(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記隙間計測部は、前記支柱端部の中心部の幅のpixelを規定値とし、水平方向に1pixel幅で1ライン取得し、明るさの最大最小の中央値で二値化を行い、前記規定値のpixel数に近い輝度のピークが見つかったときはその位置を前記H鋼支柱の中心部とし、前記ピークが見つからなかったときは二値化閾値を上下にずらすことを特徴とする請求項1に記載の点検作業支援装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0013】
≪第1の実施の形態≫
まず、第1の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、動画像に距離標情報(線路内位置情報)を紐付けて管理する技術について説明する。
【0014】
[防音壁]
図1は、防音壁100の説明図である。この防音壁100は、防音効果、防雪効果、遮風効果などを担う半雪覆型の防音壁100である。具体的には、
図1に示すように、H鋼支柱(以下、単に「支柱」という。)110をくの字型にすることで構造物上の積雪防止効果を期待したものである。防音壁パネル(以下、単に「パネル」という。)120には、コンクリートパネルを用いるのが一般的である。パネル120は、クサビ131によって支柱110に支えられている。
【0015】
既に説明したように、防音壁100の支柱110とパネル120の隙間が拡大し、支柱110との引っ掛かりがなくなると、パネル120がクサビ131から外れ、宙に浮いた状態となる(図中の丸印参照)。状態によっては、パネル120の自重を支えきれず、パネル落下につながる恐れがある。そのため、パネル落下の恐れがある箇所を点検し、パネルを安定した状態に保持することは、列車運行上重要である。現状は、複数人1組での徒歩巡回による目視点検を行っている。
【0016】
[支柱とパネルの隙間]
図2は、防音壁100の端部における支柱110とパネル120の隙間141の説明図であり、
図2(a)は模式図、
図2(b)は実際の写真である。また、
図3は、防音壁100の中間部における支柱110とパネル120の隙間141の説明図であり、
図3(a)は模式図、
図3(b)は実際の写真である。これらの図において、支柱110には、H鋼支柱(スチール)を例示している。H鋼支柱幅W1は、防音壁100の高さに応じて、150mm、175mm、200mm等の複数のタイプがある。図中の符号W2はH鋼支柱中心部幅、131はクサビ(ゴム)、132は間隔材(ゴム)、133は緩衝材(ゴム)、134は端部パッキン(ゴム)、141は隙間、142は掛かり量を示している。
【0017】
[概要]
図4は、本発明の概要の説明図である。線路内には、位置を管理するキロ程銘板(以下、「距離標銘板」と呼ぶ場合がある。)が設置されている。キロ程銘板の設置方法としては、銘板を打ち付けた杭を線路内に設置する方法や、防音壁100に貼り付ける方法などがある。
【0018】
例えば、
図4に示すように、上り線線路200A内には、上り線側キロ程銘板150Aが10m毎に設置されている(ただし、500m、1000mの地点には設置されていない)。上り線は、終点方から起点方の列車走行線路である。一方、下り線線路200B内には、下り線側キロ程銘板150Bが500m毎に設置されている。下り線は、起点方から終点方の列車走行線路である。
【0019】
図5は、
図4に示される保守用車300の説明図である。本発明では、上り線線路200A、下り線線路200Bのいずれかの線路を保守用車300で走行し、上り線側と下り線側に向けて設置した2台のカメラ(防音壁撮影装置)310を用いて同時に撮影する。ここでいう「同時」は、時間完全同期を意味するものではなく、「一緒に」程度の意味である。保守用車300の走行線路や走行方向は、この例と逆でもよい。
【0020】
図5中の1点鎖線は、カメラ310の撮影範囲を示している。撮影対象までの距離に応じて、カメラ310の使用レンズ(焦点距離)や配置、照明数などを適切に選択する。後述する点検作業支援装置において、撮影した動画像に写し込まれているキロ程銘板150を自動認識し、動画像に対して線路内位置情報(キロ程情報)を付与し、任意のフレームに対して線路内位置情報を決定するようになっている。
【0021】
[標識]
図6は、上り線側キロ程銘板150Aの写真であり、
図7は、上り線側キロ程銘板150A以外の上り線側の標識の写真である。上り線側の標識は黄色標識である。
図6に示すように、上り線側キロ程銘板150Aには、黄色地に横書きの黒文字で「380」や「276K300M」等のキロ程が表示されている。
