(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記エネルギー変換装置で発生した熱を用いて、前記膜分離装置に前記消化汚泥を送る消化汚泥送泥管を加温する消化汚泥加温手段を備える請求項2に記載の汚泥処理システム。
前記エネルギー変換装置で発生した熱を用いて、前記消化槽に前記有機性廃棄物を送る有機性廃棄物送泥管を加温する有機性廃棄物加温手段を備える請求項1に記載の汚泥処理システム。
前記アンモニア分離器が、前記バイオガスまたは前記消化汚泥の一方または両方に含まれるアンモニアを分離回収するアンモニア分離膜である請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の汚泥処理システム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態の汚泥処理システムおよび汚泥処理方法を、図面を参照して説明する。
【0010】
まず、汚泥処理において生じるアンモニアの形態について説明する。
実施形態の汚泥処理方法では、有機性廃棄物を嫌気性微生物によって消化処理することで、二酸化炭素、メタンおよびアンモニアと、消化汚泥とが得られる。二酸化炭素、メタンおよび一部のアンモニアは、バイオガスとして得られる。また、アンモニアの残部は、消化汚泥中に含まれる水分に溶解することで、消化汚泥に含まれる状態になる。
【0011】
このように、実施形態の汚泥処理方法では、アンモニアを含むバイオガスと、アンモニアを含む消化汚泥とが得られる。以下に説明する実施形態の汚泥処理方法では、消化処理で生じたアンモニアを含む、バイオガスまたは消化汚泥の一方または両方からアンモニア回収するアンモニア回収手段と、回収したアンモニアをエネルギーに変換するエネルギー変換装置とを備える。以下、各実施形態について詳細に説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1に示す実施形態の汚泥処理システム100は、消化槽2と、アンモニア回収手段30と、エネルギー変換装置4と、を備える。なお、アンモニア回収手段30は、曝気管6と、アンモニア分離器3と、を備える。
また、汚泥処理システム100は、
図1に示すように、汚泥濃縮槽1と、脱水装置5と、ミストセパレータ7と、脱硫塔8と、ガス貯留タンク9と、ガスエネルギー変換装置10と、送気部11と、を備えていてもよい。
【0013】
汚泥濃縮槽1は、有機性廃棄物流入管L1を介して排水処理施設から送られた有機性廃棄物を濃縮して、有機性廃棄物の体積を減少させる槽である。
汚泥濃縮槽1は、有機性廃棄物流入管L1を介して図示略の排水処理施設と接続されている。また、汚泥濃縮槽1は、有機性廃棄物送泥管L2を介して消化槽2と接続されている。
【0014】
消化槽2は、汚泥濃縮槽1から送られた有機性廃棄物を、嫌気性微生物の活動によって、二酸化炭素、メタンおよびアンモニア並びに消化汚泥に分解する、消化処理を行う槽である。消化槽2は、後述するアンモニア回収手段30を構成する曝気管6を有する。
消化槽2は、消化汚泥送泥管L11を介して脱水装置5と接続されている。
【0015】
消化槽2は、ガス第2送気管L6を介してガス貯留タンク9と接続されている。また、消化槽2は、ガス第1送気管L3を介してミストセパレータ7と接続されている。これにより、消化槽2は、消化槽2内のガスを消化槽2外に排出できるようになっている。なお、消化槽2から排出されるガスは、後述する曝気管6が消化槽2内を曝気して得たアンモニアを含むガスと、嫌気性微生物の消化処理によって生じたバイオガスと、を含む。
【0016】
本実施形態のアンモニア回収手段30は、バイオガスおよび消化汚泥に含まれるアンモニアを回収する手段である。より詳細には、アンモニア回収手段30は、消化槽2内の消化汚泥を曝気して、消化汚泥に含まれるアンモニアを取り出す曝気管6を備える。また、アンモニア回収手段30は、消化槽2内の曝気後のガス、すなわち、消化槽2内の消化汚泥を曝気管6によって曝気したガスと消化槽2における消化処理で生じたバイオガスとからなるガスから、アンモニアを取り出すアンモニア分離器3を備える。
【0017】
アンモニア回収手段30を構成する曝気管6は、消化槽2内に送気部11から送気された脱アンモニアガスを曝気する手段である。この脱アンモニアガスについては後述する。なお、曝気管6としては、例えば、単管、穴あき配管、多孔質散気材、マイクロバブル発生器等が挙げられる。曝気管6は、消化槽2内に設置されている。
【0018】
アンモニア回収手段30を構成するアンモニア分離器3は、脱硫塔8から送気されたガスからアンモニアを分離回収する分離器である。
アンモニア分離器3は、アンモニア送気管L8を介してエネルギー変換装置4と接続されている。また、アンモニア分離器3は、脱アンモニアガス第1送気管L9を介して送気部11と接続されている。
【0019】
ミストセパレータ7は、消化槽2から送気されたガスに含まれるミスト(液滴)を除去する装置である。
ミストセパレータ7は、ガス第3送気管L4を介して脱硫塔8と接続されている。
【0020】
脱硫塔8は、ミストセパレータ7から送気されたガスに含まれる硫化水素等の硫黄分を除去する装置である。
脱硫塔8は、ガス第4送気管L5を介してアンモニア分離器3に接続されている。
【0021】
エネルギー変換装置4は、アンモニア分離器3から送られたアンモニアをエネルギーに変換する装置である。エネルギー変換装置4としては、例えば、アンモニアを燃焼して熱エネルギーを得るガスボイラ、アンモニアを燃焼して発電し、電気エネルギーおよび熱エネルギーを得るガスタービン発電機、アンモニアを原料として発電して、電気エネルギーおよび熱エネルギーを得るアンモニア燃料電池等が挙げられる。
【0022】
