特許第6971679号(P6971679)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6971679通信システム、通信機器、及び、通信制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971679
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】通信システム、通信機器、及び、通信制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 25/02 20060101AFI20211111BHJP
【FI】
   H04L25/02 W
【請求項の数】8
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-144141(P2017-144141)
(22)【出願日】2017年7月26日
(65)【公開番号】特開2019-29707(P2019-29707A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2020年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】石原 正裕
【審査官】 川口 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−010229(JP,A)
【文献】 米国特許第04444999(US,A)
【文献】 特開平04−119051(JP,A)
【文献】 実開平03−069945(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
親機側端子対を備える親機と第1の子機側端子対を備える第1の子機と第2の子機側端子対を備える第2の子機とを備え、前記親機側端子対と前記第1の子機側端子対と前記第2の子機側端子対とが通信線対により相互に接続される通信システムであって、
前記親機は
前記親機側端子対間に電圧を印加し、前記親機側端子対間に電流が流れるときに前記親機側端子対間に印加する電圧を低下させる電圧低下回路を備える電圧印加回路と、
前記親機側端子対間に流れる電流の有無を検出することにより、前記第1の子機から第1のシリアルデータを受信し、前記第2の子機から第2のシリアルデータを受信する受信回路と、を備え、
前記第1の子機は、前記第1の子機側端子対間の導通・非導通状態を制御することにより前記親機に前記第1のシリアルデータを送信する送信回路を備え、
前記第2の子機は、
前記第2の子機側端子対間の導通・非導通状態を制御することにより前記親機に前記第2のシリアルデータを送信する送信回路と、
前記第2の子機側端子対間に印加される電圧が低下したことを検出する電圧低下検出回路と、
前記電圧低下検出回路により前記第2の子機側端子対間に印加された電圧が低下したことが検出されない場合、前記第2の子機が備える前記送信回路に前記第2のシリアルデータを送信させる制御回路と、を備え、
前記電圧印加回路は、前記親機側端子対間に印加する電圧の極性を切り替えることにより前記第2の子機に第3のシリアルデータを送信する送信回路であり、
前記第2の子機は、前記第2の子機側端子対間に印加される電圧の極性を検出することにより前記親機から前記第3のシリアルデータを受信する受信回路を備え、
前記制御回路は、前記親機が備える前記送信回路から前記第3のシリアルデータが送信されないときに前記第2の子機が備える前記受信回路により検出された極性に基づいて、前記第3のシリアルデータの論理を決定する、
通信システム。
【請求項2】
親機側端子対を備える親機と第1の子機側端子対を備える第1の子機と第2の子機側端子対を備える第2の子機とを備え、前記親機側端子対と前記第1の子機側端子対と前記第2の子機側端子対とが通信線対により相互に接続される通信システムであって、
前記親機は
前記親機側端子対間に電圧を印加し、前記親機側端子対間に電流が流れるときに前記親機側端子対間に印加する電圧を低下させる電圧低下回路を備える電圧印加回路と、
前記親機側端子対間に流れる電流の有無を検出することにより、前記第1の子機から第1のシリアルデータを受信し、前記第2の子機から第2のシリアルデータを受信する受信回路と、を備え、
前記第1の子機は、前記第1の子機側端子対間の導通・非導通状態を制御することにより前記親機に前記第1のシリアルデータを送信する送信回路を備え、
前記第2の子機は、
前記第2の子機側端子対間の導通・非導通状態を制御することにより前記親機に前記第2のシリアルデータを送信する送信回路と、
前記第2の子機側端子対間に印加される電圧が低下したことを検出する電圧低下検出回路と、
前記電圧低下検出回路により前記第2の子機側端子対間に印加された電圧が低下したことが検出されない場合、前記第2の子機が備える前記送信回路に前記第2のシリアルデータを送信させる制御回路と、を備え、
前記電圧印加回路は、前記親機側端子対間に印加する電圧の極性を切り替えることにより前記第2の子機に第3のシリアルデータを送信する送信回路であり、
前記第2の子機は、前記第2の子機側端子対間に印加される電圧の極性を検出することにより前記親機から前記第3のシリアルデータを受信する受信回路を備え、
前記第2の子機が備える前記受信回路は、前記第2の子機側端子対のうち一方の端子に印加される電圧に対応する電圧を出力し、
前記制御回路は、前記第2の子機が備える前記受信回路から出力される電圧が閾値以上であるか否かを判別し、
前記第2の子機が備える前記受信回路は、前記電圧印加回路により前記親機側端子対間に第1の極性の電圧が印加される場合、前記親機側端子対間に電流が流れ、前記電圧低下回路により前記親機側端子対間に印加される電圧が低下し、前記親機側端子対と前記第2の子機側端子対とを接続する通信線対による電圧降下により前記第2の子機側端子対間の電圧が低下する場合においても、前記閾値以上の電圧を出力し、
前記第2の子機が備える前記受信回路は、前記電圧印加回路により前記親機側端子対間に前記第1の極性とは逆の極性である第2の極性の電圧が印加される場合、前記親機側端子対間に電流が流れず、前記電圧低下回路により前記親機側端子対間に印加される電圧が低下せず、前記親機側端子対と前記第2の子機側端子対とを接続する前記通信線対による電圧降下により前記第2の子機側端子対間の電圧が低下しない場合においても、前記閾値未満の電圧を出力する、
通信システム。
【請求項3】
前記親機は、前記親機の電源電圧が印加される電源端子を備え、
前記電圧低下回路は、前記親機側端子対間に流れる電流の増加に伴って前記電源端子と前記親機側端子対のうち一方の端子との間に印加される電圧を高くするとともに、前記親機側端子対間に流れる電流を予め定められた閾値以下に抑える電流制限回路である、
請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項4】
記第2の子機は、前記第2の子機側端子対が接続される交流入力端子対と、前記交流入力端子対を介して供給される電流を整流した電流が流れる直流出力端子対と、を備える整流回路を備え、
前記電圧低下検出回路は、前記直流出力端子対間に印加される電圧が低下したことを検出することにより、前記第2の子機側端子対間に印加される電圧が低下したことを検出する、
請求項1から3の何れか1項に記載の通信システム。
【請求項5】
電圧が印加される通信線対により親機と子機とに接続される端子対と、
前記端子対間の導通・非導通状態を制御することにより前記親機にシリアルデータを送信する送信回路と、
前記端子対間に印加される電圧が低下したことを検出する電圧低下検出回路と、
前記電圧低下検出回路により前記端子対間に印加された電圧が低下したことが検出されない場合、前記送信回路に前記シリアルデータを送信させる制御回路と、を備える通信機器であって、
前記親機は、前記通信線対間に印加する電圧の極性を切り替えることにより前記通信機器に第2のシリアルデータを送信し、
