(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基板処理装置の動作を制御するためのコンピュータにより実行されたときに、前記コンピュータが前記基板処理装置を制御して請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の基板処理方法を実行させるプログラムが記録された記憶媒体。
前記制御部は、前記第2処理液ノズルから前記基板への前記第2処理液の供給を開始した後に、前記第1処理液ノズルから前記基板に前記第1処理液を供給するように、前記第1処理液供給部および前記第2処理液供給部を制御する、請求項8に記載の基板処理装置。
前記制御部は、前記第1処理液ノズルから前記基板への前記第1処理液の供給を終了した後に、前記第2処理液ノズルから前記基板への前記第2処理液の供給を終了するように、前記第1処理液供給部および前記第2処理液供給部を制御する、請求項8〜10のいずれか一項に記載の基板処理装置。
前記基板に前記第1処理液を供給する第1前進位置と前記基板から後退した第1後退位置との間で前記第1処理液ノズルを前進および後退させる第1処理液ノズル駆動部と、
前記基板に前記第2処理液を供給する第2前進位置と前記基板から後退した第2後退位置との間で前記第2処理液ノズルを前進および後退させる第2処理液ノズル駆動部と、を更に備え、
前記制御部は、前記第2処理液を吐出させながら前記第2処理液ノズルを前記第2前進位置に前進させた後に、前記第1処理液を吐出させながら前記第1処理液ノズルを前記第1前進位置に前進させるように、前記第1処理液供給部、前記第2処理液供給部、前記第1処理液ノズル駆動部および前記第2処理液ノズル駆動部を制御する、請求項8〜11のいずれか一項に記載の基板処理装置。
前記制御部は、前記第1処理液を吐出させながら前記第1処理液ノズルを前記第1後退位置に後退させた後に、前記第2処理液を吐出させながら前記第2処理液ノズルを前記第2後退位置に後退させるように、前記第1処理液供給部、前記第2処理液供給部、前記第1処理液ノズル駆動部および前記第2処理液ノズル駆動部を制御する、請求項12または13に記載の基板処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の基板処理方法、記憶媒体および基板処理装置の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面に示されている構成には、図示と理解のしやすさの便宜上、サイズおよび縮尺等が実物のそれらから変更されている部分が含まれ得る。
【0012】
図1は、本実施形態に係る基板処理システムの概略構成を示す図である。以下では、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
【0013】
図1に示すように、基板処理システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2と処理ステーション3とは隣接して設けられる。
【0014】
搬入出ステーション2は、キャリア載置部11と、搬送部12とを備える。キャリア載置部11には、複数枚の基板、本実施形態では半導体ウエハ(以下ウエハW)を水平状態で収容する複数のキャリアCが載置される。
【0015】
搬送部12は、キャリア載置部11に隣接して設けられ、内部に基板搬送装置13と、受渡部14とを備える。基板搬送装置13は、ウエハWを保持するウエハ保持機構を備える。また、基板搬送装置13は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウエハ保持機構を用いてキャリアCと受渡部14との間でウエハWの搬送を行う。
【0016】
処理ステーション3は、搬送部12に隣接して設けられる。処理ステーション3は、搬送部15と、複数の処理ユニット16とを備える。複数の処理ユニット16は、搬送部15の両側に並べて設けられる。
【0017】
搬送部15は、内部に基板搬送装置17を備える。基板搬送装置17は、ウエハWを保持するウエハ保持機構を備える。また、基板搬送装置17は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウエハ保持機構を用いて受渡部14と処理ユニット16との間でウエハWの搬送を行う。
【0018】
処理ユニット16は、基板搬送装置17によって搬送されるウエハWに対して所定の基板処理を行う。
【0019】
