(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記照射制御手段は、前記正常情報の受信の有無、受信の頻度、受信の間隔、受信の時間、及び受信の数の少なくとも1つに基づいて、前記照射手段が前記放射線を照射するように制御することを特徴とする請求項4に記載の放射線撮影システム。
前記照射制御手段は、前記異常情報を受信した場合、前記検出手段の異常を判定し、前記照射手段が前記放射線を照射しないように制御することを特徴とする請求項6に記載の放射線撮影システム。
前記照射制御手段は、前記照射手段が前記放射線の照射を停止した場合、前記検出手段の動作停止を要求する停止要求情報を前記検出制御手段に送信することを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の放射線撮影システム。
前記照射制御手段又は前記検出制御手段は、前記時刻情報の補正量のばらつきに関する統計値が所定の閾値を超える場合、前記放射線の照射又は検出に関する動作を停止することを特徴とする請求項10乃至12の何れか1項に記載の放射線撮影システム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本発明の好適な実施の形態について図面を用いながら詳細に説明する。ただし、各実施形態に示す寸法や構造の詳細は、本文および図中に示す限りではない。なお、放射線は、X線の他、α線、β線、γ線、及び各種粒子線なども含む。
【0013】
図1に、本発明の第1の実施形態の放射線撮影システムを示す。放射線撮影システム100は、放射線撮影装置(検出制御装置)101、放射線発生装置(照射部)110、及び放射線発生装置110を制御する照射制御装置120を含んでいる。放射線撮影装置101は、有線通信部104を備える。照射制御装置120は、有線通信部121を備える。放射線撮影装置101と照射制御装置120は、通信部により通信ネットワークを介して互いに接続されている。
【0014】
なお、放射線撮影装置101は、無線通信部103を含んでもよい。この場合、通信ネットワークインフラの一部に、無線LANアクセスポイント(AP)113が含まれ、無線通信部103と無線LANアクセスポイント(AP)113を用いて、通信ネットワークの一部の区間が無線通信によって接続される。通信ネットワークを介して接続されている機器の間では、情報がメッセージの形式で交換される。
【0015】
これに対し、放射線発生装置110と照射制御装置120の接続は、通信ネットワークを介さずに、電気的に直接接続されるため、情報はメッセージの形式に変換されることなく、電気信号として直接伝達される。
【0016】
放射線撮影装置101は、放射線源109から放射されて被写体112を透過した放射線111に基づいて、被写体112の放射線画像データを取得する装置である。例えば、フラットパネルディテクタ(FPD)を用いた放射線撮影装置などが、放射線撮影装置101として好適に用いられる。
【0017】
放射線撮影装置101は、受光した放射線に応じた放射線画像データを生成する受像器(検出部)107と撮影制御部102を少なくとも有する。放射線撮影装置101は、放射線を検出する受像器107を制御する。撮影制御部102は、受像器107の駆動制御、撮影された放射線画像データに対する各種の画像処理、放射線画像データの保存、放射線画像データの転送タイミングの判定、及び放射線画像データの転送制御などに関する処理を行う。撮影制御部102で処理された放射線画像データは、図示しない制御端末に転送され、検査などの用に供される。
【0018】
放射線撮影システム100は、放射線画像の動画の撮影に対応しており、その動作の概要は以下の通りである。まず撮影に先だって、動画の撮影のためのパラメータ(例えば、フレームレートや1フレームあたりの放射線パルスの長さなど)は、あらかじめシステムの各部に設定されている。
【0019】
操作部150は、放射線を照射する照射時刻を設定する設定手段である。操作者は操作部150を介して照射時刻を任意に設定することができる。操作部150で設定された照射時刻は、照射制御装置120と放射線撮影装置101に伝達される。なお、操作部150は、放射線撮影装置101から出力される放射線画像を表示する機能を有していてもよい。また、曝射ボタン115によって、照射時刻を設定することもできる。放射線撮影システムの操作者は、撮影を実施したいタイミングで曝射ボタン115を押下する。曝射ボタンの押下が発生したことは、電気信号として照射制御装置120に伝達される。照射制御装置120は、この信号を受けて、放射線の照射が開始される照射時刻を設定し、撮影を開始する旨のメッセージを生成し、通信ネットワークを介して放射線撮影装置101とメッセージを交換する。
【0020】
照射時刻が伝達された後、照射制御装置120内の照射パルス発生部123が、放射線照射のタイミングパルスを生成する。照射制御装置120内の計時制御部122は、時刻情報を保持する。照射パルス発生部123は、計時制御部122の時刻情報に基づいて、タイミングパルスを生成する。このタイミングパルスは、放射線発生装置110に伝達され、放射線発生装置110は、タイミングパルスに従って、放射線111を照射する。
【0021】