前記端子対間に印加される電圧の極性を検出することにより前記親機から前記第2のシリアルデータを受信する受信回路を備え、
前記制御回路は、前記親機から前記第2のシリアルデータが送信されないときに前記受信回路により検出された極性に基づいて、前記第2のシリアルデータの論理を決定する、
通信機器。
【請求項6】
電圧が印加される通信線対により親機と子機とに接続される端子対と、
前記端子対間の導通・非導通状態を制御することにより前記親機にシリアルデータを送信する送信回路と、
前記端子対間に印加される電圧が低下したことを検出する電圧低下検出回路と、
前記電圧低下検出回路により前記端子対間に印加された電圧が低下したことが検出されない場合、前記送信回路に前記シリアルデータを送信させる制御回路と、を備える通信機器であって、
前記親機は、前記通信線対間に印加する電圧の極性を切り替えることにより前記通信機器に第2のシリアルデータを送信し、
前記端子対間に印加される電圧の極性を検出することにより前記親機から前記第2のシリアルデータを受信する受信回路を備え、
前記受信回路は、前記端子対のうち一方の端子に印加される電圧に対応する電圧を出力し、
前記制御回路は、前記受信回路から出力される電圧が閾値以上であるか否かを判別し、
前記受信回路は、前記親機により前記通信線対間に第1の極性の電圧が印加される場合、前記通信線対間に電流が流れ、前記通信線対間に印加される電圧が低下し、前記通信線対による電圧降下により前記端子対間の電圧が低下する場合においても、前記閾値以上の電圧を出力し、
前記受信回路は、前記親機により前記通信線対間に前記第1の極性とは逆の極性である第2の極性の電圧が印加される場合、前記通信線対間に電流が流れず、前記通信線対間に印加される電圧が低下せず、前記通信線対による電圧降下により前記端子対間の電圧が低下しない場合においても、前記閾値未満の電圧を出力する、
通信機器。
【請求項7】
親機側端子対を備える親機と第1の子機側端子対を備える第1の子機と第2の子機側端子対を備える第2の子機とを備え、前記親機側端子対と前記第1の子機側端子対と前記第2の子機側端子対とが通信線対により相互に接続される通信システムにおける通信制御方法であって、
前記親機側端子対間に電圧を印加し、
前記第1の子機側端子対間の導通・非導通状態を制御することにより前記第1の子機から前記親機に第1のシリアルデータを送信し、
前記親機側端子対間に電流が流れるときに前記親機側端子対間に印加される電圧を低下させ、
前記第2の子機側端子対間に印加される電圧が低下しない場合、前記第2の子機側端子対間の導通・非導通状態を制御することにより前記第2の子機から前記親機に第2のシリアルデータを送信し、
前記親機が、前記親機側端子対間に流れる電流の有無を検出することにより、前記第1の子機から前記第1のシリアルデータを受信し、前記第2の子機から前記第2のシリアルデータを受信し、
前記親機側端子対間に印加する電圧の極性を切り替えることにより前記親機から前記第2の子機に第3のシリアルデータを送信し、
前記第2の子機が、前記第2の子機側端子対間に印加される電圧の極性を検出することにより前記親機から前記第3のシリアルデータを受信し、
前記第2の子機が、前記親機から前記第3のシリアルデータが送信されないときに検出した極性に基づいて、前記第3のシリアルデータの論理を決定する、
通信制御方法。
【請求項8】
親機側端子対を備える親機と第1の子機側端子対を備える第1の子機と第2の子機側端子対を備える第2の子機とを備え、前記親機側端子対と前記第1の子機側端子対と前記第2の子機側端子対とが通信線対により相互に接続される通信システムにおける通信制御方法であって、
前記親機側端子対間に電圧を印加し、
前記第1の子機側端子対間の導通・非導通状態を制御することにより前記第1の子機から前記親機に第1のシリアルデータを送信し、
前記親機側端子対間に電流が流れるときに前記親機側端子対間に印加される電圧を低下させ、
前記第2の子機側端子対間に印加される電圧が低下しない場合、前記第2の子機側端子対間の導通・非導通状態を制御することにより前記第2の子機から前記親機に第2のシリアルデータを送信し、
前記親機が、前記親機側端子対間に流れる電流の有無を検出することにより、前記第1の子機から前記第1のシリアルデータを受信し、前記第2の子機から前記第2のシリアルデータを受信し、
前記親機側端子対間に印加する電圧の極性を切り替えることにより前記親機から前記第2の子機に第3のシリアルデータを送信し、
前記第2の子機が、前記第2の子機側端子対間に印加される電圧の極性を検出することにより前記親機から前記第3のシリアルデータを受信し、
前記第2の子機が、前記第2の子機側端子対のうち一方の端子に印加される電圧に対応する電圧を出力し、
前記第2の子機が、前記出力した電圧が閾値以上であるか否かを判別し、
前記第2の子機が、前記親機により前記親機側端子対間に第1の極性の電圧が印加される場合、前記親機側端子対間に電流が流れ、前記親機側端子対間に印加される電圧が低下し、前記親機側端子対と前記第2の子機側端子対とを接続する通信線対による電圧降下により前記第2の子機側端子対間の電圧が低下する場合においても、前記閾値以上の電圧を出力し、
前記第2の子機が、前記親機により前記親機側端子対間に前記第1の極性とは逆の極性である第2の極性の電圧が印加される場合、前記親機側端子対間に電流が流れず、前記親機側端子対間に印加される電圧が低下せず、前記親機側端子対と前記第2の子機側端子対とを接続する前記通信線対による電圧降下により前記第2の子機側端子対間の電圧が低下しない場合においても、前記閾値未満の電圧を出力する、
通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、通信機器、及び、通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、親機と複数の子機とが通信線対で相互に接続された通信システムが知られている。例えば、特許文献1には、中央処理装置と複数の端末器とが1対の伝送線で接続された信号伝送システムが記載されている。
【0003】
特許文献1に記載された信号伝送システムでは、中央処理装置が電圧伝送により端末器にデータを送信し、端末器が電流伝送により中央処理装置にデータを送信する。この信号伝送システムでは、端末器は、他の端末器が電流伝送中であるか否かを知ることはできない。そこで、この信号伝送システムでは、電流伝送の衝突を回避するため、中央処理装置によるポーリングや同期信号の送信などが必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−210935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ポーリングや同期信号の送信などにより電流伝送の衝突を回避しようとすると、処理負荷が増大し、通信システムのスループットが低下する。このため、通信システムのスループットを低下させずに電流伝送の衝突を抑制する技術が望まれている。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、通信システムのスループットを低下させずに電流伝送の衝突を抑制する通信システム、通信機器、及び、通信制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る通信システムは、
親機側端子対を備える親機と第1の子機側端子対を備える第1の子機と第2の子機側端子対を備える第2の子機とを備え、前記親機側端子対と前記第1の子機側端子対と前記第2の子機側端子対とが通信線対により相互に接続される通信システムであって、
前記親機は
前記親機側端子対間に電圧を印加し、前記親機側端子対間に電流が流れるときに前記親機側端子対間に印加する電圧を低下させる電圧低下回路を備える電圧印加回路と、
前記親機側端子対間に流れる電流の有無を検出することにより、前記第1の子機から第1のシリアルデータを受信し、前記第2の子機から第2のシリアルデータを受信する受信回路と、を備え、
前記第1の子機は、前記第1の子機側端子対間の導通・非導通状態を制御することにより前記親機に前記第1のシリアルデータを送信する送信回路を備え、