【0022】
図8は、下り線側キロ程銘板150Bの写真であり、
図9は、下り線側キロ程銘板150B以外の下り線側の標識の写真である。下り線側の標識は白色標識である。
図8に示すように、下り線側キロ程銘板150Bには、白色地に縦書きの黒文字で「278」や「276 1/2」等のキロ程が表示されている。
【0023】
[点検作業支援装置の構成]
図10は、第1の実施の形態に係る点検作業支援装置10の機能ブロック図である。この点検作業支援装置10は、防音壁100などの線路内設備の点検作業を支援する装置であって、機能的には、撮影動画像登録部11と、画像処理パラメータ登録部12と、キロ程銘板抽出部13と、キロ程銘板補正部14と、キロ程文字認識(OCR)部15と、記録部16と、キロ程誤り訂正部17と、上り線下り線整合部18と、動画像キロ程情報DB部19とを備える。上り線下り線整合部18には、上り線下り線突合判定部18−1と、下り線キロ程補間調整部18−2とが含まれる。
【0024】
撮影動画像登録部11は、防音壁撮影装置310によって撮影された動画像を登録する。具体的には、撮影時の走行線区(0:上り線/1:下り線)、走行方向(0:起点方⇒終点方/1:終点方⇒起点方)、起点方駅名、終点方駅名、撮影防音壁(0:上り線側/1:下り線側)、開始キロ程、終了キロ程、画像解像度、画像左側端(0:起点方/1:終点方)、画像右側端(0:起点方/1:終点方)、回転表示(−1:左90度/0:0度/1:右90度)の情報を撮影動画像に登録する。
【0025】
画像処理パラメータ登録部12は、画像処理パラメータを登録する。具体的には、キロ程銘板抽出処理やキロ程文字認識処理に必要な画像処理のパラメータ(キロ程銘板の大きさ、色など)を登録する。
【0026】
キロ程銘板抽出部13は、キロ程銘板抽出処理を行う。具体的には、画像処理パラメータ登録部12により登録された画像処理パラメータに基づき、撮影動画像登録部11により登録された動画像からキロ程銘板の画像を抽出する。また、抽出したキロ程銘板の画像が対象銘板の大きさに合致しているかどうか判定を行う。
【0027】
キロ程銘板補正部14は、キロ程銘板補正処理を行う。具体的には、キロ程銘板抽出部13により抽出された上り線側キロ程銘板150Aの画像に対して傾き補正を行う。一方、キロ程銘板抽出部13により抽出された下り線側キロ程銘板150Bの画像に対して左右分割・射影投影変換の画像補正を行う。
【0028】
キロ程文字認識部15は、キロ程文字認識処理を行う。具体的には、キロ程銘板補正部14により補正された画像に対して、“0−9”の数値、“K、M”の文字、“−”記号の文字認識(OCR)を行い、キロ程を決定する。
【0029】
キロ程誤り訂正部17は、キロ程誤り訂正処理を行う。具体的には、キロ程文字認識部15により決定されたキロ程の数値が正しいかどうかを走行方向、走行速度、キロ程銘板の間隔等を考慮し、誤り部分を訂正する。
【0030】
記録部16は、各種データを記録する記録装置である。
【0031】
上り線下り線整合部18は、上り線下り線整合処理を行う。具体的には、上り線下り線突合判定部18−1は、下り線のキロ程銘板抽出処理・キロ程文字認識処理の結果(キロ程)と上り線側で推定したキロ程とを突き合わせる。この突き合わせ結果が一致しなかった場合は、上り線側で推定したキロ程の方が正しいとみなし、その周辺で再び探索を行い、上り線側と下り線側を同時に撮影したときのフレームの同期ずれ(フレームのズレ)を判定する。また、下り線キロ程補間調整部18−2は、上り線下り線突合判定部18−1により判定された結果を用いて、下り線のキロ程情報に上り線側のキロ程情報から内挿補間を行い、下り線キロ程を調整する。同期ずれのフレーム値をもとに、上り線側で検出した10m単位のキロ程情報を下り線側に補間挿入するようになっている。
【0032】
動画像キロ程情報DB部19は、動画像にキロ程情報を紐付けて管理する。具体的には、上り線と下り線ごとに何フレーム目が何キロ何メートルであるかをDBに登録する。
【0033】
[点検作業支援装置の動作]
図11は、第1の実施の形態に係る点検作業支援装置10の動作を示すフローチャートである。以下、
図11に従って、キロ程銘板抽出部13、キロ程銘板補正部14、キロ程文字認識部15の動作について説明する。
【0034】
まず、動画→静止画変換を行った後、RGB→HSI変換を行う(ステップS1→S2)。動画→静止画変換とは、防音壁撮影装置310によって撮影された動画像を静止画像に変換することである。RGB→HSI変換とは、キロ程銘板の特徴色(上り線側:黄色、下り線側:白色)を簡単に特定するために、RGB色空間からHSI色空間の画像に変換することである。