送気部11は、アンモニア分離器3から送気された脱アンモニアガスを、必要に応じて圧縮して、消化槽2内の曝気管6に送気する。なお、本実施形態において脱アンモニアガスとは、アンモニア分離器3によってアンモニアが分離回収された後のガスをいう。
送気部11としては、例えば、ブロワ、コンプレッサ等が挙げられる。送気部11は、脱アンモニアガス第2送気管L10を介して曝気管6と接続されている。
【0023】
脱水装置5は、消化槽2から消化汚泥送泥管L11を介して送られた消化汚泥を脱水して、脱水汚泥と脱離液とに分離させる装置である。なお、脱水装置5としては、例えば、ベルトプレス脱水機、フィルタープレス脱水機、ロータリープレス脱水機、スクリュープレス脱水機、遠心分離脱水機、多重円板脱水機等を用いることができる。
脱水装置5は、脱水汚泥送泥管L12を介して図示略の乾燥装置と接続されている。また、脱水装置5は、脱離液送液管L13を介して図示略の排水処理施設と接続されている。
【0024】
ガス貯留タンク9は、消化槽2からガス第2送気管L6を介して送気されたガスを貯留するタンクである。
ガス貯留タンク9は、ガス第5送気管L7を介してガスエネルギー変換装置10と接続されている。
【0025】
ガスエネルギー変換装置10は、ガス貯留タンク9からガス第5送気管L7を介して送られたガスをエネルギーに変換する装置である。ガスエネルギー変換装置10としては、例えば、ガスを燃焼して熱エネルギーを得るガスボイラ、ガスを燃焼して発電し、熱エネルギーおよび電気エネルギーを得るガスタービン発電機が挙げられる。
【0026】
次に、本実施形態の汚泥処理システム100のそれぞれの構成要素の作用を説明すると共に、当該汚泥処理システムを用いた汚泥処理方法について説明する。
【0027】
本実施形態の汚泥処理方法は、有機性廃棄物を嫌気性微生物により消化処理して、メタン、二酸化炭素およびアンモニア並びに消化汚泥を得る消化処理工程と、消化汚泥を曝気して得たアンモニアを含むガスおよび消化処理によって発生したバイオガスとからアンモニアを分離回収するアンモニア回収工程と、アンモニア回収工程により回収されたアンモニアをエネルギーに変換するエネルギー変換工程と、から構成される。
【0028】
また、本実施形態の汚泥処理方法は、汚泥濃縮槽1により、排水処理施設から送られた有機性廃棄物を濃縮する濃縮工程と、ミストセパレータ7により、消化槽2により得られたガスに含まれるミストを除去するミスト除去工程と、脱硫塔8により、ミストセパレータ7から送気されたガスに含まれる硫黄分を除去する硫黄分除去工程と、ガスエネルギー変換装置10により、消化槽2により得られたガスをエネルギーに変換するガスエネルギー変換工程と、脱水装置5により、消化槽2により得られた消化汚泥を脱水して脱離液および脱水汚泥を得る脱水工程と、を有していてもよい。
以下、各工程について説明する。
【0029】
まず、汚泥濃縮工程では、排水処理施設から有機性廃棄物流入管L1を介して汚泥濃縮槽1に送られた有機性廃棄物を濃縮することで、有機性廃棄物の水分量を減少させる。なお、汚泥濃縮槽1における汚泥濃縮方法としては、重力式濃縮や機械式濃縮を用いることができる。
【0030】
有機性廃棄物は、通常、水分を99%程度含む。有機性廃棄物が濃縮されることによって、有機性廃棄物の含水率が97%程度となる。有機性廃棄物を濃縮して得られた上澄み液は、図示略の上澄み液送液管を介して、図示略の排水処理施設へ送られる。一方、濃縮された有機性廃棄物は、有機性廃棄物送泥管L2を介して消化槽2に送られる。
【0031】
消化処理工程では、汚泥濃縮槽1から消化槽2に送られた有機性廃棄物を、消化槽2内に保持した嫌気性微生物によって消化処理することで、二酸化炭素、メタンおよびアンモニア並びに消化汚泥を得る。消化処理工程では、一部のアンモニアがメタンおよび二酸化炭素とともにバイオガスとなる。また、残部のアンモニアは、消化汚泥中に含まれる。この消化汚泥は、95%以上の水分を含み、この水分中にアンモニアが溶解する。消化汚泥の水分以外の成分は、嫌気性微生物が分解しきれなかった有機性廃棄物(有機物)の残渣および嫌気性微生物である。
【0032】
次に、アンモニア回収工程について説明する。アンモニア回収工程では、消化槽2内を曝気管6によって曝気することで、消化汚泥に含まれるアンモニアを遊離させてバイオガスに含ませ、その後、遊離したアンモニアを含むガスからアンモニアを分離回収する。
【0033】
具体的には、アンモニアが溶解した消化槽2内の消化汚泥に、曝気管6によって脱アンモニアガスを吹き込む。これにより、消化汚泥に含まれるアンモニア態窒素(NH
4+)と水酸化物イオン(OH
−)とが反応し、遊離アンモニア(NH
3)と水(H
2O)とが生成される。この遊離アンモニアは、消化汚泥から放散され、バイオガスと混合されて、アンモニアを含むガスとなる。これにより、消化汚泥中のアンモニアが除去される。
【0034】
曝気後の消化槽2内にあるガス(消化汚泥を曝気して得られたガスとバイオガスとからなるガス)は、一部がガス第1送気管L3を介してミストセパレータ7に送られる。消化槽2で生じたガスの残部は、ガス第2送気管L6を介してガス貯留タンク9に送られる。
一方、消化槽2で生成した消化汚泥は、消化汚泥送泥管L11を介して脱水装置5に送られる。
【0035】
消化槽2からミストセパレータ7に送られたガスは、ミストセパレータ7および脱硫塔8を経由して、アンモニア分離器3に送られる。アンモニア分離器3において、アンモニアを含むガスからアンモニアを分離回収する。アンモニアを分離回収する方法としては、化学吸着法、物理吸着法、膜分離法等を用いることができる。
【0036】
