(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記状況判断部は、駅構内の領域を分割した複数の領域ごとに定められた危険度と前記位置検知部により検知された移動体の位置とに基づいて前記報知部において報知すべき警報度を判断する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の駅の警報装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
〔第1実施形態〕
以下、
図1等を参照して、本発明の第1実施形態に係る駅の警報装置について説明する。
図1(A)及び1(B)は、本実施形態に係る駅の警報装置の設置環境について説明するための図であり、
図1(A)は、線路とホームの様子を上方側から見た様子を示す図であり、
図1(B)は、駅の警報装置が駅のホームに設置された様子を示す図である。ここでは、駅STのホーム(プラットホーム)PFにいる利用者USを、駅構内を移動する移動体MBの1つとし、位置検知の対象とする。
【0022】
駅の警報装置100は、利用者US等の移動体MBの駅構内(特にホームPF上)での位置検知を行うとともに、検知された移動体MBの位置情報に基づいて駅構内の状況判断をし、判断結果に応じて警報度を変化させた報知を行う。なお、位置検知の対象とすべき移動体MBについては、図に例示する利用者USすなわち人のほか、盲導犬、車椅子、ベビーカー、シルバーカー等のように、駅構内を人とともにあるいは単独で移動し、線路内に入り得る種々のものが考えられる。
【0023】
以下、
図1、2を参照して、本実施形態における駅の警報装置100の構成等について具体的に説明する。本実施形態に係る駅の警報装置100は、移動体MBの位置を検知する位置検知部PDの一部として機能する撮像部(撮像カメラ)10と、報知部として警報の音声を変化させつつ出力するスピーカー20と、線路TK内に敷設されて列車TRの在線を確認する在線確認センサー部30と、各種制御を行う主制御装置50とを備える。
【0024】
撮像部10は、例えばCCDやCMOS等の個体撮像素子で構成される撮像カメラであり、
図1(B)に例示するように、ホームPFの上方側に設置され、下方側を撮像する。すなわち、撮像部10により上方側からホームPFの床面FLに向けて撮像が行われる。ここでは、例えば
図1(A)に示すようなホームPFの床面FLと、線路TKとの様子が、これらの境界BDに相当するホーム端EGとともに、撮像部10の撮像範囲として捉えられるようになっており、例えば
図3に示すように、
図1(A)に対応する画像が、撮像部10により撮像される。ここで、本実施形態では、ホームPFの床面FLについて、線路TKに近い側ほど転落の危険性が高いことを示すべく領域を複数に区切る。具体的には、
図1(A)に示す一例では、床面FLは、視覚障害者誘導用ブロックである点字ブロックBBよりも内側のレベル0領域A0と、点字ブロックBB上のレベル1領域A1と、点字ブロックBBよりも外側で、かつ、最端側部分EPよりも内側のレベル2領域A2と、最端側部分EP上のレベル3領域A3との4つの領域A0〜A3に分けられているものとし、撮像部10は、これら4つの領域A0〜A3に加え、境界BD(ホーム端EG)を超えた線路TK内の領域Axまでを撮像範囲に含むようになっている。
【0025】
スピーカー20は、主制御装置50からの出力信号に従って、音声に関して、音量や音の高低、音の間隔等を段階的に変化させつつ警報音として出力する。
【0026】
なお、撮像部10については、ホームPF全体についての撮像を可能とすべく、設置位置やホームPFの形状等に応じて、単数又は複数設けられている。また、スピーカー20についても、撮像部10で撮像された移動体MBたる利用者USに対応して報知が可能な程度に単数又は複数で設置されている。
【0027】
在線確認センサー部30は、線路TK内に敷設され、例えば線路TK上に在線する列車TR内の装置と電磁結合によって情報交換が可能となっており、少なくとも線路TK上に列車が在線しているか否かの情報を取得し、主制御装置50に送信する。
【0028】
主制御装置50は、例えばCPUや記憶装置等により構成され、撮像部10により取得された画像情報に基づいて移動体MBの位置を検知することで、駅構内の状況判断をするとともに、判断結果に応じて報知部としてのスピーカー20に警報度を変化させた報知を行わせる。このため、
