特許第6971660号(P6971660)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6971660移動体監視装置、移動体監視システム、及び移動体監視方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971660
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】移動体監視装置、移動体監視システム、及び移動体監視方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/08 20090101AFI20211111BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20211111BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20211111BHJP
   G01S 19/14 20100101ALN20211111BHJP
【FI】
   H04W72/08 110
   H04W84/18
   H04W72/04 131
   !G01S19/14
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-127933(P2017-127933)
(22)【出願日】2017年6月29日
(65)【公開番号】特開2019-12904(P2019-12904A)
(43)【公開日】2019年1月24日
【審査請求日】2020年4月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000166247
【氏名又は名称】古野電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】北山 大樹
(72)【発明者】
【氏名】山下 耕平
【審査官】 宮田 繁仁
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/001867(WO,A1)
【文献】 特開2011−055123(JP,A)
【文献】 特開平06−318904(JP,A)
【文献】 特開2006−287354(JP,A)
【文献】 特開2016−049037(JP,A)
【文献】 特開平11−326488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に装着された少なくとも1つの子機から、当該子機に関する子機情報を受信する無線通信部と、
前記子機に割り当てることが可能なタイムスロットのうち実際に前記子機に割り当てられていないタイムスロットである空きタイムスロットを特定し、当該空きタイムスロットで自機に関する親機情報を前記無線通信部に送信させる演算部と、
を備え、
前記演算部は、キャリアセンス時間にわたって他の無線通信を検出して前記親機情報の送信を行うか否かを決定するキャリアセンスを行い、
同じタイムスロットにおいて前記演算部及び前記子機がキャリアセンスを行った場合において、前記子機のキャリアセンスが終了したタイミング以降も前記演算部のキャリアセンスが継続されていることを特徴とする移動体監視装置。
【請求項2】
移動体に装着された少なくとも1つの子機から、当該子機に関する子機情報を受信する無線通信部と、
前記子機に割り当てることが可能なタイムスロットのうち実際に前記子機に割り当てられていないタイムスロットである空きタイムスロットを特定し、当該空きタイムスロットで自機に関する親機情報を前記無線通信部に送信させる演算部と、
を備え、
タイムスロットの周期をターンと称したときに、
前記演算部は、
前記親機情報を送信してから次に前記親機情報を送信するまでのターン数を変化させる第1衝突防止制御と、
前記親機情報の送信に用いる前記空きタイムスロットを変化させる第2衝突防止制御と、
のうち少なくとも何れかを行うことを特徴とする移動体監視装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の移動体監視装置であって、
前記演算部は、前記子機から前記子機情報を受信したタイミングから当該子機に割り当てられたタイムスロットを特定することにより前記空きタイムスロットを特定することを特徴とする移動体監視装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の移動体監視装置であって、
前記演算部は、前記子機に対するタイムスロットの割当てに関する設定に基づいて、前記空きタイムスロットを特定することを特徴とする移動体監視装置。
【請求項5】
請求項1からまでの何れか一項に記載の移動体監視装置であって、
自機の位置を取得する位置取得部を備え、
