(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、結着樹脂、アルミニウム微粒子およびシリカ微粒子を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナー粒子の重量平均粒径(D4)が、3.0μm以上10.0μm
以下であり、
該トナー粒子は、該トナー粒子の表面から0.3μm以上内部の領域に該アルミニウム微粒子および該シリカ微粒子を含有し、
該トナー粒子中の該アルミニウム微粒子の含有量が、該トナー粒子100質量部に対して5.0質量部以上30.0質量部以下であり、
該トナー粒子中の該シリカ微粒子の含有量が、該トナー粒子100質量部に対して0.1質量部以上2.5質量部であ
り、
前記シリカ微粒子のアスペクト比(長径/短径)の平均が、1.0以上1.2以下であり、前記シリカ微粒子の長径の平均D50nが、30nm以上200nm以下である
ことを特徴とするトナーである。
【0013】
本発明者らは、光輝着色剤であるアルミニウム微粒子と、シリカ微粒子とをトナー粒子中に共存させることにより、アルミニウム微粒子が有するポジ帯電性を中和することができ、帯電均一性に優れたトナーが得られることを見出した。
【0014】
本発明の特徴の1つは、トナー粒子が、トナー粒子の表面から0.3μm以上内部の領域(以下「トナー粒子の表面近傍」ともいう。)にアルミニウム微粒子およびシリカ微粒子を含有する(内添されている)ことである。そして、トナー粒子中のアルミニウム微粒子の含有量(内添量)が、トナー粒子100質量部に対して5.0質量部以上30.0質量部以下であることである。また、トナー粒子中のシリカ微粒子の含有量(内添量)が、トナー粒子100質量部に対して0.1質量部以上2.5質量部以下であることである。
【0015】
トナー粒子中のアルミニウム微粒子の含有量が、5.0質量部より少ない場合、トナーに十分な着色力を与えることができない。また、含有量が30.0質量部より多い場合、トナー粒子中にシリカ微粒子を共存させてもトナーのポジ帯電性が大きくなり、トナーの帯電均一性が不十分となる。
【0016】
また、トナー粒子中のシリカ微粒子の含有量が、0.1質量部より少ない場合、アルミニウム微粒子に対する帯電中和作用が少なくなり、トナーのポジ帯電性が大きくなり、トナーの帯電均一性が不十分となる。また、含有量が2.5質量部より多い場合、低湿環境下において、トナーの過剰帯電が発生しやすくなる。トナーの過剰帯電が発生すると、画像の濃度低下が引き起こされる。
【0017】
また、本発明に係るトナー粒子は、トナー粒子の表面近傍に、シリカ微粒子を2.5質量部以上7.0質量部以下含有することが好ましい。トナー粒子の表面近傍にシリカ微粒子を配置することにより、使用環境の変化に伴う、温度および湿度による影響を和らげ、様々な環境下において、優れた帯電均一性を発揮することができる。
【0018】
また、アルミニウム微粒子のアスペクト比(長径/短径)の平均は、1.2以上15以下であることが好ましい。また、アルミニウム微粒子の長径の平均D
50nは、200nm以上400nm以下であることが好ましい。
【0019】
アルミニウム微粒子のアスペクト比の平均が1.2以上であれば、発色面積が大きくなり、十分な光輝効果が得られやすい。また、アスペクト比が15以下であれば、針状体になりにくく、そのため、感光体などの部材を傷つけにくい。感光体などの部材に生じた傷は、そこを起点にトナーの融着などを引き起こしやすい。
【0020】
また、アルミニウム微粒子の長径の平均D
50nが200nm以上であれば、発色面積が大きくなり、十分な光輝効果が得られやすい。また、D
50nが400nm以下であれば、トナー粒子中でのアルミニウム微粒子の分散性が高まり、帯電不良を引き起こしにくくなる。
【0021】
また、シリカ微粒子のアスペクト比(長径/短径)の平均は、1.0以上1.2以下であることが好ましい。また、シリカ微粒子の長径の平均D
50nは、30nm以上200nm以下であることが好ましい。
【0022】
無機微粒子Aのアスペクト比(長径/短径)の平均が1.2以下であれば、感光体などの部材を傷つけにくくなる。また、光輝着色剤であるアルミニウム微粒子との混合が良好になり、帯電不良を引き起こしにくい。
【0023】
また、シリカ微粒子の長径の平均D
50nが30nm以上であれば、着色剤に対する帯電中和作用がより強くなり、帯電不良を引き起こしにくい。また、シリカ微粒子の長径の平均D
50nが200nm以下であれば、トナー粒子中でのシリカ微粒子の分散性が高まり、トナーの帯電安定性がより高まる。
【0024】
[結着樹脂]
結着樹脂としては、例えば、
ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレンまたはその置換体(誘導体)の単重合体;
スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体などのスチレン系共重合体;
ポリ塩化ビニル;
フェノール樹脂;
天然変性フェノール樹脂;
天然樹脂変性マレイン酸樹脂;
アクリル樹脂;
メタクリル樹脂;
ポリ酢酸ビニル;
シリコーン樹脂;
ポリエステル樹脂;
ポリウレタン樹脂;
ポリアミド樹脂;
フラン樹脂;
エポキシ樹脂;
キシレン樹脂;
ポリビニルブチラール;
テルペン樹脂;
クマロン−インデン樹脂;
石油系樹脂
などが挙げられる。
【0025】
これらの中でも、低温定着性および帯電性制御の観点から、ポリエステル樹脂や、ポリエステルとビニル系ポリマーとのハイブリッド樹脂が好ましい。
【0026】
本発明において、ポリエステル樹脂とは、「ポリエステルユニット」を樹脂鎖中に有している樹脂である。ポリエステルユニットを構成するユニットとしては、例えば、2価以上のアルコールモノマー成分由来のユニットと、2価以上のカルボン酸、2価以上のカルボン酸無水物および2価以上のカルボン酸エステルなどの酸モノマー成分由来のユニットとが挙げられる。
【0027】
2価以上のアルコールモノマー成分としては、例えば、
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどのビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ソルビット、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン
などが挙げられる。
【0028】
これらの中でも、芳香族ジオールが好ましい。ポリエステル樹脂を構成するアルコールモノマー成分由来のユニットにおいて、芳香族ジオール由来のユニットは、80モル%以上の割合を占めることが好ましい。
【0029】
2価以上のカルボン酸、2価以上のカルボン酸無水物および2価以上のカルボン酸エステルなどの酸モノマー成分としては、例えば、
フタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸類またはその無水物;
コハク酸、アジピン酸、セバシン酸およびアゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類またはその無水物;
炭素数6〜18のアルキル基またはアルケニル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;
フマル酸、マレイン酸およびシトラコン酸などの不飽和ジカルボン酸類またはその無水物
などが挙げられる。
【0030】
これらの中でも、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、フマル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸またはそれらの無水物などの多価カルボン酸が好ましい。
【0031】
ポリエステル樹脂の酸価は、摩擦帯電量の安定性の観点から、1mgKOH/g以上20mgKOH/g以下であることが好ましい。
【0032】
ポリエステル樹脂の酸価は、ポリエステル樹脂の製造に用いるモノマーの種類や配合量を調整することにより、制御することができる。例えば、ポリエステル樹脂の製造時のアルコールモノマー成分と酸モノマー成分との比率や、ポリエステル樹脂の分子量を調整することにより、制御することができる。また、エステル縮重合後、末端アルコールと多価酸モノマー(例えば、トリメリット酸)とを反応させることにより、制御することもできる。
【0033】
また、ポリエステルとビニル系ポリマーとのハイブリッド樹脂を得る方法としては、ビニル系ポリマーおよび/またはポリエステルと反応しうるモノマー成分の存在下、ビニル系ポリマーおよび/またはポリエステルを製造する重合反応を行う方法が好ましい。
【0034】
[ワックス]
本発明に係るトナー粒子には、ワックスを含有させてもよい。
【0035】
ワックスとしては、例えば、
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの炭化水素系ワックス;
酸化ポリエチレンワックスなどの炭化水素系ワックスの酸化物またはそれらのブロック共重合物;
カルナバワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;
脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したもの;
パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;
ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;
ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;
ソルビトールなどの多価アルコール類;
パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸などの脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどのアルコール類とのエステル類;
リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;
メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;
エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;
m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;
ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般に金属石鹸と呼ばれるもの);
脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;
ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;
植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物
などが挙げられる。
【0036】
これらの中でも、低温定着性および耐定着部材巻きつき性を向上させるという観点から、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの炭化水素系ワックスが好ましい。
【0037】
トナー粒子中のワックスの含有量は、トナー粒子中の結着樹脂100質量部に対して0.5質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
【0038】
トナーの保存性と高温オフセット性との両立の観点から、示差走査熱量分析装置(DSC)で測定される昇温時の吸熱曲線において、30℃以上200℃以下の範囲に存在する最大吸熱ピークのピーク温度が、50℃以上110℃以下であることが好ましい。
【0039】
[荷電制御剤]
本発明に係るトナー粒子には、荷電制御剤を含有させてもよい。
【0040】
荷電制御剤としては、無色であり、トナーの帯電スピードが速く、帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
【0041】
ネガ系荷電制御剤としては、例えば、
サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ジカルボン酸金属化合物、スルホン酸またはカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物;