また、基板処理システム1は、制御装置4を備える。制御装置4は、たとえばコンピュータであり、制御部18と記憶部19とを備える。記憶部19には、基板処理システム1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部18は、記憶部19に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理システム1の動作を制御する。
【0020】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置4の記憶部19にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0021】
上記のように構成された基板処理システム1では、まず、搬入出ステーション2の基板搬送装置13が、キャリア載置部11に載置されたキャリアCからウエハWを取り出し、取り出したウエハWを受渡部14に載置する。受渡部14に載置されたウエハWは、処理ステーション3の基板搬送装置17によって受渡部14から取り出されて、処理ユニット16へ搬入される。
【0022】
処理ユニット16へ搬入されたウエハWは、処理ユニット16によって処理された後、基板搬送装置17によって処理ユニット16から搬出されて、受渡部14に載置される。そして、受渡部14に載置された処理済のウエハWは、基板搬送装置13によってキャリア載置部11のキャリアCへ戻される。
【0023】
図1に示す処理ユニット16は、
図2に示す基板処理装置30を備えている。ここで、本実施の形態における基板処理装置30は、ウエハWの周縁部に形成された自然酸化膜を除去するための装置である。
【0024】
図2に示すように、基板処理装置30は、シリコン製の半導体ウエハ等の基板W(以下、ウエハWともいう)を水平に保持する保持部31と、保持部31から下方に延びる回転軸32と、回転軸32を介して保持部31を回転させる回転駆動部33とを備えている。保持部31は、当該保持部31上に載置されたウエハWを例えば真空吸着により保持するようになっている。
【0025】
図1に示すように、回転軸32は鉛直方向に延びている。回転駆動部33は、回転軸32の下端部に設けられたプーリ34と、モータ35と、モータ35の回転軸に設けられたプーリ36と、プーリ34とプーリ36とに巻き掛けられた駆動ベルト37と、を有している。このような構成により、モータ35の回転駆動力が、駆動ベルト37を介して回転軸32に伝達される。回転軸32は、チャンバー39にベアリング38を介して回転可能に保持されている。
【0026】
保持部31は、チャンバー39内に収容されている。チャンバー39の上部(天井部分)には、N2ガス(窒素ガス)等のガスをダウンフローでウエハWに通過する上部開口40が形成されている。また、チャンバー39の下部(底部分)には、上部開口40からダウンフローで送られたガスをチャンバー39内から排出するための下部開口41が形成されている。また、チャンバー39の側部には、チャンバー39内にウエハWを搬入したりチャンバー39内からウエハWを搬出したりするための側部開口42が形成されている。側部開口42には、開閉可能なシャッター43が設けられている。
【0027】
また、
図2および
図3に示すように、チャンバー39内には、保持部31により保持されたウエハWの周縁部にフッ酸を供給するための第1処理液ノズル51が設けられている。この第1処理液ノズル51は、ウエハWの表面に対して所定の角度でフッ酸を吐出するように構成されている。より具体的には、
図2では図示を簡略化しているが、縦断面視において、フッ酸の吐出角度は、水平線に対して所定の角度で傾斜しており、吐出されるフッ酸は、鉛直下方よりもウエハWの回転方向下流側に向かって斜めに吐出される。また、平面視において、第1処理液ノズル51から吐出されるフッ酸は、ウエハWの半径方向外側よりもウエハWの回転方向下流側に向かって斜めに吐出される。この第1処理液ノズル51と同様にして、第2処理液ノズル61およびDIWノズル71も設けられている。
図3に示すように、第2処理液ノズル61およびDIWノズル71は、第1処理液ノズル51に対してウエハWの周方向に異なる位置に配置されている。
【0028】
