(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光学的に読み取り可能な情報コードを有する基材と、前記基材のうちの前記情報コードが配置されている領域上に存在し、かつ再帰反射条件において再帰反射を示す再帰反射層と、を有する情報媒体であって、
前記再帰反射層は、透明反射材層と、平均粒径yの透明球状体を有する透明球状体層とを有し、
前記情報コードは、
(a)(i)第1の明色領域及び第1の暗色領域から構成され、かつ前記第1の明色領域が幅4y未満の部分を有する、第1の位置検出パターンと、(ii)第2の明色領域及び第2の暗色領域から構成され、かつ前記第2の暗色領域が幅4y未満の部分を有する、第2の位置検出パターンとの組合せ、及び/又は
(b)第3の明色領域及び第3の暗色領域から構成され、かつ前記第3の明色領域及び前記第3の暗色領域が幅4y未満の部分を有する、第3の位置検出パターン
を有し、かつ
非再帰反射条件において前記再帰反射層を通して前記情報コードを光学的に読み取り可能である、
情報媒体。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、
光学的に読み取り可能な情報コードを有する基材と、基材のうちの情報コードが配置されている領域上に存在し、かつ再帰反射条件において再帰反射を示す再帰反射層と、を有する情報媒体であって、
再帰反射層は、平均粒径yの透明球状体を有する透明球状体層を有し、
情報コードは、
(a)(i)第1の明色領域及び第1の暗色領域から構成され、かつ第1の明色領域が幅4y未満の部分を有する、第1の位置検出パターンと、(ii)第2の明色領域及び第2の暗色領域から構成され、かつ第2の暗色領域が幅4y未満の部分を有する、第2の位置検出パターンとの組合せ、及び/又は
(b)第3の明色領域及び第3の暗色領域から構成され、かつ第3の明色領域及び第3の暗色領域が幅4y未満の部分を有する、第3の位置検出パターン
を有し、かつ
非再帰反射条件において再帰反射層を通して情報コードを光学的に読み取り可能である、
情報媒体に関する。
【0013】
本明細書において、「再帰反射条件」とは、対象物に光源から光を入射させ、そして入射方向に反射された再帰反射光を観察する条件、即ち光源の位置と観察の位置とが略同じ位置となる条件を意味している。「非再帰反射条件」とは、対象物に光源から光を入射させ、そして入射方向以外の方向に散乱された散乱光を観察する条件、即ち光源の位置と観察の位置とが相違する条件を意味している。
【0014】
本明細書において、情報コードが「光学的に読み取り可能」であるとは、該情報コードにおける明色及び暗色のパターンを光学的に検知することができ、かつ、符号化されて当該パターンとして配置されたデータを元の状態に復元(デコード)できることを意味している。
【0015】
QRコード(登録商標)、FSコード(登録商標)等に代表される2次元の情報コードは、位置検出パターン(ファインダパターン、切り出しシンボル等の名称で呼ばれることもある。)をコード内に配置して、コード位置の検出、コード種の特定、コードの傾きの補正、コードの歪みの補正等を容易化していることが多い。
【0016】
コード読み取り機が情報コードを解読するときには、先ずこの位置検出パターンを認識する必要がある。情報コード中の位置検出パターンを認識できなければ、その情報コードを読み取ることはできない。
【0017】
本発明の情報媒体は、通常の光学的読み取り方法による情報コードの読み取りが可能である。しかしながら、この情報媒体を、例えばフォトコピー機等によって複写した複製品については、読み取りが困難になる。その作用機構は以下のとおりである。
【0018】
本発明の情報媒体において、情報コード上には、再帰反射層が存在する。この再帰反射層は、平均粒径yの透明球状体によって構成される透明球状体層を有する。情報コードは、それぞれが明色(例えば白色)領域及び暗色(例えば黒色)領域から構成される、第1及び第2の位置検出パターンの組合せ、及び/又は第3の位置検出パターンを有する。第1の位置検出パターンにおける明色領域は幅4y未満の部分を有し、第2の位置検出パターンにおける暗色領域は幅4y未満の部分を有する。第3の位置検出パターンは、明色領域及び暗色領域の双方が、幅4y未満の部分を有する。
【0019】
情報コード上に再帰反射層を配置した情報媒体を再帰反射層側上方から観察すると、暗色領域のうちの明色領域との境界付近に、明色領域の色が反射によって映り込んだ透明球状体が見られる。同様に、明色領域のうちの暗色領域との境界付近には、暗色領域の色が反射によって映り込んだ透明球状体が見られる。このような現象を、本明細書では、以下、「フリンジ(fringe)現象」として参照する。
【0020】
図2に、ある2次元コードのパターンの一部で観察されたフリンジ現象の例を示した。
図2(a)は、基材上に印刷された情報コードの一部の領域を撮影した写真であり、
図2(b)は、情報コード上に再帰反射層を積層した後に、
図2(a)と同じ領域を撮影した写真である。
図2(c)及び
図2(d)は、それぞれ、
図2(a)及び
図2(b)において破線で囲われた領域A及びBの拡大写真である。
【0021】
再帰反射層積層後の領域Bの拡大写真(
図2(d))を、再帰反射層積層前の同じ領域である領域Aの拡大写真(
図2(c))と比較すると、領域Bの拡大写真(
図2(d))では、元の領域A(
図2(c))における暗色が再帰反射層の透明球状体に映り込み、本来は明色であるはずの領域に暗色の部分が存在するかのように観察される箇所がある。この部分は、
図2(d)において、「フリンジ(明→暗)」と注記されている。同様に、領域Bの拡大写真(
図2(d))では、明色が透明球状体に映り込み、本来は暗色であるはずの領域に明色の部分が存在するかのように観察される箇所がある。この部分は、
図2(d)において、「フリンジ(暗→明)」と注記されている。
【0022】