図2に示すように、主制御装置50は、画像処理部51と、位置解析部52と、状況判断部53と、音声出力回路54と、列車在線判定部55とを備える。また、これらのほかに、主制御装置50は、各種データ等を記憶する記憶部MEを備える。
【0029】
主制御装置50のうち、画像処理部51は、撮像部10からの画像信号を処理し、例えば監視対象の候補となり得る部分画像の抽出等、各種画像処理を行う。位置解析部52は、画像処理部51で処理された画像情報に基づき移動体MBのホームPF上における位置を解析する。すなわち、撮像部10に加え、画像処理部51と位置解析部52とが協働することで、移動体MBのホームPF上における位置を検知する位置検知部PDとして機能する。
【0030】
主制御装置50のうち、状況判断部53は、危険ゾーン設定部53aと、警報度設定部53bとを有して構成されている。危険ゾーン設定部53aは、駅構内の領域(位置)ごとにゾーン分けをし、分けられたゾーン(危険ゾーン)ごとに危険度を設定する。警報度設定部53bは、危険ゾーン設定部53aにより設定された危険ゾーンごとの危険度と、位置検知部PDにより検知された移動体MBの位置とを照合して、スピーカー20によって報知すべき警報度(音量等)を判断する。すなわち、状況判断部53は、位置検知部PDでの検知情報に基づいて駅構内の状況判断をしている。なお、危険ゾーン設定部53aにおける危険ゾーンの設定の具体的一例については、
図4を参照して後述する。
【0031】
主制御装置50のうち、音声出力回路54は、状況判断部53における警報度に関する判断結果に基づいてスピーカー20を駆動して報知を行わせる。
【0032】
主制御装置50のうち、列車在線判定部55は、在線確認センサー部30から信号を受けることで、線路TKに列車TRが在線しているか否かを判定する。なお、ここでは、列車在線判定部55は、例えば在線確認センサー部30からの情報等によって、列車TRの在線の情報とともに在線する列車TRの扉の開閉情報についても併せて取得可能になっているものとする。列車在線判定部55は、列車TRが線路TKに在線し、かつ列車TRの扉が開いていると判定した場合、状況判断部53にその旨を送信する。状況判断部53は、在線する列車の扉が開いている場合、スピーカー20による警報動作を停止させる。
【0033】
なお、主制御装置50のうち、各種データを格納する記憶部MEについては、例えば画像解析に必要な情報等が記憶されているものとしてもよい。具体的には、一般的な人に関する大きさや形状等の各種データのほか、一般的な盲導犬、車椅子、ベビーカー、シルバーカー等に関する画像情報、さらには、人が盲導犬と連れ添っている場合の画像情報や、車椅子に人が乗っている場合の画像情報等が格納されていてもよい。これらの各種画像情報が、画像処理部51において適宜呼び出され、画像データの比較等がなされることで、駅構内に人や盲導犬等に相当する移動体MBが存在するかについての解析がなされる。なお、記憶部MEにおいて、移動体MBから除外するための情報として駅構内に初めから常設されている物品の情報が格納されていてもよい。
【0034】
また、上記のほか、駅の警報装置100は、駅構内の駅員SAに対して報知をするための駅員用報知部として、例えば、駅員用スピーカーPAや、ディスプレイ表示部DAを有し、これらは、駅務室SO内に設置されている。駅員用スピーカーPA及びディスプレイ表示部DAは、主制御装置50に接続され、主制御装置50からの指示に従って駅務室SO内の駅員SAに対して報知を行う。また、列車内の乗務員(運転士や車掌)CRに対して報知をするための駅員用報知部として、列車TR内にスピーカーやディスプレイ表示部を含んで構成される通信装置CDが設置されている。通信装置CDは、主制御装置50との通信可能となっており、主制御装置50からの指示に従って列車内の乗務員CRに対して報知を行う。
【0035】
以下、
図3等を参照して、本実施形態の駅の警報装置100による警報について説明する。本実施形態では、
図2に例示した位置検知部PDとしての主制御装置50によりホームPFにおいて検知された移動体MBのホーム端EGに対する距離に応じて、報知すべき警報度の判断がなされる。このための前提として、まず、撮像部10により取得される
図3に示すような画像情報(画像上の駅STiから読み取られる情報)に基づいて、位置検知が行われる。具体的には、
図1(A)のホーム端EGに対応する
図3の画像上における基準線SPから、画像上の床面FLiの内側へ向かって延びる矢印AR1の方向に関して、基準線SPから移動体MBi(利用者USi)までの距離が測定される。例えば
