(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記規制部は、前記下方支持面に設けられた突起または凹部であり、これと係合する凹部または突起が前記ロッドの対向部に設けられていることを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載のシート収容装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るプリント装置10の(a)斜視図及び(b)側面図を示す。また、
図2は、受容体40を省略したプリント装置10の(a)斜視図及び(b)正面図を示す。
【0010】
プリント装置10は、プリンタの本体1と、本体1を支える脚部2と、脚部2に接離可能に配置されるスタッカ3(シート収容装置)とを有する。本体1は、長尺の連続シートが紙管に巻き回されて形成されたロールを回転可能に保持するロール保持部160、161を有する。ロール保持部160、161で保持されたロールは、巻き解かれてシートとして、給送機構(不図示)などを介してプリント部5に供給される。また、ロール保持部161(第2ロール保持部)は、ロール保持部160(第1ロール保持部)の下方に位置している。すなわち、ロール保持部160、161は、上下方向に並んで配置される。尚、下方に位置するロール保持部161については、ロール保持部160から供給されてプリントされたシートを巻き取ることが可能な機能を備えるようにしてもよい。
【0011】
また、本体1は、ロール保持部160、161に収容されたロールから巻き解かれたプリント媒体であるシートWが搬送機構によって搬送され、搬送されたシートWに対してプリントするプリント部5を有する。尚、プリント部5によりプリントされ、排出口1aから排出されるまでの間にはカッター6が設けられており、プリントされたシートは、所定の位置においてカッター6によってカットされる。さらに、本体1は、プリントされたシートWを排出する排出口1aと、排出されたシートをスタッカ3へガイドする排出口ガイド1bとを有する。プリント動作に伴って徐々に排出されるシートは、排出口ガイド1bを過ぎると自重により進行方向を下向きに変えて垂れ下がっていく。尚、ロール保持部160、161は、排出口1a及び排出口ガイド1bの下方に位置し、ユーザーによるロール交換性なども鑑み、プリント装置10の高さ方向における概ね中央位置に設けられる。
【0012】
ロール保持部160、161は、排出口1aが開口するプリント装置10の正面側に設けられている。これにより、例えば、スタッカ3を移動した後に、プリント装置10の正面側から本体1における筐体を開けて内部に設けられたロール保持部160にロールをセットすることができるようになる。また、プリント装置10の正面側からロール保持部161にもロールをセットすることができるようになる。これにより、ユーザーは、プリント装置10を移動することなく、プリント装置10の正面側からロールの交換作業を行うことができるようになり、当該作業によるユーザーへの負担が低減される。
【0013】
また、本体1は、操作部4を有し、操作部4に設けられた各種スイッチをユーザーが操作することによって、シートのサイズ指定やオンライン/オフラインの切り替え等の各種コマンドを入力することができる。尚、本実施形態は、2つのロール保持部を備えた2段ロール構成を前提に説明するが、本発明はそれに限らず、3つ以上のロール保持部を有するプリント装置に適用することもできる。また、3つ以上のロール保持部を有する場合には、少なくとも2つのロール保持部160、161を備えることとなる。
【0014】
スタッカ3(シート収容装置)は、プリント後にカッター6によってカットされたシートを収容するものであり、別体の本体1と相対移動可能であって、本体1の排出口1aから排出されるシートを収容するための使用位置(収容位置)に配置される。スタッカ3は、薄く平坦で柔軟性がある布やプラスチックからなるシート状の受容体40を有する。この受容体40の一方の端部は、フロントロッド20に保持され、もう一方の端部はリアロッド30に保持されている。すなわち、フロントロッド20及びリアロッド30は、受容体40の両端部のそれぞれを保持する保持部材として機能する。具体的には、フロントロッド20は、排出口1aからみたシートの排出方向の下流側(本体1から離れた側)で受容体40の端部を保持し、リアロッド30は、排出方向の上流側(本体1に近い側)で受容体の40の端部を保持する。