このフリンジ現象は、明暗の境界から2個程度離れた透明球状体でも見られる。したがって、本発明の情報媒体における情報コードの明色領域と暗色領域との境界は、明色領域方向及び暗色領域方向の両方向に、それぞれ、透明球状体の平均粒径yの2倍程度の幅、即ち、両方向合わせてyの4倍程度の幅でフリンジ現象を示し、不明確になる。これを位置検出パターンについて見ると、幅が4yの部分(典型的には、暗色領域又は明色領域のうちの線状の部分)は、その幅の全部が不明確であることになる。したがって例えば、暗色領域のうちの幅4未満の部分は、照明の具合、観察角度等によって、暗色領域として観察されたり、明色領域として観察されたり、又は、途中が千切れて観察されたりする。
【0023】
このような再帰反射層積層後の情報媒体を、例えばフォトコピー機によって複写して得られる複製品では、フリンジ現象が固定され、正常な情報コードとしての読み取りが困難となる。
【0024】
これに対して、本発明の情報媒体そのものは、通常の光学的読み取り方法による情報コードの読み取りが可能である。即ち、情報媒体上の情報コードを読み取る場合には、例えば情報媒体を手で持って読み取り機のカメラ前にかざす等の方法によることが考えられ、情報媒体と読み取り装置との距離、角度等が常に微妙に変動しながら読み取りを行うのが通常である。したがって、本発明の情報媒体そのものを読み取る場合には、透明球状体によるフリンジ現象は平均化されるから、情報コードの光学的読み取りが可能である。
【0025】
ここで、明色領域が幅4y未満の部分を有する場合であっても、複写時の濃度調整を「薄く」設定すれば、複製品においても、明色領域のうちの幅4y未満の部分を明色領域として読み取れることがある。同様に、暗色領域が幅4y未満の部分を有する場合であっても、複写時の濃度調整を「濃く」設定すれば、複製品においても、暗色領域のうちの幅4y未満の部分を暗色領域として読み取れることがある。
【0026】
これに対して、本発明の情報媒体は、明色領域が幅4y未満の部分を有する第1の位置検出パターンと、暗色領域が幅4y未満の部分を有する第2の位置検出パターンとの組合せ、及び/又は、明色領域及び暗色領域の双方が幅4y未満の部分を有する第3の位置検出パターンを有する。したがって本発明の情報媒体を複写して得られた複製品を情報コードとして読み取ろうとすると、複写時の設定濃度の如何にかかわらず、第1及び第2の2つの位置検出パターンのうちの少なくとも一方、及び/又は第3の位置検出パターンが認識困難となり、このことによって情報コードとしての読み取りが困難となるのである。
【0027】
以下、本発明の情報媒体について、その好ましい実施形態(以下、「本実施形態」という。)を例として、詳細に説明する。
【0028】
<情報媒体>
図1に、本実施形態の情報媒体の構造の非限定的な一例を、概略断面図として示した。
【0029】
図1の情報媒体は、
光学的に読み取り可能な情報コード10を有する基材20と、基材20のうちの情報コード10が配置されている領域上に存在し、かつ再帰反射条件において再帰反射を示す再帰反射層30と、を有し、
再帰反射層30は、平均粒径yの透明球状体を有する透明球状体層31を有する。
【0030】
情報コード10は、後述するように、第1の明色領域及び第1の暗色領域から構成され、第1の明色領域が幅4y未満の部分を含む第1の位置検出パターンと、第2の明色領域及び第2の暗色領域から構成され、第2の暗色領域が幅4y未満の部分を含む第2の位置検出パターンとの組合せ、及び/又は第3の明色領域及び第3の暗色領域から構成され、第3の明色領域及び第3の暗色領域が幅4y未満の部分を含む第3の位置検出パターンを有し、かつ、再帰反射条件において前記再帰反射層を通して光学的に読み取り可能である。
【0031】
基材20は、情報媒体に必要な強度を与え、情報コードを保持する機能を有する。したがって基材としては、好ましくは印刷によって情報コードを印字でき、保持できる材料であれば、特に制限はない。
【0032】
再帰反射層30は、例えば、透明球状体層31の他に、任意的に、固定樹脂層32と、透明反射材層33と、粘着層34とをこの順に有していてよい。しかしながら再帰反射層30の構成は、ここに例示した構成に限られず、平均粒径yの透明球状体を有する透明球状体層31を有している限り、他の構成であってよい。
【0033】
以下、本実施形態の情報媒体における、情報コード、基材、及び再帰反射層について、順次説明する。
【0034】
[情報コード]
本実施形態における情報コードは、光学的に読み取り可能であって、後述の再帰反射層の透明球状体層における透明球状体の平均粒径をyとしたときに、
(a)(i)第1の明色領域及び第1の暗色領域から構成され、かつ第1の明色領域が幅4y未満の部分を有する、第1の位置検出パターンと、(ii)第2の明色領域及び第2の暗色領域から構成され、かつ第2の暗色領域が幅4y未満の部分を有する、第2の位置検出パターンとの組合せ、及び/又は
(b)第3の明色領域及び第3の暗色領域から構成され、かつ前記第3の明色領域及び第3の暗色領域が幅4y未満の部分を有する、第3の位置検出パターン
を有する。
【0035】
以下、情報コードが第1の位置検出パターンと第2の位置検出パターンとの組合せを有する実施形態(第1の実施形態)、及び情報コードが第3の位置検出パターンを有する実施形態(第2の実施形態)について、順に詳説する。
【0036】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の情報コードは、(i)第1の明色領域及び第1の暗色領域から構成され、かつ第1の明色領域が幅4y未満の部分を有する、第1の位置検出パターンと、(ii)第2の明色領域及び第2の暗色領域から構成され、かつ第2の暗色領域が幅4y未満の部分を有する、第2の位置検出パターンとの組合せを有する。
【0037】
第1の位置検出パターンにおける第1の明色領域の幅4y未満の部分、及び第2の位置検出パターンにおける第2の暗色領域の幅4y未満の部分は、それぞれ例えば、幅が4y未満の直線であってよく、又は1辺が4y未満の正方形若しくは長方形であってよい。直線は、それぞれ、線分であっても他の図形の一部(例えば、正方形の1辺等)を構成する場合であってもよい。以下、明暗各領域における幅4y未満の部分を、「狭幅部分」の名称で参照することがある。
