特許第6971685号(P6971685)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971685
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】撮像装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/34 20210101AFI20211111BHJP
   G03B 5/00 20210101ALI20211111BHJP
   G03B 13/36 20210101ALI20211111BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   G02B7/34
   G03B5/00 J
   G03B5/00 L
   G03B13/36
   H04N5/232 480
   H04N5/232 120
【請求項の数】14
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-149675(P2017-149675)
(22)【出願日】2017年8月2日
(65)【公開番号】特開2019-28359(P2019-28359A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2020年7月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 潤一
【審査官】 三宅 克馬
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−081201(JP,A)
【文献】 特開2015−163915(JP,A)
【文献】 特開2014−109760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/34
G03B 5/00
G03B 13/36
H04N 5/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像ブレを補正する第1の像ブレ補正手段を有する撮像光学系の、異なる瞳部分領域をそれぞれ通過する光束の光電変換によって得られる像信号の位相差に基づいて、焦点検出を行う焦点検出手段と、
前記撮像光学系からの光束を撮像する撮像素子と、
像ブレを補正する第2の像ブレ補正手段と、
第1の像ブレ補正手段と第2の像ブレ補正手段を駆動制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記焦点検出手段によって前記焦点検出が行われる期間において、前記第1の像ブレ補正手段が駆動することにより前記撮像光学系を通過する光束に生じるケラレの変化と、前記第2の像ブレ補正手段が駆動することにより生じる前記ケラレの変化とに基づいて、前記第1の像ブレ補正手段の駆動量と、前記第2の像ブレ補正手段の駆動量との比率を制御する
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1の像ブレ補正手段と前記第2の像ブレ補正手段のうち、駆動することにより生じる前記ケラレの変化が小さい方の像ブレ補正手段を優先して駆動させるように前記第1の像ブレ補正手段と前記第2の像ブレ補正手段とを制御することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置
【請求項3】
前記制御手段は、前記第1の像ブレ補正手段と前記第2の像ブレ補正手段のうち、駆動することにより生じる前記ケラレの変化が小さい方の像ブレ補正手段の駆動量を、前記ケラレの変化が大きい方の像ブレ補正手段の駆動量より大きくする
ことを特徴とする請求項または請求項に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
同じブレが生じた場合、前記第1の像ブレ補正手段と、前記第2の像ブレ補正手段とのうち、前記ケラレの変化が小さい方の像ブレ補正手段の駆動量が、前記焦点検出が行われる期間よりも、撮像のための露光が行われる期間の方が小さくなるように前記第1の像ブレ補正手段の駆動量と前記第2の像ブレ補正手段の駆動量との比率を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置
【請求項5】
前記制御手段は、
前記ケラレの変化が所定値以下になるように、前記ケラレの変化に基づいて前記比率を制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置
【請求項6】
前記制御手段は、
撮像のための露光が行われる期間において、前記第1の像ブレ補正手段が駆動することにより前記撮像光学系を通過する光束に生じるケラレの変化と、前記第2の像ブレ補正手段が駆動することにより生じる前記ケラレの変化との情報を用いずに前記第1の像ブレ補正手段の駆動量と、前記第2の像ブレ補正手段の駆動量とを制御することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の撮像装置
【請求項7】
前記第1及び第2の像ブレ補正手段が駆動する位置に応じた、前記撮像光学系を通過する光束に生じるケラレに関する情報を記憶する記憶手段を有し、
前記制御手段は、前記ケラレに関する情報に基づいて、前記第1の像ブレ補正手段と、前記第2の像ブレ補正手段との駆動を制御する
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記ケラレに関する情報は、前記ケラレの状態に応じた前記撮像光学系の射出瞳面上の光束形状の情報を有する
ことを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記ケラレに関する情報は、前記複数の像信号の強度比の情報、または前記複数の像信号の位相差をデフォーカス量へと換算する換算係数の情報を有する
ことを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記第1の像ブレ補正手段と前記第2の像ブレ補正手段のいずれを駆動しても、前記ケラレの変化が所定以下である場合は、前記第1の像ブレ補正手段と前記第2の像ブレ補正手段を同じ比率で駆動する
ことを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記第1の像ブレ補正手段と前記第2の像ブレ補正手段のいずれを駆動しても、前記ケラレの変化が所定値より大きい場合は、前記第1の像ブレ補正手段と前記第2の像ブレ補正手段の駆動を制限する
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記第2の像ブレ補正手段は、前記撮像素子を移動することで像ブレ補正を行う
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記撮像光学系を備えるレンズ装置を装着可能であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項14】
像ブレを補正する第2の像ブレ補正手段を有する撮像装置の制御方法であって、
