(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態と称する)について説明する。説明は以下の順序により行う。
1.第1の実施の形態(青画素のみ凹凸構造を設けた例)
2.第2の実施の形態(赤画素にも凹凸構造を設けた例)
3.第3の実施の形態(位相差検出画素については凹凸構造を設けない例)
4.適用例
【0020】
<1.第1の実施の形態>
[固体撮像装置の構成]
図1は、本技術の実施の形態における固体撮像装置の構成例を示す図である。この固体撮像装置は、画素領域10および周辺回路部からなる。周辺回路部は、垂直駆動回路20と、水平駆動回路30と、制御回路40と、カラム信号処理回路50と、出力回路60とを備える。
【0021】
画素領域10は、光電変換部を含む複数の画素11を、2次元アレイ状に配列した画素アレイである。この画素11は、光電変換部となる例えばフォトダイオードと、複数の画素トランジスタを含む。ここで、複数の画素トランジスタは、例えば、転送トランジスタ、リセットトランジスタ、選択トランジスタおよび増幅トランジスタの4つのトランジスタにより構成することができる。
【0022】
垂直駆動回路20は、行単位で画素11を駆動するものである。この垂直駆動回路20は、例えばシフトレジスタによって構成される。この垂直駆動回路20は、画素駆動配線を選択して、その選択された画素駆動配線に画素11を駆動するためのパルスを供給する。これにより、垂直駆動回路20は、画素領域10の各画素11を行単位で順次垂直方向に選択走査し、各画素11の光電変換部において受光量に応じて生成された信号電荷に基づく画素信号を、垂直信号線19を介して、カラム信号処理回路50に供給する。
【0023】
水平駆動回路30は、列単位にカラム信号処理回路50を駆動するものである。この水平駆動回路30は、例えばシフトレジスタによって構成される。この水平駆動回路30は、水平走査パルスを順次出力することによって、カラム信号処理回路50の各々を順番に選択し、カラム信号処理回路50の各々から画素信号を、水平信号線59を介して、出力回路60に出力させる。
【0024】
制御回路40は、固体撮像装置の全体を制御するものである。この制御回路40は、入力クロックと、動作モードなどを指令するデータとを受け取り、固体撮像装置の内部情報などのデータを出力する。すなわち、この制御回路40は、垂直同期信号、水平同期信号およびマスタクロックに基いて、垂直駆動回路20、カラム信号処理回路50および水平駆動回路30などの動作の基準となるクロック信号や制御信号を生成する。そして、これらの信号を垂直駆動回路20、カラム信号処理回路50および水平駆動回路30等に入力する。
【0025】
カラム信号処理回路50は、画素11の例えば列ごとに配置され、1行分の画素11から出力される信号に対し、画素列ごとにノイズ除去などの信号処理を行うものである。すなわち、このカラム信号処理回路50は、画素11固有の固定パターンノイズを除去するためのCDS(Correlated Double Sampling)や、信号増幅、AD(Analog to Digital)変換等の信号処理を行う。カラム信号処理回路50の出力段には、図示しない水平選択スイッチが水平信号線59との間に接続される。
【0026】
出力回路60は、カラム信号処理回路50の各々から水平信号線59を通して順次に供給される信号に対し、信号処理を行って出力するものである。その際、この出力回路60は、カラム信号処理回路50からの信号をバッファリングする。また、この出力回路60は、カラム信号処理回路50からの信号に対して、黒レベル調整、列ばらつき補正、各種デジタル信号処理などを行うようにしてもよい。
【0027】
図2は、本技術の実施の形態における固体撮像装置の配置例を示す図である。
【0028】
同図におけるaに示すように、固体撮像装置を非積層型として配置した場合には、画素がアレイ状に配置された画素領域91、画素の駆動その他の各種の制御を行う制御領域92および信号処理するためのロジック回路93が1枚の基板上に配置される。
【0029】
同図におけるbおよびcに示すように、固体撮像装置を積層型として配置した場合には、いくつかの分割例が考えられる。同図におけるbは、第1の分割例を示す。この第1の分割例では、第1の半導体チップには、画素領域91と制御領域92が搭載される。第2の半導体チップには、ロジック回路93が搭載される。そして、第1の半導体チップと第2の半導体チップとが相互に電気的に接続されることにより、固体撮像装置が構成される。
【0030】
同図におけるcは、第2の分割例を示す。この第2の分割例では、第1の半導体チップには、画素領域91が搭載される。第2の半導体チップには、制御領域92と、ロジック回路93が搭載される。そして、第1の半導体チップと第2の半導体チップとが相互に電気的に接続されることにより、固体撮像装置が構成される。
【0031】
[画素の回路構成]
図3は、本技術の実施の形態における画素11の回路構成例を示す図である。
【0032】
画素11は、フォトダイオード17と、転送トランジスタ12と、フローティングディフュージョン領域13と、リセットトランジスタ14と、増幅トランジスタ15と、選択トランジスタ16とを備える。これら転送トランジスタ12、リセットトランジスタ14、増幅トランジスタ15および選択トランジスタ16の4つのトランジスタを画素トランジスタと称する。なお、この例では、画素トランジスタは、キャリア極性がN型のMOSトランジスタであるものと想定する。
