特許第6971658号(P6971658)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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6971658チャイルドレジスタンスシール及びそれを貼着したPTP包装体
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  • 6971658-チャイルドレジスタンスシール及びそれを貼着したPTP包装体 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971658
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】チャイルドレジスタンスシール及びそれを貼着したPTP包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/34 20060101AFI20211111BHJP
   B32B 15/20 20060101ALI20211111BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20211111BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20211111BHJP
   B32B 27/10 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   B65D75/34
   B32B15/20
   B32B27/18 F
   B32B27/00 M
   B32B27/10
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-124520(P2017-124520)
(22)【出願日】2017年6月26日
(65)【公開番号】特開2019-6459(P2019-6459A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2020年4月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岡本 大
(72)【発明者】
【氏名】伊東 亜依
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 豊明
【審査官】 佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−141258(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0241552(US,A1)
【文献】 特開2015−009888(JP,A)
【文献】 実開昭59−053762(JP,U)
【文献】 特開2012−097152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/34
B32B 15/20
B32B 27/18
B32B 27/00
B32B 27/10
B65D 75/36
B65D 75/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
PTP包装体の蓋材の外表面に貼着するシールであって、易突き刺し破壊性基材上の一方の表面に催吐剤を有し、前記基材の他方の面に粘接着層を形成したシール。
【請求項2】
易突き刺し破壊性基材が、アルミニウム箔及び/又は紙である請求項1に記載のシール。
【請求項3】
基材上の一方の表面の催吐剤が、塗着された催吐剤である請求項1または2に記載のシール。
【請求項4】
粘接着層が、基材面の一部に設けられた粘接着層である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシール。
【請求項5】
催吐剤が、安息香酸デナトニウムである請求項1〜4のいずれか1項に記載のシール。
【請求項6】
内容物を収容する複数の凹部を形成した底材と、前記底材の上面に貼着されて前記内容物を前記底材の凹部内に気密に保持する蓋材とを有するPTP包装体であって、前記蓋材の包装体外表面に、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシールの粘接着層面を貼着したPTP包装体。
【請求項7】