第1の像ブレ補正手段を有する撮像光学系の異なる瞳部分領域をそれぞれ通過する光束の光電変換によって得られる像信号の位相差に基づいて、焦点検出を行う焦点検出工程と、
第1の像ブレ補正手段と第2の像ブレ補正手段を駆動制御する制御工程と、を有し、
前記制御工程では、前記焦点検出工程によって前記焦点検出が行われる期間において、
前記第1の像ブレ補正手段が駆動することにより前記撮像光学系を通過する光束に生じるケラレの変化と、前記第2の像ブレ補正手段が駆動することにより生じる前記ケラレの変化とに基づいて、前記第1の像ブレ補正手段の駆動量と、前記第2の像ブレ補正手段の駆動量との比率を制御する
ことを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、焦点検出を行うための焦点検出用画素が撮像面に配置された撮像素子を有し、撮影光学系の射出瞳の異なる領域から得られる2つの撮像信号の位相差に基づいて焦点検出を行う撮像装置を開示している。また、特許文献2は、撮像素子や撮影光学系の一部を割り付け制御によって駆動して像ブレ補正を行うカメラを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−57474号公報
【特許文献2】特許第4567313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2が開示するカメラが有する像ブレ補正機能を適用し、撮影者が焦点を合わせたい被写体を撮影画面内の焦点検出枠内にとどめることで、撮影者のフレーミングを的確にアシストすることが考えられる。しかし、このカメラのように、像ブレ補正手段としての撮像素子や撮影光学系の一部を駆動することは、実質的に撮影光学系の光軸と撮像素子中心の位置関係を変更することに相当する。したがって、像ブレ補正手段を駆動すると、焦点検出枠の像高が変更されたのと等価に、撮像光学系を通過する光束に生じるケラレの状態が変化する。その結果、位相差を算出するために用いる2つの撮像信号の光量バランスが変化して、焦点検出の精度が低下し、撮影者のフレーミングを的確にアシストできたとしても、焦点の合っていない画像を撮影してしまう。本発明は、像ブレ補正手段を適切に制御することで、焦点検出の際のケラレの影響を抑えることができる撮像装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態の撮像装置は、像ブレを補正する第1の像ブレ補正手段を有する撮像光学系の、異なる瞳部分領域をそれぞれ通過する光束の光電変換によって得られる像信号の位相差に基づいて、焦点検出を行う焦点検出手段と、前記撮像光学系からの光束を撮像する撮像素子と、像ブレを補正する第2の像ブレ補正手段と、第1の像ブレ補正手段と第2の像ブレ補正手段を駆動制御する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記焦点検出手段によって前記焦点検出が行われる期間において、前記第1の像ブレ補正手段が駆動することにより前記撮像光学系を通過する光束に生じるケラレの変化と、前記第2の像ブレ補正手段が駆動することにより生じる前記ケラレの変化とに基づいて、前記第1の像ブレ補正手段の駆動量と、前記第2の像ブレ補正手段の駆動量との比率を制御する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の撮像装置によれば、像ブレ補正手段を適切に制御することで、焦点検出の際のケラレの影響を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態の撮像装置の構成例を示す図である。
図2】撮像素子の画素配列の一例である。
図3】撮像素子の画素の構成例を説明する図である。
図4】撮像素子の画素構造と瞳分割との対応関係を説明する図である。
図5】撮像素子と瞳分割との対応関係を説明する図である。
図6】デフォーカス量と像ずれ量の関係を説明する図である。
図7】焦点検出処理の例を説明するフローチャートである。
図8】撮像素子の周辺像高における瞳部分領域と撮像光学系の射出瞳の関係を説明する図である。
図9】フィルタ処理の通過帯域例を説明する図である。
図10】射出瞳面上での瞳分離の状態の例を示す図である。
図11】射出瞳面上での瞳分離の状態の例を示す図である。
図12】射出瞳面上での瞳分離の状態の例を示す図である。
図13】射出瞳面上での瞳分離の状態の例を示す図である。
図14】レンズシフト式像ブレ補正手段とセンサシフト式像ブレ補正手段の割り付け制御を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本実施形態の撮像装置の構成例を示す図である。
撮像装置1000は、レンズ交換式のデジタルカメラである。撮像装置1000は、取り付けられた交換レンズ11内に、撮影光学系101が配設され、撮影光束のための光路が形成される。この光路を透過した光束が、カメラ本体12に配設された撮像素子102へと到達し、撮像素子102に光軸垂直平面内に配列された画素内のフォトダイオードによって光電変換される。光電変換により得られる信号に対して、画像処理手段がガンマ処理、ノイズ処理等を行って、画像データを生成したうえで、不揮発メモリに書き込むことで、1枚の撮影処理が終了となる。
【0009】
撮像装置1000は、撮影者の指示によって焦点検出を行い、所望の被写体が合焦状態の画像を撮影できるようにする。撮像素子102に配設される画素が焦点検出用画素を兼ねており、焦点検出用画素の出力を元に、焦点検出手段103が被写体の焦点状態を検出する。具体的には、焦点検出手段103は、撮像光学系の異なる瞳部分領域をそれぞれ通過する光束の光電変換によって得られる複数の像信号の位相差に基づいて、焦点検出を行う。焦点検出手段103は、焦点状態の検出結果に基づいて、焦点調節光学系108が光軸方向に駆動すべき駆動量を算出する。そして、不図示の焦点調節制御手段によって、焦点調節光学系108が光軸方向に駆動量だけ駆動される。焦点検出の詳細については後述する。
【0010】
また、撮像装置1000は、撮影者が手持ち撮影をする際に発生してしまう、手振れなどの不要な振動を抑制する像ブレ補正手段を複数有する。第1の像ブレ補正手段は、交換レンズ11内に配設された撮影光学系101の一部である像ブレ補正光学系109を有するレンズシフト式像ブレ補正手段104である。像ブレ補正光学系109は、絞りよりも像面側に配設された凹レンズである。像ブレ補正制御手段107が、レンズシフト式像ブレ補正手段104を制御して、像ブレ補正光学系109を光軸垂直平面内にシフト駆動することで、像ブレを補正する。
【0011】
本実施形態では、レンズシフトにより像ブレ補正を実行しているが、像ブレ補正の方法は、レンズシフトに限定されない。撮影光学系101全体を揺動させて像ブレ補正を実行してもよいし、撮影光学系101の一部である可変プリズムのプリズム角度変化によって像ブレ補正を実行してもよい。
【0012】
