特許第6971691号(P6971691)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971691
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】釣り用リール
(51)【国際特許分類】
   A01K 89/015 20060101AFI20211111BHJP
   A01K 89/017 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   A01K89/015 B
   A01K89/015 A
   A01K89/017
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-151274(P2017-151274)
(22)【出願日】2017年8月4日
(65)【公開番号】特開2019-24472(P2019-24472A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2020年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(73)【特許権者】
【識別番号】503230070
【氏名又は名称】シマノコンポネンツ マレーシア エスディーエヌ.ビーエッチディー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】武智 邦生
(72)【発明者】
【氏名】ムハマド アイディル ビン ミセリ
(72)【発明者】
【氏名】青木 真吾
(72)【発明者】
【氏名】浅賀 俊作
(72)【発明者】
【氏名】清川 加奈子
【審査官】 大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−258439(JP,A)
【文献】 特開2013−046580(JP,A)
【文献】 実開昭56−078020(JP,U)
【文献】 特開平09−056303(JP,A)
【文献】 特開2006−059565(JP,A)
【文献】 特開平02−107145(JP,A)
【文献】 特開2003−319741(JP,A)
【文献】 特開平11−196724(JP,A)
【文献】 特開2016−136929(JP,A)
【文献】 実開昭56−037422(JP,U)
【文献】 実開平03−122663(JP,U)
【文献】 特開平11−095192(JP,A)
【文献】 米国特許第05397071(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 89/00−89/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方に釣り糸を繰り出す釣り用リールであって、
表示画面を有するカウンタと、
前記表示画面を露出させる開口部、及び前記開口部を画定する内壁面、を有するカウンタカバーと、
を備え、
前記表示画面及び前記内壁面によって、凹部が画定され、
前記内壁面は、後方へ傾斜する後部内壁面を有し、
前記カウンタは、窓部を含むカウンタケースと、前記カウンタケース内に収容される表示部と、を有し、
前記表示部は、前記窓部を介して視認され、
前記表示画面は、前記窓部及び前記表示部によって構成され、
前後方向において、前記表示部の中心は、前記内壁面の上端縁によって画定される前記開口部の上面の中心よりも前方に配置される、
釣り用リール。
【請求項2】
前記内壁面は、前部内壁面、及び一対の側部内壁面をさらに有し、
前記カウンタの表示画面が水平となるように前記釣り用リールを載置した状態において、前記後部内壁面の鉛直方向に対する傾斜角は、前記前部内壁面、及び前記一対の側部内壁面のそれぞれの鉛直方向に対する傾斜角よりも大きい、
請求項1に記載の釣り用リール。
【請求項3】
第1リール本体部と、
前記第1リール本体部と間隔をあけて配置される第2リール本体部と、
前記第1リール本体部と前記第2リール本体部との間に配置されるスプールと、
をさらに備える、
請求項1又は2に記載の釣り用リール。
【請求項4】
前記表示部は、前部が後部よりも前記開口部の上面に近くなるように傾斜する、
請求項1から3のいずれかに記載の釣り用リール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り用リールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
両軸受リールなどの釣り用リールにおいて、水深などの情報を表示するためのカウンタを有しているものがある(例えば、特許文献1参照)。このカウンタは、リール本体のフレームなどに取り付けられ、カウンタカバーによって覆われている。カウンタの表示画面はカウンタカバーの開口部から露出しており、釣り人は開口部を介してカウンタの表示画面を視認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−136929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記カウンタの表示画面が開口部から上方に出ているため、カウンタの表示画面が損傷しやすいという問題がある。そこで、本発明の課題は、カウンタの表示画面の損傷を低減することができる両軸受リールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のある側面に係る釣り用リールは、前方に釣り糸を繰り出すように構成されている。この釣り用リールは、カウンタと、カウンタカバーとを備えている。カウンタは、表示画面を有する。カウンタカバーは、表示画面を露出させる開口部と、開口部を画定する内壁面とを有する。表示画面及び内壁面によって、凹部が画定される。内壁面は、後方へ傾斜する後部内壁面を有する。
