(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971737
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】連続可変バルブデュレーション装置およびこれを含むエンジン
(51)【国際特許分類】
F01L 1/356 20060101AFI20211111BHJP
F01L 1/04 20060101ALI20211111BHJP
F01L 1/047 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
F01L1/356 Z
F01L1/04 D
F01L1/047
【請求項の数】18
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-180948(P2017-180948)
(22)【出願日】2017年9月21日
(65)【公開番号】特開2018-96366(P2018-96366A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2020年6月17日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0171930
(32)【優先日】2016年12月15日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】孫 維 祥
(72)【発明者】
【氏名】徐 仁 起
(72)【発明者】
【氏名】權 奇 榮
(72)【発明者】
【氏名】柳 印 相
(72)【発明者】
【氏名】河 京 杓
(72)【発明者】
【氏名】朴 東 憲
(72)【発明者】
【氏名】金 宇 泰
(72)【発明者】
【氏名】金 伯 植
(72)【発明者】
【氏名】李 升 載
【審査官】
沼生 泰伸
(56)【参考文献】
【文献】
韓国登録特許第10−1664079(KR,B1)
【文献】
韓国登録特許第10−1684559(KR,B1)
【文献】
韓国登録特許第10−1664084(KR,B1)
【文献】
韓国登録特許第10−1628085(KR,B1)
【文献】
韓国登録特許第10−1664075(KR,B1)
【文献】
韓国登録特許第10−1655170(KR,B1)
【文献】
特開平08−338212(JP,A)
【文献】
特表2002−517669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01L 1/00− 1/46
F01L 9/00− 9/04
F01L 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カム軸と、
カムが形成され、前記カム軸が挿入され、前記カム軸に対する前記カムの相対的な位相が変更されるカムユニットと、
前記カム軸の回転を前記カムユニットに伝達するインナーブラケットと、
前記インナーブラケットが回転可能に挿入され、前記カム軸と平行な方向にガイド溝が形成されたホイールハウジングと、
前記カム軸と並んで具備されてガイド溝に挿入される制御シャフトを含み、選択的に前記制御シャフトを回転させて前記ホイールハウジングの前記カム軸に対する相対位置を変更する制御部と、
前記制御シャフトと前記ガイド溝との間に挿入されるスライダーハウジングと、を含み、
前記制御シャフトには前記スライダーハウジングに挿入されるスライディング部が形成され、前記スライディング部には前記スライダーハウジングが分離することを防ぐ結合溝が形成されたことを特徴とする連続可変バルブデュレーション装置。
【請求項2】
前記ホイールハウジングには前記カム軸に垂直な方向にガイド孔が形成され、
前記ホイールハウジングの移動を案内するように前記ガイド孔に挿入されるガイドシャフトを含むガイド部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の連続可変バルブデュレーション装置。
【請求項3】
前記ガイド部は、
前記ガイドシャフトを支持するガイドブラケットをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の連続可変バルブデュレーション装置。
【請求項4】
前記スライダーハウジングは非金属材質で形成されたことを特徴とする請求項1に記載の連続可変バルブデュレーション装置。
【請求項5】
前記スライダーハウジングにはオイル供給孔が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の連続可変バルブデュレーション装置。
【請求項6】
前記スライダーハウジングはその断面が“U”字形状に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の連続可変バルブデュレーション装置。
【請求項7】
前記スライダーハウジングが前記制御シャフトから分離しないように、前記スライダーハウジングの両端は、前記制御シャフトの軸方向に直交する断面視で、前記制御シャフトの中心を含む水平面よりもさらに下方に延長して形成されたことを特徴とする請求項6に記載の連続可変バルブデュレーション装置。
【請求項8】
前記スライダーハウジング内側には前記結合溝に挿入されるスライダーハウジング突出部が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の連続可変バルブデュレーション装置。
【請求項9】
前記インナーブラケットには第1、2スライディング孔が形成され、
前記カムユニットにはカムスロットが形成され、
前記カム軸に結合され、前記第1スライディング孔に回転可能に挿入されるスライダーピンと、
前記カムスロットにスライディング可能に挿入され、前記第2スライディング孔に回転可能に挿入されるローラカムと、