なお、ミストセパレータ7では、消化槽2から送気されたガスに含まれるミストを除去する(ミスト除去工程)。ミストが除去されたガスは、ガス第3送気管L4を介して脱硫塔8に送気される。脱硫塔8では、ミスト除去工程後のガスから硫化水素等の硫黄分を除去する(脱硫工程)。硫黄分が除去されたガスが、ガス第4送気管L5を介してアンモニア分離器3に送気されてアンモニアが分離回収される。アンモニア分離器3で得られたアンモニアは、アンモニア送気管L8を介してエネルギー変換装置4に送気される。一方、アンモニアが分離回収された後の脱アンモニアガスは、脱アンモニアガス第1送気管L9を介して、送気部11に送気される。送気部11に送気された脱アンモニアガスは、必要に応じて圧縮されて、脱アンモニアガス第2送気管L10を介して、曝気管6に送気される。
【0037】
次に、エネルギー変換工程について説明する。エネルギー変換工程では、アンモニア分離器3から送られたアンモニアをエネルギーに変換する。エネルギー変換装置4によって得られるエネルギーとしては、例えば、熱エネルギーや電気エネルギーが挙げられる。エネルギー変換装置4で得られた電気エネルギーは、汚泥処理システム100の運転に要する電力として使用してもよく、売電してもよい。
【0038】
また、消化槽2からガス貯留タンク9に送られたガスは、必要に応じて圧縮されて、ガスエネルギー変換装置10に送気される。ガスエネルギー変換装置10は、ガス貯留タンク9から送気されたガスをエネルギーに変換する(ガスエネルギー変換工程)。ガスエネルギー変換装置10で得られるエネルギーとしては、熱エネルギーや電気エネルギーが挙げられる。ガスエネルギー変換装置10により得られた電気エネルギーは、汚泥処理システム100の運転に要する電力として使用してもよく、売電してもよい。
【0039】
以上説明した構成によれば、アンモニア回収手段30を構成する曝気管6によって、消化槽2を曝気することで、消化汚泥に含まれるアンモニアを放散することができる。これにより、消化槽2内のアンモニア濃度が低減され、アンモニアによる嫌気性微生物の活性を阻害することを抑制できる。また、消化汚泥中のアンモニアを分離回収して、エネルギー変換工程に供することができ、効率よくエネルギーを取り出すことができる。
【0040】
また、曝気管6により曝気された消化汚泥はアンモニア濃度が低いため、これを脱水装置5に送り、脱水して得られる脱離液のアンモニア濃度(アンモニア態窒素濃度)を低減できる。これにより、脱離液を排水処理施設に送った場合に、排水処理施設における窒素濃度が低減し、窒素負荷を低減できる。そのため、排水処理施設における窒素除去に要する曝気等の運転コストを削減できる。
【0041】
また、アンモニア回収手段を構成するアンモニア分離器3により、消化槽2内にあるガスからアンモニアを分離回収することができる。さらに、エネルギー変換装置4により、アンモニア分離器3により回収したアンモニアをエネルギーに変換することができる。エネルギー変換装置4により得られたエネルギーを、汚泥処理システム100の運転に要するエネルギーとして利用することで、汚泥処理システム100外から供給するエネルギー量を削減することができる。
【0042】
(第2の実施形態)
図2に示す本実施形態の汚泥処理システム200は、汚泥処理システム100と同様に、消化槽2と、アンモニア回収手段30と、エネルギー変換装置4と、を備える。なお、アンモニア回収手段30は、曝気管6と、アンモニア分離器3と、を備える。
また、汚泥処理システム200は、
図2に示すように、汚泥濃縮槽1と、脱水装置5と、ミストセパレータ7と、脱硫塔8と、ガス貯留タンク9と、ガスエネルギー変換装置10と、送気部11と、を備えていてもよい。
また、汚泥処理システム200は、加温装置12および第1熱回収手段40を備える有機性廃棄物加温手段50と、第2熱回収手段41と、を備える点において、汚泥処理システム100と相違する。以下、この相違点について説明する。
【0043】
有機性廃棄物加温手段50を構成する加温装置12は、汚泥濃縮槽1から消化槽2に有機性廃棄物を送る有機性廃棄物送泥管L2を加温する装置である。加温装置12は、汚泥濃縮槽1と消化槽2とを接続する有機性廃棄物送泥管L2の途中に設けられている。
加温装置12は、第1熱回収手段40を介してエネルギー変換装置4と接続されている。また、加温装置12は、第2熱回収手段41を介してガスエネルギー変換装置10と接続されている。
【0044】
有機性廃棄物加温手段50を構成する第1熱回収手段40は、エネルギー変換装置4で得られた熱エネルギーを加温装置12に送る手段である。第1熱回収手段40としては、例えば、エネルギー変換装置4で発生した高温の排気ガスやエネルギー変換装置4の冷却水として使用された高温の排水を送る配管等が挙げられる。
【0045】
第2熱回収手段41は、ガスエネルギー変換装置10で得られた熱エネルギーを加温装置12に送る手段である。第2熱回収手段41としては、例えば、ガスエネルギー変換装置10で発生した高温の排気ガスやガスエネルギー変換装置10の冷却水として使用された高温の排水を送る配管等が挙げられる。
【0046】
次に、本実施形態の汚泥処理システム200のそれぞれの構成要素の作用を説明すると共に、当該汚泥処理システムを用いた汚泥処理方法について説明する。
【0047】
本実施形態の汚泥処理方法は、汚泥濃縮工程と消化処理工程との間に、有機性廃棄物加温手段50によって、汚泥濃縮槽1から消化槽2に送る有機性廃棄物を加温する有機性廃棄物加温工程を有する点で、第1の実施形態における汚泥処理方法と相違する。以下、この相違点について説明する。
【0048】
汚泥濃縮槽1において濃縮された有機性廃棄物は、有機性廃棄物送泥管L2を介して消化槽2に送られるが、このときに、有機性廃棄物送泥管L2の途中に設けられた有機性廃棄物加温手段50を通過する。このとき、有機性廃棄物加温手段50を構成する加温装置12によって、有機性廃棄物を加熱する。加熱されて温度が上昇した有機性廃棄物は、有機性廃棄物送泥管L2を介して消化槽2に送られる。
【0049】