【0038】
第1の実施形態の情報媒体の複製品からの情報コードの光学的読み取りを困難とするために、第1及び第2の位置検出パターンにおける狭幅部分の幅は、それぞれ独立に、4.0y以下、3.8y以下、3.6y以下、3.4y以下、3.2y以下、又は3.0y以下であってよい。一方で、第1の実施形態の情報媒体そのものからの情報コードの光学的読み取りを確実にするためには、第1及び第2の位置検出パターンにおける狭幅部分の幅は、それぞれ独立に、2.0y以上、2.2y以上、2.4以上、2.6y以上、又は2.8y以上であってよい。
【0039】
第1の実施形態の情報媒体は、後述の再帰反射層の透明球状体層における透明球状体の平均粒径をyとしたときに、第1の位置検出パターンにおける第1の暗色領域が幅4y超の部分を含んでいてよく、第2の位置検出パターンにおける第2の明色領域が幅4y超の部分を含んでいてよい。更には、第1の位置検出パターンにおける第1の暗色領域の幅は4y超であってよく、第2の位置検出パターンにおける第2の明色領域の幅は4y超であってよい。
【0040】
第1の位置検出パターンにおける第1の暗色領域の幅4y超の部分、及び第2の位置検出パターンにおける第2の明色領域の幅4y超の部分は、それぞれ例えば、幅が4y超の直線であってよく、又は1辺が4y超の正方形若しくは長方形であってよい。直線は、それぞれ、線分であっても他の図形の一部(例えば、正方形の1辺等)を構成する場合であってもよい。以下、明暗各領域における幅4y超の部分を、「広幅部分」の名称で参照することがある。
【0041】
第1の実施形態の情報コードの第1の位置検出パターンにおいて、第1の明色領域は幅4y未満の狭幅部分を有する。ここで、第1の暗色領域のうち、第1の明色領域の狭幅部分と隣接する部分を幅4y超の広幅部分とすることにより、通常の(即ち、当該情報コードの本来の規格どおりの)位置検出パターンにおける明暗各領域の相対的な位置関係を実質的に維持することが可能となる。このことにより、第1の実施形態の情報媒体そのものから、通常の光学的読み取り方法によって、情報コードを読み取る際の確実性を高めることができ、好ましい。
【0042】
同様の理由により、第2の位置検出パターンにおいて、第2の暗色領域は幅4y未満の狭幅部分を有するので、第2の明色領域のうち、第2の暗色領域の狭幅部分と隣接する部分を幅4y超の広幅部分とすることが好ましい。
【0043】
第1及び第2の位置検出パターンにおける広幅部分の幅は、それぞれ独立に、4.0y以上、4.5y以上、5.0y以上、5.5y以上、又は6.0y以上であってよく、8.0y以下、7.5y以下、7.0y以下、又は6.5y以下であってよい。
【0044】
第1の実施形態における情報コードは、第1の位置検出パターン及び第2の位置検出パターン以外の位置検出パターンを更に有していてよい。情報コードが第1の位置検出パターン及び第2の位置検出パターン以外の位置検出パターンを有する場合、この位置検出パターンは、第1の位置検出パターン及び第2の位置検出パターン、並びに後述の第3の位置検出パターンのうちのいずれかに該当してもよいし、該当しなくてもよい。
【0045】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の情報コードは、第3の明色領域及び第3の暗色領域から構成され、かつ第3の明色領域及び第3の暗色領域が幅4y未満の部分を有する、第3の位置検出パターンを有する。
【0046】
第3の位置検出パターンにおける、第3の明色領域の幅4y未満の部分、及び第3の暗色領域の幅4y未満の部分は、それぞれ、第1の実施形態における狭幅部分と同様であってよい。第3の明色領域及び第3の暗色領域は、それぞれ、幅4y超の部分を有していてよい。これら第3の明色領域及び第3の暗色領域の幅4y超の部分は、それぞれ、第1の実施形態における広幅部分と同様であってよい。
【0047】
第2の実施形態における情報コードは、第3の位置検出パターン以外の位置検出パターンを更に有していてよい。情報コードが第3の位置検出パターン以外の位置検出パターンを有する場合、この位置検出パターンは、第1の位置検出パターン及び第2の位置検出パターン、並びに第3の位置検出パターンのうちのいずれかに該当してもよいし、該当しなくてもよい。
【0048】
(情報コードのその他の構成)
情報コードは、コードを光学的に読み取るときの情報コード認識、傾き補正等の目的で用いられるアライメントパターン等を更に有していてもよい。
【0049】
本実施形態における情報コードは、2進コードで表されるデータを明色及び暗色のセルに符号化して、2次元のマトリクス上にパターンとして配置したマトリクス型2次元コードであってよい。
【0050】
情報コードが、2次元のマトリクス上にセル化データのパターンを配置したマトリクス型2次元コードである場合、位置検出パターンも明色及び暗色のセルのパターンとして表現されてよい。この場合の位置検出パターンは、例えば、1辺が10セル以下の矩形内のパターンとして表され、線幅が1セルの直線部を有していてよい。
【0051】
このような位置検出パターンを、第1の実施形態所定の第1及び第2の位置検出パターンとするとき、以下のような手順によることが便宜である。即ち:
後述の再帰反射層の透明球状体層における透明球状体の平均粒径をyとして、
セルを、1辺が3y〜6y程度の正方形として規定し、ただし、
第1の位置検出パターンの領域において、明色セルの少なくとも一対の対辺の長さを4y未満に縮小し、暗色セルの少なくとも一対の対辺の長さを4y超に拡大するとともに、
第2の位置検出パターンの領域において、暗色セルの少なくとも一対の対辺の長さを4y未満に縮小し、明色セルの少なくとも一対の対辺の長さを4y超に拡大したうえで、
セル化したデータをパターンとして配置すること。
【0052】