第2の像ブレ補正手段は、撮像素子102を光軸垂直面内に移動自在に保持し、撮像素子102を駆動することで像ブレ補正を行うセンサシフト式像ブレ補正手段105である。本実施形態では、2つの像ブレ補正手段を用いることで、像ブレ補正可能な領域が拡大され、撮影される画像の安定化が図られる。保持枠110は、撮影光学系101の最終群を保持する鏡筒のメカ構造である。撮像素子の光軸から離れた、高像高領域などでは、保持枠110などのメカ構造によって撮影光束が遮られる、所謂「ケラレ」が生じ、焦点検出に影響を与える。したがって、撮像装置1000は、焦点検出の際には、記憶手段106内のケラレに関する情報を用いて、ケラレの変化が所定値以下となるようにレンズシフト式像ブレ補正手段104とセンサシフト式像ブレ補正手段105の駆動量を制御(割り付け制御)する。ケラレについては、後述する。
【0013】
図2は、撮像装置1000の撮像素子102の画素配列を4列×4行の範囲で、焦点検出画素配列を8列×4行の範囲で示す図である。
図2に示す2列×2行の画素群200は、左上の位置にR(赤)の分光感度を有する画素200Rが左上に配置される。また、G(緑)の分光感度を有する画素200Gが右上と左下に配置される。また、B(青)の分光感度を有する画素200Bが右下に配置される。さらに、各画素は、2列×1行に配列された第1焦点検出画素201と第2焦点検出画素202を有する。
【0014】
図2に示す4列×4行の画素(8列×4行の焦点検出画素)を面上に多数配置することで、撮像画像(焦点検出信号)の取得が可能となる。本実施形態では、画素の周期Pが4μm、画素数Nが横5575列×縦3725行=約2075万画素、焦点検出画素の列方向周期PAFが2μm、焦点検出画素数NAFが横11150列×縦3725行=約4150万画素の撮像素子として説明を行う。
【0015】
図3は、撮像素子の画素の構成例を説明する図である。
図3(A)は、図2に示す撮像素子102の画素200Gの一方について、撮像素子102の受光面側(+z側)から見た状態を示す。図3(B)は、図3(A)のa−a断面を−y側から見た状態を示す。なお、図3(B)に記載の「光軸」は、マイクロレンズ305の光軸を示す。
【0016】
図3に示すように、画素200Gでは、各画素の受光側に入射光を集光するためのマイクロレンズ305が形成され、x方向にNH分割(2分割)、y方向にNV分割(1分割)された光電変換部301と光電変換部302が形成される。光電変換部301と光電変換部302が、それぞれ、第1焦点検出画素201と第2焦点検出画素202に対応する。光電変換部301と光電変換部302は、p型層とn型層の間にイントリンシック層を挟んだpin構造フォトダイオードとしても良いし、必要に応じて、イントリンシック層を省略し、pn接合フォトダイオードとしても良い。
【0017】
各画素には、マイクロレンズ305と、光電変換部301および光電変換部302との間に、カラーフィルタ306が形成される。また、必要に応じて、画素毎にカラーフィルタの分光透過率を変えても良いし、カラーフィルタを省略しても良い。
画素200Gに入射した光は、マイクロレンズ305により集光され、カラーフィルタ306で分光されたのち、光電変換部301と光電変換部302で受光される。光電変換部301と光電変換部302では、受光量に応じて電子とホールが対生成し、空乏層で分離された後、負電荷の電子はn型層(不図示)に蓄積され、一方、ホールは定電圧源(不図示)に接続されたp型層を通じて撮像素子外部へ排出される。光電変換部301と光電変換部302のn型層(不図示)に蓄積された電子は、転送ゲートを介して、静電容量部(FD)に転送され、電圧信号に変換される。
【0018】
図4は、撮像素子の画素構造と瞳分割との対応関係を説明する図である。
図4には、図3(A)に示す画素構造のa−a断面を+y側から見た断面と、撮影光学系101の射出瞳面とが示される。射出瞳面の座標軸と対応を取るために、断面図のx軸とy軸を図3に対して反転させている。
【0019】
第1焦点検出画素201の第1瞳部分領域501は、重心が−x方向に偏心している光電変換部301の受光面とマイクロレンズ305とによって、概ね共役関係になっており、第1焦点検出画素201で受光可能な瞳領域を表している。第1焦点検出画素201の第1瞳部分領域501は、瞳面上で+X側に重心が偏心している。
【0020】
第2焦点検出画素202の第2瞳部分領域502は、重心が+x方向に偏心している光電変換部302の受光面とマイクロレンズ305とによって、概ね共役関係になっており、第2焦点検出画素202で受光可能な瞳領域を表している。第2焦点検出画素202の第2瞳部分領域502は、瞳面上で−X側に重心が偏心している。射出瞳400は、撮影光学系101の絞り開口によって形成され、射出瞳400の領域の内側の光束が、撮像素子102上に到達することとなる。また、瞳領域500は、光電変換部301と光電変換部302(第1焦点検出画素201と第2焦点検出画素202)を全て合わせた画素200G全体で受光可能な瞳領域である。
【0021】
図5は、撮像素子と瞳分割との対応関係を説明する図である。
第1瞳部分領域501と第2瞳部分領域502という異なる瞳部分領域を通過した光束は、撮像素子102の各画素に、それぞれ異なる角度で入射し、2×1分割された第1焦点検出画素201と第2焦点検出画素202で受光される。本実施形態では、瞳領域は水平方向に2つに瞳分割されている。なお、必要に応じて、垂直方向に瞳分割を行っても良い。
【0022】
撮像素子102は、撮影光学系101の第1瞳部分領域を通過する光束を受光する第1焦点検出画素201と、第1瞳部分領域と異なる撮影光学系101の第2瞳部分領域を通過する光束を受光する第2焦点検出画素202とが複数配列されている。また、撮像素子102は、撮影光学系101の第1瞳部分領域と第2瞳部分領域を合わせた瞳領域を通過する光束を受光する撮像画素が複数配列されている。本実施形態では、それぞれの撮像画素が第1焦点検出画素と第2焦点検出画素から構成されている。撮像装置1000は、撮像素子102の各画素の第1焦点検出画素201の受光信号を集めて第1焦点信号を生成する。また、撮像装置1000は、各画素の第2焦点検出画素202の受光信号を集めて第2焦点信号を生成する。そして、撮像装置1000は、第1焦点信号と第2焦点信号とに基づいて焦点検出を行う。また、撮像装置1000は、撮像素子102の画素毎に、第1焦点検出画素201と第2焦点検出画素202の信号を加算することで、有効画素数Nの解像度の撮像信号を生成する。
【0023】
図6は、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号のデフォーカス量と第1焦点検出信号と第2焦点検出信号間の像ずれ量の関係を説明する図である。
撮像面800に撮像装置1000の撮像素子102(不図示)が配置され、図4図5と同様に、撮影光学系101の射出瞳が、第1瞳部分領域501と第2瞳部分領域502に2分割される。
【0024】
デフォーカス量dは、被写体の結像位置から撮像面までの距離を大きさ|d|とし、被写体の結像位置が撮像面より被写体側にある前ピン状態を負符号(d<0)として定義される。また、デフォーカス量dは、被写体の結像位置が撮像面より被写体の反対側にある後ピン状態を正符号(d>0)として定義される。
【0025】
被写体の結像位置が撮像面(合焦位置)にある合焦状態では、d=0である。図6において、被写体801は、合焦状態(d=0)である。被写体802は、前ピン状態(d<0)である。前ピン状態(d<0)と後ピン状態(d>0)とが、デフォーカス状態(|d|>0)である。
