特許第6971683号(P6971683)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971683
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】コンクリート部材
(51)【国際特許分類】
   E01C 7/14 20060101AFI20211111BHJP
【FI】
   E01C7/14
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-149382(P2017-149382)
(22)【出願日】2017年8月1日
(65)【公開番号】特開2018-188945(P2018-188945A)
(43)【公開日】2018年11月29日
【審査請求日】2020年7月29日
(31)【優先権主張番号】特願2017-94167(P2017-94167)
(32)【優先日】2017年5月10日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2017-94168(P2017-94168)
(32)【優先日】2017年5月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000241474
【氏名又は名称】トヨタT&S建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101535
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 好道
(74)【代理人】
【識別番号】100161104
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 浩康
(72)【発明者】
【氏名】早川 紀之
【審査官】 柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−020514(JP,U)
【文献】 欧州特許出願公開第03121334(EP,A1)
【文献】 特開平09−151493(JP,A)
【文献】 特開2003−097081(JP,A)
【文献】 実開昭61−164304(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3098028(JP,U)
【文献】 特開2010−168844(JP,A)
【文献】 実公昭50−012908(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 7/14
E04H 6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が露出するように埋設又は敷設して駐車場における駐車面の一部、若しくは、コンクリート舗装道路の一部として用いられるコンクリート部材であって、
プレキャストコンクリート部材で構成された板状の本体部を有し、該本体部に上面が開口する凹部を形成し、該凹部内に着色材を塗布し、該着色材は、前記駐車面の一部、若しくは、コンクリート舗装道路の上面に付された図形の少なくとも一部を構成し、
前記本体部と、該本体部の上部に設けた車輪止部を一体に形成し、
前記車輪止部における前記本体部側とは反対側に、地中に埋設される埋設部を設け、該埋設部における前記車輪止部側とは反対側に、前記埋設部から上方に立設する立ち上がり部が設けられ、立ち上がり部の上部には、本体部側からの車両の進行を抑制する侵入抑制部が設けられていることを特徴とするコンクリート部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、駐車面や、舗装道路は、その舗装後に、その表面に直接、着色された塗料を用いて区画線や道路標示等が線引き等されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記区画線や道路標示等は、舗装後に塗料により線引き等されているため、路面等から突出しており、車両の往来などによりすり減ることがある。その場合、区画線や道路標示を引き直す必要がある。
【0004】
更に、コンクリート舗装道路は、交通量の多い場所に設けられる場合が多く、このような道路で、区画線や道路標示を引き直す作業は、交通渋滞を招く恐れがあり、引き直しを行うことが困難である。
【0005】
そこで、本発明は、区画線や道路標示等を削れにくくし、引き直しの作業の頻度を少なくすることができるコンクリート部材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、上面が露出するように埋設又は敷設して駐車場における駐車面の一部、若しくは、コンクリート舗装道路の一部として用いられるコンクリート部材であって、
プレキャストコンクリート部材で構成された板状の本体部を有し、該本体部に上面が開口する凹部を形成し、該凹部内に着色材を塗布し、該着色材は、前記駐車面の一部、若しくは、コンクリート舗装道路の上面に付された図形の少なくとも一部を構成し、
前記本体部と、該本体部の上部に設けた車輪止部を一体に形成し、
