特許第6971605号(P6971605)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971605
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20211111BHJP
   H01M 8/0612 20160101ALI20211111BHJP
   F24H 1/00 20060101ALI20211111BHJP
   H01M 8/04014 20160101ALI20211111BHJP
   H01M 8/04029 20160101ALI20211111BHJP
【FI】
   H01M8/04 Z
   H01M8/0612
   H01M8/04 J
   F24H1/00 631A
   H01M8/04014
   H01M8/04029
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-67587(P2017-67587)
(22)【出願日】2017年3月30日
(65)【公開番号】特開2018-170194(P2018-170194A)
(43)【公開日】2018年11月1日
【審査請求日】2019年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】白木 壮哉
(72)【発明者】
【氏名】山本 幸司
(72)【発明者】
【氏名】岩見 潤
(72)【発明者】
【氏名】細川 沙奈
(72)【発明者】
【氏名】井上 修一
【審査官】 西井 香織
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−243555(JP,A)
【文献】 特開2010−277973(JP,A)
【文献】 特開2015−084280(JP,A)
【文献】 特開2015−002093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04 − 8/0668
F24H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原燃料を水蒸気改質して燃料ガスを生成する改質器を備え、前記燃料ガス及び酸素ガスを反応させて発電する燃料電池と、
発電反応に用いられた燃料ガス中に残存する燃料成分を燃焼させて排ガスを生じさせる燃焼部と、
前記燃焼部から排出される前記排ガスの熱を回収する熱交換器と、
前記熱交換器による熱回収により前記排ガスから生じる凝縮水を回収する水タンクと、
前記水タンクに貯留された凝縮水を前記改質器に供給可能な水供給路と、
湯水を貯える貯湯タンクと、
前記排ガスから生じる凝縮水の量に関連する凝縮水情報として、前記貯湯タンクから供給されて前記熱交換器に流入する湯水の温度である流入湯水温度と前記水タンクに貯えられる水の量である貯水量とを取得する凝縮水情報取得部と、
前記排ガスから生じる凝縮水の量を調節可能な凝縮水発生量調節部と、
前記凝縮水情報が、凝縮水の量が減少傾向にあることを示す所定の凝縮水減少条件を満たすときである、前記流入湯水温度が設定温度まで上昇し、且つ、前記貯水量が設定下限水位まで減少したとき、前記凝縮水情報が所定の凝縮水増加条件を満たす、前記凝縮水発生量調節部に前記熱交換器へ冷却液を供給させる凝縮水増加処理を行わせた時間が所定時間に達するか、又は、前記貯水量が増加して目標水量になるまで、前記凝縮水発生量調節部に前記排ガス中から単位時間当たりに回収できる凝縮水の量を増加させる前記凝縮水増加処理を行わせる運転制御部と、を備え、
前記貯湯タンクと前記熱交換器との間で湯水を循環させる循環路を備え、
前記凝縮水発生量調節部として、前記熱交換器に前記貯湯タンク中の湯水よりも低温の前記冷却液を供給可能な冷却液供給部を備え、
前記運転制御部は、前記熱交換器を、前記排ガスと前記湯水との熱交換を行う湯水利用状態と、前記排ガスと前記冷却液との熱交換が可能な冷却液利用状態とに切替可能であり、前記凝縮水増加処理として、前記熱交換器を前記冷却液利用状態とし、前記冷却液供給部に前記熱交換器へ前記冷却液を供給させる燃料電池システム。
【請求項2】
原燃料を水蒸気改質して燃料ガスを生成する改質器を備え、前記燃料ガス及び酸素ガスを反応させて発電する燃料電池と、
発電反応に用いられた燃料ガス中に残存する燃料成分を燃焼させて排ガスを生じさせる燃焼部と、
前記燃焼部から排出される前記排ガスの熱を回収する熱交換器と、
前記熱交換器による熱回収により前記排ガスから生じる凝縮水を回収する水タンクと、
前記水タンクに貯留された凝縮水を前記改質器に供給可能な水供給路と、
湯水を貯える貯湯タンクと、
前記排ガスから生じる凝縮水の量に関連する凝縮水情報として、前記貯湯タンクから供給されて前記熱交換器に流入する湯水の温度である流入湯水温度と前記水タンクに貯えられる水の量である貯水量とを取得する凝縮水情報取得部と、
前記排ガスから生じる凝縮水の量を調節可能な凝縮水発生量調節部と、
前記凝縮水情報が、凝縮水の量が減少傾向にあることを示す所定の凝縮水減少条件を満たすときである、前記流入湯水温度が設定温度まで上昇し、且つ、前記貯水量が設定下限水位まで減少したとき、前記凝縮水情報が所定の凝縮水増加条件を満たす、前記凝縮水発生量調節部に前記熱交換器へ冷却液を供給させる凝縮水増加処理を行わせた時間が所定時間に達するか、又は、前記貯水量が増加して目標水量になるまで、前記凝縮水発生量調節部に前記排ガス中から単位時間当たりに回収できる凝縮水の量を増加させる前記凝縮水増加処理を行わせる運転制御部と、を備え、