【0026】
前ピン状態(d<0)では、被写体802からの光束のうち、第1瞳部分領域501(第2瞳部分領域502)を通過した光束は、一度、集光した後、光束の重心位置G1(G2)を中心として幅Γ1(Γ2)に広がり、撮像面800でボケた像となる。ボケた像は、撮像素子102に配列された各画素を構成する第1焦点検出画素201(第2焦点検出画素202)により受光され、第1焦点検出信号(第2焦点検出信号)が生成される。したがって、第1焦点検出信号(第2焦点検出信号)は、撮像面800上の重心位置G1(G2)に、被写体802が幅Γ1(Γ2)にボケた被写体像として記録される。被写体像のボケ幅Γ1(Γ2)は、デフォーカス量dの大きさ|d|が増加するのに伴い、概ね、比例して増加していく。同様に、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号間の被写体像の像ずれ量p(=光束の重心位置の差G1−G2)の大きさ|p|も、デフォーカス量dの大きさ|d|が増加するのに伴い、概ね、比例して増加していく。後ピン状態(d>0)でも、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号間の被写体像の像ずれ方向が前ピン状態と反対となるが、同様である。したがって、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号、もしくは1焦点検出信号と第2焦点検出信号を加算した撮像信号のデフォーカス量の大きさが増加するのに伴い、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号間の像ずれ量の大きさが増加する。
【0027】
本実施形態の撮像装置は、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号のデフォーカス量と像ずれ量の関係性を用いて、位相差方式の焦点検出を行う。具体的には、焦点検出手段103は、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号を相対的にシフトさせて信号の一致度を表す相関量を計算し、相関が良くなるシフト量から像ずれ量を検出する。焦点検出手段103は、撮像信号のデフォーカス量の大きさが増加するのに伴い、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号間の像ずれ量の大きさが増加する関係性から、像ずれ量を検出デフォーカス量に変換して焦点検出を行う。
【0028】
図7は、焦点検出処理の例を説明するフローチャートである。
S110において、焦点検出手段103が、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号のそれぞれについて、信号データ量を抑制するために列方向に3画素加算処理を行う。また、焦点検出手段103は、RGB信号を輝度Y信号にするためにベイヤ(RGB)加算処理を行う。また、焦点検出手段103は、3行ごとに1行の読み出しを行う、垂直間引き処理を実施する。本実施形態では、水平加算および垂直間引き処理は、撮像素子102から読み出した後に実施するが、撮像素子102内で予め水平加算、垂直間引きの処理がなされてもよい。
【0029】
S120において、焦点検出手段103が、撮像素子102の有効画素領域の中から焦点調節を行う対象となる焦点検出領域を設定する。焦点検出手段103は、焦点検出領域の第1焦点検出画素の受光信号から第1焦点検出信号を生成し、焦点検出領域の第2焦点検出画素の受光信号から第2焦点検出信号を生成する。
【0030】
次に、S130において、焦点検出手段103が、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号のそれぞれに対してシェーディング補正処理を行う。以下に、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号の瞳ずれによるシェーディングについて説明する。
【0031】
図8は、撮像素子の周辺像高における瞳部分領域と撮像光学系の射出瞳の関係を説明する図である。
図8では、撮像素子102の周辺像高における第1焦点検出画素201の第1瞳部分領域501、第2焦点検出画素202の第2瞳部分領域502、および撮影光学系101の射出瞳400の関係を例にとって説明する。図8(A)は、撮影光学系101の射出瞳距離Dlと撮像素子102の設定瞳距離Dsが同じ状態を示す。この状態の場合は、第1瞳部分領域501と第2瞳部分領域502により、撮影光学系101の射出瞳400が、概ね、均等に瞳分割される。図8(B)は、撮影光学系101の射出瞳距離Dlが撮像素子102の設定瞳距離Dsより短い状態を示す。この状態の場合、撮像素子102の周辺像高では、射出瞳400と撮像素子102の入射瞳の瞳ずれを生じ、射出瞳400が不均一に瞳分割されてしまう。図8(C)は、撮影光学系101の射出瞳距離Dlが撮像素子102の設定瞳距離Dsより長い状態を示す。この状態の場合、撮像素子102の周辺像高では、射出瞳400と撮像素子102の入射瞳の瞳ずれを生じ、射出瞳400が不均一に瞳分割されてしまう。周辺像高で瞳分割が不均一になるのに伴い、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号の強度も不均一になり、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号のいずれか一方の強度が大きくなり、他方の強度が小さくなるシェーディングが生じる。
【0032】
図7の説明に戻る。S130において、焦点検出手段103が、第1焦点検出信号の第1シェーディング補正係数と第2焦点検出信号の第2シェーディング補正係数を生成する。焦点検出手段103は、焦点検出領域の像高、撮影光学系101のF値(絞り値)、射出瞳距離、射出瞳光束のケラレ状態に応じて、第1シェーディング補正係数および第2シェーディング補正係数を生成する。焦点検出手段103は、第1シェーディング補正係数を第1焦点検出信号に乗算し、第2シェーディング補正係数を第2焦点検出信号に乗算して、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号のシェーディング補正処理を行う。
【0033】
位相差方式の焦点検出では、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号の相関を基に、検出デフォーカス量の検出を行う。瞳ずれによるシェーディングが生じると第1焦点検出信号と第2焦点検出信号の相関が低下する場合がある。したがって、位相差方式の焦点検出では、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号の相関(信号の一致度)を改善し、焦点検出性能を良好とするために、シェーディング補正処理(光学補正処理)を行うことが望ましい。図8中では不図示であるが、射出瞳400を構成する開口以外にも、各光学系を保持するメカ部材や、交換レンズ11の最後群から撮像素子102までのカメラ本体内のメカ部材が存在する。絞り値や像高などによっては、これらのメカ部材によって、撮像光学系を通過する光束に生じる光束が遮られることがあり、一般にこれを光束の「ケラレ」と称する。