一方、放射線撮影装置101では、照射時刻が伝達された後、撮影制御部102内の駆動制御部105が、受像器107の駆動制御信号を発生し、受像器107から放射線画像データを取得する。放射線撮影装置101内の計時制御部106は、時刻情報を保持する。駆動制御部105は、計時制御部106の時刻情報に基づいて、駆動制御信号を発生する。
【0022】
また、放射線画像データの取得は、放射線照射のタイミングパルスと重ならないような時刻を選んで実施される。つまり、放射線画像データの取得は、放射線照射の時間帯と異なる時間帯に行われる。
【0023】
放射線撮影システムの操作者が撮影を終了するために曝射ボタンの押下をやめると、照射制御装置120は、タイミングパルスの生成を停止し、撮影を停止する旨のメッセージを生成し、放射線撮影装置101とメッセージを交換する。
【0024】
以上で述べた、撮影開始と撮影停止を制御するメッセージの通信手順と、動作タイミングの発生について、
図2を用いて詳細に説明する。
【0025】
放射線撮影装置101と照射制御装置120は、それぞれ計時制御部106,122を備え、放射線撮影システムの起動時を起点として計時動作をしている。放射線撮影装置101と照射制御装置120の時刻は撮影に先立って同期されているが、その手法については後述する。
【0026】
操作部150によって、放射線を照射する照射時刻が設定されると、照射制御装置120は、計時制御部122から現在時刻を取得する。また、曝射ボタンが押下されると、照射制御装置120は、計時制御部122から現在時刻を取得する。
図2では、照射制御装置120は、計時制御部122から時刻値10260を取得する。
【0027】
照射制御装置120には、放射線の照射が開始される照射時刻が伝達される。具体的には、現在時刻から所定の時間経過した時刻に、曝射が開始される曝射開始予告時刻が設定される。現在時刻にあらかじめ設定された時間を加算することにより、曝射開始予定時刻が算出される。
【0028】
加算される時間は、放射線撮影装置101と照射制御装置120とが伝達(メッセージ交換)を行う時間と放射線撮影装置101が放射線検出の撮影準備動作に移行する時間とに十分余裕のある時間である。また、加算される時間は、操作者を不要に待たせて操作感を低下させない程度の時間であることが好適である。また、加算される時間値は、システム設計時に、あらかじめ算出されて、設定されてもよいし、照射制御装置120と放射線撮影装置101の通信による事前のネゴシエーションによって、動的に決定されてもよい。
【0029】
加算される時間値の詳細はここでは説明しないが、
図2の例では、時間値40が加算され、曝射開始予定時刻10300が算出される。
【0030】
曝射開始予定時刻が算出された後、照射制御装置120は、放射線の照射が開始される照射時刻(曝射開始予定時刻)に関する照射情報を放射線撮影装置101に送信する。照射制御装置120は、放射線撮影装置101に対して、撮影開始を要求する撮影要求メッセージ200を送信する。この撮影要求メッセージ200には、上記の曝射開始予定時刻がパラメータとして含まれている。
【0031】
なお、
図2では、撮影要求メッセージ200に、放射線の照射時間長さ(放射線パルスの長さや照射ウィンドウなど)と照射サイクル(フレームレートなど)に相当する情報が含まれている。しかし、これらの情報が撮影要求メッセージ200に含まれることは必須ではなく、上記のように撮影に先立って別の手段であらかじめ設定又は伝達されていてもよい。また、ここに明示していない他のパラメータが、撮影要求メッセージ200に含まれて伝達されてもよい。
【0032】
放射線撮影装置101には、放射線の照射が開始される照射時刻が外部から伝達される。例えば、撮影要求メッセージ200を受信した放射線撮影装置101は、撮影要求メッセージ200を受信した時点で、自身の計時制御部106から現在時刻を取得する。放射線撮影装置101は、現在時刻とメッセージで受け取った曝射開始予定時刻とを比較し、これから撮影する撮影モードに照らし合わせて、撮影準備動作(又は、放射線検出動作)を曝射開始予定時刻に完了できるか否かを判断する。
【0033】
判断の結果、撮影準備動作が完了可能であれば、放射線撮影装置101は、照射制御装置120に撮影(又は、放射線の照射)を許可する撮影許可メッセージ201を返信すると共に、撮影準備動作を計画し、駆動制御部105によって撮影準備動作を実行する。
このように、撮影制御部102は、放射線の照射が開始される照射時刻に関する照射情報を受信し、放射線撮影装置101は、照射情報(曝射開始予告時刻)に基づいて、照射時刻に放射線を検出可能な状態になるように受像器107を制御する。また、放射線撮影装置101は、受像器107が照射時刻に放射線を検出可能な状態になったことを示す撮影許可情報(撮影許可メッセージ)を照射制御装置120に送信する。
【0034】
照射制御装置120は、照射時刻前(曝射開始予告時刻前)の所定の時間までに撮影許可情報を受信した場合、放射線発生装置110が放射線を照射するように制御する。例えば、照射制御装置120は、自身の計時制御部122の示す時刻が曝射開始予定時刻に達する前に撮影許可メッセージ201を受信したら、曝射開始予定時刻から放射線照射のタイミングパルスの発生を開始する。そして、照射制御装置120は、あらかじめ定められた放射線パルスの長さとフレームレートになるように、計時制御部122の時刻を基に、放射線の照射動作を計画し、照射パルス発生部123が放射線の照射動作を実行する。