スルホン酸塩またはスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物;
カルボン酸塩またはカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物;
ホウ素化合物;
尿素化合物;
ケイ素化合物;
カリックスアレーン
などが挙げられる。
【0042】
荷電制御剤は、トナー粒子に対して内添してもよいし外添してもよい。
【0043】
トナー粒子中の荷電制御剤の含有量は、トナー粒子中の結着樹脂100質量部に対して0.2質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
【0044】
[外添剤]
本発明のトナーは、流動性の向上や摩擦帯電量の調整のために、外添剤を有してもよい。
【0045】
外添剤としては、例えば、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン(チタニア)、酸化アルミニウム(アルミナ)、チタン酸ストロンチウムなどの無機微粒子が挙げられる。
【0046】
外添剤(無機微粒子)は、シラン化合物、シリコーンオイルまたはそれらの混合物などの疎水化剤で疎水化処理されていることが好ましい。
【0047】
外添剤(無機微粒子)の比表面積は、外添剤(無機微粒子)の埋め込み抑制の観点から、10m
2/g以上50m
2/g以下であることが好ましい。
【0048】
トナー中の外添剤の含有量は、トナー粒子100質量部に対して0.1質量部以上5.0質量部以下であることが好ましい。
【0049】
[キャリア]
本発明のトナーは、長期にわたり安定した画像が得られるという観点から、磁性キャリアと混合して、二成分現像剤として用いることが好ましい。
【0050】
磁性キャリアとしては、例えば、
表面を酸化した鉄粉、または、未酸化の鉄粉;
鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、希土類などの金属粒子、または、それらの合金粒子、もしくは、酸化物粒子;
フェライトなどの磁性体;
磁性体と該磁性体を分散した状態で保持する結着樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)
などが挙げられる。
【0051】
[製造方法]
本発明のトナーの製造方法は、例えば、乳化凝集法、溶融混練法、溶解懸濁法などが挙げられる。
【0052】
これらの中でも、原材料の分散性の観点から、溶融混練法が好ましい。
【0053】
溶融混練法は、トナー粒子の原材料であるトナー組成物を溶融混練し、得られた混練物を粉砕することを特徴とする。
【0054】
溶融混練法に関して、より詳細に説明する。
【0055】
原料混合工程では、トナー粒子の原材料として、結着樹脂、アルミニウム微粒子およびシリカ微粒子、さらに、必要に応じて、ワックス、着色剤などの成分を、所定量秤量して配合し、混合する。混合装置としては、例えば、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、メカノハイブリッド(日本コークス工業(株)製)などが挙げられる。
【0056】
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中に他の原材料などを分散させる。
【0057】
溶融混練工程では、例えば、加圧ニーダー、バンバリィミキサーなどのバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができる。連続生産できる優位性から、1軸または2軸押し出し機が主流となっている。
【0058】
押し出し機としては、例えば、
KTK型2軸押し出し機((株)神戸製鋼所製)、TEM型2軸押し出し機(東芝機械(株)製)、PCM混練機((株)池貝製)、2軸押し出し機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業(株)製)
などが挙げられる。
【0059】
溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロールなどで圧延される。さらに、冷却工程で水などによって樹脂組成物を冷却してもよい。
【0060】
次に、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。
【0061】
粉砕工程では、粉砕機で粗粉砕した後、さらに、微粉砕機で微粉砕する。粗粉砕に用いる粉砕機としては、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルなどが挙げられる。微粉砕に用いる微粉砕機としては、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業(株)製)、スーパーローター(日清エンジニアリング(株)製)、ターボ・ミル(ターボ工業(株)製)、エアージェット方式による微粉砕機などが挙げられる。
【0062】
その後、必要に応じて、分級機や篩分機を用いて分級し、トナー粒子を得る。
【0063】
分級機や篩分機としては、例えば、
慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業(株)製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン(株)製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン(株)製)、ファカルティ(ホソカワミクロン(株)製)
などが挙げられる。
【0064】
また、粉砕後に、必要に応じて、
ハイブリタイゼーションシステム((株)奈良機械製作所製)、メカノフージョンシステム(ホソカワミクロン(株)製)、ファカルティ(ホソカワミクロン(株)製)、メテオレインボーMRType(日本ニューマチック工業(株)製)
などを用いて、球形化処理などのトナー粒子の表面処理を行うこともできる。
【0065】
本発明では、上記製造方法により得られたトナー粒子の表面に無機微粒子や樹脂粒子などの添加剤を加えて混合・分散させ、その分散させた状態で、熱風による表面処理により、該添加剤をトナー粒子の表面に固着させることが好ましい。