フロントロッド20の両端は、連結部材12により2本のサイドロッド11のそれぞれと連結している。サイドロッド11は、サイドロッド支持部材61に保持されている。このサイドロッド支持部材61は後述するスタッカ3側に取り付けられている。また、アッパーロッド121は、フロントロッド20とリアロッド30の中間において受容体40上に不図示の用紙幅方向にロッドを通す筒状の穴袋を設けることで受容体40を保持している。このアッパーロッド121は、後述するスタッカ3側で位置決めされ、受容体40を支持する。すなわち、アッパーロッド121は取り外し可能であり、受容体40の中間部を支持する支持部材として機能する。また、フロントロッド20、リアロッド30、及びアッパーロッド121は、シートの幅方向に延在する。
【0015】
また、スタッカ3は、
図2(a)、(b)に示すように、複数の第1のシート突き当て部材170を有する。複数の第1のシート突き当て部材170は、リアロッド30と並行して設けられたストッパ―ロッド171に、シート幅方向(シートが排出される方向と交差(直交)する方向)に並んで設けられる。第1のシート突き当て部材170は、スタッカ3側に取り付けられたロッド保持部材31によって位置決めされたリアロッド30と並行して設けられたストッパ―ロッド171上に設けられる。これら2つのリアロッド30とストッパ―ロッド171は、ロッド保持部材31上に取り外し自在に取り付けられている。第1のシート突き当て部材170によって、受容体40にガイドされてきたプリント後のシートを受け止める第1のシート突き当て部が構成される。尚、こうした第1のシート突き当て部材170は、例えば、ロール保持部161よりもプリント装置の背面側(後方側)に位置している。すなわち、スタッカ3は、ロール保持部161の重力方向の下方に位置する領域を含むように、シートを収容可能な収容部が形成されている。これにより、プリント装置10は、ロール保持部161の下方側の空間を収容部の一部として利用することができ、奥行き方向(前後方向)にコンパクトに構成されることとなる。
【0016】
次に、
図3を用いて、スタッカ3の構成を以下に詳述する。尚、図では説明しやすくするため受容体40を省いている。
図3はスタッカ3のユーザー先でのセットアップ時の状態を表したもので、図中の2点鎖線はユーザーセットアップを示している。このユーザーセットアップ(ビス締め含む)対象ユニットは、フットユニット300と、ステイレッグユニット310と、バックステイユニット320とを含む。また、不図示の受容体40を保持している前述の3本のロッド(フロントロッド20、リアロッド30、アッパーロッド121)からなるフロントロッドユニット330と、リアロッドユニット340と、アッパーロッドユニット350とを含む。さらに、第1のシート突き当て部材170を有する第1のシートストッパ―ユニット360と、用紙幅方向に複数個取り付け可能なロールガイドユニット370(図中は3個)と、第2のシートストッパ―ユニット380とを含む。
【0017】
フットユニット300は、左右2個ずつのキャスター301がフットフレーム302に取り付けられ図中(X、Y)方向に移動可能であるため、不図示の本体1に対して接離可能である。また、フットフレーム302には本体1への接触部材303が取り付けられている。この接触部材303の面303a(Y方向)、面303b(X方向)を後述する本体1に突き当てる構成である。さらに、フットフレーム302には、サイドロッド11を回動可能に保持するサイドロッド支持部材61と、リアロッドユニット340と第1のシートストッパ―ユニット360を保持するロッド保持部材31とが取り付けられている。2つのサイドロッド11にはアッパーロッドユニット350を受けるロッドホルダー304が取り付けられている。このホルダーは後述するスタッカ3の受容体40の受容形態変更時に必要に応じてアッパーロッドユニット350を置くための部材である。
【0018】
ステイレッグユニット310は、X方向に長手形状のステイ311と、Z方向に長手形状の2つのレッグ312とを持つ。そして、ステイ311の両端にある不図示の部材により2つのレッグ312と連結されてコの字型で一体構成を成している。また、ステイ311とレッグ312の2つの連結部を覆うようにカバー313を配設している。
【0019】