図2に示すように、第1処理液ノズル51は、保持部31により保持されたウエハWの周縁部にフッ酸(HF、第1処理液)を供給するようになっている。より具体的には、第1処理液ノズル51には、第1処理液供給管52を介して第1処理液供給源53が接続されており、第1処理液供給源53から第1処理液供給管52を介して第1処理液ノズル51にフッ酸が供給されるようになっている。第1処理液供給管52には、第1処理液ノズル51へのフッ酸の供給の有無や供給量を制御する第1処理液バルブ54が設けられている。これらの第1処理液ノズル51、第1処理液供給管52、第1処理液供給源53および第1処理液バルブ54により、保持部31により保持されたウエハWの周縁部にフッ酸を供給する第1処理液供給部50が構成されている。
【0029】
第2処理液ノズル61は、保持部31により保持されたウエハWの周縁部にSC1(アンモニアと過酸化水素水の混合液、第2処理液)を供給するようになっている。より具体的には、第2処理液ノズル61には、第2処理液供給管62を介して第2処理液供給源63が接続されており、第2処理液供給源63から第2処理液供給管62を介して第2処理液ノズル61にSC1が供給されるようになっている。第2処理液供給管62には、第2処理液ノズル61へのSC1の供給の有無や供給量を制御する第2処理液バルブ64が設けられている。これらの第2処理液ノズル61、第2処理液供給管62、第2処理液供給源63および第2処理液バルブ64により、保持部31により保持されたウエハWの周縁部にSC1を供給する第2処理液供給部60が構成されている。
【0030】
DIWノズル71は、保持部31により保持されたウエハWの周縁部に、DIW(脱イオン水)を供給するようになっている。より具体的には、DIWノズル71には、DIW供給管72を介してDIW供給源73が接続されており、DIW供給源73からDIW供給管72を介してDIWノズル71にDIWが供給されるようになっている。DIW供給管72には、DIWノズル71へのDIWの供給の有無や供給量を制御するDIWバルブ74が設けられている。これらのDIWノズル71、DIW供給管72、DIW供給源73およびDIWバルブ74により、保持部31により保持されたウエハWの周縁部にDIWを供給するDIW供給部70が構成されている。
【0031】
図3に示すように、第1処理液ノズル51は、第1処理液ノズル駆動部55に連結されている。この第1処理液ノズル駆動部55は、第1処理液ノズル51を、ウエハWの周縁部にフッ酸を供給する第1前進位置P1と、ウエハWから後退した第1後退位置Q1との間で第1処理液ノズル51を前進および後退させる。第1処理液ノズル51は、第1前進位置P1と第1後退位置Q1との間で、ウエハWの半径方向に移動する。第1前進位置P1は、ウエハWの表面上に形成された自然酸化膜の周縁部(外縁から所定の幅にわたる領域)を除去可能なようにフッ酸を供給できるような位置に設定される。第1後退位置Q1は、第1処理液ノズル51から吐出されたフッ酸がウエハWの表面に到達しないような位置に設定される。
【0032】
第2処理液ノズル61は、第2処理液ノズル駆動部65に連結されている。この第2処理液ノズル駆動部65は、第2処理液ノズル61を、ウエハWの周縁部にSC1を供給する第2前進位置P2と、ウエハWから後退した第2後退位置Q2との間で第2処理液ノズル61を前進および後退させる。第2処理液ノズル61は、第2前進位置P2と第2後退位置Q2との間で、ウエハWの半径方向に移動する。第2前進位置P2は、ウエハWの表面に残存して乾燥する前のフッ酸にSC1を供給することができるような位置に設定される。より具体的には、第2前進位置P2は、ウエハWへのSC1の供給位置が、ウエハWへのフッ酸の供給位置よりも、ウエハWの回転方向下流側の近傍に配置されるような位置になっている。また、第2前進位置P2は、ウエハWへのSC1の供給位置が、ウエハWへのフッ酸の供給位置よりも、ウエハWの中心Oに近くなるような位置になっている。すなわち、ウエハWの中心OからSC1の供給位置までの距離が、中心Oからフッ酸の供給位置までの距離よりも短くなっている。第2後退位置Q2は、第2処理液ノズル61から吐出されたSC1がウエハWの表面に到達しないような位置に設定される。
【0033】
DIWノズル71は、DIWノズル駆動部75に連結されている。このDIWノズル駆動部75は、DIWノズル71を、ウエハWの周縁部にDIWを供給する第3前進位置P3と、ウエハWから後退した第3後退位置Q3との間でDIWノズル71を前進および後退させる。DIWノズル71は、第3前進位置P3と第3後退位置Q3との間で、ウエハWの半径方向に移動する。第3前進位置P3は、ウエハWの表面に残存するフッ酸およびSC1を洗い流すことができるようにDIWを供給することができるような位置に設定される。より具体的には、第3前進位置P3は、ウエハWへのDIWの供給位置が、ウエハWへのSC1の供給位置よりも、ウエハWの中心Oに近くなるような位置になっている。すなわち、ウエハWの中心OからDIWの供給位置までの距離が、中心OからSC1の供給位置までの距離よりも短くなっている。第3後退位置Q3は、DIWノズル71からDIWが吐出されたDIWがウエハWの表面に到達しないような位置に設定される。