前記第2の子機は、
前記第2の子機側端子対間の導通・非導通状態を制御することにより前記親機に前記第2のシリアルデータを送信する送信回路と、
前記第2の子機側端子対間に印加される電圧が低下したことを検出する電圧低下検出回路と、
前記電圧低下検出回路により前記第2の子機側端子対間に印加された電圧が低下したことが検出されない場合、前記第2の子機が備える前記送信回路に前記第2のシリアルデータを送信させる制御回路と、を備え、
前記電圧印加回路は、前記親機側端子対間に印加する電圧の極性を切り替えることにより前記第2の子機に第3のシリアルデータを送信する送信回路であり、
前記第2の子機は、前記第2の子機側端子対間に印加される電圧の極性を検出することにより前記親機から前記第3のシリアルデータを受信する受信回路を備え、
前記制御回路は、前記親機が備える前記送信回路から前記第3のシリアルデータが送信されないときに前記第2の子機が備える前記受信回路により検出された極性に基づいて、前記第3のシリアルデータの論理を決定する
【発明の効果】
【0008】
本発明では、親機側端子対間に電流が流れるときに親機側端子対間に印加される電圧が低下し、子機側端子対間に印加された電圧が低下しない場合、子機からシリアルデータが送信される。従って、本発明によれば、通信システムのスループットを低下させずに電流伝送の衝突を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る通信システムの構成図
図2】本発明の実施形態に係る親機及び子機の構成図
図3】本発明の実施形態に係る子機が実行するデータ送信処理を示すフローチャート
図4】本発明の実施形態に係る子機が実行するデータ受信処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係る通信システム1000について説明する。通信システム1000は、親機100と複数の子機(子機200、子機300、子機400)とを備え、親機100と複数の子機とが相互に通信するシステムである。通信システム1000は、例えば、照明制御機器と複数の照明機器とを備える照明システムである。この場合、親機100は照明制御機器に対応し、複数の子機がそれぞれ複数の照明機器に対応する。
【0011】
親機100は、直流電源(図示せず)を備え、複数の子機に電力を供給する。複数の子機は、親機100から供給された電力で動作する。親機100は、電圧信号により複数の子機にデータを送信し、複数の子機は、電流信号により親機100にデータを送信する。本実施形態では、親機100と1つの子機との間では、全二重通信が可能である。例えば、親機100が子機200にデータを送信するときに、子機200が親機100にデータを送信することができる。
【0012】
また、複数の子機は、送信タイミングが競合しない限り、自発的に、親機100にデータを送信することができる。例えば、子機200は、子機300と子機400とが親機100にデータを送信していないときに、自発的に、親機100にデータを送信することができる。なお、複数の子機同士では、データの送受信はなされない。また、本実施形態では、親機100と複数の子機との間で送受信されるデータは、1ビット毎に0又は1が割り当てられるバイナリデータであり、1ビット毎に転送されるシリアルデータである。
【0013】
親機100と複数の子機とは、複数の通信線対(通信線対13、通信線対23、通信線対33)により相互に接続され、複数の通信線対を介して相互に通信する。具体的には、親機100が備える端子対143と子機200が備える端子対243とが通信線対13により接続され、親機100と子機200とが接続される。より詳細には、親機100が備える端子141と子機200が備える端子241とが通信線11により接続され、親機100が備える端子142と子機200が備える端子242とが通信線12により接続される。
【0014】
また、子機200が備える端子対243と子機300が備える端子対343とが通信線対23により接続され、子機200と子機300とが接続される。より詳細には、子機200が備える端子241と子機300が備える端子341とが通信線21により接続され、子機200が備える端子242と子機300が備える端子342とが通信線22により接続される。また、子機300が備える端子対343と子機400が備える端子対443とが通信線対33により接続され、子機300と子機400とが接続される。より詳細には、子機300が備える端子341と子機400が備える端子441とが通信線31により接続され、子機300が備える端子342と子機400が備える端子442とが通信線32により接続される。
【0015】
従って、親機100が備える端子141と、子機200が備える端子241と、子機300が備える端子341と、子機400が備える端子441とが相互に接続される。また、親機100が備える端子142と、子機200が備える端子242と、子機300が備える端子342と、子機400が備える端子442とが相互に接続される。
【0016】
ここで、親機100は、端子対143間に印加する電圧の極性を切り替えることにより、子機200と子機300と子機400とに、直流電力を供給するとともにデータを送信することができる。一方、子機200は、端子対243間に印加された電圧を整流することにより直流電力を得る。また、子機200は、端子対243間に印加された電圧の極性を判別することにより、親機100からデータを受信することができる。同様に、子機300は、端子対343間に印加された電圧を整流することにより直流電力を得る。また、子機300は、端子対343間に印加された電圧の極性を判別することにより、親機100からデータを受信することができる。子機400に関しても同様である。
【0017】
また、親機100は、端子対143間に流れる電流の有無を検出することにより、子機200と子機300と子機400とからデータを受信することができる。一方、子機200は、端子対243間の導通・非導通状態を制御することにより、親機100にデータを送信することができる。また、子機300は、端子対343間の導通・非導通状態を制御することにより、親機100にデータを送信することができる。子機400に関しても同様である。
【0018】
ここで、親機100は、子機200と子機300と子機400とのいずれかによりデータが送信され、端子対143間に電流が流れるとき、端子対143間に印加される電圧を低下させる。一方、子機200は、端子対243間に印加される電圧が低下したことを検出した場合、子機300又は子機400が親機100にデータを送信中であると見做すことができる。同様に、子機300は、端子対343間に印加される電圧が低下したことを検出した場合、子機200又は子機400が親機100にデータを送信中であると見做すことができる。子機400についても同様である。
【0019】
次に、図2を参照して、親機100及び子機200の構成について説明する。なお、子機300及び子機400の構成は、基本的に、子機200の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0020】
親機100は、送信回路110と、受信回路120と、制御部130と、端子対143と、電源端子161と、コンデンサ162と、接地端子163と、を備える。
【0021】
送信回路110は、制御部130による制御に従って、電圧信号によりデータを送信する。送信回路110は、端子対143間に印加する電圧の極性を、+V1と−V1との間で切り替える。具体的には、送信回路110は、制御部130が備える送信端子131(Tx1により示される端子)からHレベルの電圧(例えば、5V)が出力され、制御部130が備える送信端子132(Tx2により示される端子)からLレベルの電圧(例えば、0V)が出力されるとき、端子141に0Vを印加するとともに端子142にV1を印加する。一方、送信回路110は、送信端子131からLレベルの電圧が出力され、送信端子132からHレベルの電圧が出力されるとき、端子141にV1を印加するとともに端子142に0Vを印加する。V1は、親機100の電源電圧であり、例えば、24Vである。なお、送信回路110は、常時、端子対143間に電圧を印加するため、電圧印加回路とも言える。