加温装置12には、エネルギー変換装置4から第1熱回収手段40によって熱エネルギーが送られるとともに、ガスエネルギー変換装置10から第2熱回収手段41によって熱エネルギーが送られる。これらの熱エネルギーを利用して有機性廃棄物を加熱することができる。エネルギー変換装置4およびガスエネルギー変換装置10から送られる熱エネルギーとしては、例えば、装置の冷却水として使用された水(高温の排水)や高温の排気ガス等が挙げられる。
【0050】
有機性廃棄物加温手段50によって有機性廃棄物送泥管L2を加温することで、消化槽2に送られる有機性廃棄物の温度を上昇させることができる。有機性廃棄物の温度が上昇されることで、消化槽2における有機性廃棄物の消化処理効率を向上させることができる。また、有機性廃棄物の温度が高まることで消化槽2内の温度が上昇し、消化汚泥中の遊離アンモニアの存在比率を増加させることができる。そのため、曝気管6によるアンモニアの放散効率をより一層向上できる。
【0051】
また、第1熱回収手段40によって、エネルギー変換装置4から排出された熱エネルギーを加温装置12に送るというエネルギー循環を実現することで、汚泥処理システム200外からのエネルギー供給量を削減できる。同様に、第2熱回収手段41によって、ガスエネルギー変換装置10から排出された熱エネルギーを加温装置12に送るというエネルギー循環を実現することで、汚泥処理システム200外からのエネルギー供給量を削減できる。
【0052】
(第3の実施形態)
図3に示す本実施形態の汚泥処理システム300は、第1の実施形態の汚泥処理システム100と同様に、消化槽2と、アンモニア回収手段31と、エネルギー変換装置4と、を備える。本実施形態のアンモニア回収手段31は、分離膜部14および散気部15を備える膜分離装置13と、アンモニア分離器3と、から構成される。
また、本実施形態の汚泥処理システム300は、
図3に示すように、汚泥濃縮槽1と、ミストセパレータ7と、脱硫塔8と、ガス貯留タンク9と、ガスエネルギー変換装置10と、加温装置17及び第3熱回収手段42を備える消化汚泥加温手段51と、送気部16と、第4熱回収手段43と、を備えていてもよい。
図3に示す汚泥処理システム300の構成要素のうち、第1の実施形態の汚泥処理システム100の構成要素と同一の構成要素には、
図1と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0053】
本実施形態のアンモニア回収手段31は、バイオガスおよび消化汚泥に含まれるアンモニアを回収する手段である。より詳細には、アンモニア回収手段31は、膜分離装置13とアンモニア分離器3とを備える。膜分離装置13は、消化槽2から送られた消化汚泥を受け入れ、この消化汚泥から膜分離法によりアンモニアを含む分離ガスを得る。また、アンモニア分離器3は、消化槽2において発生したバイオガスと、膜分離装置13において取り出されたアンモニアを含む分離ガスとから、アンモニアを分離回収する。
【0054】
膜分離装置13は、消化汚泥を分離液および膜分離汚泥に分離する分離膜部14と、分離膜部14の一次側の表面に向けて脱アンモニアガスを散気する散気部15とを有する。消化槽2から送られたアンモニアを含む消化汚泥を膜分離法により固液分離しつつ更に脱アンモニアガスを散気することで、分離液、膜分離汚泥および分離ガスを得る。ここで、分離ガスとは、膜分離装置13内の分離膜部14を散気して得られたガスをいう。また、膜分離汚泥は、消化汚泥を固液分離することにより含水量が消化汚泥よりも低減された汚泥である。更に、分離液は、消化汚泥を固液分離することにより得られた液である。
【0055】
また、散気部15は、脱アンモニアガス第4送気管L20を介して、送気部16と接続されている。この送気部16は、脱アンモニアガス第3送気管L19を介してアンモニア分離器3と接続されている。
【0056】
また、膜分離装置13は、消化汚泥送泥管L14を介して消化槽2と接続されており、消化汚泥を受け入れるようになっている。更に、膜分離装置13は、分離ガス送気管L17を介してミストセパレータ7に接続されており、分離ガスをミストセパレータ7に排出できるようになっている。更に、膜分離装置13は、分離液返送管L15を介して消化槽2に接続されており、分離液の一部を消化槽2に返送できるようになっている。また、膜分離装置13は、分離液排出管L16を介して図示略の排水処理施設と接続されており、分離液の残部を図示略の排水処理施設に排出できるようになっている。さらに、膜分離装置13は、膜分離汚泥送泥管L18を介して、図示略の乾燥装置と接続されている。
【0057】
また、アンモニア回収手段3
1を構成するアンモニア分離器3は、脱硫塔8から送気されたガスからアンモニアを分離回収する分離器であり、第1の実施形態のアンモニア分離器と同じ構成である。なお、脱硫塔8から送気されるガスは、消化槽2で発生したバイオガスと、膜分離装置13により得られた分離ガスと、からなる。
【0058】
また、消化槽2から膜分離装置13に消化汚泥を送る消化汚泥送泥管L14の途中には、消化汚泥加温手段51を構成する加温装置17が設けられている。加温装置17によって、消化汚泥送泥管L14が加温される。加温装置17は、消化汚泥加温手段51を構成する第3熱回収手段42を介してエネルギー変換装置4と接続されている。また、加温装置17は、第4熱回収手段43を介してガスエネルギー変換装置10と接続されている。第3熱回収手段42は、エネルギー変換装置4で発生した熱エネルギーを加温装置17に送る手段である。また、第4熱回収手段43は、ガスエネルギー変換装置10で発生した熱エネルギーを加温装置17に送る手段である。
【0059】
次に、本実施形態の汚泥処理システム300のそれぞれの構成要素の作用を説明すると共に、当該汚泥処理システムを用いた汚泥処理方法について説明する。
【0060】