図3の場合、画像上の移動体MBiとしての利用者USiの足の先端部分から基準線SPまでの距離D1が、危険度さらには警報度を定めるための判断対象とすべく、測定される。すなわち、測定された距離D1が短くなるほど、警報度を高めた報知がスピーカー20(
図1等参照)により行われる。言い換えると、距離D1の値が小さくなるほど、スピーカー20からより大きな音、あるいはより高い音、より間隔の短い繰り返し音といった警報度が高まっていることを示す警報音が鳴る。
【0036】
以下、
図4を参照して、危険ゾーン設定部53aにおける危険ゾーン(危険度)の設定の一例について説明しつつ、危険度に基づく上記のような警報度の変化についての一態様を説明する。
図4は、危険度を定めるために、駅構内の領域を分割した複数の領域について、一例を示している。具体的には、
図1(A)に示した5つの領域A0〜A3及びAxに対応する画像上の領域として、5つのゾーンZ0〜Z3及びZxを設け、下記表1に示すように、各ゾーンZ0〜Z3及びZxごとに異なる危険度がそれぞれ設定されている。さらに、危険度に対応して、警報度すなわちスピーカー20による報知の態様が、警報度設定部53bにおいてそれぞれ定められている。
【表1】
【0037】
上記の表1では、警報度の変化度合の一例を、音量の大きさによって示している。具体的には、点字ブロックBB上のレベル1領域A1(
図1(A)参照)に対応するゾーンZ1を、警報を開始する基準となるレベル1(危険度1、警報度1)とする。ゾーンZ1よりも内側(線路から遠ざかる側)のゾーンZ0を安全と考えられるレベル0とし、ここに移動体が存在する場合は、警報を行わない。一方、ゾーンZ1よりも外側(線路に近づく側)のゾーンZ2以上については、線路に近づくほど危険度が増大していき、それにともない段階的に警報度を上げる、すなわちスピーカー20からの出力音量を大きくしていき、線路内への侵入があったと考えられるゾーンZxでの検知があった場合には、非常時用の最大音量での報知を行う。以上のような検知位置と警報度(警報の態様)との対応付けに基づいて、警報度を変化させた報知がなされる。
【0038】
以下、
図5のフローチャートを参照して、本実施形態に係る駅の警報装置100の動作の一例について説明する。まず、主制御装置50は、対象とするホームPFの線路TK内に列車TRが在線しており、かつ、列車TRの扉が開いた状態となっているかを確認する(ステップS100)。ステップS100において、列車TRの扉が開いた状態となっていると判断される場合(ステップS100:Yes)、利用者が線路内の列車TRで乗降するタイミングであり、警報を行う必要がないため、危険度の判定に関する処理を行うことなく待機する。一方、ステップS100において、列車TRの扉が開いた状態以外の状態であると判断した場合(ステップS100:No)、主制御装置50は、危険度の判定に関する処理の前提となる画像処理部51による画像処理(画像解析)を行う(ステップS101)。すなわち、撮像部10での撮像により取得された画像情報について、移動体MBの存在の有無を確認する。ステップS101における画像解析の結果、移動体MBに相当する画像上の移動体MBiが検出されなければ(ステップS102:No)、処理を終了し、ステップS100からの動作に戻る。一方、ステップS102において、移動体MBが検出された場合(ステップS102:Yes)、検出された移動体MBに対応する画像上の移動体MBiの基準線SPに対する位置の検知をする(ステップS103)。より具体的には、主制御装置50の位置解析部52により、検出された移動体MBiが、5つのゾーンZ0〜Z3及びZxのうちいずれの領域に属しているかを判定する。次に、主制御装置50の状況判断部53は、ステップS103における位置検知の結果、報知が必要な状態にあるかを判断する(ステップS104)。すなわち、状況判断部53は、危険ゾーン設定部53aで関連付けられる設定に基づいて、移動体MBiがゾーンZ0にあれば、安全な位置におり、報知が不要であると判断し(ステップS104:No)、危険度の判定に関する処理を終了し、ステップS100からの動作に戻る。一方、移動体MBiがゾーンZ0以外の4つのゾーンZ1〜Z3及びZxのうちいずれかにあれば(すなわち危険度1以上であれば)、状況判断部53は、報知が必要であると判断する(ステップS104:Yes)。
【0039】