【0035】
このように、照射制御装置120は、照射時刻に放射線を照射するように放射線発生装置(照射部)110を制御する。
【0036】
一方、撮影準備動作を完了した放射線撮影装置101は、自身の計時制御部106の示す時刻が曝射開始予定時刻になったら、放射線の照射に備えて受像器107の動作を蓄積状態にする。そして、受像器107は、蓄積状態から放射線パルスの長さに相当する時間が経過した後(
図2では、計時制御部106の示す時刻が10310に達した後)、受像器107を読み出す読み出し状態になり、放射線画像データを取得する。
【0037】
その後は、照射制御装置120と同様に、放射線撮影装置101は、あらかじめ定められたフレームレートになるように、計時制御部106の時刻を基に、撮影動作(蓄積動作や読み出し動作など)を計画し、撮影制御部102が撮影動作を実行する。
【0038】
上記の通り、照射制御装置120が放射線照射のタイミングパルスを発生するのは、撮影許可メッセージ201を受信することが条件である。通信ネットワーク中でメッセージが消失したり大きく遅延したりすることで、この条件が満たせなかった場合の動作を、
図3に示す。
【0039】
照射制御装置120は、撮影許可メッセージ201が受信できなかった場合、計時制御部106の示す時刻が曝射開始予定時刻10300になってもパルスを発生しない。一方、放射線撮影装置101は、放射線撮影装置101が送信した撮影許可メッセージ201が照射制御装置120に到達したか否かを知ることはできないため、曝射開始予定時刻10300に放射線画像データの取得を開始する。結果として、放射線撮影装置101は、照射を受けていない暗画像を取得することになるが、これは被写体に放射線を照射しない状態での撮影動作であるため、不要な被曝という害はない。
【0040】
このように、照射制御装置120は、照射時刻前(曝射開始予告時刻前)の所定の時間までに撮影許可情報を受信しなかった場合、放射線発生装置110が放射線を照射しないように制御する。
【0041】
なお、撮影許可メッセージ201が届かない事象は、上記のような撮影許可メッセージ201の消失によってのみ発生するものではない。他にも、撮影要求メッセージ200が消失したために放射線撮影装置101がそもそも撮影許可メッセージ201の返信を行っていない場合や、撮影要求メッセージ200が遅延した場合がある。また、放射線撮影装置101側の理由によって放射線撮影装置101が撮影実行不可能と判断して返信を行わなかった場合などがある。
【0042】
撮影実行が不可能である場合、放射線撮影装置101が撮影許可メッセージ201に代えて撮影不可メッセージ(異常メッセージ)を照射制御装置120に返信するのは、好適な実施形態である。何れの場合であっても、不要な放射線の照射を被写体に与えることは回避される。
【0043】
次に、撮影の継続判断と停止について説明する。放射線の照射を停止すべき状況は複数ある。例えば、放射線撮影システムの操作者が曝射ボタン115の押下をやめることにより、撮影を停止する場合である。これは、正常な停止である。一方、正常でない停止の例としては、照射制御装置120が放射線撮影装置101の撮影動作などの異常を検知した場合が挙げられる。
【0044】
放射線撮影装置101は、撮影を開始するメッセージの交換の後、撮影動作を継続している間は、定期的に正常メッセージ202を照射制御装置120に送信し続ける。照射制御装置120は、正常メッセージ202を受信している間、放射線撮影装置101が正常に動作を続けているものと判定する。
【0045】
このように、放射線撮影装置101は、受像器107が放射線を検出可能である場合、受像器107が正常に動作していることを示す正常情報(正常メッセージ)を照射制御装置120に送信する。そして、照射制御装置120は、正常情報に基づいて、受像器107の正常又は異常を判定する。照射制御装置120は、受像器107が正常である場合、放射線撮影装置101が放射線を照射するように制御し、受像器107が異常である場合、放射線発生装置110が放射線を照射しないように制御する。
【0046】
つまり、照射制御装置120は、正常情報に基づいて、放射線撮影装置101が放射線を照射するように制御する。
【0047】
なお、正常メッセージ202自体が通信ネットワーク上で消失することがあり得るので、正常メッセージ202の1回の欠落により、照射制御装置120が放射線撮影装置101の異常を判定するのは過剰である場合がある。そのため、正常メッセージ202の欠落の頻度により、照射制御装置120が放射線撮影装置101の異常を判定することが好適である。また、速やかな判定ができるように、正常メッセージ202の送受信の間隔は、所定の閾値より短い時間間隔に設定されることが好適である。ただし、この閾値は、通信ネットワークに負荷をかけない程度に長い時間間隔に設定されることが好適である。
【0048】
このように、照射制御装置120は、正常メッセージの受信の有無、受信の頻度、受信の間隔、受信の時間、及び受信の数の少なくとも1つに基づいて、放射線発生装置110が放射線を照射するように制御する。