本実施形態の汚泥処理方法は、有機性廃棄物を消化処理して、メタン、二酸化炭素およびアンモニア並びに消化汚泥を得る消化処理工程と、バイオガスおよび消化汚泥に含まれるアンモニアを回収するアンモニア回収工程と、アンモニア回収工程で得られたアンモニアをエネルギーに変換するエネルギー変換工程と、を有する。なお、上記アンモニア回収工程は、アンモニアを含む消化汚泥を膜分離しつつ散気して、膜分離汚泥および分離液並びにアンモニアを含む分離ガスを得る膜分離工程と、消化処理工程で得られたバイオガスおよび膜分離工程で得られた分離ガスからアンモニアを分離回収する工程と、から構成される。
【0061】
また、本実施形態の汚泥処理方法は、汚泥濃縮槽1により、排水処理施設から送られた有機性廃棄物を濃縮する濃縮工程と、消化汚泥加温手段51により、消化槽2から膜分離装置13に送る消化汚泥を加温する消化汚泥加温工程と、消化槽2により得られたバイオガスおよび膜分離装置13により得られた分離ガスに含まれるミストを、ミストセパレータ7により除去するミスト除去工程と、消化槽2により得られたバイオガスおよび膜分離装置13により得られた分離ガスに含まれる硫黄分を、脱硫塔8により除去する硫黄分除去工程と、ガスエネルギー変換装置10により、消化槽2により得られたバイオガスの一部をエネルギーに変換するガスエネルギー変換工程と、を有していてもよい。
以下、それぞれの工程のうち、第1の実施形態と同じものについては、説明を省略または簡略する。
【0062】
まず、消化槽2により有機性廃棄物を消化処理することで、メタン、二酸化炭素およびアンモニア並びに消化汚泥を得る(消化処理工程)。アンモニアの一部は、メタン、二酸化炭素とともにバイオガスとなる。また、残部のアンモニアは、消化汚泥に含まれることになる。
【0063】
バイオガスは、一部がガス第2送気管L6を介してガス貯留タンク9に送られる。バイオガスの残部は、ガス第1送気管L3を介してミストセパレータ7に送られる。一方、アンモニアを含む消化汚泥は、消化汚泥送泥管L14を介して膜分離装置13に送られる。
【0064】
ガス貯留タンク9に送られたバイオガスは、必要に応じて圧縮されて、ガスエネルギー変換装置10に送られる。ガスエネルギー変換装置10は、ガス貯留タンクから送られたバイオガスをエネルギーに変換する(ガスエネルギー変換工程)。
【0065】
消化槽2において生じた消化汚泥は、消化汚泥送泥管L14を介して膜分離装置13に送られるが、このときに、消化汚泥送泥管L14の途中に設けられた消化汚泥加温手段51を通過する。このとき、消化汚泥加温手段51を構成する加温装置17によって、消化汚泥を加熱する。加熱されて温度が上昇した消化汚泥は、消化汚泥送泥管L14を介して膜分離装置13に送られる。
【0066】
加温装置17には、エネルギー変換装置4から第3熱回収手段42によって熱エネルギーが送られるとともに、ガスエネルギー変換装置10から第4熱回収手段43によって熱エネルギーが送られる。これらの熱エネルギーを用いて、消化汚泥を加熱することができる。
【0067】
次に、消化槽2から膜分離装置13に送られた消化汚泥は、アンモニア回収工程に供される。本実施形態のアンモニア回収工程は、膜分離工程と分離回収する工程とを有する。膜分離工程では、消化槽2から送られた消化汚泥を膜分離しつつ、脱アンモニアガスを散気することで、膜分離汚泥、分離液及びアンモニアを含む分離ガスを得る。また、分離回収工程では、膜分離工程で得られた分離ガスと、消化処理工程で得られたバイオガスとから、アンモニアを分離回収する。
【0068】
膜分離工程では、膜分離法により固液分離しつつ更に脱アンモニアガスを散気することで、膜分離汚泥、分離液および分離ガスを得る。詳細には、膜分離工程では、消化汚泥が、膜分離装置13内に設置された分離膜部14を透過しない膜分離汚泥と、分離膜部14を透過する分離液とに膜分離されることで、膜分離汚泥および分離液を得る。また、膜分離工程では、膜分離装置13内の散気部15が、分離膜部14の一次側の表面に向けて脱アンモニアガスを散気して、消化汚泥に含まれるアンモニアを遊離させて脱アンモニアガスに含ませることで、アンモニアを含む分離ガスを得る。
【0069】
膜分離汚泥は、膜分離汚泥送泥管L18を介して図示略の乾燥装置に送られる。一方、分離液は、一部が分離液返送管L15を介して消化槽2に送られ、残部が分離液排出管L16を介して図示略の排水処理施設に送られる。
また、アンモニアを含む分離ガスは、分離ガス送気管L17を介してミストセパレータ7に送気される。
【0070】
膜分離装置13からミストセパレータ7に送られた分離ガスは、消化槽2から送気されたバイオガスとともに、ミストセパレータ7および脱硫塔8を経由して、アンモニア分離器3に送られる。
【0071】
次に、脱硫塔8から送られたバイオガスおよび分離ガスから、アンモニアを分離回収する。回収したアンモニアは、エネルギー変換装置4に送られて、エネルギー変換工程に供される。一方、アンモニアを回収した後の脱アンモニアガスは、脱アンモニアガス第3送気管L19を介して送気部16に送気される。送気部16に送気された脱アンモニアガスは、必要に応じて圧縮されて、散気部15に送気される。散気部15に送気された脱アンモニアガスは、散気部15により膜分離装置13内に散気される。
【0072】
以上説明した構成によれば、アンモニア回収手段31を構成する膜分離装置13によって、分離膜部14を散気することで、膜分離装置13内の消化汚泥に含まれるアンモニアを放散することができる。これにより、膜分離装置13から排出される分離液中のアンモニア濃度(窒素濃度)を低減できる。このアンモニア濃度が低減した脱離液を消化槽2に返送することにより、消化槽2内のアンモニア濃度を低減できる。これにより、消化槽2内のアンモニア濃度が上昇することによる、嫌気性微生物の活性阻害を抑制できる。
