特許第6971709号(P6971709)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971709
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】撮像装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20211111BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20211111BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   G02B7/02 E
   G03B15/00 D
   H04N5/232 450
【請求項の数】14
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-159946(P2017-159946)
(22)【出願日】2017年8月23日
(65)【公開番号】特開2019-39968(P2019-39968A)
(43)【公開日】2019年3月14日
【審査請求日】2020年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100131392
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 武司
(74)【代理人】
【識別番号】100125357
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100131532
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 浩一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155871
【弁理士】
【氏名又は名称】森廣 亮太
(74)【代理人】
【識別番号】100100549
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 嘉之
(72)【発明者】
【氏名】増田 優太
【審査官】 藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−069880(JP,A)
【文献】 特開2013−061628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
G03B 15/00
H04N 5/222 − 5/257
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ部側に設けられた回転部材への操作を受付可能な受付手段と、
前記回転部材への操作に応じて、割り当てられた機能を実行する処理手段と、
撮影者を被写体とする第1の状態である場合には、前記回転部材への操作が第1の操作量行われても、前記割り当てられた機能を実行せず、前記第1の状態と異なる第2の状態である場合には、前記回転部材への操作が前記第1の操作量行われると、前記割り当てられた機能を実行するように制御する制御手段と、
を有する撮像装置であって、
前記第1の状態には、前記撮像装置が測光を行っている状態、露光を行っている状態、セルフタイマーのカウントを行っている状態の何れかの状態が含まれる
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記第2の状態であり、且つ、前記回転部材への操作が行われた際の操作量が前記第1の操作量よりも小さい第2の操作量未満である場合に、前記割り当てられた機能を実行せず、
前記第2の状態であり、且つ、前記回転部材への操作量が前記第2の操作量以上である場合に、前記割り当てられた機能を実行する
ように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
自分撮りモードを含む複数の撮影モードからいずれかの撮影モードへ設定可能な設定手段をさらに有し、
前記第1の状態は、前記設定手段により前記自分撮りモードへと設定された状態であることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1の状態は、前記撮像装置から、前記撮影者の顔までの距離が所定距離以内である場合、前記撮像装置の表示面が背面側ではなく前記レンズ部側を向いている場合のいずれかの状態である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記回転部材への操作に応じて実行されるように割り当てられた機能が、前記回転部材とは異なる操作部材への操作に応じては実行可能でない場合には、前記第1の状態であり、且つ、前記回転部材への操作が前記第1の操作量行われると、前記割り当てられた機能を実行するように制御する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記回転部材への操作に応じて実行されるように割り当てられた機能が、前記回転部材とは異なる操作部材への操作に応じて実行可能な場合には、前記第1の状態であり、且つ、前記回転部材への操作が前記第1の操作量行われても、前記割り当てられた機能を実行しないように制御する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記割り当てられた機能が記録媒体に記録される画像の画質を変更する機能であり、前記第1の状態である場合には、前記回転部材への操作が前記第1の操作量行われても、前記割り当てられた機能を実行せず、前記割り当てられた機能が前記記録媒体に記録される画像の画質を変更する機能でなく、前記第1の状態である場合には、前記回転部材への操作が前記第1の操作量行われると、前記割り当てられた機能を実行するように制御する
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記回転部材への操作が開始された際に前記第2の状態である場合に、前記割り当てられた機能を実行するために必要な操作量よりも、前記回転部材への操作が開始された際に前記第1の状態である場合に、前記割り当てられた機能を実行するために必要な操作量の方が多くなるように制御する