前記無線通信部は、前記位置取得部が取得した位置を含む前記親機情報を送信することを特徴とする移動体監視装置。
【請求項6】
請求項に記載の移動体監視装置であって、
前記演算部は、キャリアセンスの開始時間及びキャリアセンス時間の少なくとも一方を変更して、前記親機情報の送信に失敗した次に行うキャリアセンスを前記親機情報の送信に成功した次に行うキャリアセンスよりも早く終了させることを特徴とする移動体監視装置。
【請求項7】
請求項1からまでの何れか一項に記載の移動体監視装置であって、
GNSS衛星からの測位信号に基づいてGNSS時刻を算出するGNSS受信機を備え、
タイムスロットは前記GNSS時刻に基づいて定められていることを特徴とする移動体監視装置。
【請求項8】
請求項1からまでの何れか一項に記載の移動体監視装置であって、
前記移動体が生体であることを特徴とする移動体監視装置。
【請求項9】
移動体に装着される少なくとも1つの子機と、複数の親機と、を備える移動体監視システムにおいて、
前記子機は、割り当てられたタイムスロットで当該子機に関する子機情報を無線で送信し、
前記親機は、
前記子機に割り当てることが可能なタイムスロットのうち実際に前記子機に割り当てられていないタイムスロットである空きタイムスロットを特定する演算部と、
前記子機が送信した前記子機情報を受信し、前記演算部が特定した前記空きタイムスロットで前記親機に関する情報である親機情報を送信する無線通信部と、
を備え、
前記演算部は、キャリアセンス時間にわたって他の無線通信を検出して前記親機情報の送信を行うか否かを決定するキャリアセンスを行い、
同じタイムスロットにおいて前記演算部及び前記子機がキャリアセンスを行った場合において、前記子機のキャリアセンスが終了したタイミング以降も前記演算部のキャリアセンスが継続されていることを特徴とする移動体監視システム。
【請求項10】
移動体に装着される少なくとも1つの子機と、複数の親機と、を備える移動体監視システムにおいて、
前記子機は、割り当てられたタイムスロットで当該子機に関する子機情報を無線で送信し、
前記親機は、
前記子機に割り当てることが可能なタイムスロットのうち実際に前記子機に割り当てられていないタイムスロットである空きタイムスロットを特定する演算部と、
前記子機が送信した前記子機情報を受信し、前記演算部が特定した前記空きタイムスロットで前記親機に関する情報である親機情報を送信する無線通信部と、
を備え、
タイムスロットの周期をターンと称したときに、
前記演算部は、
前記親機情報を送信してから次に前記親機情報を送信するまでのターン数を変化させる第1衝突防止制御と、
前記親機情報の送信に用いる前記空きタイムスロットを変化させる第2衝突防止制御と、
のうち少なくとも何れかを行うことを特徴とする移動体監視システム。
【請求項11】
移動体に装着される少なくとも1つの子機から、当該子機に関する子機情報を取得する親機を用いて行う移動体監視方法において、
前記親機は、
前記子機情報を無線通信部を用いて受信し、
前記子機に割り当てることが可能なタイムスロットのうち実際に前記子機に割り当てられていないタイムスロットである空きタイムスロットを特定し、
前記空きタイムスロットで前記親機に関する情報である親機情報を前記無線通信部を用いて送信し、
前記親機は、キャリアセンス時間にわたって他の無線通信を検出して前記親機情報の送信を行うか否かを決定するキャリアセンスを行い、
同じタイムスロットにおいて前記親機及び前記子機がキャリアセンスを行った場合において、前記子機のキャリアセンスが終了したタイミング以降も前記親機のキャリアセンスが継続されていることを特徴とする移動体監視方法。
【請求項12】
移動体に装着される少なくとも1つの子機から、当該子機に関する子機情報を取得する親機を用いて行う移動体監視方法において、
前記親機は、
前記子機情報を無線通信部を用いて受信し、
前記子機に割り当てることが可能なタイムスロットのうち実際に前記子機に割り当てられていないタイムスロットである空きタイムスロットを特定し、
前記空きタイムスロットで前記親機に関する情報である親機情報を前記無線通信部を用いて送信し、
タイムスロットの周期をターンと称したときに、
前記親機は、
前記親機情報を送信してから次に前記親機情報を送信するまでのターン数を変化させる第1衝突防止制御と、
前記親機情報の送信に用いる前記空きタイムスロットを変化させる第2衝突防止制御と、
のうち少なくとも何れかを行うことを特徴とする移動体監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、移動体を監視する移動体監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、監視対象である移動体に子機を装着し、当該子機が送信した情報を受信することで移動体を監視する移動体監視システムが知られている。特許文献1、2は、この種の技術を開示する。
