(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記放射線を発生する放射線発生手段から前記放射線が照射されずに前記放射線撮影装置が画像を取得する状態である場合、前記非接触受電及び前記非接触給電の少なくとも1つを停止させることを特徴とする請求項1または2に記載の放射線撮影装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図を用いて実施形態について説明する。
【0014】
本実施形態では、放射線撮影装置101が非接触による受電機構を備え、必要と判断した場合には、送電側に対して送電を停止するように指示を出すことで非接触給電による送受電を停止させる例を示す。
図1は、本実施形態における放射線撮影装置101を含んだ放射線撮影システム100の一部構成例を示している。以下、
図1を用いて放射線撮影システム100の構成物と関係性について説明する。
【0015】
放射線撮影装置101は少なくとも有線若しくは無線又は両方の通信機能を備えており、通信経路を介してコンソール102とデータの送受信が可能である。コンソール102は、モニターなどの表示機能とユーザーからの入力機能を備えたPCによって構築され、ユーザーからの指示を放射線撮影装置101へと伝えたり、放射線撮影装置101が取得した画像を受け取ってユーザーに示したりすることが可能である。
【0016】
また、コンソール102は有線若しくは無線、又は両方の通信機能を備えている。
図1ではコンソール102について据え置きタイプのものを図示しているが、実際の運用において制約は特になく、可搬タイプのノートPCやタブレット機器などでもよい。
【0017】
放射線撮影装置101が画像を取得した場合、システムの構成状況によって通信経路の構成要素103〜105の何れかの構成を介して画像データをコンソール102へと送付したり、画像データをコンソール102へと直接送付したりする。
【0018】
例えば、構成要素103は通信ネットワーク(例えば、LANネットワーク)であり、有線ケーブルで通信ネットワーク103に放射線撮影装置101とコンソール102が接続されることでデータの送受信が可能となる。
【0019】
また、放射線撮影装置101は少なくとも非接触受電機能を設けており、電力供給が可能な電源ユニット(給電部)104と近接させることで、電源ユニット104が放射線撮影装置101に対して給電可能となる。さらに、放射線撮影装置101が非接触近接通信機能を備えている場合には、非接触受電機能と近接部を同一部分に設ければ、近接することで受電と通信が可能となる。
【0020】
図1においては、放射線撮影装置101と電源ユニット104を接続する線のうち、線150が通信用の配線、線151が給電用の接触を意味している。
図1では、電源ユニット104が通信ネットワーク103に接続される形態を示しているが、電源ユニット104とコンソール102を直接電気的に接続するような形態でもよい。
【0021】
放射線撮影装置101に無線による通信機能を設けている場合、アクセスポイント105(以下AP105)を介してコンソール102とのデータの送受信を実現してもよい。
図1では、AP105が通信ネットワーク103に接続されている形態が示されているが、電源ユニット104の内容と同じく、AP105からコンソール102へ直接電気的に接続してもよい。
【0022】
さらに、放射線撮影装置101やコンソール102が相互に直接データを送受信する機能を設けているならば、無線や有線によって直接データを送受信しても構わない。
【0023】
以上が放射線撮影装置101とコンソール102の間にてデータの送受信を実施する際の経路例の説明となる。
【0024】
ここで、放射線撮影装置101の充電器であるクレードル113について説明する。放射線撮影装置101の内部構成については後述するが、放射線撮影装置101は、バッテリなどの内部電源を備えており、放射線撮影装置101に対して外部から給電することで内部電源を充電することが可能である。前述の電源ユニット104からの受電によっても充電が可能であるが、放射線照射による撮影を実施しない場合などに放射線撮影装置101を組み付けておくことで充電が可能な機器としてクレードル113が用意されている。
【0025】
クレードル113には少なくとも非接触給電機構が組み込まれており、放射線撮影装置101が組み付けられると、それを検知して給電を開始できる状態となる。これによって放射線撮影装置101は受電並びに内部電源の充電が可能となる。
【0026】
図1ではクレードル113が単独で存在している様子を記載している。ただし、複数クレードル113が通信機能を有して通信ネットワーク103経由で各機器と接続できるようにし、放射線撮影装置101が組み付けられている間に放射線撮影装置101と各機器間で通信ができるようにしてもよい。
【0027】
次に、放射線による被写体110の撮影の概要について説明する。ここでは放射線発生装置108の放射線照射と同期して撮影を実施する同期撮影モードでの処理を示す。
【0028】
放射線撮影装置101は、被写体110の撮影を実施するにあたって、放射線管球106から照射され被写体110を透過した放射線を受光する位置に設置される。
【0029】
撮影の流れの一例を示すと、操作者が放射線撮影装置101を起動した後に、コンソール102を撮影者が操作して放射線撮影装置101を撮影可能状態にする。続いて、撮影者は放射線発生装置コンソール107を操作して、照射する放射線条件を設定する。以上の処理が終了後、被写体110を含めた各撮影準備が整ったことを撮影者が確認し、放射線発生装置コンソール107に備えられた曝射スイッチを押下し、放射線を曝射させる。
【0030】
放射線の曝射の際、放射線発生装置108はこれから放射線が照射される旨の信号を放射線撮影装置101へと接続器109や通信ネットワーク103を介して通知する。
図1では、両者が接続器109及び通信ネットワーク103を介して接続されているが、接続に関してはこの形態に限定されない。放射線撮影装置101が備える機能によっては、後述するように照射の通知が必要ない場合もあり得る。
【0031】
放射線撮影装置101に放射線を照射する旨の信号が届くと、放射線撮影装置101は自らの状態が放射線照射に対する準備が整っているかを確認し、問題がなければ照射許可を放射線発生装置108へと返答する。これによって放射線が照射される。
【0032】
放射線撮影装置101は、放射線発生装置108からの通知あるいは事前に取り決められた設定時間を参照するなど各種方法で、放射線照射終了を検知すると、画像の生成を開始し、生成された画像データは前述の通信経路を通ってコンソール102に送られる。コンソール102に送られたデータはコンソール102に含まれる表示部に表示することができる。
【0033】
放射線撮影装置101は撮影部位や被写体状況などの各条件によって撮影用の架台111やベッド112に組み込まれて撮影が行われる。
【0034】
以上が同期撮影モードでの動作である。
【0035】