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記回転部材は鏡筒周りに設けられる回転部材である
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記第1の状態である場合には、前記回転部材への操作を無効化し、前記回転部材への操作に応じて前記割り当てられた機能を実行しないように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記第2の状態は、撮影者を被写体としない状態である
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項12】
レンズ部側に設けられた回転部材への操作を受け付ける受付ステップと、
前記回転部材への操作に応じて、割り当てられた機能を実行する処理ステップと、
撮影者を被写体とする第1の状態である場合には、前記回転部材への操作が第1の操作量行われても、前記割り当てられた機能を実行せず、前記第1の状態と異なる第2の状態である場合には、前記回転部材への操作が前記第1の操作量行われると、前記割り当てられた機能を実行するように制御する制御ステップと、
を有する撮像装置の制御方法であって、
前記第1の状態には、前記撮像装置が測光を行っている状態、露光を行っている状態、セルフタイマーのカウントを行っている状態の何れかの状態が含まれる
ことを特徴とする制御方法。
【請求項13】
コンピュータを、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の撮像装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項14】
コンピュータを、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の撮像装置の各手段として機能させるためのプログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ周りに取り付けられた操作部材への制御が可能な撮像装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、撮影者自身を被写体として、撮影者が自分で撮像装置を保持しながら撮影を行う、自分撮りという撮影手法が知られている。
【0003】
特許文献1には、撮像装置の撮影モードが自分撮りモードの場合に、接眼センサーを無効にすることが開示されている。特許文献1の方法では、カメラを構えるユーザー(撮影者)の指が意図せずファインダに近づいても、ファインダ外の表示部からファインダ内の表示部に表示が切り替わらないようにしている。
【0004】
また、レンズ(レンズ部)の周辺に回転部材を設けたカメラがある。特許文献2には、カメラを構えた状態で鏡筒周りに設けられたレンズリングを操作する際に、カメラ本体側の操作部への操作を無効化することで、意図せずカメラ本体側の操作部を操作してしまっても処理が行われないようにすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017−022560号公報
【特許文献2】特開2017−83627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
自分撮りを行う場合には、レンズを被写体自身に向けて撮影を行う。自分撮りモードでは、カメラのレンズ側からユーザが手でカメラを保持するため、カメラの背面側からカメラを保持するよりもレンズに触れ易くなる。特許文献1の方法では、自分撮りモードの際に、ユーザがレンズの周辺にある回転部材を操作してしまうと、ユーザの意図しない処理が行われる可能性がある。特許文献2の方法では、ユーザがカメラを保持しているだけであったり、レンズリング以外の操作をしようとした場合に、手がレンズリングにあたりレンズリングが回転してしまうと、意図しない処理が行われる可能性がある。
【0007】
そこで、本発明は、レンズ周りに取り付けられた操作部材への操作により意図しない処理が行われる可能性を低減する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の撮像装置は、レンズ部側に設けられた回転部材への操作を受付可能な受付手段と、前記回転部材への操作に応じて、割り当てられた機能を実行する処理手段と、撮影者を被写体とする第1の状態である場合には、前記回転部材への操作が第1の操作量行われても、前記割り当てられた機能を実行せず、前記第1の状態と異なる第2の状態である場合には、前記回転部材への操作が前記第1の操作量行われると、前記割り当てられた機能を実行するように制御する制御手段と、を有する撮像装置であって、前記第1の状態には、前記撮像装置が測光を行っている状態、露光を行っている状態、セルフタイマーのカウントを行っている状態の何れかの状態が含まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、自分撮りの際に意図しない処理が行われる可能性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態を適用可能なデジタルカメラの外観図
図2】本実施形態を適用可能なデジタルカメラの構成例を示すブロック図
図3】自分撮りを行う際のデジタルカメラの構え方の一例を示す図
図4】実施例1に係る撮影処理を示すフローチャート
図5】実施例1〜3に係る自分撮り判定処理を示すフローチャート
図6】実施例2に係る撮影処理を示すフローチャート
図7】実施例3に係る撮影処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。図1(A),1(B)に本発明を適用可能な撮像装置の一例としてのデジタルカメラの外観図を示す。図1(A)はデジタルカメラ100の前面斜視図であり、図1(B)はデジタルカメラ100の背面斜視図である。
【0012】
