、約1:2から1:10の間のアスペクト比(穴径:ダイヤフラム厚さ)内で変わり得る。図3および図4は、図2に示したノズルキャップ77の平面図および斜視図である。
【0022】
図5は、固定出口ポート35を下部分75の中に排気するように配置した、複数の固定アシストガス導管32を有するノズルキャップ77の別の実施形態の形状である。固定出口ポート35は、中央流体経路にほぼ直交して静的アシストガス31を排気するように半径方向パターンでノズルキャップ本体78から出る。固定出口ポートは、中央流体経路内の共通中心点から発散する。図6は、図4の実施形態の底面図である。
【0023】
ノズルキャップ77を軸方向アシストガス導管81a、81b、固定アシストガス導管32、ダイヤフラム42、およびLMJヘッド組立体(21)の他の部分と共に構築するのに適した付加製造技術は、限定するものではないが、材料噴射、結合剤噴射、材料押出、粉末床溶融結合、直接金属レーザ溶融、選択的レーザ溶融、選択的レーザ焼結、直接金属レーザ焼結、電子ビーム溶融、選択的加熱焼結、シート積層、指向性エネルギー堆積、および/またはそれらの組み合わせを含む。
【0024】
本明細書は、最良の形態を含む本発明を開示するために例を用いており、任意の装置またはシステムを作製および使用し、任意の組み込まれた方法を実行するなど当業者が本発明を実施することを可能にもする。本開示の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって定められ、当業者が想到する他の例を含み得る。そのような他の例は、それらが特許請求の範囲の文言と異ならない構成要素を含む場合、またはそれらが特許請求の範囲の文言からわずかに異なる均等な構成要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることが意図される。
【0025】
最後に、代表的な実施態様を以下に示す。
[実施態様1]
液体ジェット誘導レーザシステム(20)のためのヘッド組立体(21)であって、
前記レーザシステム(20)のレーザフォーカス光学モジュール(24)に取り外し可能に配設された結合用ユニット(57)を備え、前記結合用ユニット(57)は、
前記結合用ユニットに取り外し可能に接続され、軸方向および半径方向を規定するとともに液体ジェットノズルおよびノズルキャップを備えるノズル組立体を備え、前記液体ジェットノズルは、液体ジェットを形成するように構成され、前記ノズルキャップは、
ノズルキャップ本体(78)であって、軸方向に配列されノズルキャップ本体(78)の中心を通じて延びる液体ジェット穴(79)を画定するノズルキャップ本体(78)と、
アシストガス(31)源と流体連通している複数の軸方向アシストガス導管(81a、81b)および固定アシストガス導管(32)であって、前記液体ジェット穴(79)と同心の環状パターンで配置された入口ポート(61a、61b)を通じて前記ノズルキャップ本体(78)に入り、前記液体ジェット(33)の最も近くでアシストガス(31)を排出するように配置された軸方向出口ポート(91a、91b)および固定出口ポート(35)までアシストガス(31)を個別に輸送するために前記ノズルキャップ本体(78)を通じて延びる複数の軸方向アシストガス導管(81a、81b)および複数の固定アシストガス導管(32)とを備え、
前記複数の軸方向アシストガス導管(81a、81b)の少なくとも一部は、前記液体ジェット(79)穴との流体連通から仕切られる、液体ジェット誘導レーザシステム(20)のためのヘッド組立体(21)。
[実施態様2]
前記軸方向出口ポート(91a、91b)の少なくとも一部は、約10度から約40度の範囲内において液体ジェット収束角度θで前記アシストガス(31)を噴射するように配置される、実施態様1記載のヘッド組立体(21)。
[実施態様3]
前記固定出口ポート(35)の少なくとも一部は、前記液体ジェット穴(79)と半径方向流体連通するために配置される、実施態様1記載のヘッド組立体(21)。
[実施態様4]
前記複数の軸方向アシストガス導管(81a、81b)および前記複数の固定アシストガス導管(32)の直径は、約0.13mm〜約0.76mm(約0.005インチから約0.03インチの範囲内である、実施態様1記載のヘッド組立体。
[実施態様5]
ダイヤフラムスロット(41)内に取り外し可能に配設されたダイヤフラム(42)をさらに備える、実施態様1記載のヘッド組立体(21)。
[実施態様6]
前記ダイヤフラム(42)は、前記液体ジェット(33)の軸方向に直交して配置され、前記ダイヤフラム(42)を通じて伝わるアシストガス(31)を阻止するのに十分な距離延びる、実施態様5記載のヘッド組立体(21)。
[実施態様7]
約1:2から1:10の範囲内でアスペクト比を定めるダイヤフラム中央穴をさらに備える、実施態様5記載のヘッド組立体(21)。
[実施態様8]
前記結合用ユニット(57)は、環状ダクト(69)に供給するための液体を備える、実施態様1記載のヘッド組立体(21)。
[実施態様9]
環状空間(85)を通じて前記複数の軸方向アシストガス導管(81a、81b)および複数の固定アシストガス導管(32)へアシストガス(31)を供給するように構成されたアシストガスマニホルド(83)をさらに備える、実施態様1記載のヘッド組立体(21)。