【0034】
第1焦点検出信号と第2焦点検出信号のシェーディングは、ケラレによっても発生し、ケラレが既知である条件においては、ケラレについても加味したシェーディング補正を行うことで、焦点検出精度の低下を防ぐことができる。撮像装置1000は、シェーディング補正係数SHDが、焦点検出領域の像高と、撮影光学系101のF値(絞り値)、射出瞳距離およびケラレ状態に対応したテーブルとして記憶手段106に格納している。シェーディング補正係数SHDは、撮影光学系の射出瞳の互いに異なる領域から得られる複数の像信号の強度比に相当する。射出瞳距離は、交換レンズ毎(ズームレンズであればズームステート毎)に異なる値であるため、それぞれに応じたテーブルが設けられている。また、ケラレ状態は、像ブレ補正光学系109の位置によって変化するので、像ブレ補正光学系109のストローク量毎にシェーディング補正係数SHDを持たせることで表現されている。撮像装置1000においては、レンズシフト式像ブレ補正手段104のストローク量毎に異なるシェーディング補正係数SHDのテーブルを持つことで、ケラレ情報を保有している。センサシフト式像ブレ補正手段105が駆動する撮像素子102の位置については、単純な焦点検出領域の像高変化ととらえることができる。したがって、撮像装置1000は、撮像素子102の位置毎のシェーディング補正係数テーブルは保持していない。撮像装置1000は、例えば、レンズシフト式像ブレ補正手段104とセンサシフト式像ブレ補正手段105の駆動で取りうる相対位置関係を、前述の像ブレ補正光学系109のストローク量として保持する。S140において、焦点検出手段103が、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号に対してフィルタ処理を行う。
【0035】
図9は、フィルタ処理の通過帯域例を説明する図である。
図9の実線が、フィルタ処理の通過帯域を示す。本実施形態では、位相差方式の焦点検出により、大デフォーカス状態での焦点検出を行うので、フィルタ処理の通過帯域は低周波帯域を含むように構成される。大デフォーカス状態から小デフォーカス状態まで焦点調節を行う際に、デフォーカス状態に応じて、焦点検出時のフィルタ処理の通過帯域を、図9の1点鎖線のように、より高周波帯域に調整しても良い。
次に、図7のステップS150において、焦点検出手段103が、フィルタ処理後の第1焦点検出信号と第2焦点検出信号を相対的に瞳分割方向にシフトさせるシフト処理を行い、信号の一致度を表す相関量を算出する。フィルタ処理後のk番目の第1焦点検出信号をA(k)、第2焦点検出信号をB(k)、焦点検出領域に対応する番号kの範囲をWとする。シフト処理によるシフト量をs1、シフト量s1のシフト範囲をΓ1として、相関量CORは、式(1)により算出される。
【数1】
【0036】
焦点検出手段103は、シフト量s1の第1シフト処理により、k番目の第1焦点検出信号A(k)とk−s1番目の第2焦点検出信号B(k−s1)を対応させ減算し、シフト減算信号を生成する。焦点検出手段103は、生成されたシフト減算信号の絶対値を計算し、焦点検出領域に対応する範囲W内で番号kの和を取り、相関量(第1評価値)COR(s1)を算出する。必要に応じて、各行毎に算出された相関量(第1評価値)を、シフト量毎に、複数行に渡って加算しても良い。
【0037】
S160において、焦点検出手段103が、相関量から、サブピクセル演算により、相関量が最小値となる実数値のシフト量を算出して像ずれ量p1とする。焦点検出手段103は、像ずれ量p1に、焦点検出領域の像高と、撮影光学系101のF値、射出瞳距離およびケラレ情報に応じた換算係数Kをかけて、検出デフォーカス量(Def)を検出する。すなわち、換算係数Kによって、複数の像信号の位相差がデフォーカス量へと換算される。換算係数Kは、撮像装置1000が有する記憶手段106に格納されたテーブルデータとして存在する。換算係数Kのテーブルは、シェーディング補正係数SHDのテーブルと同様に、交換レンズ毎の射出瞳距離に応じたテーブルとして設けられている。また、ケラレ状態についても同様に、換算係数Kが、像ブレ補正光学系109のストローク量毎に記述される。撮像装置1000においては、像ブレ補正光学系109のストローク量毎に異なる換算係数Kのテーブルを持つことで、ケラレ情報を保有している。焦点検出手段103は、検出された検出デフォーカス量に対し、フォーカス敏感度を掛けることで、焦点調節光学系108の駆動量を決定する。
【0038】
図7を参照して説明した処理は、静止画撮影モードであれば、不図示のシャッターボタンの半押し動作(SW1)による指示から、合焦確認のための焦点検出が完了するまで、毎フレーム実施される。また、この処理は、動画撮影モードであれば、毎フレーム実施される。焦点検出領域の像高については、過去の複数のフレームでの、追尾(焦点検出枠の自動選択)の履歴や、二つの像ブレ補正手段の駆動位置の履歴から予測し決定される。
本実施形態では、シェーディング補正係数SHDおよび変換係数Kをテーブルの形で記憶手段106に格納しているが、ケラレ情報を瞳面上の2次元的な枠形状として保有し、このケラレ情報を元に係数計算をカメラ内で行って求めてもよい。上記の2次元的な枠形状は、ケラレの状態に応じた撮像光学系の射出瞳面上の光束形状に相当する。また、本実施形態では、記憶手段106の場所について特段の記載をしていないが、記憶手段106をカメラ本体12側に持たせてもよいし、交換レンズ11とカメラ本体12とに分割して持たせてもよい。
【0039】
(レンズシフト補正と瞳分割)
撮像装置1000の像ブレ補正手段である、レンズシフト式像ブレ補正手段104およびセンサシフト式像ブレ補正手段105の駆動と焦点検出の関係について、図10乃至図13を用いて説明する。
【0040】
図10乃至図13は、中央像高または周辺像高の焦点検出領域の画素群が観察する射出瞳面上での瞳分離の状態の例を示す図である。
図10(A)、図10(C)および図11(A)は、中央像高の焦点検出領域の画素群が観察する射出瞳面上での瞳分離の状態を示す。また、図10(B)、図10(D)および図11(B)は、周辺像高(+X方向)の焦点検出領域の画素群が観察する射出瞳面上での瞳分離の状態を示す。図10では、撮影光学系101の射出瞳距離Dlと撮像素子102の設定瞳距離Dsとがほぼ等価な系を表している。
【0041】
図10(A)を参照して、レンズシフト式像ブレ補正手段104が有する像ブレ補正光学系109が駆動範囲中央に位置する際の、中央像高での瞳分離について説明する。図10(A)上段の瞳面中央に示された円形形状は、撮影光学系101の絞りの開口により形成される射出瞳400である。中央像高では、撮像素子102の設定瞳距離とほぼ等距離にある撮影光学系101の射出瞳面の光束を略均等に左右分割することがわかる。射出瞳400と撮像素子102の表面の間に配置された太線は、撮影光学系101の最終群の保持枠110を表しており、中央像高においては、保持枠110によるケラレは発生していない。
【0042】