表示部28は画像や各種情報、デジタルカメラ100の撮影状態などを表示する。表示部28にはタッチ操作を検出可能なタッチパネル70aが一体に設けられている。シャッターボタン61は撮影指示を行うための操作部である。モード切替スイッチ60は各種モードを切り替えるための操作部である。端子カバー40は外部機器とデジタルカメラ100とを接続する接続ケーブル等のコネクタ(不図示)を保護するカバーである。メイン電子ダイヤル71は回転操作部材であり、メイン電子ダイヤル71を回すことで、シャッター速度や絞りなどの設定値の変更等が行える。電源スイッチ72はデジタルカメラ100の電源のONとOFFを切り替える操作部材である。サブ電子ダイヤル73は選択枠の移動や画像送りなどを行う回転操作部材である。4方向キー74は上、下、左、右部分をそれぞれ押し込み可能に構成される。4方向キー74の押された部分に応じた処理が可能である。SETボタン75は、主に選択項目の決定などに用いられる押しボタンである。LVボタン78は、ライブビュー(以下、LV)のONとOFFを切り替えるボタンである。動画撮影モードにおいては、LVボタン78は、動画撮影(記録)の開始、停止の指示に用いられる。再生ボタン79は、撮影モードと再生モードとを切り替える操作ボタンである。撮影モード中に再生ボタン79を押下することで再生モードに移行し、記録媒体に記録された画像のうち最新の画像を表示部28に表示させることができる。メイン電子ダイヤル71、サブ電子ダイヤル73、4方向キー74、SETボタン75、LVボタン78、再生ボタン79は、操作部70に含まれる。接眼ファインダー16は、レンズユニット150を通して得た被写体の光学像の焦点や構図の確認を行うための覗き込み型のファインダーである。レンズユニット150には、レンズリング101が設けれており、レンズリング101を回転することによりレンズリング101に割り当てられた機能を実行することができる。グリップ部90は、ユーザー(撮影者)がデジタルカメラ100を構えた際に右手で握りやすい形状とした保持部である。
【0013】
図2は、デジタルカメラ100の構成例を示すブロック図である。レンズユニット150は、交換可能な撮影レンズを搭載するレンズユニットである。レンズ103は通常、複数枚のレンズから構成されるが、ここでは簡略して一枚のレンズのみで示している。通信端子6はレンズユニット150がデジタルカメラ100側と通信を行う為の通信端子であり、通信端子10はデジタルカメラ100がレンズユニット150側(着脱可能)と通信を行う為の通信端子である。レンズユニット150は、この通信端子6,10を介してシステム制御部50と通信する。そして、レンズユニット150は、内部のレンズシステム制御回路4によって絞り駆動回路2を介して絞り102の制御を行い、AF(オートフォーカス)駆動回路3を介してレンズ103の位置を変位させることで焦点を合わせる。
【0014】
レンズリング101は、ユーザからの回転操作を受付可能であり、レンズリング101の回転の有無と回転量(操作量)とは、リング回転検出部101aにより検出される。さらに、リング回転検出部101aは検出したレンズリング101の操作情報をカメラ本体側の外部I/F55へと送信する。外部I/F55は、取得したレンズリング55の操作情報をシステム制御部50へと送信する。
【0015】
AEセンサー17は、レンズユニット150とクイックリターンミラー12を通ってフォーカシングスクリーン13(ピント板)上に結像した被写体(被写体光)の輝度を測光する。
【0016】
焦点検出部11は、クイックリターンミラー12を介して入射する像(被写体の光学像)を撮像しシステム制御部50にデフォーカス量情報を出力する位相差検出方式のAFセンサーである。システム制御部50はデフォーカス量情報に基づいてレンズユニット150を制御し、位相差AFを行う。なお、AFの方法は、位相差AFでなくてもよく、コントラストAFでもよい。また、位相差AFは焦点検出部11を用いずに、撮像部22の撮像面で検出されたデフォーカス量に基づいて行ってもよい(撮像面位相差AF)。焦点検出部11が合焦位置を取得すると、システム制御部50は、取得された合焦位置とレンズ情報とに基づいて被写体までの距離を算出することができる。合焦位置とレンズ毎の情報により、合焦時にレンズがある位置にある場合には、被写体がカメラからある距離にいることが分かる。または、装着されているレンズ情報に基づき、取得された合焦位置が所定位置以内であれば、被写体がカメラから所定距離以内にいると判定することもできる。このように、焦点距離とレンズ情報とに基づいて、カメラから被写体までの距離が近いか(所定距離以内か)否かを判定することができる。
【0017】
クイックリターンミラー12(以下、ミラー12)は、露光、ライブビュー撮影、動画撮影の際にシステム制御部50から指示されて、不図示のアクチュエータによりアップダウンされる。ミラー12は、レンズ103から入射した光束をファインダー16側と撮像部22側とに切替えるためにアップダウンする。ミラー12は通常時はファインダー16へと光束を導く(反射する)ように配されているが、撮影が行われる場合やライブビュー表示の場合には、撮像部22へと光束を導くように上方に跳ね上がり光束から待避する(ミラーアップ)。またミラー12はその中央部が光の一部を透過できるようにハーフミラーとなっており、光束の一部を、焦点検出を行うための焦点検出部11に入射するように透過させる。
【0018】
撮影者は、ペンタプリズム14とファインダー16を介して、フォーカシングスクリーン13を観察することで、レンズユニット150を通して得た被写体の光学像の焦点状態や構図の確認が可能となる。
【0019】
フォーカルプレーンシャッター21は、システム制御部50の制御で撮像部22の露光時間を制御するためのものである。撮像部22は光学像を電気信号に変換するCCDやCMOS素子等で構成される撮像素子である。A/D変換器23は、撮像部22から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するために用いられる。
【0020】