【0035】
HSI変換の他に、HSV変換、HSL変換などの方法も用いることができる。すなわち、HSIは、色相 (H:hue),彩度 (S:saturation),明度 (I:intensity)で記述する表色系のHSI色空間ことであり、HSV (V:value) や HSL (L:lightness) と呼ばれることもある。これは、intensity=value=Lightnessとほぼ同じに用いられるためである。
【0036】
次いで、HSI変換された画像からキロ程銘板の画像を抽出し、指定色領域があるかどうかを判定する(ステップS3→S4)。上り線側撮影の場合は、黄色領域があるかどうかを判定し、下り線側撮影の場合は、白色領域があるかどうかを判定する。
【0037】
ここで、指定色領域がある場合は、指定色領域のサイズが正しいかどうかを判定する(ステップS5)。指定色領域のサイズが正しい場合は、抽出したキロ程銘板の画像を補正し、キロ程の文字認識を行い、指定文字記号が認識されたかどうかを判定する(ステップS6→S7→S8)。上り線側撮影の場合は、“0−9”の数値、“K、M”の文字が認識されたかどうかを判定し、下り線側撮影の場合は、“0−9”の数値、“−”記号が認識されたか判定する。
【0038】
ここで、指定文字記号が認識された場合は、キロ程内部出力を行う(ステップS9)。すなわち、複数のフレームで同じキロ程銘板が抽出され、OCRによりキロ程が得られる。キロ程内部出力とは、そのデータを内部出力することである。
【0039】
以下、上り線側のキロ程内部出力の一例を示す。左から順に、ファイル名,フレーム数,画像中央からの距離,銘板種別,OCR結果を示している。ここでいう距離は、画像上での距離であるため、単位はpixelである。画像中央を0とし、画像中央より左側に「−」、右側に「+」の符号を付している。
【0040】
上り線側_C0003,1845,−107.50,黄色銘板,130
上り線側_C0003,1846,−62.50,黄色銘板,130
上り線側_C0003,1847,−16.00,黄色銘板,130
上り線側_C0003,1848,30.00,黄色銘板,130
上り線側_C0003,1849,77.22,黄色銘板,130
上り線側_C0003,1850,120.76,黄色銘板,130
次いで、同じキロ程であるどうかを判定し、同じキロ程でない場合は、一つ前のキロ程を仮DB出力する(ステップS10→S11)。「一つ前のキロ程を仮DB出力する」とは、「キロ程内部出力の結果」のうち、画像中央に最も近いフレームのキロ程結果を仮DBへ出力することである。この上り線側の一例の場合は、「上り線側_C0003,1847,−16.00,黄色銘板,130」を仮DB出力することになる(ステップS11)。
【0041】
同様に、下り線側のキロ程内部出力の一例を示す。この下り線側の一例の場合は、「下り線側_C0002,2545,30.21,白色銘板(左側),280」を仮DB出力することになる(ステップS10→S11)。
【0042】
下り線側_C0002,2544,191.42,白色銘板(左側),280
下り線側_C0002,2544,191.42,白色銘板(右側),280
下り線側_C0002,2545,30.21,白色銘板(左側),280
下り線側_C0002,2545,30.21,白色銘板(右側),280
下り線側_C0002,2546,−132.00,白色銘板(左側),280
下り線側_C0002,2546,−132.00,白色銘板(右側),280
次のフレームへ移り、同様の処理を繰り返す(ステップS12→S1→・・・)。最終フレームに達した場合は、次工程へ移る(ステップS12→S13)。上り線側撮影の場合は、キロ程誤り訂正処理へ移り、下り線側撮影の場合は、上り線下り線突合判定・補間調整処理へ移る。
【0043】
図12は、第1の実施の形態に係る点検作業支援装置10の動作を示すフローチャートである。以下、
図12に従って、キロ程誤り訂正部17、上り線下り線整合部18の動作について説明する。
【0044】
まず、キロ程誤り訂正部17は、仮DB出力された上り線側のキロ程情報について誤り訂正を行う(ステップS21→S22)。そして、誤り訂正を行った後の上り線側のキロ程情報をDBに出力するとともに(ステップS24)、誤り訂正を行った後の上り線側のキロ程情報のうち、推定500m、1kmのキロ程フレームを算出する(ステップS23)。
【0045】