縮小又は拡大された対辺と直行するセルの対辺については、縮小又は拡大された対辺に合わせて長さを変更してもよいし、縮小又は拡大された対辺とは異なる比率で長さを変更してもよいし、元の長さを維持してもよい。
ただし、形成したパターンが、再帰反射層の積層前の状態において、位置検出パターンとして認識可能なパターンに限る。
【0053】
第1及び第2の位置検出パターンの領域におけるセルサイズを上記のように変更することにより、位置検出パターン中の、縮小された対辺を幅とする部分が、本実施形態における狭幅部分の要件を満たし、拡大された対辺を幅とする部分が、本実施形態における広幅部分の要件を満たすこととなる。
【0054】
変更前のセルを、1辺の長さが3y〜6yの正方形として規定することにより、第1及び第2の位置検出パターンを本実施形態所定の要件を満たすように変更することが容易になるとともに、位置検出パターンの狭幅部分及び広幅部分の幅を変更した情報コードを含む本実施形態の情報媒体を、当該情報コードの通常の光学的読み取り装置及び方法によって読み取るときの確実性を高くすることができる。正方形状のセルの1辺の長さは、変更前の値として、3.0y以上、3.5y以上、4.0y以上、4.2以上、4.4以上、4.5以上、又は4.6y以上であってよく、5.5以下、5.0以下、4.9y以下、又は4.8y以下であってよい。
【0055】
情報コードが、2次元のマトリクス上にセル化データのパターンを配置したマトリクス型2次元コードであり、かつ明色及び暗色のセルのパターンとして表現される位置検出パターンを、第2の実施形態における第3の位置検出パターンとするときには、以下のような手順によることが便宜である。即ち:
後述の再帰反射層の透明球状体層における透明球状体の平均粒径をyとして、
セルを、1辺が3y〜6y程度の正方形として規定し、ただし、
第3の位置検出パターンの領域の一部である第1領域において、明色セルの少なくとも一対の対辺の長さを4y未満に縮小し、暗色セルの少なくとも一対の対辺の長さを4y超に拡大するとともに、
第3の位置検出パターンの領域の他の一部である第2領域において、暗色セルの少なくとも一対の対辺の長さを4y未満に縮小し、明色セルの少なくとも一対の対辺の長さを4y超に拡大したうえで、
セル化したデータをパターンとして配置すること。
【0056】
縮小又は拡大された対辺と直行するセルの対辺については、縮小又は拡大された対辺に合わせて長さを変更してもよいし、縮小又は拡大された対辺とは異なる比率で長さを変更してもよいし、元の長さを維持してもよい。
【0057】
この場合、第1領域における明色領域のうちの縮小された対辺を幅とする部分、及び第2領域における暗色領域のうちの縮小された対辺を幅とする部分が、本実施形態における狭幅部分の要件を満たし、第1領域における暗色領域のうちの拡大された対辺を幅とする部分、及び第2領域における明色領域のうちの拡大された対辺を幅とする部分が、本実施形態における広幅部分の要件を満たすこととなる。
【0058】
[情報コードの具体例]
本実施形態における情報コードの具体例として、例えば、QRコード(登録商標)、FSコード(登録商標)等を挙げることができる。本実施形態における情報コードは、これらの情報コードの位置検出パターンのうち、任意の1つが第1の実施形態所定の第1の位置検出パターンに該当するように変更され、別の任意の1つが第1の実施形態所定の第2の位置検出パターンに該当するように変更されているものであってよく、又は、これらの情報コードの位置検出パターンのうち、任意の1つが第2の実施形態所定の第3の位置検出パターンに該当するように変更されているものであってよい。
【0059】
(QRコード)
QRコードは、特許文献2(特許第2938338号公報)に記載された技術による2次元コードである。「QRコード」の名称は、商標登録第4075066号として商標登録されている。QRコードは周知であり、ISO/IEC 18004で登録され、広く使用されている。
【0060】
QRコードは、正方形マトリクス内の角部のうちの3カ所に、位置検出パターンとして、中心を横切る走査線において走査角度によらずに同じ周波数成分比(明暗領域の長さ比)が得られるパターンが配置されたマトリクス型2次元コードである。QRコードの典型的な位置検出パターンは、具体的には
図3に示したように、明色の地に、1辺の長さが7、幅が1の暗色の正方形枠が配置され、その中心に、1辺の長さが3の暗色の正方形が更に配置されて成る。この位置検出パターンの中心を横切る走査線は、その角度によらず、暗:明:暗:明:暗=1:1:3:1:1の周波数成分比を有する。この位置検出パターンは、例えば、明暗の正方形状セルが7セル×7セルのマトリクス状に配置された構成から成っていてよい。
【0061】
QRコードにおける位置検出パターンに対して、第1の実施形態を適用した例を、
図4(a)〜
図4(d)に示した。
【0062】
図4(a)は、7セル×7セルのマトリクスで構成される位置検出パターンにおいて、明色セルの辺の長さを
図4におけるx方向及びy方向の双方向とも60%に縮小し、暗色セルの辺の長さをx方向及びy方向の双方向とも140%に拡大した例である。縮小された明色セルによって構成される幅1セルの線が、この位置検出パターンの狭幅部分1aとなり、拡大された暗色セルによって構成される幅1セルの線が、この位置検出パターンの広幅部分1bとなる。したがって、
図4(a)の位置検出パターンは、透明球状体層を有する再帰反射層と組み合わされ、かつ、位置検出パターンにおける縮小された明色セル1辺の長さが、再帰反射層の透明球状体層における透明球状体の平均粒径yの4倍未満であるとき、第1の実施形態における第1の位置検出パターンの要件を満たす。
【0063】
図4(b)は、7セル×7セルのマトリクスで構成される位置検出パターンにおいて、暗色セルの辺の長さをx方向及びy方向の双方向とも60%に縮小し、明色セルの辺の長さをx方向及びy方向の双方向とも140%に拡大した例である。縮小された暗色セルによって構成される幅1セルの線が、この位置検出パターンの狭幅部分2aとなり、拡大された明色セルによって構成される幅1セルの線が、この位置検出パターンの広幅部分2bとなる。したがって、