また、放射線撮影装置101が放射線照射検知モードを備えていた場合には撮影の流れが変化する。放射線照射検知モードでは、放射線撮影装置101を放射線照射を検出可能な状態にした後、放射線が任意のタイミングで放射線撮影装置101へ照射される。放射線撮影装置101が、放射線の照射を検知したら、画像取得のための処理を開始する。このため、処理は放射線発生装置108と放射線撮影装置101間の放射線照射許可に関する送受信が不要となる。
【0036】
次に、
図2を用いて放射線撮影装置101について説明する。
【0037】
放射線撮影装置101は入射してきた放射線を電気信号に変えるためのセンサ部201を持つ。このセンサ部201はさらにシンチレータと光検出器のアレーによって構成される。シンチレータと光検出器アレーは、それぞれ2次元平面の形状をしており、それぞれの面と面が向き合う形で隣接している。
【0038】
シンチレータは放射線などの放射線によって励起され、可視光を発し、その光の強さと期間に合わせた電荷が光検出器アレーの各画素に蓄積される。
【0039】
以上のような放射線を電荷として検出するセンサ部201を駆動するのがセンサ駆動部202であり、センサ部201を駆動した結果として出力された電荷を受け取り、デジタル情報に変換するのが読み取り部203である。センサ駆動部202は、蓄積された電荷を取り出す際に、光検出器アレーのどの行あるいは列から取り出すかの選択を実施し、読み取り部203は取り出した電荷を増幅した後にデジタル化を行う。
【0040】
読み取り部203がデジタル化したデータは制御部204へ送られ、制御部204によって記憶部205へと送られる。記憶部205に記憶された画像データは通信に関する機能部を経由して外部機器へ送られるか、制御部204が何らかの処理を施した後に外部機器へ送られる。また、場合によっては、そのまま記憶部205に蓄積される場合もある。
【0041】
センサ部201の構成としては、シンチレータの種類や光検出器又は制御部204や記憶部205などの種類などに特に限定はなく、様々な構成が考えられる。
【0042】
制御部204は放射線撮影装置101の各部の制御に関わる処理を行う。例えば、制御部204は、撮影に関してセンサ部201を駆動するための指示をセンサ駆動部202へと出力したり、得られた画像データを記憶部205へ保存したり、取り出したりする。
【0043】
また、制御部204は、通信部206を介して他の機器へ画像データを送信したり、あるいは同じく通信部206経由で指示を受信したり、操作部207からの操作によって放射線撮影装置101の起動/停止の切り替えなどを実施する。さらに、制御部204は、報知部208を介して動作状況やエラー状態をユーザーに通知することも可能である。本実施形態では前述の処理内容を制御部204で処理しているが、複数の制御部204を備えさせて分担処理してもよい。また、具体的な実装についても、制御部204は、CPU、MPU、FPGA、及びCPLDなど様々なもので実現可能であり、特に制限はない。
【0044】
記憶部205は、放射線撮影装置101が取得した画像や内部処理の結果などを示すログ情報を保存するために用いられる。また、記憶部205は、制御部204がCPUなどのソフトウェアを用いるものであった場合には、そのためのソフトウェアなども格納することができる。
【0045】
具体的な実装に制約はなく、記憶部205は、メモリ、HDD、及び揮発/不揮発について様々な組み合わせで搭載可能である。また、本実施形態では1つの記憶部205しか示していないが、複数の記憶部205を持つことも可能である。
【0046】
通信部206は、放射線撮影装置101と他の機器との通信を実現するための処理を行う。本実施形態における通信部206は、無線通信用の無線通信接続部209と接続されており、この無線通信接続部209を介してAP105やコンソール102と通信することができる。無線通信接続部209の一例としては、無線通信用のアンテナなどがあげられる。
【0047】
また、通信部206は、有線通信接続部210とも接続されており、この有線通信接続部210を介してコンソール102と通信することが可能である。図においては有線通信接続部210が放射線撮影装置101の外装に接しており、コネクタを介した接続であてもよく、近距離非接触通信であってもよい。本実施形態では、その一例として後述の電源ユニット104などの構成も含め、近距離非接触通信が搭載されているものとして説明する。
【0048】
なお、通信部206についてはこのような形態に限定されず、有線通信だけあるいは無線通信だけを備える構成でもよい。また、通信の規格や方式についても特に限定はない。
【0049】
放射線撮影装置101は内部電源211を持つ。本実施形態において内部電源211は充電池であり、着脱可能な形態となっている。内部電源211はこの例に限定されず、充電可、充電不可、着脱可、着脱不可、及び電力生成の手法などは様々な組み合わせを取ることができる。
【0050】
電源生成部212は、内部電源211から与えられた電力から放射線撮影装置101の各部が必要とする電圧及び電流を生成し、分配供給する。また、放射線撮影装置101が電源ユニット104の非接触給電機能と近接されている際には、電源ユニット104から供給されている電力を、非接触受電部213を用いて受電することが可能である。そして、この電力を用いて、放射線撮影装置101の各部への電力供給が行われり、内部電源211が充電されたりすることが可能である。非接触受電部213は、非接触給電を行う電源ユニット104に近接することにより非接触受電を開始可能である。
【0051】
なお、非接触受電部213については電力の受電を行うだけでなく、同一の受電機構若しくは受電機構と同一の部品やユニットに組み込まれた通信機能を用いて、非接触給電に関する情報の送受信を送電側と受電側で実施してもよい。つまり、非接触受電部213は、情報の送受信を電源ユニット104と行ってもよい。
【0052】
本実施形態では、同一の部品(例えば、コイル)を用いて送電側と通信が近接通信で可能である。このため、図では非接触受電部213と制御部204が接続されている。なお、通信に関する送受信の間に、通信部206又は専用の通信部を新たに設けて、非接触受電部213と制御部204が情報の送受信を実施してもよい。
【0053】
操作部207は、ユーザーからの操作を受け付けるのに用いられる。実装方法は特に限定されず、ユーザーからの入力を受け付けられればよい。具体的には、ユーザーが手動で操作する各種スイッチやタッチパネルなどによって実現できる。また、操作専用のリモートコントローラーからの入力を受け付ける受信部をあわせて持ってもよい。
【0054】
報知部208は、放射線撮影装置101の状態などをユーザーなどに通知するのに用いられる。実装方法は特に限定されず、LED、LCD、及びモニターなどによって実現できる。また、ユーザーへの通知方法の1つとして、スピーカなどの発音機能が備えられてもよい。
【0055】
物理センサ部214は、各種物理事象を検知するためのセンサ部である。物理現象の一例としては、温度、加速度、地磁気、及び電磁界などがある。物理事象の検知情報を基に、制御部204が放射線撮影装置101の状況を判断し、高温や強い衝撃を受けた場合には警告を報知したり、自身の設置向きなどを判断した上でユーザーあるいはコンソール102へ使い勝手を改善するための情報を送信したりする。
【0056】
