特許第6971673号(P6971673)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6971673超音波診断装置、画像処理装置及び画像処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971673
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】超音波診断装置、画像処理装置及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20211111BHJP
【FI】
   A61B8/14
【請求項の数】10
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-138023(P2017-138023)
(22)【出願日】2017年7月14日
(65)【公開番号】特開2019-17655(P2019-17655A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2020年6月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】志岐 栄一
【審査官】 冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−129669(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/114830(WO,A1)
【文献】 特開2014−239841(JP,A)
【文献】 特開平10−146337(JP,A)
【文献】 特開平07−067874(JP,A)
【文献】 特表2007−530123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 − 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波画像データから表示用画像データであるMPR(Multi Planar Reconstruction)画像又はVR(Volume Rendering)画像を生成する画像生成部と、
前記表示用画像データを表示部に表示させる表示制御部と、
前記表示部に表示された前記表示用画像データに対する操作を操作者から受け付ける受付部と
を備え、
前記表示制御部は、前記表示用画像データを拡大させるための拡大操作を前記受付部が受け付けた場合に、前記表示用画像データを前記拡大操作に応じて拡大させて前記表示部に表示させ、
前記画像生成部は、前記拡大操作が完了した後に、前記超音波画像データを前記拡大操作に応じて拡大させ、拡大後の新たな表示用画像データを再生成する、
超音波診断装置。
【請求項2】
前記超音波画像データは、複数の走査平面に対応する画像データを含む3次元Rawデータであり、
前記画像生成部は、前記受付部が前記拡大操作を受け付けた場合に、前記3次元Rawデータを前記拡大操作に応じて拡大させ、拡大後の新たな表示用画像データを再生成する、
請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記超音波画像データは、複数の走査平面に対応する画像データを含む3次元Rawデータが、予め規定されたデータ空間に組み込まれたボクセルデータであり、
前記画像生成部は、前記受付部が前記拡大操作を受け付けた場合に、前記ボクセルデータを前記拡大操作に応じて拡大させ、拡大後の新たな表示用画像データを再生成する、
請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記受付部は、更に、前記拡大操作を確定するための確定操作を操作者から受け付け、
前記画像生成部は、前記受付部が前記確定操作を受け付けた場合に、前記超音波画像データを前記拡大操作に応じて拡大させ、拡大後の前記新たな表示用画像データを再生成する、
請求項1〜3のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記画像生成部は、前記受付部が前記拡大操作を受け付けた後、前記拡大操作が一定時間行われなかった場合に、前記超音波画像データを前記拡大操作に応じて拡大させ、拡大後の前記新たな表示用画像データを再生成する、
請求項1〜3のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記受付部は、前記拡大操作として、前記表示部に表示された前記表示用画像データ上に関心領域を設定する設定操作を操作者から受け付け、
前記画像生成部は、前記受付部が前記設定操作を受け付けた場合に、前記表示用画像データに対する前記関心領域の大きさに応じて、前記関心領域に対応する前記超音波画像データの領域を拡大させ、拡大後の前記新たな表示用画像データを再生成する、
請求項1〜のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記受付部は、前記表示部に表示された前記表示用画像データを縮小させるための縮小操作を操作者から受け付け、
前記表示制御部は、前記受付部が前記縮小操作を受け付けた場合に、前記表示用画像データを前記縮小操作に応じて縮小させ、縮小させた縮小画像データを前記表示部に表示させ、
前記画像生成部は、前記縮小操作が完了した後に、前記超音波画像データを前記縮小操作に応じて縮小させ、縮小後の新たな縮小画像データを再生成し、
前記表示制御部は、再生成された前記新たな縮小画像データを前記表示部に表示させる、
請求項1〜のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記超音波画像データは、複数の走査平面に対応するRawデータと、前記複数の走査平面に対応する各Rawデータの収集時における位置情報とを含む3次元Rawデータであり、
前記画像生成部は、前記位置情報に基づいて、前記複数の走査平面に対応する各Rawデータを補間して予め規定されたデータ空間に組み込むことで、ボクセルデータを生成する、
請求項1〜のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
【請求項9】
超音波画像データから表示用画像データであるMPR(Multi Planar Reconstruction)画像又はVR(Volume Rendering)画像を生成する画像生成部と、
前記表示用画像データを表示部に表示させる表示制御部と、
前記表示部に表示された前記表示用画像データに対する操作を操作者から受け付ける受付部と
を備え、
前記表示制御部は、前記表示用画像データを拡大させるための拡大操作を前記受付部が受け付けた場合に、前記表示用画像データを前記拡大操作に応じて拡大させて前記表示部に表示させ、
前記画像生成部は、前記拡大操作が完了した後に、前記超音波画像データを前記拡大操作に応じて拡大させ、拡大後の新たな表示用画像データを再生成する、
画像処理装置。
【請求項10】
超音波画像データから表示用画像データであるMPR(Multi Planar Reconstruction)画像又はVR(Volume Rendering)画像を生成し、
前記表示用画像データを表示部に表示させ、
前記表示部に表示された前記表示用画像データに対する操作を操作者から受け付け、
前記表示用画像データを拡大させるための拡大操作を受け付けた場合に、前記表示用画像データを前記拡大操作に応じて拡大させて前記表示部に表示させ、
前記拡大操作が完了した後に、前記超音波画像データを前記拡大操作に応じて拡大させ、拡大後の新たな表示用画像データを再生成する、
各処理をコンピュータに実行させる、画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、超音波診断装置、画像処理装置及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検体内の3次元領域に対して超音波走査を行って、MPR(Multi Planar Reconstruction)画像やVR(Volume Rendering)画像を生成し、表示させる超音波診断装置が実用化されている。MPR画像やVR画像を表示するには、再構成処理若しくはレンダリング処理により生成された画像データを一旦フレームバッファに保存し、これをディスプレイの表示サイズに合わせて表示する。また、必要に応じて、ズーム機能、すなわち表示画像の拡大・縮小機能が利用される。例えば、関心領域内の画像データを詳細に観察したい場合は、画像データを拡大し、より広い領域を観察したい場合には、画像データを縮小する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013− 414号公報
