(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971698
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】調光制御装置、その制御方法、および制御プログラム、並びに撮像装置
(51)【国際特許分類】
G03B 15/05 20210101AFI20211111BHJP
G03B 17/00 20210101ALI20211111BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20211111BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20211111BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
G03B15/05
G03B17/00 Q
G03B15/00 S
H04N5/232 220
H04N5/225 600
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-152589(P2017-152589)
(22)【出願日】2017年8月7日
(65)【公開番号】特開2019-32406(P2019-32406A)
(43)【公開日】2019年2月28日
【審査請求日】2020年7月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 達也
【審査官】
藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−127768(JP,A)
【文献】
特開2016−142771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 15/00 − 15/05
G03B 17/00
H04N 5/222− 5/257
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像光学系を介して入射する光学像を撮像部に結像させて画像を得る際に、複数の発光部を制御する調光制御装置であって、
前記発光部は光を照射する照射方向が互いに異なっており、
予め指定された範囲を切り出し範囲として前記画像から前記切り出し範囲を切り出して切り出し画像を得る切り出し手段と、
動体又は顔を検出する検出手段と、
前記検出手段が動体又は顔を検出するように設定されていない場合、前記切り出し範囲において前記発光部の各々についてその光量を制御するとともに、前記検出手段が動体又は顔を検出するように設定されている場合、前記切り出し範囲および前記切り出し範囲以外の範囲において、前記発光部の各々についてその光量を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする調光制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記撮像光学系および前記撮像部に応じて規定され、前記切り出し範囲に対応する周辺光量落ちに基づいて前記発光部の各々の光量を制御することを特徴とする請求項1に記載の調光制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記撮像光学系におけるズーム位置および絞り値と前記発光部の各々の温度とに基づいて前記周辺光量落ちを補正して、補正後の周辺光量落ちに基づいて前記発光部の各々の光量を制御することを特徴とする請求項2に記載の調光制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記発光部の各々の光量を制御する際、前記発光部の各々における光の照射分布に応じて光量を制御することを特徴とする請求項3に記載の調光制御装置。
【請求項5】
前記切り出し範囲以外の範囲において前記発光部の各々についてその光量を制御する場合には、前記制御手段は、前記検出手段による検出結果に応じた最低限必要な輝度値で、さらに前記補正後の周辺光量落ちを補正して、前記発光部の各々の光量を制御することを特徴とする請求項3又は4のいずれか1項に記載の調光制御装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記切り出し範囲が変更されたタイミングで前記発光部の各々の光量を制御することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の調光制御装置。
【請求項7】
前記制御手段は、予め設定された巡回時間が経過すると前記切り出し範囲を変更することを特徴とする請求項6に記載の調光制御装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の調光制御装置と、
撮像光学系を介して入射する光学像が結像し前記光学像に応じた画像信号を出力する撮像部と、
前記画像信号に対して所定の画像処理を行って前記画像を示す画像データを生成する映像処理手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
撮像光学系を介して入射する光学像を撮像部に結像させて画像を得る際に、光を照射する照射方向が互いに異なる複数の発光部を制御する調光制御装置の制御方法であって、 予め指定された範囲を切り出し範囲として前記画像から前記切り出し範囲を切り出して切り出し画像を得る切り出しステップと、
動体又は顔を検出する検出ステップと、