画像処理部24は、A/D変換器23からのデータ、又は、メモリ制御部15からのデータに対し所定の画素補間、縮小といったリサイズ処理や色変換処理を行う。また、画像処理部24では、撮像した画像データを用いて所定の演算処理が行われ、得られた演算結果に基づいてシステム制御部50が露光制御、測距制御を行う。これにより、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理が行われる。画像処理部24では更に、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オー
トホワイトバランス)処理も行っている。
【0021】
A/D変換器23からの出力データは、画像処理部24及びメモリ制御部15を介して、或いは、メモリ制御部15を介してメモリ32に直接書き込まれる。メモリ32は、撮像部22によって得られA/D変換器23によりデジタルデータに変換された画像データや、表示部28に表示するための画像データを格納する。メモリ32は、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像および音声を格納するのに十分な記憶容量を備えている。
【0022】
また、メモリ32は画像表示用のメモリ(ビデオメモリ)を兼ねている。D/A変換器19は、メモリ32に格納されている画像表示用のデータをアナログ信号に変換して表示部28に供給する。こうして、メモリ32に書き込まれた表示用の画像データはD/A変換器19を介して表示部28により表示される。表示部28は、LCD等の表示器上で、D/A変換器19からのアナログ信号に応じた表示を行う。A/D変換器23によって一度A/D変換されメモリ32に蓄積されたデジタル信号をD/A変換器19においてD/A変換し、表示部28に逐次転送して表示することで、電子ビューファインダの機能が実現でき、スルー画像表示(ライブビュー表示)が行える。
【0023】
不揮発性メモリ56は、システム制御部50によって電気的に消去・記録可能なメモリであり、例えばEEPROM等が用いられる。不揮発性メモリ56には、システム制御部50の動作用の定数、プログラム等が記録される。ここでいう、プログラムとは、本実施形態にて後述する各種フローチャートを実行するためのプログラムのことである。
【0024】
システム制御部50は、少なくとも1つのプロセッサーを内蔵し、デジタルカメラ100全体を制御する。システム制御部50は、前述した不揮発性メモリ56に記録されたプログラムを実行することで、後述する本実施形態の各処理を実現する。システムメモリ52はRAMである。システムメモリ52には、システム制御部50の動作用の定数、変数、不揮発性メモリ56から読み出したプログラム等を展開する。また、システム制御部50はメモリ32、D/A変換器19、表示部28等を制御することにより表示制御も行う。
【0025】
モード切替スイッチ60、シャッターボタン61(第1シャッタースイッチ62と第2シャッタースイッチ64)、操作部70はシステム制御部50に各種の動作指示を入力するための操作手段である。モード切替スイッチ60は、システム制御部50の動作モードを静止画記録モード、動画撮影モード、再生モード等のいずれかに切り替える。静止画記録モードに含まれるモードとして、オート撮影モード、オートシーン判別モード、マニュアルモード、絞り優先モード(Avモード)、シャッター速度優先モード(Tvモード)がある。また、撮影シーン別の撮影設定となる各種シーンモード、プログラムAEモード、カスタムモード等がある。モード切替スイッチ60で、メニュー画面に含まれるこれらのモードのいずれかに直接切り替えられる。あるいは、モード切替スイッチ60でメニュー画面に一旦切り換えた後に、メニュー画面に含まれるこれらのモードのいずれかに、他の操作部材を用いて切り替えるようにしてもよい。同様に、動画撮影モードにも複数のモードが含まれていてもよい。
【0026】
第1シャッタースイッチ62は、デジタルカメラ100に設けられたシャッターボタン61の操作途中、いわゆる半押し(撮影準備指示)でONとなり第1シャッタースイッチ信号SW1を発生する。第1シャッタースイッチ信号SW1により、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理等の動作を開始する。
【0027】
第2シャッタースイッチ64は、シャッターボタン61の操作完了、いわゆる全押し(
撮影指示)でONとなり、第2シャッタースイッチ信号SW2を発生する。システム制御部50は、第2シャッタースイッチ信号SW2により、撮像部22からの信号読み出しから記録媒体200に画像データを書き込むまでの一連の撮影処理の動作を開始する。
【0028】
操作部70は、ユーザーからの操作を受け付ける入力部としての各種操作部材である。操作部70は、メイン電子ダイヤル71、サブ電子ダイヤル73、4方向キー74、SETボタン75、LVボタン78、再生ボタン79を少なくとも含む。操作部70の各操作部材は、表示部28に表示される種々の機能アイコンを選択操作することなどにより、場面ごとに適宜機能が割り当てられ、各種機能ボタンとして作用する。機能ボタンとしては、例えば終了ボタン、戻るボタン、画像送りボタン、ジャンプボタン、絞込みボタン、属性変更ボタン等がある。例えば、メニューボタンが押されると各種の設定可能なメニュー画面が表示部28に表示される。利用者は、表示部28に表示されたメニュー画面と、4方向キー74やSETボタン75とを用いて直感的に各種設定を行うことができる。
【0029】
電源制御部80は、電池検出回路、DC−DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等により構成され、電池の装着の有無、電池の種類、電池残量の検出を行う。また、電源制御部80は、その検出結果及びシステム制御部50の指示に基づいてDC−DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記録媒体200を含む各部へ供給する。
【0030】
電源部30は、アルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Li電池等の二次電池、ACアダプター等からなる。記録媒体I/F18は、メモリカードやハードディスク等の記録媒体200とのインターフェースである。記録媒体200は、撮影された画像を記録するためのメモリカード等の記録媒体であり、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される。電源スイッチ72は、デジタルカメラ100の電源のONとOFFとを切り替えるためのスイッチである。
