(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
振動モータ(或いは振動アクチュエータ)は、携帯電子機器に内蔵され、着信やアラームなどの信号発生等を振動によって携帯者に伝える装置として広く普及しており、携帯者が身につけて持ち運ぶウエアラブル電子機器においては、不可欠な装置になっている。また、振動モータは、タッチパネルなどのヒューマン・インターフェイスにおけるハプティクス(皮膚感覚フィードバック)を実現する装置として、近年注目されている。
【0003】
このような振動モータについて各種の形態が開発されている中で、可動子の直線的な往復振動によって比較的大きな振動を発生させることができるリニア振動モータが注目されている。リニア振動モータは、可動子側に錘とマグネットを設け、固定子側に設けたコイルに通電することでマグネットに作用するローレンツ力が駆動力となり、振動方向に沿って弾性支持される可動子を一軸方向に往復振動させるものである。
例えば、特許文献1には、可動子(分銅)の振動に伴い板バネを弾性的に撓ませるように、可動子が板バネを介して蓋部の側壁に止着されている振動アクチュエータが記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の説明で異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0009】
リニア振動モータ1は、
図1〜
図4に示すように、振動する可動子10と、可動子10を振動可能に支持する箱状の基体20と、可動子10を基体20に沿って振動させるコイル30と、可動子10の振動方向側の空間で弾性的に撓む2つの板バネ40,40とを備える。
【0010】
可動子10は、振動方向に対する交差方向の寸法が、振動方向の寸法よりも長い長尺状に形成される。
この可動子10は、振動方向の両端側に位置する一対のマグネット11,11と、これらマグネット11,11の前記交差方向の両端側に固定された錘体12,12と、マグネット11,11の反コイル側の面に長手方向へわたって固定されたヨーク13とを備え、両側の板バネ40,40を介して短手方向(図示のY方向)へ振動するように支持されている。
【0011】
各マグネット11は、振動方向に対する交差方向へ長尺な直方体状に形成され、コイル30面に対し直交する方向(図示のZ方向)の一方をN極、他方をS極としている。
一対のマグネット11,11は、所定の隙間を置いて略平行に設けられる。一方のマグネット11は、他方のマグネット11に対し磁極が逆になっている。
これら一対のマグネット11,11は、ヨーク13によって一体に固定されている。
【0012】
錘体12,12は、比重の高い金属材料(例えば、タングステン)などによって略直方体状に形成される。
各錘体12は、可動子10が短手方向(図示のY方向)へ振動した際に、後述する基体20のカバー部22内面に固定された緩衝材14に当接する。
緩衝材14は、ゴム等の弾性材料からブロック状に形成され、振動した際の可動子10を受けてその衝撃をカバー部22に伝達するとともに、弾性変形することにより振動音の発生を防ぐ。
【0013】
ヨーク13は、一対のマグネット11,11の反コイル側面を覆う長尺状に形成され、その長手方向の両端側に、コイル30側へ突出する突片部13a,13aを有する。各突片部13aには、板バネ40を位置決めし支持するための凸部13a1が設けられる。
このヨーク13は、例えば、磁性金属材料からなる略矩形状の板材を曲げ加工することによって、断面略凹状に形成される。
各突片部13aは、幅方向(図示のY方向)の中央寄りに曲げ形成された嵌合片部13a2を有し、この嵌合片部13a2を一対のマグネット11,11の間に挟み込んで、マグネット11,11に対し接着剤を介して接着されている。
【0014】
また、基体20は、コイル30を支持し固定する基板部21と、可動子10の周囲及び反コイル側面を覆うカバー部22とを備え、コイル30及び可動子10に沿う長尺な箱状に構成される。
【0015】
基板部21は、略長方形状に形成され、その長辺部分に端子板21aを突出させている。端子板21aの表面には2つの端子T,Tが設けられ、これら端子T,Tは、それぞれ、コイル30を構成する線材の両端部に電気的に接続される。
【0016】
カバー部22は、金属製の板材から基板部21側を開口した矩形箱状に形成され、可動子10及びコイル30を間に置いて基板部21に対向する平面視長方形状の平板部22aと、この平板部22aの四辺側から基板部21側へ突出して可動子10の四方を囲む4つの側壁22b,22b,22c,22cとを有する。このカバー部22は、側壁22b,22b,22c,22cの突端を基板部21に嵌め合わせて固定される。
【0017】
前記4つの側壁のうち、可動子10の振動方向(図示のY方向)の両側で対向する2つの側壁22b,22bは、それぞれ、前記振動方向に対する直交方向(図示のX方向)へ間隔を置いた二つの切欠部22b1,22b1を有し、これら二つの切欠部22b1,22b1の間を、板バネ40を支持するための支持部22dにしている。
【0018】
支持部22dは、二つのスリット状の切欠部22b1の間に位置するようにして、平板部22a側から基板部21側へ突出しており、その突端部と、対向する基板部21面及び端子板21a面との間に、隙間s1を確保している。
このため、支持部22dは、例えばリニア振動モータ1が落下衝撃等の比較的強い衝撃を受けた場合に、その衝撃によるX方向の力成分により、平板部22a側を支点に隙間s1側をX方向へ揺動させるようにして、若干弾性変形する。
この支持部22dの弾性変形は、板バネ40の撓み量よりも小さい。すなわち、支持部22dの前記交差方向(図示のX方向)の剛性が、板バネ40の撓み方向(図示のY方向)の剛性よりも大きく設定されている。