【0033】
また、画素11に対して、行方向に転送信号線、リセット信号線および選択信号線の3本の信号線が設けられ、列方向に垂直信号線19が設けられる。また、リセットトランジスタ14および増幅トランジスタ15のドレイン側には電源電圧Vddが供給される。
【0034】
フォトダイオード(Photo Diode:PD)17は、入射光に応じた電荷を発生する光電変換部である。なお、このフォトダイオード17のアノードは接地される。
【0035】
転送トランジスタ12は、フォトダイオード17において生じた電荷を転送するトランジスタである。この転送トランジスタ12は、フォトダイオード17のカソードと、フローティングディフュージョン領域13との間に設けられる。この転送トランジスタ12は、そのゲートに垂直駆動回路20から転送信号線を介してハイレベルの信号が入力された際にオン状態となり、フォトダイオード17において光電変換された電荷をフローティングディフュージョン領域13に転送する。
【0036】
フローティングディフュージョン(Floating Diffusion:FD)領域13は、転送トランジスタ12によって転送された電荷を電圧信号に変換する拡散領域である。このフローティングディフュージョン領域13の電圧信号は、リセットトランジスタ14のドレインおよび増幅トランジスタ15のゲートに接続される。
【0037】
リセットトランジスタ14は、フローティングディフュージョン領域13の電圧をリセットするためのトランジスタである。このリセットトランジスタ14は、電源電圧Vddとフローティングディフュージョン領域13との間に設けられる。このリセットトランジスタ14は、そのゲートに垂直駆動回路20からリセット信号線にハイレベルの信号が入力された際にオン状態となり、フローティングディフュージョン領域13の電位を電源電圧Vddにリセットする。
【0038】
増幅トランジスタ15は、フローティングディフュージョン領域13の電圧信号を増幅するトランジスタである。この増幅トランジスタ15のゲートは、フローティングディフュージョン領域13に接続される。増幅トランジスタ15のドレインは、電源電圧Vddに接続され、増幅トランジスタ15のソースは、選択トランジスタ16を介して垂直信号線19に接続される。この増幅トランジスタ15は、フローティングディフュージョン領域13の電圧信号を増幅し、その増幅信号を画素信号として選択トランジスタ16に出力する。
【0039】
選択トランジスタ16は、この画素を選択するためのトランジスタである。この選択トランジスタ16は、増幅トランジスタ15と垂直信号線19との間に設けられる。この選択トランジスタ16は、そのゲートに垂直駆動回路20から選択信号線にハイレベルの信号が入力された際にオン状態となり、増幅トランジスタ15で増幅された電圧信号を垂直信号線19に出力する。
【0040】
[画素の構造]
図4は、本技術の実施の形態における画素の半導体基板の平面図の一例である。本技術の実施の形態においては、4つの画素が1つのフローティングディフュージョン領域等を共有し、さらに縦方向に別の4つの画素を配置した構造を想定する。ただし、この構造は一例であり、本技術は他の画素構造においても適用することができる。
【0041】
この例においては、画素毎にフォトダイオード170および転送ゲート120を備え、4つの画素が1つのフローティングディフュージョン領域130、リセットトランジスタ140および増幅トランジスタ150を共有する。
【0042】
フォトダイオード170およびフローティングディフュージョン領域130は、フォトダイオード17およびフローティングディフュージョン領域13と同様の機能を有する。また、転送ゲート120、リセットトランジスタ140および増幅トランジスタ150は、上述の回路例における転送トランジスタ12、リセットトランジスタ14および増幅トランジスタ15と同様の機能を有する。なお、フォトダイオード170およびフローティングディフュージョン領域130は、特許請求の範囲に記載の光電変換部の一例である。
【0043】
図5は、本技術の第1の実施の形態における画素の断面図の一例である。同図は、
図4の平面図のA−Bの断面を表しており、3画素に跨っている。ここでは、一例として裏面照射型の固体撮像装置を想定しており、同図における上側が半導体基板100の裏面であり、下側が半導体基板100の表面である。
【0044】
半導体基板100の裏面には、光学系として、2次元配置された画素毎にオンチップレンズ310が設けられる。このオンチップレンズ310を介して光が入射する。オンチップレンズ310は、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル共重合系樹脂、または、シロキサン系樹脂等の樹脂系材料によって形成される。
【0045】
オンチップレンズ310の下方には、2次元配置された画素毎にカラーフィルタ320が設けられる。このカラーフィルタ320は、画素毎に異なる種類の波長帯域を通過させるオンチップカラーフィルタである。この例では、ベイヤー配列を想定しており、この断面においては左から順に、青(B:Blue)、緑(G:Green)、赤(R:Red)の波長帯域を通過させるように配置されている。このカラーフィルタ320は、例えば顔料や染料などの色素を含んだ感光性樹脂を回転塗布することによって形成される。このカラーフィルタ320は、一般には、少なくとも3種類の異なる波長帯域のいずれかに対応していればよい。例えば、赤外線、赤、緑、青、紫外線、無彩色のうちのいずれか3種類以上のフィルタを備えて構成される。ここで、無彩色のフィルタは、可視近赤外線波長帯域全域を通過させるフィルタである。