【0031】
上述したデジタルカメラ100では中央1点AFや顔AFを用いた撮影が可能である。中央1点AFとは撮影画面内の中央位置1点に対してAFを行うことである。顔AFとは顔検出機能によって検出された撮影画面内の顔に対してAFを行うことである。
【0032】
顔検出機能について説明する。システム制御部50は顔検出対象の画像データを画像処理部24に送る。システム制御部50の制御下で画像処理部24は、当該画像データに水平方向バンドパスフィルタを作用させる。また、システム制御部50の制御下で画像処理部24は処理された画像データに垂直方向バンドパスフィルタを作用させる。これら水平及び垂直方向のバンドパスフィルタにより、画像データからエッジ成分が検出される。
【0033】
その後、システム制御部50は、検出されたエッジ成分に関してパターンマッチングを行い、目及び鼻、口、耳の候補群を抽出する。そして、システム制御部50は、抽出された目の候補群の中から、予め設定された条件(例えば2つの目の間の距離、傾き等)を満たすものを、目の対と判断し、目の対があるもののみ目の候補群として絞り込む。そして、システム制御部50は、絞り込まれた目の候補群とそれに対応する顔を形成する他のパーツ(鼻、口、耳)を対応付け、また、予め設定した非顔条件フィルタを通すことで、顔を検出する。システム制御部50は、顔の検出結果に応じて顔情報を出力し、処理を終了する。このとき、顔の数などの特徴量をシステムメモリ52に記録する。
【0034】
以上のようにライブビュー表示あるいは再生表示される画像データを画像解析して、画像データの特徴量を抽出して被写体情報を検出することが可能である。本実施例では被写体情報として顔情報を例に挙げたが、被写体情報には他にも赤目判定や目の検出、目つむり検出、笑顔検出等の様々な情報がある。また、検出した顔の大きさに基づいて、被写体
がカメラから近くにいるのか否かを判定してもよい。
【0035】
なお操作部70の一つとして、表示部28に対する接触を検知可能なタッチパネル70aを有する。タッチパネル70aと表示部28とは一体的に構成することができる。例えば、タッチパネル70aを光の透過率が表示部28の表示を妨げないように構成し、表示部28の表示面の上層に取り付ける。そして、タッチパネル70aにおける入力座標と、表示部28上の表示座標とを対応付ける。これにより、恰もユーザーが表示部28上に表示された画面を直接的に操作可能であるかのようなGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を構成することができる。システム制御部50はタッチパネル70aへの以下の操作、あるいは状態を検出できる。
・タッチパネル70aにタッチしていなかった指やペンが新たにタッチパネル70aにタッチしたこと、すなわち、タッチの開始(以下、タッチダウン(Touch−Down)と称する)
・タッチパネル70aを指やペンがタッチしている状態であること(以下、タッチオン(Touch−On)と称する)
・指やペンがタッチパネル70aをタッチしたまま移動していること(以下、タッチムーブ(Touch−Move)と称する)
・タッチパネル70aへタッチしていた指やペンがタッチパネル70aから離れたこと、すなわち、タッチの終了(以下、タッチアップ(Touch−Up)と称する)
・タッチパネル70aに何もタッチしていない状態(以下、タッチオフ(Touch−Off)と称する)
【0036】
タッチダウンが検出されると、同時にタッチオンも検出される。タッチダウンの後、タッチアップが検出されない限りは、通常はタッチオンが検出され続ける。タッチムーブが検出された場合も、同時にタッチオンが検出される。タッチオンが検出されていても、タッチ位置が移動していなければタッチムーブは検出されない。タッチしていた全ての指やペンがタッチアップしたことが検出されると、タッチオフが検出される。
【0037】
これらの操作・状態や、タッチパネル70a上に指やペンがタッチしている位置座標は内部バスを通じてシステム制御部50に通知される。そして、システム制御部50は通知された情報に基づいてタッチパネル70a上にどのような操作(タッチ操作)が行なわれたかを判定する。タッチムーブについてはタッチパネル70a上で移動する指やペンの移動方向についても、位置座標の変化に基づいて、タッチパネル70a上の垂直成分・水平成分毎に判定できる。またタッチパネル70a上をタッチダウンから一定のタッチムーブを経てタッチアップをしたとき、ストロークを描いたこととする。素早くストロークを描く操作をフリックと呼ぶ。フリックは、タッチパネル70a上に指をタッチしたままある程度の距離だけ素早く動かして、そのまま離すといった操作であり、言い換えればタッチパネル70a上を指ではじくように素早くなぞる操作である。所定距離以上を、所定速度以上でタッチムーブしたことが検出され、そのままタッチアップが検出されるとフリックが行なわれたと判定できる。また、所定距離以上を、所定速度未満でタッチムーブしたことが検出された場合はドラッグが行なわれたと判定するものとする。タッチパネル70aは、抵抗膜方式や静電容量方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、画像認識方式、光センサー方式等、様々な方式のうちいずれの方式のものを用いても良い。方式によって、タッチパネル70aに対する接触があったことでタッチがあったと検出する方式や、タッチパネル70aに対する指やペンの接近があったことでタッチがあったと検出する方式ものがあるが、いずれの方式でもよい。
【0038】
<実施例1>
以下、図3,4,5を参照して本発明の実施例1について説明する。図3は、自分撮り撮影を行う際のデジタルカメラ100の構え方の一例を示す図である。自分撮りは、撮影
者自身を被写体として、撮影者が自分でデジタルカメラ100を保持しながら撮影を行う撮影手法である。レンズユニット150には回転部材であるレンズリング101が設けられている。外部I/F55は、レンズリング101への操作量を取得可能であり、システ