ステップS104において報知が必要と判断された場合、状況判断部53は、まず、危険度の判定を行う(ステップS105)。すなわち、表1に例示した4つのゾーンZ1〜Z3及びZxのうちどこに移動体MBiが属しているかを判定する。次に、状況判断部53は、警報度設定部53bにおいて、ステップS105で判定された危険度に対応する警報度での報知(音声)レベルの設定を行い(ステップS106)、音声出力回路54によってスピーカー20や駅員用スピーカーPAを駆動して設定された報知レベルでの音声を出力したり、ディスプレイ表示部DAでの表示をしたりすることで、報知がなされる(ステップS107)。
【0040】
主制御装置50は、ステップS107での音声出力を開始すると、警報する対象である移動体MBiが移動することによる位置(ゾーン)変動の有無すなわち危険度の変化の有無を確認し(ステップS108)、移動体MBiの位置変動が無ければ(ステップS108:No)、ステップS106で設定された報知レベルでの音声出力(報知)を継続する(ステップS107)。一方、移動体MBiの位置変動があった場合には(ステップS108:Yes)、移動体MBiが安全な位置に移動したか、すなわちゾーンZ0に移動したか否かを確認する(ステップS109)。移動体MBiがゾーンZ0に移動していたと判断された場合(ステップS109:Yes)、報知の動作を停止させて(ステップS110)、危険度の判定に関する処理を終了し、ステップS100からの動作に戻る。一方、ステップS109において、移動体MBiがゾーンZ0に移動していない、すなわちゾーンZ0以外の危険度1以上の領域に移動していたと判断された場合(ステップS109:Yes)、状況判断部53は、再度、危険度判定の処理からの一連の警報動作を繰り返し(ステップS105〜S109)、移動体MBiが安全な位置と考えられるゾーンZ0に移動するまで継続する。
【0041】
以上のような構成とすることで、例えばゾーンZ1にいた移動体MB(MBi)が、安全と考えられるゾーンZ0に移動すると警報が終了することになるが、より危険度の高いゾーンZ2やゾーンZ3に移動した場合には、より大きな音で警報が鳴ることになる。これにより、移動体MBたる利用者USは、自分がより安全な側に向かって移動しているのか、より危険な側に移動しているのかを認知できる。また、駅務室SO内の駅員SAは、危険な状態にある移動体MBたる利用者US等の存在を認知できる。
【0042】
以上のように、本実施形態に係る駅の警報装置100では、主制御装置50の状況判断部53において、位置検知部PDでの移動体MB(MBi)の位置検知情報に基づいて駅構内の状況を判断し、状況判断部53でなされた判断結果に応じて、報知部としてのスピーカー20や駅員用スピーカーPA、ディスプレイ表示部DAによる報知について、警報度を変化させている。これにより、移動体MBが、より危険な側に向かって移動しているのか、より安全な側に向かって移動しているのかを、移動体MBである利用者(歩行者)自身や、駅員等に認知させることができる。すなわち、より確実に線路内への転落防止等を行うことができ、駅構内での安全を図ることができる。
【0043】
また、上記では、位置検知部PDの一部として、画像情報を取得する撮像部(撮像カメラ)10を適用しているが、撮像部10に代えて、例えば踏圧部材を用いるものとしてもよい。例えば床面FL上に踏圧部材を敷設し、踏圧部材が移動体MBに踏まれることで、移動体MBの位置や動きの検知が可能となり、踏圧部材をゾーンごとに識別できるものとしておくことで、検知された移動体MBの位置情報に基づいて警報度を変化させ、同様の構成とする、といった態様も考えらえる。
【0044】
また、撮像部10として、上記のほか、例えば測距センサーを搭載した距離画像装置を適用することも考えられる。この場合、移動体MBを立体的に捉えることが可能になる。具体的には、例えばレーザパルス等によるパルス光を対象領域内で走査し、該対象領域内に存在する移動体MBによる反射光を受光して移動体MBまでの距離を計測し、その計測結果に基づく距離画像を生成することで、移動体MBの立体情報が取得できる。
【0045】
〔第2実施形態〕
以下、
図6等を参照して、第2実施形態に係る駅の警報装置について説明する。
図6及び