【0046】
カラーフィルタ320の下方には、画素間を分離するための遮光膜340が半導体基板100上の画素境界の領域に形成される。遮光膜340の材料としては、光を遮光する材料であればよく、例えば、タングステン(W)、アルミニウム(Al)または銅(Cu)などを用いることができる。カラーフィルタ320と半導体基板100との間には平坦化膜330が形成される。平坦化膜330の材料としては、例えば、樹脂などの有機材料を用いることができる。
【0047】
半導体基板100の内部は光吸収層であり、素子分離部190によって区画された部分に、フォトダイオード170が設けられている。フォトダイオード170は、例えば、半導体基板100の深さ方向においてP型半導体領域によって挟まれたN型不純物領域として形成される。
【0048】
素子分離部190は、シリコン基板である半導体基板100に対して、溝構造191を彫り込んだ構造となっている。このような構造はDTI(Deep Trench Isolation)と呼ばれる。この溝構造191は酸化膜で覆われ、内部には例えば金属材料が充填される。この金属材料は、回析光をブロックする光遮蔽能力が高いものが望ましい。そのような金属材料としては、例えば、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、または、それらの金属合金を主成分とすることができる。また、シリコンに対して相対的に低い屈折率を有するSiO
2等の誘電体を、溝構造191に充填してもよい。光遮蔽能力が高い金属材料を充填した方が光学混色を抑えて解像度を向上させるという効果があるが、誘電体を充填した方が感度は向上する場合がある。
【0049】
半導体基板100の表面には、画素トランジスタが設けられる。同図においては画素トランジスタの一つである転送ゲート120が示されている。これら画素トランジスタを被覆するように配線層200が設けられている。配線層200には、配線220が絶縁層によって覆われるように形成されている。この配線220は複数の層からなる多層配線とすることができる。そして、配線層200の表面には(図示しない)支持基板が設けられている。
【0050】
半導体基板100の裏面における画素の受光面には、入射光の反射を防止するための反射防止層が設けられる。この例では、緑フィルタの画素の反射防止層112および赤フィルタの画素の反射防止層111は、λ/4波長板からなる反射板となっている。このλ/4波長板は、波長の四分の一の厚みを有する単層膜である。一方、青フィルタの画素の反射防止層113は、周期凹凸構造を有している。すなわち、ベイヤー配列のカラーフィルタ320のうち青フィルタの画素についてのみ反射防止層が周期凹凸構造となっている。
【0051】
同図における矢印は、入射光を下向きに、反射光を上向きに示しており、太さはそれぞれの強さを示している。緑フィルタの画素の反射防止層112は緑色に最適化されているため、反射を適度に抑制し、フォトダイオード170に入射光を吸収させる。一方、青フィルタの画素の反射防止層113に入射した光は、周期凹凸構造によって散乱されて、フォトダイオード170に吸収される。
【0052】
[反射防止層の配置]
図6は、本技術の第1の実施の形態におけるカラーフィルタ320と反射防止層の第1の配置例を示す図である。上述のように、カラーフィルタ320の配置は、ベイヤー配列を想定している。そして、青フィルタの画素についてのみ反射防止層が周期凹凸構造となっており、他の色フィルタの画素については反射防止層がλ/4波長板からなる反射板となっている。なお、ここでは、青フィルタの画素についてのみ反射防止層を周期凹凸構造としたが、紫外線フィルタの画素について反射防止層を周期凹凸構造としてもよい。
【0053】
図7は、本技術の第1の実施の形態におけるカラーフィルタ320と反射防止層の第2の配置例を示す図である。この例においても、カラーフィルタ320の配置は、ベイヤー配列を基本にしている。ただし、上述の第1の配置例では1画素ずつ異なる色が配置されていたが、この第2の配置例では、同じ色フィルタの画素が画素複数単位でベイヤー配列を構成する。この図では2×2画素の4画素を単位としているが、より多くの画素を単位として配置してもよい。
【0054】
[周期凹凸構造]
図8は、本技術の実施の形態における周期凹凸構造の一例を示す図である。ここでは、周期凹凸構造の一例として、四角錐形状の凹構造である逆ピラミッド構造を周期的に配置した構造を示している。
【0055】
この逆ピラミッド構造は、シリコンの結晶面の(111)面によって構成されるものである。この(111)面はミラー指数により表したものである。この逆ピラミッド構造がシリコン基板面に対してなす角度θは、シリコン(100)面に対する(111)面であるため、
tanθ=(2
1/2)
が成り立つ。したがって、
θ=arctan(2
1/2)≒55度
である。
【0056】
また、逆ピラミッド構造における隣接するピラミッド間の距離、および、各々の1辺の長さは、200nm乃至800nmであり、より望ましくは、400nm乃至600nmである。また、逆ピラミッド構造におけるピラミッドの数は、画素毎に整数個であることが望ましい。
【0057】