ム制御部50は、レンズリング101を回転する操作に応じた処理を行う。レンズリング101の機能には、Av値(絞り値)、Tv値(シャッター速度)、ISO感度等の撮影設定の変更機能、撮影モードの変更機能、AF方式の変更機能、液晶の明るさの変更機能、グリッドラインの表示の切り替え等がある。レンズリング101の機能は予め定められた固定の機能であってもよいし、ユーザが設定可能としてもよい。
【0039】
図4は、実施例1に係る撮影処理を示すフローチャートである。図4のフローチャートにおける各処理は、システム制御部50が不揮発性メモリ56に格納されたプログラムをシステムメモリ52に展開して実行することにより実現される。図4に示す撮影処理は、デジタルカメラ100の電源が入り、撮影可能な状態になると開始される。デジタルカメラ100の電源ONに応じて、不揮発性メモリ56に記録されたレンズリング101に割り当てられた機能をシステムメモリ52に記録する。
【0040】
S401にて、システム制御部50は、レンズリング101の操作イベントが発生したか否かを判定する。操作イベントが発生しなかった、すなわち、レンズリング101への操作がなかったと判定されたら、S406へ進む。操作イベントが発生した、すなわち、レンズリング101への操作があったと判定されたら、S402に遷移する。
【0041】
S402にて、システム制御部50は、デジタルカメラ100の状態が自分撮り状態か否かを判定する(自分撮り判定処理)。詳細は図5にて後述する。その後、S403に遷移する。
【0042】
S403にて、システム制御部50は、自分撮り状態フラグがONであるか否かの判定を行う。S402での判定処理において、自分撮り状態であると判定された場合は自分撮り状態フラグがONとなり、自分撮り状態でないと判定された場合は自分撮り状態フラグがOFFとなる。自分撮り状態フラグがONであると判定されたら、S404に遷移する。自分撮り状態フラグがOFFであると判定されたら、S405に遷移する。
【0043】
S404にて、システム制御部50は、レンズリング101に割り当てられた機能が現在設定変更可能な撮影設定値(撮影設定)の変更機能であるか否かを判定する。すなわち、現在の撮影状態において設定値を変更可能な撮影に関する設定値であるか否かを判定する。ここで、撮影設定値とは、シャッタースピードや絞り値、ISO感度の値、露出補正値といった露出パラメータの他、ドライブモードやAFモード、記録画質設定等のような、撮影に関わる設定値のことである。割当可能な撮影設定値のうち、現在の撮影に影響する(例えば、絞り優先モードにおいて絞り値を変更する)ような場合には、S404の判定がYesとなる。一方で、設定変更しても現在行っている撮影結果に影響がない場合にはNoと判定する。例えば、液晶の明るさの変更やグリッドラインの表示の切り替え等の機能は、設定が変更されても記録される画像には影響がないので、S404の判定はNoとなる。システム制御部50は、撮影設定値の変更機能であると判定したら、レンズリング101への操作に応じた処理を実行せずに、S406へ進む。撮影設定値の変更機能でないと判定されたら、S405に遷移する。なお、撮影設定値がシャッタースピードに設定されていても、撮影モードが絞り優先モードである場合には、そもそも設定値の変更ができないので、S404においてNoと判定してもよい。また、レンズリング101に割り当てられた機能はシステムメモリ52に記録される。
【0044】
S405にて、システム制御部50は、レンズリング101への操作に応じた処理を実行し、S406へ進む。
【0045】
S406では、システム制御部50は、撮影指示がされたか否かを判定する。撮影指示はシャッターボタン61の押下により行うことができる。撮影指示がされたと判定した場合は、S407へ進み、そうでない場合は、S408へ進む。
【0046】
S407では、システム制御部50は、撮影を実行する。撮影が指示されると、設定された撮影に関する設定で、撮像部22で取得された撮像画像が記録媒体200に記録される。
【0047】
S408では、システム制御部50は、再生ボタン79の押下、メイン電子ダイヤル71の回転、モード変更ダイヤル60の回転等のその他の操作部材に対する操作(レンズリング以外の操作による指示)がされたか否かを判定する。レンズリング以外による指示以外の指示がされたと判定した場合は、S409へ進み、そうでない場合は、S410へ進む。
【0048】
S409では、システム制御部50は、S408において行われた操作に対応する処理を実行する。再生ボタン79が押下された場合には、再生画面を表示する。メイン電子ダイヤル71にISO感度、絞り値等を変更する機能が割り当たっている場合には、メイン電子ダイヤル71が操作されると、割り当たっている機能が実行される。つまり、割り当てられている機能によらずに、どの操作部材により機能が実行されようとしているのかによって、操作部材への操作に応じて機能を実行するのか否かを判定する。自撮り状態フラグがONであっても、レンズリング101以外の操作部材への操作に応じては、対応する機能は自撮りフラグOFFのときと同じように実行される。
【0049】
S410では、システム制御部50は、撮影処理を終了するか否かを判定する。撮影処理の終了はデジタルカメラ100の電源のOFFにより行われる。
【0050】
図5は、本実施例に係る自分撮り判定処理のフローチャートである。図5のフローチャートにおける各処理は、システム制御部50が不揮発性メモリ56に格納されたプログラムをシステムメモリ52に展開して実行することにより実現される。図5の処理は、図4のS402へ進むと開始される。
【0051】
S501にて、システム制御部50は、デジタルカメラ100の撮影モードが自分撮りモードであるか否かを判定する。自分撮りモードであると判定されたら、S502に遷移する。自分撮りモードでないと判定されたら、S506に遷移する。
【0052】
S502にて、システム制御部50は、顔検出機能によって被写体の顔が検出されているか否かを判定する。顔が検出されていると判定されたら、S503に遷移する。顔が検出されていないと判定されたら、S506に遷移する。