図7は、本実施形態に係る駅の警報装置200について、各部の構成と、駅の警報装置200を設置した駅構内の様子とをそれぞれ示している。なお、本実施形態に係る駅の警報装置200は、第1実施形態の駅の警報装置100の変形例であり、駅の警報装置100と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。本実施形態では、スピーカー20等に加え、さらに、移動体MB(利用者US)に付随する携帯物SMが報知部として機能する点において、第1実施形態と異なっている。携帯物SMとしては、例えば携帯電話やスマートホン(スマホ)等のタブレット機器、その他、音声や光、振動等による報知が可能であり、かつ、移動体MB(利用者US)を特定できる情報を含んだ専用機器等の各種媒体が考えられる。また、ここでは、携帯物SMを報知部として機能させるべく、携帯物SMと駅の警報装置200の主制御装置50とは、例えばインターネット回線等の公衆回線INを介して通信可能になっている。
【0046】
さらに、駅の警報装置200は、携帯物SMを所持する移動体MBの画像情報を、駅STのホームPFへ向かう直前に取得するために、
図6に示すように、ホームPFへの出入り口ENである改札機GMの上方側にカメラCAが設けられており、利用者USの撮像を行うものとなっている。また、画像処理部51において、カメラCAで取得した画像情報と、撮像部10で取得した画像情報とを照合して、移動体MBが同一物(同一人物)であることを判定するための画像マッチング判定部51aを備えている。画像マッチング判定部51aでは、既存の画像マッチング手法が適宜利用可能となっており、例えば取得した画像情報から人物の輪郭や大きさ、服装、顔つき等、移動体MBを特定可能にするための種々の特徴的事項を抽出し、これらの事項について照合・比較をすることで、同一物(同一人物)であるか否かの判定が可能となっている。
【0047】
以下、本実施形態に係る駅の警報装置200の一連の動作について説明する。まず、移動体MBである利用者USが出入り口ENの改札機GMを通過する際に、カメラCAによって画像マッチングに必要な利用者USの画像情報が取得され、主制御装置50の記憶部MEに一時格納される。次に、駅の警報装置200の主制御装置50は、第1実施形態の場合と同様にして、撮像部10において取得された画像情報に基づいて危険度判定を行う。この際、画像処理部51は、画像マッチング判定部51aによる画像判定を併せて行う。画像マッチング判定部51aによる画像判定から、改札機GMを通過する際に取得した情報に一致すると推定される移動体MBが危険度1以上の領域にいると判断されると、主制御装置50は、公衆回線INを介して携帯物SMに危険度に応じた信号を送信する。当該信号を受けた携帯物SMは、危険度に応じた報知を所持者である利用者USに対して行う。報知の態様については、音声を変化させるもののほか、振動や光を変化させるもの、或いはこれらを組み合わせて報知を行うものとしてもよい。
【0048】
以上のような画像マッチングによる報知を達成するために、ここでは、前提として、携帯物SMとこれを所持する利用者USとを紐付けるための情報について、事前登録がなされているものとする。事前登録する情報については、種々のものが想定されるが、例えば、上記のように、改札機GMの通過を利用する場合、
図8(A)に例示するように、改札機GMの通過に使用される定期券情報等を含むICカードのID情報と、スマホ等で構成される携帯物SMのID情報(スマホのID情報)とを紐付けて、事前登録し、記憶部MEに格納しておくことが考えられる。この場合、利用者USがICカードを利用して改札機GMを通過する際に、当該ICカードのID情報に予め紐付けられているスマホのID情報が事前登録データに存在すれば、カメラCAを起動して画像情報(
図8(A)の画像データα、β…)を取得し、取得した画像情報をさらに紐付けすることで、事前登録された携帯物SMを所持する利用者USと、当該利用者USの画像情報とを結び付けることができる。
【0049】
また、上記のようなICカードのID情報を利用するもの以外の方法として、例えば
図8(B)に示すように、利用者USについて事前取得した画像情報(
図8(B)の画像データA、B…)を予め登録しておく方法も考えられる。この場合、カメラCAによる撮像を必ずしも要しないことになるが、例えばカメラCAの画像情報についても併せて取得し、事前に登録された画像情報とホームPFへ向かう直前の画像情報との双方を、利用者USを特定するための情報として利用してもよい。この場合、人相等については、双方の画像情報が利用可能であり、服装については、直前の画像情報を利用する、といった利用態様とすることが考えられる。また、