この逆ピラミッド構造を製造するためには、例えば、半導体基板100の裏面のP型半導体の上にフォトレジストを塗布し、リソグラフィにより凹部が開口するようにフォトレジストをパターン加工する。そして、パターン加工されたフォトレジストに基づいて、半導体基板100に対してドライエッチング処理を施し、その後、フォトレジストを除去する。なお、ドライエッチング処理ではなく、ウェットエッチング処理を用いることもできる。
【0058】
図9は、本技術の実施の形態における周期凹凸構造の他の例を示す図である。ここでは、周期凹凸構造の一例として、四角錐形状の凸構造である順ピラミッド構造を周期的に配置した構造を示している。形状およびサイズについては、上述の例を反転したものになるため、詳細な説明は省略する。
【0059】
[特性]
図10は、本技術の実施の形態における画像構造の特性を説明するための画素種別を示す図である。この図では、カラーフィルタ320を設けない場合の応答を示している。
【0060】
同図におけるaは、第1の画素種別710として、反射防止層711が周期凹凸構造を有し、素子分離部の溝構造719には金属材料を充填しない構造を示している。同図におけるbは、第2の画素種別720として、反射防止層721が周期凹凸構造を有し、素子分離部の溝構造729には光遮蔽能力が高い金属材料を充填した構造を示している。同図におけるcは、第3の画素種別730として、反射防止層731がλ/4波長板からなる平坦な反射板を有し、素子分離部の溝構造739には金属材料を充填しない構造を示している。
【0061】
図11は、
図10の3つの画素種別710、720および730における波長に対する特性を示す図である。同図におけるaは、各波長に対する光電変換の感度または量子効率(QE:Quantum Efficiency)を示している。また、同図におけるbは、各波長に対する反射率を示している。
【0062】
第1の画素種別710においては、反射防止層711が周期凹凸構造を有するため、構造そのものが反射防止膜としての効果を有する。そのため、青や紫外線の領域の感度が高くなり、赤や赤外線の領域の反射も軽減される。また、回析した光によりシリコン内の光路長が延びるため、赤外波長における感度が向上する反面、解像度は劣化する。
【0063】
第2の画素種別720においては、第1の画素種別710と同様に、反射防止層721が周期凹凸構造を有するため、構造そのものが反射防止膜としての効果を有する。そして、さらに素子分離部の溝構造729に充填された金属材料によって、周期凹凸構造により発生する回折光を吸収するため、赤外波長における解像度劣化が少ない。
【0064】
第3の画素種別730においては、反射防止層731により緑の領域の感度が高く、緑の反射も抑制させるが、それ以外の波長域での反射が大きい。
【0065】
これらを比較すると、周期凹凸構造による効果としては、反射が軽減されることにより、主に青や紫外線の領域の感度が向上することが分かる。また、素子分離部の溝構造に金属材料を充填した場合には吸収の影響を受けて、赤または赤外線の領域において感度が下がる傾向にあることが分かる。したがって、赤または赤外線の領域において感度を上げたい場合には、素子分離部の溝構造に誘電体を充填することが考えられる。
【0066】
このように、本技術の第1の実施の形態によれば、青フィルタの画素についてのみ反射防止層を周期凹凸構造にすることにより、青の波長領域における反射を軽減して、感度を向上させることができる。また、素子分離部の溝構造に金属材料を充填することにより、特に赤や赤外線等の吸収係数が小さい長波長側の画素における回析光の近接画素への混入を抑えて、色再現性の劣化や空間解像度の劣化を回避することができる。
【0067】
<2.第2の実施の形態>
上述の第1の実施の形態では、青フィルタの画素についてのみ反射防止層が周期凹凸構造となっていた。これに対し、この第2の実施の形態では、さらに赤フィルタの画素についても反射防止層を周期凹凸構造とする点において異なる。なお、固体撮像装置としての全体構成については上述の第1の実施の形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0068】
[画素の構造]
図12は、本技術の第2の実施の形態における画素の断面図の一例である。同図は、
図4の平面図のA−Bの断面を表しており、3画素に跨っている。また、第1の実施の形態と同様に、裏面照射型の固体撮像装置を想定しており、同図における上側が半導体基板100の裏面であり、下側が半導体基板100の表面である。
【0069】
この第2の実施の形態では、青フィルタの画素の反射防止層113に加えて、赤フィルタの画素の反射防止層111も、周期凹凸構造を有している。緑フィルタの画素の反射防止層112がλ/4波長板からなる反射板となっている点については、上述の第1の実施の形態と同様である。なお、この周期凹凸構造は上述の第1の実施の形態と同様に、逆ピラミッド構造を採用することができる。
【0070】
赤フィルタの画素の反射防止層111において周期凹凸構造を採用すると、この周期凹凸構造による光回析が赤や赤外線波長において顕著に発生する。それに伴い、半導体基板100内で光が斜めに伝搬し、実効的な光路長が延びる。その結果、同一厚みの通常の固体撮像装置に比べて、長波長で高い感度を実現することができる。
【0071】
一方、赤や赤外線等の吸収係数が小さい長波長の光は、光吸収層において吸収され難いため、回析光が近接画素に混入しやすくなる。その点、本技術の実施の形態においては、素子分離部190の溝構造191に金属材料を充填するため、回析光を遮蔽して、色再現性の劣化や空間解像度の劣化を回避することができる。