【0053】
S503にて、システム制御部50は、デジタルカメラ100からS502にて検出された顔までの距離が所定の距離(例えば、40センチや60センチ)よりも短いか否かを判定する。ここで、被写体までの距離は、焦点検出部11による合焦位置とレンズ情報とに基づいて検出される。なお、レンズが固定(装着するレンズを変更できない)の場合には、予め合焦位置と被写体まで距離を対応づけておき、合焦位置から顔までの距離が近いか否かを判定してもよい。検出された顔までの距離が所定の距離よりも短い(自分から近い位置)と判定されたら、S504に遷移する。検出された顔までの距離が所定の距離より遠い(S503の判定No)と判定されたら、S506に遷移する。
【0054】
S504にて、システム制御部50は、表示部28の表示面がレンズ103側を向いて
いるか否かを判定する。表示面がレンズ側(レンズ部側)を向いていると判定されたら、S505に遷移する。表示面がレンズ側を向いていない(背面側を向いている)と判定されたら、S506に遷移する。
【0055】
S505にて、システム制御部50は、自分撮り状態フラグをONに設定し、システムメモリ52に記録する。そして、本判定フローを終了する。S506にて、システム制御部50は、自分撮り状態フラグをOFFに設定し、システムメモリ52に記録する。そして、本処理を終了する。
【0056】
なお、上述の図5の説明ではS501〜S504の判定において全てYesと判定された場合に、自撮り状態フラグをONにすると記載したが、全ての判定においてYesと判定されなくてもいずれかでもよい。つまり、自撮りモードが設定可能なカメラにおいては、S501だけで判断してもよいし、S501とS504とがYesとなる場合に自撮り状態フラグをONにしてもよい。また、S502、S503それぞれ1つでもYesと判定された場合には自撮り状態フラグをONにしてもよい。このように、S501〜S504の判定の組み合わせは、上述のものに限らない。なお、顔検出を行わずに被写体までの距離を判断してもよい。
【0057】
以上述べたように、本実施例によれば、自分撮り撮影を行うためにデジタルカメラ100を構えている際に、意図せず設定が変更される可能性を低減することができる。
【0058】
なお、自分撮り状態であり、さらにセルフタイマー中や、測光中においてレンズリング101の操作を無効化し、自撮り状態であっても、セルフタイマー中または測光中でない場合にはレンズリング101の操作を有効化してもよい。また、レンズリング101の操作を自分撮り状態である場合に無効化することを説明したが、さらに以下の条件の場合に有効化してもよい。自分撮り状態であるが、メニュー画面や再生画面が表示されている場合(ライブビュー画像が表示されていない)、測光中でない、露光中でない(撮影の直前でない可能性が高い)には、自撮り状態でも、レンズリング101の操作を有効にしてもよい。さらに、セルフタイマー撮影のカウントダウン中や測光中であっても、レンズリング101の機能が表示部28に表示中の項目に関する機能でない場合にはレンズリング101の操作を有効にしてもよい。
【0059】
実施例1によれば、自撮り状態フラグがONの場合にユーザが例えば2パルスや4パルス分レンズリング101を回転する操作をしても、割り当てられた機能は実行されないが、自撮り状態フラグがOFFの場合には実行される。このように、同じ操作量、レンズ側にある回転部材を操作しても、自撮り状態か否かに応じて、割り当てられた機能が実行されるか否か変わる。
【0060】
<実施例2>
以下、図6を参照して、実施例2について説明する。図6は、実施例2に係る撮影処理を示すフローチャートである。図6のフローチャートにおける各処理は、システム制御部50が不揮発性メモリ56に格納されたプログラムをシステムメモリ52に展開して実行することにより実現される。図6に示す撮影処理は、デジタルカメラ100の電源が入り、撮影可能な状態になると開始される。図6の撮影処理においては、レンズリングに割り当てられている機能が、他の操作部材への操作により実行可能な場合には、レンズリングの操作を無効にする。他の操作部材への操作により実行できない機能がレンズリングに割り当てられている場合には、レンズリングの機能を実行する。
【0061】
S601〜S603の処理は、図4のS401〜S403の処理と同様の処理である。S604にて、システム制御部50は、レンズリング101に割り当てられた機能が、デ
ジタルカメラ100に備えられた他の操作部材(タッチパネル70a、メイン電子ダイヤル71、サブ電子ダイヤル73など)で実行可能な機能か否かを判定する。他の操作部材への操作で実行可能であると判定したら、レンズリング101への操作に応じた処理を実行せずに、S606へ進み、そうでない場合は、S605に遷移する。S605〜S610の処理は、図4のS405〜S410の処理と同様の処理である。
【0062】
以上述べたように、本実施例によれば、自分撮り撮影を行うためにデジタルカメラ100を構えている際に、意図せず設定が変更される可能性を低減することができる。レンズリング101に割り当たっている機能が他の操作手段において設定変更ができない場合には、レンズリング101への操作を無効化しないので、ユーザが割り当たっている機能を意図的に実行したい場合に実行することができる。つまり、実施例2によれば、ユーザの操作性の向上と、意図しない処理が行われる可能性の低減とを両立することができる。
【0063】
<実施例3>
以下、図7を参照して、実施例3について説明する。図7は、実施例3に係る撮影処理を示すフローチャートである。図7のフローチャートにおける各処理は、システム制御部50が不揮発性メモリ56に格納されたプログラムをシステムメモリ52に展開して実行することにより実現される。図7に示す撮影処理は、デジタルカメラ100の電源が入り、撮影可能な状態になると開始される。
【0064】