前記検出ステップにおいて動体又は顔を検出するように設定されていない場合、前記切り出し範囲において前記発光部の各々についてその光量を制御するとともに、前記検出ステップにおいて動体又は顔を検出するように設定されている場合、前記切り出し範囲および前記切り出し範囲以外の範囲において、前記発光部の各々についてその光量を制御する制御ステップと、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項10】
撮像光学系を介して入射する光学像を撮像部に結像させて画像を得る際に、光を照射する照射方向が互いに異なる複数の発光部を制御する調光制御装置で用いられる制御プログラムであって、
前記調光制御装置に備えられたコンピュータに、
予め指定された範囲を切り出し範囲として前記画像から前記切り出し範囲を切り出して切り出し画像を得る切り出しステップと、
動体又は顔を検出する検出ステップと、
前記検出ステップにおいて動体又は顔を検出するように設定されていない場合、前記切り出し範囲において前記発光部の各々についてその光量を制御するとともに、前記検出ステップにおいて動体又は顔を検出するように設定されている場合、前記切り出し範囲および前記切り出し範囲以外の範囲において、前記発光部の各々についてその光量を制御する制御ステップと、
を実行させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光制御装置、その制御方法、および制御プログラム、並びに撮像装置に関し、特に、広角レンズを搭載する撮像装置で行われる調光制御に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、撮像装置の1つに監視カメラがあり、監視カメラには照明装置を備えるものがある。そして、照明装置を備える監視カメラとして、所謂ボックス型の監視カメラが知られている。この監視カメラでは、撮影範囲中心の輝度を上げるか又は撮影範囲を均一な輝度にするために照明装置を備えている。
【0003】
図7は、従来の監視カメラの一例を説明するための図である。
【0004】
図示の監視カメラ(撮像装置)10は複数の照明装置(単に照明と呼ぶ)11および12を備えており、これら照明11および12は照射範囲が異なる。図示の例では、照明11では、照明する範囲として照射範囲14を有し、照明12は照射範囲15を有している。
【0005】
撮影の際には、照明11および12を撮影範囲13の中心に向けて、撮影範囲13に応じて最適な照明11および12の光量を選択するか又は照明11および12を組み合わせた光量を選択する。
【0006】
図8は、従来の監視カメラの他の例を説明するための図である。
【0007】
図示の監視カメラ(撮像装置)16は複数の17および18を備えており、これら照明17および18は照射範囲が異なる。図示の例では、照明17では、照明する範囲として照射範囲20を有し、照明18は照射範囲21を有している。
【0008】
さらに、監視カメラ16は広角レンズを備えており、この監視カメラ16はその撮影範囲19が
図7に示す撮影範囲13よりも広くなる。このため、
図7に示す監視カメラ10と同様に撮影範囲の輝度を均一とする設計を行った場合には、照射光が分散される結果、撮影範囲全体における輝度が低下する。
【0009】
また、
図8に示す監視カメラ16においては、撮影範囲を撮像して得られた画像からその一部分を切り出して切り出し画像を生成することが行われている。切り出し画像を生成する際、撮影範囲全体を均一な輝度とすると、ユーザーが見たい部分(切り出し画像)における輝度が低下し、ユーザーにとっては極めて不便である。そして、監視カメラ16は広角レンズを搭載しているので、監視カメラ10に比べて周辺光量低下が大きい。このため、切り出し画像における周辺光量低下を低減するための調光制御を行う必要がある。
【0010】
周辺光量低下を低減するための調光制御として、例えば、照射範囲が異なる補助光の組み合わせによって効率的に光を照射するようにしたものがある(特許文献1)。さらに、撮影範囲内において予め定められた位置における輝度値の差分に応じて調光制御を変更する手法がある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005−215634号公報
【特許文献2】特開2006−121363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところが、特許文献1および2に記載の手法では、照射角の異なる発光部の組み合わせによって輝度むらを低減するようにしているため、撮影範囲が広範囲になる程、撮影範囲全体の光量が低下してしまう。そして、特許文献1においてはプレ発光を行う必要があり、特許文献2においては予め画像を取得する必要がある。このため、特許文献1および2の手法は、リアルタイム性が求められる監視カメラに適用することは困難である。
【0013】
従って、本発明の目的は、撮影範囲が広い場合であっても、撮影範囲を最適に照明することができる調光制御装置、その制御方法、および制御プログラム、並びに撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するため、本発明による調光制御装置は、撮像光学系を介して入射する光学像を撮像部に結像させて画像を得る際に、複数の発光部を制御する調光制御装置であって、前記発光部は光を照射する照射方向が互いに異なっており、予め指定された範囲を切り出し範囲として前記画像から前記切り出し範囲を切り出して切り出し画像を得る切り出し手段と、
動体又は顔を検出する検出手段と、前記検出手段が動体又は顔を検出するように設定されていない場合、前記切り出し