図4(b)の位置検出パターンは、透明球状体層を有する再帰反射層と組み合わされ、かつ、位置検出パターンにおける縮小された暗色セル1辺の長さが、再帰反射層の透明球状体層における透明球状体の平均粒径yの4倍未満であるとき、第1の実施形態における第2の位置検出パターンの要件を満たす。
【0064】
したがって、QRコードを透明球状体層を有する再帰反射層と組み合わせたときに、このQRコードにおける3つの位置検出パターンのうちの任意の1つが
図4(a)の位置検出パターンであり、別の任意の1つが
図4(b)の位置検出パターンであり、かつ、これらの位置検出パターンにおける縮小されたセル1辺の長さが、再帰反射層の透明球状体層における透明球状体の平均粒径yの4倍未満である場合、第1の実施形態の情報媒体を得ることができる。QRコードの位置検出パターンの残りの1つは、
図3、
図4(a)及び
図4(b)、並びに次に説明する
図4(c)及び
図4(d)のいずれであってもよく、後述の第2の実施形態に該当する位置検出パターンであってもよい。
【0065】
図4(c)及び
図4(d)は、QRコードの位置検出パターンに対して第1の実施形態を適用した別の例である。
図4(c)の位置検出パターンは、明色の狭幅部分1a及び暗色の広幅部分1bを有し、第1の実施形態における第1の位置検出パターンの要件を満たす。
図4(d)の位置検出パターンは、暗色の狭幅部分2a及び明色の広幅部分2bを有し、第1の実施形態における第1の位置検出パターンの要件を満たす。
【0066】
QRコードに第1の実施形態を適用した場合の位置検出パターンは、
図4(a)〜
図4(d)に示された態様に限定されるものではなく、他の態様も可能である。
【0067】
QRコードの位置検出パターンに対して第2の実施形態を適用した例を、
図4(e)〜
図4(g)に示した。
【0068】
図4(e)は、7セル×7セルのマトリクスで構成される位置検出パターンのうちの領域Aでは明色セルの辺の長さをx方向に60%に縮小し、暗色セルの辺の長さをx方向140%に拡大し、かつ、領域Bでは暗色セルの辺の長さをx方向60%に縮小し、明色セルの辺の長さをx方向に140%に拡大した例である。領域A及び領域Bとも、明色セル及び暗色セルのy方向の辺の長さは変更されていない。このとき、領域A中の明色セルの縮小された1辺を幅とする部分、及び領域B中の暗色セルの縮小された1辺を幅とする部分が、それぞれ、狭幅部分3a(1)及び3a(2)となり、領域A中の暗色セルの拡大された1辺を幅とする部分、及び領域B中の明色セルの拡大された1辺を幅とする部分が、それぞれ、広幅部分3b(1)及び3b(2)となる。したがって、
図4(e)の位置検出パターンは、透明球状体層を有する再帰反射層と組み合わされ、かつ、位置検出パターン中のセルにおける縮小された1辺の長さが、再帰反射層の透明球状体層における透明球状体の平均粒径yの4倍未満であるとき、第2の実施形態における第3の位置検出パターンの要件を満たす。
【0069】
図4(f)及び
図4(g)は、それぞれ、QRコードの位置検出パターンに対して第2の実施形態を適用した別の例である。これらの例においても、明色の狭幅部分3a(1)及び暗色の狭幅部分3a(2)、並びに、明色の広幅部分3b(1)及び暗色の広幅部分3b(2)を、1つの位置検出パターン中に有する。
【0070】
QRコードに第2の実施形態を適用した場合の位置検出パターンは、
図4(e)〜
図4(g)に示された態様に限定されるものではなく、他の態様も可能である。
【0071】
(FSコード)
FSコードは、特許文献3(特許第5791826号公報)に記載された技術による2次元コードである。「FSコード」の名称は、商標登録第5799324号として商標登録されている。
【0072】
FSコードは、
位置検出パターンと、
前記位置検出パターン以外の領域を分割して記録された複数のデータブロックと、
前記複数のデータブロックのうちの隣接するデータブロック間を分離する分離スペースと、
を備えるマトリクス型2次元コードである。
【0073】
FSコードの位置検出パターンとしては、例えば、正方形マトリクス内の角部の4カ所に、4個の異なる形状のパターンが配置されていてよい。FSコードにおける典型的な位置検出パターンの具体例を、
図5(a)〜(d)に示した。
【0074】
図5(a)の位置検出パターンは、明色の地に、1辺の長さが4、幅が1の暗色の正方形枠が配置されて成る。この位置検出パターンは、例えば、明暗の正方形状セルが4セル×4セルのマトリクス状に配置された構成を有していてよい。
図5(b)の位置検出パターンは、明色の地に、縦辺の長さが4、横辺の長さが8、幅が1の暗色の横長の長方形枠が配置されて成る。この位置検出パターンは、例えば、明暗の正方形状セルが縦4セル×横8セルのマトリクス状に配置された構成を有していてよい。
図5(c)の位置検出パターンは、明色の地に、縦辺の長さが8、横辺の長さが4、幅が1の暗色の縦長の長方形枠が配置されて成る。この位置検出パターンは、例えば、明暗の正方形状セルが縦8セル×横4セルのマトリクス状に配置された構成を有していてよい。
図5(d)の位置検出パターンは、明色の地に、1辺の長さが8、幅が1の暗色の正方形枠が配置され、その中心に、1辺の長さが2の暗色の正方形が更に配置されて成る。この位置検出パターンは、例えば、明暗の正方形状セルが8セル×8セルのマトリクス状に配置された構成を有していてよい。
【0075】
FSコードにおける位置検出パターンに対して、第1の実施形態を適用した例を、
図6に示した。
【0076】
図6(b)は、縦4セル×横8セルのマトリクスで構成される
図5(b)の位置検出パターンにおいて、明色セルの1辺の長さを
図6におけるx方向及びy方向の双方向とも60%に縮小し、暗色セルの1辺の長さをx方向及びy方向の双方向とも140%に拡大した例である。
図6(c)は、縦8セル×横4セルのマトリクスで構成される