S701〜S703の処理は、図4のS401〜S403と同様の処理である。S704にて、システム制御部50は、レンズリング101への操作が操作の開始であるか否かを判定する。つまり、S704では、レンズリング101への操作がされていない状態から回転操作がされ始めたかを判定する。なお、操作の開始であっても、直前に行われていたレンズリング101への操作から1秒や2秒といった所定時間経過する前に、レンズリング101への操作が行われた場合は、S704の判定はNoと判定する。レンズリング101への操作が操作の開始であると判定されたら、S705に遷移する。初回の操作でないと判定されたら、S706に遷移する。レンズリング101への操作が開始された後、操作量が閾値αを超えたことに応じて、S704の判定はNoと判定する。もしくは、操作の開始から継続的に10パルスや15パルスといった所定分の操作量行われるまでは、S704の判定はYesとし、所定分以上の操作量となった後はNoと判定してもよい。
【0065】
S705にて、システム制御部50は、操作開始フラグをONに設定する。その後、S707に遷移する。S706にて、システム制御部50は、操作開始フラグをOFFに設定する。その後、S707に遷移する。
【0066】
S707にて、システム制御部50は、操作開始フラグがONであるかOFFであるかを判定する。ONであると判定されたらS708に遷移し、OFFであると判定されたらS709に遷移する。
【0067】
S708にて、システム制御部50は、レンズ操作量(レンズリング101への操作における回転量)の閾値を閾値αに設定する。その後、S710に遷移する。S709にて、システム制御部50は、レンズ操作量の閾値を閾値βに設定する。その後、S710に遷移する。操作の開始時には、ユーザが意図せずレンズリング101の操作をしてしまった場合にすぐに機能が実行されないように閾値αは閾値βまたは通常の閾値よりも大きく設定しておく。例えば、通常であれば1パルス分回転すれば、ISO感度が1段階変更されるような場合に、操作の開始時には2パルスや4パルスといった分回転したことに応じて1段階変更するようにする。これにより、意図せずレンズリング101の操作をし始めたときに、急に設定値が変更されない。閾値βは、通常の閾値と同じであってもよいし、
通常の閾値よりも大きくしてもよい。通常の閾値よりも閾値βを大きくすると、意図せず、操作をした場合に機能が実行されにくくなる。つまり、ISO感度の設定変更がレンズリング101の機能として割り当たっている場合には、変更されるISO感度の設定値が同じ操作量でも小さくなる。
【0068】
S710にて、システム制御部50は、設定された閾値(閾値αまたは閾値β)とレンズ操作量を比較して、設定された閾値分、レンズが操作されたか否かを判定する。すなわち、レンズの操作量が、設定された操作量以上であるか、設定された操作量未満であるかを判定する。設定された閾値分、レンズリング101の回転がされたと判定されたら、S711に遷移し、そうでない場合は、S712に遷移する。なお、S710においてYesと判定された場合には、回転量を初期化し、再び閾値量まで操作がされるまでS710の判定を行う。閾値が小さいほど、S711に遷移しやすくなり、閾値が大きいほど、S712に遷移しやすくなる。
【0069】
S711にて、システム制御部50は、機能実行フラグをONに設定する。その後、S713に遷移する。S712にて、システム制御部50は、機能実行フラグをOFFに設定する。その後、S713に遷移する。
【0070】
S713にて、システム制御部50は、機能実行フラグがONであるかOFFであるかを判定する。システム制御部50は、ONであると判定したら、S714に遷移し、レンズリング101への操作に応じた処理を実行し、S715へ進む。また、システム制御部50は、OFFであると判定したら、レンズリング101への操作に応じた処理を実行せずに、S715へ進む。S715〜S719の処理は、図4のS406〜S410の処理と同様の処理である。
【0071】
以上述べたように、本実施例によれば、自分撮り撮影を行うためにデジタルカメラ100を構えている際に、意図せず設定が変更される可能性を低減することができる。また、操作実行までの操作量の閾値を、通常よりも大きく設定することにより意図せずレンズリング101を操作してしまってもすぐに機能が実行されにくい。ユーザは閾値以上の操作をする前に操作をやめれば、機能が実行されず、一方で、機能を実行したい場合には閾値以上の操作をすればよい。実施例3によればユーザの意図により沿って処理を行うことができる。
【0072】
なお、操作開始フラグONの場合には、操作の開始時にレンズリング101に割り当てられた機能の実行に必要な操作量を多くすることを説明したが、操作の開始時か否かによらず機能実行に必要な操作量を多くしてもよい。自撮り状態においてレンズリング101は回転しやすい分、ユーザが意図したよりも(背面から保持する通常よりも)多く、回転してしまう可能性がある。よって、機能実行のための操作量を操作開始か否かに関わらず多くすることで、ユーザは慎重に回転操作を行わなくても、大まかに操作をすれば意図した設定が行いやすくなる。
【0073】
なお、システム制御部50が行うものとして説明した上述の各種制御は、1つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェアが処理を分担することで、装置全体の制御を行ってもよい。
【0074】
また、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0075】
また、上述した実施形態においては、本発明をデジタルカメラに適用した場合を例にして説明したが、これはこの例に限定されず撮像手段を有する機器であれば適用可能である。すなわち、本発明はパーソナルコンピュータやPDA、携帯電話端末や携帯型の画像ビューワ、ディスプレイを備えるプリンタ装置、デジタルフォトフレーム、音楽プレーヤー、ゲーム機、電子ブックリーダー、タブレット端末、スマートフォン、投影装置、ディスプレイを備える家電装置や車載装置などに適用可能である。
【0076】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0077】
50:システム制御部 55:外部I/F 100:デジタルカメラ
101:レンズリング 150:レンズユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7