バックステイユニット320は、X方向に長手形状のバックステイ321と、このバックステイ上に配設されたガイドフラッパユニット180(図中の点線で囲った部分)とを有している。ガイドフラッパユニット180は、開閉して姿勢を変えることが可能な複数のフラッパ183と、複数のフラッパ183を保持するガイドロッド182とを有する。このガイドロッド182には、両端部にユーザーが直接触れることがないように、キャップ部材181が取り付けられている。また、バックステイユニット320は、バックステイ321の両端に取り付けられた2つのアッパーロッドベース322を有している。
【0020】
不図示の受容体40を保持する3本のロッドは、一つめのフロントロッドユニット330はフロントロッド20と、ロッド両端のロッドキャップ172と、2つのフロントロッドサポート331から構成されている。二つめのリアロッドユニット340は、リアロッド30と、ロッド両端のロッドキャップ172とで構成されている。三つめのアッパーロッドユニット350は、アッパーロッド121と、ロッド両端のロッドキャップ172とで構成されている。
【0021】
第1のシートストッパ―ユニット360は、用紙幅方向(X方向)に複数個の第1のシート突き当て部材170(図中は3個)と、ロッド両端のロッドキャップ172とで構成されている。
【0022】
ロールガイドユニット370は、第1のロールガイド371と、この第1のシートガイドに回動可能に取り付けられた第2のロールガイド372と、第2のシートガイドの下方端部に回転自在に取り付けられたコロ373とを有している。ロールガイドユニット370は、用紙幅方向(X方向)に複数個配置可能である(図中は3個)。
【0023】
第2のシートストッパーユニット380は、第2のシート突き当て部材381と、第2のシート突き当て部材の下方端部に取り付けられたワイヤートレイ382とを有している。
【0024】
次に、ユーザーセットアップについて説明する。まず、ユーザーは左右どちらかのフットユニット300のフットフレーム302が露出している開口部に、ステイレッグユニット310のカバー313の外形部を嵌める。そうすることで、フットユニット300はステイレッグユニットの重さを面で受けるため自立しやすくなり、ユーザーは左右共に一人でもビス締め含めて組みやすくなる。次に、バックステイユニット320の左右のアッパーロッドベース322の不図示の開口部をレッグ312の端部312aに挿入し(図の二点鎖線)、ビス締めする。続いて、不図示の受容体40を保持している3本のロッドのうち、フロントロッドユニット330は両端付近にあるフロントロッドサポート331を左右のサイドロッド11の端部11aに挿入して(図中の二点鎖線)、ビス締めする。リアロッドユニット340は両端のロッドキャップ172を左右のロッド保持部材31の凹部に取り付ける。アッパーロッドユニット350は、両端のロッドキャップ172をアッパーロッドベース322の凹部に配置する(図中の二点鎖線)。尚、後述するがアッパーロッドユニット350は不図示の受容体40の受容形態によって位置が変わるためロッドホルダー304上に置いてもよい。第1のシートストッパ―ユニット360は、両端のロッドキャップ172を左右のロッド保持部材31の凹部に取り付ける。
【0025】
スタッカ3は、使用時に、本体に対して接触する位置まで移動する必要がある。その接触に関連する部分の構成について、
図3および
図4を用いて説明する。
図4(a)はスタッカ3が本体1から離れている状態図である。
図4(b)はスタッカ3が本体1に接している状態図である。
図4(c)は
図4(b)で受容体40を省いた正面図である。ユーザーは
図4(a)において、キャスター301で矢印方向に移動可能なスタッカ3の左右の面303a(
図3より)を本体1の脚部2の正面側の面2aに突き当てて接触させることで使用状態とすることができる。また左右の面303bの間の距離(
図3より)は本体1の脚部2の内側面2b間の距離より小さくし、X方向には所定量移動可能である。このX方向の移動量を考慮し、スタッカ3の紙端基準位置X
0側のレッグ312は、本体1の紙端基準位置X
0より内側(−X方向)にならないよう、フットフレーム302より外側(X方向)に配置している。この構成によりスタッカ3がマイナスX方向に移動しても紙端基準位置X
0より内側に入ることはない。尚、図では非基準側のレッグ312はフットフレーム302の外側に配置しているが、これに限らず仕様のロール幅の外側になるように配置してもよい。
【0026】
このような構成をとり、レッグ312をシート幅の外側に配置することで、装置下側の空間を有効活用でき、大きいサイズの紙を受ける場合でも装置の奥行きを縮小することができ。また、プリンタとは別体のスタッカにおいて、下方部を収容部として使用することで、プリント順に整列することができ、プリント面にキズが付きにくいフェイスダウンでの積載を可能とする。