【0034】
図4に示すように、基板処理装置30の各構成要素の制御は、上述した制御装置4の制御部18によって行われる。具体的には、制御部18には、保持部31、回転駆動部33、第1処理液供給部50、第2処理液供給部60およびDIW供給部70がそれぞれ接続されている。また、制御部18には、第1処理液ノズル駆動部55、第2処理液ノズル駆動部65およびDIWノズル駆動部75が接続されている。そして、制御部18は、当該制御部18に接続された各構成要素に対して制御信号を送ることにより、各構成要素の制御を行うようになっている。制御部18による各構成要素の制御の具体的な内容については後述する。
【0035】
次に、上述のような基板処理装置30の動作(ウエハWの処理方法)について、
図5A〜
図5G、
図6A〜
図6Dおよび
図7に示す説明図を用いて説明する。なお、以下に示すような基板処理装置30の動作は、記憶媒体に記憶されたプログラム(レシピ)に従って、制御部18が基板処理装置30の各構成要素を制御することにより行われる。
【0036】
[保持工程]
まず、ウエハWが水平に保持される。より具体的には、基板処理装置30の外部から
図1に示す基板搬送装置17により、チャンバー39の側部開口42を介してチャンバー39内にウエハWを搬送する。具体的には、基板搬送装置17によりチャンバー39内の保持部31上にウエハWを載置させる。ここで、保持部31上に載置されるウエハWには、親水性の自然酸化膜が表面に形成されている。
【0037】
[回転開始工程]
次に、
図5Aに示すように、保持部31に保持されたウエハWの回転を開始する。より具体的には、回転駆動部33(
図2参照)を駆動して、鉛直方向に延びる軸線を中心として回転軸32を回転させる。このことにより、保持部31により保持されたウエハWが水平面内で回転される。このときに、モータ35の回転駆動力が、プーリ36、駆動ベルト37およびプーリ34を介して回転軸32に付与されることによって回転軸32が回転される。ここでは、例えば、ウエハWの回転数を1800rpmにする。
【0038】
[処理液供給工程]
次に、ウエハWの周縁部にフッ酸およびSC1が供給される。すなわち、回転するウエハWの周縁部に形成された自然酸化膜に、ウエハWの表面を疎水化するフッ酸が第1処理液ノズル51から供給されて、自然酸化膜が除去される。また、ウエハWの表面上のフッ酸に、ウエハWを親水化するSC1が第2処理液ノズル61から供給される。
【0039】
<吐出開始工程>
この処理液供給工程においては、まず、第1処理液バルブ54(
図2参照)が開き、
図5Bに示すように、第1後退位置Q1に位置する第1処理液ノズル51からフッ酸が吐出される。また、第2処理液バルブ64が開き、第2後退位置Q2に位置する第2処理液ノズル61からSC1が吐出される。第1処理液ノズル51が第1後退位置Q1に維持されるとともに第2処理液ノズル61が第2後退位置Q2に維持されながら、所定時間、フッ酸およびSC1が吐出される。このことにより、フッ酸およびSC1の吐出量が少ない場合であっても、フッ酸およびSC1の吐出量を安定化させることができる。例えば、フッ酸およびSC1はそれぞれ、3秒間、15mL/分の吐出量で吐出され続ける。
【0040】
<第2処理液ノズル前進工程>
次に、
図5Cに示すように、第2処理液ノズル駆動部65(
図3参照)が駆動されて、第2処理液ノズル61が第2後退位置Q2から第2前進位置P2に前進する。例えば、第2処理液ノズル61は、0.5秒で、第2後退位置Q2から第2前進位置P2に前進する。この間、第2処理液ノズル61からはSC1が吐出され続けており、第2前進位置P2に第2処理液ノズル61が前進することにより、ウエハWの周縁部へのSC1の供給を開始する。
【0041】
<第1処理液ノズル前進工程>
次に、
図5Dに示すように、第1処理液ノズル駆動部55(