範囲において前記発光部の各々についてその光量を制御する
とともに、前記検出手段が動体又は顔を検出するように設定されている場合、前記切り出し範囲および前記切り出し範囲以外の範囲において、前記発光部の各々についてその光量を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、撮影範囲が広い場合であっても、撮影範囲を最適に照明することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1の実施形態による調光制御装置を備える撮像装置の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示すカメラにおける調光制御の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図3】
図1に示すカメラで行われる調光制御による点灯パターンの一例を示す図である。
【
図4】
図1に示す発光部における照射分布の一例を示す図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態による調光制御装置を備えるカメラの一例を示すブロック図である。
【
図6】
図5に示すカメラにおける調光制御の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図7】従来の監視カメラの一例を説明するための図である。
【
図8】従来の監視カメラの他の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施の形態による調光制御装置の一例について図面を参照して説明する。
【0018】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態による調光制御装置を備える撮像装置の一例を示すブロック図である。
【0019】
図示の撮像装置は、例えば、監視カメラ(以下単にカメラと呼ぶ)1000であり、レンズ部(撮像光学系)100、撮像部110、映像処理部120、画像切り出し部130、制御演算部140、および発光部150乃至153を有している。レンズ部100に備えられたレンズは、広範囲を撮影可能な広角レンズである。また、レンズ部100はズームおよび絞りに関する現在の設定値を保持する。そして、レンズ部100はその設定値をレンズ設定情報として制御演算部140に送る。なお、レンズ部100は、カメラ1000に一体であってもカメラ1000に対して着脱可能であってもよい。
【0020】
レンズ部100を介して入射した光学像が撮像部110に結像する。撮像部110には、撮像素子およびA/D変換回路などが備えられており、撮像素子は、光学像に応じたアナログ信号を出力する。そして、当該アナログ信号はA/D変換回路によってデジタル信号に変換されて、画像信号として映像処理部120に送られる。
【0021】
映像処理部120は、撮像部110の出力である画像信号に対して所定の画像処理、を行う。この画像処理として、例えば、現像処理、フィルタ処理、センサ補正(例えば、ゲイン補正処理)、およびノイズ除去処理がある。そして、映像処理部120の出力である画像データは画像切り出し部130に送られる。
【0022】
画像切り出し部130は、画像データが示す画像について、ユーザーによって指定された切り出し範囲を切り出して切り出し画像を生成する。さらに、画像切り出し部130は、当該切り出し範囲を切り出し範囲設定値として制御演算部140に送る。なお、ここでは、切り出し範囲は定点(予め定められた範囲)であるものとする。
【0023】
制御演算部140には、レンズ部100および撮像部110の組み合わせによって生じる周辺光量落ち(周辺光量低下)の範囲を示す情報(周辺光量落ち情報)が予め設定されている。さらには、制御演算部140には、発光部150乃至153の各々の照射分布(照射方向)を示す情報(照射分布情報)が設定されている。
【0024】
制御演算部140は、前述のレンズ設定情報、切り出し範囲設定値、周辺光量落ち情報、および照射分布情報に基づいて、発光部150乃至153の各々における最適な光量を最適光量として求める。そして、制御演算部140は当該最適光量に応じて発光部150乃至153を発光制御する。
【0025】
発光部150乃至153の各々は、発光素子、電源部、および温度センサを備えている。演算制御部150は前述の最適光量を発光するための電流を電源部から発光素子に供給する。これによって、発光素子は、電源部から供給された電流に応じた光量で発光する。温度センサは発光素子の温度を測定して、測定結果を発光補正情報として制御演算部140に送る。
【0026】
制御演算部140には、温度と発光量との関係が規定されており、制御演算部140は発光補正情報に応じて最適光量を補正する。
【0027】
図示の例では、発光部150乃至153の各々は少なくとも2方向に光を照射するが、その配光角については限定されない。また、発光部150乃至153に備えられた発光素子の波長域は、例えば、可視光(波長域が400〜760nm程度)又は近赤外光(波長域が700〜2500nm程度)である。
【0028】
なお、発光素子(LED)の代わりに、例えば、HIDランプ又はレーザー光源を用いるようにしてもよい。また、ここでは、発光部150乃至153の各々は互いに異なる方向に光を照射するものとし、その照射範囲は同一であるとする。
【0029】
図2は、
図1に示すカメラにおける調光制御の一例を説明するためのフローチャートである。
【0030】