【0019】
コイル30は、芯材を具備しない空芯コイルであり、長尺扁平状に巻回され、一対のマグネット11,11の反ヨーク13側の面に対し略一定の隙間を置くようにして、基板部21に止着されている。
このコイル30には、例えば、可動子10の質量と板バネ40の弾性係数で決まる共振周波数(固有振動数)を有する交番電流又はパルス電流からなる駆動信号が、端子T,Tを介して供給される。
【0020】
板バネ40は、可動子10の振動方向の両側の空間にそれぞれ位置するように、点対称に二つ配設される(
図4参照)。
各板バネ40は、一端側を可動子10に接続するとともに他端側を支持部22dに接続し、これら一端側と他端側の間に、可動子10の振動に伴い撓んでマグネット11に対し近づいたり離れたりする撓み片部41を有し、この撓み片部41を、マグネット11によって吸引可能な磁性材としている。
【0021】
詳細に説明すれば、板バネ40は、弾性的に撓み可能な磁性金属製の長尺板材を、略L字状に折り曲げて形成され、一対のマグネット11,11の短手方向(図示のY方向)の端面に沿って斜めに延設された撓み片部41と、この撓み片部41の一端側で可動子10に止着された止着片部42と、同撓み片部41の他端側で支持部22dに止着された止着片部43とを有する。
【0022】
撓み片部41は、一端側から他端側へ向かってマグネット11から徐々に離れる傾斜片状に形成される。この撓み片部41は、マグネット11に接近した際に、マグネット11によって磁気吸引されるように位置している。
この撓み片部41の長手方向の中央寄りには、可動子10の厚み方向の寸法を徐々に縮小する括れ部41aが設けられる。この括れ部41aは、両端側の曲げ部分や接続部分等に加わる応力を分散するものであるが、省くことも可能である。
また、図示例によれば、この撓み片部41が撓み変形する空間には、撓み片部41のみが設けられている。言い換えれば、マグネット11とカバー部22の側壁22bとの間であって、撓み片部41のX方向の全長範囲には、撓み片部41以外の部材が存在しない。したがって、撓み片部41は、他の部材に干渉することなく撓み変形することが可能である。なお、図示例以外の他例としては、前記空間に、撓み片部41以外の部材(例えば緩衝材やその他の部材等)が設けられた態様とすることも可能である。
【0023】
一方の止着片部42は、可動子10の振動方向に対する直交方向へ板状に延設されている。この止着片部42は、貫通状の嵌合孔42aを、ヨーク13側の凸部13a1に嵌め合わせるようにして、突片部13a外面と錘体12の間に挟まれて固定されている。この固定手段は、例えば溶接や接着等とすることが可能である。
【0024】
他方の止着片部43は、カバー部22の側壁22bに略平行な板状に形成され、側壁22bの支持部22dに対し溶接されている。
この止着片部43の裏側(反支持部22d側)には、ゴム等の弾性材料からなる緩衝材44が固定されている。この緩衝材44は、可動子10が振動した際に、板バネ40がマグネット11側面に当接して騒音が発生するのを防ぐ。
【0025】
次に上記構成のリニア振動モータ1について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
コイル30に交流電力が供給されると、コイル30と一対のマグネット11,11間の磁気作用によって可動子10が短手方向へ往復動し、この往復動に伴い両側の板バネ40,40が弾性的に撓み、この往復動による振動が支持部22d等を介して基体20に伝達される。
【0026】
前記往復動中、
図5に示すように、一方のマグネット11の側面と、撓み片部41との隙間s2が狭まると、これらマグネット11と撓み片部41は、磁力によって引き合う。
このため、コイル30への電力供給を遮断して、可動子10を振動状態から静止する際に、可動子10の振動を、前述したマグネット11と撓み片部41の間の磁気吸引力により、急速に減衰させることができる。すなわち、可動子10を静止する際の減衰性能が良好である。
【0027】
次に、リニア振動モータ1を備えた電子機器について説明する。
図6は、本発明の実施形態に係るリニア振動モータ1を備えた電子機器として、携帯情報端末100を例示している。
この携帯情報端末100は、タッチ操作パネル50(タッチディスプレイを含む)のタッチ操作に応じてリニア振動モータ1を振動させるように構成され、その振動の減衰性能が良好である。このため、例えば、素早いタッチ操作の繰り返しに対応して携帯情報端末100の振動と停止を繰り返す場合でも、良好な応答性を得ることができる。
【0028】
なお、他例としては、タッチ操作パネル50を具備しない電子機器にリニア振動モータ1を装備することも可能である。
【0029】
また、上記実施態様によれば、板バネ40及び支持部22dを振動方向の両側にそれぞれ設けたが、他例としては、板バネ40及び支持部22dを振動方向の一方側のみに設けた態様とすることも可能である。この場合、前記一方側に対する他方側は、可動子10を図示以外の構造によって支持した構成や、可動子10を支持しない構成等とすればよい。
【0030】
また、上記実施態様において、板バネ40は撓み片部41を含む全体を磁性金属材料から形成したが、板バネ40の他例としては、撓み片部41のみを磁性金属材料から形成し、他の部分(止着片部42,43等)を磁性金属材料以外の材料から形成することも可能である。
【0031】
また、上記実施態様によれば、可動子10を短手方向へ振動させる態様としたが、他例としては、可動子を長手方向に振動させる態様とすることも可能である。
【0032】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。