【0027】
ここまで説明してきたアッパーロッドユニット350及びガイドフラッパユニット180の形態を組み合わせることにより、柔軟性のある受容体40は使用形態を変更することが可能となる。すなわち、プリントされた排出シートをスタッカ3で受ける際に、ユーザーは種々の受容形態を選択することができ、プリント形態の多様化ニーズに応えることができる。以下に、種々の受容形態の詳細を説明する。
【0028】
(第1受容形態)
図5は、第1受容形態に係るプリント装置の(a)斜視図、(b)側面図、及び(c)正面図である。本実施形態では、アッパーロッドユニット350は、後述する左右のアッパーロッドベース322上に位置決めされている。
図5(b)のように、アッパーロッドユニット350、フロントロッドユニット330、及びリアロッドユニット340によって、柔軟性のある受容体40は「への字」の形態で保持され、これにより収容部を形成している。また、
図5(c)のように、ロールガイドユニット370はロール幅方向において供給手段500と同じ位置にならないように複数個配置されている(図中は3個)。
【0029】
次に、
図5(a)、(c)を用いて排紙時のシートの挙動について説明する。本体1の排出口1aから排出されるプリント後のシートW1は、排出口ガイド1b、フラッパ183、第1のロールガイド371及び第2のロールガイド372を介して、第1のシート突き当て部材170へガイドされる。シートW1は、カールしたその先端を本体1の方向に向けた状態でガイドされ、その先端が第1のシート突き当て部材170に接触して止まる。その状態でシートW1が搬送され続けると、アッパーロッドユニット350を変曲点にして本体1から離れる側に、シートW1のループが形成される。その後、所定量搬送されてカットされたシートは、アッパーロッドユニット350を変曲点にして反転し、プリント面を下にした状態で、シートW2のように受容体40上に載置される。
【0030】
この第1受容形態は、比較的大きなサイズのシート(例えばA0縦)に適した形態である。本形態によると、シートのプリント面を下にした状態(フェイスダウン排紙)で、複数枚のシートを載置可能である。
【0031】
(アッパーロッドユニット350の位置決め構成の第1実施例)
図6は、アッパーロッドユニット350の位置決め構成の第1実施例を示す(a)斜視図、(b)部分側面図、及び(c)部分拡大図である。特に、
図6(a)は、A0サイズのシートWが100枚積載された状態のプリント装置を示し、
図6(b)は、アッパーロッドユニット350がアッパーロッドベース322に位置決めされた状態を示し、
図6(c)は、
図6(b)の破線部VIcの拡大図を示す。
【0032】
図6(a)のように、第1受容形態では、アッパーロッドユニット350を頂点とする積載部にA0縦のサイズのシートWを100枚積載可能である。
図6(b)、(c)のように、アッパーロッドユニット350は断面形状が矩形であり、ロッド延在方向に細長い4つの面を持っている。なお、この矩形形状は4つの角部がそれぞれ角取りされた小さな曲面となっている。厳密には矩形ではないが、本明細書ではこのような略矩形も「矩形」と称するものとする。
【0033】
図6(b)において、アッパーロッドユニット350の両端部に取り付けられたロッドキャップ172はそれぞれ、対応するアッパーロッドベース322の嵌合部322−1に傾けて置かれる。すなわち、嵌合部322−1は、シートの排出方向の下流側へ向けて上昇する上昇勾配を持つ。アッパーロッドユニット350は、断面矩形が傾斜した状態で嵌合部にて保持される。また、
図6(c)のように、2つのロッドキャップ172にはそれぞれ、下方支持面322−1aと接触する位置に溝部(すなわち、凹部)172aが形成され、下方支持面322−1aに形成された凸部(すなわち、突起部)322−1cと係合する。すなわち、凸部322−1cは、下方支持面322−1aに支持された状態のアッパーロッドユニット350の上述した上昇勾配に沿う上方への移動を規制する規制部として機能する。また、ロッドキャップ172に凸部を設け、下方支持面322−1cに凹部を設けてもよい。すなわち、上述した下方支持面322−1aの規制部とロッドキャップ172の対向部の一方に突起部を設け、他方に突起部と係合する凹部を設ければよい。また、アッパーロッドベース322の嵌合部322−1は、ロッドキャップ172の矢印G方向への回転を規制する回転規制面322−1eを有している。回転規制面322−1eは、下方支持面322−1aよりもシートの排出方向の長さが短くなるように構成される。凸部322−1cの高さNは、下方支持面322−1aと回転規制面322−1eとの距離Pと、ロッドキャップ172の短手方向距離Qとの差に対して低く設定されている。ロッドキャップ172の短手方向距離Qとは、下方支持面322−1aと回転規制面322−1eとの距離方向のロッドの長さである。
