(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971693
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】燃料リザーバ
(51)【国際特許分類】
F17C 5/06 20060101AFI20211111BHJP
【FI】
F17C5/06
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-151725(P2017-151725)
(22)【出願日】2017年8月4日
(65)【公開番号】特開2018-21668(P2018-21668A)
(43)【公開日】2018年2月8日
【審査請求日】2020年7月16日
(31)【優先権主張番号】10 2016 214 509.6
(32)【優先日】2016年8月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】カイ ヴェーバー
【審査官】
小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】
特表2001−506737(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第10259204(DE,A1)
【文献】
特開2010−032053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に設けられる燃料用の燃料リザーバ(10,10a)であって、複数の球状の個別容積(15)を有しており、これらの個別容積(15)は、接続導管(16,17,18,20;30)により互いに接続されている、燃料リザーバ(10,10a)において、
前記個別容積(15)と前記接続導管(16,17,18,20;30)とは、互いに別個の構成部材として形成されており、前記接続導管(16,17,18,20;30)は、前記個別容積(15)の開口(21,22)の範囲で、摩擦接続的または材料接続的な結合により、各前記個別容積(15)と結合されており、
少なくとも1本の前記接続導管(16,17,18;30)は、前記各個別容積(15)を数珠状に横断しており、かつ2つの前記開口(21,22)の範囲で前記各個別容積(15)に結合されており、前記接続導管(16,17,18;30)は、前記個別容積(15)の内部に流出開口(25)を有している、
ことを特徴とする、燃料リザーバ。
【請求項2】
前記個別容積(15)と前記接続導管(16,17,18,20;30)とは、同じ種類の材料から成っている、請求項1記載の燃料リザーバ。
【請求項3】
前記個別容積(15)と前記接続導管(16,17,18,20;30)とは、鋼から成っている、請求項2記載の燃料リザーバ。
【請求項4】
前記各個別容積(15)は、それぞれ少なくとも2つの異なる直径(d1,d2)を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載の燃料リザーバ。
【請求項5】
前記接続導管(16,17,18;30)は、前記個別容積(15)の中心を横断している、請求項1から4までのいずれか1項記載の燃料リザーバ。
【請求項6】
前記接続導管(16,17,18;30)と前記個別容積(15)との間の結合部は、溶接結合部またはプレス結合部として形成されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の燃料リザーバ。
【請求項7】
前記接続導管(16,17,18;30)は、前記各個別容積(15)の間で少なくとも部分的に曲げられて形成されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の燃料リザーバ。
【請求項8】
配置の構成高さを減少させるために互いにずらされて配置された個別容積(15)が複数層(11〜13)設けられている、請求項1から7までのいずれか1項記載の燃料リザーバ。
【請求項9】
前記個別容積(15)は部分的に、好適には接着結合部(19)により互いに直接に結合されている、請求項8記載の燃料リザーバ。
【請求項10】
集合導管として形成された接続導管(20)が設けられており、該接続導管(20)からは、複数の接続導管(16,17,18)が出発しており、これらの接続導管(16,17,18)は、それぞれ前記各個別容積(15)の所定の部分量に結合されている、請求項8または9記載の燃料リザーバ。
【請求項11】
前記燃料リザーバ(10,10a)は、圧力下にあるガス状の圧力下にあるガス状の燃料用の燃料リザーバ(10,10a)である、請求項1から10までのいずれか1項記載の燃料リザーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
本発明は、請求項1の上位概念に記載の燃料リザーバに関する。
【0002】
ガス状の燃料を自動車に貯蔵する場合、燃料の圧力は典型的には200bar〜700barであり、一般に、炭素繊維強化プラスチックから成る燃料リザーバが使用される。このような、通常は常に円筒状に形成される燃料リザーバが有する利点は、高い圧力に耐え、したがって安全上の理由から必要とされる衝突テストをクリアしている、という点にある。さらに前記燃料リザーバは、比較的小さな重量をも有している。このような、炭素繊維強化プラスチックから成る燃料リザーバにおける欠点は、その比較的高い製造費にある。この燃料リザーバの製造には比較的手間がかかり、通常は全くまたは僅かな部分しか自動化することができないからである。