【特許文献2】特表2015−500083号公報
【特許文献3】特開2014−239841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、拡大画像の解像度を向上させることが可能な超音波診断装置、画像処理装置及び画像処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る超音波診断装置は、画像生成部と、表示制御部と、受付部とを備える。画像生成部は、超音波画像データから表示用画像データを生成する。表示制御部は、前記表示用画像データを表示部に表示させる。受付部は、前記表示部に表示された前記表示用画像データに対する操作を操作者から受け付ける。画像生成部は、前記表示用画像データを拡大させるための拡大操作を前記受付部が受け付けた場合に、前記超音波画像データを前記拡大操作に応じて拡大させ、拡大後の新たな表示用画像データを再生成する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示すブロック図である。
図2図2は、フレームバッファに保存された画像データを用いて拡大する場合について説明するための図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る超音波診断装置による拡大機能について説明するための図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る超音波診断装置による拡大機能について説明するための図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の処理手順を示すフローチャートである。
図6図6は、第1の実施形態の変形例に係る超音波診断装置の処理を説明するための図である。
図7図7は、第1の実施形態の変形例に係る超音波診断装置の処理を説明するための図である。
図8図8は、第2の実施形態に係る超音波診断装置による拡大機能について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、実施形態に係る超音波診断装置、画像処理装置及び画像処理プログラムを説明する。なお、以下では、一例として、以下に説明する実施形態が超音波診断装置に適用される場合を説明するが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、実施形態は、超音波診断装置により収集された超音波画像データを処理することが可能な画像処理装置に対しても適用可能である。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、装置本体100と、超音波プローブ101と、入力装置102と、ディスプレイ103とを有する。超音波プローブ101、入力装置102、及びディスプレイ103は、装置本体100に接続される。
【0009】
超音波プローブ101は、複数の振動子(例えば、圧電振動子)を有し、これら複数の振動子は、後述する装置本体100が有する送受信回路110から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ101が有する複数の振動子は、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ101は、振動子に設けられる整合層と、振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。
【0010】
超音波プローブ101から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号(エコー信号)として超音波プローブ101が有する複数の振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送受信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
【0011】
なお、第1の実施形態は、図1に示す超音波プローブ101が、複数の圧電振動子が一列で配置された1次元超音波プローブである場合や、一列に配置された複数の圧電振動子が機械的に揺動されるメカ4D(Dimension)超音波プローブである場合、複数の圧電振動子が格子状に2次元で配置された2次元超音波プローブである場合のいずれであっても適用可能である。
【0012】
入力装置102は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等を有し、超音波診断装置1の操作者からの各種設定要求を受け付け、装置本体100に対して受け付けた各種設定要求を転送する。
【0013】
ディスプレイ103は、超音波診断装置1の操作者が入力装置102を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体100において生成された表示用画像データ等を表示したりする。
【0014】
装置本体100は、超音波プローブ101が受信した反射波信号に基づいて表示用画像データを生成する装置である。装置本体100は、例えば、図1に示すように、送受信回路110と、信号処理回路120と、画像処理回路130と、処理回路140と、内部記憶回路150と、画像メモリ160と、フレームバッファ170とを有する。送受信回路110、信号処理回路120、画像処理回路130、処理回路140、内部記憶回路150、画像メモリ160、及びフレームバッファ170は、相互に通信可能に接続される。
【0015】
送受信回路110は、パルス発生器、送信遅延部、パルサ等を有し、超音波プローブ101に駆動信号を供給する。パルス発生器は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、送信遅延部は、超音波プローブ101から発生される超音波をビーム状に集束し、かつ送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルス発生器が発生する各レートパルスに対し与える。また、パルサは、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ101に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、送信遅延部は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面から送信される超音波の送信方向を任意に調整する。
【0016】
なお、送受信回路110は、後述する処理回路140の指示に基づいて、所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、又は、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
【0017】
また、送受信回路110は、プリアンプ、A/D(Analog/Digital)変換器、受信遅延部、加算器等を有し、超音波プローブ11が受信した反射波信号に対して各種処理を行って反射波データを生成する。プリアンプは、反射波信号をチャネル毎に増幅する。A/D変換器は、増幅された反射波信号をA/D変換する。受信遅延部は、受信指向性を決定するために必要な遅延時間を与える。加算器は、受信遅延部によって処理された反射波信号の加算処理を行って反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。
【0018】
送受信回路110は、被検体Pの2次元領域を走査する場合、超音波プローブ101から2次元方向に超音波ビームを送信させる。そして、送受信回路110は、超音波プローブ101が受信した反射波信号から2次元の反射波データを生成する。また、送受信回路110は、被検体Pの3次元領域を走査する場合、超音波プローブ101から3次元方向に超音波ビームを送信させる。そして、送受信回路110は、超音波プローブ101が受信した反射波信号から3次元の反射波データを生成する。