【0003】
特許文献1の生物用監視システムでは、子機毎に予めタイムスケジュールが割り当てられる。各子機は、割り当てられたタイムスケジュール(タイムスロット)で情報を送信する。これにより、チャンネル数が少ない場合であっても、多数の装置間での通信を実現できる。
【0004】
特許文献2の移動体用監視システムでは、子機は、割り当てられたタイムスロットで情報を送信するとともに、割り当てられていないタイムスロットで別の周波数チャンネルを用いて別の情報を送信する。これにより、親機は、複数の子機からの複数種類の情報を受信することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016−49037号公報
【特許文献2】特開2016−169967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
また、特許文献1、2に記載の装置等は、予め割り当てられたタイムスロットで親機は子機からの情報を収集している。これに加えて親機に関する情報(親機情報)を収集するためには、親機は子機と同様に予め割り当てられたタイムスロットで情報の送信を行う必要があるため、子機に割り当てられるタイムスロットが少なくなる可能性がある。
【0007】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、子機に割り当てられるタイムスロットを減らすことなく、タイムスロットを用いて情報を送信することが可能な移動体監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0009】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の移動体監視装置が提供される。即ち、この移動体監視装置は、無線通信部と、演算部と、を備える。前記無線通信部は、移動体に装着された少なくとも1つの子機から、当該子機に関する子機情報を受信する。前記演算部は、前記子機に割り当てることが可能なタイムスロットのうち実際に前記子機に割り当てられていないタイムスロットである空きタイムスロットを特定し、当該空きタイムスロットで自機に関する親機情報を前記無線通信部に送信させる。
【0010】
本発明の第2の観点によれば、以下の構成の移動体監視システムが提供される。即ち、この移動体監視システムは、移動体に装着される少なくとも1つの子機と、複数の親機と、を備える。前記子機は、割り当てられたタイムスロットで当該子機に関する子機情報を無線で送信する。前記親機は、演算部と、無線通信部と、を備える。前記演算部は、前記子機に割り当てることが可能なタイムスロットのうち実際に前記子機に割り当てられていないタイムスロットである空きタイムスロットを特定する。前記無線通信部は、前記子機が送信した前記子機情報を受信し、前記演算部が特定した前記空きタイムスロットで前記親機に関する情報である親機情報を送信する。
【0011】
本発明の第3の観点によれば、以下の移動体監視方法が提供される。即ち、この移動体監視方法は、移動体に装着される少なくとも1つの子機から、当該子機に関する子機情報を取得する親機を用いて行われる。前記親機は、前記子機から前記子機情報を無線通信部を用いて受信する。前記親機は、前記子機に割り当てることが可能なタイムスロットのうち実際に前記子機に割り当てられていないタイムスロットである空きタイムスロットを特定する。前記親機は、前記空きタイムスロットで前記親機に関する情報である親機情報を前記無線通信部を用いて送信する。
【0012】
これにより、空きタイムスロットは事後的に子機に割り当てることが可能なタイムスロットであるため、親機に予め割り当てられたタイムスロットで親機情報を送信する構成と比較して、子機に割り当てるためのタイムスロットを多く確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る移動体監視システムの概略的な構成を示す説明図。
図2】親機及び子機のブロック図。
図3】親機の形状及び親機に表示される情報の一例を示す正面図。
図4】親機情報を送信するタイムスロットを決定する処理を示すフローチャート。
図5】タイムスロットの割当状況の一例を示す図。
図6】子機と親機とのキャリアセンスの設定の違いを示す図。
図7】前回に親機情報の送信に成功した親機と、前回に親機情報の送信に失敗した親機と、のキャリアセンスの設定の違いを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。初めに、図1を参照して、移動体監視システム100の全体的な構成等について説明する。図1は、移動体監視システム100の概略的な構成を示す説明図である。