【0049】
正常メッセージ202の欠落が発生したときの様子を、
図5に示す。照射制御装置120に届く正常メッセージ202の欠落の頻度が許容できない程度(所定の閾値以上)になったら、照射制御装置120は、放射線照射のタイミングパルスの生成を停止し、曝射が行われないようにする。放射線撮影装置101の撮影動作に異常があるのか、正常メッセージ202が通信ネットワークの不調により不達となっているのかなどの放射線撮影装置101又は通信ネットワークの状態を、照射制御装置120は判定できないまま、曝射を停止する。
【0050】
そのため、放射線撮影装置101が撮影動作を継続したまま、曝射が停止する場合があり得る。この場合、放射線撮影装置101は、照射を受けていない暗画像を取得することになるが、これは被写体に放射線を照射しない状態での撮影動作であるため、不要な被曝という害はない。
【0051】
上記の説明は、照射制御装置120が正常メッセージ202に基づいて放射線撮影装置101の動作が正常であるか否かを受動的に判定できなったことによる曝射の停止である。この他、放射線撮影装置101が自身の異常を能動的に照射制御装置120に通知することによっても、撮影動作又は曝射動作は停止される。
【0052】
図6にその様子を示す。放射線撮影装置101は、自身の動作の異常を検知し、受像動作を維持できなくなったと判断した場合、正常メッセージ202の送信を停止し、異常メッセージ204の送信を開始する。このとき、正常メッセージ202と同様、異常メッセージ204も定期的に送信を繰り返す。照射制御装置120は、異常メッセージ204が届いたら、正常メッセージ202の欠落頻度の判定を待たずに、直ちに放射線照射のタイミングパルスの生成を停止する。そして、照射制御装置120は、停止要求メッセージ205を放射線撮影装置101に返信する。
【0053】
このように、放射線撮影装置101は、受像器107が放射線を検出不可能である場合(所定の放射線画像データを出力不可能である場合を含む)、受像器107が正常に動作していないことを示す異常情報(異常メッセージ)を照射制御装置120に送信する。そして、照射制御装置120は、異常情報に基づいて、受像器107の正常又は異常を判定する。照射制御装置120は、受像器107が正常である場合、放射線発生装置110が放射線を照射するように制御し、受像器107が異常である場合、放射線発生装置110が放射線を照射しないように制御する。
【0054】
照射制御装置120は、異常情報を受信した場合、受像器107の異常を判定し、放射線発生装置110が放射線を照射しないように制御する。照射制御装置120は、放射線発生装置110が放射線の照射を停止した場合、受像器107の動作停止を要求する停止要求情報(停止要求メッセージ)を放射線撮影装置101に送信する。
【0055】
照射制御装置120は、異常メッセージ204が届くたびに停止要求メッセージ205の返信を行う。放射線撮影装置101は、照射制御装置120から停止要求メッセージ205を受信したら、異常メッセージ204の繰り返し送信を停止する。以上により、異常停止の手順が完了する。なお、異常メッセージ204の送信間隔は正常メッセージ202の送信間隔と同じである必要はない。異常を速やかに伝達されるように、可能な限り短い間隔とするのが好適であり、異常メッセージ204の送信間隔は正常メッセージ202の送信間隔より短い場合もある。
【0056】
次に、操作者の入力による正常な停止について、
図4を用いて説明する。操作者が曝射ボタン115の押下をやめると、停止信号が照射制御装置120に伝達される。これを受けて、照射制御装置120は、直ちに放射線照射のタイミングパルスの生成を停止する。そして、照射制御装置120は、停止要求メッセージ203を放射線撮影装置101に送信する。停止要求メッセージ203を受信した放射線撮影装置101は、撮影動作を停止する。
【0057】
放射線撮影装置101は、停止要求メッセージ203を確認し、応答メッセージ206を照射制御装置120に送信する。応答メッセージ206が照射制御装置120に届くまで、照射制御装置120は、停止要求メッセージ203を放射線撮影装置101に繰り返し送信する。つまり、放射線撮影装置101は、停止要求情報を受信した場合、停止要求情報を受信したことを示す応答情報(応答メッセージ)を照射制御装置120に送信し、照射制御装置120は、応答情報を受信した場合、停止要求情報の送信を停止する。以上により、正常な停止が完了する。
【0058】
なお、停止要求メッセージ203が通信ネットワーク上で消失することがあり得るので、放射線撮影装置101が撮影動作を継続したまま、曝射が停止する場合があり得る。この場合、放射線撮影装置101は、照射を受けていない暗画像を取得することになるが、これは被写体に放射線を照射しない状態での撮影動作であるため、不要な被曝という害はない。
【0059】
以上が撮影開始と撮影停止を制御するメッセージの通信手順である。次に、計時制御部106と計時制御部122の時刻を同期させる機構と通信手順について説明する。時刻の同期を、通信ネットワーク上の通信によって確立する手順を
図7に示す。
図7では、計時制御部122が時刻サーバー(すなわち、基準となる時計)として動作し、計時制御部106が時刻クライアント(すなわち、時刻サーバーを基準として補正される時計)として動作する。