をさらに含むことを特徴とする請求項1の連続可変バルブデュレーション装置。
【請求項10】
前記ローラカムは、
前記カムスロットにスライディング可能に挿入されるローラカムボディーと、
前記第2スライディング孔に回転可能に挿入されるカムヘッドと、
前記ローラカムの離脱を防ぐように形成された突出部と、
を含むことを特徴とする請求項9に記載の連続可変バルブデュレーション装置。
【請求項11】
前記スライダーピンは、
前記カム軸にスライディング可能に結合されるピンボディーと、
前記第1スライディング孔に回転可能に挿入されるピンヘッドと、
を含むことを特徴とする請求項9に記載の連続可変バルブデュレーション装置。
【請求項12】
前記カム軸の内部にはその長手方向に沿ってカム軸オイル孔が形成され、
前記スライダーピンの前記ピンボディーには前記カム軸オイル孔と連通するボディーオイル孔が形成され、
前記スライダーピンの前記ピンヘッドには前記ボディーオイル孔と連通するオイル溝が形成されたことを特徴とする請求項11に記載の連続可変バルブデュレーション装置。
【請求項13】
前記カムユニットは一つのシリンダーと、それと隣接したシリンダーに対応してそれぞれ具備される第1、2カム部を含み、
前記インナーブラケットは前記カム軸の回転を前記第1、2カム部にそれぞれ伝達する第1、2インナーブラケットを含むことを特徴とする請求項1に記載の連続可変バルブデュレーション装置。
【請求項14】
前記ホイールハウジング内に具備され、前記第1、2インナーブラケットを支持するベアリングをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の連続可変バルブデュレーション装置。
【請求項15】
前記第1、2カム部には2個のカムが形成され、
前記各カム間にはカムキャップ結合部が形成され、
前記カムキャップ結合部を回転可能に支持するカム支持部が形成されたカムキャップをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の連続可変バルブデュレーション装置。
【請求項16】
前記カムユニットを回転可能に支持するカムキャップと、
前記ガイドシャフトを支持し、前記カムキャップに結合するガイドブラケットと、
をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の連続可変バルブデュレーション装置。
【請求項17】
前記制御シャフトが結合する第1、2ジャーナルと、
前記第1ジャーナルおよび前記第2ジャーナルを回転可能にそれぞれ支持するジャーナルブラケットと、
をさらに含み、
前記ジャーナルブラケットは前記カムキャップに装着されることを特徴とする請求項16に記載の連続可変バルブデュレーション装置。
【請求項18】
請求項1による連続可変バルブデュレーション装置が装着されたことを特徴とするエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続可変バルブデュレーション装置およびこれを含むエンジンに係り、より詳しくは、簡単な構成でバルブのデュレーションをエンジンの動作状態によって可変させることができる連続可変バルブデュレーション装置およびこれを含むエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、内燃機関(internal combustion engine)は燃焼室(combustion chamber)に燃料と空気を取り込んでこれを燃焼することで動力を得る。空気を吸入する時には、カム軸(camshaft)の駆動によって吸気バルブ(intake valves)を作動させ、吸気バルブが開いている間に空気が燃焼室に吸入される。また、カム軸の駆動によって排気バルブ(exhaust valve)を作動させ、排気バルブが開いている間に空気が燃焼室から排出される。
しかし、最適の吸気バルブ/排気バルブ動作は、エンジンの回転速度によって変わる。
【0003】
つまり、エンジンの回転速度によって適切なリフト(lift)またはバルブオープニング/クロージングタイムが異なる。このように、エンジンの回転速度によって適切なバルブ動作を具現するために、バルブを駆動させるカムの形状を複数個に設計するか、バルブがエンジン回転数によって異なるリフト(lift)で動作するように具現する連続可変バルブリフト(continuous variable valve lift、 CVVL)装置が研究されている。
また、バルブの開放時間を調節するものとして、CVVT(Continuous Variable Valve Timing)技術が開発されてきたが、これはバルブのデュレーションが固定された状態でバルブ開閉時点が同時に変更される技術である。
しかし、従来のCVVLまたはCVVTは、構成が複雑で、高コストの問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−109120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、エンジンの作動状態によってバルブのデュレーションを調節することができる連続可変バルブデュレーション装置およびこれを含むエンジンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による連続可変バルブデュレーション装置は、カム軸と、カムが形成され、前記カム軸が挿入され、前記カム軸に対する前記カムの相対的な位相が変更されるカムユニットと、前記カム軸の回転を前記カムユニットに伝達するインナーブラケットと、前記インナーブラケットが回転可能に挿入され、前記カム軸と平行な方向にガイド溝が形成されたホイールハウジングと、前記カム軸と並んで具備されてガイド溝に挿入される制御シャフトを含み、選択的に前記制御シャフトを回転させて前記ホイールハウジングの前記カム軸に対する相対位置を変更する制御部と、前記制御シャフトと前記ガイド溝との間に挿入されるスライダーハウジングと、を含