前記燃料電池から前記熱交換器に前記排ガスを供給する排ガス配管を備え、
前記凝縮水発生量調節部として、前記排ガス配管を冷却して前記排ガス配管を介した前記排ガスからの放熱状態を調節可能な冷却器を備え、
前記運転制御部は、前記凝縮水増加処理として前記冷却器を動作させる燃料電池システム。
【請求項3】
原燃料を水蒸気改質して燃料ガスを生成する改質器を備え、前記燃料ガス及び酸素ガスを反応させて発電する燃料電池と、
発電反応に用いられた燃料ガス中に残存する燃料成分を燃焼させて排ガスを生じさせる燃焼部と、
前記燃焼部から排出される前記排ガスの熱を回収する熱交換器と、
前記熱交換器による熱回収により前記排ガスから生じる凝縮水を回収する水タンクと、
前記水タンクに貯留された凝縮水を前記改質器に供給可能な水供給路と、
湯水を貯える貯湯タンクと、
前記排ガスから生じる凝縮水の量に関連する凝縮水情報として、前記貯湯タンクから供給されて前記熱交換器に流入する湯水の温度である流入湯水温度と前記水タンクに貯えられる水の量である貯水量とを取得する凝縮水情報取得部と、
前記排ガスから生じる凝縮水の量を調節可能な凝縮水発生量調節部と、
前記凝縮水情報が、凝縮水の量が減少傾向にあることを示す所定の凝縮水減少条件を満たすときである、前記流入湯水温度が設定温度まで上昇し、且つ、前記貯水量が設定下限水位まで減少したとき、前記凝縮水情報が所定の凝縮水増加条件を満たす、前記凝縮水発生量調節部に前記熱交換器へ冷却液を供給させる凝縮水増加処理を行わせた時間が所定時間に達するか、又は、前記貯水量が増加して目標水量になるまで、前記凝縮水発生量調節部に前記排ガス中から単位時間当たりに回収できる凝縮水の量を増加させる前記凝縮水増加処理を行わせる運転制御部と、を備え、
前記貯湯タンクと前記熱交換器との間で湯水を循環させる循環路を備え、
前記熱交換器は、前記排ガスと前記湯水とを熱交換可能であり、
前記凝縮水発生量調節部として、前記熱交換器の上流側において、前記循環路を流れる湯水を放熱させる放熱器を備え、
前記運転制御部は、前記凝縮水情報が前記凝縮水減少条件を満たしていないときは、前記熱交換器に流入する湯水の温度が所定温度を超えているときに前記放熱器を所定の運転量で動作させ、前記凝縮水情報が前記凝縮水減少条件を満たしているときは、前記凝縮水増加処理として、前記放熱器を前記所定の運転量を超える運転量で動作させる燃料電池システム。
【請求項4】
前記貯湯タンクと前記熱交換器との間で湯水を循環させる循環路を備え、
前記熱交換器は、前記排ガスと前記湯水とを熱交換可能である請求項に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記貯湯タンクの下部から取り出した湯水を前記熱交換器に供給し、前記熱交換器を流れた湯水を前記貯湯タンクの上部に戻す循環路を備え、
前記熱交換器は、前記排ガスと前記湯水とを熱交換可能であり、
前記凝縮水発生量調節部として、前記貯湯タンクから湯水を排出する排湯路と、前記貯湯タンクの下部に接続される補給水路を介して前記貯湯タンクに前記排湯路から排出される湯水より低温の補給水を供給可能な補給水供給部と、を備え、
前記運転制御部は、前記凝縮水増加処理として、前記排湯路を介して前記貯湯タンクから湯水を排出させ、且つ、前記補給水供給部から前記貯湯タンクに補給水を供給させる湯水排出運転を行わせる請求項1〜4の何れか一項に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記貯湯タンクと前記熱交換器との間で湯水を循環させる循環路を備え、
前記熱交換器は、前記排ガスと前記湯水とを熱交換可能であり、
前記凝縮水発生量調節部として、前記循環路を流れる湯水の単位時間当たりの流量を調節可能な流量調節部を備え、
前記運転制御部は、前記凝縮水増加処理として、前記循環路を流れる湯水の単位時間当たりの流量を増加させる請求項1〜5の何れか一項に記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料ガス及び酸素ガスを反応させて発電する燃料電池と、前記燃料電池から排出された排ガスから生じる凝縮水を回収する水タンクと、を備えた燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の燃料電池システムでは、燃料電池の発電に関連し、燃料電池を冷却するための冷却水や、水蒸気改質用の改質水が必要となり、この冷却水や改質水として、燃料電池からの排ガスから生じた凝縮水を貯留した水タンク中の水が用いられている。そして、水タンク中の凝縮水の水位が下限値以下になると燃料電池による発電が行えなくなり、水タンク中に水が補給されるまで、燃料電池システムの運転が停止することになる。これに対し、例えば特開2016−177998号公報には、水タンク中の凝縮水の水位が所定値以下に減少したとき、水タンク中の凝縮水の水位が正常レベルに戻るまで、燃料電池の出力を低減させた運転を行うようにして、水タンク中の凝縮水の減少により燃料電池システムの運転が停止することがないようにすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−177998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる上記従来の燃料電池システムによれば、水タンク中の凝縮水の減少により燃料電池システムの運転が停止することを抑制できるが、燃料電池の出力を低減させることで運転効率が低下するという問題がある。