前記車輪止部における前記本体部側とは反対側に、地中に埋設される埋設部を設け、該埋設部における前記車輪止部側とは反対側に、前記埋設部から上方に立設する立ち上がり部が設けられ、立ち上がり部の上部には、本体部側からの車両の進行を抑制する侵入抑制部が設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、本体部に、その上面が開口する凹部を形成し、この凹部内に着色材を塗布したことにより、車両の通行等により着色材の表面がすり減ることを、上記従来技術のものよりも抑制し、区画線や道路標示を引き直す頻度を、上記従来技術のものよりも減らして、道路や駐車場の保守工事を軽減すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例1に係るコンクリート部材の斜視図。
図2図1のA−A断面図。
図3図1の左側面図。
図4図1に係るコンクリート部材を2個並べて配置した上面図。
図5図1に係るコンクリート部材を駐車面として用いた状態の斜視図。
図6図5のB−B線断面図。
図7】本発明の実施例1に係るコンクリ―ト部材の他例を示す斜視図。
図8】本発明の実施例2に係るコンクリート部材の一例の斜視図。
図9】本発明の実施例2に係るコンクリート部材の他例の斜視図。
図10】本発明の実施例3に係るコンクリート部材の斜視図。
図11図10に係るコンクリート部材の使用状態を示す縦断面図。
図12】本発明の実施例4に係るコンクリート部材の一例の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態を図に基づいて説明する。なお、断面図において鉄筋は省略してある。
[実施例1]
図1は、本発明の実施例1に係るコンクリート部材1の斜視図である。
【0012】
このコンクリート部材1は、上面が露出するように埋設又は敷設して、図5図6に示すように、平面駐車場、立体駐車場、地下駐車場などの駐車場10における駐車面の一部として用いられるものである。
【0013】
コンクリート部材1は、板状に形成された本体部2を有し、本体部2は、その上面形状を任意の形状に形成することができるが、本実施例においては図1に示すように、方形状に形成するとともに、その厚み、横幅、縦幅は、設置する場所等に応じて任意に形成する。
【0014】
本体部2の上面2a側には、図2に示すように、少なくとも上方が開口するとともに、有底状の溝からなる凹部3が形成されている。
【0015】
凹部3の上面形状を、本実施例においては、図1図4に示すように、本体部2の両側部において、一方の端部から他方の端部にかけて直線状に設けるとともに、その他方の端部において外側方向に湾曲する内角が90°の円弧状に形成したが、その形状は任意に設定することができる。
【0016】
凹部3内には、塗料などの着色材5が、流しこみなどにより塗布されている。着色材5の色は、白や黄色など任意の色を用いることができ、複数の色を組み合わせて用いてもよい。また、着色材5の表面5aは、本体部2の上面2aとの高さの差が3mm以下となるようにすることが好ましく、本実施例では図2に示すように、略同一になるようにした。
【0017】
この着色材5は、図4図5に示すように、本実施例では、コンクリート部材1を駐車面の一部として用いた際には、車両の駐車位置を示す駐車ラインを表す図形6の役割を果たす。なお、凹部3を、駐車ライン以外にも案内表示などの図形の少なくとも一部を構成するように、任意の位置に設けるとともに、その凹部3内に着色材5を塗布してもよい。
【0018】
また、本体部2の上面2aにおける駐車ライン方向における一方の端部には、車輪止部7が、上面2aより上方に突出するように立設されている。本体部2と車輪止部7は、プレキャストコンクリートにより一体に形成されている。車輪止部7は、図6に示すように、本体部2側の面が、上方から下方に向かうほど、本体部2側方向に向かうテーパ面7aに形成され、そのテーパ―面7aの高さは、図6に示すように、コンクリート部材1が設置された状態において、車両の車輪が、テーパ面7aに当接した際に、車両が本体部2と反対側方向へ移動することを抑制できる高さに設定されているとともに、車両の車輪以外のバンパーなどの車体部分と当接しにくい高さに設定されている。
【0019】
本発明のコンクリート部材1は、凹部3内に着色材5を設けたことにより、着色材5の表面が、車両の往来などによりすり減ることを抑制し、ラインを引き直す頻度を、上記従来技術のものよりも減らすことができる。
【0020】
また、凹部3内に着色材5を設け、着色材5の高さを本体部2の表面2aと同一若しくは内側に位置させた場合には、車両が着色材5を踏んだ際に、滑ることを抑制できる。
【0021】
なお、上記本実施例1では、車輪止部7を、図1に示すように、横方向全体に設けたが、図7に示すように、欠如部8を設けて、車両の車輪が当接する可能性のある場所のみに設けてもよい。
【0022】
[実施例2]
上記実施例1においては、コンクリート部材1を、駐車場10における駐車面の一部として用いるようにしたが、図8図9に示すように、方形状に形成した本体部20に、上記実施例1の凹部3と同様の構造を有する凹部13を、その上面形状が、区画線や道路標示などの図形16の少なくとも一部を表すように設けるとともに、その凹部13内に、上記実施例1の着色材5と同様の着色材15を塗布して構成したコンクリ―部材21を、その本体部20の上面20aが露出するように埋設してコンクリート舗装道路の一部として用いてもよい。なお、上記実施例1において設けた車輪止部7は設けない。