照射検知部215は、放射線の照射の有無を検知するための機能を備えている。照射検知部215の実現方法については、センサ部201と同様に、シンチレータと光センサを用いて検知する方法や、放射線照射によってセンサ部201に発生する電流の流れを検知する方法など、複数の実現手法が存在する。本実施形態においては、電気的な仕組みを用いたものが対象となる。
【0057】
すなわち、どのような手法であっても、その検知方法に電圧や電流(電荷)などを用いた仕組みが含まれるものが対象である。よって、
図2では、照射検知部215が単一の機能部として記載されているが、センサ部201などと一体になっている場合もある。
【0058】
照射検知部215は放射線が照射されたことを検知すると、その旨を制御部204に通知する。これを受けた制御部204は、同期モードと同様、放射線による電荷をセンサ部201に蓄積し、その電荷を読み出して画像を生成するように、センサ部201、センサ駆動部202、及び読み取り部203を制御する。
【0059】
次に、電源ユニット104の構成を説明する。
図3は電源ユニット104の構成例である。本実施形態における電源ユニット(給電部)104は、電源ユニット本体301、電源ユニットケーブル302、及び電源ユニット近接部303を備える。
【0060】
放射線撮影装置101へ電力供給する場合は、電源ユニット近接部303を放射線撮影装置101の受電部へ近接又は接触させ、電源ユニット本体301は、電源ユニットケーブル302を介して放射線撮影装置101から離れた場所に配置することが可能となる。なお、ここで述べた「接触」は、外装同士を接触させることを意図している。
【0061】
電源ユニット本体301は、交流電源から電力を受け取り、直流電圧に変換する電源生成部304、及び電源ユニット104内の各ユニットが用いる電源を生成する内部電源部305を備える。また、電源ユニット本体301は、各部の制御を行う制御部306、電源ユニット104と他のユニットとの通信を行う通信部307、及び放射線撮影装置101以外との通信用接続部である接続部308を備えている。
【0062】
電源ユニット近接部303は、非接触送電部309と、有線通信接続部310とを備える。非接触送電部309は、内部電源部305から送電用の電力を受け取るとともに、制御部306によって送電の制御を実施される。また、放射線撮影装置101の非接触受電部213と同様に、本実施形態では、同一の部品を用いた非接触給電に関する通信を行う。
【0063】
有線通信接続部310は、前述の放射線撮影装置101内の有線通信接続部210と対になる部分である。前述の通り、本実施形態における有線通信接続部210は、近距離無線通信を想定しているので、対応する電源ユニット104の有線通信接続部310も同様の構成及び機能となる。ただし、通信に関する部分をコネクタのような接触による接続により実施してもよい。
【0064】
有線通信接続部310は通信を実施するため、電源ユニットケーブル302を介して通信部307に接続されている。
【0065】
ここまで電源ユニット本体301と電源ユニット近接部303がケーブルを介して離れた場所に置かれている場合を想定したが、電源ユニット近接部303が本体に取り込まれるような形態で実現してもよい。
【0066】
放射線撮影装置101と電源ユニット104の構成を説明してきたが、ここで、接続の一例として本実施形態で説明する接続構成概略図を
図4に示す。
図4は
図1〜
図3を踏まえ、放射線撮影装置101からコンソール102までがどのようにつながり、どのような情報をやり取りするかの一例を示したものである。
【0067】
なお、ここでは電源ユニット104に関係する非接触給電に関する部分と有線接続通信(近接非接触通信)に着目するため、無線接続による通信経路や接続形態については触れない。また、
図4には、電力伝送と情報伝達とが表されている。
【0068】
放射線撮影装置101が電源ユニット104から電力を受け取る際には、予め電源ユニット近接部303が放射線撮影装置101に近接させられる。配置安定化のために筐体外装同士を接触させてよい。この状態になると、非接触送電部と非接触受電部間で相互認識のための通信を送受電用のコイルを介して行い、電力伝送ができることが判明すると非接触送電部309から電力が供給され、電力を非接触受電部213が受け取り放射線撮影装置101内で使用する。
【0069】
放射線撮影装置101が取得した画像を外部機器へ転送する場合には、有線通信接続部210,310を用いてデータの授受を行う。放射線撮影装置101が取得した画像をコンソール102へ転送する場合、放射線撮影装置101から接続部210,310を介して、電源ユニット104の通信部307、接続部308、及び通信ネットワーク103を経由してコンソール102へと送られる。
【0070】
ここまで繰り返し述べているが、各接続に関しては一例であるため、例えば、有線通信接続部はコネクタを介した接触による手法でもよいし、非接触給電に関する通信は別経路を用いて実現してもよい。
【0071】
次に、クレードル113の構成例について説明する。
【0072】
クレードル113は、前述の通り、放射線撮影装置101を充電する場合に使用する。よって、基本的な構成は
図5に示した通りとなる。すなわち、クレードル113は、交流電源から電力を受け取り、直流電圧に変換する電源生成部401、クレードル113内の各ユニットが用いる電源を生成する内部電源部402、各部の制御をおこなう制御部403、及び非接触送電部404を備える。
【0073】
放射線撮影装置101に対して電力を供給する際の処理概要は電源ユニット104と同様であるため省略する。なお、
図1の説明においても述べたが、放射線撮影装置101と他ユニットとの通信が可能となるような機構を、クレードル113に設けてもよい。
【0074】
架台111やベッド112について、電源ユニット近接部303を予め放射線撮影装置101の収まる箇所へ配置しておけば、放射線撮影装置101を組み付けることにより、電源ユニット104に接続したときと同様に、非接触給電が可能となる。簡単な例としては、架台111に電源ユニット104一式を組み付ければよい。また、電源ユニット104の形状については、
図3で示したようなケーブルを介した形態でも、近接部と本体とが一体となった形態でもよい。
【0075】
以上を踏まえ、実際に非接触給電が行われる場合と、給電を止める際の処理について説明する。本実施形態の放射線撮影装置101は、放射線を検出可能であり、非接触受電が可能な放射線撮影装置であって、放射線撮影装置101の状態に応じて、放射線撮影装置101の非接触受電及び非接触給電の少なくとも1つを停止させる制御部204を備える。例えば、制御部204は、放射線撮影装置101が放射線を検出可能な状態である場合、放射線撮影装置101の非接触受電及び非接触給電の少なくとも1つを停止させる。
【0076】
本実施形態において給電を止める状況としては、「画像読み出し期間」、「放射線照射検知モード時」、及び「各種物理センサ検知動作時」である。以下、各状況について説明する。
【0077】
まず、非接触給電を止める処理の一例として、「画像読み出し期間」について説明する。
図6に基本的な同期撮影モードでのフローを示す。
【0078】