一方、上り線下り線整合部18は、仮DB出力された下り線側のキロ程情報について銘板抽出範囲の絞り込みによるキロ程チェックを行う(ステップS26→S27)。既に銘板抽出されているか、OCRが成功している場合は、上り線側の推定値と下り線側の抽出値とのフレーム差を算出する(ステップS28→S29)。そして、このフレーム差を考慮して、上り線側の10m毎、100m毎のキロ程を下り線側のキロ程に内挿補間する(ステップS25,S33)。このとき、上り線側と下り線側を同時に撮影したときのフレームの同期ずれを500m,1kmのキロ程区間で調整する(ステップS33)。最後に、このように調整された後の下り線側のキロ程情報をDBに出力する(ステップS34)。
【0046】
なお、ステップS28においてNOと判定した場合は、再処理を行うようになっている(ステップS30)。再処理とは、限られたフレームでキロ程銘板抽出処理・キロ程文字認識処理を再度行うことである。再処理に成功した場合(ステップS31:YES)は、ステップS29に移り、再処理に失敗した場合(ステップS31:NO)は、上り線側の推定値と前後のフレーム差より算出し(ステップS32)、ステップS29に移る。
【0047】
[キロ程銘板抽出処理、キロ程文字認識処理]
図13は、第1の実施の形態に係るキロ程銘板抽出処理、キロ程文字認識処理、キロ程誤り訂正処理の説明図である。横軸には、キロ程銘板があると思われるフレーム位置(仮定)をチックマーク「|」で表記している。
【0048】
以下、
図13(a)に従って、上り線側撮影動画像の場合について説明する。
【0049】
まず、キロ程銘板抽出処理(処理1)を行う。すなわち、RGB→HSI変換による黄色領域(画像幅・高さのサイズで閾値を設定)のフレームを抽出する。黄色領域が抽出できた箇所を「○」で表示している。防音壁100には、キロ程銘板以外にも黄色領域の標識が設置されているが、画像サイズの設定閾値より小さいため、サイズ判定で除外される。ただし、剥がれによる銘板欠損箇所は当然抽出できない。
【0050】
次いで、キロ程文字認識処理(処理2−1)とキロ程誤り訂正処理(処理2−2)を行う。すなわち、抽出箇所(銘板)に対して0−9の数字とK、Mの英字の文字認識を行う。文字認識が成功した箇所を「○」、失敗した箇所を「×」で表示している。ただし、ここでは、間違った文字認識の箇所も「○」である。文字認識後のキロ程値を一時保持し、誤り訂正を行い、正しいキロ程値に修正する。さらに、文字認識ができなかった対象に関しては、文字認識が成功した箇所より、10m当たりのフレーム数から推定したフレーム値と抽出箇所が合致している場合、そのフレームにキロ程値を与えるなどの処理を行い、フレームとキロ程の対応を最終決定する。
【0051】
次に、
図13(b)に従って、下り線側撮影動画像の場合について説明する。
【0052】
まず、キロ程銘板抽出処理(処理3)を行う。すなわち、RGB→HSI変換による白色領域(画像幅・高さのサイズで閾値を設定)のフレームを抽出する。白色領域が抽出できた箇所を「○」で表示している。防音壁100には、キロ程銘板以外にも白色領域の標識が設置されているが、画像サイズの設定閾値より小さい場合、サイズ判定で除外される。
【0053】
次いで、キロ程文字認識処理(処理4)を行う。すなわち、抽出箇所(銘板)に対して0−9の数字と−記号の文字認識を行う。文字認識が成功した箇所を「○」、失敗した箇所を「×」で表示している。ただし、ここでは、間違った文字認識の箇所も「○」である。そのため、後述するように、上り線から抽出した推定フレームと下り線の抽出フレームの突き合わせを行い、補間調整の処理を行う。
【0054】
[上り線下り線突合判定処理]
ところで、防音壁撮影装置310において同時にシャッターを押し、撮影を開始しても、フレーム単位での時刻同期はできない。そのため、上り線側撮影動画像と下り線側撮影動画像の突き合わせを行い、フレーム単位の調整を行う。フレーム単位の時刻完全同期を行うためには、外部トリガーを制御する機器やカメラ側の外部機器入力など特殊な機材が必要になるが、本発明では、画像処理による対応処置を行うようにしている。
【0055】
図14は、第1の実施の形態に係る上り線下り線突合判定処理の説明図である。横軸には、上り線側撮影動画像から推定した276K、276K500M、277K、277K500M、…のフレーム番号を示している。
【0056】
図14に示すように、上り線より推定したキロ程位置のフレーム番号と下り線の銘板抽出・OCRの結果を突き合わせて、±1秒以内(通常は±0.5秒以内)での差(フレーム換算で±30フレーム)であれば、下り線での銘板抽出ができていると判定する。さらに、OCRの結果も推定キロ程であれば、精度が高まる。銘板抽出はできているが、OCRができていない場合も推定値として採用する(太字の「277K500M」の箇所)。反対に、±30フレームのズレが発生している箇所は、キロ程以外の銘板が抽出されていると考えられるため、その箇所を除外する(細字の「277K500M」の箇所)。