【0022】
送信回路110は、NPN(Negative Positive Negative)トランジスタ111と、NPNトランジスタ112と、抵抗113と、NPNトランジスタ114と、NPNトランジスタ115と、抵抗116と、PNP(Positive Negative Positive)トランジスタ117と、PNPトランジスタ118と、を備える。NPNトランジスタ111のコレクタとNPNトランジスタ114のコレクタとは、電源端子161に接続される。NPNトランジスタ111のベースとNPNトランジスタ112のコレクタとPNPトランジスタ117のベースとは送信端子131に接続される。NPNトランジスタ111のエミッタは、NPNトランジスタ112のベースと抵抗113の一端とに接続される。NPNトランジスタ112のエミッタと抵抗113の他端とPNPトランジスタ117のエミッタとは、端子142に接続される。
【0023】
NPNトランジスタ114のベースとNPNトランジスタ115のコレクタとPNPトランジスタ118のベースとは送信端子132に接続される。NPNトランジスタ114のエミッタは、NPNトランジスタ115のベースと抵抗116の一端とに接続される。NPNトランジスタ115のエミッタと抵抗116の他端とPNPトランジスタ118のエミッタとは、端子141に接続される。PNPトランジスタ117のコレクタとPNPトランジスタ118のコレクタとは、コンデンサ123を介してオペアンプ122の非反転入力端子に接続されるとともに、抵抗126を介して接地端子128に接続される。
【0024】
NPNトランジスタ111とNPNトランジスタ112と抵抗113とは、端子142から端子141に流れる電流(端子対143間に流れる電流)の大きさを制限する電流制限回路151を構成する。電流制限回路151は、端子142から端子141に流れる電流の増加に伴って電源端子161と端子142との間の電圧を高くする機能を有する。ここで、電源端子161と端子142との間の電圧が高くなることは、0Vが印加される端子141と端子142との間の電圧(端子対143間に印加される電圧)が低くなることを意味する。つまり、電流制限回路151は、端子対143間に電流が流れるときに端子対143間に印加される電圧を低下させる電圧低下回路とも言える。以下、電流制限回路151の動作について説明する。
【0025】
まず、端子対143間が非導通状態に制御されている場合を想定する。なお、子機200が端子対243間を非導通状態に制御し、子機300が端子対343間を非導通状態に制御し、子機400が端子対443間を非導通状態に制御する場合、端子対143間が非導通状態に制御される。まず、送信端子132からLレベルの電圧が出力されると、NPNトランジスタ114とNPNトランジスタ115とがオフし、PNPトランジスタ118がオンする。また、送信端子131からHレベルの電圧が出力されると、NPNトランジスタ111とNPNトランジスタ112とがオンし、PNPトランジスタ117がオフする。しかしながら、端子対143間には電流は流れず、端子142の電圧は電源端子161の電圧であるV1と同程度となる。つまり、この場合、電流制限回路151は、電流を制限したり、電圧を低下させたりする機能を発揮しない。
【0026】
次に、端子対143間が導通状態に制御されている場合を想定する。なお、子機200が端子対243間を導通状態に制御する場合、子機300が端子対343間を導通状態に制御する場合、又は、子機400が端子対443間を導通状態に制御する場合、端子対143間が導通状態に制御される。まず、送信端子132からLレベルの電圧が出力されると、NPNトランジスタ114とNPNトランジスタ115とがオフし、PNPトランジスタ118がオンする。ここで、送信端子131からHレベルの電圧が出力されると、NPNトランジスタ111の電流路に及び抵抗113に流れる電流が徐々に増加する。
【0027】
しかしながら、抵抗113の両端の電圧(抵抗113に流れる電流の電流値と抵抗113の抵抗値との積)であるNPNトランジスタ112のベース・エミッタ間電圧が予め定められた電圧(例えば、0.6V)に到達すると、NPNトランジスタ112の電流路に電流が流れ始め、NPNトランジスタ111のベースに流れる電流が増加しなくなる。その結果、端子対143間に流れる電流の電流値が一定の値に落ち着くとともに、NPNトランジスタ111の電流路間の電圧並びに抵抗113の両端間の電圧が一定の値に落ち着く。つまり、この場合、電流制限回路151は、電流を制限したり、電圧を低下させたりする機能を発揮する。なお、抵抗113の抵抗値を調整することで、端子対143間に流れる電流の上限値を調整することができる。例えば、抵抗113の抵抗値を0.6Ωとすると、端子対143間に流れる電流の上限値は、0.6V/0.6Ω=1Aとなる。
【0028】
NPNトランジスタ114とNPNトランジスタ115と抵抗116とは、端子141から端子142に流れる電流(端子対143間に流れる電流)の大きさを制限する電流制限回路152を構成する。電流制限回路152は、端子141から端子142に流れる電流の増加に伴って電源端子161と端子141との間の電圧を高くする機能を有する。ここで、電源端子161と端子141との間の電圧が高くなることは、0Vが印加される端子142と端子141との間の電圧(端子対143間に印加される電圧)が低くなることを意味する。つまり、電流制限回路152は、端子対143間に電流が流れるときに端子対143間に印加される電圧を低下させる電圧低下回路とも言える。電流制限回路152の動作は、基本的に、電流制限回路151の動作と同様であるため、説明を省略する。
【0029】
受信回路120は、いずれかの子機から電流信号として送信されたデータ(ビットデータ)に対応する電圧信号を制御部130に供給する。受信回路120は、通信線対13に流れる電流が予め定められた閾値以上になったことを検出した場合、制御部130が備える受信端子133(Rxにより示される端子)にLレベルの電圧信号を供給する。一方、受信回路120は、通信線対13に流れる電流がこの閾値未満になったことを検出した場合、受信端子にHレベルの電圧信号を供給する。なお、子機200、子機300、子機400は、0に対応するビットを送信するときに端子対143間に電流を流し、1に対応するビットを送信するときに端子対143間に電流を流さない。従って、受信回路120は、受信端子133にLレベルの電圧信号が印加されたときに0に対応するビットを受信したと見做し、受信端子133にHレベルの電圧信号が印加されたときに1に対応するビットを受信したと見做す。
【0030】
受信回路120は、電源端子121と、オペアンプ122と、コンデンサ123と、抵抗124と、抵抗125と、抵抗126と、接地端子127と、接地端子128と、を備える。電源端子121は、電源電圧としてV3(例えば、5V)を出力する直流電源(図示せず)に接続され、V3が印加される。V3を出力する直流電源は、V1を出力する直流電源(図示せず)から生成される。オペアンプ122は、非反転入力端子に印加された基準電圧と反転入力端子に印加された入力電圧とを比較する。オペアンプ122は、入力電圧が基準電圧よりも高い場合、Lレベルの電圧を出力端子から出力し、入力電圧が基準電圧よりも低い場合、Hレベルの電圧を出力端子から出力する。
【0031】
コンデンサ123は、オペアンプ122の反転入力端子に供給される直流成分を遮断する。抵抗124と抵抗125とは、電源端子121と接地端子127との間に直列に接続される。抵抗124と抵抗125とは、電源電圧を分圧することにより得られた基準電圧を、オペアンプ122の非反転入力端子に印加する。抵抗126は、電源端子161から接地端子128に流れる電流を制限する。接地端子127と接地端子128とは、親機100が備える直流電源(図示せず)に接続され、0Vが印加される。