【0005】
そこで、燃料電池の出力を低減させることなく水タンク中の凝縮水の水位を維持できる燃料電池システムが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る燃料電池システムは、
原燃料を水蒸気改質して燃料ガスを生成する改質器を備え、前記燃料ガス及び酸素ガスを反応させて発電する燃料電池と、
発電反応に用いられた燃料ガス中に残存する燃料成分を燃焼させて排ガスを生じさせる燃焼部と、
前記燃焼部から排出される前記排ガスの熱を回収する熱交換器と、
前記熱交換器による熱回収により前記排ガスから生じる凝縮水を回収する水タンクと、
前記水タンクに貯留された凝縮水を前記改質器に供給可能な水供給路と、
湯水を貯える貯湯タンクと、
前記排ガスから生じる凝縮水の量に関連する凝縮水情報として、前記貯湯タンクから供給されて前記熱交換器に流入する湯水の温度である流入湯水温度と前記水タンクに貯えられる水の量である貯水量とを取得する凝縮水情報取得部と、
前記排ガスから生じる凝縮水の量を調節可能な凝縮水発生量調節部と、
前記凝縮水情報が、凝縮水の量が減少傾向にあることを示す所定の凝縮水減少条件を満たすときである、前記流入湯水温度が設定温度まで上昇し、且つ、前記貯水量が設定下限水位まで減少したとき、前記凝縮水情報が所定の凝縮水増加条件を満たす、前記凝縮水発生量調節部に前記熱交換器へ冷却液を供給させる凝縮水増加処理を行わせた時間が所定時間に達するか、又は、前記貯水量が増加して目標水量になるまで、前記凝縮水発生量調節部に前記排ガス中から単位時間当たりに回収できる凝縮水の量を増加させる前記凝縮水増加処理を行わせる運転制御部と、を備え
前記貯湯タンクと前記熱交換器との間で湯水を循環させる循環路を備え、前記凝縮水発生量調節部として、前記熱交換器に前記貯湯タンク中の湯水よりも低温の冷却液を供給可能な冷却液供給部を備え、前記運転制御部は、前記熱交換器を、前記排ガスと前記湯水との熱交換を行う湯水利用状態と、前記排ガスと前記冷却液との熱交換が可能な冷却液利用状態とに切替可能であり、前記凝縮水増加処理として、前記熱交換器を前記冷却液利用状態とし、前記冷却液供給部に前記熱交換器へ冷却液を供給させる。
【0007】
この構成によれば、凝縮水の量が減少傾向にあるときに凝縮水発生量調節部により凝縮水増加処理を行わせるため、燃料電池の出力を低減させることなく水タンク中の凝縮水の水位を維持できる。
【0008】
また、この構成によれば、水タンクの貯水量に応じて凝縮水減少条件が満たされているかを判定するので、凝縮水の量が減少傾向にあることを確度高く判定できる。
【0009】
また、この構成によれば、凝縮水増加処理を行った時間に基づき凝縮水増加条件が満たされたと判定するので、過度に凝縮水増加処理を行うことを抑制できる。
【0010】
また、この構成によれば、貯水量に基づき凝縮水増加条件が満たされたと判定するので、確度高く必要な貯水量を確保できる。
また、この構成によれば、凝縮水増加処理として冷却液供給部に熱交換器へ冷却液を供給させるので、熱交換器における熱回収の量が高められ、排ガスからの凝縮水の発生量を増加させることができる。これにより、燃料電池の出力を低減させることなく水タンク中の凝縮水の水位を維持することが可能になる。
本発明に係る燃料電池システムは、
原燃料を水蒸気改質して燃料ガスを生成する改質器を備え、前記燃料ガス及び酸素ガスを反応させて発電する燃料電池と、
発電反応に用いられた燃料ガス中に残存する燃料成分を燃焼させて排ガスを生じさせる燃焼部と、
前記燃焼部から排出される前記排ガスの熱を回収する熱交換器と、
前記熱交換器による熱回収により前記排ガスから生じる凝縮水を回収する水タンクと、
前記水タンクに貯留された凝縮水を前記改質器に供給可能な水供給路と、
湯水を貯える貯湯タンクと、
前記排ガスから生じる凝縮水の量に関連する凝縮水情報として、前記貯湯タンクから供給されて前記熱交換器に流入する湯水の温度である流入湯水温度と前記水タンクに貯えられる水の量である貯水量とを取得する凝縮水情報取得部と、
前記排ガスから生じる凝縮水の量を調節可能な凝縮水発生量調節部と、
前記凝縮水情報が、凝縮水の量が減少傾向にあることを示す所定の凝縮水減少条件を満たすときである、前記流入湯水温度が設定温度まで上昇し、且つ、前記貯水量が設定下限水位まで減少したとき、前記凝縮水情報が所定の凝縮水増加条件を満たす、前記凝縮水発生量調節部に前記熱交換器へ冷却液を供給させる凝縮水増加処理を行わせた時間が所定時間に達するか、又は、前記貯水量が増加して目標水量になるまで、前記凝縮水発生量調節部に前記排ガス中から単位時間当たりに回収できる凝縮水の量を増加させる前記凝縮水増加処理を行わせる運転制御部と、を備え、
前記燃料電池から前記熱交換器に前記排ガスを供給する排ガス配管を備え、前記凝縮水発生量調節部として、前記排ガス配管を冷却して前記排ガス配管を介した前記排ガスからの放熱状態を調節可能な冷却器を備え、前記運転制御部は、前記凝縮水増加処理として前記冷却器を動作させる。
この構成によれば、凝縮水の量が減少傾向にあるときに凝縮水発生量調節部により凝縮水増加処理を行わせるため、燃料電池の出力を低減させることなく水タンク中の凝縮水の水位を維持できる。
また、この構成によれば、水タンクの貯水量に応じて凝縮水減少条件が満たされているかを判定するので、凝縮水の量が減少傾向にあることを確度高く判定できる。