【0057】
[下り線キロ程補間調整処理]
図15は、第1の実施の形態に係る下り線キロ程補間調整処理の説明図である。この図に示すように、上り線下り線突合判定処理後、下り線キロ程補間調整処理を行う。具体的には、上り線と下り線のフレーム差を考慮し、上り線側の10m単位のキロ程情報を下り線側へ線形内挿補間を行う。図中の白抜きの矢印は、補間前後の様子を示すための矢印であり、「…」は、補間された10m単位のキロ程情報を意味している。
【0058】
[まとめ]
以上のように、第1の実施の形態に係る点検作業支援装置10は、防音壁100の点検作業を支援する装置であって、上下線の防音壁100を同時に撮影した動画像を登録する撮影動画像登録部11と、撮影動画像登録部11により登録された動画像からキロ程銘板の画像を抽出するキロ程銘板抽出部13と、キロ程銘板抽出部13により抽出されたキロ程銘板の画像に対して文字認識を行い、キロ程情報を決定するキロ程文字認識部15と、撮影動画像登録部11により登録された動画像にキロ程文字認識部15により決定されたキロ程情報を紐付けて管理する動画像キロ程情報DB部19とを備える。これにより、上下線の防音壁100を同時に撮影した動画像に距離標情報を紐付けることができるため、この動画像を用いて防音壁100の点検作業を効率よく行うことが可能となる。
【0059】
動画像の利用方法は特に限定されるものではないが、例えば、第2の実施の形態で説明する隙間計測方法に利用することが可能である(後述する)。もちろん、動画像をコンピュータで再生し、その動画像に基づいて作業者が目視で線路内設備を点検するようにしてもよい。動画像には距離標情報が紐付けられているため、不具合を見つけた場合はその線路内位置を容易に特定することができる。
【0060】
さらに、キロ程文字認識部15により文字認識された上り線側のキロ程情報と下り線側のキロ程情報の整合性を図る上り線下り線整合部18を備えてもよい。これにより、精度よく上り線側のキロ程情報と下り線側のキロ程情報を得ることができる。
【0061】
具体的には、上り線下り線整合部18は、下り線側のキロ程情報に対して上り線側のキロ程情報から内挿補間を行い、下り線側のキロ程情報を調整してもよい。これにより、同期ずれのフレーム値をもとに、上り線側で検出した10m単位のキロ程情報を下り線側に補間挿入することができる。
【0062】
さらに、キロ程銘板抽出部13により抽出された上り線側のキロ程銘板の画像と下り線側のキロ程銘板の画像に対して異なる手法で画像補正を行うキロ程銘板補正部14を備えてもよい。これにより、上り線側のキロ程銘板と下り線側のキロ程銘板それぞれの特徴に合わせた画像補正を行うことができる。
【0063】
さらに、キロ程文字認識部15により決定されたキロ程情報に誤りがある場合はその誤り部分を訂正するキロ程誤り訂正部17を備えてもよい。これにより、誤り部分が訂正されるため、正確なキロ程情報を得ることが可能となる。
【0064】
なお、本発明は、点検作業支援装置10として実現することができるだけでなく、点検作業支援装置10が備える特徴的な処理部をステップとする距離標情報管理方法として実現したり、点検作業支援装置10としてコンピュータを機能させるためのプログラムとして実現したりすることもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体やインターネット等の伝送媒体を介して配信することができるのは言うまでもない。
【0065】
≪第2の実施の形態≫
次に、第2の実施の形態について、第1の実施の形態と異なる点のみ説明する。第2の実施の形態では、動画像を用いて防音壁100の支柱110とパネル120の隙間141を正確に計測する技術について説明する。なお、以下の説明では、動画像に距離標情報が紐付けられていることを前提とする。動画像に距離標情報を紐付ける方法は、第1の実施の形態で説明した距離標情報管理方法でもよいし、それ以外の方法でもよい。
【0066】
[点検作業支援装置の構成]
図16は、第2の実施の形態に係る点検作業支援装置20の機能ブロック図である。この点検作業支援装置20は、防音壁100などの線路内設備の点検作業を支援する装置であって、機能的には、撮影動画像登録部21と、画像処理パラメータ登録部22と、動画像キロ程情報DB部23と、H鋼支柱抽出部24と、記録部25と、隙間計測部26と、隙間計測結果出力部27と、危険度判定部28と、隙間計測台帳出力部29とを備える。
【0067】