【0019】
信号処理回路120は、例えば、送受信回路110から受信した反射波データに対して、対数増幅、包絡線検波処理等を行って、サンプル点ごとの信号強度が輝度で表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。具体的には、信号処理回路120は、組織の断層像や造影剤エコー成分を表すデータ(Bモードデータ)を生成する。信号処理回路120により生成されたBモードデータは、画像処理回路130に出力される。
【0020】
また、信号処理回路120は、例えば、送受信回路110から受信した反射波データより、移動体のドプラ効果に基づく運動情報を、走査領域内の各サンプル点で抽出したデータ(ドプラデータ)として生成する。具体的には、信号処理回路120は、反射波データからドプラ効果に基づいて血流成分(カラードプラ成分)や組織成分(組織ドプラ成分)を抽出し、平均速度、分散、パワー等の移動体情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。ここで、移動体とは、例えば、血流や、心壁等の組織、造影剤である。信号処理回路120により得られた運動情報は、画像処理回路130に送られ、平均速度画像、分散画像、パワー画像、若しくはこれらの組み合わせ画像としてディスプレイ103に表示される。
【0021】
ここで、信号処理回路120において生成されるBモードデータやドプラデータは、超音波走査の走査線信号列で表されるデータであり、「Rawデータ(ローデータ)」と称される。つまり、Rawデータは、超音波プローブの種類(リニアプローブ、コンベックスプローブ、セクタプローブ等)に応じた形状の空間が走査線信号列で表されたデータである。なお、本実施形態では、3次元空間に対する超音波走査により収集されるRawデータを「3次元Rawデータ」と称する。
【0022】
画像処理回路130は、信号処理回路120により生成されたデータから表示用画像データを生成する。2次元走査の場合、画像処理回路130は、信号処理回路120が生成したBモードデータから反射波の強度を輝度で表した表示用のBモード画像データを生成する。また、画像処理回路130は、信号処理回路120が生成したドプラデータから移動体情報を表す表示用のドプラ画像データを生成する。ドプラ画像データは、速度画像データ、分散画像データ、パワー画像データ、又は、これらを組み合わせた画像データである。
【0023】
ここで、画像処理回路130は、一般的には、超音波走査の走査線信号列(Rawデータ)を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用画像データを生成する。具体的には、画像処理回路130は、超音波プローブ101による超音波の走査形態に応じて座標変換を行うことで、表示用画像データを生成する。
【0024】
すなわち、Bモードデータ及びドプラデータは、スキャンコンバート処理前の超音波データ(Rawデータ)であり、画像処理回路130が生成するデータは、スキャンコンバート処理後の表示用画像データである。ここでは以降の説明を容易にするためRawデータを超音波画像データとも呼ぶ。また、画像処理回路130は、信号処理回路120が3次元Rawデータ(3次元Bモードデータ及び3次元ドプラデータ)を生成した場合、3次元Rawデータに対し補間処理を行うことで、ボクセルデータと呼ぶ3次元の画像データを生成することもある。ここでは以降の説明を容易にするため3次元Rawデータ及びボクセルデータを含めて超音波画像データと呼ぶ。そして、画像処理回路130は、3次元の超音波画像データに対して、超音波プローブ101による超音波の走査形態に応じた座標変換や各種レンダリング処理を行って、2次元の画像データ、即ち表示用画像データを生成する。
【0025】
ここで、「ボクセルデータ」とは、例えば、予め規定された3次元のデータ空間に対して3次元Rawデータが組み込まれたデータを表す。つまり、例えば、画像処理回路130は、3次元Bモードデータを、予め規定された3次元のデータ空間に座標変換(補間)して組み込むことにより、3次元のBモード画像データをボクセルデータとして生成する。また、画像処理回路130は、3次元ドプラデータを、予め規定された3次元のデータ空間に座標変換して組み込むことにより、3次元のドプラ画像データをボクセルデータとして生成する。なお、言い換えると、ボクセルデータとしてデータ空間に割り当てられる前の状態(補間処理が行われていない状態)のデータを、「Rawデータ」と称する。また、以下の実施形態では、「Rawデータ」と「ボクセルデータ」とを総称して「超音波画像データ」と表記する。
【0026】
処理回路140は、超音波診断装置1の処理全体を制御する。具体的には、処理回路140は、入力装置102を介して操作者から入力された各種設定要求や、内部記憶回路150から読込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送受信回路110、信号処理回路120、及び画像処理回路130の処理を制御する。また、処理回路140は、フレームバッファ170が記憶する表示用画像データをディスプレイ103にて表示するように制御する。
【0027】
また、処理回路140は、図1に示すように、表示制御機能141と、受付機能142とを実行する。ここで、例えば、図1に示す処理回路140の構成要素である表示制御機能141及び受付機能142が実行する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で超音波診断装置1の記憶装置(例えば、内部記憶回路150)に記録されている。処理回路140は、各プログラムを記憶装置から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路140は、図1の処理回路140内に示された各機能を有することとなる。なお、表示制御機能141及び受付機能142が実行する各処理機能については、後述する。
【0028】
内部記憶回路150は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行うための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。また、内部記憶回路150は、必要に応じて、画像メモリ160が記憶する画像データの保管等にも使用される。また、内部記憶回路150が記憶するデータは、図示しないインタフェースを介して、外部装置へ転送することができる。
【0029】
画像メモリ160は、信号処理回路120乃至画像処理回路130が生成した超音波画像データを記憶するメモリである。例えば、画像メモリ160は、超音波画像データとして、複数の走査平面に対応する3次元Rawデータを記憶する。また、例えば、画像メモリ160は、3次元Rawデータが予め規定されたデータ空間に組み込まれたボクセルデータを記憶することも可能である。
【0030】
画像メモリ160が記憶するBモードデータやドプラデータ、即ちRawデータは、例えば、診断の後に操作者が呼び出すことが可能となっており、画像処理回路130を経由して表示用画像データとなる。
【0031】
フレームバッファ170は、ディスプレイ103に表示されるための表示用画像データ(フレームバッファデータ)を保存する記憶領域である。例えば、フレームバッファ170に保存された表示用画像データは、線形補間などの補間処理によってディスプレイ103の表示サイズ(ピクセル数)の表示画像に変換される。そして、変換後の表示画像がディスプレイ103に表示される。例えば、フレームバッファ170は、表示用画像データとして、画像処理回路130により生成されるMPR(Multi Planar Reconstruction)画像データ及びVR(Volume Rendering)画像データを保存する。
【0032】
なお、第1の実施形態に係る超音波診断装置1において、3次元Rawデータは、種々の収集方法により収集可能である。例えば、3次元Rawデータの収集方法としては、以下の4通りの方法が代表的である。
【0033】