放射線撮影装置101が起動されると、必要な各機能部へと電力が供給され、機能部が起動し始める。起動する機能部は、放射線撮影装置101内の全ての機能部である必要はない。例えば、センサ部201などの撮影に用いる機能部は撮影の要求が与えられるまで起動しなくてもよい。
【0079】
続いて、処理はS601へ移り、放射線発生装置108からの撮影要求があるか否かを判定する。要求がなかった場合はそのまま撮影要求を待ち続ける。要求があった場合は処理がS602へと移る。その後、順次撮影準備移行から撮影完了までを実施する途中に、非接触給電を止める期間がある。給電停止となる期間は、本実施形態においては「画像読み出し期間」である。
【0080】
具体的に言えば、「画像読み出し期間」は、センサ駆動部202が読み出しラインを選択することでセンサ部201に蓄積された電荷を取り出し、これを読み取り部203が取り込んでデジタル化するために要する期間のことである。画像の読み出しは、ラインごとに行われるので、設定された読み出し予定ラインが全て読み出し終了となるまでの時間が画像読み出し期間となる。制御部204は、放射線撮影装置101がセンサ部201から電荷を読み出す状態である場合、非接触受電及び非接触給電の少なくとも1つを停止させる。
【0081】
被写体110の放射線画像の撮影時では、放射線を発生する放射線発生装置108から放射線が照射されることにより放射線撮影装置101が画像を取得する状態であり、制御部204は、非接触受電及び非接触給電の少なくとも1つを停止させる。
【0082】
放射線撮影装置101によっては、1枚の画像を作成するためにセンサアレイの持つオフセット情報の画像と放射線照射後の画像の合計2枚の画像を取得するものがある。その場合にはそれぞれの画像を取得するための読み出し期間が「画像読み出し期間」となる。オフセット情報の画像の撮影時では、放射線を発生する放射線発生装置108から放射線が照射されずに放射線撮影装置101が画像を取得する状態であり、制御部204は、放射線撮影装置101の非接触受電及び非接触給電の少なくとも1つを停止させる。
【0083】
この期間は、画像生成に必要な微量の電荷を取り出す期間であり、この期間に非接触給電を実施しないことで、電磁気的ノイズがセンサアレイ上に誘導起電力及びそれによる電流を発生させて画像に影響を与えることを防ぐ。給電停止となる期間は、放射線撮影装置101が内部電源からの電力で動作することになる。このため、内部電源に十分な電力残量がない場合には、その旨を通知してユーザーに警告したり、撮影動作に移行させないようにしたりする形態であってもよい。
【0084】
次に、実際の給電停止並びに再開の際の処理について例示する。画像撮影における処理がS604に移行するタイミングで、放射線撮影装置101は給電側である電源ユニット104へ送電停止通知を出す。制御部204は、放射線撮影装置101に非接触給電を行う電源ユニット(給電部)104に、非接触給電の停止に関する情報を送信する。
【0085】
本実施形態では、非接触送電部309並びに非接触受電部213が給電に関する情報の送受信を実施可能な通信機能を備えているので、放射線撮影装置101の制御部204が非接触受電部213を介して送電を停止するように指示を出す。非接触受電部213から非接触送電部309へと受信された指示は、電源ユニット104の制御部306へと受信され、送電停止の指示を受けた制御部306は内部電源部305に対して非接触送電部への給電を停止するように指示することで送電を停止する。
【0086】
送電再開の際の流れも同様であり、「画像読み出し期間」が終了したら放射線撮影装置101は給電停止のときと同じ伝達経路で給電再開を許可する旨の通知を出し、電源ユニット104側も同じ流れで非接触送電部からの給電を再開させる。制御部204は、放射線撮影装置101に非接触給電を行う電源ユニット(給電部)104に、非接触給電の開始に関する情報を送信する。
【0087】
ここでは、非接触送電部309及び非接触受電部213を用いて情報の送受信を実施したが、有線通信接続部210,310、無線通信接続部209、並びにAP105を用いて情報のやり取りを実施してもよい。
【0088】
次に、非接触給電を止める処理の一例として、「放射線照射検知モード時」について説明する。
【0089】
ここで改めて、放射線照射検知モード並びに放射線照射検知機能について説明する。前述のように、放射線照射検知機能は、放射線撮影装置101が自身で放射線照射の有無を判断し、放射線が照射されていると判断した際にはセンサ部201で放射線による電荷を蓄積、その後画像として読み出す機能のことである。センサ部201は、放射線を発生する放射線発生装置108からの放射線照射を検知する。
【0090】
放射線照射検知モードは、前述のような放射線照射検知機能によって画像を取得するモードのことである。放射線照射検知モードでは、放射線発生装置108と放射線撮影装置101間で放射線照射に関する通知のやり取りを実施せず、
図1に示した接続器109は必要なくなる。
【0091】
図7に基本的な放射線照射検知モード時でのフローを示す。放射線撮影装置101が起動された直後の処理は、同期撮影の際の
図6のフローと同じである。すなわち、必要な各機能部へと電力が供給され、機能部が起動し始める。起動する機能部は放射線撮影装置101内の全ての機能部である必要はない。例えば、センサ部201などの撮影に用いる機能部は撮影の要求が与えられるまで起動しなくてもよい。
【0092】
続いて、処理はS701へと移り、放射線照射検知モードでの撮影に移行する旨の要求があるか否かを判断し、要求があるならばS702へと移行する。本実施形態では放射線照射検知モードでの撮影を前提としているが、前述のような同期撮影のモードと放射線照射検知モードを切り替えるような構成も可能であり、その判定を実施するような処理がS701以前に実施されてもよい。
【0093】
照射検知モード移行要求は、一例として放射線撮影装置101に対応したコンソール102から、撮影シーケンスのスタート指示などとして与えられる場合が考えられる。
【0094】
S702では放射線照射検知モードへと移行するための通電や機能部起動などの準備処理が実施される。その後、処理はS703へと移り、実際に放射線の照射待ち状態になると同時に非接触給電停止期間へと遷移する。制御部204は、センサ部201(放射線撮影装置101)が放射線照射を検知可能な状態である場合、放射線撮影装置101の非接触受電及び非接触給電の少なくとも1つを停止させる。
【0095】
給電停止並びに再開の際の処理については前述の「画像読み出し期間」中に非接触給電を停止させたときの処理と同じである。
【0096】
S704では、検知時間がタイムアウトになったか否かを判定する。放射線検知手法によってはいつまでも検知待ち時間に設定することも可能であるが、実際の使用を考えると、放射線照射が一切ないまま放置されてしまった場合に備えて、一定時間で処理を停止したほうが好ましい。
【0097】
また、検知時間に限度がある検知手法であれば、タイムアウト時間を設定する形態が適切である。S704の処理の結果として、照射待ち時間がタイムアウト時間に達していると判断された場合、処理はS705へと移り、放射線検知モードを終了する。これにより、非接触給電を再開可能となるが、その際の処理も前述の「画像読み出し期間」が終了して給電を再開するときの処理と同様である。