図10(B)に示すように、周辺像高においても、撮像素子102の設定瞳距離が、撮影光学系101の射出瞳距離とほぼ等価であり、最終群の保持枠110がなければ、撮影光学系101の射出瞳面の光束を略均等に左右分割可能である。しかし、実際には最終群の保持枠110によって光束の片側がケラレを生じ、瞳分割は左右不均等なものとなってしまう。このようなケラレを生じる場合には、撮像装置1000は、焦点検出信号のそれぞれに対してケラレ状態を類推可能なケラレ情報を元にシェーディング補正を施し、より正確な焦点検出演算を実行する。
【0043】
図10(C)、図10(D)、図11(A)、図11(B)は、レンズシフト式像ブレ補正手段104の像ブレ補正光学系109がX方向に駆動した際の、射出瞳面上での瞳分離の状態を示す。本実施形態では、撮像素子102を構成する第1 焦点検出画素201と第2焦点検出画素202とが、X軸方向に配設されている。したがって、レンズシフト式像ブレ補正手段104が有する像ブレ補正光学系109がX方向に駆動することが焦点検出のための瞳分離に与える影響度が大きい。
【0044】
撮影光学系101については、レンズシフト式像ブレ補正手段104は、絞りよりも像面側に配設された1枚の凹レンズ(像ブレ補正光学系109)をXY平面内にシフトすることで像ブレ補正を行っている。すなわち、像ブレ補正光学系109が+X方向に駆動すると、撮像素子102が、瞳面上で−X方向にシフトした射出瞳400を観察することとなる。したがって、図10(C)および図10(D)は、像ブレ補正光学系109が+X方向に駆動した場合の瞳分離の状態を示す。また、図11(A)および図11(B)は、像ブレ補正光学系109が−X方向に駆動した場合の瞳分離の状態を示す。
【0045】
図10(C)および図10(D)を参照して、レンズシフト式像ブレ補正手段104が有する像ブレ補正光学系109が+X方向に変位した際の中央像高での瞳分離の例について説明する。前述の通り、像ブレ補正光学系109が+X方向に変位すると、射出瞳400が−X方向に移動する。厳密にはコサイン四乗則に則り楕円形状になるが、この例では、説明の簡単化のため、円形のまま表現している。
【0046】
図10(C)では、射出瞳400が−X方向に移動するものの、太線で示した撮影光学系101の最終群の保持枠110によるケラレは生じていない。しかし、絞り開口形状が−X方向に移動したために、瞳分割は左右不均等となり、中央像高でありながら、ケラレによるシェーディングが発生する。図10(D)では、図10(C)と同様に、射出瞳400が−X方向に移動するとともに、撮影光学系101の最終群の保持枠110によるケラレが発生する。この場合、図10(B)と異なり、ケラレ量は増大するものの、瞳分割は図10(C)よりも左右均等に近い形となる。
【0047】
図11(A)および図11(B)を参照して、レンズシフト式像ブレ補正手段104が有する像ブレ補正光学系109が−X方向に変位した際の中央像高および周辺像高(+X方向)での瞳分離の状態について説明する。図10(C)および図10(D)とは逆に、レンズシフト式像ブレ補正手段104の像ブレ補正光学系109が−X方向に変位すると、射出瞳400が+X方向に移動する。説明の簡単化のため、射出瞳400は円形としている。図11(A)では、射出瞳400が+X方向に移動するものの、太線で示した撮影光学系101の最終群の保持枠110によるケラレは生じていない。しかし、射出瞳400が+X方向に移動したために、瞳分割は左右不均等となり、中央像高でありながら、ケラレによるシェーディングが発生する。図11(B)では、撮影光学系101の最終群の保持枠110によるケラレが発生し、射出瞳400が+X方向に移動する。この場合、図10(B)と異なり、ケラレ量が減少するものの、瞳分割の不均等性は増し、焦点検出信号のうち−X側の成分比率が著しく低下する。図10(C)乃至図11(B)に対応する条件下で、図10(A)および図10(B)の条件と同様なシェーディング補正や換算係数Kを用いたデフォーカス演算を行ってしまうと、正確な焦点検出が不能となり、合焦状態に到達できない。
【0048】
以上の説明から、レンズシフト式像ブレ補正手段104を用いて像ブレ補正を行う場合、像ブレ補正光学系109のXY平面内での位置、焦点検出領域の設定によって、ケラレ量や瞳分割による二つの焦点検出信号の比率が変動することが分かる。二つの焦点検出信号の比率の変動が、焦点検出のための焦点検出信号蓄積中に大きく生じることは、シェーディング補正係数SHDや換算係数Kのばらつきを増大させ、精度の良い焦点検出結果が得られなくなる。したがって、像ブレ補正制御手段107は、例えば、記憶手段106に格納されたケラレ情報に応じたシェーディング補正係数SHDと換算係数Kが、像ブレ補正光学系109が現在位置から移動した場合、どのように変化するかを予め算出する。像ブレ補正制御手段107は、シェーディング補正係数SHDと換算係数Kの変化の算出結果を元に、割り付け制御を行うことで、精度の良い焦点検出を実現できる像ブレ補正を実行する。以下の説明では、割り付け制御とは、レンズシフト式像ブレ補正手段104を用いた像ブレ補正光学系109の駆動量と、センサシフト式像ブレ補正手段105を用いた撮像素子102の駆動量の比率(重み付け)を制御することをいう。
【0049】
(センサシフトと瞳分割)
図12(A)、図12(C)および図13(A)は、中央像高の焦点検出領域の画素群が観察する射出瞳面上での瞳分割の状態を示す。また、図12(B)、図12(D)および図13(B)は、周辺像高(+X方向)の焦点検出領域の画素群が観察する射出瞳面上での瞳分割の状態を示す。図12および図13では、撮影光学系101の射出瞳距離Dlと撮像素子102の設定瞳距離Dsとがほぼ等価な系を表している。
【0050】
図12(A)を用いて、センサシフト式像ブレ補正手段105が駆動範囲中央に位置する際の中央像高での瞳分割について説明する。図12(A)上段の射出瞳面中央に示された円形形状は、撮影光学系101の絞りの開口により形成される射出瞳400である。中央像高では、撮像素子102の設定瞳距離とほぼ等距離にある撮影光学系101の射出瞳面の光束を略均等に左右分割する。射出瞳面と撮像素子102の表面の間に配置された太線は、撮影光学系101の最終群の保持枠110を表している。中央像高においては、保持枠110によるケラレは発生していない。
【0051】
図12(B)に示す周辺像高においても、撮像素子102の設定瞳距離が、撮影光学系101の射出瞳距離とほぼ等価であり、最終群の保持枠110がなければ、撮影光学系101の射出瞳面の光束を略均等に左右分割可能である。しかし、実際には最終群の保持枠110によって、光束の片側がケラレを生じ、瞳分割は左右不均等なものとなってしまう。撮像装置1000は、ケラレを生じる場合には、焦点検出信号のそれぞれに対してケラレ状態を類推可能なケラレ情報を元にシェーディング補正を施し、より正確な焦点検出演算を実行する。
【0052】