【0072】
[反射防止層の配置]
図13は、本技術の第2の実施の形態におけるカラーフィルタ320と反射防止層の配置例を示す図である。上述のように、カラーフィルタ320の配置は、ベイヤー配列を想定している。そして、青フィルタの画素に加えて赤フィルタの画素についても反射防止層が周期凹凸構造となっている。緑フィルタの画素については反射防止層がλ/4波長板からなる反射板となっている。
【0073】
なお、この配置例では1画素ずつ異なる色が配置されていたが、上述の第1の実施の形態の第2の配置例のように、同じ色フィルタの画素が画素複数単位でベイヤー配列を構成するように配置してもよい。
【0074】
このように、本技術の第2の実施の形態によれば、青フィルタの画素に加えて赤フィルタの画素についても反射防止層を周期凹凸構造とすることにより、青および赤の波長領域における反射を軽減して、感度を向上させることができる。この場合、赤フィルタの画素において回析光が近接画素に混入する可能性が高くなっても、素子分離部の溝構造に充填された金属材料により回析光を遮蔽するため、色再現性の劣化や空間解像度の劣化を回避することができる。
【0075】
<3.第3の実施の形態>
上述の第1および第2の実施の形態では、緑フィルタの画素の反射防止層112がλ/4波長板からなる反射板となっていた。これに対し、シリコンの光吸収係数だけを考慮すれば、緑フィルタの画素の反射防止層112においても周期凹凸構造を採用することも考えられる。これに対し、近年の固体撮像装置では、特定の画素がオートフォーカス機能のための位相差検出画素を有することが一般的となっている。この位相差検出画素は、光の入射方向から合焦判断を行う画素である。一般には緑フィルタの画素の一部がその機能を有する。しかしながら、緑フィルタの画素が位相差検出画素である場合には、回折光によるクロストークが特性劣化につながるため、周期凹凸構造を設けないことが望ましい。そこで、この第3の実施の形態では、位相差検出画素については周期凹凸構造を設けないという構造を採用する。なお、固体撮像装置としての全体構成については上述の第1の実施の形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0076】
[画素の構造]
図14は、本技術の第3の実施の形態における画素の断面図の一例である。同図は、
図4の平面図のA−Bに相当する断面を表しており、青フィルタの画素および位相差検出画素に跨っている。また、第1の実施の形態と同様に、裏面照射型の固体撮像装置を想定しており、同図における上側が半導体基板100の裏面であり、下側が半導体基板100の表面である。
【0077】
この第3の実施の形態では、青フィルタの画素の反射防止層113は周期凹凸構造を有している。一方、位相差検出画素の反射防止層114については周期凹凸構造を設けず、λ/4波長板からなる反射板となっている。これ以外の点については、上述の第1の実施の形態と同様である。
【0078】
[反射防止層の配置]
図15は、本技術の第3の実施の形態におけるカラーフィルタ320と反射防止層の第1の配置例を示す図である。上述のように、カラーフィルタ320の配置は、ベイヤー配列を想定している。位相差検出画素の位置では、隣接2画素でオンチップレンズ310が共有される。そして、青フィルタの画素については反射防止層が周期凹凸構造となっている。ただし、本来は青フィルタの画素位置であっても、位相差検出画素である場合には周期凹凸構造を設けず、λ/4波長板からなる反射板となる。
【0079】
図16は、本技術の第3の実施の形態におけるカラーフィルタ320と反射防止層の第2の配置例を示す図である。この第2の配置例では、青フィルタの画素に加えて赤フィルタの画素についても反射防止層が周期凹凸構造となっている。なお、これら第1および第2の配置例は、隣接する2×1画素で1つのオンチップ集光構造を有する位相差検出画素を備えた例である。
【0080】
図17は、本技術の第3の実施の形態におけるカラーフィルタ320と反射防止層の第3の配置例を示す図である。この例では、ベイヤー配列の単位となる2×2画素の何れかにおける緑フィルタの2つの画素において画素の半分を遮光することにより位相差検出画素として、入射方向を判断する画素構造を採用している。そして、青フィルタの画素についてのみ反射防止層が周期凹凸構造となっており、位相差検出画素を含む他の色フィルタの画素については反射防止層がλ/4波長板からなる反射板となっている。
【0081】
図18は、本技術の第3の実施の形態におけるカラーフィルタ320と反射防止層の第4の配置例を示す図である。この第4の配置例では、青フィルタの画素に加えて赤フィルタの画素についても反射防止層が周期凹凸構造となっている。なお、これら第3および第4の配置例は、隣接する2×2画素で1つのオンチップ集光構造を有する位相差検出画素を備えた例である。
【0082】
このように、本技術の第3の実施の形態では、青フィルタの画素または青および赤フィルタの画素についても反射防止層を周期凹凸構造とする一方で、位相差検出画素である場合には周期凹凸構造を設けない。これにより、回折光によるクロストークを抑制して、特性劣化を回避することができる。
【0083】
<4.適用例>
上述の本技術の実施の形態は、以下に例示するように様々な技術に適用することができる。
【0084】
[撮像装置]