【0015】
移動体監視システム100は、狩猟者が猟犬とともに猟を行う際において、狩猟者が猟犬の位置等を把握するために用いられる。具体的には、移動体監視システム100は、複数の親機(移動体監視装置、狩猟者端末)10と、1又は複数の子機(被監視装置、猟犬端末)20と、で構成されている。
【0016】
各猟犬には、子機20が装着される。子機20は、自機の位置(即ち、装着された猟犬の位置)又は周囲の音声等を取得して、無線で親機10へ送信する。各狩猟者は、親機10を携帯している。親機10は、子機20が送信した位置を受信して地図上に表示、又は、子機20が送信した音声を再生する。この構成により、狩猟者は、各猟犬の位置や、各猟犬の周囲の状況等を把握することができる。
【0017】
次に、図2及び図3を参照して親機10及び子機20の詳細な構成について説明する。図2に示すように、親機10は、GNSS受信機11と、演算部12と、変復調部14と、無線通信部15と、スピーカ16と、表示部17と、操作部18と、を備える。また、親機10を構成する各部は図略のバッテリーによって駆動されている。
【0018】
GNSS受信機11は、GNSSアンテナ11aを介してGNSS衛星60が送信した電波を受信する。GNSS受信機11は、この電波を解析してGNSS測位を行うことで、自機の位置を算出する。また、GNSS受信機11は、GNSS測位を行うため、極めて正確な時刻であるGNSS時刻を取得することができる。GNSS衛星としては、GPS衛星、QZSS衛星、GLONASS衛星、及びGALILEO衛星等が存在し、何れにおいても本発明を適用することができる。なお、高精度な時刻を親機10及び子機20で共有できるのであれば、GNSS時刻以外を用いてもよい。
【0019】
演算部12は、FPGA、ASIC、又はCPU等の演算装置である。演算部12は、予め作成されたプログラムを例えばRAMに読み出して実行することで、親機10に関する様々な処理を実行可能に構成されている。演算部12は、例えば、外部に送信する情報を生成したり、外部から受信した情報を解析したり、表示部17に表示する情報を生成したりする。
【0020】
記憶部13は、情報を記憶可能な不揮発性の記憶装置であり、例えば、フラッシュディスク及びメモリーカード等のフラッシュメモリである。記憶部13は、無線通信の設定(例えば後述のタイムスロットの割当状況等)及び外部から受信した情報等を記憶する。
【0021】
変復調部14は、無線通信における変調及び復調を行う。具体的には、変復調部14には、演算部12が生成した外部に送信するための情報が入力される。変復調部14は、この情報を通信方式に応じた方法で変調して無線通信部15へ出力する。なお、変復調部14が行う変復調は、アナログ変復調であってもよいし、デジタル変復調であってもよい。
【0022】
無線通信部15は、無線通信部15から入力された変調済みの情報を無線通信アンテナ15aを介して外部へ送信する。無線通信部15が子機20に対して送信する情報としては、例えば、無線通信のための設定情報(例えば、使用するチャンネル、子機20に割り当てるタイムスロット)がある。また、無線通信部15が他の親機10に対して送信する情報としては、例えば、親機10の位置、バッテリー残量、GNSS衛星情報(閾値以上のレベルの電波を受信可能なGNSS衛星の個数等)、メッセージ等である。以下では、親機10が他の親機10に対して送信する情報であって、送信元の親機10の情報を親機情報と称する。なお、親機情報を構成する情報は上記とは異なっていてもよい。
【0023】
また、無線通信部15は、他の親機10及び子機20等が送信した情報を無線通信アンテナ15aを介して受信する。無線通信部15が子機20から受信する情報としては、上述の子機20の位置及び音声に加え、子機20のバッテリー残量及びGNSS衛星情報等がある。以下では、子機20が親機10へ送信する情報であって、送信元の子機20の情報を子機情報と称する。なお、子機情報を構成する情報は上記とは異なっていてもよい。無線通信部15が受信した子機情報は、変復調部14へ出力される。変復調部14は、無線通信部15から入力された情報を復調して演算部12及びスピーカ16等へ出力する。
【0024】
スピーカ16は、子機20から受信した音声情報が入力されることで、この音声を出力(再生)する。これにより、狩猟者は猟犬の鳴き声等に基づいて、子機20の周囲の状況を把握することができる。
【0025】