また、この構成によれば、凝縮水増加処理を行った時間に基づき凝縮水増加条件が満たされたと判定するので、過度に凝縮水増加処理を行うことを抑制できる。
また、この構成によれば、貯水量に基づき凝縮水増加条件が満たされたと判定するので、確度高く必要な貯水量を確保できる。
また、この構成によれば、凝縮水増加処理として排ガス配管を介して排ガスを冷却するので、排ガスからの凝縮水の発生量を増加させることができる。これにより、燃料電池の出力を低減させることなく水タンク中の凝縮水の水位を維持することが可能になる。
本発明に係る燃料電池システムは、
原燃料を水蒸気改質して燃料ガスを生成する改質器を備え、前記燃料ガス及び酸素ガスを反応させて発電する燃料電池と、
発電反応に用いられた燃料ガス中に残存する燃料成分を燃焼させて排ガスを生じさせる燃焼部と、
前記燃焼部から排出される前記排ガスの熱を回収する熱交換器と、
前記熱交換器による熱回収により前記排ガスから生じる凝縮水を回収する水タンクと、
前記水タンクに貯留された凝縮水を前記改質器に供給可能な水供給路と、
湯水を貯える貯湯タンクと、
前記排ガスから生じる凝縮水の量に関連する凝縮水情報として、前記貯湯タンクから供給されて前記熱交換器に流入する湯水の温度である流入湯水温度と前記水タンクに貯えられる水の量である貯水量とを取得する凝縮水情報取得部と、
前記排ガスから生じる凝縮水の量を調節可能な凝縮水発生量調節部と、
前記凝縮水情報が、凝縮水の量が減少傾向にあることを示す所定の凝縮水減少条件を満たすときである、前記流入湯水温度が設定温度まで上昇し、且つ、前記貯水量が設定下限水位まで減少したとき、前記凝縮水情報が所定の凝縮水増加条件を満たす、前記凝縮水発生量調節部に前記熱交換器へ冷却液を供給させる凝縮水増加処理を行わせた時間が所定時間に達するか、又は、前記貯水量が増加して目標水量になるまで、前記凝縮水発生量調節部に前記排ガス中から単位時間当たりに回収できる凝縮水の量を増加させる前記凝縮水増加処理を行わせる運転制御部と、を備え、
前記貯湯タンクと前記熱交換器との間で湯水を循環させる循環路を備え、前記熱交換器は、前記排ガスと前記湯水とを熱交換可能であり、前記凝縮水発生量調節部として、前記熱交換器の上流側において、前記循環路を流れる湯水を放熱させる放熱器を備え、前記運転制御部は、前記凝縮水情報が前記凝縮水減少条件を満たしていないときは、前記熱交換器に流入する湯水の温度が所定温度を超えているときに前記放熱器を所定の運転量で動作させ、前記凝縮水情報が前記凝縮水減少条件を満たしているときは、前記凝縮水増加処理として、前記放熱器を前記所定の運転量を超える運転量で動作させる。
この構成によれば、凝縮水の量が減少傾向にあるときに凝縮水発生量調節部により凝縮水増加処理を行わせるため、燃料電池の出力を低減させることなく水タンク中の凝縮水の水位を維持できる。
また、この構成によれば、水タンクの貯水量に応じて凝縮水減少条件が満たされているかを判定するので、凝縮水の量が減少傾向にあることを確度高く判定できる。
また、この構成によれば、凝縮水増加処理を行った時間に基づき凝縮水増加条件が満たされたと判定するので、過度に凝縮水増加処理を行うことを抑制できる。
また、この構成によれば、貯水量に基づき凝縮水増加条件が満たされたと判定するので、確度高く必要な貯水量を確保できる。
また、この構成によれば、凝縮水増加処理として放熱器を動作させて熱交換器に供給される湯水の温度を低下させる。その結果、熱交換器における熱回収の量が高められ、排ガスからの凝縮水の発生量を増加させることができる。これにより、燃料電池の出力を低減させることなく水タンク中の凝縮水の水位を維持することが可能になる。
【0011】
以下、本発明に係る燃料電池システムの好適な態様について説明する。但し、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定される訳ではない。
【0012】
1つの態様として、前記貯湯タンクと前記熱交換器との間で湯水を循環させる循環路を備え、前記熱交換器は、前記排ガスと前記湯水とを熱交換可能であると好適である。
【0013】
凝縮水は排ガスの冷却に伴い発生するので、排ガスからの凝縮水の発生量は熱交換器による排ガスからの熱回収量に依存する。そして、熱交換器が排ガスと湯水とを熱交換可能にする場合、熱交換器により排ガスから回収される熱の量は、貯湯タンクから供給されて熱交換器に流入する湯水の温度である流入湯水温度に依存し、流入湯水温度が高いほど排ガスから回収される熱の量が小さくなる。したがって、排ガスからの凝縮水の発生量は流入湯水温度に依存する
【0021】
1つの態様として、記貯湯タンクの下部から取り出した湯水を前記熱交換器に供給し、前記熱交換器を流れた湯水を前記貯湯タンクの上部に戻す循環路備え、前記熱交換器は、前記排ガスと前記湯水とを熱交換可能であり、前記凝縮水発生量調節部として、前記貯湯タンクから湯水を排出する排湯路と、前記貯湯タンクの下部に接続される補給水路を介して前記貯湯タンクに前記排湯路から排出される湯水より低温の補給水を供給可能な補給水供給部と、を備え、前記運転制御部は、前記凝縮水増加処理として、前記排湯路を介して前記貯湯タンクから湯水を排出させ、且つ、前記補給水供給部から前記貯湯タンクに補給水を供給させる湯水排出運転を行わせると好適である。
【0022】
この構成によれば、凝縮水増加処理として湯水排出運転を行って貯湯タンクの下部に低温の補給水を供給するので、熱交換器に低温の補給水が供給されることになる。その結果、熱交換器における熱回収の量が高められ、排ガスからの凝縮水の発生量を増加させることができる。これにより、燃料電池の出力を低減させることなく水タンク中の凝縮水の水位を維持することが可能になる。