【0023】
着色材15が表す図形は、図8図9に示す図形16に限定されず、区画線や道路標示などの少なくとも一部を構成すれば、任意に構成することができる。
【0024】
その他の構造は、上記実施例1と同様であるため説明を省略する。
【0025】
本実施例2においても、上記実施例1と同様の作用効果を発揮することができる。
【0026】
[実施例3]
本実施例3のコンクリと部材31は、図10に示すように、実施例1に係るコンクリート部材に侵入抑制部32を設けたものである。
【0027】
車輪止部7には、その本体部2と反対側に、図10,11に示すように、使用時において全体を地中に埋設される埋設部33が設けられ、埋設部33の上面形状は、長方形状に形成され、その縦方向と横方向の長さは任意に設定する。埋設部33の上面は、図11に示すように、本体部2の上面2aより低く形成されている。
【0028】
埋設部33における本体部2と反対側には、埋設部33から上方に立設するとともに、車輪止部7の配置方向と略平行に立ち上がる立ち上がり部34が形成され、立ち上がり部34の上部には、本体部2側からの車両の進行を抑制する侵入抑制部32が設けられている。本実施例では、立ち上がり部34と侵入抑制部32を、コンクリート部材で一体に形成し、その正面形状が方形状のたて壁で構成した。
【0029】
本実施例では、侵入抑制部32の高さは、車輪止部7の高さより高く形成するとともに、車両、特に自動車が、本体部2側から車輪止部7を乗り越えて、立ち上がり部34方向に侵入した場合、その車体等が、侵入抑制部32に当接することにより、侵入抑制部32を乗り越えて進行することを防止できる高さに設定する。
【0030】
本実施例においては、図10,11に示すように、侵入抑制部32の正面形状を、長方形に形成したが、本体部2側から車輪止め7を乗り越えて、立ち上がり部34方向に侵入した車両が、侵入抑制部32を更に、乗り越えて進行することを防止できれば任意の形状とすることができ、侵入抑制部32に、方形状や円形状などの貫通穴を複数形成し、この貫通穴を通じて本体部2側から侵入抑制部32の向こう側の状況を確認できるようにしてもよい。
【0031】
更に、侵入抑制部32の表面に様々な意匠を施したり、その形状を容易に任意の形状に形成することができ、これにより、デザイン性の向上を図ってもよい。また、侵入抑制部32の本体部2側面に、反射板を設けて、本体部2上に夜間等に駐車する際に、侵入抑制部32が設けられていることを、運転者等に注意喚起するようにしてもよい。
【0032】
本体部2、車輪止部7、埋設部33、立ち上がり部34、侵入抑制部32は、プレキャスト製コンクリートにより一体に形成されている。
【0033】
また、コンクリート部材1を埋設する際に、少なくとも、埋設部33の上部に、ポーラスアスファルト混合物を使用した保水性アスファルトを使用した場合には、この部分に保水された水分により路面温度の上昇を抑制することができる。埋設部33の上部に保水性アスファルトを設ける場合には、欠如部8や、埋設部33の両側部をテーパ状に形成(図示しない)するなどして、埋設部33の上部に保水した水をその外側に排出できるようにすることが好ましい。
【0034】
その他の構造は、上記実施例1と同様であるため説明を省略する。
【0035】
本実施例3においても、上記実施例1と同様の作用効果を発揮することができる。
【0036】
本実施例3においては、立ち上がり部34と侵入抑制部32を、コンクリート部材で一体に成形したことにより、侵入抑制部32の剛性を高め、安全性の向上を図ることができる。
【0037】
[実施例4]
上記実施例3においては、立ち上がり部34と侵入抑制部32を、正面形状が方形状のコンクリート部材で一体に形成したが、例えば、図12に示すように、立ち上がり部34のみを、埋設部33、車輪止部7、本体部2とともにコンクリート部材で一体に形成し、この立ち上がり部34の上部に、埋設部33側からの車両の進行を抑制する侵入抑制部41を固設してもよい。
【0038】
この侵入抑制部41は、例えば図12に示すように、逆U字状に曲折したポールや、円筒柱状のポールなどで構成してもよく、また、その数は、1個でも複数個でも任意に設定する。また、侵入抑制部41は、車両の進行を抑制できれば、その形状は任意形成することができるとともに、金属や、コンクリートなど任意の素材で構成することができる。
【0039】
その他の構造は、上記実施例1,3と同様であるため説明を省略する。
【0040】
本実施例4においても、上記実施例1,3と同様の作用効果を発揮することができる。
【符号の説明】
【0041】
1,21,31 コンクリート部材
2,20 本体部
2a,20a 本体部の上面
3,13 凹部
5,15 着色材
6,16 図形
7 車輪止部
32,41 侵入抑制部
33 埋設部
34 立ち上がり部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12