【0032】
制御部130は、親機100の全体的な動作を制御する。制御部130は、送信回路110を制御して、いずれかの子機にデータを送信する。例えば、制御部130は、送信するビットデータに対応するレベルの電圧を、送信端子131から出力する。なお、制御部130は、送信端子131から出力した電圧のレベルとは逆のレベルの電圧を、送信端子132から出力する。また、制御部130は、受信回路120から供給された電圧信号に基づいて、いずれかの子機から送信されたデータを特定する。例えば、制御部130は、受信端子133に印加された電圧のレベルに応じたビットデータをサンプリングし、サンプリングにより得られたビットデータ列から、送信されたデータを特定する。
【0033】
本実施形態では、制御部130は、1に対応するビットを送信するときに、送信端子131からHレベルの電圧を出力し、送信端子132からLレベルの電圧を出力する。また、制御部130は、0に対応するビットを送信するときに、送信端子131からLレベルの電圧を出力し、送信端子132からHレベルの電圧を出力する。従って、1に対応するビットが送信されるときに端子142の電圧が端子141の電圧よりも高くなり、0に対応するビットが送信されるときに端子142の電圧が端子141の電圧よりも低くなる。また、制御部130は、アイドル状態では、1に対応するビットを送信するものとする。
【0034】
制御部130は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えるマイクロコンピュータにより構成される。
【0035】
端子対143は、複数の子機との間でデータを送受信するための通信線対13が接続される端子対である。端子対143は、端子141と端子142とを備える。端子対143は、通信線対13を介して、端子対243と接続される。つまり、端子141は、通信線11を介して端子241に接続され、端子142は、通信線12を介して端子242に接続される。
【0036】
電源端子161は、V1(例えば、24V)を出力する直流電源(図示せず)に接続され、電源電圧であるV1が印加される。コンデンサ162は、電源端子161と接地端子163との間に設けられ、電源端子161から出力される交流成分(高周波成分)を接地端子163に流す。接地端子163は、親機100が備える直流電源に接続され、0Vが印加される。
【0037】
子機200は、送信回路210と、受信回路220と、制御部230と、端子対243と、整流回路250と、電圧低下検出回路260と、電源端子271と、を備える。
【0038】
送信回路210は、制御部230による制御に従って、電流信号により、親機100にデータを送信する。送信回路210は、端子対243間の導通・非導通状態を制御することにより、通信線対13に流れる電流を制御する。つまり、送信回路210は、通信線対13に電流を流すときに端子対243間を導通状態に制御し、通信線対13に電流を流さないときに端子対243間を非導通状態に制御する。
【0039】
送信回路210は、NPNトランジスタ211と、抵抗212とを備える。NPNトランジスタ211のコレクタは、電源端子271に接続される。NPNトランジスタ211のベースは、制御部230が備える送信端子231(Txにより示される端子)に接続される。NPNトランジスタ211のエミッタは、抵抗212を介して、制御部230が備える基準端子(S0により示される端子)に接続される。NPNトランジスタ211は、ベースにHレベルの電圧が印加されるとオン状態になり、ベースにLレベルの電圧が印加されるとオフ状態になる。NPNトランジスタ211がオフ状態になると、通信線対13には電流が流れない。一方、NPNトランジスタ211がオン状態になると、通信線対13には電流が流れる。
【0040】
端子241の電圧が端子242の電圧よりも高いときにNPNトランジスタ211がオン状態になると、電源端子161→NPNトランジスタ114→抵抗116→端子141→通信線11→端子241→ダイオード253→電源端子271→NPNトランジスタ211→抵抗212→ダイオード252→端子242→通信線12→端子142→PNPトランジスタ117→抵抗126→接地端子128という経路で電流が流れる。一方、端子241の電圧が端子242の電圧よりも低いときにNPNトランジスタ211がオン状態になると、電源端子161→NPNトランジスタ111→抵抗113→端子142→通信線12→端子242→ダイオード254→電源端子271→NPNトランジスタ211→抵抗212→ダイオード251→端子241→通信線11→端子141→PNPトランジスタ118→抵抗126→接地端子128という経路で電流が流れる。抵抗212は、負荷抵抗であり、NPNトランジスタ211の電流路に流れる電流を制限する。
【0041】
受信回路220は、親機100から電圧信号として送信されたデータ(ビットデータ)に対応する電圧信号を制御部230に供給する。受信回路220は、端子242の電圧が端子241の電圧よりも高いとき、Hレベル(例えば、5V)の電圧信号を、制御部230が備える受信端子232(Rxにより示される端子)に供給する。一方、受信回路220は、端子241の電圧が端子242の電圧よりも高いとき、Lレベル(例えば、0V)の電圧信号を、制御部230が備える受信端子232に供給する。受信回路220は、端子対243間に印加された電圧の極性(+V1又は−V1)を検出する極性検出回路とも言える。受信回路220は、端子対243のうち端子242に印加される電圧に対応する電圧を出力する。
【0042】
受信回路220は、ツェナーダイオード221と、抵抗222と、抵抗223と、を備える。ツェナーダイオード221のアノードは基準端子233に接続され、ツェナーダイオード221のカソードは受信端子232に接続される。ツェナーダイオード221は、受信端子232の電圧が、基準端子233の電圧に対して、降伏電圧(例えば、5V)以上高くならないようにする。抵抗222は、端子242と受信端子232との間に設けられ、受信端子232に印加される電圧を制限する。抵抗223は、ツェナーダイオード221と並列に、基準端子233と受信端子232との間に設けられる。
【0043】
制御部230は、子機200の全体的な動作を制御する。制御部230は、送信回路210を制御して、親機100にデータを送信する。例えば、制御部230は、送信するビットデータに対応するレベルの電圧を、送信端子231から出力する。例えば、制御部230は、0に対応するビットを送信するときに、送信端子231からHレベルの電圧信号を出力し、端子対243間に電流を流す。制御部230は、1に対応するビットを送信するときに、送信端子231からLレベルの電圧信号を出力し、端子対243間に電流を流さない。
【0044】
ここで、制御部230は、他の子機が親機100にデータを送信していないことを確認してから、送信回路210から親機100にデータを送信させる。ここで、他の子機が親機100にデータを送信する間、端子対143間に電流が流れる期間が発生する。端子対143間に電流が流れると、電圧低下回路として機能する電流制限回路151(又は、電流制限回路152)の働きにより、端子対143間に印加される電圧が低下する。このとき、電圧低下検出回路260により、端子対143間に印加された電圧の低下が検出され、電圧低下検出回路260から制御部230が備える検出端子234にLレベルの電圧が印加される。そこで、制御部230は、予め定められた時間、検出端子234にLレベルが印加されないことが確認できた場合に、送信回路210から親機100にデータを送信させる。
【0045】
また、制御部230は、送信回路210により端子対143間に電流を流していない期間に、検出端子234にLレベルの電圧が印加されたことを検知した場合、送信回路210によるデータの送信を中止する。すると、子機200と他の子機(子機300又は子機400)とが同時に親機100にデータを送信することにより発生する通信異常を回避することができる。
【0046】