【0060】
まず、放射線撮影装置101が有線通信部104又は無線通信部103を通じて、計時制御部122の時刻(時刻情報)の送信を照射制御装置120に要求する時刻要求メッセージ207を照射制御装置120に送信する。このとき、放射線撮影装置101における時刻要求メッセージ207の送信時刻(計時制御部106の時刻)が時刻要求メッセージ207に含まれる。
図7の例では、時刻値10254が時刻要求メッセージ207に記録されている。
【0061】
時刻要求メッセージ207を受信した照射制御装置120は、時刻メッセージ208を放射線撮影装置101に返信する。このとき、照射制御装置120における時刻メッセージ208の送信時刻(計時制御部122の時刻)が時刻メッセージ208に含まれる。
図7では、時刻値10254が時刻メッセージ208に含まれる。時刻メッセージ208が放射線撮影装置101に到着したら、放射線撮影装置101は、時刻メッセージ208の受信時刻を計時制御部106の時刻で取得する。
図7では、時刻値10260が取得されている。
【0062】
放射線撮影装置101及び照射制御装置120間の時刻要求メッセージと時刻メッセージ208との伝搬時間がほぼ同等であると仮定する。この場合、照射制御装置120が時刻メッセージ208を返信した時刻は、計時制御部106の時刻では時刻値10254と時刻値10260の中間(つまり、(10254+10260)/2=10257)であると推定することができる。
【0063】
時刻メッセージ208に含まれている照射制御装置120の時刻値は10254であるので、推定時刻との時間差を取れば、10257−10254=3の時刻分、放射線撮影装置101の時刻が進んでいることが判明する。以上によって、計時制御部106と計時制御部122の時刻差が算出されるので、計時制御部106の時刻を補正することによって、計時制御部106と計時制御部122の時刻を同期させることができる。
【0064】
このように、放射線撮影装置101は、照射制御装置120が参照する時刻情報(計時制御部122の時刻)に基づいて、放射線撮影装置101が参照する時刻情報(計時制御部106の時刻)を補正する。本実施形態では、放射線撮影装置101は、照射制御装置120が参照する時刻情報、時刻要求情報の送信時刻、及び時刻要求情報の応答による照射制御装置120からの時刻情報の受信時刻に基づいて、放射線撮影装置101が参照する時刻情報を補正する。
【0065】
なお、照射制御装置120が時刻差を記憶し、記憶した時刻差で計時制御部122の時計を調整した時刻を基に、放射線源109と放射線撮影装置101とを制御してもよい。また、放射線撮影装置101が時刻差を記憶して、放射線撮影装置101は、照射制御装置120からの動作タイミングに対し計時制御部106の時刻に時刻差を加算して動作してもよい。
【0066】
図7では、1回の時刻要求メッセージ207と時刻メッセージ208の送受信に基づいて補正量を決定しているが、実際にはメッセージの伝搬時間にばらつきが発生し得るので、補正量を調整することが要求されることがある。そのため、複数回の時刻要求メッセージ207と時刻メッセージ208の送受信を実行して、統計的に補正量を算出するのが好適である。
【0067】
例えば、複数の時刻要求メッセージ207と時刻メッセージ208の送受信に基づく補正量のなかから、ラウンドトリップタイムの少ない順に所定の数の補正量を集めて、補正量の平均を算出することにより、統計的に補正量を算出してもよい。本実施形態のラウンドトリップタイムは、放射線撮影装置101が時刻要求メッセージ207を送信してから時刻メッセージ208を受信するまでの時間である。また、蓄積状態の期間に対する放射線の照射期間を基にした許容される誤差範囲内の時刻差から補正量を算出することが好ましい。
【0068】
また、上記では補正量を一度に加算しているが、一度に大きく補正を行うと受像器107の駆動制御の等間隔性が補正の直後に大きく損なわれ、画質が1フレームだけ目立って前後フレームと異なるという現象を引き起こす。したがって、所定の閾値より大きな補正量は、時間をかけて複数回に分けて計時制御部106に加減算することが好適である。
【0069】
また、
図7の放射線撮影装置101からの発信時刻が時刻要求メッセージ207に含まれ、時刻要求メッセージ207の送信時刻と時刻メッセージ208の送信時刻が時刻メッセージ208に含まれてもよい。これにより、メッセージが消失して、対応する時刻要求メッセージ207と時刻メッセージ208のペアが不明瞭になっても処理が可能である。
【0070】
なお、本実施形態については、最小限の動作原理を示すために
図7の手順を示しているが、時刻の同期処理はこれに限られるものではなく、実施において複雑さが許容できる場合には、既存の複雑な時刻同期プロトコルを用いてもよい。既知のプロトコルとして、RFC4330 SNTPやIEEE1588 PTPなどが挙げられる。
【0071】
以上説明した通り、本実施形態のシステムは、撮影の開始と停止を制御する撮影処理の通信手順と、複数の計時制御部の時刻を同期させる同期処理の通信手順とを、組み合わせて実行しながら運用される。これらの通信手順は、排他的ではなく、必ずしも協調する必要はない。