また、アンモニア濃度(アンモニア態窒素濃度)が低減された脱離液を排水処理施設に送った場合に、排水処理施設における窒素濃度が低減し、窒素負荷を低減できる。そのため、排水処理施設における窒素除去に要する曝気等の運転コストを削減できる。また、消化汚泥中のアンモニアを分離回収して、エネルギー変換工程に供することができ、効率よくエネルギーを取り出すことができる。
【0073】
また、アンモニア回収手段31を構成するアンモニア分離器3により、消化槽2により得られたバイオガスと、膜分離装置13により得られた分離ガスとから、アンモニアを分離回収することができる。さらに、エネルギー変換装置4により、アンモニア分離器3により回収したアンモニアをエネルギーに変換することができる。エネルギー変換装置4により得られたエネルギーを、汚泥処理システム300の運転に要するエネルギーとして利用することで、汚泥処理システム300外から供給するエネルギー量を削減することができる。
【0074】
また、膜分離装置13内の散気部15により、分離膜部14の一次側の表面を散気することによって、分離膜部14に閉塞物質(膜分離汚泥)が付着することを抑制できる。
【0075】
また、消化汚泥加温手段51によって、消化槽2から膜分離装置13に消化汚泥を送る消化汚泥送泥管L14を加温することで、消化汚泥が加温され、消化汚泥中の遊離アンモニアの存在比率を増加できる。そのため、消化汚泥中のアンモニアが放散され易い状態となり、膜分離装置13におけるアンモニアの放散効率を向上できる。これにより、消化汚泥に含まれるアンモニアを効率的に回収することができる。さらに、分離ガス中に含まれるアンモニアの量を多くすることができ、エネルギー変換装置4で得られるエネルギー量を多くすることができる。
【0076】
また、第3熱回収手段42によって、エネルギー変換装置4から送られた熱エネルギーを加温装置17に送るため、汚泥処理システム300外から加温装置17に供給するエネルギー量を削減することができる。さらに、第4熱回収手段43によって、ガスエネルギー変換装置10から送られた熱エネルギーを加温装置17に送るため、汚泥処理システム300外から加温装置17に供給するエネルギー量をより削減することができる。
【0077】
(第4の実施形態)
図4に示す実施形態の汚泥処理システム400は、第1の実施形態の汚泥処理システム100と同様に、消化槽2と、アンモニア回収手段32と、エネルギー変換装置4と、を備える。本実施形態のアンモニア回収手段32は、曝気部21を有する曝気装置20と、アンモニア分離器3と、から構成される。
また、本実施形態の汚泥処理システム400は、
図4に示すように、汚泥濃縮槽1と、ミストセパレータ7と、脱硫塔8と、ガス貯留タンク9と、ガスエネルギー変換装置10と、加温装置17および第3熱回収手段42を有する消化汚泥加温手段51と、膜分離槽18と、送気部22と、加温装置23および第5熱回収手段44を有する分離液加温手段52と、第4熱回収手段43と、第6熱回収手段45と、を備えていてもよい。
図4に示す汚泥処理システム400の構成要素のうち、第1の実施形態の汚泥処理システム100の構成要素と同一の構成要素には、
図1と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0078】
膜分離槽18は、消化槽2から送られたアンモニアを含む消化汚泥を膜分離法により固液分離して、膜分離汚泥と分離液とを得る。膜分離槽18は、消化汚泥を分離液および膜分離汚泥に分離する分離膜部19を有する。
膜分離槽18は、消化汚泥送泥管L14を介して消化槽2と接続されており、消化汚泥を受け入れるようになっている。また、膜分離槽18は、分離液送液管L21を介して曝気装置20と接続されており、分離液を排出できるようになっている。更に、膜分離槽18は、膜分離汚泥送泥管L18を介して、図示略の乾燥装置と接続されている。
【0079】
本実施形態のアンモニア回収手段32は、消化汚泥に含まれるアンモニアを回収する手段である。より詳細には、アンモニア回収手段32は、曝気装置20と、アンモニア分離器3とを備える。曝気装置20は、膜分離槽18から送られた分離液を受け入れ、この分離液を曝気してアンモニアを含むガスを取り出す。また、アンモニア分離器3は、曝気装置20において取り出されたアンモニアを含むガスから、アンモニアを分離回収する。
【0080】
曝気装置20は、曝気装置20内に貯留された分離液を曝気する曝気部21を有している。曝気部21は、脱アンモニアガスを用いて、膜分離槽18から送られた分離液を曝気してアンモニアを含むガスを取り出す。 また、曝気装置20は、ガス送気管L22を介してミストセパレータ7と接続されており、アンモニアを含むガスをミストセパレータ7に排出できるようになっている。また、曝気装置20は、分離液排出管L25を介して図示略の排水処理施設と接続されており、曝気後の分離液の一部を排水処理施設に送液できるようになっている。さらに、曝気装置20は、分離液返送管L26を介して消化槽2と接続されており、曝気後の分離液の残部を消化槽2に送液できるようになっている。
【0081】
また、曝気装置20内の曝気部21は、脱アンモニアガス第6送気管L24を介して送気部22と接続されている。なお、送気部22は、脱アンモニアガス第5送気管L23を介してアンモニア分離器3と接続されている。
【0082】
アンモニア回収手段32を構成するアンモニア分離器3は、脱硫塔8から送気されたガスからアンモニアを分離回収する分離器であり、第1の実施形態のアンモニア分離器と同じ構成である。なお、脱硫塔8から送気されるガスは、曝気装置20により得られたアンモニアを含むガスである。
【0083】
また、膜分離槽18から曝気装置20に分離液を送る分離液送液管L21の途中には、消化汚泥加温手段52を構成する加温装置23が設けられている。加温装置23によって、分離液送液管L21が加温される。加温装置23は、第5熱回収手段44を介してエネルギー変換装置4と接続されている。また、加温装置23は、第6熱回収手段45を介してガスエネルギー変換装置10と接続されている。