また、制御部230は、受信回路220から供給された電圧信号に基づいて、親機100から送信されたデータを特定する。つまり、制御部230は、受信端子232に印加された電圧のレベルに応じたビットデータをサンプリングし、サンプリングにより得られたビットデータ列から、送信されたデータを特定する。
【0047】
ここで、制御部230は、親機100によりデータが送信されていないとき、つまり、親機100がアイドル状態であるときに、端子対243間に印加されている電圧の極性に基づいて、親機100から受信したデータの論理を決定することができる。例えば、親機100は、アイドル状態であるときに、1に対応するビットを送信するものとする。ここで、制御部130は、1に対応するビットを送信するときに、送信端子131からHレベルの電圧を出力し、送信端子132からLレベルの電圧を出力する。従って、親機100がアイドル状態のときは、端子142の電圧が端子141の電圧よりも高くなる。
【0048】
ここで、図2に示すように、端子141と端子241とが通信線11により接続され、端子142と端子242とが通信線12により接続されているものとする。この場合、親機100がアイドル状態のときは、端子242の電圧が端子241の電圧よりも高くなる。従って、親機100がアイドル状態のときは、受信端子232にはHレベルの電圧が印加される。従って、制御部230は、受信端子232にはHレベルの電圧が印加されたときに、1に対応するビットを受信したと見做し、受信端子232にはLレベルの電圧が印加されたときに、0に対応するビットを受信したと見做す。
【0049】
一方、図2に示す接続とは異なり、端子141と端子242とが通信線11により接続され、端子142と端子241とが通信線12により接続されているものとする。この場合、親機100がアイドル状態のときは、端子242の電圧が端子241の電圧よりも低くなる。従って、親機100がアイドル状態のときは、受信端子232にはLレベルの電圧が印加される。従って、制御部230は、受信端子232にはLレベルの電圧が印加されたときに、1に対応するビットを受信したと見做し、受信端子232にはHレベルの電圧が印加されたときに、0に対応するビットを受信したと見做す。
【0050】
このように、制御部230は、親機100がアイドル状態であるときに、極性検出回路として機能する受信回路220から供給された電圧信号のレベルを判別し、受信したデータの論理を決定する。従って、制御部230は、通信線対13の接続極性に拘わらず、親機100から送信されたデータを適切に受信することができる。また、制御部230は、親機100による制御に従って、図示しない照明の制御を実行する。制御部230は、例えば、CPU、ROM、RAMなどを備えるマイクロコンピュータにより構成される。
【0051】
ここで、制御部230が受信回路220から供給された電圧信号のレベルを判別するための閾値、つまり、端子対243間に印加される電圧の極性を判別するための閾値は、通信線対13に返送電流が流れることによる影響を受けない値に設定される。すなわち、通信線対13に返送電流が流れると、通信線対13における電圧降下により、端子対243間に印加される電圧が低下する。また、通信線対13に返送電流が流れると、電圧低下回路(電流制限回路151、152)の働きにより、端子対143間に印加される電圧が低下し、その結果、端子対243間に印加される電圧が更に低下する。従って、上記閾値は、通信線対13に返送電流が流れて端子対243間に印加される電圧が低下しても、判別結果に影響が出ない値に設定される。
【0052】
より詳細には、上記閾値は、電圧印加回路(送信回路110)により端子対143間に第1の極性の電圧が印加される場合、端子対143間に電流が流れ、電圧低下回路(電流制限回路151、152)により端子対143間に印加される電圧が低下し、端子対143と端子対243とを接続する通信線対13による電圧降下により端子対243間の電圧が低下する場合においても、端子対243間の電圧未満となるように設定される。なお、端子対243間に第1の極性の電圧が印加される場合、例えば、端子242に印加される電圧の方が、端子241に印加される電圧よりも高くなる。一方、端子対243間に第2の極性の電圧が印加される場合、例えば、端子242に印加される電圧の方が、端子241に印加される電圧よりも低くなる。
【0053】
また、上記閾値は、電圧印加回路(送信回路110)により端子対143間に第1の極性とは逆の極性である第2の極性の電圧が印加される場合、端子対143間に電流が流れず、電圧低下回路(電流制限回路151、152)により端子対143間に印加される電圧が低下せず、端子対143と端子対243とを接続する通信線対13による電圧降下により端子対243間の電圧が低下しない場合においても、端子対243間の電圧以上となるように設定される。
【0054】
制御部230が上記閾値を調整できない場合、抵抗222の抵抗値や抵抗223の抵抗値などを調整して、受信回路220(極性検出回路)が出力する電圧を調整してもよい。この場合、受信回路220(極性検出回路)は、電圧印加回路(送信回路110)により端子対143間に第1の極性の電圧が印加される場合、端子対143間に電流が流れ、電圧低下回路(電流制限回路151、152)により端子対143間に印加される電圧が低下し、端子対143と端子対243とを接続する通信線対13による電圧降下により端子対243間の電圧が低下する場合においても、上記閾値以上の電圧を出力する。
【0055】
また、受信回路220(極性検出回路)は、電圧印加回路(送信回路110)により端子対143間に第1の極性とは逆の極性である第2の極性の電圧が印加される場合、端子対143間に電流が流れず、電圧低下回路(電流制限回路151、152)により端子対143間に印加される電圧が低下せず、端子対143と端子対243とを接続する通信線対13による電圧降下により端子対243間の電圧が低下しない場合においても、上記閾値未満の電圧を出力する。
【0056】
このように、受信回路220(極性検出回路)は、通信線対13に返送電流が流れることによる電圧降下の影響を受けずに、極性を検出することができる。かかる構成によれば、親機100から子機200(又は、子機300)への送信と、子機200(又は、子機300)から親機100への送信とを、同時に実行することができる。その結果、通信のスループットが向上する。
【0057】
端子対243は、親機100との間でデータを送受信するための通信線対13が接続される端子対である。端子対243は、端子241と端子242とを備える。端子対243は、通信線対13を介して、端子対143と接続される。つまり、端子241は、通信線11を介して端子141に接続され、端子242は、通信線12を介して端子142に接続される。また、端子対243は、親機100が備える端子対143と子機300が備える端子対343と子機400が備える端子対443とを接続するための端子対でもある。従って、端子対243は、通信線対23を介して、端子対343と接続される。つまり、端子241は、通信線21を介して端子341に接続され、端子242は、通信線22を介して端子242に接続される。
【0058】
整流回路250は、端子対243間に印加された正負の電源電圧である+V1及び−V1を整流し、子機200の動作電源であるV2を生成する。なお、子機200の動作電源であるV2は、親機100の電源電圧であるV1と同程度の電圧(例えば、24V)であり、電源端子271から各モジュールに供給される。整流回路250は、ダイオード251と、ダイオード252と、ダイオード253と、ダイオード254と、を備える。また、整流回路250は、端子対243が接続される交流入力端子対(図示せず)と、交流入力端子対を介して供給される電流を整流した電流が流れる直流出力端子対(図示せず)と、を備える。ダイオード251のアノードとダイオード252のアノードとは、一方の直流出力端子(低電圧側の直流出力端子)に接続される。ダイオード253のカソードとダイオード254のカソードとは、他方の直流出力端子(高電圧側の直流出力端子)に接続される。ダイオード251のカソードとダイオード253のアノードとは、端子241(一方の交流入力端子)に接続される。ダイオード252のカソードとダイオード254のアノードとは、端子242(他方の交流入力端子)に接続される。