【0025】
1つの態様として、記貯湯タンクと前記熱交換器との間で湯水を循環させる循環路備え、前記熱交換器は、前記排ガスと前記湯水とを熱交換可能であり、前記凝縮水発生量調節部として、前記循環路を流れる湯水の単位時間当たりの流量を調節可能な流量調節部を備え、前記運転制御部は、前記凝縮水増加処理として、前記循環路を流れる湯水の単位時間当たりの流量を増加させると好適である。
【0026】
この構成によれば、凝縮水増加処理として熱交換器に供給する湯水の流量を増加させるので、熱交換器における熱回収の量が高められ、排ガスからの凝縮水の発生量を増加させることができる。これにより、燃料電池の出力を低減させることなく水タンク中の凝縮水の水位を維持することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1実施形態に係る燃料電池システムの通常運転時を示す概略構成図
図2】第1実施形態に係る燃料電池システムの凝縮水増加処理時を示す概略構成図
図3】凝縮水増加処理のための制御を示すフローチャート
図4】第2実施形態に係る燃料電池システムの凝縮水増加処理時を示す概略構成図
図5】第3実施形態に係る燃料電池システムの凝縮水増加処理時を示す概略構成図
図6】第4実施形態に係る燃料電池システムの凝縮水増加処理時を示す概略構成図
図7】第5実施形態に係る燃料電池システムの凝縮水増加処理時を示す概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0028】
〔第1の実施形態〕
本発明に係る燃料電池システムの第1の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る燃料電池システムを示し、本実施形態に係る燃料電池システムは、燃料ガス及び酸素ガスを反応させて発電する燃料電池1と、燃料電池1から排出される排ガスの熱を回収する熱交換器2と、湯水を蓄える貯湯タンク3と、熱交換器2による熱回収により排ガスから生じる凝縮水を回収する水タンク4と、を備えている。なお、図1に示すのはあくまでも本実施形態に係る燃料電池システムの説明に関連する構成のみを示してあり、他は省略してある(図2,4〜7についても同じ)。
【0029】
燃料電池1には、空気流路11を介して空気(酸素ガスの一例)が供給され、原燃料流路12を介して原燃料が供給される。そして、燃料電池1は原燃料を水蒸気改質して燃料ガスを生成する改質器を備え、原燃料流路12を介して供給される原燃料から燃料ガスを生成し、供給された燃料ガス及び空気を反応させて発電するようになっている。そして、燃料電池1は、燃料ガス中に残存する燃料成分を燃焼させて排ガスを生じさせるようになっている。つまり、燃料電池1には、発電反応に用いられた燃料ガス中に残存する燃料成分を燃焼させて排ガスを生じさせる燃焼部(図示せず)が設けられている。なお、後述するように、原燃料流路12には水タンク4から水が供給されるようになっており、改質器が水タンク4からの水を用いて原燃料の水蒸気改質を行うようになっている。
【0030】
熱交換器2には、燃料電池1から熱交換器2に排ガスを供給する排ガス配管25を介して燃料電池1から排出される排ガスが供給され、熱回収後の排ガスが排ガス排出路26を介して排気されるようになっている。そして、熱交換器2には、湯水を貯える貯湯タンク3の下部から取り出した湯水を熱交換器2に供給し、熱交換器2を流れた湯水を貯湯タンク3の上部に戻して貯湯タンク3と熱交換器2との間で湯水を循環させる循環路21を介して貯湯タンク3からの湯水が供給されるようになっており、熱交換器2は、燃料電池1から排出される排ガスと湯水とを熱交換させるようになっている。なお、循環路21には、湯水を循環させるポンプ22、放熱ファン23aを備える放熱器23が設けられており、後述する運転制御部がポンプ22及び放熱器23の運転を制御するようになっている。また、循環路21には、貯湯タンク3から供給されて熱交換器2に流入する湯水の温度である流入湯水温度を取得する温度センサ24が設けられている。なお、詳しくは後述するが、温度センサ24は、排ガスから生じる凝縮水の量に関連する凝縮水情報を取得する凝縮水情報取得部として機能する。
【0031】
貯湯タンク3は、循環路21を介して熱交換器2により熱交換されて昇温した湯水を貯留する。また、貯湯タンク3には、貯留タンク3中の湯水を給湯器32に出湯するための出湯路31、及び、湯水の出湯に応じて貯留タンク3に補給水を給水するための補給水路路33が設けられている。
【0032】
水タンク4は、熱交換器2による熱回収により排ガスから生じる凝縮水を回収するものである。そして、本実施形態では、第1凝縮水回収路41を介して、熱交換器2による熱回収により生じた凝縮水を水精製器42により回収して精製した後、第2凝縮水回収路43を介して精製後の凝縮水を水タンク4に回収するようにしてある。また、水タンク4には水位検出器44が設けられており、水タンク4に貯えられている水の量である貯水量を水位として取得可能になっている。なお、詳しくは後述するが、水位検出器44は、排ガスから生じる凝縮水の量に関連する凝縮水情報を取得する凝縮水情報取得部として機能する。また、水タンク4には、水タンク4中の凝縮水を原燃料流路12に供給する凝縮水供給路45を設けてあり、ポンプ46により原燃料流路12に水タンク4中の凝縮水を供給可能になっている。