【0098】
一方で、S704でタイムアウト時間が過ぎていないと判定された場合には、放射線照射があるか否かを判定するS706へと処理が移る。ここで照射されていないと判定された場合には処理が再びS704へと移り、非接触給電を停止したままタイムアウトするか放射線が照射されるまで処理ループを繰り返す。
【0099】
S706で放射線照射ありと判定された場合には、処理がS707へと移り、放射線検知モードを終了する。
【0100】
その後、処理はS708へと移り、照射中の放射線によって画像となる電荷を蓄積するために、放射線照射が終了するまでセンサ部201を電荷の蓄積が可能な状態にする。本説明では、画像を取得するために使用するセンサ部201を、放射線を検知する検知手段としても使用するため、S707の処理を記載したが、センサ部201が検知手法として用いられない場合、予めセンサ部201を電荷蓄積可能な状態にしておいてもよい。
【0101】
続いて、放射線の照射が終了すると同期撮影のときと同じく、画像の読み出しを実施し、読み出しが完了すると、処理はS709へと移る。
【0102】
処理がS709へ移る際に非接触給電を再開可能となるが、その際の処理は前述の復帰方法と同様である。
【0103】
本実施形態では放射線検知モード開始以降、S708の読み出しまで継続して非接触給電を停止している。ただし、放射線照射を検知してS707にて検知モードが終了してからS708の読み出しが開始されるまでの間に時間が空く場合や、磁界の変化による影響を受ける機能が動作していない場合には、非接触給電をその期間だけ復帰してもよい。
【0104】
次に、非接触給電を止める処理の一例として、「各種物理センサ検知動作時」について説明する。
【0105】
放射線撮影装置101は、
図2において説明した通り、放射線撮影装置101の所定の物理量を検知する物理センサ部214を備えている。これらが動作するタイミングで非接触給電が近傍で実施されるとセンサの出力データに誤りが生じる可能性がある。制御部204は、物理センサ部214が物理量を検知可能な状態である場合、放射線撮影装置101の非接触受電及び非接触給電の少なくとも1つを停止させる。
【0106】
例えば、放射線撮影装置101の温度を検知する温度センサが備えられており、放射線撮影装置101が自身の動作によって放射線撮影装置101内部に発生する熱を検知し、これが所定以上の温度にならないように監視及び警告しているものとする。このような状態で非接触給電による電磁界変化が温度センサ出力に影響を与えてしまうと、温度が上昇していないにも関わらず高温化の警告がコンソール102などに出力されてしまい、撮影が実施できなくなる可能性がある。
【0107】
そこで、制御部204は、温度センサが放射線撮影装置101の温度を検知可能な状態である場合、放射線撮影装置101の非接触受電及び非接触給電の少なくとも1つを停止させる。
【0108】
また、放射線撮影装置101の姿勢を検知する地磁気センサや放射線撮影装置101の加速度を検知する加速度センサが備えられてもよい。この場合、地磁気センサや加速度センサを用いて放射線撮影装置101が自身の設置向きなどを検知して、取得後の画像をどの向きでコンソール102に表示するかをコンソール102と連携して判定及び表示する。これらセンサが非接触給電の電磁界変化の影響を受けてしまうと、表示が好適ではなくなってしまう可能性もある。
【0109】
そこで、制御部204は、地磁気センサ又は加速度センサが放射線撮影装置101の姿勢又は加速度を検知可能な状態である場合、放射線撮影装置101の非接触受電及び非接触給電の少なくとも1つを停止させる。
【0110】
さらに、一部のセンサは動作開始前にキャリブレーションを必要とするものがあるが、このキャリブレーション中に電磁界の影響を受けてしまうと、基準となる数値が誤った状態になってしまう。
【0111】
このようなことを防ぐために、各センサが動作する期間は非接触給電を停止させる方法が考えられる。そこで、制御部204は、物理センサ部214がキャリブレーションされる状態である場合、放射線撮影装置101の非接触受電及び非接触給電の少なくとも1つを停止させる
【0112】
停止するタイミングとして、放射線撮影装置101の制御部204は、物理センサ部214が動作する前に非接触給電を停止させ、物理センサ部214が動作を停止させてから非接触給電を復帰させればよい。
【0113】
一例として、温度センサが動作する場合を説明する。温度センサは常に温度検出結果を出力するのではなく、制御部204が問い合わせを実施した場合に応答するものとする。この場合、実際に想定される温度変化の速さに合わせて一定時間の間隔ごとに温度を計測すればよい。具体的な例として、想定される温度変化が1分ごとの計測で十分に追えるのであれば、1分ごとに温度を計測すればよいことになる。
【0114】
温度計測と温度センサからのデータの取り出し、並びに放射線撮影装置101が送電側である電源ユニット104に給電を停止するように通知して実際に給電が停止されるまでにかかる時間が何れも0.5秒であると仮定すると、
図8のような処理が考えられる。
【0115】
前回の温度計測S801の完了後に、放射線撮影装置101が温度計測を完了し(S802)、放射線撮影装置101から電源ユニット104に完了通知が送信されると(S803)、遅くとも0.5秒後には電源ユニット104が送電を開始できることになる。その後、放射線撮影装置101が給電停止通知を出すまで、電源ユニット104は送電期間として給電を継続する(S804)。このように、制御部204は、放射線撮影装置101に非接触給電を行う電源ユニット(給電部)104に、物理センサ部214の状態(計測やキャリブレーションの開始や停止など)に関する情報を送信する。
【0116】
放射線撮影装置101は、次の温度計測S807が近づくと、その1秒前に計測準備S805として計測通知(給電停止)を電源ユニット104に通知する(S806)。これにより、電源ユニット104は非接触給電を停止する。本実施形態では、非接触給電の停止の通知と停止には0.5秒が必要と想定しているので、実際の温度計測S807の0.5秒前までには非接触給電の送電が停止されている。
【0117】
その後、実際に温度計測S807が実施され、0.5秒後には放射線撮影装置101が温度計測を完了し(S808)、放射線撮影装置101から電源ユニット104に完了通知が送信されると(S809)、電源ユニット104は送電期間に給電を継続する(S810)。以後はこれらの処理が繰り返される。
【0118】
ここでは、各時間について例として数値を提示したが、実際には使用する物理センサや用途によって時間は異なってくる。また、本実施形態では、物理センサ部214が非接触給電の影響を受ける前提で説明したが、実際に機器に搭載される位置関係が離れているために非接触給電による電磁界の変化が物理センサ部214に影響を及ぼさない場合もあり得る。
【0119】
物理センサ部214のキャリブレーションには温度計測のような繰り返し処理は発生しない。前述の処理のように、実際にキャリブレーションが放射線撮影装置101の制御部204から指示される前に、電源ユニット104へキャリブレーション開始情報を通知し、非接触給電が停止されればよい。
【0120】