【0072】
つまり、撮影が行われていて正常メッセージ202が定期的に伝達されている間に、時刻の同期処理の通信手順を実行してもよい。また、撮影の時間が長くなれば、一度同期させた計時制御部106,122間の時刻差が再び大きくなるので、撮影の最中に時刻の同期処理の通信手順を定期的に実行することが好適である。一方、正常メッセージ202の間隔と時刻要求メッセージ207の間隔を相関させる必要は必ずしもなく、それぞれ異なる間隔で動作が可能である。ただし、メッセージの送受信が時間的に重複することを避けて同期精度を向上させることなどを目的として、複数のメッセージの間隔を相関させてもよい。
【0073】
時刻の同期処理の通信手順の結果、統計的に補正量を算出することは上記の通りであるが、この統計処理の結果が撮影の開始と停止の制御に影響を与えることがある。複数の時刻要求メッセージ207によって得られた複数の補正量の分散が所定の閾値より大きい場合、真に必要な補正量を求めることは困難であり、補正前に時刻の同期が確立できている見込みも低い。このため、補正量の確度が低いときには、時刻の同期が確立できていないと見なし、撮影の開始を不許可としたり、撮影を中断したりするように制御してもよい。
【0074】
このように、照射制御装置120又は放射線撮影装置101は、時刻情報の補正量のばらつきに関する統計値(分散や標準偏差など)が所定の閾値を超える場合、放射線の照射又は検出に関する動作を停止する。
【0075】
具体的には、放射線撮影装置101が撮影要求メッセージ200に対して撮影許可メッセージ201を返信しないように制御する。また、放射線撮影装置101が撮影中の正常メッセージ202の送信を中断して、異常メッセージ204の送信を開始するように制御してもよい。なお、このような撮影の不許可や中断の基準となる同期の確度は、動画の撮影のためのパラメータに応じて可変であることが好適である。時刻情報の補正量のばらつきに関する統計値(分散や標準偏差など)の所定の閾値は、放射線の照射条件又は放射線の検出条件に応じて可変である。
【0076】
例えば、フレームレートが所定の閾値より低ければ放射線を検出する期間を長くすることが可能であるので、時刻の同期が低い確度であっても撮影を行うことが可能なように構成できる。
【0078】
第1の実施形態においては、照射制御装置120が備える計時制御部122が、システムが動作するための基準の計時手段(マスタークロック)であった。しかし、本発明はこれに限られるものではない。放射線撮影装置101が備える計時制御部106が、システムが動作するための基準の計時手段(マスタークロック)であってもよい。この場合、照射制御装置120は、放射線撮影装置101が参照する時刻情報(計時制御部106の時刻)に基づいて、照射制御装置120が参照する時刻情報(計時制御部122の時刻)を補正する。
【0079】
例えば、上記の放射線撮影装置101の同期処理と同様に、照射制御装置120は、放射線撮影装置101が参照する時刻情報、時刻要求情報の送信時刻、及び時刻情報の受信時刻に基づいて、照射制御装置120が参照する時刻情報を補正する。この場合、時刻要求情報は、計時制御部106の時刻(時刻情報)の送信を放射線撮影装置101に要求する時刻要求メッセージである。また、時刻情報は、時刻要求メッセージの応答による放射線撮影装置101からの時刻メッセージである。
【0080】
図8は、放射線発生装置110が撮影のフレームレートに従ったパルスを発生させ、計時制御部122がこれに追従するように構成されたシステムにおける、時刻同期の動作を示している。このように、照射制御装置120は、放射線発生装置110が参照する時刻情報(同期パルス)に基づいて、照射制御装置120が参照する時刻情報(計時制御部122の時刻)を補正してもよい。
【0081】
放射線発生装置110は、撮影のフレームレートに従った同期パルスを定常的に発生して、照射制御装置120に伝達している。放射線発生装置110は、同期パルスを発生していても、照射制御装置120からの曝射許可が与えられない限りは、曝射を行わない。
【0082】
放射線発生装置110が発生する同期パルスは、放射線発生装置110の持つ源発振器に従って発生しており、同期パルスは照射制御装置120の計時制御部122の時刻の進度との誤差を皆無にはできない。同期しなければ、放射線発生装置110の同期パルスと照射制御装置120の時刻との時差は拡大し、計時制御部122の時刻に基づいて算出されるパルス発生時刻に同期パルスが発生しないという事態に陥る。
【0083】
これに対処するため、照射制御装置120は、与えられた同期パルスの発生時刻を計時制御部122の時刻と比較し、両者の差を検出した場合には、計時制御部122を補正して同期パルスに追従させる。放射線発生装置110と照射制御装置120は、通信ネットワークを介さずに直接電気的に接続される。したがって、通信ネットワークによる補正量の推定値のばらつきは小さいことから、真の補正値を算出するための統計処理をすることなく、差を検出したら直ちに時刻差を補正すればよい。そのため、精密な追従が可能になっている。
【0084】