第1の方法は、Sensor3D法と呼ばれる方法である。Sensor3D法は、2次元の走査平面を走査する超音波プローブ101の位置情報を取得しつつ、超音波プローブ101を走査平面に略垂直方向に移動させることで、位置の異なる複数フレームの2次元のRawデータを3次元Rawデータとして収集する方法である。Sensor3D法では、各フレームは必ずしも等間隔とは限らないので、各フレームの2次元のRawデータが収集された時の位置情報に基づいて、サンプル位置が等間隔に並んだボクセルデータが生成される。
【0034】
第2の方法は、Smart3D法と呼ばれる方法である。Smart3D法は、超音波プローブ101を走査平面に略垂直方向に移動させることで、複数フレームの2次元のRawデータを収集し、複数フレームの2次元のRawデータにおける各フレーム(サンプル位置)が等間隔に並んでいると仮定して3次元Rawデータを収集する方法である。この場合、各フレームが等間隔に並んでいると仮定しているので、ボクセルデータは必ずしも生成しなくてよい。
【0035】
第3の方法は、Mecha4D法と呼ばれる方法である。Mecha4D法は、2次元の走査平面を走査する1次元アレー(振動子群)を走査平面に略垂直方向に機械的に搖動するメカ4Dプローブを用いて、複数フレームの2次元のRawデータを3次元Rawデータとして収集する方法である。Mecha4D法では、機械的な揺動により各フレームの2次元のRawデータの位置関係が既知(等間隔)となるため、この位置関係に基づいて、3次元Rawデータが生成される。この場合、各フレームが等間隔に並んでいるので、ボクセルデータは必ずしも生成しなくてよい。
【0036】
第4の方法は、2次元アレー法と呼ばれる方法である。2次元アレー法は、格子状に並んだ複数の振動子を有する2次元アレー型の超音波プローブを用いて3次元的に超音波走査を行って3次元Rawデータを収集する方法である。2次元アレー法により収集された3次元Rawデータの各サンプル位置は等間隔となる。この場合、各サンプル位置が等間隔なので、ボクセルデータは必ずしも生成しなくてよい。
【0037】
なお、第1の実施形態では、Sensor3D法により3次元Rawデータを収集する場合を説明するが、実施形態はこれに限定されるものではなく、Sensor3D法以外の任意の収集方法により収集される場合にも適用可能である。
【0038】
ところで、一般的には、ズーム機能(拡大機能及び縮小機能)は、フレームバッファ170に保存された表示用画像データを、ディスプレイ103の表示サイズに合わせて補間して表示する。このため、ディスプレイ103に表示される表示画像の表示分解能は、フレームバッファ170の解像度によって規定されてしまう。つまり、表示画像を拡大しても、フレームバッファ170の解像度以上の解像度を得ることはできない。更に、通常、フレームバッファ170の解像度は、表示用画像データの元になる画像データ(超音波画像データ)の解像度より劣るので、表示画像を拡大しても元の画像データの解像度を得ることは同様にできない。
【0039】
図2を用いて、フレームバッファ170に保存された画像データを用いて拡大する場合について説明する。図2は、フレームバッファ170に保存された画像データを用いて拡大する場合について説明するための図である。図2には、3次元Rawデータがディスプレイ103に表示されるまでの一連の処理と、各段階における画像データの解像度とを関連づけて例示する。数値で例示されている各段階における画像データの解像度の意味は、例えば、3次元Rawデータで1024*512ピクセルの画像データがボクセルデータで820*410ピクセルになる場合、同じ領域の画像データを3次元Rawデータでは1024*512ピクセルに収め、ボクセルデータでは820*410ピクセルに収めるという意味で、従って3次元Rawデータの方が解像度がよいということになる。なお、図2では、リニアプローブをエレベーション方向(振動子配列に対して垂直方向)に移動させて、Sensor3D法により3次元Rawデータを収集した場合を一例として説明する。
【0040】
図2に示すように、S10において、例えば、Sensor3D法により3次元Rawデータが収集される。例えば、信号処理回路120は、複数フレームの2次元のBモードデータがエレベーション方向に並んだデータを、3次元Rawデータとして生成する。そして、生成された3次元Rawデータは、画像メモリ160内の記憶領域(3次元Rawデータメモリ)に格納される。なお、以下では、3次元RawデータとしてBモードデータが用いられる場合を説明するが、これに限らず、超音波診断装置1により収集可能な任意の形式のRawデータ(ドプラデータなど)が用いられても良い。また、以下に例示する画像データのサンプル数はあくまで一例であり、任意のサンプル数に変更可能である。
【0041】
3次元Rawデータにおいて、X軸方向は深さ方向(レンジ方向)、Y軸方向は走査方向(アジマス方向)、Z軸方向は超音波プローブ101の移動方向(エレベーション方向)に対応する。3次元RawデータのX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向のサンプル数は、例えば、1024*512*400である。つまり、図2に例示の3次元Rawデータは、各走査線におけるサンプル数が1024サンプルであり、走査線の本数が512本であるBモードデータが、エレベーション方向に沿って400枚並んだ画像データに対応する。
【0042】
なお、Sensor3D法では、超音波プローブ101の移動が手動で行われる。このため、手ぶれ等の影響により、複数フレームのBモードデータは、必ずしも一方向かつ等間隔に並ぶとは限らない。このため、各フレームのBモードデータの収集時における位置情報が位置センサ(磁気センサやジャイロセンサ等)によって取得され、各フレームのBモードデータに対応づけて画像メモリ160に記憶されている。
【0043】
続いて、S11において、3次元Rawデータからボクセルデータが生成される。例えば、画像処理回路130は、3次元Rawデータと位置情報とを画像メモリ160から読み出す。そして、画像処理回路130は、サンプル位置が必ずしも等間隔でない3次元Rawデータに対して位置情報を用いた補間処理を行って、サンプル位置が等間隔に並んだボクセルデータを生成する。具体的には、画像メモリ160は、予めサンプル数が規定されたボクセルデータ用のデータ空間(ボクセルデータメモリ)を有する。そして、画像処理回路130は、ボクセルデータメモリに対応するデータを、3次元Rawデータの補間処理により生成し、生成したデータをボクセルデータメモリに組み込む。
【0044】
ボクセルデータメモリにおいて、X’軸方向はX軸方向、Y’軸方向はY軸方向、Z’軸方向はZ軸方向に対応する。ボクセルデータメモリのX’軸方向、Y’軸方向、及びZ’軸方向のサンプル数は、例えば、1024*512*512である。ボクセルデータメモリに格納されたボクセルデータは、補間処理によりX’軸方向、Y’軸方向、及びZ’軸方向のデータが等間隔に並ぶこととなる。
【0045】
続いて、S12Aにおいて、ボクセルデータからMPR画像データが生成され、フレームバッファ170に格納される。例えば、画像処理回路130は、ボクセルデータに対してMPR処理を行ってMPR画像データを生成する。
【0046】
具体例として、A面、B面、及びC面のMPR画像と、VR画像とを表示する4画面表示が行われる場合を説明する。この場合、画像処理回路130は、A面、B面、及びC面のMPR画像データをそれぞれ生成する。そして、画像処理回路130は、生成した3つのMPR画像データを、3つの異なるフレームバッファ170にそれぞれ格納する。
【0047】
MPR画像データは、X’’軸方向及びY’’軸方向を有する。例えば、A面のMPR画像データは、X’−Y’面に対応する画像データである。また、B面のMPR画像データは、X’−Z’面に対応する画像データである。また、C面のMPR画像データは−Y’−Z’面に対応する画像データである。また、フレームバッファ170(フレームバッファデータ)のサイズは、例えば、512*512ピクセルである。
【0048】
また、S12Bにおいて、ボクセルデータからVR画像データが生成され、フレームバッファ170に格納される。例えば、画像処理回路130は、ボクセルデータに対してVR処理を行ってVR画像データを生成する。例えば、4画面表示が行われる場合、画像処理回路130は、MPR画像データのフレームバッファ170とは異なるフレームバッファ170に、VR画像データを格納する。つまり、4画面表示が行われる場合には、4画面それぞれに相当する4つのフレームバッファ170が備えられる。なお、フレームバッファ170のピクセル数(サイズ)は、例えば、512*512ピクセルである。