み、前記制御シャフトには前記スライダーハウジングに挿入されるスライディング部が形成され、前記スライディング部には前記スライダーハウジングが分離することを防ぐ結合溝が形成されたことを特徴とする。
【0007】
前記ホイールハウジングには前記カム軸に垂直な方向にガイド孔が形成され、前記連続可変バルブデュレーション装置は前記ホイールハウジングの移動を案内するように前記ガイド孔に挿入されるガイドシャフトを含むガイド部をさらに含むことを特徴とする。
【0008】
前記ガイド部は、前記ガイドシャフトを支持するガイドブラケットをさらに含むことを特徴とする。
【0009】
前記スライダーハウジングは、非金属材質で形成され、
オイル供給孔が形成され、
その断面は“U”字形状に形成され、
前記スライダーハウジングが前記制御シャフトから分離しないように、前記スライダーハウジングの両端は、前記制御シャフトの中心よりもさらに延長して形成されることを特徴とする。
【0011】
前記スライダーハウジング内側には前記結合溝に挿入されるスライダーハウジング突出部が形成されることを特徴とする。
【0012】
前記インナーブラケットには第1、2スライディング孔が形成され、前記カムユニットにはカムスロットが形成され、前記連続可変バルブデュレーション装置は、前記カム軸に結合され、前記第1スライディング孔に回転可能に挿入されるスライダーピンと、前記カムスロットにスライディング可能に挿入され、前記第2スライディング孔に回転可能に挿入されるローラカムと、をさらに含むことを特徴とする。
【0013】
前記ローラカムは、前記カムスロットにスライディング可能に挿入されるローラカムボディーと、前記第2スライディング孔に回転可能に挿入されるカムヘッドと、前記ローラカムの離脱を防ぐように形成された突出部と、を含むことを特徴とする。
【0014】
前記スライダーピンは、前記カム軸にスライディング可能に結合されるピンボディーと、前記第1スライディング孔に回転可能に挿入されるピンヘッドと、を含むことを特徴とする。
【0015】
前記カム軸の内部にはその長手方向に沿ってカム軸オイル孔が形成され、前記スライダーピンの前記ピンボディーには前記カム軸オイル孔と連通するボディーオイル孔が形成され、前記スライダーピンの前記ピンヘッドには前記ボディーオイル孔と連通するオイル溝が形成されることを特徴とする。
【0016】
前記カムユニットは、一つのシリンダーと、それと隣接したシリンダーに対応してそれぞれ具備される第1、2カム部を含み、前記インナーブラケットは、前記カム軸の回転を前記第1、2カム部にそれぞれ伝達する第1、2インナーブラケットと、を含むことを特徴とする。
【0017】
前記連続可変バルブデュレーション装置は、前記ホイールハウジング内に具備され、前記第1、2インナーブラケットを支持するベアリングと、をさらに含むことを特徴とする。
【0018】
前記第1、2カム部には2個のカムが形成され、前記各カム間にはカムキャップ結合部が形成され、前記連続可変バルブデュレーション装置は、前記カムキャップ結合部を回転可能に支持するカム支持部が形成されたカムキャップと、をさらに含むことを特徴とする。
【0019】
前記連続可変バルブデュレーション装置は、前記カムユニットを回転可能に支持するカムキャップと、前記ガイドシャフトを支持し、前記カムキャップに結合するガイドブラケットと、をさらに含むことを特徴とする。
【0020】
前記連続可変バルブデュレーション装置は、前記制御シャフトが結合する第1、2ジャーナルと、前記第1ジャーナルおよび前記第2ジャーナルを回転可能にそれぞれ支持するジャーナルブラケットと、をさらに含み、前記ジャーナルブラケットは、前記カムキャップに装着されることを特徴とする。
【0021】
本発明のエンジンは、連続可変バルブデュレーション装置を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の連続可変バルブデュレーション装置によると、簡単な構成でエンジンの作動状態によってバルブのデュレーションを調節することができる。
また、連続可変バルブデュレーション装置の構成が相対的に小さく、バルブトレインの全体高さを相対的に低く維持することができる。
また、既存の一般エンジンを大幅に設計変更することなく、連続可変バルブデュレーション装置を適用することができるので、生産性を高めることができ、生産コストを節減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置が装着されたエンジンの斜視図である。
【
図2】本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置の斜視図である。
【
図3】本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置の一部側面図である。
【
図4】本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置の分解斜視図である。
【
図5】(a)、(b)は、本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置のスライダーハウジングとスライディング部の斜視図である。
【
図6】本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置のスライダーハウジングの断面図である。
【
図7】本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置のスライダーハウジングの断面図である。