撮影動画像登録部21は、防音壁撮影装置310によって撮影された動画像を登録する。具体的には、撮影時の走行線区(0:上り線/1:下り線)、走行方向(0:起点方⇒終点方/1:終点方⇒起点方)、起点方駅名、終点方駅名、撮影防音壁(0:上り線側/1:下り線側)、開始キロ程、終了キロ程、画像解像度、画像左側端(0:起点方/1:終点方)、画像右側端(0:起点方/1:終点方)、回転表示(−1:左90度/0:0度/1:右90度)の情報を撮影動画像に登録する。
【0068】
画像処理パラメータ登録部22は、画像処理パラメータを登録する。具体的には、H鋼支柱抽出処理や隙間計測処理に必要な画像処理のパラメータ(二値化閾値、検出スコア閾値、支柱中心部幅、中心部二値化閾値)、及び支柱テンプレート画像(上り線側、下り線側、端部・中間部など)、H鋼支柱幅(mm)を登録する。
【0069】
動画像キロ程情報DB部23は、第1の実施の形態における動画像キロ程情報DB部19に相当する。すなわち、動画像にキロ程情報を紐付けて管理する。具体的には、上り線と下り線ごとに何フレーム目が何キロ何メートルであるかをDBに登録する。
【0070】
H鋼支柱抽出部24は、H鋼支柱抽出処理を行う。具体的には、画像処理パラメータ登録部22により登録された画像処理パラメータ(二値化閾値、検出スコア閾値、支柱中心部幅)、及び支柱テンプレート画像に従って、H鋼支柱の画像を抽出する。
【0071】
記録部25は、各種データを記録する記録装置である。
【0072】
隙間計測部26は、隙間計測処理を行う。具体的には、H鋼支柱抽出部24により抽出されたH鋼支柱の画像をもとに、画像処理パラメータ登録部22により登録された画像処理パラメータ(支柱中心部幅、中心部二値化閾値)に従って、支柱110とパネル120の隙間141を計測する。
【0073】
隙間計測結果出力部27は、隙間計測結果出力処理を行う。具体的には、隙間計測部26により計測された隙間から掛かり量を算出し、算出した掛かり量から危険度を判定し、H鋼支柱単位に結果を出力する。例えば、掛かり量142は、(H鋼支柱幅W1−H鋼支柱中心部幅W2)÷2−隙間141により算出することができる(
図2参照)。
【0074】
危険度判定部28は、危険度判定処理を行う。具体的には、隙間計測部26により計測された隙間(掛かり量)をもとに危険度(工事優先度)を判定する。
【0075】
隙間計測台帳出力部29は、隙間計測台帳出力処理を行う。具体的には、隙間計測結果出力部27および危険度判定部28により出力された結果を用いて、防音壁パネル単位(左右端部の支柱)の隙間、掛かり量、危険度などを台帳として帳票出力する。
【0076】
[点検作業支援装置の動作]
図17は、第2の実施の形態に係る点検作業支援装置20の動作を示すフローチャートである。ここでは、H鋼支柱抽出部24、隙間計測部26、隙間計測結果出力部27の動作について説明する。
【0077】
まず、動画→静止画変換を行い、RGB→グレースケール変換を行い、グレースケールの画像に二値化処理を行う(ステップS41→S42→S43)。二値化処理は、H鋼支柱、コンクリートパネル、隙間などの区別を容易にするための処理である。
【0078】
次いで、H鋼支柱テンプレートマッチングを行う(ステップS44)。H鋼支柱テンプレートマッチングとは、H鋼支柱テンプレート画像を用いて画像マッチングを行うことである。具体例については後に詳しく説明する。
【0079】
次いで、H鋼支柱テンプレートマッチングの結果、検出スコアが閾値より大きい場合は、抽出H鋼支柱の判定を行う(ステップS45→S46)。ステップS46の抽出H鋼支柱の判定では、以下の処理(1)(2)を行うのが望ましい。
【0080】
(1)支柱間隔(1.5m、2m、2.5m、3m)を考慮した支柱抽出
抽出した支柱フレーム番号からキロ程を算出し、設置している防音壁100のパネル幅(支柱110の間隔)より、次に出現する支柱110のフレーム位置を推定する。また、抽出した支柱110のキロ程と1つ前のキロ程の差を算出し、その差に基づいて抽出間違い(3mを超えた場合、1m未満など)を除外する。
【0081】
(2)支柱位置高さの考慮
支柱位置高さはカントの影響によりある程度変化するが、ほぼ一定である。そこで、抽出した支柱位置高さはほぼ一定であることを考慮して抽出間違いを除去する。
【0082】
次いで、ステップS46の抽出H鋼支柱の判定条件を満たす場合は、抽出H鋼支柱の画像を出力し、その支柱中心部の中央位置を指定し、二値化閾値に基づいて二値化処理を行い、その画像の支柱中心部幅が所定の支柱中心部幅と同じであるかどうかを判定する(ステップS47→S48→S49→S50)。ここで、ステップS46における判定条件は、(1)支柱間隔が1.5m、2.0m、2.5m、3mに合致していることと、(2)抽出したH鋼支柱位置が左端部・中間部・右端部の一連のセットで、画像上高さの数値で極端な変化がないことである。すなわち、(1)1m以下や4m以上の支柱間隔の場合や、(2)抽出したH鋼支柱位置が左端部・中間部・右端部の一連のセットで、画像上高さの数値で極端な変化がある場合は、ステップS46においてNOと判定する。また、画像の支柱中心部幅が所定の支柱中心部幅と同じでない場合は、上下に二値化閾値をずらし再検索する(ステップS50→S51)。