【0034】
アッパーロッドユニット350は、ユーザーが多数枚のシートWを受容体40から取り出そうとすると、荷重が加わることで引きずられ、アッパーロッドベース322の嵌合部322−1から外れてしまう可能性がある。しかしながら、上述した構成であれば、ロッドキャップ172の矢印G方向への回転を規制するとともに、凸部322−1cが、ロッドキャップ172の嵌合部322−1の傾き方向への移動を止めることができる。すなわち、シートWを取り出す際の荷重により、アッパーロッドユニット350がアッパーロッドベース322から外れてしまうことを防止することができる。また、フラッパ183上にロールを置いてしまった場合など、高荷重がかかった場合でも、アッパーロッドユニット350がアッパーロッドベース322から外れることが無い。また、
図6(b)において、アッパーロッドベース322の嵌合部322−1がロッドキャップ172の長手方向と接する側の長さMに対して、対向する部分の長さRは短くなるように構成されている。この構成であれば、アッパーロッドユニット350を上方に取出しやすくできる。ユーザーは、凸部322−1cと溝部172aとが干渉しないように、アッパーロッドユニット350を矢印H方向に回しながら持ち上げることで、アッパーロッドユニット350を嵌合部322−1から取り出すことができる。
【0035】
なお、嵌合部322−1が回転規制面322−1eを有さなくても、アッパーロッドユニット350が外れてしまうことを防止する効果を得ることができる。
【0036】
アッパーロッドユニット350は、断面矩形が傾斜した状態で嵌合部にて保持される。この状態で、上述したフラッパ183(
図6では不図示)をアッパーロッドユニット350の側に倒すように開けると、フラッパ183の先端部が、アッパーロッドユニット350の上面(傾斜面)に当接して傾斜に倣う。このため、フラッパ183の先端部とアッパーロッドユニット350に保持される受容体との段差が小さく、シートは円滑に積載される。
【0037】
(アッパーロッドユニット350の位置決め構成の第2実施例)
図7は、アッパーロッドユニット350の位置決め構成の第2実施例を示す部分側面図である。図示されるように、本実施例では、
図6(b)と異なり、凸部322−1dが嵌合部322−1の下方支持面322−1aの端部に設けられ、嵌合部322−1に位置決めされた状態のロッドキャップ172の外側に形成されている。この構成においても、第1実施例と同様に、アッパーロッドユニット350がアッパーロッドベース322から外れてしまうのを防止することができる。この例でも、アッパーロッドユニット350は断面矩形が傾斜した状態で嵌合部にて保持される。よって、フラッパ183をアッパーロッドユニット350の側に倒すように開けると、フラッパ183の先端部がアッパーロッドユニット350の上面(傾斜面)に当接して傾斜に倣う。
【0038】
(アッパーロッドユニット350の位置決め構成の第3実施例)
図8は、アッパーロッドユニット350の位置決め構成の第3実施例を示す(a)部分側面図及び(b)アッパーロッドの断面とフラッパの側面図である。
図8(a)に示されるように、本実施例では、
図6、7と異なり、アッパーロッドユニット350がアッパーロッドベース322に対して傾かず、鉛直上向きに位置決めされている。すなわち、アッパーロッドベース322の嵌合部322−1が、鉛直上向きに形成されている。この構成であれば、載置されたシートWの取出し時に加わる荷重が、アッパーロッドユニット350の外れる方向に働きにくくなる。したがって、第1及び第2実施例と同様に、アッパーロッドユニット350がアッパーロッドベース322から外れてしまうのを防止することができる。
【0039】
また、後述する第3受容形態の項で詳細に説明するが、アッパーロッド121はフラッパ183の先端部183aを受ける機能も必要なため、本実施例におけるアッパーロッド121には、受け部121a(傾斜面)が形成されている。受け部121aは、アッパーロッド121の両端部を除く中間部分に形成されている。
【0040】