図3参照)が駆動されて、第1処理液ノズル51が第1後退位置Q1から第1前進位置P1に前進する。例えば、第1処理液ノズル51は、0.5秒で、第1後退位置Q1から第1前進位置P1に前進する。この間、第1処理液ノズル51からはフッ酸が吐出され続けており、第1前進位置P1に第1処理液ノズル51が前進することにより、ウエハWの周縁部へのフッ酸の供給を開始する。このようにして、第2処理液ノズル前進工程の後に第1処理液ノズル前進工程が行われており、ウエハWへのSC1の供給を開始した後に、ウエハWにフッ酸が供給される。
【0042】
<自然酸化膜除去工程>
次に、
図5Eに示すように、所定時間、第1処理液ノズル51が第1前進位置P1に維持されるとともに第2処理液ノズル61が第2前進位置P2に維持される。そして第1処理液ノズル51から、回転するウエハWの周縁部に形成された自然酸化膜に、所定時間フッ酸が供給され続ける。第1前進位置P1に位置する第1処理液ノズル51からのフッ酸の供給位置は、ウエハW上の自然酸化膜のうち外縁から所定の幅にわたる領域を除去可能なような位置になっている。このことにより、自然酸化膜の当該領域がフッ酸によってエッチングされて除去され、ウエハWの周縁部の表面が露出される。例えば、フッ酸は、60秒間、第1前進位置P1に位置する第1処理液ノズル51から吐出され続ける。ウエハWの周縁部に吐出されたフッ酸は、ウエハWの回転による遠心力を受けて、ウエハWへのフッ酸の供給位置から外周側に流され、ウエハWの外縁から排出される。なお、自然酸化膜除去工程においては、自然酸化膜の除去精度を向上させるために、例えば上述した1800rpmのように、ウエハWの回転数はある程度高いことが好ましい。このことにより、ウエハWに供給されたフッ酸に遠心力を作用させることができ、ウエハWの表面上のフッ酸が内周側に進出することを抑制できる。この場合、ウエハWの表面上に残存する自然酸化膜のエッチング後の外縁の位置精度を向上させることができる。
【0043】
ところで、第2前進位置P2に位置する第2処理液ノズル61からのSC1の供給位置は、ウエハWの回転数と第1処理液ノズル51からのフッ酸の吐出量とに応じて設定される。例えば、ウエハWの回転数が低くなるにつれてSC1の供給位置は、第1前進位置P1に位置する第1処理液ノズル51からのフッ酸の供給位置に近づけることが好ましい。また、フッ酸の吐出量が少なくなるにつれて、SC1の供給位置は、フッ酸の供給位置に近づけることが好ましい。このようにして、第2前進位置P2に位置する第2処理液ノズル61は、ウエハWの表面に残存して乾燥する前のフッ酸にSC1を供給することができる。このため、ウエハWの表面が疎水化されることを抑制し、ウエハWの表面を、SC1に触れることで親水化させることができる。ウエハWの周縁部に吐出されたSC1は、ウエハWの回転による遠心力を受けて、ウエハWへのSC1の供給位置から外周側に流され、ウエハWの外縁から排出される。
【0044】
<第1処理液ノズル後退工程>
次に、
図5Fに示すように、第1処理液ノズル駆動部55が駆動されて、第1処理液ノズル51が第1前進位置P1から第1後退位置Q1に後退する。例えば、第1処理液ノズル51は、0.5秒で、第1前進位置P1から第1後退位置Q1に後退する。この間、第1処理液ノズル51からはフッ酸が吐出され続けているが、第1処理液ノズル51の後退に伴い、ウエハWの周縁部へのフッ酸の供給は終了する。
【0045】
<第2処理液ノズル後退工程>
次に、
図5Gに示すように、第2処理液ノズル駆動部65が駆動されて、第2処理液ノズル61が第2前進位置P2から第2後退位置Q2に後退する。例えば、第2処理液ノズル61は、0.5秒で、第2前進位置P2から第2後退位置Q2に後退する。この間、第2処理液ノズル61からはSC1が吐出され続けているが、第2処理液ノズル61の後退に伴い、ウエハWの周縁部へのSC1の供給は終了する。このようにして、第1処理液ノズル後退工程の後に第2処理液ノズル後退工程が行われており、ウエハWへのフッ酸の供給を終了した後に、ウエハWへのSC1の供給を終了する。
【0046】
<吐出停止工程>
その後、第1処理液バルブ54が閉じ、第1後退位置Q1に位置する第1処理液ノズル51からのフッ酸の吐出が停止する。また、第2処理液バルブ64が閉じ、第2後退位置Q2に位置する第2処理液ノズル61からのSC1の吐出が停止する。このようにして、処理液供給工程が終了する。
【0047】
[リンス液供給工程]
上述した処理液供給工程の後、ウエハWの周縁部にリンス液としてのDIWが供給される。リンス液供給工程においては、ウエハWの回転数は低くする。ここでは、例えば、ウエハWの回転数を600rpmにする。
【0048】