図12(C)、図12(D)、図13(A)および図13(B)は、センサシフト式像ブレ補正手段105がX方向に駆動した際の、射出瞳面上での瞳分割の状態を示す。センサシフト式像ブレ補正手段105は、撮像素子102をXY平面内に駆動可能である。本実施形態では、撮像素子102を構成する第1焦点検出画素201と第2焦点検出画素202とは、X軸方向に配設されている。したがって、センサシフト式像ブレ補正手段105が有する撮像素子102がX方向に駆動することが、焦点検出のための瞳分割に与える影響度が大きい。撮像素子102が、+X方向に駆動されると、撮像素子102は、瞳面上で+X方向にシフトした射出瞳400を観察することとなる。したがって、図12(C)および図12(D)は、撮像素子102が−X方向に駆動した場合の瞳分割を示す。図13(A)および図13(B)は、撮像素子102が+X方向に駆動した場合の瞳分割を示す。
【0053】
図12(C)および図12(D)を参照して、センサシフト式像ブレ補正手段105が−X方向に変位した際の中央像高での瞳分割の例について説明する。撮像素子102が−X方向に変位すると、瞳面上では射出瞳400も−X方向に移動する。これは、撮像素子102が−X方向に変位することで、撮像素子102の中心を通る撮像面に垂直な軸(中央画素から伸びた上下方向矢印に相当)が撮影光学系101の光軸からずれるからである。したがって、射出瞳面上では、図12(C)、図12(D)の上段に示すように、第1部分瞳領域501および第2部分瞳領域502全体が、射出瞳面内を(図では左方に)移動した形で表現されている。射出瞳400は、厳密にはコサイン四乗則に則り楕円形状になるが、この例では、説明の簡単化のため、円形のまま表現している。
【0054】
図11(C)では、射出瞳400が−X方向に移動するものの、太線で示した撮影光学系101の最終群の保持枠110によるケラレは生じていない。しかし、射出瞳400が−X方向に移動したために、瞳分割は左右不均等となり、中央像高でありながら、ケラレによるシェーディングが発生する。図12(D)では、図12(C)と同様に、射出瞳400が−X方向に移動するとともに、撮影光学系101の最終群の保持枠110によるケラレが発生する。この場合、相対的に撮影光学系101の光軸が、図11(d)で着目する撮像素子102の周辺像高位置に近づくために、ケラレ量は図12(B)よりも小さくなり、瞳分割は図12(C)に近い形となる。
【0055】
図13(A)および図13(B)を参照して、センサシフト式像ブレ補正手段105が有する撮像素子102が+X方向に変位した際の中央像高および周辺像高(+X方向)での瞳分割の例について説明する。撮像素子102が+X方向に変位すると、瞳面上では射出瞳400も+X方向に移動する。これは、撮像素子102が+X方向に変位することで、撮像素子102の中心を通る撮像面に垂直な軸(中央画素から伸びた上下方向矢印に相当)が撮影光学系101の光軸からずれるためである。したがって、射出瞳面上では、図13(A)、図13(B)の上段に示すように、第1部分瞳領域501および第2部分瞳領域502全体が、射出瞳面内を(図では右方に)移動した形で表現されている。この例でも、説明の簡単化のため、射出瞳400は円形としている。
【0056】
図13(A)では、射出瞳400が+X方向に移動するものの、太線で示した撮影光学系101の最終群の保持枠110によるケラレは生じていない。しかしながら、射出瞳400が+X方向に移動したために、瞳分割は左右不均等となり、中央像高でありながら、ケラレによるシェーディングが発生する。図13(B)では、相対的に撮影光学系101の光軸が、図13(A)で着目する撮像素子102の周辺像高位置から遠ざかる。したっがって、撮影光学系101の最終群の保持枠110によるケラレが大きく発生するとともに、射出瞳400が+X方向に移動する。この場合、図12(B)と異なり、ケラレ量が減少するものの、瞳分割の不均等性は増し、焦点検出信号のうち−X側の成分比率がほぼゼロとなる。図12(C)乃至図13(B)のような条件下で、図12(A)および図12(B)の条件と同様にシェーディング補正や換算係数Kを用いたデフォーカス演算を行ってしまうと、正確な焦点検出が不能となり、合焦状態に到達できない。
【0057】
以上の説明から、センサシフト式像ブレ補正手段105を用いて像ブレ補正を行う場合、撮像素子102の位置、焦点検出領域の設定によって、ケラレ量や瞳分割による二つの焦点検出信号の比率が変動することが分かる。二つの焦点検出信号の比率の大きな変動が、焦点検出のための焦点検出信号蓄積中に生じると、精度の良い焦点検出結果を得ることができない。したがって、像ブレ補正制御手段107は、記憶手段106に格納されたケラレ情報に応じたシェーディング補正係数SHD、換算係数Kが、撮像素子102が現在位置から移動した場合どのように変化するかを予め算出する。像ブレ補正制御手段107が、シェーディング補正係数SHD、換算係数Kの変化の算出結果を元に、割り付け制御を行うことで、より最適な焦点検出を実現できる像ブレ補正を実行する。
【0058】
図10乃至図13では、撮影光学系101の射出瞳距離Dlと、撮像素子102の設定瞳距離Dsがほぼ等価である系を例にとって説明した。撮像装置1000はレンズ交換式であるので、実際にはDl>DsまたはDl<Dsという組み合わせも発生する。この場合、ケラレの状況は図10乃至図13とは異なるものとなってしまう。したがって、例えば、記憶手段106に、撮影光学系101の射出瞳距離Dlの情報も網羅するケラレ情報を保持するようにし、後述する割り付け制御において、最適な焦点検出が実現可能な条件を選定するようにする。
【0059】
(割り付け制御)
図14は、像ブレ補正制御手段が実施する、レンズシフト式像ブレ補正手段とセンサシフト式像ブレ補正手段の駆動制御の例を説明するフローチャートである。
図14を参照して説明する処理は、撮像装置1000がライブビュー状態であって、静止画撮影のためにレリーズボタンの半押し(側光/焦点検出開始指示:SW1)がなされて以降実施される。本実施形態では、像ブレ補正制御手段107は、焦点検出が行われる期間において、ケラレの変化が所定値以下となるように、レンズシフト式像ブレ補正手段104とセンサシフト式像ブレ補正手段105の駆動量を制御する。図14では、静止画連写を例にとって説明する。
【0060】
S101において、像ブレ補正制御手段107が、レンズシフト式像ブレ補正手段104とセンサシフト式像ブレ補正手段105の現在位置情報を参照して、Pl、Psを設定する。Plは、レンズシフト式像ブレ補正手段104が有する像ブレ補正光学系109のXY座標での位置を示す。Psは、センサシフト式像ブレ補正手段105が有する撮像素子102のXY座標での位置を示す。本実施形態では、SW1動作から像ブレ補正を開始するので、Pl、Psともに(0,0)が設定される。
【0061】
S102において、像ブレ補正制御手段107が、現在参照しているシェーディング補正係数SHDと換算係数Kが、像ブレ補正光学系109と撮像素子102が±X方向に所定量駆動した際の変化量ΔSHD、ΔKを算出する。ΔSHDは、ΔSHDlとΔSHDsとから成る。ΔSHDlは、像ブレ補正光学系109を所定量駆動した際のシェーディング補正係数SHDの変化量である。また、ΔSHDsは、撮像素子102を所定量駆動した際のシェーディング補正係数SHDの変化量である。ΔKは、ΔKlとΔKsとから成る。ΔKlは、像ブレ補正光学系109を所定量駆動した際の換算係数Kの変化量である。ΔKsは、撮像素子102を所定量駆動した際の換算係数Kの変化量である。
【0062】