【0006】
この構成によれば、表示画面と内壁面とによって凹部が画定されている。すなわち、表示画面は、この凹部の底面を画定しているため、カウンタカバーの表面から一段下がった場所に配置されている。このため、カウンタの表示画面に物が衝突しにくくなり、その結果、カウンタの表示画面の損傷を低減することができる。
【0007】
なお、表示画面が凹部の底面として配置されていると、釣り人が後方から表示画面を確認する際に、死角が増えて視認性が低下するという問題が生じる。しかし、本発明では、内壁面のうち、後部内壁面が後方に傾斜している。このため、表示画面を後方から確認する釣り人の可視領域が増えるため、視認性の低下を防止することができる。
【0008】
好ましくは、釣り用リールは、第1リール本体部と、第2リール本体部と、スプールとをさらに備える。すなわち、好ましくは、釣り用リールは、両軸受リールである。第2リール本体部は、第1リール本体部と間隔をあけて配置される。スプールは、第1リール本体部と第2リール本体部との間に配置される。
【0009】
好ましくは、カウンタは、窓部を含むカウンタケースと、カウンタケース内に収容される表示部と、を有する。表示部は、窓部を介して視認される。表示画面は、窓部及び表示部によって構成される。
【0010】
好ましくは、前後方向において、表示部の中心は、開口部の中心よりも前方に配置される。この構成によれば、釣り人からの視認性が向上する。
【0011】
好ましくは、表示部は、前部が後部よりも開口部に近くなるように傾斜する。この構成によれば、釣り人からの視認性が向上する。
【0012】
好ましくは、内壁面は、前部内壁面、及び一対の側部内壁面をさらに有する。カウンタの表示画面が水平となるように釣り用リールを載置した状態において、後部内壁面の鉛直方向に対する傾斜角は、前部内壁面、及び一対の側部内壁面のそれぞれの鉛直方向に対する傾斜角よりも大きい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、カウンタの表示画面の損傷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】両軸受リールの平面図。
図2】リール本体のフレームの斜視図。
図3】カウンタカバー及びカウンタの斜視図。
図4】カウンタカバー及びカウンタの断面図。
図5】カウンタが取り付けられた状態のフレームの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る釣り用リールの実施形態である両軸受リールについて図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、釣糸を繰り出す方向を前方とし、その反対を後方とする。また、釣竿に両軸受リールを装着した際、釣竿に向かう方向を下方、釣竿から離れる方向を上方とする。
【0016】
図1に示すように、両軸受リール100は、リール本体2、スプール3、カウンタ4、及びハンドル10などを備えている。また、両軸受リール100は、リール本体2内に、ハンドル10の回転をスプール3に伝達するための回転伝達機構(図示省略)を備えている。両軸受リール100は、前方(図1の上側)に向かって釣糸を繰り出す。
【0017】
[リール本体]
リール本体2は、第1リール本体部21と第2リール本体部22とを備えている。第1リール本体部21と第2リール本体部22とは、軸方向(y軸方向)に互いに間隔をあけて配置されている。第1リール本体部21と第2リール本体部22とは、複数の連結部23(図2参照)を介して互いに連結されている。
【0018】
第1リール本体部21は、第1側板21a及び第1カバー21bを有している。第1リール本体部21は、内部に収容空間を有している。この収容空間内に、回転伝達機構(図示省略)などが収容されている。第2リール本体部22は、第2側板22a及び第2カバー22bを有している。第1側板21aと第2側板22aとは、複数の連結部23(図2参照)を介して、互いに連結されている。
【0019】
図2に示すように、リール本体2のフレーム20は、第1側板21aと第2側板22aと複数の連結部23とによって構成されている。すなわち、第1側板21a、第2側板22a、及び連結部23は、1つの部材によって形成されている。また、フレーム20は、装着部24をさらに有している。装着部24は、釣竿に装着される部分であり、第1側板21aと第2側板22aとの両方に連結されている。また、装着部24は、前方及び後方に延びている。装着部24は装着面(図示省略)を有している。この装着面は、両軸受リール100が釣竿に装着された状態において、釣竿と対向する。この装着面が向く方向が下方となる。
【0020】
連結部23は、第1連結部23aと第2連結部23bとを有する、第1連結部23aは、スプール3の前方に配置されている。第1連結部23aは、第1側板21aの前側上部と、第2側板22aの前側上部とを連結している。第2連結部23bは、第1側板21aの後側中央部と、第2側板22aの後側中央部とを連結している。
【0021】
第1連結部23aは、上方を向く取付面231を有している。この取付面231に、カウンタ4が取り付けられる。取付面231は、実質的に平坦面である。