図8(B)に示す態様の場合、例えばカメラCAは、全ての利用者の画像取得を行い、事前に登録された画像情報と一致する人物の画像情報が検知された場合に、携帯物SMに対する報知を行うものとしてもよい。
【0050】
本実施形態においても、警報度を変化させることで、移動体MBが、より危険な側に向かって移動しているのか、より安全な側に向かって移動しているのかを認知させ、より確実に線路内への転落防止等を行うことができ、駅構内での安全を図ることができる。特に、本実施形態では、利用者USに付随する携帯物SMを報知部として機能させることで、携帯電話やスマートホン等を利用した利用者USごとに個別に報知を行える。
【0051】
〔第3実施形態〕
以下、
図9を参照して、第3実施形態に係る駅の警報装置について説明する。本実施形態では、状況に応じて、危険度を設定するための駅構内の領域分割の仕方や、警報度等の設定を変更可能にしている点において、上記他の実施形態と異なっている。なお、本実施形態に係る駅の警報装置は、第1実施形態の駅の警報装置100等の変形例であり、上記のような危険度等の設定以外については、上記実施形態の場合と同様であるので、駅の警報装置100と共通する構成要素については、
図9(A)に示すように同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0052】
例えば、駅の利用者の中には、例えばいたずらやテロの目的等で、意図的にあるいは悪意をもって駅のホームから線路内に侵入しようとする者が紛れ込んでいる可能性がある。このような者が存在すると考えられる場合、駅員や駅に進入しようとする列車の乗務員に、できる限り早期に知らせることが望ましい。このため、本実施形態では、駅の警報装置における状況判断の1つとして、移動体の動き方を解析し、解析された結果に基づいて状況判断を行う。
【0053】
図9(A)は、本実施形態に係る駅の警報装置300の構成ついてのブロック図であり、
図2等に対応する図である。本実施形態では、主制御装置50の状況判断部53において、警報度等の設定を変更するか否かを判断するための移動体解析部53cを有している。移動体解析部53cは、画像処理により連続的に取得された移動体の画像(動画画像)に基づいて、移動体の動き方を解析する処理を行う。ここでは、特に、移動体解析部53cによる移動体の動き方の1つとして、移動体のホーム端へ向かう方向(矢印AR1の逆方向)についての速度成分について解析する。状況判断部53は、移動体解析部53cにおいて解析された速度成分に基づいて状況判断を行う。すなわち、危険度を設定するための駅構内の領域分割の仕方や、警報度等の設定を変更するか否かを決定する。
【0054】
図9(B)及び9(C)は、駅の警報装置300における駅構内の領域分割の変更(ゾーンシフト)について一例を説明するための図であり、
図9(B)は、通常の状況下での駅構内の領域分割の一例を示している。一方、
図9(C)は、特定の状況下で、
図9(B)の状態から駅構内の領域分割を変更した場合(ゾーンシフトをした場合)の一例を示している。ここでは、
図9(B)に示す状態は、
図4で例示した場合と同様であるものとする。
図9(C)に示す状態は、移動体解析部53cによる速度成分の解析結果に基づく状況判断部53の判断により、各ゾーンZ0〜Z3及びZxについて、
図9(B)の状態からゾーンシフトを行った状態の一例となっている。
図9(C)に示す場合では、
図9(B)の場合と比べて、安全と考えられるレベル0となるゾーンZ0を、より内側(線路から遠ざかる側)の領域のみに限り、点字ブロックよりも内側であっても点字ブロックに近い側の領域については、警報を開始する基準となるレベル1(危険度1、警報度1)となるゾーンZ1としている。さらに、点字ブロック上の領域をゾーンZ2とし、ホームのうち点字ブロックよりも外側(線路に近づく側)の領域はすべてゾーンZ3とする分割領域の変更をしている。なお、ゾーンZxについては、同じにしている。
【0055】
以上のような分割領域の変更を行うか否かについて、この例では、既述のように、移動体解析部53cにおいて解析された速度成分に基づいて行う。例えば、当該速度成分の値について予め閾値を定めておき、解析された速度成分が、例えば
図9(B)に示す矢印S1のように十分小さい(閾値よりも小さい)場合には通常の設定のまま領域分割の変更を行わず、
図9(C)に示す矢印S2のように十分大きい(閾値よりも大きい)場合には、意図的に線路内に侵入しようとしている者が存在する可能性が高いと判断し、領域分割の変更をする。これにより、早期のうちから警報度を高めた警報を開始させることができる。