図5(c)の位置検出パターンにおいて、明色セルの1辺の長さをx方向及びy方向の双方向とも60%に縮小し、暗色セルの1辺の長さをx方向及びy方向の双方向とも140%に拡大した例である。
図6(b)及び
図6(c)の位置検出パターンでは、縮小された明色セルによって構成される幅1セルの部分が、この位置検出パターンの狭幅部分1aとなり、拡大された暗色セルによって構成される幅1セル以上の部分が、この位置検出パターンの広幅部分1bとなる。
【0077】
図6(a)は、4セル×4セルのマトリクスで構成される
図5(a)の位置検出パターンにおいて、暗色セルの1辺の長さをx方向及びy方向の双方向とも60%に縮小し、明色セルの1辺の長さをx方向及びy方向の双方向とも140%に拡大した例である。
図6(d)は、8セル×8セルのマトリクスで構成される
図5(d)の位置検出パターンにおいて、暗色セルの1辺の長さをx方向及びy方向の双方向とも60%に縮小し、明色セルの1辺の長さをx方向及びy方向の双方向とも140%に拡大した例である。
図6(a)及び
図6(d)の位置検出パターンでは、縮小された暗色セルによって構成される幅1セルの部分が、この位置検出パターンの狭幅部分2aとなり、拡大された明色セルによって構成される幅1セル以上の部分が、この位置検出パターンの広幅部分2bとなる。
【0078】
図6(b)及び
図6(c)の位置検出パターンは、それぞれ、透明球状体層を有する再帰反射層と組み合わされ、かつ、これらの位置検出パターンにおける縮小された明色セル1辺の長さが、再帰反射層の透明球状体層における透明球状体の平均粒径yの4倍未満であるとき、本実施形態における第1の位置検出パターンの要件を満たす。
図6(a)及び
図6(d)の位置検出パターンは、それぞれ、透明球状体層を有する再帰反射層と組み合わされ、かつ、これらの位置検出パターンにおける縮小された暗色セル1辺が、再帰反射層の透明球状体層における透明球状体の平均粒径yの4倍未満であるとき、本実施形態における第2の位置検出パターンの要件を満たす。
【0079】
したがって、FSコードを透明球状体層を有する再帰反射層と組み合わせたときに、このFSコードが、例えば、
図6(b)及び/又は
図6(c)の位置検出パターンと、
図6(a)及び/又は
図6(d)の位置検出パターンとを有し、これらの位置検出パターンにおける縮小されたセル1辺の長さが、再帰反射層の透明球状体層における透明球状体の平均粒径yの4倍未満であるとき、第1の実施形態の情報媒体を得ることができる。
【0080】
FSコードを本実施形態の情報コードとして適用する形式は、ここに説明した場合に限られない。
【0081】
[明色及び暗色]
本実施形態の情報コードは光学的に読み取り可能である。即ち、本実施形態の情報コードの有する明色セル及び暗色セルから構成されるマトリクスパターンは、光学的な読み取り手段、例えばカメラによって読み取ることが可能である。そのために、明色セルと暗色セルとは、光学的読み取り手段によって識別可能なコントラストを示してよい。
【0082】
明色は、典型的には白色である。しかしながら明色は、読み取り条件下で暗色とコントラスト差を生じる限り、淡色、例えば、黄色、桃色、水色、ベージュ色等であってよく、金属色、例えば、金色、銀色等であってよい。暗色は、典型的には黒色又は墨色である。しかしながら暗色は、読み取り条件下で明色とコントラスト差を生じる限りでその他の色であってよく、例えば、青色、赤色、緑色、紫色、茶色、紺色、橙色等であってよい。光学的読み取り手段によって識別可能なコントラストを生じるのであれば、一般的には淡色である色を暗色として採用してよい。
【0083】
[基材]
本発明における基材は、単層であっても多層から成る積層体であってもよく、例えば、シート材、剥離崩壊性積層体等を挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。
【0084】
シート材としては、例えば、紙、フィルム等を例示することができる。
【0085】
[再帰反射層]
再帰反射性層は、再帰反射条件において再帰反射を示す層である。
【0086】
再帰反射層は、平均粒径yの透明球状体を有する透明球状体層を有し、好ましくは透明反射材層を有していてよい。
【0087】
ある実施形態における情報媒体の一例を
図1に示した。
図1の情報媒体における再帰反射層30は、平均粒径yの透明球状体を有する透明球状体層31、固定樹脂層32、透明反射材層33、及び粘着層34をこの順に有する。再帰反射層30は、透明球状体層31の透明反射材層33とは反対側の面上に表面コート層を有していてもよい。
【0088】
透明球状体層は、複数の透明球状体を含む層である。この透明球状体としては、例えばガラスビーズ、樹脂ビーズ等を挙げることができる。透明球状体は、例えば、平均粒径が5μm〜100μm程度であり、屈折率が1.9〜2.2程度のものを用いることができる。
【0089】
透明球状体の平均粒径yは、例えば、10μm以上、15μm以上、20μm以上、又は25μm以上であってよく、例えば、90μm以下、80μm以下、又は70μm以下であってよい。透明球状体の平均粒径yは、情報コードのサイズに応じて、相対的に設定されてよい。例えば、情報コードがQRコードのバージョン2(セル数25×25)であって、コードサイズが5.250mm×5.250mmである場合(位置検出パターン1個の変更前のサイズは1.470mm×1.470mmであり、セルは1辺が0.210mmの正方形状である。)、透明球状体の平均粒径yは、例えば、30μm以上、35μm以上、40μm以上、又は45μm以上であってよく、例えば、60μm以下、55μm以下、50μm以下、又は45μm以下であってよい。
【0090】
透明反射材層は、透明球状体層に入射した光を反射する機能を有する。再帰反射層における反射材層が透明であることにより、光学的に読み取り可能な情報コードは、再帰反射層が積層された後であっても、非再帰反射条件において光学的読み取りが可能である。
【0091】