制御演算部140は、例えば、ユーザーによって切り出し範囲が初期設定されるか又は変更されたタイミングで、調光制御(光量調整)を開始する。まず、制御演算部140は画像切り出し部130から切り出し範囲情報(切り出し範囲設定値)を取得する(ステップS101)。
【0031】
続いて、制御演算部140は切り出し範囲情報(切り出し位置情報ともいう)が示す切り出し範囲と周辺光量落ち情報が示す周辺光量落ちの範囲とを照らし合わせて、その結果に応じて発光部150乃至153の光量調整のための基本設定値(光量落ち設定値)を設定する(ステップS102)。つまり、ここでは、制御演算部140は切り出し位置情報に応じた(対応する)周辺光量落ち情報を得て、当該周辺光量落ち情報に基づいて光量落ち設定値を設定する。なお、周辺光量落ち情報は、撮像部110およびレンズ部100の組み合わせに応じて決定されるので、切り出した範囲によって一意に決定される。
【0032】
次に、制御演算部140はレンズ設定情報に応じた第1の補正値(補正値1)を求める。(ステップS103)。前述のように、レンズ設定情報はズーム位置および絞り値を示しており、当該レンズ設定情報に応じて周辺光量落ちが変化する。周辺光量落ちの変化量については、レンズ部100に備えられたレンズによって決定されるが、一般に、ズーム位置に関してはワイド側ほど周辺光量落ちが大きくなる。また、絞りに関しては解放側に近いほど周辺光量落ちが大きくなる。
【0033】
続いて、制御演算部140は発光部150乃至153の温度に応じた第2の補正値(補正値2)を求める(ステップS104)。発光素子は、電流が大きくなる程、その光量が増加するが、光量の増加に伴ってその温度が上昇する。一方、温度が上昇する程、発光素子における光量の上限が低下する。このため、電流が同一であっても、温度の上昇によって発光素子の光量が低下してしまう。そこで、調光制御の際には、温度に応じた発光部150乃至153の上限光量を第2の補正値とする。
【0034】
次に、制御演算部140は、ステップS102で得た光量落ち設定値を、第1の補正値で補正する。さらに、制御演算部140は第2の補正値によって発光部150乃至153の各々の光量上限値を補正する。つまり、制御演算部140は、光量落ち設定値を、第1の補正値/第2の補正値で補正することになる(ステップS105)。そして、制御演算部140は補正後の光量落ち設定値を得る。
【0035】
続いて、制御演算部140は補正後の光量落ち設定値に基づいて、撮影範囲を最適に照明するための発光部150乃至153の点灯パターンを決定する(ステップS106)。そして、制御演算部140は当該点灯パターンによって発光部150乃至153を点灯制御し、光量調整を終了する。
【0036】
図3は、
図1に示すカメラで行われる調光制御による点灯パターンの一例を示す図である。
【0037】
図2に示すフローチャートにおいて、ステップS105までの処理によって補正後の光量落ち設定値が決定される。なお、前述のように、制御演算部140には、発光部150乃至153の各々の照射分布情報が設定されている。
【0038】
図3においては、切り出し範囲1が複数の領域(ここでは、9領域)に分割され、領域毎に輝度値3、つまり、周辺光量落ち設定値が数値で示されている(数値が大きい程明るい)。一方、照射分布情報(発光部照射分布2)によって、発光部150乃至153による照明に応じた画像全体における輝度値が数値で複数の領域毎に示されている。
【0039】
実線の丸で囲んだ領域は、画像上の同一点(同一領域)4であり、制御演算部140は同一点における輝度値を加算して、切り出し範囲(つまり、切り出し画像)における輝度分布を得る。
【0040】
制御演算部140は、上述の処理を発光部150乃至153の各々について行い、切り出し画像における領域の輝度値が略均一となるように、発光部150乃至153の光量調整を行って点灯パターンを生成する。
【0041】
図4は、
図1に示す発光部における照射分布の一例を示す図である。
【0042】
図4には、全体画像に対する発光部150乃至153の照射分布(照射範囲)が示されており、全体画像において、図示の位置に切り出し範囲が規定されているものとする。図示のように、発光部151の照射範囲7は当該切り出し範囲1の全部を覆っている。発光部150および152の照射範囲6および8は切り出し範囲の一部を覆っているが、発光部152の照射範囲8は発光部150の照射範囲6よりも切り出し範囲1と重複する部分が多い。また、発光部153の照射範囲9は切り出し範囲1と全く重ならない。
【0043】
この場合、切り出し範囲の各領域における輝度値を略均一にするためには、発光部150乃至153には、発光部151≧発光部152≧発光部150>発光部153=0%となるように電流が供給される点灯パターンとなる。
【0044】
このように、本発明の第1の実施の形態では、発光部150乃至153の照射範囲と画像における切り出し範囲とに応じて、発光部毎の光量を調整する調光制御を行う。これによって、撮影範囲が広い場合であっても、撮影範囲を最適に照明して、切り出し範囲における輝度を適正にすることができる。
【0045】
[第2の実施形態]
続いて、本発明の第2の実施形態による調光制御装置を備えるカメラの一例について説明する。
【0046】
図5は、本発明の第2の実施形態による調光制御装置を備えるカメラの一例を示すブロック図である。なお、
図5において、
図1に示す構成要素と同一の構成要素については同一の参照番号を付す。
【0047】
図示のカメラ(撮像装置)2000は、新たに検出部200を有している。なお、制御演算部の機能は
図1に示す制御演算部140と異なるので、ここでは参照番号210を付す。