突刺し強さが3.8N以上であることを特徴とする、請求項6に記載のPTP包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存のプレススルーパッケージ(Press Through Package)包装体(以下、「PTP包装体」という)に対して、貼着という簡便な方法で、幼児や高齢者が誤飲、誤食することを防止し得る(以下、このような機能を、「チャイルドレジスタンス」という)シール材料、及び当該シール材料を貼着したPTP包装体に関する。さらに、詳細には、易突き刺し破壊性基材の一方の表面に、催吐剤を有し、基材の他方の表面に粘接着層を形成したシール、及び当該シールを蓋材の表面に貼着したPTP包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、幼児や高齢者の誤飲、誤食に関する事故が問題視され、例えば、乳幼児が扱う玩具等においては、苦みを感じる催吐剤を、塗布や接着により物品上に配することで、誤って口に含んだ時に、苦みを感じて催吐感を生じさせ、誤飲、誤食を防止する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
玩具のみならず、PTP包装体と呼ばれる、カプセルや錠剤等からなる薬剤や、粒状のチョコレートやラムネ等の菓子類を収容するのに好適な包装形態においても、包装体の大きさや取扱いの簡便さから、内容物の誤飲、誤食であったり、切り分けたPTP包装体を誤飲して、鋭利な角部で食道を傷つけてしまう事故があり課題となっていた。
【0003】
そこで、PTP包装体の外面にも、口に含んだ際に催吐作用を有する催吐剤を塗着することで、誤って口に入れると、該PTP包装体を吐き出したくなるので、口に入れたPTP包装体をそのまま飲み込んでしまうことを防止して、誤飲により食道を傷つけることを未然に防止することが想起されるが(例えば、特許文献2を参照)、催吐剤をPTP包装体に塗着、接着する方法は、簡便な方法であるとはいえず、日常生活の中で、PTP包装体を広く利用している消費者にとっては、より簡便な方法で、PTP包装体の誤飲や誤食の防止の対策を取ることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−206368号公報
【特許文献2】特開2014−141258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、簡便な方法で、PTP包装体の内容物取り出し時のプッシュスルー性を維持しながら、チャイルドレジスタンス機能付与が図れる、催吐剤を表面に有するシール、及び当該シールを貼着したPTP包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の構成を採用したシールを設計することによって、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下のシール及び、PTP包装体の蓋材に当該シールを貼着したPTP包装体に係るものである。
【0008】
本発明は、PTP包装体の蓋材の外表面に貼着するシールであって、易突き刺し破壊性基材上の一方の表面に催吐剤を有し、前記基材の他方の面に粘接着層を形成したシールを提供する。
【0009】
前記易突き刺し破壊性の基材が、アルミニウム箔及び/又は紙であることが好ましい。
【0010】
前記基材上の一方の表面の催吐剤が、塗着された催吐剤であることが好ましい。
【0011】
前記粘接着層が、基材面の一部に設けられた粘接着層であることが好ましい。
【0012】
前記催吐剤が、安息香酸デナトニウムであることが好ましい。
【0013】
また、内容物を収容する複数の凹部を形成した底材と、前記底材の上面に貼着されて前記内容物を凹部内に機密に保持する蓋材とを有するPTP包装体であって、前記蓋材の包装体外表面に、前記シールの粘接着層面を貼着したPTP包装体を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明のシールによれば、貼着という簡便な方法で、既存のPTP包装体について、内容物の容易な取り出し性(プッシュスルー性)を維持したままで、シール表面の催吐剤の作用により、高齢者や幼児が誤って口に含んだ場合に、体外に吐き出すよう促すことで、PTP包装体の誤飲・誤食を防止できる。そして、そのような、いわゆるチャイルドレジスタンス機能を有するPTP包装体を提供し得るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】シールの層構成例を示す断面図である。