演算部12は、外部から受信した情報(親機情報及び子機情報)に基づいて、表示部17に表示するための映像を作成する。表示部17は、液晶ディスプレイ及び有機ELディスプレイ等であり、演算部12が作成した映像を表示する。図3には、表示部17に表示される映像の一例が示されている。図3には、地図上に、自機アイコン41、子機アイコン42、及び親機アイコン43が表示されている。自機アイコン41は自機の位置を示すアイコンである。自機の位置は、上述のようにGNSS受信機11が算出したものである。子機アイコン42は、無線通信により受信した子機20の位置を示す。親機アイコン43は、無線通信により受信した他の親機10の位置を示す。また、図3に示されている画面は一例であり、子機アイコン42の表示を省略したり、親機アイコン43の表示を省略したり、バッテリーを追加で表示したりすることができる。
【0026】
操作部18は、無線通信に関する設定、表示する情報に関する設定、子機20の音声をスピーカ16から出力させるための設定等に関する操作を行うことが可能である。
【0027】
図2に示すように、子機20は、GNSS受信機21と、演算部22と、記憶部23と、変復調部24と、無線通信部25と、マイク26と、を備える。また、GNSS受信機21、GNSSアンテナ21a、演算部22、変復調部24、無線通信部25、及び無線通信アンテナ25aは、親機10が備える同名の部分と略同じ構成であるため、説明を省略する。マイク26は、子機20の周囲の音を検出して電気信号(情報)に変換する。マイク26が出力した電気信号は、変復調部24によって変調された後に、無線通信部25及び無線通信アンテナ25aを介して外部へ送信される。
【0028】
次に、図4から図7を参照して、タイムスロットを用いた親機10及び子機20の通信について具体的に説明する。図4は、親機情報を送信するタイムスロットを決定する処理を示すフローチャートである。図5は、タイムスロットの割当状況の一例を示す図である。図6は、子機20と親機10とのキャリアセンスの設定の違いを示す図である。図7は、前回に親機情報の送信に成功した親機10(例えば親機10A)と、前回に親機情報の送信に失敗した親機10(例えば親機10B)と、のキャリアセンスの設定の違いを示す図である。
【0029】
初めに、タイムスロットを用いた無線通信について説明する。移動体監視システム100では、時分割多元接続を用いて、親機10及び子機20による無線通信が行われる。時分割多元接続では、一定時間毎に(例えば5秒毎に)時間を区切って、ターン又はフレームと称される単位を作成する。そして、このターンを複数(例えば10個)に分割して複数のタイムスロットを作成する。各タイムスロットは、親機10及び子機20に割り当てられる。親機10及び子機20は、割り当てられたタイムスロットで情報の送信を行う。例えば、ある子機20に3番目のタイムスロットが割り当てられた場合、この子機20は、各ターンにおいて、3番目のタイムスロットで情報の送信を行う。このように、タイムスロットの周期がターンとなる。
【0030】
また、上述したように親機10及び子機20は、それぞれGNSS受信機11,21を備えており、非常に正確なGNSS時刻を算出可能である。各ターンの開始タイミング及び各タイムスロットの開始タイミングは、このGNSS時刻に基づいて定められる。従って、親機10及び子機20は、非常に正確に同期したターン及びタイムスロットを用いることができる。
【0031】
次に、タイムスロットの具体的な割り当てについて説明する。以下の説明では、図1に示すように、2台の親機10と3台の子機20で構成される移動体監視システム100を例に挙げて説明する。また、各端末を区別して説明する場合は、2台の親機10を符号10Aと10Bを付して区別し、3台の子機20を符号20A、20B、及び20Cを付して区別する。
【0032】
図5に示すように、本実施形態では、1ターンを10のタイムスロットに分割している。図5には、3ターン分の表が記載されている。各表において、SLn(n=1〜10)と記載されている項目がタイムスロットのn番目を示す。また、各タイムスロットで情報の送信が割り当てられている端末に相当する部分にハッチング等が付されている。
【0033】
本実施形態では、各ターンのタイムスロットSL1には、親機10A又は親機10Bのパトロール信号の送信が割り当てられている。パトロール信号とは、移動体監視システム100による無線通信における設定に関する情報を送信するための信号である。具体的には、パトロール信号には、例えば、子機20A〜20Cにすでに割り当てられた(あるいは割り当てられておらず使用可能な)タイムスロットの情報等が含まれる。
【0034】
図5に示す例では、子機20AにはタイムスロットSL2が割り当てられており、子機20BにはタイムスロットSL3が割り当てられており、子機20CにはタイムスロットSL5が割り当てられている。子機20A〜20Cは、各ターンにおいて、割り当てられたタイムスロットを用いて子機情報を送信する。
【0035】