【0066】
例えば、
図1に示す熱球形化処理装置を用いて熱風により表面処理を行い、必要に応じて、分級をすることにより、トナーを得ることができる。
【0067】
図1に示す熱球形化処理装置において、原料供給手段1により定量供給された混合物(原料)は、圧縮気体調整手段2により調整された圧縮気体によって、原料供給手段1の鉛直線上に設置された導入管3に導かれる。導入管3を通過した混合物は、原料供給手段1の中央部に設けられた円錐状の突起状部材4により均一に分散され、放射状に広がる8方向の供給管5に導かれ、熱処理が行われる処理室6に導かれる。
【0068】
このとき、処理室6に供給された混合物は、処理室6の内部に設けられた混合物の流れを規制するための規制手段9によって、その流れが規制される。このため、処理室6に供給された混合物は、処理室の内部を旋回しながら熱処理された後、冷却される。
【0069】
供給された混合物を熱処理するための熱は、熱風供給手段7から熱風として供給され、分配部材12で分配される。熱風は、熱風を旋回させるための旋回部材13により、処理室6の内部に螺旋状に旋回されて導入される。その構成としては、旋回部材13が、複数のブレードを有しており、その枚数や角度により、熱風の旋回を制御することができる。処理室6の内部に供給される熱風は、熱風供給手段7の出口部における温度が100℃以上300℃以下であることが好ましく、130℃以上170℃以下であることがより好ましい。熱風供給手段7の出口部における温度が上記の範囲内であれば、混合物を加熱しすぎることによるトナー粒子の融着や合一を抑制しつつ、トナー粒子を均一に球形化(熱球形化)処理しやすい。このときの円形度としては、0.955以上0.980以下であることが好ましい。熱風は、熱風供給手段出口11から供給される。
【0070】
熱処理された熱処理トナー粒子は、冷風供給手段8から供給される冷風によって冷却される。冷風供給手段8から供給される冷風は、温度が−20℃以上30℃以下であることが好ましい。冷風の温度が上記の範囲内であれば、熱処理トナー粒子を効率的に冷却することができ、混合物の均一な球形化(熱球形化)処理を阻害しにくく、熱処理トナー粒子の融着や合一を抑制することができる。冷風の絶対水分量は、0.5g/m
3以上15.0g/m
3以下であることが好ましい。
【0071】
次に、冷却された熱処理トナー粒子は、処理室の下端にある回収手段10によって回収される。なお、回収手段10の先にはブロワー(不図示)が設けられ、それにより吸引搬送される構成となっている。
【0072】
また、粉体粒子供給口14は、供給された混合物の旋回方向と熱風の旋回方向が同方向になるように設けられている。回収手段10は、旋回された粉体粒子の旋回方向を維持するように、処理室6の外周部に設けられている。さらに、冷風供給手段8から供給される冷風は、装置外周部から処理室6の内周面に、水平かつ接線方向から供給されるよう構成されている。粉体粒子供給口14から供給される熱処理前トナー粒子の旋回方向、冷風供給手段8から供給された冷風の旋回方向、および、熱風供給手段7から供給された熱風の旋回方向は、すべて同方向である。その結果、処理室6の内部で乱流が起こらず、装置内の旋回流が強化され、熱処理前トナー粒子に強力な遠心力がかかり、熱処理前トナー粒子の分散性がさらに向上する。そのため、合一粒子の少ない、形状の揃った熱処理トナー粒子を得ることができる。
【0073】
その後、無機微粒子や樹脂粒子などの外添剤を加えて混合し、トナーの流動性や帯電安定性を向上させてもよい。混合装置としては、例えば、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、メカノハイブリッド(日本コークス工業(株)製)などが挙げられる。
【0074】
〈アルミニウム微粒子およびシリカ微粒子のアスペクト比(長径/短径)および長径の平均D
50nの測定〉
アルミニウム微粒子およびシリカ微粒子の長径の平均D
50nについては、透過型電子顕微鏡にて観察し、粒子100個の粒径を測定して、その長軸の長さの平均値を長径の平均D
50nとした。同様にして、短軸の長さの平均値を求め、短径の平均とした。アスペクト比は、長径(長軸の長さ)を短径(短軸の長さ)で除することで求めた。
【0075】
〈トナー粒子の表面近傍のアルミニウム微粒子およびシリカ微粒子の含有量(内添量)の測定方法〉
イオン交換水200mLに、ノニオン系界面活性剤(商品名:コンタミノンN、和光純薬工業(株)製)を2mL加え、超音波分散機にて10時間分散処理する。このようにして、トナーの外添剤の全量を遊離させ、トナー粒子の内部に存在するアルミニウム微粒子やシリカ微粒子の含有量を蛍光X線測定により算出する。
【0076】
各元素の蛍光X線の測定は、JIS K0119−1969に準ずる。具体的には、以下のとおりである。
【0077】
測定装置としては、
波長分散型蛍光X線分析装置(商品名:Axios、PANalytical社製)と、
測定条件設定および測定データ解析をするための付属の専用ソフト(商品名:SuperQ ver.4.0F、PANalytical社製)と
を用いる。また、X線管球のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空とし、測定径(コリメーターマスク径)は27mmとし、測定時間は10秒とする。なお、同装置にて、軽元素を測定する場合には、プロポーショナルカウンター(PC)で検出し、重元素を測定する場合には、シンチレーションカウンター(SC)で検出する。
【0078】
測定サンプルとしては、専用のプレス用アルミニウムリングの中にトナー約4gを入れて平らにならす。そして、錠剤成型圧縮機(商品名:BRE−32、(株)前川試験機製作所製)を用いて、20MPaで60秒間加圧し、厚さ約2mm、直径約39mmに成型したペレットを用いる。
【0079】
上記条件で測定を行い、得られたX線のピーク位置を基に元素を同定し、単位時間あたりのX線光子の数である計数率(単位:cps)から、該元素の濃度を算出する。
【0080】
アルミニウム微粒子の場合は、トナー粒子100質量部に対してアルミニウム微粒子を5.0質量部となるように添加し、コーヒーミルを用いて混合する。同様にして、アルミニウム微粒子を10.0質量部、30.0質量部となるようにトナー粒子とそれぞれ混合し、これらを検量線用の試料とする。