【0056】
なお、上記の閾値の設定については、種々考えられるが、例えば人間が通常何かに向かって走る時の速さを基準とすることが考えられる。また、閾値や領域分割の変更の度合(ゾーンシフトの度合)についても、複数の段階にあるいは連続的に変化させるものとしてもよい。
【0057】
なお、上記の例では、各ゾーンZ0〜Z3及びZxをシフトすることで、早期のうちから警報度を高めた警報の開始を行うものとしているが、これに限らず、例えば、各ゾーンZ0〜Z3及びZxのシフトは行わず、
図9(B)の状態のままとする一方、下記表2に示すような表1に示した対応付けのテーブルとは別の対応付けをしたテーブルを危険ゾーン設定部53aにおいて用意し、適宜テーブルの差し替えを行うことで対処してもよい。すなわち、各ゾーンZ0〜Z3及びZxに対する危険度や警報度の値の設定を変更してもよい。
【表2】
【0058】
また、以上のような警報度等の設定変更については、特に駅員等に対する報知が重要であると考えられ、例えば、上記した各種報知部のうち、駅員用スピーカーPA及びディスプレイ表示部DAのような駅員用報知部に対してのみ行うものとしてもよい。
【0059】
このほか、上記の例では、移動体解析部53cにおける移動体の動き方の解析により、移動体のホーム端へ向かう方向についての速度成分を抽出しているが、移動体の動き方の解析については、これ以外にも例えば移動体の歩様について種々の解析を行うことが考えられ、例えば千鳥足のようなゆらぎが大きい動き方になっている等、明らかに通常とは異なる歩様が確認された場合においても、警報度等の変更を行うものとしてもよい。利用者が酩酊している、あるいは、具合が悪くなっている等の可能性が高く、線路への転落の可能性が高まっていると考えられるからである。
【0060】
本実施形態においても、警報度を変化させることで、移動体が、より危険な側に向かって移動しているのか、より安全な側に向かって移動しているのかを認知させ、より確実に線路内への転落防止等を行うことができ、駅構内での安全を図ることができる。特に、本実施形態では、意図的にあるいは悪意をもって駅のホームから線路内に侵入しようとする者や、酩酊者、急病人等の存在により、線路への転落の可能性が高まっていることを、駅員や駅に進入しようとする列車の乗務員に早期に知らせることができる。
【0061】
〔その他〕
この発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0062】
まず、上記実施形態では、報知の態様変化についての説明を分かりやすくするため、例えば
図4に示したように、複数(5つ)の領域に分割して段階的に変化させるものとしているが、5段階に限らず、これ以上あるいはこれより少ない段階数に分割されていてもよい。あるいは、移動体の位置の連続的な変化に応じて報知の態様を連続的に変化させるものとしてもよい。
【0063】
また、上記では、例えば第1実施形態において、音声の変化、特に音量を変えることで報知の態様を変化させるものとしているが、これに限らず、あるいはこれに加えて、光や振動を利用するものとしてもよい。具体的には、例えば床面FLにLED等により照明装置を設け、当該照明の輝度や点滅の間隔、色等を変化させることで、警報度の変化を示すことが考えられる。また、床面FLに振動を生じさせる部材を設け、振動の度合を変化させる、といったことも考えられる。
【0064】
また、撮像部10の配置についても、上記のように、ホームPFの上方側に設置されて下方側を撮像する場合に限らず、目的とする範囲を撮像できる種々の態様とすることができる。例えば、撮像対象とすべきホームの反対側に位置するホームに撮像部を設置すること等が考えられる。
【0065】
また、危険度と警報度(例えば音量)との対応関係についても、状況に応じて変更してもよい。上記の例示では、例えば危険度1なら警報度1となっている、つまり、危険度の値と警報度の値とが一致しているが、主制御装置50の警報度設定部53bにおいて対応関係を変更してもよい。例えば、1つの駅の複数箇所に報知部としてのスピーカーを配置した場合、スピーカーの配置箇所によって、他の箇所よりも音声が聞き取りづらくなっている、といったことも考えられる。また、時間帯によっても聞き易さが変わる可能性もある。このような状況に対応すべく、所定の条件を満たす場合に、危険度1以上と判断される際の警報度の値を危険度の値よりも高めるようにしておいてもよい。