このように、親機10A,10Bが送信するパトロール信号及び子機20A〜20Cが送信する子機情報は予め割り当てられたタイムスロットで送信されている。一方、親機10A,10Bが送信する親機情報は予めタイムスロットが割り当てられない。なぜなら、親機10A,10Bが送信する親機情報にタイムスロットを割り当てた場合、それに応じて子機20に割り当てるためのタイムスロットが減ってしまうからである。移動体監視システム100では、状況に応じて子機20が追加されることがあり、それに備えてタイムスロットを空けておくことは重要となる。更に、親機情報は子機情報と比較して頻繁に送信する必要性に乏しい。なぜなら、移動体監視システム100を用いた猟において重要なのは猟犬の位置等の情報であるとともに、狩猟者の移動速度は猟犬と比較して遅いため、位置を頻繁に送信しなくても、他の狩猟者のおおよその位置を把握できるからである。
【0036】
以上を考慮し、本実施形態では、子機20による子機情報の送信を優先しつつ、親機10による親機情報の送信が行われる。具体的には、それぞれの親機10は、図4のフローチャートに示す処理を個別に行って、親機情報を送信するタイムスロットをそれぞれ決定する。
【0037】
初めに、親機10は、タイムスロットの設定情報を記憶しているか否かを判断する(S101)。例えば、親機10がタイムスロットの割当て等を管理している場合、この設定情報を読み出すだけで、子機20に割り当てられたタイムスロットを特定できるからである。設定情報の一例としては、各ターン毎にタイムスロットの番号順(時系列順)にそれぞれ子機20が割り当てられた設定に関する情報や、任意の異なるタイムスロットにそれぞれ子機20が割り当てられた設定に関する情報等がある。
【0038】
親機10は、タイムスロットの設定情報を記憶していない場合(S101でNoの場合)、過去に子機20から受信した子機情報の時刻(タイミング)を読み出す(S102)。上述のように子機20は各ターンにおいて同じタイムスロットで子機情報を送信するため、少なくとも1ターンの間に受信した子機情報の時刻に基づいて、どのタイムスロットに子機20が割り当てられているかを推測できる。なお、障害物等により子機20が送信した子機情報を受信できない事態等も考えられるため、2ターン以上の間に受信した子機情報の時刻を用いることが更に好ましい。
【0039】
次に、親機10は、空きタイムスロットを特定する(S103)。空きタイムスロットとは、子機20に割り当てることが可能なタイムスロットのうち実際に子機に割り当てられていないタイムスロットである。従って、図5において、タイムスロットSL1は親機10A,10Bに割り当てられていて子機20に割り当てることができないため、空きタイムスロットではない。また、タイムスロットSL2,SL3,SL5については、実際に子機20A〜20Cに割り当てられているため、空きタイムスロットではない。一方、例えば1ターン目において、タイムスロットSL6,SL8は親機10A,10Bが親機情報の送信に用いているが、子機20に割り当て可能であるとともに、実際に子機20に割り当てられていないため、空きタイムスロットに該当する。どの端末も情報を送信していない他のタイムスロットも当然空きタイムスロットに該当する。
【0040】
従って、親機10は、子機20のタイムスロットの割り当て状況を用いることで、空きタイムスロットを特定できる。ここで、ステップS101でYesの場合はタイムスロットの設定情報に基づいて子機20のタイムスロットの割り当て状況を把握できる。また、ステップS101でNoの場合は過去に子機20から子機情報を受信した時刻に基づいて、子機20のタイムスロットの割り当て状況を把握できる。このようにして、親機10は、空きタイムスロットを特定する。
【0041】
次に、親機10は、特定した空きタイムスロットを用いて、実際に親機情報を送信するために用いるタイムスロットである送信タイムスロットを特定する(S104)。親機10は、特定した送信タイムスロットを用いて親機情報を送信する。これにより、子機20による子機情報の送信を阻害することなく、親機情報を送信できる。
【0042】
ただし、上述のように移動体監視システム100に子機20が追加された直後において、子機20の追加を親機10で把握していない場合は、親機10と子機20でタイムスロットが被ってしまうことが考えられる。そのため、子機20による子機情報の送信を、親機10による親機情報の送信よりも優先させるため、親機10及び子機20は以下のキャリアセンスを行う。
【0043】
ここで、キャリアセンスとは、所定時間(以下、キャリアセンス時間)にわたって他の無線通信を検出するとともに、検出結果に基づいて情報の送信を行うか否かを決定する処理である。キャリアセンスは情報を送信するタイムスロット毎に行われる。例えば、キャリアセンス時間において、同じチャンネル(周波数帯)で閾値以上のレベルの電波が検出された場合、通信の衝突を避けるために、情報の送信を行わない。一方、上記のような電波が検出されなかった場合、情報の送信を開始する。情報の送信を開始するか否かは、演算部12,22が判断する。