【0081】
シリカ微粒子の場合は、トナー粒子100質量部に対してシリカ微粒子を0.1質量部、1.0質量部、2.5質量部となるようにトナー粒子とそれぞれ混合し、これらを検量線用の試料とする。
【0082】
それぞれの試料について、上記錠剤成型圧縮機を用い、上述のようにして検量線用の試料のペレットを作製し、PETを分光結晶に用いた際に回折角(2θ)=109.08°において観測されるSi−Kα線の計数率(単位:cps)を測定する。この際、X線発生装置の加速電圧、電流値は、それぞれ、24kV、100mAとする。得られたX線の計数率を縦軸に、各検量線用試料中のアルミニウム微粒子またはシリカ微粒子の量を横軸として、一次関数の検量線を得る。
【0083】
次に、上記錠剤成型圧縮機を用いて、分析対象のトナーを上述のようにしてペレットとし、そのSi−Kα線の計数率を測定する。そして、上記検量線からトナー粒子中のアルミニウム微粒子またはシリカ微粒子の含有量を算出する。
【0084】
〈ワックスの融点の測定〉
ワックスの融点は、示差走査熱量分析装置(商品名:Q2000、TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定したDSC曲線において、最大吸熱ピークのピーク温度を融点とする。
【0085】
装置検出部の温度補正については、インジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正については、インジウムの融解熱を用いる。具体的には、試料約2mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30℃〜200℃の間で、昇温速度10℃/分で測定を行う。なお、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。
【0086】
この2度目の昇温過程での温度30℃〜200℃の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピーク温度を融点とする。ここで、200℃まで昇温させてからの保持時間はなく、200℃まで到達したらすぐに30℃まで降温させる。
【0087】
〈トナーの重量平均粒径(D4)の測定〉
トナーの重量平均粒径(D4)は、
100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置(商品名:コールター・カウンター Multisizer3、ベックマン・コールター社製)、および、測定条件設定および測定データ解析をするための付属の専用ソフト(商品名:ベックマン・コールター Multisizer3 Version3.51、ベックマン・コールター社製)
を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムを脱イオン水に溶解させて濃度が約1質量%となるようにしたもの、具体的には、「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)を使用する。
【0088】
測定および解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
【0089】
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回とし、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTONIIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
【0090】
具体的な測定法は以下の(1)〜(7)のとおりである。
【0091】
(1)Multisizer3専用のガラス製250mLの丸底ビーカー内に上記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去する。
【0092】
(2)ガラス製の100mLの平底ビーカー内に上記電解水溶液約30mLを入れ、この中に分散剤として上記「コンタミノンN」を脱イオン水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
【0093】
(3)超音波分散機(商品名:Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス(株)製)の水槽内に所定量の脱イオン水を入れ、この水槽中に上記「コンタミノンN」を約2mL添加する。上記超音波分散機は、位相を180度ずらした状態で発振周波数50kHzの発振器2個を内蔵し、電気的出力は120Wである。
【0094】
(4)上記(2)のビーカーを上記超音波分散機のビーカー固定穴にセットし、超音波分散機を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
【0095】
(5)上記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液中に添加し、分散させる。さらに、60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となるように適宜調節する。
【0096】
(6)サンプルスタンド内に設置した上記(1)の丸底ビーカー内に、ピペットを用いてトナーを分散させた上記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50,000個になるまで測定を行う。
【0097】
(7)測定データを装置付属の上記専用ソフトにて解析を行い、体積平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
【0098】
〈トナーの平均円形度の測定方法〉
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(商品名:FPIA−3000、シスメックス社製)によって、校正作業時の測定および解析条件で測定する。
【0099】
上記フロー式粒子像分析装置の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は512×512画素の画像処理解像度(1画素あたり0.37μm×0.37μm)で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積Sや周囲長Lなどが計測される。