透明反射材層としては、例えば、パール顔料、蒸着金属薄膜等を含有する層を例示することができる。
【0092】
固定樹脂層は、複数の透明球状体を透明反射層上に整列配置させて固定するための層であり、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂等を含む層であってよい。
【0093】
このような再帰反射層としては、市販の再帰反射フィルムを用いることができ、例えば(株)丸仁製のオープン型再帰反射フィルム「LIGHT FORCETM LFU−1400」等が挙げられる。
【0094】
<情報媒体の製造方法>
本実施形態の情報媒体は、例えば、以下の方法によって製造されてよい。
【0095】
情報コードを有する基材を準備すること、
基材のうちの、情報コードが配置されている領域上に再帰反射層を積層すること、
を含み、
再帰反射層は、平均粒径yの透明球状体を有する透明球状体層を有し、
情報コードは、
(a)(i)第1の明色領域及び第1の暗色領域から構成され、かつ第1の明色領域が幅4y未満の部分を有する、第1の位置検出パターンと、(ii)第2の明色領域及び第2の暗色領域から構成され、かつ第2の暗色領域が幅4y未満の部分を有する、第2の位置検出パターンとの組合せ、及び/又は
(b)第3の明色領域及び第3の暗色領域から構成され、かつ第3の明色領域及び第3の暗色領域が幅4y未満の部分を有する、第3の位置検出パターン
を有する、
情報媒体の製造方法。
【0096】
本実施形態の情報媒体の製造方法に用いる基材としては、所望の情報媒体における基材を選択して使用してよい。
【0097】
本実施形態における情報コードは、
2つ以上の位置検出パターンを有する既存の2次元コードを取得して、そのうちの任意の1つの位置検出パターンを第1の実施形態における第1の位置検出パターンに適合するものに変更し、別の任意の1つの位置検出パターンを第1の実施形態における第2の位置検出パターンに適合するものに変更したものであってよく、若しくは
2進コードで表されるデータをセル化して、2次元のマトリクス上にパターンとして配置し、2つ以上の位置検出パターンを有する2次元コードを作成する際に、任意の2つの位置検出パターン領域の明色セル及び暗色セルそれぞれのサイズを変更して、第1の実施形態における第1及び第2の位置検出パターンを有する情報コードとして創出されたものであってよく、又は
1つ以上の位置検出パターンを有する既存の2次元コードを取得して、そのうちの任意の1つの位置検出パターンを第2の実施形態における第3の位置検出パターンに適合するものに変更したものであってよく、若しくは
2進コードで表されるデータをセル化して、2次元のマトリクス上にパターンとして配置し、1つ以上の位置検出パターンを有する2次元コードを作成する際に、任意の1つの位置検出パターン領域の明色セル及び暗色セルそれぞれのサイズを変更して、第2の実施形態における第3の位置検出パターンを有する情報コードとして創出されたものであってよい。
【0098】
情報コードを有する基材と再帰反射層との積層は、公知の方法によって行ってよい。典型的には、再帰反射層として粘着層を有するものを使用し、基材のうち情報コードが配置されている領域上に、粘着層を介して再帰反射層を貼付する方法を例示できる。
【0099】
<情報コードの作成方法>
本発明は、別の観点において、再帰反射層と組み合わせて使用される情報コードの作成方法を提供する。
【0100】
本実施形態の情報コードの作成方法は、以下のとおりである。
【0101】
再帰反射層と組み合わせて使用される情報コードの作成方法であって、
再帰反射層は、平均粒径yの透明球状体を有する透明球状体層を有し、
(a)(i)第1の明色領域及び第1の暗色領域から構成され、かつ第1の明色領域が幅4y未満の部分を有する第1の位置検出パターンと、(ii)第2の明色領域及び第2の暗色領域から構成され、かつ第2の暗色領域が幅4y未満の部分を有する第2の位置検出パターンとの組合せを作成すること、及び/又は
(b)第3の明色領域及び第3の暗色領域から構成され、かつ第3の明色領域及び第3の暗色領域が幅4y未満の部分を有する、第3の位置検出パターンを作成すること
を含む、情報コードの作成方法。
【0102】
本発明は、更に別の観点において、再帰反射層と組み合わせて使用される情報コードを提供する。
【0103】
本実施形態の情報コードは、以下のとおりである。
【0104】
再帰反射層と組み合わせて使用される情報コードであって、
再帰反射層は、平均粒径yの透明球状体を有する透明球状体層を有し、
情報コードは、
(a)(i)第1の明色領域及び第1の暗色領域から構成され、かつ第1の明色領域が幅4y未満の部分を有する、第1の位置検出パターンと、(ii)第2の明色領域及び第2の暗色領域から構成され、かつ第2の暗色領域が幅4y未満の部分を有する、第2の位置検出パターンとの組合せ、及び/又は
(b)第3の明色領域及び第3の暗色領域から構成され、かつ第3の明色領域及び第3の暗色領域が幅4y未満の部分を有する、第3の位置検出パターン
を有する、
情報コード。
【実施例】
【0105】
以下の実施例及び比較例では、基材上に印字されたQRコードを含む情報媒体を作製し、この情報媒体そのもの、及びこの情報媒体の複写(フォトコピー)によって得られた複製品について、それぞれ、スマートフォンの2次元コード読み取りアプリケーションがQRコードとして認識するか否かを調べた。
【0106】
ここで、表面が銀色の基材上にQRコードの暗色領域に相当するパターンを黒色で印字することにより、明色を銀色、暗色を黒色とするQRコードを得た。
【0107】
[基材]
基材としては、リンテック(株)製の銀ボイド原反、品名「TEケシ50VOID」を用いた。
【0108】
[再帰反射層]
印刷されたQRコード上に再帰反射層を貼付して、又は貼付しないで、複写に供した。再帰反射層としては、(株)丸仁製のオーロラ型オープン再帰反射原反、品名「オーロラ粘着シール」、透明球状体の平均粒径y=45μmを使用した。
【0109】
[QRコード]