【0044】
親機10よりも子機20を優先するためには、子機20のキャリアセンスが終了したタイミング以降も親機10のキャリアセンスが継続されている必要がある。この場合、親機10は子機20による子機情報の送信をキャリアセンスにおいて検出するため、親機10と子機20でタイムスロットが被っていた場合であっても、親機10ではなく子機20による情報の送信が行われることとなる。具体的には、図6のパターンAに示すように、キャリアセンスの開始時間を同じにしつつ、親機10のキャリアセンス時間を子機20のキャリアセンス時間よりも長くすることで、上記が実現できる。あるいは、図6のパターンBに示すように、親機10のキャリアセンスの開始時間を子機20よりも遅くすることで、両者のキャリアセンス時間が同じであっても上記が実現できる。なお、パターンAとパターンBを合わせて、親機10のキャリアセンス時間を子機20よりも長くしつつ、親機10のキャリアセンスの開始時間を子機20よりも遅くしてもよい。また、親機はキャリアセンスを行うが、子機はキャリアセンスを行わなくてもよい。
【0045】
次に、親機10同士の通信の衝突(コリジョン)を回避するための制御について説明する。上述のように、複数の親機10が個別に空きタイムスロット及び送信タイムスロットを特定するため、親機10同士で同じ送信タイムスロットが特定された場合、親機10同士の通信が衝突する。これを防止するために、親機10は、第1衝突防止制御及び第2衝突防止制御のうち少なくとも一方を行う。
【0046】
第1衝突防止制御とは、親機10が親機情報を送信してから次に親機情報を送信するまでのターン数を変化させる制御である。例えば図5では、親機10Bは、1ターン目及び2ターン目において親機情報を送信しているため、ここでの送信間隔は1ターンである。しかし、親機10Bは3ターン目において親機情報を送信していないため、ここでは送信間隔が2ターン以上となる。なお、送信間隔のターン数は毎回異なる値にしてもよいし、数回程度であれば同じターン数が連続していてもよい。また、他の親機10との通信の衝突の可能性を一層減らすために、送信間隔は無作為に変更することが更に好ましい。また、第1衝突防止制御は1つの親機10が行うだけでも効果があるが、複数の親機10で行うことが更に好ましい。
【0047】
第2衝突防止制御とは、親機情報の送信に用いる空きタイムスロット(送信タイムスロット)を変化させる制御である。仮に複数の親機10が同じタイムスロットを毎ターン用いて親機情報を送信する場合、親機10同士の通信の衝突が毎ターン発生することとなる。この点、第2衝突防止制御を行うことにより、上記の事態を避けることができる。例えば図5では、親機10Aは1ターン目はタイムスロットSL8を用い、3ターン目はタイムスロットSL9を用いて親機情報を送信している。なお、親機情報の送信に用いる送信タイムスロットは毎回(送信毎に)異なる値にしてもよいし、数回程度であれば同じ送信タイムスロットを用いてもよい。また、他の親機10との通信の衝突の可能性を一層減らすために、親機情報の送信に用いる送信タイムスロットは無作為に変更することが更に好ましい。また、第2衝突防止制御は1つの親機10が行うだけでも効果があるが、複数の親機10で行うことが更に好ましい。
【0048】
なお、上記の衝突防止制御を行う場合であっても、親機10同士の通信の衝突の確率がゼロになる訳ではない。従って、本実施形態では、同じ親機10が親機情報を送信できない状態が続くことを防止するため(即ち、親機情報の送信の頻度が親機10毎に不均一になることを防止するため)、親機10は、更に以下の処理を行う。
【0049】
具体的には、キャリアセンスを行って他の親機10による親機情報の送信を検出して親機情報の送信を行わなかった場合、次回は、この親機10による親機情報の送信を他の親機10よりも優先する。具体的には、前回送信に失敗した親機10のキャリアセンスが終了したタイミング以降も前回送信に成功した親機10のキャリアセンスが継続されている必要がある。具体的には、図7のパターンAに示すようにキャリアセンス時間を変更するか、図7のパターンBに示すようにキャリアセンスの開始時間を変更するか、あるいはその両方を行う必要がある。また、前回送信に成功した親機10のキャリアセンスの設定を変更してもよいし、前回送信に失敗した親機10のキャリアセンスの設定を変更してもよい。
【0050】
なお、前回送信に失敗した場合であっても、親機10の親機情報の送信よりも、子機20の子機情報の送信を優先することが好ましい。従って、子機20のキャリアセンスが終了したタイミング以降も前回送信に失敗した親機10のキャリアセンスが継続されていることが好ましい。
【0051】