【0083】
具体的には、支柱端部の中心部の幅のpixelを規定値とし、水平方向に1pixel幅で1ライン取得し、明るさの最大最小の中央値で二値化を行い、規定値のpixel数に近い輝度のピークが見つかったときはその位置を支柱の中心部とし、ピークが見つからなかったときは二値化閾値を上下にずらし、再度二値化処理を行う。これにより、光の影響などで支柱中心部幅が二値化処理をしたときに細くなったり太くなったりしている場合は、その影響を避けることができる。
【0084】
一方、所定の支柱中心部幅と同じである場合は、コンクリートパネル、隙間、支柱、隙間、コンクリートパネルのそれぞれを輝度値より区別する(ステップS50→S52)。具体的には、支柱端部の中心部を抽出し、抽出した中心部の位置からその両側に広がる輝度の低い部分を検索し、輝度が上がったところがパネル120と認識し、支柱端部からパネル120までを隙間とする。これにより、支柱110がH鋼支柱である場合に、H鋼支柱、パネル120、隙間141を正確に区別することができる。
【0085】
次いで、その区別位置から隙間を計測する(ステップS53)。このとき、画像の解像度を設定してピクセルから実寸を求める。さらに、H鋼支柱幅をもとに隙間から掛かり量を算出し、抽出支柱の隙間計測結果を出力する(ステップS54→S55)。
【0086】
次のフレームへ移り、同様の処理を繰り返す(ステップS56→S41→・・・)。最終フレームに達した場合は、次工程へ移る(ステップS57)。
【0087】
図18は、第2の実施の形態に係る点検作業支援装置20の動作を示すフローチャートである。ここでは、危険度判定部28、隙間計測台帳出力部29の動作について説明する。
【0088】
まず、抽出支柱隙間計測結果をもとに、防音壁パネルの左右端部支柱(起点方支柱と終点方支柱)を特定する(ステップS61→S62)。具体的には、テンプレートマッチング時の適用テンプレート(端部(左・右)、中間部)の情報と支柱数を加味し、起点方支柱と終点方支柱の組(左端部−中間部、中間部−中間部、中間部−右端部)を決定する。
【0089】
次いで、危険度判定を行い、台帳出力する(ステップS63→S64)。危険度判定では、左右端部支柱の掛かり量、隙間の数値、及びパネル位置(端部から何番目のパネルか)に従って、複数段階の危険度(工事優先度)を判定する。例えば、5段階の危険度、及び問題なし(工事対象外)を判定するようにしてもよい。
【0090】
以降は、最終パネルまで同様の処理を繰り返す(ステップS65→S66→S61)。
【0091】
[H鋼支柱抽出処理]
図19は、第2の実施の形態に係るH鋼支柱抽出処理の説明図である。
図19(a)は、左端部テンプレート画像31と、中間部テンプレート画像32と、右端部テンプレート画像33の一例を示している。
図19(b)は、これらテンプレート画像31〜33を用いてH鋼支柱テンプレートマッチングを行う様子を示している。
【0092】
防音壁100の支柱110は、左端部→中間部→右端部(或いは、その逆)の順に構成されている。そのため、左端部の次は中間部(稀に右端部)、中間部の次は中間部又は右端部、右端部の次は少し間を空けて左端部の支柱という順である。そのことを考慮し、テンプレート画像31〜33のうち、適用テンプレートを適時選択する。
【0093】
例えば、
図19(b)に示すように、初めは、左端部テンプレート画像31が選択され、左端部テンプレート画像31によりH鋼支柱の画像41が抽出されている。次は、中間部テンプレート画像32又は右端部テンプレート画像33が選択され、中間部テンプレート画像32によりH鋼支柱の画像42,43,44が順次抽出されている。次の画像45は、抽出高さが所定範囲内にないため、抽出間違いとして除外されている。次は、中間部テンプレート画像32又は右端部テンプレート画像33が選択され、中間部テンプレート画像32によりH鋼支柱の画像46が抽出されている。最後は、中間部テンプレート画像32又は右端部テンプレート画像33が選択され、右端部テンプレート画像33によりH鋼支柱の画像47が抽出されている。
【0094】
[隙間計測処理]
図20は、第2の実施の形態に係る隙間計測処理の説明図である。以下、
図20を用いて、隙間計測処理を更に詳しく説明する。
【0095】