【
図8】本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置の制御シャフトを示した図面である。
【
図9】本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置のインナーブラケットとカムユニットの分解斜視図である。
【
図10】本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置のインナーブラケットとカムユニットの斜視図である。
【
図11】本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置の一部断面図である。
【
図12】本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置のホイールハウジングの斜視図である。
【
図13】本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置のガイド部とインナーブラケットの断面図である。
【
図14】本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置のインナーブラケットの分解斜視図である。
【
図15】本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置のインナーブラケットの断面図である。
【
図16】本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置の作動を説明する図面である。
【
図17】本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置の作動を説明する図面である。
【
図18】本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置の作動を説明する図面である。
【
図19】本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置のカムスロットを示した図面である。
【
図20】本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置のバルブプロファイルを示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施例について、詳細に説明する。
図1は本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置が装着されたエンジンの斜視図であり、
図2は本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置の斜視図である。
図3は本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置の一部側面図であり、
図4は本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置の分解斜視図である。
図5は本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置のスライダーハウジングとスライディング部の斜視図であり、
図6および
図7は本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置のスライダーハウジングの断面図である。
図8は本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置の制御シャフトを示した図面であり、
図9は本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置のインナーブラケットとカムユニットの分解斜視図である。
図10は本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置のインナーブラケットとカムユニットの斜視図である。
図1乃至
図10に示すとおり、本発明の実施例に係るエンジン1は連続可変バルブデュレーション装置を含む。
前記エンジンに4個のシリンダー201、202、203、204が形成されて示されているが、これに限定されない。
【0025】
本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置は、カム軸30と、カム71が形成され、カム軸30が挿入され、カム軸30に対するカム71の相対的な位相が変更されるカムユニット70と、カム軸30の回転をカムユニット70に伝達するインナーブラケット80と、インナーブラケット80が回転可能に挿入され、カム軸30と平行な方向にガイド溝91が形成されたホイールハウジング90と、カム軸30と並んで具備されてガイド溝91に挿入される制御シャフト108を含み、選択的に制御シャフト108を回転させてホイールハウジング90のカム軸30に対する相対位置を変更する制御部100と、制御シャフト108とガイド溝91との間に挿入されるスライダーハウジング50を含む。
カム軸30は、吸気カム軸か、吸気軸と排気カム軸であってもよい。
ホイールハウジング90にはカム軸30に垂直な方向にガイド孔95が形成され、連続可変バルブデュレーション装置は、ホイールハウジング90の移動を案内するようにガイド孔95に挿入されるガイドシャフト132を含むガイド部130を含む。
ガイド部130は、ガイドシャフト132を支持するガイドブラケット134をさらに含む。
【0026】
スライダーハウジング50は、非金属材質で形成され、ガイド溝91と制御シャフト108は、金属材質で形成されてもよい。