図2】シールの粘接着層において、貼着するPTP包装体の底材の凹部に対応する部分には粘着剤層を形成しない態様としたシールを、粘接着層側からみた平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、好適な実施形態に基づいて、本発明を説明する。
【0017】
本発明のシールは、PTP包装体の蓋材の外表面に、貼着して用いるシールであって、易突き刺し破壊性基材上の一方の表面に、催吐剤を有し、前記基材の他方の面に粘接着層を形成したシールである。
【0018】
易突き刺し破壊性基材は、PTP包装体の内容物を、押し出すことで、容易に破れるような(プッシュスルー)材料からなるものであり、例えば、金属箔(アルミニウム箔など)、金属薄膜等の金属や、グラシン紙等の紙、塩化ビニル系樹脂、ポリプロピレンやポリエチレン、環状オレフィン系樹脂等のオレフィン系樹脂、エステル系樹脂、アミド系樹脂、スチレン系樹脂等からなり、単体ばかりでなく積層体であってもよい。
【0019】
易突き刺し破壊性基材は、プッシュスルー性の点から、JIS P8112のミューレン低圧用試験による方法で、破裂強度が0.01〜5kg/cmであるものが好ましく、さらに好ましくは、0.1〜3.5kg/cmである。また、JIS Z1707の突刺し強さ試験に準拠して測定される突刺し強さが1〜5Nであるものが好ましく、さらに、PTP包装体が高齢者や幼児向けである場合を考慮すると、突刺し強さが1〜3Nであるものがより好ましい。
【0020】
樹脂系の材料を含む基材として、例えば、1軸延伸ポリプロピレンフィルム、1軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、1軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム等が使用できる。また、タルク等の無機質の粉末をブレンドした樹脂フィルムは破断性がよいことから、易突き刺し破壊性基材として使用することができる。
【0021】
プッシュスルー性が優れることから、易突き刺し破壊性基材としては、アルミニウム箔及び/又は紙を用いることが、特に好ましい。
【0022】
基材となるアルミニウム箔としては、例えば、10〜30μmの厚さの、PTP包装体の蓋材として、一般に用い得るものであればよく、より好ましくは、プッシュスルー性が優れる15〜20μmのアルミニウム箔が好ましい。硬質又は軟質のアルミニウム箔を用いることができる。
【0023】
基材となる紙としては、プッシュスル−できるものであれば、いかなるものでも用いることができる。例えば、グラシン紙、模造紙、クレイコート紙、クラフト紙、板紙、合成紙等の各種の紙を使用することができる。
これらの紙基材の厚みは、その強度、耐熱性、及び、内容物を取り出す際の破断性(プッシュスル−性)が適切となるように材料に応じて適宜変更して用いことができるが、坪量、30g/m以上、80g/m以下が好ましく、40g/m以上、60g/m以下がより好ましい。
このことによって、シール基材としての強度、内容物を取り出す際の破断性(プッシュスル−性)のみならず、機械適性、印刷を施す際の隠蔽性、高白色度等の意匠性に優れるという利点を有する。
紙基材の厚みが、上記の範囲未満であると、必要な剛性を得られず、機械適性、隠蔽性に劣るので好ましくない。厚みが、上記の範囲を超えると、PTP包装体に貼着した後、内容物を突き差しても破れにくく、プッシュスルー性に劣るので好ましくない。
【0024】
積層構成の易突き刺し破壊性基材としては、例えば、アルミニウム箔ラミネートが挙げられ、具体的には、アルミニウム箔の片面又は両面にポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂シートを積層したものを用いることができる。
積層構成の易突き刺し破壊性基材としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂およびポリエチレンテレフタレート樹脂、環状ポリオレフィン樹脂などの熱可塑性樹脂からなるシートに、蒸着膜を積層したものを用いることができる。蒸着膜としては、例えば、アルミニウム又は酸化アルミニウム、あるいはケイ素酸化物からなる蒸着膜が用いられる。蒸着膜の厚さとしては、特に制限はないが、10〜100nmの範囲が好ましく、用いられる。
積層構成の易突き刺し破壊性基材の厚さは、特に限定するものではないが、例えば、10〜50μmである。