【0084】
次に、本実施形態の汚泥処理システム400のそれぞれの構成要素の作用を説明すると共に、当該汚泥処理システムを用いた汚泥処理方法について説明する。
【0085】
本実施形態の汚泥処理方法は、有機性廃棄物を消化処理して、メタン、二酸化炭素およびアンモニア並びに消化汚泥を得る消化処理工程と、消化汚泥に含まれるアンモニアを回収するアンモニア回収工程と、アンモニア回収工程で得られたアンモニアをエネルギーに変換するエネルギー変換工程と、を有する。なお、上記アンモニア回収工程は、消化汚泥を固液分離して得たアンモニアを含む分離液を曝気して、アンモニアを含むガスを取り出す曝気工程と、アンモニアを含むガスからアンモニアを分離回収する工程と、から構成される。
【0086】
また、本実施形態の汚泥処理方法は、汚泥濃縮槽1により、排水処理施設から送られた有機性廃棄物を濃縮する濃縮工程と、消化汚泥加温手段51により、消化槽2から膜分離槽18に送られる消化汚泥を加温する消化汚泥加温工程と、膜分離槽18により、消化槽2から送られた消化汚泥を膜分離することで、膜分離汚泥および分離液を得る膜分離工程と、加温装置23により、膜分離槽18から曝気装置20に送られる分離液を加温する分離液加温工程と、ミストセパレータ7により、曝気装置20により得られたガスに含まれるミストを除去するミスト除去工程と、脱硫塔8により、曝気装置20により得られたガスに含まれる硫黄分を除去する硫黄分除去工程と、ガスエネルギー変換装置10により、消化槽2により得られたバイオガスをエネルギーに変換するガスエネルギー変換工程と、を有していてもよい。
以下、それぞれの工程のうち、第1の実施形態と同じものについては、説明を省略または簡略する。
【0087】
消化処理工程では、消化槽2により有機性廃棄物を消化処理することで、メタン、二酸化炭素およびアンモニア並びに消化汚泥を得る。アンモニアの一部は、メタン、二酸化炭素とともにバイオガスとなる。また、残部のアンモニアは、消化汚泥に含まれることになる。
【0088】
アンモニアを含むバイオガスは、一部がガス第2送気管L6を介してガス貯留タンク9に送られる。バイオガスの残部は、ガス第1送気管L3を介してミストセパレータ7に送られる。一方、アンモニアを含む消化汚泥は、消化汚泥送泥管L14を介して膜分離槽18に送られる。
【0089】
ガス貯留タンク9に送られたバイオガスは、必要に応じて圧縮されて、ガスエネルギー変換装置10に送られる。ガスエネルギー変換装置10は、ガス貯留タンク9から送られたバイオガスをエネルギーに変換する。
【0090】
消化槽2において生じた消化汚泥は、消化汚泥送泥管L14を介して膜分離槽18に送られるが、このときに、消化汚泥送泥管L14の途中に設けられた消化汚泥加温手段51を通過する。このとき、消化汚泥加温手段51を構成する加温装置17によって、消化汚泥を加熱する。加熱されて温度が上昇した消化汚泥は、消化汚泥送泥管L14を介して膜分離槽18に送られる。
【0091】
次に、消化槽2から消化汚泥送泥管L14を介して膜分離槽18に送られた消化汚泥を膜分離することで、膜分離汚泥と分離液とを得る(膜分離工程)。膜分離工程で得られた膜分離汚泥は、膜分離汚泥送泥管L18を介して図示略の乾燥装置に送られる。一方、分離液は、分離液送液管L21を介して曝気装置20に送られる。
【0092】
膜分離槽18において生じた分離液は、分離液送液管L21を介して曝気装置20に送られるが、このときに、分離液送液管L21の途中に設けられた分離液加温手段52を通過する。このとき、分離液加温手段52を構成する加温装置23によって分離液を加熱する。加熱されて温度が上昇した分離液は、分離液送液管L21を介して曝気装置20に送られる。
【0093】
加温装置23は、エネルギー変換装置4から第5熱回収手段44によって熱エネルギーが送られるとともに、ガスエネルギー変換装置10から第6熱回収手段45によって、熱エネルギーが送られる。これらの熱エネルギーを用いて、分離液を加温することができる。
【0094】
曝気装置20に送られた分離液は、アンモニア回収工程に供される。本実施形態のアンモニア回収工程は、曝気工程と分離回収する工程とを有する。曝気工程では、消化汚泥を膜分離して得られた分離液を曝気して、アンモニアを含むガスを取り出す。分離回収する工程では、曝気工程で得られたアンモニアを含むガスからアンモニアを分離回収する。
【0095】
曝気工程では、曝気装置20において、膜分離槽18から送られた分離液を曝気部21によって曝気することで、アンモニアを含むガスを得る。曝気部21は、脱アンモニアガス第6送気管L24を介して送気部22から送気された脱アンモニアガスを用いて、曝気装置20内の分離液を曝気する。曝気工程では、曝気部21が曝気装置20内の分離液を曝気して、分離液中のアンモニアを放散させて脱アンモニアガスに含ませることで、アンモニアガスを含むガスを得る。このアンモニアを含むガスは、ガス送気管L22を介してミストセパレータ7に送気される。
【0096】
一方、アンモニアを放散した後の分離液は、一部が分離液排出管L25を介して、図示略の排水処理施設に送られる。また、分離液の残部は分離液返送管L26を介して消化槽2に返送される。
【0097】
ミストセパレータ7に送気されたアンモニアを含むガスは、ミストセパレータ7および脱硫塔8を経由して、アンモニア分離器3に送られる。
【0098】
次に、脱硫塔8から送られたアンモニア分離器3により、アンモニアを含むガスから、アンモニアを回収する。回収したアンモニアは、エネルギー変換装置4に送られて、エネルギー変換工程に供される。アンモニアを回収した後の脱アンモニアガスは、脱アンモニアガス第5送気管L23を介して送気部22に送気される。送気部22に送気された脱アンモニアガスは、必要に応じて圧縮されて、曝気部21に送気される。曝気部21に送気された脱アンモニアガスは、曝気部21により曝気装置20内の曝気に使用される。