次に、S103において、像ブレ補正制御手段107が、S102で得られたΔSHD、ΔKを元に、レンズシフト式像ブレ補正手段104とセンサシフト式像ブレ補正手段105のいずれを優先的に駆動するかを決定するための演算を行う。すなわち、像ブレ補正光学系109を+X(もしくは−X)方向に駆動する場合と、撮像素子102を−X(もしくは+X)方向に駆動する場合とで、いずれの場合がΔSHDおよびΔKが大きいかを演算により求める。より具体的には、像ブレ補正制御手段107は、ΔSHDs>ΔSHDlおよびΔKs>ΔKlであるか否かを駆動方向毎に演算する。なお、像ブレ補正制御手段107が、像ブレ補正光学系109を駆動する場合と、撮像素子102を駆動する場合とで、いずれの場合がΔSHDが大きいかを演算してもよい。また、像ブレ補正制御手段107が、像ブレ補正光学系109を駆動する場合と、撮像素子102を駆動する場合とで、いずれの場合がΔKが大きいかを演算してもよい。
【0063】
次に、S104において、像ブレ補正制御手段107が、S103での演算結果に基づいて、レンズシフト式像ブレ補正手段104とセンサシフト式像ブレ補正手段105の駆動量の付け制御を実行する。例えば、ΔSHDlがΔSHDsよりも大きい場合、像ブレ補正制御手段107は、センサシフト式像ブレ補正手段105により撮像素子102を駆動する。この例では、センサシフト式像ブレ補正手段105のみを駆動させる方式を採るが、もちろん、この方式に限定されない。センサシフト式像ブレ補正手段105の駆動量を、レンズシフト式像ブレ補正手段104の駆動量よりも大きくするようにしてもよい。その場合、各像ブレ補正手段が駆動された際の主光線角度変化量、すなわち像ブレ補正角の変化量の敏感度を加味して、その駆動割り付けの比率を決定すればよい。本実施形態では、ΔSHDおよびΔKが小さい系を優先的に駆動して像ブレ補正することで、焦点検出のために撮像素子102が光電変換した電荷を蓄積する期間中のシェーディング補正係数SHDおよび換算係数Kの変化を小さく抑えることが可能となる。なお、ΔSHDまたはΔKのいずれかが小さい系を優先的に駆動して像ブレ補正するようにしてもよい。像ブレ補正駆動の間に蓄積された焦点検出信号を元に焦点検出を行う場合、蓄積時間中の平均的なシェーディング補正係数SHD、換算係数Kを用いることとなる。そこで、像ブレ補正手段の割り付け制御を実施することで、蓄積時間中のシェーディング補正係数SHDおよび換算係数Kのばらつきを抑えることが可能となる。本実施形態で実行される割り付け制御は、結果として焦点検出信号のケラレ量の変化がなるべく小さい状態で像ブレ補正を実施していることを意味する。
【0064】
次に、S105において、像ブレ補正制御手段107が、PlおよびPsを更新する。続いて、S106において、像ブレ補正制御手段107が、焦点検出手段103による焦点検出が完了したか否かを判定する。焦点検出が完了していないと判定された場合には、処理がS102に戻り、焦点検出動作を優先するS102からS105の処理が繰り返し実行される。S102からS105の処理の繰り返しの間、順次Pl、Psが更新され、ΔSHDおよびΔKに関する演算が行われ、焦点検出動作とともに像ブレ補正制御がなされる。焦点検出が完了したと判定された場合には、処理がS107に進む。焦点検出手段103が焦点検出のために撮像素子102が光電変換した電荷を蓄積する期間は、本処理フローの開始から、S106にて焦点検出が完了と判定されるまでの期間に少なくとも1回存在する。
【0065】
次に、S107において、像ブレ補正制御手段107が、レリーズボタンの全押し動作(撮像開始指示:SW2)がなされたか否かを判定される。SW2が検出されない場合には、処理がS102に戻る。SW2が検出された場合は、処理がS108に進む。S108において、協調像ブレ補正が実行される。すなわち、撮像のための露光期間中に、レンズシフト式像ブレ補正手段104とセンサシフト式像ブレ補正手段105とが互いに協調して撮像のための像ブレ補正を実行する。協調像ブレ補正の実行の際には、ΔSHDとΔKは参照されない。また、協調像ブレ補正中にも、次の焦点検出のため、随時Ps、Plの更新がなされる。撮像が完了すると、S109において、像ブレ補正制御手段107が、SW2が継続しているか否かを判定する。S109の判定処理は、連写の意図を確認するための処理である。SW2が継続している場合には、処理が再度S102に戻り、次のフレームのための焦点検出動作および焦点検出動作を優先する像ブレ補正動作の駆動割り付け制御が実行される。SW2が継続していない場合には、本処理フローは終了となり、一連の像ブレ補正駆動動作が完了する。
【0066】
図14に示す処理フローは、SW1により開始するが、これには限定されず、ライブビュー動作開始から常に実行されてもよい。また、図14では、静止画撮影における連写で説明を行ったが、これには限定されず、動画撮影モードにおいてライブビュー動作開始または撮影開始から本処理フローを適用するものであっても構わない。動画撮影の場合、SW2に相当する撮像の指示や焦点検出完了は存在せず、強制的に次のフレームの撮像指示がなされ、次のフレームのための焦点検出がなされる。
【0067】
図14の処理フローにおいては、ΔSHD、ΔKの両方が算出され参照されるが、これには限定されず、例えば、ΔKのみを参照して割り付け制御の比率が決定されてもよい。ケラレによるシェーディング補正係数SHDと換算係数Kが、多くの条件下において、相関があるためである。また、像高や射出瞳距離条件などによって、ΔSHD、ΔKのいずれを元に割り付け制御を行うかを決定するようにしてもよい。像高や射出瞳距離などの条件によっては、ケラレによるシェーディング補正係数SHDと換算係数Kの相関が崩れることがあるためである。
【0068】
また、例えば、レンズシフト式像ブレ補正手段104とセンサシフト式像ブレ補正手段105のいずれを駆動しても大きな影響がない場合、つまりΔKまたはΔSHDの変化が所定量以下の条件の場合には、以下の制御を実行してもよい。例えば、像ブレ補正制御手段107は、レンズシフト式像ブレ補正手段104とセンサシフト式像ブレ補正手段105を同じ比率で駆動する。
【0069】
また、いずれの像ブレ補正手段を駆動させてもΔSHDまたはΔKが所定値より大きい場合には、レンズシフト式像ブレ補正手段104とセンサシフト式像ブレ補正手段105の駆動を制限してもよい。例えば、像ブレ補正制御手段107は、2つの像ブレ補正手段のセンタリング動作を適宜実施し、ΔSHDおよびΔKが所定以下となる状態にする。これにより、焦点検出精度が損なわれることを最小限に抑えることが可能となる。
【0070】
本実施形態の撮像装置によれば、ケラレ情報を元にしたシェーディング補正係数SHDおよび換算係数Kの変化が小さい、または所定以下となるような、像ブレ補正の割り付け制御がなされる。したがって、像ブレ補正のための撮像素子、像ブレ補正光学系の駆動を適切に制御し、焦点検出への影響を抑制可能となる。
【0071】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0072】
103 焦点検出手段
107 像ブレ補正制御手段
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