【0033】
また、燃料電池システムは、図示しない例えばマイコン等の運転制御部を備え、システムを構成する各部の運転を制御するようになっている。例えば、運転制御部は、循環路21における貯湯タンク3の入口側及び出口側の湯水の温度に基づき、適切な量の湯水が熱交換器2に供給されるようにポンプ22を運転させたり、放熱器23により循環路21中の湯水の放熱を行わせるようになっている。
【0034】
以上のように、本実施形態に係る燃料電池システムでは、基本的に、燃料電池1から排出される排ガスを熱交換器2により湯水と熱交換させて排ガスを冷却し、冷却により排ガスから生じる凝縮水を水タンク4に回収し、回収した凝縮水を燃料電池1側に供給して燃料電池1の発電に利用する、といった形態で運転を行うようになっている。ただし、この場合、排ガスから回収できる凝縮水の量が少なくなると水タンク4中の凝縮水が不足することになり、その結果、システムの運転を行えなくなる。そこで、本実施形態に係る燃料電池システムでは、排ガスから回収できる凝縮水の量が減少傾向にある場合に、これを解消するための排ガスから生じる凝縮水の量を調節可能な構成を採用している。以下、かかる構成について説明する。
【0035】
まず、本実施形態に係る燃料電池システムでは、排ガスから回収できる凝縮水の量が減少傾向にある場合に排ガスから生じる凝縮水の量を調節するため、排ガスから生じる凝縮水の量に関連する凝縮水情報を取得する凝縮水情報取得部と、排ガスから生じる凝縮水の量を調節可能な凝縮水発生量調節部と、を設けて、運転制御部により、凝縮水情報が、凝縮水の量が減少傾向にあることを示す所定の凝縮水減少条件を満たすとき、凝縮水情報が所定の凝縮水増加条件を満たすまで、凝縮水発生量調節部に排ガス中から単位時間当たりに回収できる凝縮水の量を増加させる凝縮水増加処理を行わせるようになっている。つまり、本実施形態に係る燃料電池システムでは、凝縮水の量が減少傾向にあるときに凝縮水発生量調節部により凝縮水増加処理を行わせるようにして、水タンク4中の凝縮水の水位を維持するようになっている。
【0036】
具体的には、本実施形態では、凝縮水情報取得部として温度センサ24及び水位検出器44を用い、運転制御部は、凝縮水情報として、熱交換器2に流入する湯水の温度である流入湯水温度と、水タンク4の水位(水タンク4の貯水量の一例)とを取得するようになっている。そして、凝縮水の量が減少傾向にあると判断するための設定温度と設定下限水位(設定下限水量の一例)とを定めてあり、運転制御部は、流入湯水温度が上昇して設定温度になり、且つ、水位(貯水量)が減少して設定下限水位になると凝縮水減少条件が満たされていると判定するようになっている。つまり、流入湯水温度が高いほど排ガスの冷却量が小さくなって、その結果、凝縮水の発生量が減少するので、流入湯水温度を凝縮水情報として取得すれば、凝縮水の量が減少傾向にあることを判定可能である。また、水タンク4の水位は凝縮水の量が減少していることを直接に示す指標である。このように、本実施形態では、これら2つの指標を用いることで、凝縮水の量が減少傾向であることを確度高く判定可能になっている。
【0037】
また、本実施形態では、凝縮水発生量調節部として熱交換器2に貯湯タンク3中の湯水よりも低温の冷却液(例えばクーラント液)を供給可能な冷却液供給部5を備えている。具体的には、ポンプ53を駆動させることにより、冷却水供給路51と冷却水回収路52とを介して熱交換器2と冷却液供給部5との間で冷却液を循環可能になっている。そして、運転制御部は、熱交換器2を、排ガスと湯水との熱交換を行う湯水利用状態(図1)と、排ガスと冷却液との熱交換が可能な冷却液利用状態(図2)とに切替可能になっており、凝縮水増加処理として、熱交換器2を冷却液利用状態とし、冷却液供給部5に熱交換器2へ冷却液を供給させるようになっている。即ち、運転制御部は、通常運転時は熱交換器2を湯水利用状態にしつつ、凝縮水が減少傾向にあるときにのみ熱交換器2を冷却液利用状態とする。そして、湯水よりも低温の冷却液を熱交換器2に供給することで排ガスの冷却量を大きくできるので、凝縮水の発生量を増加させることができる。
【0038】
なお、湯水利用状態にあるときには湯水のみを熱交換器2に供給し、冷却液利用状態にあるときには冷却液のみを熱交換器2に供給するという図1,2に示す構成に限らず、冷却液利用状態にあるときには湯水との熱交換と併行して冷却液による熱交換を可能にする構成を採用してもよい。この場合、熱交換器2内では、排ガスと冷却液との熱交換、及び、排ガスと湯水との熱交換が行われ、冷却液と湯水との熱交換が行われないように構成することが好ましく、また、熱交換器2内において、先に、排ガスと湯水との熱交換が行われ、その後、排ガスと冷却液との熱交換が行われるように構成することが好ましい。
また、冷却液供給部5、冷却水供給路51、及び、冷却水回収路52のいずれかには図示しない放熱器を設けてあり、冷却液を放熱させて熱交換器2に供給する冷却液を低温に保つことが可能になっている。
【0039】
そして、本実施形態では、凝縮水増加処理を終了させる凝縮水増加条件として、凝縮水増加処理を行う時間と目標とする水タンクの水位(貯水量)とを採用し、運転制御部は、凝縮水発生量調節部として冷却液供給部5に凝縮水増加処理を行わせた時間が所定時間に達するか、又は、水位が増加して目標水位(目標水量)になると凝縮水増加条件が満たされていると判定するようになっている。
【0040】