【0003】
よって、独国特許出願公開第10259204号明細書から公知となっている、請求項1の上位概念に記載の燃料リザーバは、1つの接続管路により互いに接続された、複数の球状の個別容積を有している。このような球状の、金属から成る個別容積は、比較的廉価な製造費において所要の耐圧性を有していると共に、それぞれ異なる直径に基づき取付け状況に応じて、比較的自由にその時々の取付け場所に適合可能である、という利点を有している。これに関して前記文献で提案されているのは、燃料リザーバを、例えば個別容積に対応した凹凸を有する2つの金属薄板から形成する点である。これらの薄板は、互いに結合もしくは溶接される。さらに、各個別容積間の中間領域には、接続通路の形態の複数の接続管路がスタンピング若しくは形成されている。その時々の取付け空間に適合させるために、個別容積は、それぞれ異なる大きさを有していてもよく、かつ/または個別容積間の接続領域の変形を介して、互いに所望の相互配置にもたらすことができるようになっている。この場合の欠点は、このような燃料リザーバの製造には、比較的高価な(深絞り)工具が必要となる一方で、さらに、個別容積および接続管路の周りの、燃料の貯蔵用には供されない金属薄板の材料に基づき、燃料リザーバが比較的大きな重量を有しており、貯蔵容積が未だ最適化されていない点にある。
【0004】
発明の開示
請求項1記載の特徴を有する燃料リザーバは、特に低い重量を有しており、かつ異なる取付け状況に、特に簡単に適合可能である、という利点を有している。
【0005】
これに関して本発明は、燃料リザーバを、それぞれ別個の構成部材として形成された複数の個別容積から形成することが有意であると想定している。これらの個別容積もやはり、同じく別個の構成部材として形成された1つの接続導管により互いに連結されている、もしくは互いに流体接続されており、接続導管は、各個別容積の開口の範囲で、摩擦接続的または材料接続的な結合により、各個別容積と結合されている。このように、燃料リザーバを本発明に基づいて形成することにより、比較的高価な工具を使用する必要なしに、個別容積および接続導管の任意の配置形式を実現することが可能になる。例えば特に簡単に、それぞれ異なる容積もしくは大きさを有する個別容積を互いに接続することができ、この場合、各個別容積間に配置された接続導管もやはり、例えば異なる長さまたは直径または角度を有していてもよく、これにより、各用途に最適化された燃料リザーバを形成することができる。さらに、本発明に基づき燃料リザーバを形成することにより、各個別容積を、その時々の用途に関して例えば可能な限り高い強度または特定の材料を考慮して、製造技術的に最適化された形状で形成することができると共に、(最適化された)個別容積を、例えば個別容積とは異なる材料から成る、やはり最適化された接続導管と連結することが可能になる。この場合に重要なのは、個別容積が接続導管と、摩擦接続式および/または材料接続式の結合により耐圧式に結合され得る、ということだけであるに過ぎない。
【0006】
本発明による燃料リザーバの有利な改良は、各従属請求項に記載されている。
【0007】
個別容積と接続導管との間の最適化された結合は、接続導管が個別容積を横断しており、かつ2つの開口の範囲で個別容積に結合されている場合に得られ、この場合、接続導管は、個別容積の内部に燃料用の流出開口を有している。このような実施形態により、個々の個別容積を数珠状に横断する、特に比較的長い一体の接続導管を使用することが可能になる。
【0008】
接続導管と個別容積との間に、特に材料接続的な結合部を形成するため、また摩擦接続的な結合部を形成する場合の圧力に対するシール性を保証するために有利なのは、個別容積と接続導管とが、同じ種類の材料、特に鋼から成っている、もしくは類似の熱膨張係数を有している場合である。
【0009】
さらに、所定の取付け空間が存在する場合に可能な貯蔵容積を最適化するためには、各個別容積が少なくとも2つの異なる直径を有していると、特に有利である。これにより、例えば取付け空間の、比較的小さな高さを有する領域には、比較的小さな直径を有する個別容積が用いられることで、取付け空間の複数の領域を燃料リザーバ用に利用することができる。
【0010】
さらに、強度を最適化するため、もしくは接続導管と個別容積との間の2つの結合箇所を、最大限に相互間隔をあけて配置することができるようにするためには、接続導管が個別容積の中心を横断することが想定されている。
【0011】
その時々の取付け空間に対する個々の個別容積の取付け位置を最適化する、もしくは適合させるためには、接続導管が、各個別容積の間で少なくとも部分的に曲げられて形成されている、ということが想定されていてもよい。択一的または付加的に、燃料リザーバの構成高さを減少させるために互いにずらされて配置された個別容積が複数層設けられている、ということが想定されていてもよい。
【0012】
特に、多数の個別容積から成る燃料リザーバの比較的簡単な取扱いを可能にするためには、個別容積が部分的に、好適には接着結合により互いに直接に結合されている、ということが想定されている。このような接着結合は、燃料リザーバを全体的に見て、個々の個別容積が相互に動くもしくはずれることなく、比較的簡単に車両に取り付けることができる、ということを可能にする。さらに、衝突が起こった場合には、衝突時の安全性を最適化するために、各個別容積間が比較的容易に分離される。