以上に説明したように、本実施形態の親機10は、無線通信部15と、演算部12と、を備える。また、この親機10を用いて以下の移動体監視方法が行われる。無線通信部15は、猟犬に装着された少なくとも1つの子機20から、当該子機に関する子機情報を受信する。演算部12は、子機20に割り当てることが可能なタイムスロットのうち実際に子機20に割り当てられていないタイムスロットである空きタイムスロットを特定し、当該空きタイムスロットで自機に関する親機情報を無線通信部15に送信させる。
【0052】
これにより、空きタイムスロットは事後的に子機20に割り当てることが可能なタイムスロットであるため、親機10に予め割り当てられたタイムスロットで親機情報を送信する構成と比較して、子機20に割り当てるためのタイムスロットを多く確保することができる。
【0053】
また、本実施形態の親機10において、演算部12は、子機20から子機情報を受信したタイミングから当該子機20に割り当てられたタイムスロットを特定することにより空きタイムスロットを特定する。
【0054】
これにより、タイムスロットの設定情報を親機10が把握していない場合であっても、空きタイムスロットを特定できる。
【0055】
また、本実施形態の親機10において、演算部12は、子機20に対するタイムスロットの割当てに関する設定に基づいて、空きタイムスロットを特定する。
【0056】
これにより、簡単かつ確実性の高い方法で空きタイムスロットを特定できる。
【0057】
また、本実施形態の親機10は、自機の位置を取得するGNSS受信機11を備える。無線通信部15は、GNSS受信機11が取得した位置を含む親機情報を送信する。
【0058】
これにより、他の親機10へ自機の位置を知らせることで、猟犬をより適切に監視できる。
【0059】
また、本実施形態の親機10において、演算部12は、キャリアセンス時間にわたって他の無線通信を検出して親機情報の送信を行うか否かを決定するキャリアセンスを行う。
【0060】
これにより、子機20及び他の無線機器等との通信との衝突を防止できる。
【0061】
また、本実施形態の親機10において、同じタイムスロットにおいて親機10(演算部12)及び子機20がキャリアセンスを行った場合において、子機20のキャリアセンスが終了したタイミング以降も親機10のキャリアセンスが継続されている。
【0062】
これにより、子機20に割り当てられたタイムスロットを用いて親機10が親機情報を送信しようとした場合においても、子機20による子機情報の送信を優先させることができる。
【0063】
また、本実施形態の親機10において、演算部12は、キャリアセンスの開始時間及びキャリアセンス時間の少なくとも一方を変更して、親機情報の送信に失敗した次に行うキャリアセンスを親機情報の送信に成功した次に行うキャリアセンスよりも早く終了させる。
【0064】
これにより、複数の親機10のうち一部だけが親機情報を送信できないという事態を回避することができる。
【0065】
また、本実施形態の親機10は、GNSS衛星60からの測位信号に基づいてGNSS時刻を算出するGNSS受信機11を備える。タイムスロットはGNSS時刻に基づいて定められている。
【0066】
これにより、高精度なGNSS時刻に基づいてタイムスロットが定められることで、正確な制御が可能となる。
【0067】
また、本実施形態の親機10において、演算部12は、親機情報を送信してから次に親機情報を送信するまでのターン数を変化させる第1衝突防止制御と、親機情報の送信に用いる空きタイムスロットを変化させる第2衝突防止制御と、のうち少なくとも何れかを行う。
【0068】
これにより、親機10同士で親機情報を送信するタイムスロットが重なり続けることを防止できる。
【0069】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0070】
上記実施形態では、複数の親機10を用いて複数の子機20の子機情報を取得して、複数の移動体を監視するが、子機20は1台であってもよい。
【0071】
上記実施形態では、親機10は、過去に子機20から子機情報を受信した時刻を記憶しているが、これに代えて又は加えて、子機20から子機情報を受信した時刻に基づいて空きタイムスロットを常時算出し、この空きタイムスロットを記憶する構成であってもよい。
【0072】
上記実施形態では、親機10の使用者が狩猟者であり移動体(子機20の装着先)が猟犬であるが、移動体は猟犬以外の生体(他の動物又は人間)であってもよいし、生体以外の移動体(例えば自動車)であってもよい。この場合、親機10の使用者も狩猟者以外の者となる。
【符号の説明】
【0073】
10 親機(移動体監視装置)
11 GNSS受信機(位置取得部)
12 演算部
15 無線通信部
20 子機
100 移動体監視システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7