計時制御部122と計時制御部106の間の時刻同期は、第1の実施形態と同様の方式によって動作する。計時制御部122が同期パルスに対して追従すると、これに少し遅れて計時制御部106が追従することになる。したがって、第1の実施形態に比べると、同期パルスと計時制御部106の時刻との差異が大きくなると考えられるが、上記の通り計時制御部122の同期パルスに対する追従動作は精密であるので、実際には全体として大きな影響を与えない。
【0085】
図9は、本実施形態での撮影開始時の動作を示す。照射制御装置120は、曝射ボタンの押下を検知すると、計時制御部122の時刻により、曝射ボタンの押下以降の同期パルス400,401,402の発生時刻を予測する。照射制御装置120は、放射線撮影装置101の撮影準備動作などの時間を考慮して、撮影動作が間に合うと予測できる曝射開始予告時刻に対応する同期パルス時刻を、同期パルス400,401,402から決定する。
図9では、同期パルス401が曝射開始予定時刻として採用される。以後のメッセージ交換手順については、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0086】
撮影許可メッセージ201を受信した照射制御装置120は、撮影が許可されたことを放射線発生装置110に通知する。放射線発生装置110は、この通知を受けて、自身の発生する同期パルスに合わせて放射線を発生する。
【0088】
計時制御部106,122以外の計時手段が通信ネットワーク上に存在し、これをマスタークロックとして利用する場合も、本発明に含まれる。放射線撮影装置101は、基準となるマスタークロック(基準時刻情報)に基づいて、放射線撮影装置101が参照する時刻情報(計時制御部106の時刻)を補正する。また、照射制御装置120は、基準となるマスタークロック(基準時刻情報)に基づいて、照射制御装置120が参照する時刻情報(計時制御部122の時刻)を補正する。
【0089】
図10に示すように、本実施形態のシステムには、
図1のシステム構成に加え、通信ネットワーク上に、マスタークロック(基準時刻情報)となる時刻サーバーが存在する。時刻サーバーは、
図7における第1の実施形態の計時制御部122が行っていた処理と同様の処理を実行する。本実施形態の計時制御部122は、第1の実施形態と異なり、時刻クライアントとして動作する。
【0090】
計時制御部106と計時制御部122とは共に、
図10の時刻サーバーと通信し、これに追従するように自身の時刻を補正する。
【0091】
第1の実施形態においては、時刻クライアントは計時制御部106であるので、補正量の統計的推定を行うのは計時制御部106であったが、本実施形態においては、計時制御部122も時刻クライアントであるので、計時制御部106と同様の動作を行う。このため、照射制御装置120の計時制御部122がマスタークロックと同期処理を行う場合、同期の確度が低くなり、計時制御部122の同期不良の可能性が発生する。
【0092】
第1の実施形態では、補正量の確度が低いときには、放射線撮影装置101が撮影許可を与えないように制御する例を示したが、本実施形態では、補正量の確度が低いときには、照射制御装置120が放射線の照射許可を与えないように制御してもよい。
【0093】
具体的には、確度が低い状態で曝射ボタンが押下された場合、照射制御装置120はこれを無視し、撮影要求メッセージ200を放射線撮影装置101に送信しないなどの動作を行う。
【0095】
第1の実施形態では、
図7に示すように、時刻を同期させる通信手順は、時刻要求メッセージと時刻返信のメッセージがほぼ同等の伝搬時間で伝達されると仮定していた。しかしながら、通信ネットワークでは、送受信されるメッセージの伝搬時間が同等でない場合がある。特に、無線LANのアクセスポイント(AP)と各無線局との通信で、伝搬時間の非対称性が強く表れる。
【0096】
このような通信ネットワークで時刻を同期させる通信手順を実施する様子を
図11に示す。
図11では、同期処理を実行した後の計時制御部122の時刻は10259であるのに対し、計時制御部106の時刻は10257を示しており、伝搬時間の非対称性が補正後にもずれを生じさせていることが分かる。この非対称性が一時的なものではなく安定している場合、同期処理を繰り返しても、非対称性を起因とする時差は解消されない。
【0097】
これに対処するために、放射線撮影システム100の起動時に、有線通信部104と無線通信部103を同時に通信ネットワークに接続し、双方の通信手段で計時制御部106に対して時刻同期手順を実施することが好適である。一時的に有線通信部104及び無線通信部103を用いて時刻同期を行った後、有線通信部104で同期した時刻を真とし、無線通信部103で同期した時刻が定常的な補正ずれを含むとすれば、両者の時刻の差が無線通信部における同期処理の補正ずれとなる。
【0098】
上記の通り、補正ずれが安定して存在している場合、以後の同期処理では、無線通信部を用いて同期処理を継続しても、算出された補正ずれにより補正量を修正することで、補正ずれを解消することができる。
【0099】
このように、放射線撮影装置101は、時刻情報を伝搬する第1の通信手段(有線通信)及び第2の通信手段(無線通信)により照射制御装置120と通信可能である。
【0100】