QRコードの仕様は、以下の基本構成とし、位置検出パターンに各実施例及び比較例に記載した変更を行った。
バージョン:2
セル数:25×25
コードサイズ:5.250mm×5.250mm
1セルのサイズ:0.210mm×0.210mm(正方形状)
位置検出パターンの構成:
図3に示した構成比の形状である。暗色領域及び明色領域の構成は、幅が、1セル(暗):1セル(明):3セル(暗):1セル(明):1セル(暗)の比を有する。この幅の比は、印刷の実サイズとして、0.210mm(暗):0.210mm(明):0.630mm(暗):0.210mm(明):0.210mm(暗)である。
【0110】
[位置検出パターンの変更]
暗色セルの1辺の長さをx方向及びy方向とも約140%に拡大し、かつ明色セルの1辺の長さをx方向及びy方向とも約60%に縮小するモディファイ1と、
暗色セルの1辺の長さをx方向及びy方向とも約60%に縮小し、かつ明色セルの1辺の長さをx方向及びy方向とも約140%に拡大するモディファイ2と
を、各実施例及び比較例に記載のとおりに行った。
【0111】
変更後の位置検出パターンの構成は、モディファイ1が
図4(a)に示したとおりであり、モディファイ2が
図4(b)に示したとおりである。これらの変更後の位置検出パターンにおける明暗各領域の実サイズは以下のとおりである。
モディファイ1:0.294mm(暗):0.126mm(明):0.882mm(暗):0.126mm(明):0.294mm(暗)、
図4(a)、明色セル1辺の長さ(0.126mm)は約2.80yであり、暗色セル1辺の長さ(0.294mm)は約6.53yである。
モディファイ2:0.126mm(暗):0.294mm(明):0.378mm(暗):0.294mm(明):0.126mm(暗)、
図4(b)、暗色セル1辺の長さ(0.126mm)は約2.80yでああり、明色セル1辺の長さ(0.294mm)は約6.53yである。
【0112】
QRコードの位置検出パターンの変更は、アドビシステムズ(株)製のグラフィックデザインソフト、「Illustrator CC」を用いて行った。
【0113】
[印刷]
印刷は、富士ゼロックス(株)製のカラー複合機、品名「Docucentre−V C5576」を用い、解像度600dpiにて行った。
【0114】
[複写]
複写は、富士ゼロックス(株)製のカラー複合機、品名「Docucentre−V C5576」、及びISO白色度89%のプリンタ用紙を用い、複写解像度600dpiにて、複写濃度の設定を、普通(濃度設定の中央位置)、薄い(最薄から2番目)、及び濃い(最濃から2番目)とする3条件にてそれぞれ行った。
【0115】
[QRコードの読み取り]
QRコードの読み取りは、アップル社製のスマートフォン「Iphone6s」を用い、(株)メディアシーク製の読み取りソフト「Iconit」により、QRコード−スマートフォン間の距離を80mmとして行った。
【0116】
<実施例1>
QRコードの位置検出パターンを以下のように変更し、印刷されたコード上に再帰反射層を貼付して得られた情報媒体、及びその複製品について、QRコードの認識可否を調べた。
位置検出パターン1(右上):モディファイ1(
図4(a))
位置検出パターン2(左上):モディファイ2(
図4(b))
位置検出パターン3(左下):モディファイ1(
図4(a))
【0117】
QRコードの位置検出パターンの変更前後のイメージを、
図7に示した。
【0118】
その結果、情報媒体そのものを用いて直接読み込みを行った場合はコード認識が可能であったが、複製品については、複写濃度が普通、薄い、及び濃いのすべての複製品が、認識不可能であった。
【0119】
実施例1で得られた情報媒体、及び複写濃度の異なる3種類の複製品それぞれについて撮影された、位置検出パターン1及び位置検出パターン2の一部領域の拡大写真を
図8に示した。
【0120】
<比較例1>
QRコードの位置検出パターンの変更なし、再帰反射層の貼付なしの条件で得られた情報媒体、及びその複製品について、QRコードの認識可否を調べた。その結果、情報媒体そのもの、並びに複写濃度が普通、薄い、及び濃いのすべての複製品が認識可能であった。
【0121】
比較例1で得られた情報媒体、及び3種類の複製品それぞれの写真を
図8に示した。
【0122】
<比較例2>
QRコードの位置検出パターンを実施例1と同様に変更し、再帰反射層の貼付なしの条件で得られた情報媒体、及びその複製品について、QRコードの認識可否を調べた。その結果、情報媒体そのもの、並びに複写濃度が普通、薄い、及び濃いのすべての複製品が認識可能であった。
【0123】
比較例2で得られた情報媒体、及び複写濃度の異なる3種類の複製品それぞれについて撮影された、位置検出パターン1及び位置検出パターン2の一部領域の拡大写真を
図8に示した。
【0124】
<比較例3>
QRコードの位置検出パターンの変更なし、再帰反射層の貼付ありの条件で得られた情報媒体、及びその複製品について、QRコードの認識可否を調べた。その結果、情報媒体そのもの、並びに複写濃度が普通、薄い、及び濃いのすべての複製品が認識可能であった。
【0125】
比較例3で得られた情報媒体、及び複写濃度の異なる3種類の複製品それぞれについて撮影された、位置検出パターン1及び位置検出パターン2の一部領域の拡大写真を
図8に示した。
【0126】
以上の結果を表1にまとめた。
【0127】
【表1】
【0128】
以上のとおり、QRコードそのものを直接読み込んだ比較例1、QRコードの位置検出パターンのセルサイズを変更しただけの比較例2、及び、再帰反射層を貼付しただけの比較例3では、得られた情報媒体、及び複写濃度の異なる3種類の複製品におけるQRコードはすべて認識可能であった。これらに対して、QRコードの位置検出パターンのセルサイズを変更し、かつ再帰反射層を貼付した実施例1では、得られた情報媒体そのもののQRコードの認識は可能であったが、複製品については、複写濃度が普通、薄い、及び濃いのすべての場合にQRコードの認識はできないことが確認された。