【0025】
前記易突き刺し破壊性基材は、片面または両面に、文字やデザインを印刷することができる。高齢者や幼児の誤飲・誤食防止目的の部材であることを認識可能な、文言・マーク等が印刷されていることも好ましい形態である。
印刷は、従来から知られた印刷方法で行うことができ、例えば、インクジェット印刷、グラビア印刷などで行うことができる。印刷に用いるインキは、特に限定するものではないが、熱硬化型の他、UV硬化型等を用いることが好ましい。
【0026】
シールの構成について、図1に基づいて、説明する。
易突き刺し破壊性基材10の印刷13を施した面上、特に、外側となる面には、必要により、無色または着色した透明な被覆剤を塗工することができ、文字やデザインなどの印刷が剥がれ落ちたり、擦れたりすることを防止し、保護する目的のOP(オーバープリント)コート層14を設けることができる。
OPコート層14は、従来からPTP包装体のオーバープリント層に用いられているもので形成することができる。
OPコート層14としては、例えば、ニトロセルロース系、アクリル系、エポキシ系などの透明樹脂からなるOPコート剤を、グラビアコートなどで塗布して形成することができる。OPコート層14の厚みは、特に限定するものではないが、0.5〜3.0μmが好ましい。OPコート層中には、酸化ケイ素等のマット剤を、1〜5質量%程度含んでいてもよい。
OPコート層14上に、催吐剤11を含有する塗膜を設ける場合には、OPコート層14は、催吐剤11を含有する塗膜がはじくことなく、均一・均質に形成されるように、その表面が撥水性でないことが好ましい。またさらに、易突き刺し破壊性基材10上には、粘接着層12を有し、後述のように、さらに、粘接着層上には、図示していない剥離シート層を設けることができる。
【0027】
粘接着層は、本発明のシールをPTP包装体に貼着するための層である。
当該粘接着層を構成する粘接着剤としては、特に制限なく、当該技術分野において、広く知られた、一般的なものを使用できる。公知の天然ゴム系、合成ゴム系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系の粘接着性材料を使用することが好ましい。なかでも、アクリル系共重合体を主たる構成成分とするアクリル樹脂系粘接着剤は、接着力等の粘着諸物性をモノマー組成や分子量、架橋反応を用いることにより容易に調整できるため、好適に用いられる。
【0028】
粘接着層には、必要に応じて性能を阻害しない範囲で各種添加剤、例えば粘着付与樹脂、酸化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤、顔料、増粘剤等を添加してもよい。
【0029】
粘接着層は、シール基材面の全面に設けられていても、一部に設けられていてもよい。シールを貼着した後のPTP包装体のプッシュスルー性を考慮すれば、シールを貼着するPTP包装体の底材の凹部に対応する部分には、シール基材に粘着剤層を形成しないことが好ましい(図2参照:図2には、粘接着層を形成していない部分15を設けたシールについて、粘接着層側からみた平面図を示した)。シールのPTP包装体への貼着性、充分な接着性を考慮すれば、シール基材の全面に設けられていることが好ましい。
粘接着層をシール基材の一部に設ける場合は、粘接着層の形成方法を考慮し、それに適した粘接着剤を選択することが好ましい。
【0030】
粘接着剤の塗工方法は、特に限定されるものではなく、バーコーター、ロールコーター、コンマコーター、ダイコーター、ホットメルトコーター等の一般的な塗工機を用いて、基材上の所定の面に直接塗工した後、粘接着層を形成させる、いわゆる直接塗工方式を採用してもよいし、また、剥離シート上に塗工し、粘接着層を形成させた後、基材上の所定の面に転写する、いわゆる転写方式を採用してもよい。
【0031】
粘接着剤の塗工量は、特に限定されるものではないが、好ましくは、固形分で3〜100g/m、さらに好ましくは、5〜75g/m、より好ましくは、20〜60g/mであることが好ましい。粘接着剤の上記塗工量が3g/m未満であると、PTP包装体への十分な粘接着力を得られないことがあり、逆に100g/mを超えると、プッシュスルー性が低下することがある。
【0032】
本発明のシールにおいて、粘接着層上に、剥離シート層を積層した構成とすることも、使用時までのシールの保護、特に粘接着層を保護する目的から、あるいは、粘接着層の製造、シール基材への積層方法の観点から、好ましい態様である。