【0099】
以上説明した構成によれば、アンモニア回収手段32を構成する曝気装置20によって、消化汚泥を膜分離して得られた分離液に含まれるアンモニアを放散することができる。これにより、曝気装置20から排出される分離液中のアンモニア濃度(アンモニア態窒素濃度)を低減できる。このアンモニア濃度が低減した脱離液を消化槽2に返送することにより、消化槽2内のアンモニア濃度を低減できる。これにより、消化槽2内のアンモニア濃度が上昇することによる、嫌気性微生物の活性阻害を抑制できる。
また、窒素濃度が低減された脱離液を排水処理施設に送った場合に、排水処理施設における窒素濃度が低減し、窒素負荷を低減できる。そのため、排水処理施設における窒素除去に要する曝気等の運転コストを削減できる。また、消化汚泥中のアンモニアを分離回収して、エネルギー変換工程に供することができ、効率よくエネルギーを取り出すことができる。
【0100】
また、アンモニア回収手段32を構成するアンモニア分離器3により、曝気装置20により得られたアンモニアを含むガスから、アンモニアを分離回収することができる。さらに、エネルギー変換装置4により、アンモニア分離器3により回収したアンモニアをエネルギーに変換することができる。エネルギー変換装置4により得られたエネルギーを汚泥処理システム400の運転に要するエネルギーとして利用することで、汚泥処理システム400外から供給するエネルギー量を削減することができる。
【0101】
また、膜分離して固形物を除去した分離液を曝気しているため、消化汚泥を曝気した場合と比べて、アンモニアの放散効率を向上することができる。アンモニアの放散効率が向上されると、アンモニア分離器3でより多くのアンモニアを回収することができる。また、固形物を除去した分離液を曝気して、アンモニアを含むガスを得ているため、ガスに含まれる不純物の量を低減できる。ガスに含まれる不純物量が低減されると、ミストセパレータ7、脱硫塔8、アンモニア分離器3およびエネルギー変換装置4の不純物負荷を低減することができる。
【0102】
また、分離液加温手段52によって、膜分離槽18から曝気装置20に分離液を送る分離液送液管L21を加温することで、分離液の温度を上昇することができ、分離液中の遊離アンモニアの存在比率を上昇できる。そのため、曝気装置20におけるアンモニアの放散効率を向上することができる。これにより、分離液中のアンモニアを効率的に回収することができ、エネルギー変換装置4で得られるエネルギー量を多くすることができる。
【0103】
また、第5熱回収手段44によって、エネルギー変換装置4から排出された熱エネルギーを加温装置23に送るため、汚泥処理システム400外から加温装置23に供給するエネルギー量を削減することができる。さらに、第6熱回収手段45によって、ガスエネルギー変換装置10から排出された熱エネルギーを加温装置23に送るため、汚泥処理システム400外から加温装置23に供給するエネルギー量を削減することができる。
【0104】
また、上述した実施形態では、アンモニア分離器3とエネルギー変換装置4とを接続するアンモニア送気管L8の途中に、濃縮器、分離膜、選択的吸着剤を利用した高度ガス処理器等を設置してもよい。
濃縮器は、アンモニア分離器3から送られるアンモニアのアンモニア濃度が低い場合に設置するとよい。濃縮器を設置した場合は、エネルギー変換装置4に送られるアンモニアのアンモニア濃度が上昇することにより、エネルギー変換装置4により得られるエネルギー量を多くすることが可能になる。
分離膜や選択的吸着剤を利用した高度ガス処理器は、アンモニア分離器3から送られるアンモニア中の不純物量が多い場合に設置するとよい。分離膜や高度ガス処理器を設置した場合は、ミストセパレータ7や脱硫塔8で除去されなかったアンモニア中の不純物を除去することができる。そのため、エネルギー変換装置4における不純物による負荷を低減することが可能になる。
【0105】
また、上述した実施形態では、エネルギー変換装置4およびガスエネルギー変換装置10から排出された熱エネルギーを用いて消化槽2を加温する、消化槽加温手段を備えていてもよい。この場合は、消化槽2内の温度を上昇できるため、嫌気性微生物の消化処理効率を向上できる。これにより、バイオガスの発生量を増加できる。
【0106】
また、上述した実施形態では、アンモニア分離器3が、バイオガスをアンモニアと脱アンモニアガスとに分離する分離膜であってもよい。アンモニア分離器3としてアンモニア分離膜を用いた場合、バイオガスに含まれるアンモニアのみを、効率的に回収することが可能になる。
【0107】
また、上述した実施形態では、エネルギー変換装置4が、アンモニアを燃料として発電するアンモニア燃料電池であってもよい。エネルギー変換装置4としてアンモニア燃料電池を用いた場合、有機性廃棄物から回収したアンモニアを、効率的に電気エネルギーに変換することが可能になる。
【0108】
また、上述した実施形態では、エネルギー変換装置4が、アンモニアを燃料として発電する発電機であってもよい。この発電機としては、例えば、アンモニアを燃焼させてタービンを回転させることにより発電する、ガスタービンが挙げられる。エネルギー変換装置4としてガスタービンを用いた場合、有機性廃棄物から回収したアンモニアを、効率的に電気エネルギーに変換することが可能になる。
【0109】
以上に述べた少なくとも一つの実施形態によれば、消化槽内のアンモニア濃度を低減できると共に、排水処理施設における窒素負荷が低減でき、さらに汚泥処理において生じるアンモニアを回収し、このアンモニアをエネルギーに変換することができる。
【0110】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。