具体的には、本実施形態では、運転制御部は、図3のフローチャートのような手順で処理を行う。つまり、まず、運転制御部は、温度センサ24が取得する流入湯水温度と水位検出器44が取得する水タンク4の貯水量である水位との凝縮水情報が、上記のような凝縮水減少条件を満たすかを判定する(#1)。そして、凝縮水減少条件を満たしていない場合には通常運転(本実施形態では湯水利用状態の運転)を継続し(#1:No)、凝縮水減少条件を満たしている場合には(#1:Yes)凝縮水増加処理を実行する(#2)。その後、凝縮水増加条件を満たすまで凝縮水増加処理を継続し(#3:No)、凝縮水増加条件を満たしたとき(#3:Yes)凝縮水増加処理を終了して通常運転に戻り、#1に戻る。
【0041】
〔第2の実施形態〕
本発明に係る燃料電池システムの第2の実施形態について、図4を参照して説明する。本実施形態では、凝縮水発生量調節部として冷却ファン6を用いている点で他の実施形態と異なっている。以下、本実施形態に係る燃料電池システムについて、主に第1の実施形態との相違点について説明する。なお、特に明記しない点に関しては、第1の実施形態と同様であり、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0042】
本実施形態に係る燃料電池システムでは、図4に示すように、凝縮水発生量調節部として、冷却液供給部5に代えて、排ガス配管25を冷却して排ガス配管25を介した排ガスからの放熱状態を調節可能な冷却ファン6を備え、運転制御部は、凝縮水増加処理として、冷却液供給部5からの冷却液の供給に代えて、冷却ファン6を動作させるようになっている。つまり、本実施形態では、冷却ファン6を動作させることで排ガス配管25を介して排ガスを冷却し、排ガスからの凝縮水の発生量を増加させるようになっている。なお、凝縮水減少条件及び凝縮水増加条件の判定等の運転制御部の処理フローに関しては、凝縮水増加処理として冷却ファン6を動作させることを除き、第1の実施形態と異ならないので説明は省略する。
【0043】
〔第3の実施形態〕
本発明に係る燃料電池システムの第3の実施形態について、図5を参照して説明する。本実施形態では、凝縮水発生量調節部として排湯路34等を用いている点で他の実施形態と異なっている。以下、本実施形態に係る燃料電池システムについて、主に第1の実施形態との相違点について説明する。なお、特に明記しない点に関しては、第1の実施形態と同様であり、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0044】
本実施形態に係る燃料電池システムでは、図5に示すように、凝縮水発生量調節部として、貯湯タンク3から湯水を排出する排湯路34を設けてあり、また、貯湯タンク3の下部に接続される補給水路33を介して貯湯タンク3に補給水を供給可能な補給水供給部(図示は省略してある)が凝縮水発生量調節部として機能するようになっている。なお、補給水の温度は排湯路34から排出される湯水より少なくとも低温になっている。そして、運転制御部は、凝縮水増加処理として、排湯路34を介して貯湯タンク3から湯水を排出させ、且つ、補給水供給部から貯湯タンク3に補給水をさせる湯水排出運転を行わせるようになっている。つまり、凝縮水増加処理として湯水排出運転を行うことで貯湯タンク3の下部に低温の補給水を供給するので、熱交換器2に低温の補給水が供給されることになる。そして、その結果、熱交換器2における排ガスの冷却量が高まって排ガスからの凝縮水の発生量を増加させることができる。
【0045】
なお、本実施形態では、凝縮水増加処理として湯水排出運転を行うのを、凝縮水減少条件のみならず所定の湯水排出運転条件を満たしている場合に限り行うようにしてある。つまり、貯湯タンク3の下部における水の温度が十分低い場合には、湯水を排出して新たに補給水を供給しても凝縮水の増加には寄与せず、凝縮水の増加させるためには他の凝縮水増加処理を行う必要がある。そして、湯水排出運転条件として、給湯器32への湯水の供給がない状態が一定時間経過したことや、貯湯タンク3の下部の水の温度を計測するようにして、その温度が予め定めた基準温度以下であることを基準とすることが挙げられる。
【0046】
また、一回の凝縮水増加処理で湯水が全て排出されると給湯器32への湯水の供給ができなくなるので、本実施形態では、一回の凝縮水増加処理で貯湯タンク3中の湯水が全て排出されないようにしてある。具体的には、凝縮水増加条件としての凝縮水増加処理を行う時間を、貯湯タンク3中の湯水が全て排出されない時間(例えば、貯湯タンク3中の湯水の量の半分が排出される時間)としたり、排湯路34から排出される湯水の量や補給水路33から供給される補給水の量を計測するようにして、その計測量が一定量に達したときに凝縮水増加条件が満たされたと判定するようにしてもよい。
【0047】
〔第4の実施形態〕
本発明に係る燃料電池システムの第4の実施形態について、図6を参照して説明する。本実施形態では、凝縮水発生量調節部として放熱器23を用いている点で第1の実施形態と異なっている。以下、本実施形態に係る燃料電池システムについて、主に第1の実施形態との相違点について説明する。なお、特に明記しない点に関しては、第1の実施形態と同様であり、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0048】