【0049】
そして、S13において、MPR画像データ及びVR画像データから表示画像が生成され、ディスプレイ103に表示される。一般的に、フレームバッファのピクセル数は、ディスプレイ103のピクセル数と異なる。このため、例えば、表示制御機能141は、線形補間などの補間処理を行って、フレームバッファ170に保存された画像データのピクセル数をディスプレイ103のピクセル数に合わせて表示する。具体例として、700*800ピクセルのディスプレイ103で4画面表示が行われる場合、各表示画像のX’’’−Y’’’面のピクセル数は、350*400ピクセルである。
【0050】
ここで、超音波画像データの解像度は、データのサンプリング間隔(mm)と音場の拡がり(mm)で決まる。すなわち、レンジ方向は、深さ方向のサンプリングピッチと超音波のパルス長、アジマス方向は、走査線の間隔と超音波ビームの方位方向の幅、エレベーション方向は、(フレームピッチ)=(プローブの移動速度)/(フレームレート)と超音波ビームのスライス方向の幅のうち粗い方で決まる。ここでは、理にかなった場合として、下記初期状態においてデータのサンプリング間隔と音場の拡がりは同等である場合を考える。すなわち、サンプリング間隔を変えると解像度が変わる。
【0051】
まず、初期状態(ズーム機能を用いずに表示した状態)として、収集した領域の全体像が表示される場合の解像度について説明する。なお、以下では、4画面表示で表示される4つの表示画像のうち、代表例としてA面のMPR画像の解像度について説明する。なお、他の表示画像(B面のMPR画像、C面のMPR画像、及びVR画像)の解像度については、A面のMPR画像の解像度と同様に算出可能であるため説明を省略する。
【0052】
3次元RawデータからA面の全体像が表示される場合、X−Y面1024*512ピクセルである3次元Rawデータから、X’−Y’面1024*512ピクセルのボクセルデータが生成される。この場合、3次元Rawデータ及びボクセルデータのピクセル数は同一であるが、3次元Rawデータは、超音波プローブ101を移動させる際の手ぶれや被検体表面の起伏等により各フレームのBモードデータの位置関係がずれた状態で収集されている。このように、位置ずれを含む3次元Rawデータ全体をボクセルデータに変換する場合、3次元Rawデータは縮小されてボクセルデータに変換されるため、ボクセルデータの解像度は低下する。例えば、80%に3次元Rawデータが縮小される場合、3次元RawデータのX−Y面1024*512ピクセルがボクセルデータのX’−Y’面820*410ピクセルに変換される。
【0053】
なお、B面のMPR画像についても同様である。つまり、例えば、3次元RawデータのZ軸方向のフレーム間隔がボクセルデータのZ’軸方向のサンプルピッチよりも小さい状態でプローブを動かした場合に、3次元Rawデータをボクセルデータに変換する場合には、フレームが間引かれる様な状態になり、ボクセルデータの解像度は低下する。
【0054】
次に、X’−Y’面1024*512ピクセルのボクセルデータから、X’’−Y’’面512*512ピクセルのフレームバッファデータが生成される。ここで、同じ画像に対してX’軸1024ピクセルからX’’軸512ピクセルへとピクセル数が2分の1に減少しているので、フレームバッファデータを生成する時点で解像度は低下する。図2の例では、ボクセルデータのX’−Y’面820*410ピクセルがフレームバッファデータのX’’−Y’’面410*205ピクセルに変換される。
【0055】
そして、フレームバッファデータが表示される際には、補間処理により350*400の表示ピクセルに変換することで、最終的な表示画像の解像度が決まる。表示においてもX’’軸512ピクセルからX’’’軸350ピクセルへとピクセル数が減少するので、解像度は低下する。図2の例では、フレームバッファデータのX’’−Y’’面410*205ピクセルが表示画像のX’’’−Y’’’面280*140ピクセルに変換される。
【0056】
ここで、S14Aにおいて、拡大機能により表示画像を拡大する場合、一般的にはパフォーマンス(処理時間)を優先して、初期状態のフレームバッファデータを用いて補間処理のピッチ(mm)を細かくして拡大する。
【0057】
例えば、一辺の長さを4倍に拡大する場合(面積としては16倍に拡大する場合)、フレームバッファデータのX’’−Y’’面410*205ピクセルの1/4の大きさの拡大領域102*51ピクセルが、表示画像のX’’’−Y’’’面280*140ピクセルに変換されることにより4倍に拡大され、拡大された画像がディスプレイ103に表示される。この場合、ディスプレイ103に表示されるのはフレームバッファデータ102*51ピクセルだけではなく、ディスプレイ103の350*400ピクセルに表示できる、より広い範囲のフレームバッファデータが表示されるが、表示領域の対応付けが分かればよいので、説明を簡単にするため、以降、「フレームバッファデータの拡大領域102*51ピクセルが表示画像280*140ピクセルで表示される」等と記述する。画像に描出されるオブジェクトは拡大されて表示されるものの、拡大後の表示画像(拡大画像)の解像度は、3次元Rawデータより解像度の低いフレームバッファデータの解像度で決まってしまう。すなわち、フレームバッファデータを用いて拡大する場合、フレームバッファデータの内の拡大領域X’’−Y’’面102*51ピクセルの解像度によって規定されてしまうため、解像度は3次元Rawデータの解像度より低下してしまう。
【0058】
そこで、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、拡大画像の解像度を向上させるために、以下の構成を備える。
【0059】
すなわち、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、画像処理回路130と、表示制御機能141と、受付機能142とを有する。画像処理回路130は、超音波画像データから表示用画像データを生成する。表示制御機能141は、表示用画像データを表示部に表示させる。受付機能142は、表示部に表示された表示用画像データに対する操作を操作者から受け付ける。画像処理回路130は、表示用画像データを拡大させるための拡大操作を受付機能142が受け付けた場合に、超音波画像データを拡大操作に応じて拡大させ、拡大後の超音波画像データから新たな表示用画像データを再生成する。
【0060】
例えば、超音波診断装置1は、フレームバッファデータよりも解像度が高い3次元Rawデータ若しくはボクセルデータを用いて表示画像を拡大する。これにより、超音波診断装置1は、拡大画像の解像度を向上させることができる。
【0061】
図3及び図4を用いて、第1の実施形態に係る超音波診断装置1による拡大機能について説明する。図3及び図4は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1による拡大機能について説明するための図である。なお、図3及び図4において、S10〜S13の処理内容は、図2に示したS10〜S13の処理内容と同一であるので説明を省略する。
【0062】
図3に示すように、S14Bにおいて、3次元Rawデータが拡大のため選択される。例えば、受付機能142は、ディスプレイ103に表示された表示画像上で、表示画像を拡大させるための拡大操作を操作者から受け付ける。そして、受付機能142は、受け付けた拡大操作に関する情報を、画像処理回路130に通知する。例えば、受付機能142は、拡大される領域の中心座標と、拡大率とを画像処理回路130に通知する。
【0063】
そして、画像処理回路130は、拡大操作に関する情報が受付機能142から通知されると、通知された情報に基づいて、3次元Rawデータを拡大のため選択する。例えば、画像処理回路130は、拡大される領域(関心領域)の中心座標及び拡大率に基づいて、3次元Rawデータから拡大対象となる領域を抽出する。そして、画像処理回路130は、抽出した領域の3次元Rawデータを用いて、拡大率に応じて拡大されたボクセルデータ、フレームバッファデータを順に再生成する。