なお、フラッパ183は、アッパーロッド121よりもシートの排出方向の上流側にある回動中心189を中心として回動可能であり、アッパーロッド121はフラッパ183の下方への回動を規制する。また、アッパーロッド121は、フラッパ183をシートの排出方向の下流側へ向けて上昇勾配を持つように支持する。
【0041】
以上、アッパーロッドユニット350の位置決め構成を第1受容形態において説明したが、かかる位置決め構成は、後述するその他の受容形態にも適用することができる。
【0042】
(第2受容形態)
図9は、第2受容形態のプリント装置の(a)斜視図、(b)側面図及び(c)正面図である。本実施例に係るプリント装置は、前述の第1受容形態の状態から、第2のシートストッパ―ユニット380(
図3参照)をユーザーがスタッカ3に装着することで第2受容形態となる。この第2のシートストッパ―ユニット380のワイヤートレイ382が、第1のシート突き当て部材170と同様に機能する。
【0043】
次に、排紙時のシートの挙動について説明する。本体1の排出口1aから排出されるプリント後のシートW1は、排出口ガイド1b、フラッパ183、ロールガイドユニット370を介して、第2のシートストッパ―ユニット380(
図3参照)へガイドされる。この第2のシートストッパ―ユニット380は
図9(c)に示すように、シート、例えば図中ではA0縦幅のセンターに対し、所定量Sだけシート基準X
0方向にシフト(
図9(c)では20mm)させて位置決めしている。そしてシートW1は、カールしたその先端を本体1側に向けた状態でガイドされ、その先端が第2のシートストッパ―ユニット380に接触して止まる。すなわち、シートW1は、その先端部が第2のシートストッパ―ユニット380に支えられた状態となる。その状態でシートW1が搬送され続けると、シートW2からシートW3のように、アッパーロッドユニット350を変曲点にして本体1から離れる側に、シートのループが形成される。その後、所定量搬送されてカットされたシートは、アッパーロッドユニット350を変曲点にして反転し、プリント面を下にした状態で、シートW4のように受容体40上に載置される。すなわち、第2のシートストッパ―ユニット380のワイヤートレイ382は、シートの先端を支持する支持部として機能し、当該シートは当該支持部に支えられながら排出される。不図示のカッターが紙基準X
0側からシート幅方向に移動してカットしていく際に、カットされたシートは紙基準側から斜めに落下していく傾向があり、場合によってはシートが大きく傾いた状態で非基準側をカットしてしまい規格外となることがあった。しかしながらシートストッパーユニット380がシート基準側にシフトした位置でシート先端を支えることで、カット時のシートの斜め落ちを防ぐことができる。
【0044】
この第2受容形態は、前述の第1受容形態より小さなシート(例えばA1縦)に適した形態である。本実施例によると、シートのプリント面を下にした状態(フェイスダウン排紙)で、複数枚のシートを載置可能である。
【0045】
(第3受容形態)
図10は、第3受容形態に係るプリント装置の(a)斜視図、(b)側面図及び(c)ivの詳細図である。本実施形態に係るプリント装置は、第1受容形態と比較して、フラッパ183が開いた状態にある。このとき、フラッパ183の先端部183aがアッパーロッドユニット350の近傍に位置し、
図10(b)のように、第1のシート突き当て部材170への排紙パスは塞がれている。また
図10(c)のようにアッパーロッドユニット350のアッパーロッド121は、フラッパ183に載置されたシートの重さが加わり下方に変形した場合の受けとしての機能がある。そのため、シートの排出方向の下流側へ向けて所定角度傾けた状態で位置決めされ、平面部分にフラッパ183の先端部183aが変形時に接触できるように構成されている。さらにアッパーロッドユニット350は、受容体40を介してシートを支持可能な支持部材としても機能する。そして、シート受け部(収容部)が、開いた状態のフラッパ183と、フロントロッドユニット330からアッパーロッドユニット350に張設された受容体40とによって、「山型」を形成している。すなわち、開いた状態のフラッパ183の上面と、張設された受容体40の上面は「山型」を成す。フラッパ183は、アッパーロッドユニット350よりもシートの排出方向の上流側にある回動中心189を中心として回動可能であり、アッパーロッドユニット350はフラッパ183の下方への回動を規制する。アッパーロッドユニット350は、フラッパ183をシートの排出方向の下流側へ向けて上昇勾配を持つように支持する。また、後述するように、張設された受容体40は、シート受け部に載置されるシートの後端側を支持する支持部として機能する。