本実施形態に係る燃料電池システムでは、図6に示すように、凝縮水発生量調節部として、熱交換器2の上流側において、循環路21を流れる湯水を放熱させる放熱器23を用いており、運転制御部は、凝縮水情報が凝縮水減少条件を満たしていないときは、温度センサ24で取得される流入湯水温度(熱交換器2に流入する湯水の温度)が所定温度を超えているときに放熱器23を所定の運転量で動作させ、凝縮水情報が凝縮水減少条件を満たしているときは、凝縮水増加処理として放熱器23を所定の運転量を超える運転量で動作させるようになっている。つまり、通常時(凝縮水情報が凝縮水減少条件を満たしていないとき)は、流入湯水温度が所定温度(例えば40℃)を超えないように、流入湯水温度が所定温度を下回る限度の所定の運転量で放熱器23を運転させるに過ぎないが、凝縮水情報が凝縮水減少条件を満たしているときには、これを超える運転量で放熱器23を動作させて熱交換器2に供給される湯水の温度を過度に低下させて熱交換器2における熱回収の量を高め、これにより、排ガスからの凝縮水の発生量を増加させる。そして、本実施形態では、放熱ファン23aを運転させて湯水を放熱させるところ、所定の運転量を超える運転量で放熱ファン23aを運転させる場合には、放熱ファン23aの運転に伴い過度の騒音が生じることとなるため、夜間には凝縮水増加処理として放熱器23を動作させないようになっている(つまり、所定の運転量を超える運転量で放熱ファン23aを運転させないようになっている)。具体的には、凝縮水増加処理として放熱器23を動作させるのを、凝縮水減少条件のみならず、さらに、放熱器運転条件として予め定めた運転可能時間帯にのみ放熱器23を動作させるようにしてある。
【0049】
〔第5の実施形態〕
本発明に係る燃料電池システムの第5の実施形態について、図7を参照して説明する。本実施形態では、凝縮水発生量調節部としてポンプ22を用いている点で他の実施形態と異なっている。以下、本実施形態に係る燃料電池システムについて、主に第1の実施形態との相違点について説明する。なお、特に明記しない点に関しては、第1の実施形態と同様であり、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0050】
本実施形態に係る燃料電池システムでは、図7に示すように、凝縮水発生量調節部として、冷却液供給部5に代えて、循環路21を流れる湯水の単位時間当たりの流量を調節可能な流量調節部としてのポンプ22を用いており、運転制御部は、凝縮水増加処理として、循環路21を流れる湯水の単位時間当たりの流量を増加させるようになっている。つまり、熱交換器2に供給する湯水の流量を増加させて、熱交換器2における熱回収の量が高められ、排ガスからの凝縮水の発生量を増加させることができる。
【0051】
〔別実施形態〕
(1)上述の実施形態では、第1〜第5の実施形態でそれぞれ異なる凝縮水発生量調節部を用いて凝縮水増加処理を行う構成を例に説明した。しかし、凝縮水発生量調節部として、第1〜第5の実施形態で示したものの全て、又は、2以上の組み合わせを採用するようにして、採用した各凝縮水発生量調節部で実行される凝縮水増加処理を併行して実行させたり、順番に実行させたり、又は、予め定めた基準や条件に従ってその中から1つを選択して実行させるようにしてもよい。その場合、各凝縮水発生量調節部で実行される凝縮水増加処理について、上記した湯水排出運転条件や放熱器運転条件のように発動条件を定めておき、その発動条件を満たしたもののみを実行したり、複数段階の異なる凝縮水増加処理を定めておき、各段階の凝縮水増加処理によっても凝縮水減少条件を依然として満たしている場合に、次の段階の凝縮水増加処理を行わせるようにしてもよい。また、排ガスから生じる凝縮水の量を調節可能な凝縮水発生量調節部は上述の実施形態で示したものに限られず、種々のものを用いることができる。
【0052】
(2)上述の実施形態では、凝縮水情報取得部として温度センサ24及び水位検出器44を用い、運転制御部は、凝縮水情報として、熱交換器2に流入する湯水の温度である流入湯水温度と、水タンク4の貯水量である水位とを取得し、流入湯水温度が上昇して設定温度になり、且つ、水位が減少して設定下限水位になると凝縮水減少条件が満たされていると判定する構成を例に説明した。しかし、運転制御部は、流入湯水温度が上昇して設定温度になるか、水位が減少して設定下限水位になるかのいずれかを満たしたときに凝縮水減少条件が満たされていると判定してもよい。また、凝縮水情報取得部、運転制御部、及び、凝縮水減少条件は上記したものに限られず、種々のものを採用することができる。
【0053】
(3)上述の実施形態では、運転制御部は、冷却液供給部5に凝縮水増加処理を行わせた時間が所定時間に達するか、又は、水位が増加して目標水位になると凝縮水増加条件が満たされていると判定する構成を例に説明した。しかし、凝縮水増加条件は上記したものに限られず、種々のものを採用することができる。
【0054】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、例えば燃料電池システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 燃料電池
2 熱交換器
21 循環路
22 ポンプ(流量調節部)
23 放熱器
24 温度センサ(凝縮水情報取得部)
25 排ガス配管
3 貯湯タンク
33 補給水路
34 排湯路
4 水タンク
44 水位検出器(凝縮水情報取得部)
5 冷却液供給部(凝縮水発生量調節部)
6 冷却器(凝縮水発生量調節部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7