【0064】
例えば、図2のS14Aと同様に、一辺の長さを4倍に拡大する場合(面積としては16倍に拡大する場合)、3次元RawデータのX−Y面1024*512ピクセルからX−Y面256*128ピクセルが選択され、この画像データが拡大される。即ち、X−Y面256*128ピクセルの3次元Rawデータが、位置ずれを加味したX’−Y’面820*410ピクセルのボクセルデータに変換されることにより拡大される。そして、X’−Y’面820*410ピクセルのボクセルデータが、X’’−Y’’面410*205のフレームバッファデータに変換される。そして、X’’−Y’’面410*205ピクセルのフレームバッファデータが、X’’’−Y’’’面280*140ピクセルの表示画像に変換される。
【0065】
つまり、フレームバッファデータの4倍拡大(図2の例)では、X’’−Y’’面102*51ピクセルの画像データが、X’’’−Y’’’面280*140ピクセルで表示されるため、解像度は3次元Rawデータより解像度の低いフレームバッファの解像度で規定され、解像度が低下する。これに対して、3次元Rawデータの4倍拡大(図3の例)では、X−Y面256*128ピクセルの3次元Rawデータが、フレームバッファ170でX’’−Y’’面410*205となり、X’’’−Y’’’面280*140の表示画像として表示される。このため、3次元Rawデータの4倍拡大では、全体としては解像度が低下しないこととなる。
【0066】
すなわち、フレームバッファデータを用いた拡大では、3次元Rawデータより解像度が低いフレームバッファデータX’’−Y’’面102*51ピクセルで解像度が律則(規定)され、3次元Rawデータを用いた拡大では、フレームバッファデータより解像度が高い3次元RawデータX−Y面256*128ピクセルで解像度が律則される。したがって、3次元Rawデータを用いて表示画像を拡大することで、フレームバッファデータを用いて拡大する場合と比較して拡大画像の解像度を向上させることができ、診断能を向上させることができる。
【0067】
また、図4に示すように、S14Cにおいて、ボクセルデータが拡大される。なお、ボクセルデータを用いた拡大の処理内容は、拡大対象となる画像データがボクセルデータである点を除き、図3に示した3次元Rawデータを用いた拡大の処理内容と同様である。
【0068】
例えば、図2のS14Aと同様に、一辺の長さを4倍に拡大する場合(面積としては16倍に拡大する場合)、ボクセルデータのX’−Y’面820*410ピクセルから、X’−Y’面205*102ピクセルが選択される。そして、X’−Y’面205*102ピクセルのボクセルデータが、X’’−Y’’面410*205のフレームバッファデータに変換されることにより拡大される。そして、X’’−Y’’面410*205ピクセルのフレームバッファデータが、X’’’−Y’’’面280*140ピクセルの表示画像に変換される。
【0069】
つまり、フレームバッファデータの4倍拡大(図2の例)では、X’’−Y’’面102*51ピクセルの画像データが、X’’’−Y’’’面280*140ピクセルで表示されるのに対して、ボクセルデータの4倍拡大(図4の例)では、X−Y面205*102ピクセルのボクセルデータが、フレームバッファ170でX’’−Y’’面410*205となり、X’’’−Y’’’面280*140の表示画像として表示される。
【0070】
すなわち、フレームバッファデータを用いた拡大では、X’’−Y’’面102*51ピクセルで解像度が律則(規定)され、ボクセルデータを用いた拡大では、X’−Y’面205*102ピクセルで解像度が律則される。したがって、ボクセルデータを用いて表示画像を拡大することで、フレームバッファデータを用いて拡大する場合と比較して拡大画像の解像度を向上させることができ、診断能を向上させることができる。また、ボクセルデータを用いた拡大では、3次元Rawデータを用いた拡大と比較して解像度が低下するものの、3次元Rawデータからボクセルデータへの変換処理が発生しないので、パフォーマンスの点で有利である。
【0071】
なお、図2から図4の内容はあくまで一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、図2から図4において説明したデータ数(ピクセル数)はあくまで一例であり、超音波診断装置1の構成に応じて適宜変更されて良い。
【0072】
また、図2から図4では、説明の簡略化のため、超音波プローブ101がリニアプローブである場合を説明したが、これに限らず、コンベックスプローブやセクタプローブ等、任意の形状の超音波プローブ101が適用可能である。
【0073】
図5を用いて、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の処理手順について説明する。図5は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の処理手順を示すフローチャートである。図5に示す処理手順は、例えば、4画面表示を開始する旨の指示を操作者から受け付けた場合に、開始される。
【0074】
ステップS101において、処理回路140は、表示を開始するか否かを判定する。例えば、処理回路140は、4画面表示を開始する旨の指示を操作者から受け付けた場合に、表示を開始すると判定し(ステップS101肯定)、ステップS102以降の処理を開始する。なお、表示を開始しない場合(ステップS101否定)、ステップS102以降の処理は開始されず、各処理機能は待機状態である。
【0075】
ステップS101が肯定されると、ステップS102において、画像処理回路130は、3次元Rawデータからボクセルデータを生成する。例えば、画像処理回路130は、3次元Rawデータと位置情報とを画像メモリ160から読み出す。そして、画像処理回路130は、サンプル位置が必ずしも等間隔でない3次元Rawデータに対して位置情報を用いた補間処理を行って、サンプル位置が等間隔に並んだボクセルデータを生成する。
【0076】
ステップS103において、画像処理回路130は、ボクセルデータから表示用画像データを生成する。例えば、画像処理回路130は、ボクセルデータに対してMPR処理を行ってMPR画像データを生成する。また、画像処理回路130は、ボクセルデータに対してVR処理を行ってVR画像データを生成する。
【0077】
ステップS104において、画像処理回路130は、表示用画像データをディスプレイ103に表示させる。例えば、表示制御機能141は、線形補間などの補間処理を行って、フレームバッファ170に保存された表示用画像データのピクセル数をディスプレイ103のピクセル数に合わせることで、表示画像を生成する。そして、表示制御機能141は、生成した表示画像をディスプレイ103に表示させる。
【0078】
ステップS105において、受付機能142は、拡大操作(若しくは縮小操作)を受け付けたか否かを判定する。例えば、受付機能142は、ディスプレイ103に表示された表示画像上で、表示画像を拡大させるための拡大操作(若しくは縮小操作)を操作者から受け付けると(ステップS105肯定)、受け付けた拡大操作に関する情報を画像処理回路130に通知し、ステップS106の処理へ移行する。一方、受付機能142は、拡大操作(若しくは縮小操作)を操作者から受け付けない場合(ステップS105否定)、ステップS109の処理へ移行する。
【0079】
ステップS106において、画像処理回路130は、拡大操作(若しくは縮小操作)に応じて、3次元Rawデータ又はボクセルデータを拡大若しくは縮小する。例えば、画像処理回路130は、拡大操作に関する情報が受付機能142から通知されると、通知された情報に基づいて、3次元Rawデータ又はボクセルデータを拡大する。
【0080】
ステップS107において、画像処理回路130は、3次元Rawデータ又はボクセルデータから拡大後(若しくは縮小後)の新たな表示用画像データを再生成する。例えば、画像処理回路130は、3次元Rawデータから拡大後のボクセルデータ、フレームバッファデータを順に再生成する。若しくは、例えば、画像処理回路130は、ボクセルデータから拡大後のフレームバッファデータを再生成する。
【0081】