<吐出開始工程>
まず、DIWバルブ74が開き、
図6Aに示すように、第3後退位置Q3に位置するDIWノズル71からDIWが吐出される。DIWノズル71が第3後退位置Q3に維持されながら、所定時間、DIWが吐出される。このことにより、DIWの吐出量が少ない場合であっても、DIWの吐出量を安定化させることができる。例えば、DIWは、1秒間、15mL/分の吐出量で吐出され続ける。
【0049】
<DIWノズル前進工程>
次に、
図6Bに示すように、DIWノズル駆動部75が駆動されて、DIWノズル71が第3後退位置Q3から第3前進位置P3に前進する。例えば、DIWノズル71は、1秒で、第3後退位置Q3から第3前進位置P3に前進する。この間、DIWノズル71からはDIWが吐出され続けており、第3前進位置P3に前進したDIWノズル71は、ウエハWの周縁部へのDIWの供給を開始する。
【0050】
<リンス処理工程>
次に、
図6Cに示すように、所定時間、DIWノズル71が第3前進位置P3に維持される。DIWノズル71の第3前進位置P3は、ウエハWへのDIWの供給位置が、ウエハWへのSC1の供給位置よりもウエハWの中心Oに近くなるような位置になっている。このことにより、ウエハWがリンス処理され、ウエハWの表面に残存するフッ酸およびSC1を洗い流すことができる。なお、リンス液供給工程では、第1処理液ノズル51および第2処理液ノズル61は後退しているため、周方向におけるDIWノズル71の第3前進位置P3は、
図6Cに示す位置に限られることはない。
【0051】
リンス処理工程において、DIWノズル71から、回転するウエハWの周縁部に、所定時間DIWが供給され続ける。例えば、DIWは、15秒間、第3前進位置P3に位置するDIWノズル71から吐出され続ける。ウエハWの周縁部に吐出されたDIWは、ウエハWの回転による遠心力を受けて、ウエハWへのDIWの供給位置から外周側に流され、ウエハWの外縁から排出される。
【0052】
<DIWノズル後退工程>
次に、
図6Dに示すように、DIWノズル駆動部75が駆動されて、DIWノズル71が第3前進位置P3から第3後退位置Q3に後退する。例えば、DIWノズル71は、1秒で、第3前進位置P3から第3後退位置Q3に後退する。この間、DIWノズル71からはDIWが吐出され続けているが、DIWノズル71の後退に伴い、ウエハWの周縁部へのDIWの供給は終了する。
【0053】
<吐出停止工程>
その後、DIWバルブ74が閉じ、第3後退位置Q3に位置するDIWノズル71からのDIWの吐出が停止する。このようにして、リンス液供給工程が終了する。
【0054】
[乾燥工程]
上述したリンス液供給工程の後、
図7に示すように、ウエハWの回転数を高めて、ウエハWの乾燥処理が行われる。例えば、ウエハWの回転数を2500rpmにする。このことにより、ウエハWの表面に残存するDIWが、ウエハWの回転による遠心力を受けて、ウエハWへのDIWの供給位置から外周側に流され、ウエハWの外縁から排出される。このため、ウエハWの表面からDIWが除去されて、ウエハWの表面が乾燥される。
【0055】
このように本実施の形態によれば、回転するウエハWの周縁部に形成された自然酸化膜にフッ酸が供給されて自然酸化膜が除去されるとともに、ウエハWの表面上のフッ酸にSC1が供給される。このことにより、ウエハWの表面上のフッ酸が乾燥する前に、表面上に残存するフッ酸にSC1を供給することができ、ウエハWの表面を親水化させることができる。すなわち、ウエハWの表面上のフッ酸が乾燥して表面が疎水化されることを抑制できる。このため、ウエハWの周縁部に供給されるフッ酸やSC1が内周側に飛び散ることを抑制し、パーティクル源が形成されることを抑制できる。この結果、ウエハWの周縁部におけるパーティクルの発生を抑制することができる。
【0056】
また、本実施の形態によれば、ウエハWの表面へのSC1の供給位置が、ウエハWの表面へのフッ酸の供給位置よりもウエハWの表面の中心Oに近くなっている。このことにより、ウエハWの半径方向においてフッ酸よりも内周側の領域に、SC1を供給することができる。このため、ウエハWの表面に供給されたフッ酸に、SC1が供給されなくなることを抑制し、ウエハWの表面上のフッ酸が乾燥することをより一層抑制することができ、表面をより一層親水化させることができる。
【0057】