【0022】
図1に示すように、リール本体2は、カウンタカバー25をさらに備えている。カウンタカバー25は、第1リール本体部21と第2リール本体部22とに亘って取り付けられている。詳細には、カウンタカバー25は、フレーム20に取り付けられている。
【0023】
図3に示すように、カウンタカバー25は、開口部251を有している。平面視において、開口部251は、略矩形状である。開口部251は、貫通孔である。この開口部251から、後述するカウンタ4の表示画面41が露出している。すなわち、釣り人は、この開口部251を介して、カウンタ4の表示画面41を視認することができる。
【0024】
カウンタカバー25は、開口部251を画定する内壁面252を有している。内壁面252は、後部内壁面252a、前部内壁面252b、及び一対の側部内壁面252cを有している。
【0025】
図4に示すように、後部内壁面252aは、後方に傾斜している。すなわち、後部内壁面252aは、鉛直方向(z軸方向)に対して後方に倒れるように傾斜している。このため、後部内壁面252aは、上方且つ前方を向いている。この後部内壁面252aの傾斜角αは、特に限定されるものではないが、例えば、約50〜80度である。なお、傾斜角αは、装着部24の前端と後端とを結んだ線が水平となるように両軸受リール100を載置した状態において、各内壁面252が鉛直方向となす角度を示す。
【0026】
前部内壁面252bは前方に傾斜しており、一対の側部内壁面252cは側方に傾斜している。すなわち、開口部251は、上方に向かって広がるように構成されている。この前部内壁面252b及び一対の側部内壁面252cのそれぞれの傾斜角αは、後部内壁面252aの傾斜角αよりも小さい。特に限定されるものではないが、前部内壁面252b及び一対の側部内壁面252cのそれぞれの傾斜角αは、約10〜45度である。後部内壁面252aは、前部内壁面252bや前部内壁面252cよりも、傾斜角αが大きい。すなわち、各内壁面252のうち、後部内壁面252aが最も傾斜している。
【0027】
[スプール]
図1に示すように、スプール3は、第1リール本体部21と第2リール本体部22との間に配置されている。詳細には、スプール3は、略円筒状であって軸方向に延びている。スプール3は、リール本体2に対して回転可能である。スプール3は、スプール軸(図示省略)を介してリール本体2に回転可能に支持されている。
【0028】
[カウンタ]
カウンタ4は、リール本体2に取り付けられている。詳細には、図5に示すように、カウンタ4は、リール本体2のフレーム20に取り付けられている。なお、より詳細には、カウンタ4は、フレーム20の第1連結部23aに取り付けられている。
【0029】
図4及び図5に示すように、カウンタ4は、表示画面41を有している。この表示画面41に、水深などの釣り情報が表示される。
【0030】
カウンタ4は、カウンタケース42と、カウンタケース42内に収容される表示部43及び制御基板44などを有している。表示部43は、例えば、液晶ディスプレイなどによって構成され、水深などの情報を表示する。
【0031】
カウンタケース42は、窓部421を有している。カウンタケース42は、実質的に直方体状である。窓部421は、透過性を有している。このため、窓部421を介して、表示部43が視認可能である。この窓部421と表示部43とによって、表示画面41が構成されている。
【0032】
表示画面41は、開口部251を介して視認される。この表示画面41は、内壁面252とともに、凹部を画定する。すなわち、表示画面41は、開口部251の下面を封鎖している。そして、表示画面41は、凹部の底面を構成している。詳細には、カウンタケース42の窓部421が、凹部の底面を構成している。
【0033】
窓部421の上端部は、開口部251の下端部に嵌合している。窓部421の上面は、カウンタカバー25の上面よりも下方に位置している。この窓部421の上面からカウンタカバー25の上面までの距離dは、例えば、0.5〜2.0mm程度である。なお、この距離dは、表示画面41及び内壁面252によって画定される凹部の深さと同義である。
【0034】
図4に示すように、前後方向(x軸方向)において、表示部43の中心は、開口部251の中心よりも前方に配置されている。
【0035】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0036】
(a)上記実施形態では、後部内壁面252aに加え、前部内壁面252b及び一対の側部内壁面252cも傾斜していたが、前部内壁面252b及び一対の側部内壁面252cは傾斜していなくてもよい。
(b)表示部43は、前部が後部よりも開口部251に近くなるように傾斜していてもよい。すなわち、表示部43は後方からの視認が容易となるように傾斜していてもよい。また、この場合、窓部421を表示部43の傾斜に合わせて傾斜させてもよい。
(c)表示部43は、バックライト形式又はフロントライト形式の照明部をさらに備えていてもよい。
【0037】
また、上記実施形態では、本発明が適用された両軸受リール100について説明したが、本発明は、スピニングリールなど他のリールにも適用することができる。
【符号の説明】
【0038】
21 第1リール本体部
22 第2リール本体部
25 カウンタカバー
251 開口部
252 内壁面
252a 後部内壁面
252b 内部内壁面
252c 側部内壁面
3 スプール
4 カウンタ
41 表示画面
421 窓部
43 表示部
図1
図2
図3
図4
図5