ステップS108において、表示制御機能141は、新たな表示用画像データをディスプレイ103に表示させる。例えば、表示制御機能141は、3次元Rawデータ又はボクセルデータから生成された拡大後のフレームバッファデータをディスプレイ103に表示させる。
【0082】
ステップS109において、処理回路140は、表示を終了するか否かを判定する。例えば、処理回路140は、4画面表示を終了する旨の指示を操作者から受け付けた場合に、表示を終了すると判定し(ステップS109肯定)、図5の処理手順を終了する。なお、表示を終了しない場合(ステップS109否定)、ステップS105の処理に移行する。
【0083】
このように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、フレームバッファ170に保存された画像データよりも解像度が高い超音波画像データを用いて表示画像を拡大する。これにより、超音波診断装置1は、拡大画像の解像度を向上させ、診断能を向上させることができる。
【0084】
例えば、超音波診断装置1において、画像処理回路130は、受付機能142が拡大操作を受け付けた場合に、3次元Rawデータを用いて拡大操作を行い、拡大後の新たな表示用画像データを再生成する。これにより、超音波診断装置1は、フレームバッファデータを用いて拡大画像を生成する場合と比較して、解像度を向上させることができる。
【0085】
また、例えば、超音波診断装置1において、画像処理回路130は、受付機能142が拡大操作を受け付けた場合に、ボクセルデータを用いて拡大操作を行い、拡大後の新たな表示用画像データを再生成する。これにより、超音波診断装置1は、3次元Rawデータを用いた拡大と比較して解像度が低下するものの、フレームバッファデータを用いて拡大画像を生成する場合と比較して高解像度の拡大画像を、早い処理時間(応答時間)で提供することができる。
【0086】
なお、第1の実施形態では、超音波画像データとして、3次元Rawデータ又はボクセルデータを用いて拡大を行う場合を説明したが、3次元Rawデータ及びボクセルデータのいずれを用いて拡大を行うかについては、適宜設定可能である。例えば、3次元Rawデータ及びボクセルデータのいずれを用いて拡大を行うかが予め設定されていても良いし、表示対象となる撮像部位に応じて設定されていても良い。また、3次元Rawデータ及びボクセルデータのいずれを用いるかを毎回操作者に確認する形態であってもよい。
【0087】
(第1の実施形態の変形例)
上記の実施形態にて説明した例では、3次元Rawデータ又はボクセルデータから再び画像生成処理を行うこととなるため、フレームバッファデータを用いて拡大する場合と比較して処理時間がかかることとなる。そこで、第1の実施形態の変形例では、この処理時間による影響を低減し、パフォーマンスを改善するための処理を説明する。
【0088】
図6及び図7を用いて、第1の実施形態の変形例に係る超音波診断装置1の処理を説明する。図6及び図7は、第1の実施形態の変形例に係る超音波診断装置1の処理を説明するための図である。なお、図6及び図7では、4画面表示が行われる場合を説明する。また、図6及び図7では、連続的に拡大若しくは縮小を行う場合を説明する。
【0089】
図6に示すように、初期状態では、A面、B面、及びC面のMPR画像と、VR画像とを含む表示画像10が表示される(S20)。この表示画像10には、拡大中心としてマーカ11,12,13が表示される。マーカ11は、A面のMPR画像における拡大中心を示し、マーカ12は、B面のMPR画像における拡大中心を示し、マーカ13は、C面のMPR画像における拡大中心を示す。
【0090】
そして、操作者は、例えば、トラックボール102Aを回転させることで、各マーカ11,12,13を関心領域の中心位置に移動させる(S21)。
【0091】
そして、操作者は、ロータリースイッチ(拡大ボタン)102Bを回転させることで、表示画像の拡大操作を行う。この場合、表示画像20に含まれるA面、B面、及びC面のMPR画像は、各マーカ11,12,13の位置を中心として拡大される。
【0092】
ここで、ロータリースイッチ102Bの回転操作により拡大している間は、フレームバッファ170に保存されたフレームバッファデータを用いて拡大する。例えば、表示制御機能141は、ロータリースイッチ102Bの回転により指定された拡大率でフレームバッファデータを拡大する。そして、表示制御機能141は、拡大後のフレームバッファデータから表示画像20を生成し、ディスプレイ103に表示させる(S22)。操作者は、この操作により所望の拡大率(関心領域の大きさ)に調整する。
【0093】
そして、操作者は、所望の拡大率になったと判断すると、ロータリースイッチ102Bを押下する。受付機能142は、ロータリースイッチ102Bの押下を受け付けると、操作者による拡大操作に関する情報を画像処理回路130に通知する。画像処理回路130は、拡大操作に関する情報が受付機能142から通知されると、通知された情報に基づいて、3次元Rawデータ又はボクセルデータを拡大する。即ち、画像処理回路130は、3次元Rawデータ又はボクセルデータから拡大後の新たな表示用画像データを再生成する。そして、表示制御機能141は、再生成された新たな表示用画像データから表示画像30を生成し、ディスプレイ103に表示させる(S23)。
【0094】
このように、表示制御機能141は、受付機能142が拡大操作を受け付けた場合に、表示用画像データを拡大操作に応じて拡大させてディスプレイ103に表示させる。そして、画像処理回路130は、拡大操作が完了した後に、超音波画像データを拡大操作に応じて拡大させ、拡大後の新たな表示用画像データを再生成する。例えば、受付機能142は、更に、拡大操作を確定するための確定操作を操作者から受け付ける。そして、画像処理回路130は、受付機能142が確定操作を受け付けた場合に、超音波画像データを拡大操作に応じて拡大させ、拡大後の新たな表示用画像データを再生成する。これにより、操作者が拡大率を調整している場合には、応答時間が早いフレームバッファデータを用いて拡大を行うことができるとともに、拡大率が決定された場合には、解像度が向上した拡大画像を表示することが可能となる。
【0095】
次に、図7を用いて、図6のS23において拡大された表示画像30に対する縮小操作が行われる場合を説明する。図7に示すように、操作者は、例えば、トラックボール102Aを回転させることで、各マーカ11,12,13を関心領域の中心位置に移動させる(S31)。
【0096】
そして、操作者は、ロータリースイッチ(拡大ボタン)102Bを逆回転させることで、表示画像30の縮小操作を行う(S32)。この場合、表示画像30に含まれるA面、B面、及びC面のMPR画像は、各マーカ11,12,13の位置を中心として縮小される。
【0097】
ここで、ロータリースイッチ102Bの回転操作により縮小している間は、フレームバッファ170に保存されたフレームバッファデータを用いて縮小する。例えば、表示制御機能141は、ロータリースイッチ102Bの回転により指定された拡大率でフレームバッファデータを縮小する。そして、表示制御機能141は、縮小後のフレームバッファデータから表示画像40を生成し、ディスプレイ103に表示させる(S32)。この場合、フレームバッファ170には、表示画像30の関心領域に対応する領域に含まれる画像データが保存されており、関心領域の外側の画像データは保存されていない。このため、表示画像40の領域全体には画像データが表示されず、フレームバッファ170に保存された一部の領域の画像データが表示される。なお、操作者は、この操作により所望の拡大率に調整する。
【0098】
そして、操作者は、所望の拡大率になったと判断すると、ロータリースイッチ102Bを押下する。受付機能142は、ロータリースイッチ102Bの押下を受け付けると、操作者による縮小操作に関する情報を画像処理回路130に通知する。画像処理回路130は、縮小操作に関する情報が受付機能142から通知されると、通知された情報に基づいて、3次元Rawデータ又はボクセルデータを拡大する。即ち、画像処理回路130は、3次元Rawデータ又はボクセルデータから拡大後の新たな表示用画像データを再生成する。そして、表示制御機能141は、再生成された新たな表示用画像データから表示画像50を生成し、ディスプレイ103に表示させる(S33)。
【0099】