【0013】
各取付け場所に燃料リザーバを最適に適合させるための別の構造上の構成は、複数の接続導管が1つの集合導管から出発していることを想定したものであり、この場合、各接続導管はそれぞれ、個別容積の所定の部分量に対応して配置され、これらに結合されている。このような構成は特に、接続導管の数もしくは長さ、ひいては重量をも最小にし、個別容積をより迅速に充填するもしくは空にすることを可能にする。
【0014】
本発明の別の利点、特徴および詳細は、以下の好適な実施例の説明ならびに図面につき明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】それぞれ複数の個別容積を備えた3つの層から成る燃料リザーバの簡略化された縦断面図であって、この場合、燃料リザーバの個々の層は、1つの集合導管を介して互いに接続されている。
【
図2】多数の個別容積から成る燃料リザーバの1つの配置形式を示す斜視図である。
【0016】
同一部材もしくは同一機能を有する部材には、図中、同一符号を付してある。
【0017】
図1に示す燃料リザーバ10は、自動車内にガス状の燃料、例えば水素を貯蔵するためのタンクとして用いられる。ただし本発明は、ガス状の燃料として水素を使用すること、ならびに自動車での使用に限定されるものではない。
【0018】
特に燃料リザーバ10は、200bar〜700barの圧力下でガス状の燃料を貯蔵するように形成されている。燃料リザーバ10は、例えば互いに平行に配置された3つの層11,12および13を有しており、この場合、層11〜13はそれぞれ、ガス状の燃料を貯蔵するための、中空球状に形成された複数の個別容積15を有している。例えば、外側の2つの層11および13の個別容積15は、真ん中の層12の個別容積15の直径d
2よりもやや大きな直径d
1を有しており、この場合、外側の2つの層11および13の個別容積15は互いに整列するように配置されているのに対し、真ん中の層12の個別容積15は、燃料リザーバ10の所要スペースを最小にするために、それぞれ外側の層11,13の個別容積15の間にずらされて配置されている。層11〜13の個別容積15は、それぞれ接着結合部19を介して互いに結合されている。
【0019】
個別容積15は、好適には鋼から成っていて、従来技術から周知の、一方では個別容積15を比較的経済的に製造することができ、かつ他方では所要の耐圧性を保証する製造方法により形成されている。
【0020】
各層11〜13の個別容積15は、管として形成された接続導管16〜18にそれぞれ接続、特に流体接続されており、接続導管16〜18もやはり、1つの集合導管20に接続されている、もしくは接続導管16〜18は、1つの集合導管20を起点としている。集合導管20の直径(内径)は、例えば接続導管16〜18の直径(内径)よりも大きくてもよい。図示の実施例では、個別の層11〜13が形成されていることに基づき、接続導管16〜18は互いに平行に配置されていると共に、それぞれ直線的に形成されている。集合導管20および接続導管16〜18を介して、燃料の、個別容積15への充填および個別容積15からの取出しが行われる。
【0021】
接続導管16〜18は、これらに対応配置された個別容積15の真ん中若しくは中心を横断しており、この場合、接続導管16〜18は、1つの個別容積15の入口範囲21の領域において進入し、出口範囲22の領域でこの個別容積15から進出している。接続導管16〜18と、個別容積15との間に耐圧性の結合部を形成するために、接続導管16〜18と、個別容積15の、それぞれ開口もしくは円形の孔の形態で形成された各入口範囲21もしくは出口範囲22の領域との間の結合部は、材料接続的な結合(溶接結合)により、かつ/または例えばプレス嵌めの形態の、摩擦接続式の結合により形成されている。材料接続式の結合の場合には特に、接続導管16〜18は、個別容積15と同じ種類の材料から成ることが想定されている。
【0022】
各接続導管16〜18はそれぞれ、各個別容積15の内部に、ガス状の燃料用の少なくとも1つの流出開口25を有しており、この場合、流出開口25は、例えば各個別容積15の中心に配置されている。
【0023】
図2には、燃料リザーバ10aが角柱状に形成された取付け空間100内に配置されているケースが示されている。燃料リザーバ10と同様、燃料リザーバ10aも、異なる大きさもしくは容積、または少なくとも部分的に同じ容積を有していてもよい多数の個別容積15から成っている。個別容積15は、単一の接続導管30により互いに接続されており、接続導管30は、取付け空間100内で各個別容積15を接続するために、湾曲部、屈曲部または類似の幾何学形状的な変形部を備えて形成されていてもよく、これにより、取付け空間100内で異なる位置に配置された各個別容積15を互いに接続することができるようになっている。さらに、取付け空間100内で接続導管30から、
図1に示した燃料リザーバ10に相応してやはり複数の個別容積15の部分量と連結もしくは結合された、複数の個別の導管が分岐していることが想定されていてもよい。
【0024】
ここまで説明してきた燃料リザーバ10,10aは、本発明の思想から逸脱することなく多様に変化もしくは変更可能である。