剥離シート層は、粘接着層を保護し、剥離の際に剥がしやすいものであれば、いかなるものでもよい。オレフィン系樹脂やポリエステル系樹脂等の樹脂単体又は、樹脂シートあるいは紙を支持体とし、当該支持体上に、例えば、シリコーン系化合物等を含む剥離層を有する剥離シートであってもよい。
【0033】
剥離シート層を有するシールは、PTP包装体に貼着する際に、剥離シート層をシールから剥がし、粘接着層を露出させ、チャイルドレジスタンス機能を付与したいPTP包装体に貼着して使用する。
【0034】
本発明のシールは、易突き刺し破壊性基材上の一方の表面に催吐剤を有するものである。
ここで、基材上の一方の表面に催吐剤を有するとは、基材の一方の表面に、催吐剤を含み、かつバインダーとなる成分を含むあるいは含まない塗料を用いて、催吐剤を塗布し、催吐剤を含む塗膜を形成すること、基材上の表面に、バインダーとなる成分を介して催吐剤を接着すること、催吐剤を表面に有する被膜や薄層、半浸透性被膜等を積層すること等を含むものである。
上記バインダーとしては、有機系材料あるいは無機系材料、いずれもが使用可能であり、特に限定されないが、有機系材料においては、例えば、ニトロセルロース系、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系、エステル系、アルキッド系、オレフィン系、塩化ビニル系、メラミン系、フェノール系などの公知の樹脂、無機系材料においては、例えば、シリコーン系、シリコン系、その他セラミック系などの公知材料を用いることができる。
【0035】
基材上に、催吐剤を塗着することは、好ましい態様の一つである。
例えば、催吐剤を溶媒に溶解し溶液とした状態で、印刷を施したアルミニウム箔の印刷面上のOPコート面に、グラビアロールを用いて塗布し、乾燥させることで溶媒を蒸発させ、催吐剤を基材上の表面に配することができる。
【0036】
催吐剤は、基材上の一方の面の全面に塗着されていてもよいが、基材上の少なくとも一部に塗着されていてもよく、PTP包装体に貼着された際のシール外面の全面又は少なくとも一部に塗着されていればよい。
【0037】
催吐剤としては、苦味催吐剤、酸味催吐剤、辛味催吐剤など、口に含んだ際に催吐作用を有し、しかも毒性を有さず、食品添加剤等、安全性が確立されているものであれば、周知の素材からなるものを採用することができる。催吐作用の点では、苦味催吐剤が有効であり、例えば、テルペン類、キサンチン誘導体、アルカロイド類、テルペン配糖体、トリテルペノイド誘導体等の化合物を採用することができる。具体的には、安息香酸デナトニウム、八アセチル化しょ糖、ホップ、カフェイン、カワラタケ抽出物、キク抽出物、キハダ抽出物、香辛料抽出物、ヒメマツタケ抽出物、レイシ抽出物、ナリンジン酵素処理物、ジメトキストリキニーネブルシン(ブルシン)、フムロン、ルプロン、イソフムロン、ルプトリオン、天然カフェイン、合成カフェイン、キニン、キニジン、シンコニン、タンニン、キラヤサポニン、キラヤサポゲニン、キラヤ酸、ベルベリン、ゲンチオピクリン、リモニン、テオブロミン、ナリンジン、フラバノン、カッシイン、ネオ−カッシイン、ニガキラクトンA〜L、ニガキノン、ピクラシンA〜G、メチルニガキノン、アブシンチン、ボラペトサイド、ボラプトール、メチルチオアデノシン、カフェタンニン等を採用することができる。酸味催吐剤としては、クエン酸、酒石酸、乳酸、酢酸、氷酢酸、フマル酸、フマル酸ナトリウム、リンゴ酸、アジピン酸などを採用でき、辛味催吐剤としては、ピペリン、シャビシン、カプサイシン、α−サンショオール、β−サンショオール、ジンゲロン、ショーガオール、イソチオシアン酸エステル等を採用することができる。
【0038】
好適な催吐剤としては、催吐作用と安全性とを考慮して、安息香酸デナトニウムが挙げられる。安息香酸デナトニウムの溶媒としては、例えば、メタノールやエタノールが例示できる。
【0039】
本発明のシールを貼着するPTP包装体としては、当該技術分野において、広く知られたPTP包装体であれば、特に限定されない。内容物を収容する複数の凹部を形成した、いわゆる底材と、前記底材の上面に貼着されて前記内容物を凹部内に気密に保持する、いわゆる蓋材とを有するPTP包装体であれば、いかなるものであってもよい。
【0040】
PTP包装体の底材は、長尺な帯状のシート材に真空成形や真空圧空成形などにより、内容物を収容可能な大きさの多数の凹部を行列状に形成し、例えば、2行5列で10個の凹部が配置されるように該シート材を裁断して製作したものである。凹部の形状は、内容物の形状に応じて適宜に設定でき、例えば平面視において、円形状や楕円形状、長円形状や方形状に形成できる。なお、1つの底材に形成する凹部の個数は、PTP包装体に収容する内容物の個数に応じて任意に設定できる。