【0100】
次に、上記面積Sと周囲長Lを用いて円相当径と円形度を求める。円相当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度Cは、円相当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、下記式で算出される。
【0101】
円形度C=2×(π×S)1/2/L
粒子像が円形のときに円形度は1.000になり、粒子像外周の凹凸の程度が大きくなればなるほど円形度は小さい値になる。各粒子の円形度を算出後、円形度0.200〜1.000の範囲を800分割し、得られた円形度の相加平均値を算出し、その値を平均円形度とする。
【0102】
具体的な測定方法は、以下のとおりである。
【0103】
まず、ガラス製の容器中にあらかじめ不純固形物などを除去したイオン交換水約20mLを入れる。この中に分散剤として上記「コンタミノンN」をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2mL加える。さらに、測定試料を約0.02g加え、超音波分散機を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となるように適宜冷却する。超音波分散機としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散機(商品名:VS−150、ヴェルヴォクリーア社製)を用いた。水槽内には、所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に上記「コンタミノンN」を約2mL添加する。
【0104】
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した上記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液には、パーティクルシース(商品名:PSE−900A、シスメックス社製)を用いた。上記手順に従い調製した分散液を上記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を指定することにより、その範囲の粒子の個数割合(%)、平均円形度を算出する。トナーの平均円形度は、円相当径1.98μm以上39.96μm以下とし、トナーの平均円形度を求めた。
【0105】
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(具体的には、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間ごとに焦点調整を実施することが好ましい。
【0106】
なお、以下の実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.98μm以上39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けたときの測定および解析条件で測定を行った。
【実施例】
【0107】
以下、実施例に基づいて、本発明をより具体的に説明する。
【0108】
〈アルミニウム微粒子1〜7の製造例〉
昭和アルミパウダー(株)製の高輝度グレードのフレーク状アルミニウムペースト574PS(金属分:75.0%、個数平均粒径:13μm)を、ガラスビーズを用いたボールミルにより破砕した。そのようにして、表1に示す長径の平均D
50nおよびアスペクト比(長径/短径)を有するアルミニウム微粒子1〜7(光輝着色剤)を得た。
【0109】
〈チタニア微粒子の製造例〉
TiO
2相当分を50質量%含有しているイルメナイト鉱石を、150℃で3時間乾燥させた後、硫酸を添加して溶解させ、TiOSO
4の水溶液を得た。
【0110】
得られた水溶液を濃縮した後、ルチル型結晶を有するチタニアゾルをシードとして8質量部添加した後、150℃で加水分解を行い、不純物を含有するTiO(OH)
2のスラリーを得た。
【0111】
このスラリーをpH5〜6の水で繰り返し洗浄を行い、硫酸、FeSO
4および不純物を十分に除去することで、高純度のメタチタン酸〔TiO(OH)
2〕のスラリーを得た。
【0112】
このスラリーを濾過した後、炭酸リチウム(Li
2CO
3)を0.5質量部添加し、320℃で5時間焼成した後、ジェットミルによる解砕処理を繰り返し行い、ルチル型結晶を有する一次粒子の個数平均粒径が70nmのチタニア微粒子(光輝着色剤)を得た。
【0113】
【表1】
【0114】
〈シリカ微粒子1の製造例〉
原料にヘキサメチルシクロトリシロキサンを用いた燃焼法により、トナー粒子に含有させる(内添する)シリカ微粒子を作製した。燃焼炉は、内炎と外炎が形成できる二重管構造の炭化水素−酸素混合型バーナーを用いた。バーナー中心部にスラリー噴射用の二流体ノズルが接地され、原料のケイ素化合物を導入した。二流体ノズルの周囲から炭化水素−酸素の可燃性ガスが噴射され、還元雰囲気である内炎および外炎を形成した。可燃性ガスと酸素の量および流量の制御により、雰囲気と温度および火炎の長さなどを調整した。火炎中においてケイ素化合物からシリカ微粒子が形成され、さらに、所望の粒径になるまで融着させた。そして、冷却後、バグフィルターなどにより捕集することによって、シリカ原体を得た。
【0115】
得られたシリカ原体99.5質量%に、ヘキサメチルジシラザン0.5質量%で表面処理し、トナー粒子に含有させる(内添する)シリカ微粒子1を得た。得られたシリカ微粒子1の一次粒子の個数平均粒径は110nmであった。
【0116】
〈シリカ微粒子2〜7の製造例〉
可燃性ガスと酸素の量および流量を変更することで、シリカ原体の個数平均粒径が表2のとおりになるように変更した以外は、シリカ微粒子1と同様の手法で作製し、トナー粒子に含有させる(内添する)シリカ微粒子2〜7を得た。
【0117】
【表2】
【0118】
[ポリエステル樹脂Lの製造例]
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:72.0質量部(0.20mol、多価アルコール総モル数に対して100.0モル%)