【0059】
電圧低下検出回路260は、端子対243間に印加された電圧が低下したことを検出する回路である。電圧低下検出回路260は、整流回路250から出力される電源電圧が予め定められた閾値以下になったことを検出した場合、制御部230が備える検出端子234(CSにより示される端子)にLレベルの電圧信号を供給する。一方、電圧低下検出回路260は、整流回路250から出力される電源電圧が予め定められた閾値以上になったことを検出した場合、制御部230が備える検出端子234にHレベルの電圧信号を供給する。
【0060】
電圧低下検出回路260は、電源端子261と、オペアンプ262と、コンデンサ263と、抵抗264と、抵抗265と、接地端子266と、を備える。電源端子261は、電源電圧としてV4(例えば、5V)を出力する直流電源(図示せず)に接続され、V4が印加される。V4を出力する直流電源は、V2を出力する直流電源(図示せず)から生成される。オペアンプ262は、反転入力端子に印加された基準電圧と非反転入力端子に印加された入力電圧とを比較する。オペアンプ262は、入力電圧が基準電圧よりも高い場合、Hレベルの電圧を出力端子から出力し、入力電圧が基準電圧よりも低い場合、Lレベルの電圧を出力端子から出力する。
【0061】
電圧低下検出回路260は、整流回路250が備える直流出力端子対間に印加される電圧が低下したことを検出することにより、端子対243間に印加される電圧が低下したことを検出する。このように、電圧低下検出回路260は、整流後の電圧が低下したことを検出し、端子対243間に印加される電圧の極性(又は極性の変化)を検出しない。従って、電圧低下検出回路260は、端子対243間に印加される電圧の極性を検出するための構成を備えずに、他の子機(子機200以外の子機)が流す返送電流を検出することができる。
【0062】
コンデンサ263は、オペアンプ262の非反転入力端子に供給される直流成分を遮断する。抵抗264と抵抗265とは、電源端子261と接地端子266との間に直列に接続される。抵抗264と抵抗265とは、電源電圧を分圧することにより得られた基準電圧を、オペアンプ262の反転入力端子に印加する。接地端子266とは、子機200が備える直流電源(図示せず)に接続され、0Vが印加される。
【0063】
電源端子271は、整流回路250により生成された子機200の動作電源であるV2を、各モジュールに供給するための電源端子である。子機300及び子機400の構成は、基本的に子機200の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0064】
次に、図3に示すフローチャートを参照して、子機200が実行するデータ送信処理について説明する。子機200は、例えば、親機100に接続され、電源が投入されると、データ送信処理を開始する。なお、子機300、400が実行するデータ送信処理は、基本的に、子機200が実行するデータ送信処理と同様であるため、説明を省略又は簡略化する。
【0065】
まず、制御部230は、データの送信条件が成立したか否かを判別する(ステップS101)。データの送信条件は、例えば、親機100から応答を要求するデータを受信した場合、予め定められた割り込みが発生した場合などに成立する。なお、本実施形態では、子機200は、親機100による指示によらず、自発的に、親機100にデータを送信することができる。制御部230は、ステップS101の処理を完了すると、送信するデータのビット列を生成する(ステップS102)。
【0066】
制御部230は、ステップS102の処理を完了すると、検出端子234のレベルを監視する(ステップS103)。制御部230は、ステップS103の処理を完了すると、検出端子234が継続してHレベルを維持しているか否かを判別する(ステップS104)。なお、検出端子234が継続してHレベルを維持することは、他の子機によるデータの送信中でないことを意味する。
【0067】
制御部230は、検出端子234が継続してHレベルを維持していないと判別すると(ステップS104:NO)、ステップS103に処理を戻す。一方、制御部230は、検出端子234が継続してHレベルを維持していると判別すると(ステップS104:YES)、送信するビットを選択する(ステップS105)。なお、生成したビット列の先頭から順にビットが選択される。制御部230は、ステップS105の処理を完了すると、送信端子231を、選択したビットに応じたレベルに設定する(ステップS106)。例えば、選択されたビットが0である場合、送信端子231がHレベル(例えば、5V)に設定され、選択されたビットが1である場合、送信端子231がLレベル(例えば、0V)に設定される。
【0068】
制御部230は、ステップS106の処理を完了すると、送信端子231のレベルがLレベルであるか否かを判別する(ステップS107)。なお、送信端子231のレベルがLレベルであることは、送信回路210により、端子対243間が非導通状態に制御され、電流が流されていないことを意味する。制御部230は、送信端子231のレベルがLレベルであると判別すると(ステップS107:YES)、検出端子234のレベルを監視する(ステップS108)。
【0069】
制御部230は、ステップS108の処理を完了すると、検出端子234のレベルがHレベルであるか否かを判別する(ステップS109)。検出端子234のレベルがHレベルであることは、どの子機によっても電流が流されておらず、端子対143間が非導通状態に制御されていることを意味する。一方、検出端子234のレベルがLレベルであることは、いずれかの子機によって電流が流されており、端子対143間が導通状態に制御されていることを意味する。
【0070】
制御部230は、検出端子234のレベルがHレベルでないと判別すると(ステップS109:NO)、データの送信を中止し、ステップS103に処理を戻す。制御部230は、送信端子231のレベルがLレベルでないと判別した場合(ステップS107:NO)、又は、検出端子234のレベルがHレベルであると判別した場合(ステップS109:YES)、1ビット分の時間が経過したか否かを判別する(ステップS110)。
【0071】
制御部230は、1ビット分の時間が経過していないと判別すると(ステップS110:NO)、ステップS107に処理を戻す。一方、制御部230は、1ビット分の時間が経過したと判別すると(ステップS110:YES)、全ビットが選択済みであるか否かを判別する(ステップS111)。制御部230は、全ビットが選択済みであると判別すると(ステップS111:YES)、データの送信を完了したものと見做し、ステップS101に処理を戻す。一方、制御部230は、いずれかのビットが選択済みでないと判別すると(ステップS111:NO)、ステップS105に処理を戻し、次のビットを選択する。
【0072】
次に、図4に示すフローチャートを参照して、子機200が実行するデータ受信処理について説明する。子機200は、例えば、親機100に接続され、電源が投入されると、データ受信処理を開始する。なお、子機300、400が実行するデータ受信処理は、基本的に、子機200が実行するデータ受信処理と同様であるため、説明を省略又は簡略化する。
【0073】
まず、制御部230は、受信端子232のレベルを監視する(ステップS201)。つまり、制御部230は、受信回路220から受信端子232に印加された電圧のレベルをサンプリングする。制御部230は、ステップS201の処理を完了すると、受信端子232が継続して一方のレベルを維持しているか否かを判別する(ステップS202)。受信端子232が継続して一方のレベルを維持していることは、親機100がアイドル状態であることを意味する。
【0074】