以上の処理によれば、放射線撮影装置101が自身の状況に合わせて非接触給電を停止させることができ、非接触給電の電磁界変化影響を抑えることができる。
【0122】
ここでは、第1の実施形態で示したような放射線撮影装置101に対して、接触給電による受電機能も併せて備えた放射線撮影装置101について、電源ユニット104と併せて使われる場合を説明する。
【0123】
図9に本実施形態で取り上げる放射線撮影装置101構成例を示す。第1の実施形態で示した
図2の放射線撮影装置101に対して、接触受電部216が追加されている。これにより、放射線撮影装置101は、接触受電が可能である。また、制御部204から非接触受電部213だけでなく、電源生成部212へも制御が実施されるようになっている。
【0124】
これにより、放射線撮影装置101は、非接触/接触どちらの給電も受け付けることができ、給電動作を担保する上で安全性が増す。
【0125】
また、電源生成部212について、2入力に対応させることで、両方の給電経路を同時に併用し、一度に給電できる電力を上昇させることができる。このためには、電源生成部212が接触/非接触両方からの電力も同時に受け取れるように、両方の受電電圧を許容できるような設計にするとともに、非接触給電による電力が接触給電経路に逆流するようなことを防ぐ機構が必要となる。この場合の電源生成部212の例を
図10に示す。例えば、接触受電部216に与えられる電圧と、非接触受電部213から出力される電圧とが同等であれば、このような構成が可能である。
【0126】
非接触給電だけから給電が実施される場合に、接触受電部216に給電用のコネクタなどが接続されていると、非接触受電部213から受電した電力が電圧生成部1002ではなく接触受電部216に流れてしまう可能性がある。このため、逆流防止部1001が必要となる。ここでは、接触受電部216側にだけ逆流防止部1001を設けたが、非接触受電部213側にも逆流防止機能を設け、電圧生成部1002の入力許容範囲内で接触受電部216からの電圧と非接触受電部213からの電圧とに差が生じることを許容してもよい。
【0127】
また、接触/非接触それぞれに専用の入力端230,231を電源生成部212に設け、出力側で両方の入力端230,231からの電力を統合する機構でもよい。この場合の電源生成部212の例を
図11に示す。例えば、接触受電部216に与えられる電圧と、非接触受電部213から出力される電圧とが電圧生成部1002の入力許容範囲を超えている場合や大きな差を生じている場合がある。この場合、前述の構成によって、接触専用の電圧生成部1101及び非接触専用の電圧生成部1102を仲介させることで電圧生成部1002が使える電圧に変更する必要がある。
【0128】
また、
図12に本実施形態で取り上げる電源ユニット104を示す。第1の実施形態で示したような電源ユニット104に対して、接触送電部311が追加されている。
【0129】
これにより、電源ユニット104は非接触/接触どちらの給電も実施することができる。各送電部や通信接続部の設計を決めておくことで、接触給電機能しか持たない放射線撮影装置101、接触/非接触の両方の給電機能を備える放射線撮影装置101、及び非接触給電しか持たない放射線撮影装置101の何れにも対応可能とすることができる。
【0130】
なお、図示並びに説明を省略するが、第1の実施形態で示した
図3の電源ユニット104とは別に、電力伝送について接触送電部311を備える電源ユニット104を単体で用意する形態でもよい。
【0131】
次に、接触給電と非接触給電のそれぞれの実施/非実施の選択、並びに処理について説明する。
【0132】
まず、接触/非接触の電力伝送の両方が主な電力供給経路となる場合について説明する。本実施形態では、
図9、
図11、及び
図12に示した放射線撮影装置101及び電源ユニット104を用いているものとする。
【0133】
このような状態においては、接触/非接触の両方からの送受電が可能であるため、基本的には両方の給電経路を用いて電力を受電する。これにより、単体で給電を実施した場合よりも電力伝送能力が大きくなる。
【0134】
非接触給電については、給電による電磁界影響が発生する可能性があるので、第1の実施形態に記載した停止タイミングの処理内容と同様の停止処理が必要となる。
【0135】
また、非接触給電/接触給電に限らず、第1の実施形態に記載したタイミングとは異なるタイミングで何れかの給電方法を停止させてもよい。例えば、放射線撮影装置101の消費電力が低い状態で、内部電源211の充電率も高い数値となって充電用の電力も小さく済む場合には、非接触/接触の両方の電力伝送能力を使う必要はない。このような場合には、不要な電力伝送経路を停止させる方法が考えらえる。
【0136】
停止させる電力伝送経路については、電力伝送効率を基にして選定する方法が考えらえる。事前に又は判定のタイミングで電力伝送効率を供給側から情報として取得又は算出することで、放射線撮影装置101の状態(消費電力など)に適した電力伝送経路から電力を選択的に得ることが可能である。
【0137】
制御部204は、放射線撮影装置101の消費電力が非接触受電及び接触受電の少なくとも1つの受電で補える状態である場合、非接触受電及び接触受電のうち電力の伝送効率が低いほうを停止する。例えば、接触給電のほうが非接触給電よりも伝送効率が良い場合には、接触給電の給電経路からの給電により放射線撮影装置101の消費電力を十分に補える状態になったタイミングで、非接触給電による送電を停止すればよい。停止に必要な情報のやり取りの経路は第1の実施形態に記載の内容と同様である。
【0138】
また、非接触給電の効率が良い場合には、同様のタイミングで接触給電による給電を停止させればよい。非接触給電の電力伝送効率が接触給電の電力伝送効率より良い場合は、本実施形態の電源ユニット104の説明で補足したように、非接触給電に対応した電源ユニット104と、接触給電に対応した電源ユニット104とを個別に用意した場合に発生し得る。
【0139】
一例として、各電源ユニット104の電源ユニットケーブル302の長さが各ユニットで異なる場合が考えられる。接触給電に対応した電源ユニット104の電源ユニットケーブル302が所定の長さを超えると抵抗が大きくなるので、損失が大きくなり、結果として電力伝送効率が悪くなる。
【0140】
接触給電経路の給電停止方法として、制御部204が、通信部206、無線通信接続部209、有線通信接続部210、AP105、通信ネットワーク103、及び電源ユニット104の何れかを介して、電源ユニット104に停止の通知を出力すればよい。
【0141】
また、非接触給電とは異なり、送電側の給電を停止させるのではなく、放射線撮影装置101側で受電を停止させる方法も考えられる。具体的には、
図11のような電源生成部212を備えた放射線撮影装置101において、接触専用の電圧生成部1101の受電を停止させる方法がある。
【0142】
具体的な実現方法の1つとしては、接触専用の電圧生成部1101の入力にスイッチを設け、このスイッチをOFF(切断)してしまうことで、電流を遮断する。この手法を実施すると、電源ユニット104側は給電を実施しようとして接触受電部216に対して電力を供給するものの、接触専用の電圧生成部1101が電力を受け入れないので電流が流れない。結果として、接触受電部216に電圧は現れるものの、電流が流れないので、大きな損失が発生しないことになる。