・テレフタル酸:28.0質量部(0.17mol、多価カルボン酸総モル数に対して96.0モル%)
・2−エチルヘキサン酸スズ(エステル化触媒):0.5質量部
上記材料を秤量し、冷却管、攪拌機、窒素導入管および熱電対のついた反応槽に入れた。次に、フラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、4時間反応させた。
【0119】
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180℃まで冷却し、大気圧に戻した(第1反応工程)。
【0120】
・無水トリメリット酸:1.3質量部(0.01mol、多価カルボン酸総モル数に対して4.0モル%)
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度を180℃に維持したまま、1時間反応させた。そして、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が94℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止めた。このようにして、ポリエステル樹脂L(結着樹脂)を得た(第2反応工程)。
【0121】
得られたポリエステル樹脂Lの軟化点(Tm)は94℃であり、ガラス転移温度(Tg)は57℃であった。
【0122】
[ポリエステル樹脂Hの製造例]
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:72.3質量部(0.20mol、多価アルコール総モル数に対して100.0モル%)
・テレフタル酸:18.3質量部(0.11mol、多価カルボン酸総モル数に対して65.0モル%)
・フマル酸:2.9質量部(0.03mol、多価カルボン酸総モル数に対して15.0モル%)
・2−エチルヘキサン酸スズ(エステル化触媒):0.5質量部
上記材料を秤量し、冷却管、攪拌機、窒素導入管および熱電対のついた反応槽に入れた。次に、フラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2時間反応させた。
【0123】
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180まで冷却し、大気圧に戻した(第1反応工程)。
【0124】
・無水トリメリット酸:6.5質量部(0.03mol、多価カルボン酸総モル数に対して20.0モル%)
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度を160℃に維持したまま、15時間反応させた。そして、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が132℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止めた。このようにして、ポリエステル樹脂H(結着樹脂)を得た(第2反応工程)。
【0125】
得られたポリエステル樹脂Hの軟化点(Tm)は132℃であり、ガラス転移温度(Tg)は61℃であった。
【0126】
[実施例1]
〈トナー1の製造例〉
・ポリエステル樹脂L 75.00質量部
・ポリエステル樹脂H 25.00質量部
・フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピークのピーク温度:90℃) 5.00質量部
・アルミニウム微粒子1(光輝着色剤) 10.00質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.50質量部
・シリカ微粒子1 1.00質量部
上記材料を、ヘンシェルミキサー(商品名:FM−75型、三井鉱山(株)製)を用い、回転数:20秒
−1、回転時間:5分間の条件で混合した。その後、温度を125℃に設定したPCM混練機(商品名:PCM−30型、(株)池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(商品名:T−250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらに、回転型分級機(商品名:200TSP、ホソカワミクロン(株)製)を用い、分級を行い、トナー粒子を得た。上記回転型分級機の運転条件としては、分級ローター回転数を50.0秒
−1とした。得られたトナー粒子は、重量平均粒径(D4)が5.7μmであった。
【0127】
得られたトナー粒子100質量部に、シリカ微粒子1(外添剤として)4.5質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(商品名:FM−75型、三井鉱山(株)製)を用い、回転数:30秒
−1、回転時間:10分間の条件で混合した。得られた混合物に対して、
図1で示す表面処理装置によって熱処理を行い、熱処理トナー粒子を得た。運転条件は、フィード量:5kg/時とした。また、熱風温度C:220℃、熱風流量:6m
3/分、冷風温度E:5℃、冷風流量:4m
3/分、冷風絶対水分量:3g/m
3、ブロワー風量:20m
3/分、インジェクションエア流量:1m
3/分とした。
【0128】
得られた熱処理トナー粒子は、平均円形度が0.963であり、重量平均粒径(D4)が6.2μmであった。
【0129】
得られた熱処理トナー粒子100質量部に一次平均粒径が32.0nmであるチタニア微粒子(外添剤として)0.5質量部を添加した。そして、ヘンシェルミキサー(FM75型、三井三池化工機(株)製)で周速度45m/秒で5分間混合し、目開き54μmの超音波振動篩を通過させ、トナー1を得た。
【0130】
[実施例2〜19および比較例1〜4]
〈トナー2〜18および比較トナー1〜4の製造例〉
表3に示すとおりに、光輝着色剤およびシリカ微粒子の種類および含有量を変更した以外は、トナー1の製造例と同様にして、トナー2〜21および比較トナー1〜7を製造した。
【0131】
[実施例1]
〈二成分現像剤1の製造例〉
トナーの濃度が9質量%になるように、
トナー1と、
シリコーン樹脂の表面被覆層を有する磁性フェライトキャリア粒子(個数平均粒径:35μm)と
を、V型混合機(商品名:V−10型、(株)徳寿製作所)を用い、回転数:0.5秒