制御部230は、受信端子232が継続して一方のレベルを維持していないと判別すると(ステップS202:NO)、ステップS201に処理を戻す。一方、制御部230は、受信端子232が継続して一方のレベルを維持していると判別すると(ステップS202:YES)、維持されたレベルをアイドル時のレベルに設定する(ステップS203)。なお、アイドル時のレベルは、1に対応するビットが送信されるときに受信端子232に印加される電圧のレベルである。
【0075】
制御部230は、ステップS203の処理を完了すると、受信端子232のレベルを監視する(ステップS204)。つまり、制御部230は、受信回路220から受信端子232に印加された電圧のレベルをサンプリングする。制御部230は、ステップS204の処理を完了すると、受信端子232のレベルに変化があるか否かを判別する(ステップS205)。なお、受信端子232のレベルに変化があることは、親機100によりデータの送信が開始され、先頭のビット(例えば、スタートビット)が送信されたことを意味する。
【0076】
制御部230は、受信端子232のレベルに変化がないと判別すると(ステップS205:NO)、ステップS204に処理を戻す。一方、制御部230は、受信端子232のレベルに変化があったと判別すると(ステップS205:YES)、1フレーム分のビット列を取得する(ステップS206)。制御部230は、ステップS206の処理を完了すると、ビット列をデータに変換する(ステップS207)。制御部230は、ステップS207の処理を完了すると、ステップS204に処理を戻す。
【0077】
本実施形態では、端子対143間に電流が流れるときに端子対143間に印加される電圧が低下し、端子対243間に印加された電圧が低下しない場合、子機200からシリアルデータが送信される。従って、本発明によれば、通信システム1000のスループットを低下させずに電流伝送の衝突を抑制することができる。
【0078】
また、本実施形態では、子機200が親機100にデータを送信している間に、他の子機(例えば、子機300又は子機400)が親機100にデータを送信していることが子機200により検出された場合、子機200によるデータの送信が中止される。従って、本実施形態によれば、電流伝送の衝突を更に抑制することができる。
【0079】
この場合において、複数の子機に優先順位を割り当て、複数の子機による電流伝送が衝突した場合、なるべく優先順位が低い子機に電流伝送を中止させることが好適である。例えば、4ビットのデジタルデータにより示されるアドレス番号が小さい程、優先順位を高くする。そして、親機100に送信するデータを構成するビット列のうち、スタートビットの直後のビット列を、子機のアドレス番号を示すビット列とする。そして、例えば、子機200のアドレス番号として0000を割り当て、子機300のアドレス番号として0001を割り当て子機400のアドレス番号として0010を割り当てる。
【0080】
ここで、親機100によるブロードキャストに応答して、或いは、親機100に電源が投入されたことに応答して、子機200と子機300と子機400とが同時に親機100にデータを送信し始めたものとする。子機200と子機300と子機400とは、0に対応するビットを送信するときに返送電流を流し、1に対応するビットを送信するときに返送電流を流さない。また、子機200と子機300と子機400とは、1に対応するビットを送信するときに、他の子機により返送電流が流されているかチェックする。
【0081】
従って、子機200は、4ビット分返送電流を流す。一方、子機300は、3ビット分返送電流を流した後、4ビット目で、他の子機により返送電流が流されていることを検出し、データ送信を中止する。また、子機300は、2ビット分返送電流を流した後、3ビット目で、他の子機により返送電流が流されていることを検出し、データ送信を中止する。かかる構成によれば、電流伝送の衝突を抑制するときに、優先順位が高い子機によるデータ伝送が中止されにくくすることができる。
【0082】
また、本実施形態では、電圧低下回路として、電流制限回路151及び電流制限回路152が採用されている。このため、本実施形態によれば、端子対143間に流れる電流を維持しつつ、端子対143間の電圧を低下させることができる。
【0083】
また、本実施形態では、親機100のアイドル時に端子対243間に印加される極性に応じて、親機100により送信されるシリアルデータの論理が決定される。このため、本実施形態によれば、端子対143と端子対243との接続極性に拘わらず、シリアルデータの論理を特定することができる。
【0084】
(変形例)
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明を実施するにあたっては、種々の形態による変形及び応用が可能である。
【0085】
本発明において、上記実施形態において説明した構成、機能、動作のどの部分を採用するのかは任意である。また、本発明において、上述した構成、機能、動作のほか、更なる構成、機能、動作が採用されてもよい。
【0086】
実施形態では、通信システム1000が照明システムであり、親機100が照明制御機器であり、子機200と子機300と子機400とが照明機器である例について説明した。本発明において、通信システムは、他のシステムであってもよいことは勿論である。例えば、通信システム1000が空調システムであり、親機100が室外機であり、子機200と子機300と子機400とが室内機であってもよい。また、子機の台数は、3台に限定されず、2台であってもよいし、4台以上であってもよい。
【0087】
実施形態では、1台の親機又は1台の子機に、1台の子機が接続される例について説明した。親機と子機との接続関係は、この例に限定されない。例えば、1台の親機に2台以上の子機が接続されてもよいし、1台の子機に2台以上の子機が接続されてもよい。
【0088】
また、データの論理は、実施形態で示した例に限定されない。例えば、オペアンプ122の非反転入力に入力電圧を印加し、オペアンプ122の反転入力に基準電圧を印加してもよい。この場合、制御部230は、1に対応するビットを送信するときに送信端子231からHレベルの電圧を出力することが好適である。この場合、1に対応するビットがHレベルに対応する。
【0089】
実施形態では、電圧低下回路として、電流制限回路151及び電流制限回路152を採用する例について説明した。本発明において、電圧低下回路として、他の回路を採用してもよい。例えば、電流制限回路151からNPNトランジスタ112を除外した回路、つまり、NPNトランジスタ111と抵抗113とを備える回路を、電流制限回路として採用することができる。同様に、電流制限回路152からNPNトランジスタ115を除外した回路、つまり、NPNトランジスタ114と抵抗116とを備える回路を、電流制限回路として採用することができる。
【0090】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、親機と複数の子機とが通信する通信システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0092】
11,12,21,22,31,32 通信線、13,23,33 通信線対、100 親機、110,210 送信回路、111,112,114,115,211 NPNトランジスタ、117,118 PNPトランジスタ、120,220 受信回路、121,161,261,271 電源端子、122,262 オペアンプ、123,162,263 コンデンサ、113,116,124,125,126,212,222,223,264,265 抵抗、127,128,163,266 接地端子、130,230 制御部、131,132,231 送信端子、133,232 受信端子、141,142,241,242,341,342,441,442 端子、143,243,343,443 端子対、151,152 電流制限回路、200,300,400 子機、221 ツェナーダイオード、233 基準端子、234 検出端子、250 整流回路、251,252,253,254 ダイオード、260 電圧低下検出回路、1000 通信システム
図1
図2
図3
図4