【0143】
次に、接触/非接触の給電経路の何れかが主な電力供給経路となる場合について説明する。本実施形態では、
図9、
図10、及び
図12に示した放射線撮影装置101及び電源ユニット104を用いているものとする。
【0144】
このような状況においては、主たる電力供給経路からの給電が可能な場合には、その経路からの給電を優先し、従たる電力供給経路からの給電を停止させるような処理を実施すればよい。また、仮に主たる電力供給経路が非接触給電である場合には、第1の実施形態に記載した給電停止処理を実施する必要がある。この非接触給電の停止期間では、接触給電が用いられるような形態であってもよい。
【0145】
このような形態を実現するために、放射線撮影装置101は、現在どの経路から給電が可能なのか、どの経路から給電を受けているかなどを判断できるとよい。
【0146】
例えば、受電の判定機能は、接触受電部216と非接触受電部213が受電検知機能を備え、その判定結果を制御部204へ送信することで、放射線撮影装置101は受電状況を判断することができる。また、電源生成部212が受電しているか否かを判定する機能を放射線撮影装置101に設け、その結果を制御部204に通知するようにし、受電の通知を受けた制御部204が非接触受電部213を介して非接触送電部309側が存在するか否かを確認する。そして、非接触送電部309が存在するならば、非接触給電が実施されていると判定してもよい。これら受電の検知については、複数の手段が考えられる。
【0147】
また、給電可能な経路を判定する手段としては、対応する送電部側が存在し、送電部側と通信できるか否かを確認する方法が考えられる。例えば、制御部204は、非接触受電部213に備えられた通信機能を通して、非接触送電部309,404が放射線撮影装置101に近接若しくは接触しているかを確認する。また、制御部204は、放射線撮影装置101に近接若しくは接触している非接触送電部309,404が、動作中の電源ユニット104に接続されているかなどを確認する。
【0148】
給電可能な動作中の電源ユニット104が通信応答を返せば、放射線撮影装置101の制御部204は非接触給電が可能な状態と判断する。
【0149】
また、接触給電の判定についても、同様の処理を有線通信接続部210や接触送電部311を介して実施すればよい。制御部204は、放射線撮影装置101に非接触給電及び接触給電を行う電源ユニット104から、非接触給電及び前記接触給電の少なくとも1つが実行されているか否かに関する情報を受信する。
【0150】
以上のような処理によれば、放射線撮影装置101が非接触/接触の両方の電力給電経路を備える場合でも、放射線撮影装置101の状況に合わせて非接触給電を停止させることができ、非接触給電の電磁界変化影響を抑えることができる。また、放射線撮影装置101の状態に合わせて、好ましい給電経路で受電を実施することができる。
【0152】
ここでは、第2の実施形態で示したような放射線撮影装置101が第1の実施形態で示したクレードル113へ接続されて使われる場合を説明する。
【0153】
構成は、第1の実施形態及び第2の実施形態で記載した放射線撮影装置101並びに第1の実施形態で示したクレードル113を参照する。
【0154】
クレードル113に接続されている状態の放射線撮影装置101は、第1の実施形態に記載の通り、放射線照射による撮影を想定していない。よって、非接触給電による影響を防ぐために非接触給電を放射線撮影装置101が停止させるタイミングとしては、第1の実施形態に記載の「各種物理センサ検知動作時」が想定される。
【0155】
図5に示したクレードル113において、非接触送電部404は、電源ユニット104の非接触送電部309と同様に、送電以外にも外部機器と通信可能である。したがって、第1の実施形態に記載した方法と同様に、各放射線撮影装置101の状態を考慮して、非接触給電を停止/開始させることが可能である。
【0156】
非接触給電を停止させるタイミングとしては、「補正用画像の読み出し期間」が追加される。第1の実施形態において説明した「画像の読み出し期間」は、センサ駆動部202が読み出しラインを選択することでセンサ部201に蓄積された電荷を取り出し、それを読み取り部203が取り込んでデジタル化するために要する期間であると説明した。そして、1枚の画像を生成するために、センサアレイの持つオフセット情報の画像と放射線照射後の画像の合計2枚の画像を取得する放射線撮影装置101が存在する例を説明した。
【0157】
2枚の画像を取得して1枚の画像を生成する放射線撮影装置101の場合、それぞれの画像を取得するために要する「画像読み出し期間」が非接触給電の停止の期間となるとした。
【0158】
ここで、補正用のオフセット情報は放射線が照射されていない状態で撮影することで取得される。放射線が照射されない状態の1つとして、クレードル113に放射線撮影装置101が接続されている状況が考えらえるため、放射線撮影装置101がクレードル113に接続されている期間に補正用のオフセット情報を取得する。実際に放射線を照射して撮影が実施された際には、放射線撮影装置101が、事前に取得されたオフセット情報を用いて、最終画像を生成する方法が考えられる。
【0159】
オフセット情報の読み出しに要する期間が、クレードル113使用時の非接触給電を停止させるタイミングである「補正用画像の読み出し期間」の1つである。非接触給電の停止方法や処理は、第1の実施形態の「各種物理センサ検知動作時」や「画像の読み出し期間」と同様である。オフセット情報の画像の撮影時では、放射線を発生する放射線発生装置108から放射線が照射されずに放射線撮影装置101が画像を取得する状態であり、制御部204は、放射線撮影装置101の非接触受電及び非接触給電の少なくとも1つを停止させる。
【0160】
ここまで本実施形態では、第1の実施形態の
図5を用いてクレードル113を説明したが、第1の実施形態並びに第2の実施形態に記載した電源ユニット104と同様に、クレードル113が非接触/接触の両方の給電機構を備えてもよい。その際の処理は、第2の実施形態で記載した処理と同様の処理が適用可能である。
【0161】
以上のような処理によれば、放射線撮影装置101がクレードル113に接続されている場合でも放射線撮影装置101の状態に合わせて非接触給電を停止させることができ、非接触給電の電磁界変化影響を抑えることができる。
【0163】
ここまでの実施形態では非接触給電による給電が近接による送受電によって実現されている。本実施形態では、受電機構に広範に送電可能な非接触給電機能を持つ非接触給電ユニットが存在する例について、第1の実施形態〜第3の実施形態と異なる部分について主に説明する。送電距離は送電に関する機構や構成によって異なるが、本実施形態では、放射線撮影用の撮影室や病室などをカバーできる数メートルの送電が可能なものとして説明する。
【0164】
まず、
図13に本実施形態で説明する放射線撮影装置101を含む放射線撮影システム100の例を示す。
図1の構成に加え、非接触給電ユニット114が追加されている。
【0165】