[実施態様10]
前記結合用ユニット(57)は、前記ノズル組立体(60)に取り外し可能に配設される窓要素(62)を備える、実施態様1記載のヘッド組立体(21)。
[実施態様11]
レーザフォーカス光学モジュール(24)に取り付けるように構成された側方移動組立体(30)と、
前記側方移動組立体(30)に取り外し可能に取り付けられた結合用組立体(22)と
を備えた液体ジェット誘導レーザシステム(20)であって、
前記側方移動組立体(30)は、前記液体ジェット誘導レーザシステム(20)のレーザビームに直交する平面内で前記結合用組立体(22)の位置を調整することを可能にし、前記結合用組立体(22)は、
結合用ユニット(57)に取り外し可能に接続され、軸方向および半径方向を規定するとともに液体ジェットノズル(65)およびノズルキャップ(77)を備えるノズル組立体(60)を備え、前記液体ジェットノズル(65)は、液体ジェット(33)を形成するように構成され、前記ノズルキャップ(77)は、
ノズルキャップ本体(78)であって、軸方向に配列されノズルキャップ本体(78)の中心を通じて延びる液体ジェット穴(79)を画定するノズルキャップ本体(78)と、
アシストガス(31)源と流体連通している複数の軸方向アシストガス導管(81a、81b)および固定アシストガス導管(32)であって、前記液体ジェット穴(79)と同心の環状パターンで配置された入口ポート(61a、61b)を通じて前記ノズルキャップ本体(78)に入り、前記液体ジェット(33)の最も近くでアシストガス(31)を排出するように配置された軸方向出口ポート(91a、91b)および固定出口ポート(35)までアシストガス(31)を個別に輸送するために前記ノズルキャップ本体(78)を通じて延びる複数の軸方向アシストガス導管(81a、81b)および複数の固定アシストガス導管(32)とを備え、
前記複数の軸方向アシストガス導管(81a、81b)の少なくとも一部は、前記液体ジェット穴(79)との流体連通から仕切られる、液体ジェット誘導レーザシステム(20)。
[実施態様12]
前記軸方向出口ポート(91a、91b)の少なくとも一部は、約10度から約40度の範囲内において液体ジェット収束角度θで前記アシストガス(31)を噴射するように配置される、実施態様11記載のレーザシステム(20)。
[実施態様13]
前記固定出口ポート(35)の少なくとも一部は、前記液体ジェット穴(79)と半径方向流体連通するために配置される、実施態様11記載のレーザシステム(20)。
[実施態様14]
前記複数の軸方向アシストガス導管(81a、81b)および複数の固定アシストガス導管(32)の直径は、約0.005インチから約0.03インチの範囲内である、実施態様11記載のレーザシステム(20)。
[実施態様15]
ダイヤフラムスロット(41)内に取り外し可能に配設されたダイヤフラム(42)をさらに備える、実施態様11記載のレーザシステム(20)。
[実施態様16]
前記ダイヤフラム(42)は、前記液体ジェット(33)の軸方向に直交して配置され、前記ダイヤフラム(42)を通じて伝わるアシストガス(31)を阻止するのに十分な距離延びる、実施態様15記載のレーザシステム(20)。
[実施態様17]
約1:2から1:10の範囲内でアスペクト比を定めるダイヤフラム中央穴をさらに備える、実施態様15記載のレーザシステム(20)。
[実施態様18]
前記結合用ユニット(57)は、環状ダクト(69)に供給するための液体を備える、実施態様11記載のレーザシステム(20)。
[実施態様19]
環状空間(85)を通じて前記複数の軸方向アシストガス導管(81a、81b)および複数の固定アシストガス導管(32)へアシストガス(31)を供給するように構成されたアシストガスマニホルド(83)をさらに備える、実施態様11記載のレーザシステム(20)。
[実施態様20]
前記結合用ユニット(57)は、前記ノズル組立体(60)に取り外し可能に配設される窓要素(62)を備える、実施態様11記載のレーザシステム(20)。
【符号の説明】
【0026】
20 液体ジェット誘導レーザシステム
21 ヘッド組立体
22 結合用組立体
24 レーザフォーカス光学モジュール
26 レーザビーム
28 フォーカスレンズ
30 側方移動組立体
31 アシストガス
32 固定アシストガス導管
33 液体ジェット
35 固定出口ポート
40 側方移動組立体
41 ダイヤフラムスロット
42 ダイヤフラム
50 レーザフォーカス光学モジュール
51 マウント
53 環状コネクタ部
55 排出ダクト
57 結合用ユニット
59 円錐形の開口部
60 ノズル組立体
61a、61b 入口ポート
62 窓要素
63 中間空間
65 液体ジェットノズル
67 半径方向管路
69 環状ダクト
70 液体
71 流体ノズル
73 上部分空間
75 下部分空間
77 ノズルキャップ
78 ノズルキャップ本体
79 液体ジェット穴
81a、81b 軸方向アシストガス導管
83 アシストガスマニホルド
85 環状空間
91a、91b軸方向出口ポート
θ 液体ジェット収束角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6