【0048】
検出部200は、映像処理部120から画像データを受けて、当該画像データに所定の検出条件を満たすパターンが存在するか否かを検出する。ここで、所定の検出条件を満たすパターンとは、例えば、動体又は顔などである。検出部200は、所定の検出条件を満たすパターンを検出したか否かに応じて最低被写体照度情報を制御演算部210に送る。
【0049】
なお、
図5に示す画像切り出し部130においては、複数の切り出し範囲を指定することができる。そして、画像切り出し部130は切り出し範囲毎に切り出し範囲設定値として制御演算部140に送る。さらには、ユーザーによって指定された巡回時間に応じて、画像切り出し部130は切り出し画像を順次切り替えて表示する。
【0050】
図6は、
図5に示すカメラにおける調光制御の一例を説明するためのフローチャートである。なお、
図6において、
図2に示すフローチャートのステップと同一のステップについては同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0051】
ステップS101〜S105の処理を行った後、制御演算部140は検出部200による検出を行うことが設定されているか否かを判定する。つまり、検出を行うことが設定されている場合には、切り出し範囲以外の部分にも光を照射する必要がある。よって、ここでは、制御演算部210は、切り出し範囲(切り出し位置)以外においても光量調節が必要であるか否かを判定することになる(ステップS300)。
【0052】
切り出し位置以外においても光量調節が必要である場合には(ステップS200において、YES)、制御演算部210は、検出部200から得た最低被写体照度情報に応じて、第3の補正値(補正値3)を求める(ステップS201)。なお、最低被写体照度情報は、検出結果によって最低限必要となる輝度値を示し、例えば、動体が検出された際には、背景と動体とに所定の輝度差が生じる程度の動体の照度をいう。
【0053】
続いて、制御演算部210は第3の補正値によって発光部150乃至153の光量下限値(設定値)を補正する(ステップS202)。その後、制御演算部210は補正後の光量落ち設定値および光量下限値に基づいて、撮影範囲を最適に照明するための発光部150乃至153の点灯パターンを決定する(ステップS203)。
【0054】
なお、切り出し位置以外において光量調節が必要でない場合には(ステップS200において、NO)、制御演算部210はステップS203の処理に進む。この場合には、制御演算部210は、
図2に示すステップS106と同様に、ステップS203において補正後の光量落ち設定値に基づいて撮影範囲を最適に照明するための発光部150乃至153の点灯パターンを決定する。
【0055】
続いて、制御演算部210は、設定された巡回時間が経過するまで待機し、人感時間が経過すると画像データを取得する(ステップS205)。そして、制御演算部140はユーザーによって指定された複数の切り出し範囲(巡回候補位置ともいう)から次の切り出し範囲を選択する(ステップS205)。その後、制御演算部210はステップS101の処理に戻る。
【0056】
前述のように、発光部150乃至153は温度の上昇によって、光量の上限値が低下するという特性がある。このため、ステップS205の処理では、熱源を分散させるため、現在点灯している発光部から熱抵抗が大きくなるように次の切り出し範囲を決定する。
【0057】
上述のようにして、動的に切り出し範囲を変更する場合においても撮影範囲に対して適切に調光制御を行うことができる。
【0058】
このように、本発明の第2の実施形態では、切り出し範囲が動的に変化し、かつ切り出し範囲以外においても光を照射する場合においても、撮影範囲を最適に照明して、切り出し範囲における輝度を適正にすることができる。
【0059】
なお、ユーザーが指定した切り出し範囲外においては、映像は常時必要ないものの、イベントを検知した場合にはその部分の画像を使用することができる。
【0060】
上述の実施の形態では、
図1において画像切り出し部130および制御演算部140が調光制御装置として機能する。また、
図5において画像切り出し部130、検出部200、および制御演算部210が調光制御装置として機能する。
【0061】
以上、本発明について実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
【0062】
例えば、上記の実施の形態の機能を制御方法として、この制御方法を調光制御装置に実行させるようにすればよい。具体的には、カメラ1000のように監視用途の撮像装置の場合、カメラ1000と通信可能なPC等の外部機器を調光制御装置としてカメラ1000を制御するシステムも考えられる。そのようなシステムでは、外部機器からの指示に従ってカメラ1000を制御すればよく、上記の実施の形態の制御演算部140や検出部200などカメラ1000が実行する機能の一部を外部装置で実行してもよい。また、上述の実施の形態の機能を有するプログラムを制御プログラムとして、当該制御プログラムを調光制御装置が備えるコンピュータに実行させるようにしてもよい。なお、制御プログラムは、例えば、コンピュータに読み取り可能な記録媒体に記録される。
【0063】
[その他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0064】
1000,2000 撮像装置(カメラ)
100 レンズ部
110 撮像部
120 映像処理部
130 画像切り出し部
140,210 制御演算部
150,151,152,153 発光部