非接触給電ユニット114は、有線若しくは無線で通信ネットワーク103などを介して放射線撮影装置101と通信可能に接続されている。非接触給電ユニット114は、自身を中心とした所定以上の範囲又は指向性による所定以上の距離に電磁界変化を生じさせることが可能である。受電側の放射線撮影装置101はこの電磁界変化を受けて電力を受け取ることが可能である。
【0166】
また、
図14は、非接触給電ユニット114の内部構成の例を示す。非接触給電ユニット114は、交流電源から電力を受け取り、直流電圧に変換する電源生成部1401、非接触給電ユニット114内の各部が用いる電源を生成する内部電源部1402、及び各部の制御を行う制御部1403を備える。
【0167】
また、非接触給電ユニット114は、非接触による送電を実施する非接触送電部1404、外部機器との通信を実施する通信部1405、及び無線通信時に用いられるアンテナなどを含む無線通信接続部1406を備える。また、非接触給電ユニット114は、コネクタなどによって有線で接続される際の接続部である有線通信接続部1407を備える。
【0168】
また、
図14では、無線/有線の両方による通信が可能となる構成を示したが、一方の通信機能を備える構成でもよい。
【0169】
さらに、
図13では通信ネットワーク103を介して非接触給電ユニット114と放射線撮影装置101とが接続される形態を説明したが、無線又は有線による接続で両者が直接接続されてもよい。
【0170】
非接触受電部213が非接触給電ユニット114から所定以上の範囲内又は所定以上の距離内で受電できる機構になっているという点以外は、放射線撮影装置101は第2の実施形態と同様である。
【0171】
さらに、本実施形態における電源ユニット104やクレードル113は、第1の実施形態〜第3の実施形態で記載したように、近接状態で非接触給電する機能はなく接触給電機能を備える。
【0172】
次に、
図13に示した放射線撮影システム100での動作並びに非接触給電の開始/停止処理について説明する。
【0173】
非接触給電による影響を停止させるタイミング及び期間は、第1の実施形態〜第3の実施形態に記載した内容と同様である。すなわち、「画像の読み出し期間」、「放射線照射検知モード時」、「各種物理センサ検知動作時」、及び「補正用画像の読み出し期間」において、非接触給電が停止される。
【0174】
非接触給電の開始/停止の指示が伝達される経路は、放射線撮影装置101に備えられた無線通信接続部209や有線通信接続部210を介して、非接触給電ユニット114に送信される。途中で経由するユニットには通信ネットワーク103やAP105などが用いられ、前述の通り、複数の形態が適用される。
【0175】
非接触給電ユニット114は、放射線撮影装置101からの通知を無線通信接続部1406及び有線通信接続部1407の何れかの経由により通信部1405で受け取る。そして、非接触給電ユニット114は、その通知を基に制御部1403が内部電源部1402の出力を制御するか、非接触送電部1404を制御するなどにより、非接触給電による送電を停止させる。
【0176】
本実施形態の放射線撮影装置101は、非接触受電部213とは別に接触受電部216も備えているため、接触給電により電力受電するとともに、非接触給電ユニット114やクレードル113に接続されている状態で非接触給電により電力受電することもできる。このような2系統から受電可能な状態での受電停止又は送電停止の指示の送信処理は、第2の実施形態に記載の内容と同様である。
【0177】
ここまで、放射線撮影装置101と非接触給電ユニット114が1対1の関係について説明したが、1つの非接触給電ユニット114に対して複数の放射線撮影装置101が受電を実施してもよい。つまり、非接触給電ユニット114は、複数の放射線撮影装置101に非接触給電が可能である。制御部1403は、放射線撮影装置101の状態に応じて、複数の放射線撮影装置101の一部又は全部の非接触受電及び非接触給電の少なくとも1つを停止させる。
【0178】
制御部1403は、第1の実施形態〜第3の実施の形態で説明した放射線撮影装置101の状態に応じて、複数の放射線撮影装置101の全部の非接触受電及び非接触給電の少なくとも1つを停止させる。停止処理は、非接触給電ユニット114がどのような送電機構を設けているかによって異なる。
【0179】
例えば、非接触給電ユニット114が自身を中心とした所定以上の範囲内に電力を発信している場合、受電可能領域内に複数の放射線撮影装置101−1,101−2,101−3があり、放射線撮影装置101−1から給電停止の指示があったと仮定する。このとき、放射線撮影装置101−1への給電の停止理由に関する情報を給電停止の指示に追加することができる。そして、放射線撮影装置101−1への給電の停止理由により、他の放射線撮影装置101−2,101−3への給電の停止を実施するか否かが判断される。
【0180】
例えば、給電の停止理由が画像取得などへの影響を防ぐためであれば、停止時間は短時間であり、給電の不停止の影響が大きいと判断し、非接触給電ユニット114は放射線撮影装置101−2,101−3への給電を停止する。
【0181】
一方、給電の停止理由が、接触給電で十分電力を補えるので非接触給電を停止するためであれば、停止時間は長時間であり、給電の不停止の影響は少ないと判断し、非接触給電ユニット114は放射線撮影装置101−2,101−3への給電を停止しない。
【0182】
また、非接触給電ユニット114が送電指向性を持った非接触送電部を複数備え、各非接触送電部によって送電領域を分担している場合、非接触送電部の送電領域ごとに放射線撮影装置101を1台配置し、送電領域ごとに非接触給電が開始/停止されてもよい。
【0183】
例えば、放射線撮影用の部屋に配置される撮影用の架台111やベッド112に1つずつ放射線撮影装置101が配置されることが一般的であるので、送電領域ごとに放射線撮影装置101が配置された架台111やベッド112を配置すればよい。また、被写体110の長尺撮影のために複数の放射線撮影装置101が架台111やベッド112に配置される場合は、各放射線撮影装置101を連携して動作させることにより、非接触給電を停止する要求を複数の放射線撮影装置101に同時に送信すればよい。
【0184】
以上のような処理によれば、非接触給電が所定以上の範囲内又は所定以上の距離内で実施されるような形態においても、放射線撮影装置101の状態に合わせて非接触給電を停止させることができ、非接触給電の電磁界変化影響を抑えることができる。
【0185】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において変更・変形することが可能である。
【0186】
本発明は、上記の実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、システム又は装置のコンピュータ(CPUやMPUなど)がプログラムを読み出すことにより実行されてもよい。また、本発明は、システム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能であり、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。