−1、回転時間:5分間の条件で混合し、二成分現像剤1を得た。二成分現像剤1を、実施例1用の二成分現像剤とした。
【0132】
[実施例2〜19および比較例1〜4]
<二成分現像剤2〜19および比較二成分現像剤1〜4の製造例>
トナー1を、トナー2〜19および比較トナー1〜4に変更した以外は、二成分現像剤1の製造例と同様にして、二成分現像剤2〜19および比較二成分現像剤1〜4を製造した。二成分現像剤2〜19および比較二成分現像剤1〜4を、それぞれ、実施例2〜19および比較例1〜4用の二成分現像剤とした。
尚、実施例14〜18は、参考例として記載するものである。
【0133】
[実施例1〜19および比較例1〜4]
〈二性分現像剤1の評価〉
〈評価1〉画像濃度の安定性の評価
キヤノン(株)製のフルカラー複写機(商品名:image PRESS C800)のシアンステーションに二成分現像剤1を入れ、FFH画像(ベタ部)のトナーの紙上への載り量が1.2mg/cm
2となるように現像条件を調整した。FFH画像とは、256階調を16進数で表示した値であり、00Hを1階調目(無地部)、FFHを256階調目(ベタ部)とする。
【0134】
評価紙として、画像濃度1.5以上を有する黒紙を用いた。
【0135】
随時トナー1を補給しながら、以下の評価1−1〜1−3を行った。
【0136】
評価結果を表3へ示す。
【0137】
画像濃度は、X−Riteカラー反射濃度計(商品名:500シリーズ:X−Rite社製)を使用して測定した。
【0138】
(評価1−1)低温低湿環境下(15℃、10%RH)での画像濃度の安定性の評価
まず、低温低湿環境下(15℃、10%RH)で、500枚連続通紙試験(A4紙横、印字比率:80%)を行った。
【0139】
500枚連続通紙試験中は、1枚目と同じ現像条件および転写条件(キャリブレーション無し)で通紙を行うこととした。
【0140】
(評価1−2)低温低湿環境下(15℃、10%RH)から高温高湿環境下(30℃、80%RH)への変更直後の画像濃度の安定性の評価
次いで、画像出力環境を、低温低湿環境下(15℃、10%RH)から高温高湿環境下(30℃、80%RH)へ8時間かけて変更した後、評価1−1と同様にして、500枚連続通紙試験(A4紙横、印字比率:80%)行った。
【0141】
(評価1−3)高温高湿環境下(30℃、80%RH)での画像濃度の安定性の評価
次いで、高温高湿環境下(30℃、80%RH)に8時間以上放置し、十分に使用環境に馴染ませたのち、評価1−1と同様にして、500枚連続通紙試験(A4紙横、印字比率:80%)を行った。
【0142】
(500枚連続通紙試験時の画像濃度の安定性の評価)
各環境にて出力した500枚の画像のすべてのFFH画像部(ベタ部)の画像濃度を測定し、最も高濃度のものと最も低濃度のものとの濃度差を各環境ごとで算出し、評価1−1および評価1−3として、各環境下での濃度安定性能として以下の基準で評価した。また、評価1−2として、環境変動追従性能を以下の基準で評価した。
【0143】
評価結果を表3に示す。
【0144】
(評価基準)
A:0.05未満
B:0.05以上0.10未満
C:0.10以上0.20未満
D:0.20以上
〈評価2〉トナーの着色力の評価
電子写真方式の画像形成装置として、キヤノン(株)製のフルカラー複写機(商品名:image RUNNER ADVANCE C5255)の改造機を用い、シアンステーションの現像器に二成分現像剤1を投入して、評価を行った。
【0145】
評価環境は、常温常湿環境下(23℃、50%RH)とし、評価紙は、コピー用普通紙(商品名:GFC−081、A4紙、坪量:81.4g/m
2、キヤノンマーケティングジャパン(株)より販売)を用いた。
【0146】
まず、常温常湿環境において、紙上のトナー載り量を変化させて、画像濃度と、紙上のトナー載り量との関係を調べた。
【0147】
次いで、FFH画像(ベタ部)の画像濃度が0.40になるように調整し、画像濃度が0.40になる際のトナー載り量を求めた。
【0148】
トナー載り量(mg/cm
2)から、以下の基準でトナーの着色力を評価した。
【0149】
評価結果を表3に示す。
【0150】
(評価基準)
A:0.35未満
B:0.35以上0.50未満
C:0.50以上0.65未満
D:0.65以上
〈評価3〉トナーの光輝性の評価
上記画像濃度0.40となるFFH画像(ベタ部)を用い、入射角−45°の入射光に対する、受光角+30°における反射率Aと受光角−30°における反射率Bとの比(A/B)を算出した。変角光度計としては、日本電色工業(株)製の分光式変角色差計(商品名:GC5000L)を用い、波長は470nmとした。
【0151】
評価結果を表3に示す。
【0152】
(評価基準)
A:A/Bが70以上80未満
B:A/Bが55以上70未満
C:A/Bが40以上55未満
D:A/Bが40未満
〈評価4〉細線再現性の評価
細線再現性の評価は、高温高湿環境下(30℃、80%RH)で500枚の画像出力後、線幅3ピクセルの格子模様がA4紙の全面に印刷された画像(印字比率:4%)を出力し、以下の評価基準で細線再現性を評価した。3ピクセルの線幅は理論上127μmである。画像の線幅をマイクロスコープVK−8500(キーエンス社製)で測定した。無作為に5点選んで線幅を測定し、最小値と最大値を除いた3点の平均値をd(μm)としたとき、細線再現性指数として以下のLを定義した。
【0153】
L(μm)=|127−d|
Lは、理論上の線幅127μmと、出力された画像上の線幅dとの差を定義したものである。dは、127より大きくなる場合と、小さくなる場合とがあるため、差の絶対値として定義している。Lが小さいほど優れた細線再現性を示す。
【0154】
評価結果を表3に示す。
【0155】
(評価基準)
A:Lが0μm以上10μm未満
B:Lが10μm以上15μm未満
C:Lが15μm以上20μm未満
D:Lが20μm以上
〈二成分現像剤2〜18および比較二成分現像剤1〜4の評価〉
二成分現像剤1を二成分現像剤2〜19および比較二成分現像剤1〜4に変更した以外は、二成分現像剤1の評価と同様にして二成分現像剤の評価を行った。
【0156】
評価結果を表3に示す。
【0157】
【表3-1】
【0158】
【表3-2】
【0159】
【表3-3】