また、本実施の形態によれば、ウエハWの表面へのSC1の供給を開始した後に、ウエハWの表面にフッ酸が供給される。このことにより、ウエハWの表面にSC1が供給される前にフッ酸が供給されることを防止できる。このため、ウエハWの表面上のフッ酸が乾燥することをより一層抑制することができ、表面をより一層親水化させることができる。
【0058】
また、本実施の形態によれば、ウエハWの表面へのフッ酸の供給を終了した後に、ウエハWへのSC1の供給が終了する。このことにより、ウエハWの表面に供給されたフッ酸に、SC1が供給されなくなることを抑制できる。このため、ウエハWの表面上のフッ酸が乾燥することをより一層抑制することができ、表面をより一層親水化させることができる。
【0059】
さらに、本実施の形態によれば、ウエハWの表面上のフッ酸にSC1が供給される。このことにより、自然酸化膜が除去されて露出されたウエハWの表面を、SC1によって親水化することができる。また、SC1は、粘度が低いため、ウエハWの周縁部という限られた領域にSC1を供給するために第2処理液ノズル61からの吐出量を小さくしても、吐出量を安定させることができる。さらに、SC1は、粘度が低いことから、DIWによって容易に洗い流すことができ、毒性も低い。このため、第2処理液の取扱性を向上させることができる。
【0060】
なお、上述した本実施の形態においては、ウエハWの表面を疎水化する第1処理液としてフッ酸を用いる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、第1処理液としては、例えば、フッ酸を含む水溶液である希フッ酸水溶液(DHF)であってもよい。
【0061】
また、上述した本実施の形態においては、ウエハWの表面上のフッ酸に供給される第2処理液としてSC1を用いる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、第2処理液としては、酸化力を有しつつ、シリコン製のウエハWに対してエッチング作用を有さない液体であればよく、例えば、硝酸または硫酸などを用いることもできる。あるいは、第2処理液には、DIWを用いることもできる。この場合、ウエハWの表面上のフッ酸が乾燥する前に、表面上に残存するフッ酸にDIWを供給することができ、ウエハWの表面が乾燥することを防止できる。このため、ウエハWの周縁部に供給されるフッ酸やSC1が内周側に飛び散ることを抑制し、パーティクル源が形成されることを抑制できる。また、DIWは、SC1よりも弱いが酸化力を有しているため、ウエハWの表面を親水化させることもできる。第2処理液にDIWを用いる場合には、第1処理液ノズル後退工程の後、第2処理液ノズル61を後退させることなく、第2前進位置P2に維持してDIWを供給し続けることで、リンス液供給工程を行うこともでき、工程を簡素化させることができる。なお、第2処理液としては、DIWの代わりに、オゾン水を用いることもできる。
【0062】
さらに、上述した本実施の形態において、自然酸化膜除去工程において、
図8に示すように、ウエハWの周縁部に、DIWを供給するようにしてもよい。
【0063】
この場合、例えば、処理液供給工程の吐出開始工程において、DIWノズル71からDIWを吐出させ、第2処理液ノズル前進工程の前に、DIWノズル71を第3後退位置Q3から第3前進位置P3に前進させる。この間、DIWノズル71からはDIWを吐出させ続ける。このことにより、第1処理液ノズル51から吐出されたフッ酸を、ウエハWの表面上に供給されたDIWの液膜に供給させることができ、ウエハWの周縁部に供給されるフッ酸が内周側に飛び散ることを抑制し、パーティクル源が形成されることを抑制できる。
図8に示すように、DIWの供給位置は、平面視でフッ酸の供給位置よりもウエハWの回転方向上流側の近傍に配置されていることが好適である。
【0064】
そして、第2処理液ノズル後退工程の後、DIWノズル71を後退させることなく、第3前進位置P3に維持してDIWを供給し続けることで、リンス液供給工程を行うこともでき、工程を簡素化させることができる。
【0065】
本発明は上記実施の形態および変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態および変形例に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。実施の形態および変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態および変形例にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。