図19は、本技術の実施の形態の適用例である撮像装置80の構成例を示す図である。この撮像装置80は、光学系構成部81、駆動部82、撮像素子83、および、信号処理部84を備える。
【0085】
光学系構成部81は、光学レンズなどから構成され、被写体の光学像を撮像素子83に入射させる。駆動部82は、撮像素子83の内部の駆動に関する各種のタイミング信号を生成して出力することにより撮像素子83の駆動を制御する。信号処理部84は、撮像素子83から出力される画像信号に対して所定の信号処理を施し、その信号処理結果に応じた処理を実行する。また、信号処理部84は、信号処理結果の画像信号を後段に出力して、例えば、メモリなどの記録媒体に記録し、または、所定のネットワークを介して所定のサーバに転送する。
【0086】
ここで、上述の実施の形態における固体撮像装置を適用することにより、撮像装置80の感度を向上させることができる。
【0087】
[携帯情報端末]
図20は、本技術の実施の形態の適用例である携帯情報端末70の外観例を示す図である。同図におけるaは携帯情報端末70の表面側を示し、bは携帯情報端末70の裏面側を示している。
【0088】
携帯情報端末70の表面の中心にはディスプレイ71が配置され、各種情報を表示するようになっている。また、このディスプレイ71は、タッチパネルとしても機能し、ユーザからの入力を受け付けるようになっている。
【0089】
携帯情報端末70の表面の上部にはフロントカメラ72が配置され、主に、携帯情報端末70を使用するユーザを撮像するために用いられる。一方、携帯情報端末70の裏面の上部にはリアカメラ73が配置され、主に、ユーザから見た被写体を撮像するために用いられる。
【0090】
ここで、上述の実施の形態における固体撮像装置を適用することにより、フロントカメラ72およびリアカメラ73の感度を向上させることができる。
【0091】
[アプリケーション]
図21は、本技術の実施の形態が適用される分野の例を示す図である。
【0092】
本技術の実施の形態における固体撮像装置は、例えば、デジタルカメラや、カメラ機能付きの携帯機器等の、鑑賞の用に供される画像を撮影する装置として用いられ得る。
【0093】
また、この固体撮像装置は、自動停止等の安全運転や運転者の状態の認識等のために自動車の周囲または車内等を撮影する車載用センサ、走行車両や道路を監視する監視カメラ、車両間等の測距を行う測距センサ等の、交通の用に供される装置として用いられ得る。
【0094】
また、この固体撮像装置は、ユーザのジェスチャを撮影して、そのジェスチャに従った機器操作を行うために、テレビ、冷蔵庫、エアーコンディショナ等の家電に供される装置として用いられ得る。
【0095】
また、この固体撮像装置は、内視鏡や、赤外光の受光による血管撮影を行う装置等の、医療やヘルスケアの用に供される装置として用いられ得る。
【0096】
また、この固体撮像装置は、防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等の、セキュリティの用に供される装置として用いられ得る。
【0097】
また、この固体撮像装置は、肌を撮影する肌測定器や、頭皮を撮影するマイクロスコープ等の、美容の用に供される装置として用いられ得る。
【0098】
また、この固体撮像装置は、スポーツ用途等向けのアクションカメラやウェアラブルカメラ等の、スポーツの用に供される装置として用いられ得る。
【0099】
また、この固体撮像装置は、畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の、農業の用に供される装置として用いられ得る。
【0100】
[移動体]
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0101】
図22は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0102】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。同図に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0103】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0104】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0105】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0106】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0107】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0108】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0109】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0110】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0111】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。同図の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0112】