この図に示すように、支柱端部の中心部を抽出し、その位置からその両側に広がる輝度の低い部分を検索することとした。すなわち、まず支柱端部の中心部の幅のpixelを計測し、規定値とする。水平方向に1pixel幅で1ライン取得し、明るさの最大最小の中央値で二値化を行い、規定値のpixel数に近い輝度のピークがあれば、そこを支柱の中心部とする。規定の幅でピークが見つからなかったときは二値化閾値を中央値から上下にずらし、再度二値化処理を行う。支柱の中心部が抽出できたら、その両側に輝度の低い部分を計測し、輝度が上がったところをコンクリートパネルと認識し、そのコンクリートパネルまでを隙間としてpixel数を計測する。
【0096】
[まとめ]
以上のように、第2の実施の形態に係る点検作業支援装置20は、防音壁100の点検作業を支援する装置であって、上下線の防音壁100を同時に撮影した動画像を登録する撮影動画像登録部21と、撮影動画像登録部21により登録された動画像から防音壁100の支柱110の画像を抽出するH鋼支柱抽出部24と、H鋼支柱抽出部24により抽出された支柱110の画像をもとに防音壁100の支柱110とパネル120の隙間141を計測する隙間計測部26とを備える。これにより、動画像を用いて防音壁100の支柱110とパネル120の隙間141を正確に計測することができるため、防音壁100の点検作業を効率よく行うことが可能となる。
【0097】
なお、動画像には距離標情報が紐付けられていることが望ましい。動画像に距離標情報を紐付ける方法は、第1の実施の形態で説明した距離標情報管理方法でもよいし、それ以外の方法でもよい。
【0098】
また、隙間計測部26は、支柱端部の中心部を抽出し、抽出した中心部の位置からその両側に広がる輝度の低い部分を検索し、輝度が上がったところがパネル120と認識し、支柱端部からパネル120までを隙間としてもよい。これにより、支柱110がH鋼支柱である場合に、H鋼支柱、パネル120、隙間141を正確に区別することができる。
【0099】
また、隙間計測部26は、支柱端部の中心部の幅のpixelを規定値とし、水平方向に1pixel幅で1ライン取得し、明るさの最大最小の中央値で二値化を行い、規定値のpixel数に近い輝度のピークが見つかったときはその位置を支柱の中心部とし、ピークが見つからなかったときは二値化閾値を中央値から上下にずらしてもよい。これにより、光の影響などで支柱中心部幅が二値化処理をしたときに細くなったり太くなったりしている場合でも、その影響を受けにくい効果がある。
【0100】
また、H鋼支柱抽出部24は、左端部、中間部、右端部の支柱のテンプレート画像31〜33を持ち、左端部、中間部、右端部の順、又は右端部、中間部、左端部の順にテンプレートマッチングを行ってもよい。これにより、防音壁100の構成に応じて適用テンプレートを適時選択することができる。
【0101】
さらに、隙間計測部26により計測された隙間141から掛かり量を算出し、算出した掛かり量をもとに危険度を判定する危険度判定部28を備えてもよい。これにより、危険度をもとに工事の時期や必要性などを容易に判定することができる。
【0102】
なお、本発明は、点検作業支援装置20として実現することができるだけでなく、点検作業支援装置20が備える特徴的な処理部をステップとする隙間計測方法として実現したり、点検作業支援装置20としてコンピュータを機能させるためのプログラムとして実現したりすることもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体やインターネット等の伝送媒体を介して配信することができるのは言うまでもない。
【0103】
また、上記の説明では、線路内設備として半雪覆型の防音壁100を例示したが、線路内設備は防音壁100に限定されるものではない。例えば、トンネル内など、防音壁100のないところでも、そのトンネル(線路内設備)内にキロ程銘板が設置されていれば、本発明を適用することが可能である。
【0104】
さらに、上記の説明では、設備の一例として線路内設備を挙げたが、本発明の適用範囲は線路内に限定されるものではない。例えば、高速道路や河川などにも距離標識(設備)が設置されていれば、本発明を適用することが可能である。
【0105】
≪その他の実施の形態≫
上記のように、いくつかの実施の形態を記載したが、開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、各実施の形態を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0106】
このように、各実施の形態は、ここでは記載していない様々な態様を含む。