【0046】
次に、排紙時のシートの挙動について説明する。本体1の排出口1aから排出されるプリント後のシートW1の先端は、排出口ガイド1b、シートガイド185及びガイド184にガイドされ、ガイド184の凹部に突き当たり止まる。すなわち、ガイド184の凹部は、シートW1の先端を受け止め、シートW1の先端の位置を規制する。そして、シートW1の先端が当該凹部に規制された状態でシートW1が搬送され続けると、シートW1の先端部はフラッパ183に支えられながら排出される。そして、シートW2のように、アッパーロッドユニット350を変曲点にして本体1から離れる側にシートのループが形成される。その後、所定量搬送されてカットされたシートは、アッパーロッドユニット350を変曲点にして反転し、プリント面を下にした状態で、シートW3のように載置される。すなわち、フロントロッドユニット330からアッパーロッドユニット350に張設された受容体40は、シートW3の後端側を支持する支持部として機能する。本実施形態は、前述した第1受容形態及び第2受容形態よりも小さいサイズのシート(例えばA1横及びA2横)に適している。本形態によると、プリント面を下にした状態(フェイスダウン排紙)で、複数枚のシートを載置可能である。
【0047】
(第4受容形態)
図11は、第4受容形態に係るプリント装置の(a)斜視図、及び(b)側面図である。尚、
図11(a)では、理解を容易にするため、片方の部品類が省略されている。
【0048】
第4受容形態に係るプリント装置では、第3受容形態と比較して、アッパーロッドユニット350がロッドホルダー304に移動され、保持されている。そのため、柔軟性のある受容体40が自重により弛んで湾曲し、シート全体を受容可能な袋状になっている。これにより、収容部が袋状に形成されることとなる。スタッカ3では、受容体40は、フロントロッドユニット330に一方の端部が固定され、アッパーロッドユニット350を経てリアロッドユニット340に他方の端部が固定されている。また、受容体40は、自重により湾曲し、最も下方に位置する最下点P2は、リアロッド30よりも下方に位置する。また、アッパーロッドユニット350がフロントロッドユニット330側に移動しているため、受容体40により形成される空間は、奥行き方向(前後方向)で広く形成されている。尚、本形態では、フラッパ183は、開いた状態にあり、排出口1aと柔軟性のある受容体40により形成された収容部との間に突き出た状態となっている。この時、フラッパ183はその両端のキャップ部材181がアッパーロッドベース322の平面部322b上に接地することで位置決めされる。すなわち、収容部は、開いた状態のフラッパ183の重力方向の下方に位置する領域を含むように構成されている。これにより、収容部におけるシートの収容空間は、フラッパ183の下に形成されることとなる。
【0049】
次に、排紙時のシートの挙動について説明する。前述した第3受容形態と同様に、本体1の排出口1aから排出されるシートW1の先端は、排出口ガイド1b及びシートガイド185にガイドされ、ガイド184の凹部に突き当たり止まる。そして、シートW1の先端が当該凹部に規制された状態でシートW1が搬送され続けると、シートW1はフラッパ183に支えられながらガイドされる。そして、シートW2のように、フラッパ183の先端部183aを変曲点にして鉛直下向きにシートのループが形成され、シートの後続部分が収容空間の中にループ状に垂れ下がっていく。このとき、先端部183aにおいて下垂したループは、受容体40など他の部材に接触しない。その後、このループ状態を保持したまま所定量搬送されてカットされたシートは、シートW3のように、袋状の受容体40内に落下し、緩やかに畳まれた状態で載置される。
【0050】
ここで重要なのは、カット前はシートの先端を含む先端側が、ガイド184からフラッパ183上に位置し、カット後にシートが受容体40上に収容されて載置されることである。カット前はシートの後端が本体1によって保持されているため、シートの重心がフラッパ183の先端部183aよりも本体1側にある。そのため、シートが先端部183aを変曲点にして鉛直下向きに垂れ下がってループが形成された状態でも落下することなく、シートの先端側はガイド184からフラッパ183上に位置する。そして、シートがカットされると、シートの後端が本体1によって保持されなくなり、シートの重心がフラッパ183の先端部183aよりも本体1から離れる側に遷移する。そのため、シートはループの形成されたシート中腹部付近から、自重により受容体40上へ落下し、ループ形状を維持したまま緩やかに畳まれた状態で収容される。