図23は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0113】
同図では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0114】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0115】
なお、同図には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0116】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0117】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0118】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0119】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0120】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。具体的には、撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、撮像部12031の感度を向上させることができる。
【0121】
[内視鏡手術システム]
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0122】
図24は、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0123】
同図では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0124】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0125】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0126】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0127】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0128】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0129】
光源装置11203は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0130】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0131】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0132】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0133】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0134】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0135】
図25は、
図24に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0136】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0137】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0138】
撮像部11402は、撮像素子で構成される。撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(Dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0139】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0140】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0141】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0142】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0143】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0144】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0145】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0146】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0147】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0148】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0149】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0150】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0151】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0152】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、内視鏡11100や、カメラヘッド11102の撮像部11402に適用され得る。具体的には、内視鏡11100や、カメラヘッド11102の撮像部11402に本開示に係る技術を適用することにより、内視鏡11100や、カメラヘッド11102の撮像部11402の感度を向上させることができる。
【0153】
なお、ここでは、一例として内視鏡手術システムについて説明したが、本開示に係る技術は、その他、例えば、顕微鏡手術システム等に適用されてもよい。
【0154】
なお、上述の実施の形態は本技術を具現化するための一例を示したものであり、実施の形態における事項と、特許請求の範囲における発明特定事項とはそれぞれ対応関係を有する。同様に、特許請求の範囲における発明特定事項と、これと同一名称を付した本技術の実施の形態における事項とはそれぞれ対応関係を有する。ただし、本技術は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施の形態に種々の変形を施すことにより具現化することができる。
【0155】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって、限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【0156】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)2次元配置された画素毎に設けられて、少なくとも3種類の異なる波長帯域のいずれかに対応するカラーフィルタと、
前記カラーフィルタを介して入射した光を受光する前記画素の受光面に設けられて、前記少なくとも3種類のうちの一部の種類に対してはさらに周期凹凸構造を備える反射防止層と
を具備する固体撮像装置。
(2)前記カラーフィルタは、前記少なくとも3種類の異なる波長帯域として、赤外線、赤、緑、青、紫外線、無彩色のいずれか3種類に対応する
前記(1)に記載の固体撮像装置。
(3)前記カラーフィルタは、ベイヤー配列に従って配置され、
前記反射防止層は、前記カラーフィルタが緑フィルタである画素については平坦な膜構造を備え、前記カラーフィルタが青フィルタである画素については前記周期凹凸構造を備える
前記(1)に記載の固体撮像装置。
(4)前記反射防止層は、前記カラーフィルタが赤フィルタである画素についても前記周期凹凸構造を備える
前記(3)に記載の固体撮像装置。
(5)前記周期凹凸構造は、シリコンの結晶面(111)によって構成される逆ピラミッド構造を周期的に配置した構造である
前記(1)から(4)のいずれかに記載の固体撮像装置。
(6)前記逆ピラミッド構造がシリコン基板面に対してなす角度は、逆正接関数の値arctan(2
1/2)である前記(5)に記載の固体撮像装置。
(7)前記逆ピラミッド構造における隣接するピラミッド間の距離は200nm乃至800nmである前記(5)または(6)に記載の固体撮像装置。
(8)前記逆ピラミッド構造の各々の1辺の長さは200nm乃至800nmである前記(5)から(7)のいずれかに記載の固体撮像装置。
(9)前記逆ピラミッド構造におけるピラミッドの数は、前記画素毎に整数個である前記(5)から(8)のいずれかに記載の固体撮像装置。
(10)前記反射防止層は、前記カラーフィルタが緑フィルタである画素についてはλ/4波長板からなる反射板を備え、前記カラーフィルタが紫外線または青フィルタである画素については前記逆ピラミッド構造を周期的に配置した構造を備える
前記(5)から(9)のいずれかに記載の固体撮像装置。
(11)前記反射防止層は、前記カラーフィルタが赤フィルタである画素についても前記逆ピラミッド構造を周期的に配置した構造を備える
前記(10)に記載の固体撮像装置。
(12)前記画素毎に受光した光を電圧信号に変換する光電変換部と、
前記光電変換部を前記画素毎に分離する素子分離部と
をさらに具備し、
前記素子分離部は、シリコン基板に対して溝構造を彫り込んだ構造を備える
前記(1)から(11)のいずれかに記載の固体撮像装置。
(13)前記素子分離部は、前記溝構造に金属材料が充填されたものである
前記(12)に記載の固体撮像装置。
(14)前記金属材料は、タングステン、アルミニウム、銅、または、それらの金属合金を主成分とする
前記(13)に記載の固体撮像装置。
(15)隣接する2×1画素または2×2画素において1つのオンチップ集光構造を有する位相差検出画素をさらに具備し、
前記反射防止層は、前記位相差検出画素については平坦な膜構造を備える
前記(1)から(14)のいずれかに記載の固体撮像装置。
(16)2次元配置された画素毎に設けられて、少なくとも3種類の異なる波長帯域のいずれかに対応するカラーフィルタと、
前記カラーフィルタを介して入射した光を受光する前記画素の受光面に設けられて、前記少なくとも3種類のうちの一部の種類に対してはさらに周期凹凸構造を備える反射防止層と、
前記画素毎に受光した光を電圧信号に変換する光電変換部と、
前記電圧信号に対して所定の信号処理を施す信号処理部と
を具備する電子機器。