【0041】
底材は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)、ナイロン(NY)、ポリ塩化ビニル(PVC)などの周知の合成樹脂材料からなるシート材で構成できるが、ガスバリア性に優れ、しかも底材側から内容物を透視して、凹部内への異物等の侵入を容易に検査できるように、透明な合成樹脂製のシート材で構成することが好ましい。具体的には、PPもしくはPVCで構成することが好適である。
【0042】
蓋材は、本発明のシールにおける、易突き刺し破壊性基材の説明で示した各種材料を用いることができる。
蓋材には、当該技術分野において、既に公知の、印刷及び/又はOPコート層も、易突き刺し破壊性基材と同様に設けることができる。その他、PTP包装体の機能を損なわない範囲で、既に知られたPTP包装体における各種の機能層を形成することもできる。底材と蓋材とを強固に接着する、ヒートシール層や粘接着層を設けることもできる。
【0043】
本発明のシールは、PTP包装体の蓋材に貼着し使用するものであり、蓋材を構成する各種材料に対して、充分な接着性を有するものである。
シールの形状としては、あらかじめ、被貼着体であるPTP包装体蓋材の形状に合わせ、切り抜き、打ち抜き等したものでもよく、あるいは、枚葉又は巻き取られた状態のシールから、必要とする面積だけ切り取り、貼着するものでもよい。
【0044】
本発明は、上記記載のシールを、内容物を収容する複数の凹部を形成した底材と、前記底材の上面に貼着されて前記内容物を前記底材の凹部内に気密に保持する蓋材とを有するPTP包装体の前記蓋材の包装体外表面に貼着して得られた、PTP包装体を含むものである。
本発明のPTP包装体は、上述のようなチャイルドレジスタンス機能が付与されたPTP包装体を含むものである。
【実施例】
【0045】
以下、本発明の一実施態様を示す。本発明はこれらに限定されない。
【0046】
実施例
グラビア印刷を施したアルミニウム箔(厚さ17μm:突刺し強さ約2N)の印刷面上に、PTP包装体の蓋材で一般に用いられるOP(オーバープリント)コート層を、グラビアロールを用いた塗布により形成し(厚さ:約1μm)、さらに、OPコート層上に、メタノールを溶媒とし、濃度10ppmで溶解した安息香酸デナトニウム(催吐剤)溶液について、グラビアロールを用いて塗布し、乾燥させることで溶媒を蒸発させ、催吐剤を基材上の表面に配した。
また、アルミニウム箔の他方の面上には、アクリル系粘着剤からなる粘接着層を、コンマコーターにより形成した(固形分塗工量:50g/m)。このような方法で、本願発明の具体例となるシールを作製した。
【0047】
上述の方法により作製したシールを使用し、既存のPTP包装体(例として、底材の突出部5個×2列、平面寸法4cm×10cm、内容物:薬品カプセル)の蓋材の外表面に対して、あらかじめ平面寸法を合わせた枚葉シールの粘接着層面を、手で貼着し、内容物の取り出し性(プッシュスルー性)を評価したところ(人が実際に取り出すテスト)、既存のPTP包装体よりは、強い力を必要としたものの、プッシュスル−性は維持されており、内容物の取り出しが可能であることが確認できた。用いた既存のPTP包装体における蓋材の突刺し強さの平均値(n=3)は、2.3Nであり、当該既存のPTP包装体の蓋材のみと本発明のシールとを重ね合せた積層体の突刺し強さの平均値(n=3)は、3.8Nであった。
【0048】
本発明のシールを貼着した場合のプッシュスルー性は、PTP包装体として、充分に使用可能なレベルであり、幼児による内容物の不必要な取り出しを防止する意味では、取り出し時にやや強い力を必要とすることは、本発明のシールの目的に沿ったものであるといえる。
誤飲・誤食防止のための、催吐感についても、本発明のシールを貼着したPTP包装体では、口に含むと充分な苦みを感じることができ、催吐作用を有するPTP包装体が得られている。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、その構成を変更し得ることは、勿論である。
【符号の説明】
【0050】
100,200…シール、10…易突き刺し破壊性基材、11…催吐剤、12…粘接着層、13…印刷(層)、14…OP(オーバープリント)コート層、15…粘接着層を形成していない部分
図1
図2