【0051】
この場合、フラッパ183の上面(シートの先端部を支持する支持面)は、水平または本体1や排出口1aから離れるにしたがって上り勾配であることが望ましい。なぜなら、下り勾配の場合、シートがループを形成する際にシートの重心が本体1から離れる方向に移動しやすく、カットする前にシートが受容体40に落下する虞があるからである。本実施例では、他の形態との整合性を考慮し、フラッパ183の上面がフラッパ183の先端に向かって上り勾配を持つ形状を採用している。
【0052】
このように、スタッカ3では、アッパーロッドユニット350がフロントロッドユニット330側に移動するとともに、フラッパ183の重力方向の下方を含む領域に、受容体40が袋状に形成された収容部が位置している。このため、フラッパ183の先端部183aから下垂するループを他の部材に干渉されることなく形成することができる。従って、スタッカ3では、先端部183aにおいてループが他の部材に干渉されることなく下垂して形成されるため、シートがカットされると、ループ形状を維持したまま落下し、ループ形状を利用して緩やかに折り畳まれて収容される。このため、連続して収容されても、緩やかに折り畳まれたままの状態で載置される。これにより、スタッカ3では、収容部の高さ方向の空間を有効に利用することができ、シートをより多く収容することができ、シートのカールの度合いや長さによらず、確実に収容部に収容することができるようになる。尚、この第4受容形態では、主に図面やポスター等で多く使用される普通紙及びコート紙のA0やB0などの定型サイズにおける使用を想定しているが、これらの定型サイズに限定するものではなく、また複数のサイズのシートを同時に収容することができる。
【0053】
ここで、フラッパ183の傾斜角度と、フラッパ183及びガイド184上に位置するシートの長さによるシートの落下状態について検討した実験結果を
図12に示す。図中、長さLpは、ガイド184の凹部からフラッパ183の先端部183aまでの長さを表す。また、長さLは、ガイド184に形成された凹部に規制されたシートの先端から先端部183aを経て下垂したループの下端P1までのシートの長さを表す。また、フラッパ183の傾斜角度θは、水平のときを「0°」とし、フラッパ183の上面の上り勾配の角度を表す。また、長さYは、先端部183a及びフロントロッドユニット330間の奥行き方向(前後方向)における長さ、すなわち、収容部の上方側先端部から先端部183aまでの水平方向の長さを表す。尚、長さLp、L、Y及び傾斜角度θについては、
図11(b)に図示している。
【0054】
長さLpが1/4Lよりも短いときには、カット前のシートの重心がフラッパ183の先端部183aより本体1から離れた側に位置し、フラッパ183及びガイド184上に位置するシートが、カット前に収容部に落下してしまう。このため、長さLpは長さLの1/4以上であることが望ましく、こうすることにより、カット前のシートの重心を先端部183aよりも本体1側にすることができる。
【0055】
さらに、長さLpは、長さYよりも短くなることが望ましい。尚、長さYについては、収容するロールの紙管の外径(すなわち、ロールの内径)よりも短いときには、シートのカールなどによって、シートが収容部外に排出される虞がある。このため、長さYは、収容するロールの紙管の外径よりも長くすることが望ましく、こうすることにより、ループ状になったシートを収容部から外れることなく、受容体40上に収容することができる。
【0056】
この第4受容形態では、受容体40を袋状に形成する際には、受容体40の最下点P2が先端部183aから下垂するループの下端P1よりも本体1側(後方側)に位置することが望ましい。或いは、最下点P2が下端P1よりも本体1から離れる側(前方側)に位置するようにしてよい。すなわち、最下点P2と下端P1との位置関係によって、下端P1の重力方向下方において受容体40、つまり、収容部の内面が傾斜することが望ましい。これにより、カットされ、ループ形状を維持したまま落下したシートは、受容体40により形成された傾斜面を利用して、効率的にループ形状を利用しながら緩やかに折り畳まれる。
【0057】
以上説明したように、本発明によると、排出されたプリント後のシートを収容するシート収容装置及び該シート収容装置を備えたプリント装置を提供することができる。