このように、受付機能142は、ディスプレイ103に表示された表示画像を縮小させるための縮小操作を操作者から受け付ける。そして、表示制御機能141は、受付機能142が縮小操作を受け付けた場合に、表示用画像データを縮小操作に応じて縮小させ、縮小させた縮小画像データをディスプレイ103に表示させる。そして、画像処理回路130は、縮小操作が完了した後に、超音波画像データを縮小操作に応じて縮小させ、縮小後の新たな縮小画像データを再生成する。そして、表示制御機能141は、再生成された新たな縮小画像データをディスプレイ103に表示させる。これにより、操作者が拡大率を調整している場合には、応答時間が早いフレームバッファデータを用いて縮小を行うことができるとともに、拡大率が決定された場合には、表示領域が広がった縮小画像を表示することができる。
【0100】
なお、図6及び図7の内容はあくまで一例であり、図示の内容に限定されるものではない。例えば、図6及び図7では、拡大操作を確定するための確定操作として、ロータリースイッチ102Bの押下を受け付ける場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、受付機能142は、ロータリースイッチ102Bの回転による拡大操作を受け付け後、一定時間操作が行われなかった場合に、拡大操作が完了したものと判断して拡大を行っても良い。すなわち、画像処理回路130は、受付機能142が拡大操作を受け付け後、拡大操作が一定時間行われなかった場合に、超音波画像データを拡大操作に応じて拡大させ、拡大後の新たな表示用画像データを再生成してもよい。
【0101】
また、上述した実施形態では、拡大操作として、拡大される領域の中心座標及び拡大率を指定する場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、A面、B面、C面のMPR画像上に関心領域を設定し、スイッチを押下することにより関心領域の拡大を行うこともできる。すなわち、受付機能142は、拡大操作として、ディスプレイ103に表示された表示用画像データ上に関心領域を設定する設定操作を操作者から受け付ける。そして、画像処理回路130は、受付機能142が設定操作を受け付けた場合に、表示用画像データに対する関心領域の大きさに応じて、関心領域に対応する超音波画像データの領域を拡大させ、拡大後の超音波画像データから新たな表示用画像データを再生成する。
【0102】
また、上述した実施形態において、更に、初期化(イニシャライズ)のための指示を受け付けることも可能である。例えば、操作者は、上述した実施形態により任意の拡大率に拡大若しくは縮小された表示画像がディスプレイ103に表示される場合に、初期の倍率で画像を閲覧したいと考える場合がある。この場合に、操作者が初期化のための指示(初期化ボタンの押下など)を行うと、受付機能142は、この指示を画像処理回路130へ通知する。そして、画像処理回路130は、通知された指示に従って、初期状態の画像データを再生成する。例えば、画像処理回路130は、元の3次元Rawデータを用いて、3次元Rawデータ全体が描出される倍率で、ボクセルデータ及びフレームバッファデータを順に再生成する。
【0103】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、3次元Rawデータの収集方法としてSensor3D法が適用可能な場合の構成を例示したが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、Sensor3D法が適用されず、Smart3D法、Mecha4D法、及び2次元アレー法のいずれかが適用される場合には、簡易な構成で実現可能である。
【0104】
図8を用いて、第2の実施形態に係る超音波診断装置1による拡大機能について説明する。図8は、第2の実施形態に係る超音波診断装置1による拡大機能について説明するための図である。
【0105】
図8に示すように、例えば、Smart3D法により3次元Rawデータが収集される(S40)。例えば、信号処理回路120は、複数フレームの2次元のBモードデータがエレベーション方向に並んだ画像データを、3次元Rawデータとして生成する。この場合、画像処理回路130は、複数フレームのBモードデータにおけるサンプル位置が等間隔に並んでいると仮定して、3次元Rawデータを処理する。
【0106】
つまり、第2の実施形態で用いられる3次元Rawデータは、サンプル位置が等間隔に並んでいるものとして扱われる。このため、画像処理回路130は、第1の実施形態にて説明したボクセルデータを生成することなく、3次元RawデータからMPR画像データ及びVR画像データを生成することができる。そして、画像処理回路130は、生成したMPR画像データ及びVR画像データをフレームバッファ170に格納し(S41A,S41B)、表示画像を表示する(S42)。
【0107】
したがって、第2の実施形態において拡大操作が行われた場合には、画像処理回路130は、3次元Rawデータの拡大領域を選択する(S43)。そして、画像処理回路130は、3次元Rawデータから拡大後のMPR画像データ及びVR画像データを再生成し、再生成されたMPR画像データ及びVR画像データをディスプレイ103に表示させる。
【0108】
これによれば、第2の実施形態に係る超音波診断装置1は、第1の実施形態に係る構成と比較して簡易な構成で実現可能でパフォーマンスも向上する。なお、図8の例では、Smart3D法が適用される場合を説明したが、Mecha4D法、若しくは2次元アレー法が適用される場合にも同様の構成により拡大機能が実現可能である。
【0109】
(その他の実施形態)
上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてもよい。
【0110】
また、上記説明において用いた「プロセッサ(回路)」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路150に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路150にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。更に、各図における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0111】
また、上述した実施形態において、画像処理回路130は、画像処理部の一例である。また、表示制御機能141は、表示制御部の一例である。また、受付機能142は、受付部の一例である。画像処理部、表示制御部、及び受付部の各構成は、ソフトウェアとして実現されても良いし、ハードウェアとして実現されても良いし、或いはソフトウェア及びハードウェアの混合として実現されても良い。
【0112】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0113】
また、上述した実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行なうこともでき、或いは、手動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行なうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0114】
また、上述した実施形態で説明した画像処理方法は、予め用意された画像処理プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この画像処理方法は、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この画像処理方法は、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0115】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、拡大画像の解像度を向上させることができる。
【0116】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0117】
1 超音波診断装置
130 画像処理回路
140 処理回路
141 表示制御機能
142 受付機能
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8