そして、放射線撮影装置101は、第1の通信手段を介して照射制御装置120から受信した時刻情報(計時制御部122の時刻)に基づいて、放射線撮影装置101が参照する時刻情報(計時制御部106の時刻)を補正する第1の補正処理を施す。また、放射線撮影装置101は、第2の通信手段を介して照射制御装置120から受信した時刻情報(計時制御部122の時刻)に基づいて、放射線撮影装置101が参照する時刻情報(計時制御部106の時刻)を補正する第2の補正処理を施す。
【0101】
放射線撮影装置101は、第1の補正処理による補正量に基づいて、第2の補正処理による補正量を修正する。この場合、第1の補正処理による時刻情報の誤差は、第2の補正処理による時刻情報の誤差より小さいため、第1の補正処理による時刻を真の時刻として、第2の補正処理による補正量が修正される。
【0102】
なお、本実施形態では真の同期時刻として有線通信部104による同期時刻を用いるが、これに限られるものではなく、例えば、通信ネットワークを介さない直接的な同期手段を用いて真の同期時刻を設定してもよい。
【0104】
第1の実施形態では、放射線撮影装置101と照射制御装置120の時刻差の拡大を防ぐために、撮影中も同期処理の通信手順を継続することが好適である旨を述べた。これに対して、照射制御装置120と放射線撮影装置101の計時制御部106,122の源発振器が、補正せずとも互いに極めて近い周期となるように精度を持っていれば、同期処理の通信手順を中断しても、時差が急激に拡大することがないように構成できる。
【0105】
これを用いて、撮影実行中などの同期処理の通信手順を停止することができる。ただし、同期処理の停止期間が長くなれば時差の拡大はさけられない。そのため、停止期間の長さに応じて、最大で発生する時差の大きさを推定し、これが所定の閾値を超える場合、再度の同期処理を行うことが好適である。具体的には、最後に同期処理を行ってからの経過時間に応じて、操作者に警告を発することにより再度の同期処理を要求する。
【0106】
なお、ここで、時刻の同期の手段が第1の実施形態で述べた通信手順に限られることはなく、通信ネットワークを介さない同期手段であってもよい。例えば、照射制御装置120と放射線撮影装置101が、電気的な直接接続により同期された後、電気的な直接接続を切り離して撮影動作を行い、切り離されてからの経過時間に応じて、撮影動作が自動的に中断され、操作者に再度の同期処理を要求する。
【0107】
本発明によって、放射線発生装置と放射線撮影装置が同期しながら撮影可能であり、同期できない状況が推定されるときには放射線の照射を停止することで、不要な被曝を回避できる。また、時刻の同期処理を行うことで、撮影の同期の精度を向上させることができる。
【0108】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において変更・変形することが可能である。
【0109】
例えば、照射制御装置120と放射線撮影装置101は、それぞれに内部時計(計時制御部122,106)を持ち、放射線撮影装置101は、自身の内部時計の時刻に基づいて撮影動作を実行する。そして、照射制御装置120は、自身の内部時計の時刻と、照射制御装置120と放射線撮影装置101との時刻差と、に基づいてパルス状の放射線照射を制御する。
【0110】
また、放射線撮影システム100は、パルス状の放射線照射のタイミングを制御する照射制御装置120と、1つ以上の放射線撮影装置101と、を少なくとも含み、相互に通信ネットワーク回線で接続される。
【0111】
そして、照射制御装置120は、システム内の各放射線撮影装置101に対して、放射線のパルス照射の時刻を含むメッセージを、通信ネットワーク回線を介して通知する。通知を受けた各放射線撮影装置101は、照射制御装置120に確認応答を返信する。照射制御装置120は、通知を送信したすべての放射線撮影装置101から確認応答の返信があったときに、特定のフレーム間隔でパルス状の放射線照射を継続し、所定のタイミングパルス数内に応答がなかったときには照射を停止する。
【0112】
また、照射制御装置120又は放射線撮影装置101は、時刻情報の補正量に基づいて補正量の経時的変化を算出し、経時的変化に基づいて補正量を推定する。そして、推定された補正量が所定の閾値を超える場合、照射制御装置120は、照射制御装置120が参照する時刻情報の補正及び放射線の照射に関する動作の停止の少なくとも1つを実行する。推定された補正量が所定の閾値を超える場合、放射線撮影装置101は、放射線撮影装置101が参照する時刻情報の補正及び放射線の検出に関する動作の停止の少なくとも1つを実行する。
【0113】
例えば、上記のように時刻情報の補正を複数回行い、それぞれの補正量の時間あたりの変化量を算出し、それぞれの変化量の平均に経過時間を積算することで、経時的変化より補正量が推定される。
【0114】
本発明は、上記の実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、システム又は装置のコンピュータ(CPUやMPUなど)がプログラムを読み出すことにより実行されてもよい。また、本発明は、システム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能であり、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。