したがって、金属材質のガイド溝91と制御シャフト108が直接接触しないため衝撃、騒音、振動、摩耗、摩擦などを防ぐことができる。
例えば、スライダーハウジング50はガイド溝91と制御シャフト108との金属間の接触および線接触(line contact)を金属−非金属接触および面接触(area contact)に転換して騒音、振動および摩耗などを防ぐことができる。
スライダーハウジング50は、例えば、合成樹脂(synthetic resin)、つまり、PEEK(Polyether ether ketone)などの材料で形成され、ガイド溝91と制御シャフト108との衝撃、騒音、振動、摩耗、摩擦などを防ぐことができる。
スライダーハウジング50にはオイル供給孔52が形成され、オイルがオイル供給孔52に供給される。したがって、スライダーハウジング50とガイド溝91と制御シャフト108間の摩擦を低減することができる。
スライダーハウジング50には摩擦低減孔58が形成され、摩擦面を縮小して摩擦を低減することができ、飛散するオイルが摩擦低減孔58に一部貯蔵されて初期エンジンの始動時に摩擦低減が可能になる。また、スライダーハウジング50の素材コストを減らして原価節減が可能になる。
【0027】
スライダーハウジング50は、その断面が“U”字形状に形成され、ガイド溝91と制御シャフト108との間でスライダーハウジング50の挿入が容易になる。
制御部100は、制御シャフト108を選択的に回転させる制御モータ112をさらに含み、制御シャフト108にはスライダーハウジング50に挿入されるスライディング部106が形成される。
スライダーハウジング50が制御シャフト108から分離しないように、スライダーハウジング50の末端54は、制御シャフト108の中心よりもさらに延長して形成される。つまり、スライディング部106の中心(A)よりもスライダーハウジング50の末端54がさらに低い位置(B)まで延長形成され、スライディング部106がスライダーハウジング50を包んでスライディング部106から分離することを防ぐことができる。
スライディング部106にはスライダーハウジング50が分離することを防ぐ結合溝107が形成され、スライディング部106内側には結合溝107に挿入されるスライダーハウジング突出部56が形成される。
したがって、結合溝107とスライダーハウジング突出部56によってスライダーハウジング50がスライディング部106から分離することを防ぐことができる。
【0028】
制御シャフト108と、第1ジャーナル102および第2ジャーナル104とが結合し、第1ジャーナル102および第2ジャーナル104を回転可能にそれぞれ支持するようにジャーナルブラケット110が具備される。
図8に示すとおり、第1ジャーナル102および第2ジャーナル104の回転中心(X)から制御シャフト108の中心軸(Y)が偏心する。
図11は本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置の一部断面図であり、
図12は本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置のホイールハウジングの斜視図である。
図13は本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置のガイド部とインナーブラケットの断面図であり、
図14は本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置のインナーブラケットの分解斜視図である。
図15は本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置のインナーブラケットの断面図である。
図1乃至
図15に示すとおり、インナーブラケット80には第1、2スライディング孔86、88が形成され、カムユニット70にはカムスロット74が形成される。
連続可変バルブデュレーション装置は、カム軸30に結合され、第1スライディング孔86に回転可能に挿入されるスライダーピン60と、カムスロット74にスライディング可能に挿入され、第2スライディング孔88に回転可能に挿入されるローラカム82をさらに含む。
【0029】
ローラカム82は、カムスロット74にスライディング可能に挿入されるローラカムボディー82aと、第2スライディング孔88に回転可能に挿入されるローラカムヘッド82bとを含む。
ローラカム82にはローラカム82の離脱を防ぐ突出部82cが形成される。
スライダーピン60は、カム軸30にスライディング可能に挿入されるピンボディー62と、第1スライディング孔86に回転可能に挿入されるピンヘッド64とを含み、ピンボディー62とピンヘッド64は一体に形成してもよい。
カム軸30にはカム軸孔34が形成され、スライダーピン60のピンボディー62がカム軸孔34に移動可能に挿入され、ピンヘッド64が第1スライディング孔86内で回転可能に具備される。
カム軸30の内部にはその長手方向に沿ってカム軸オイル孔32が形成され、スライダーピン60のピンボディー62にはカム軸オイル孔32と連通するボディーオイル孔66が形成され、スライダーピン60のピンヘッド64にはボディーオイル孔66と連通孔69を介して連通するオイル溝68が形成される。
カム軸オイル孔32で伝達される潤滑油がボディーオイル孔66と、連通孔69およびオイル溝68とを介してインナーブラケット80に円滑に伝達される。
【0030】
カムユニット70は、一つのシリンダー、例えば、第1シリンダー201とそれと隣接したシリンダー、例えば、第2シリンダー202に対応してそれぞれ具備される第1、2カム部70a、70bを含み、インナーブラケット80はカム軸30の回転を第1、2カム部70a、70bにそれぞれ伝達する第1、2インナーブラケット80a、80bを含む。
連続可変バルブデュレーション装置は、ホイールハウジング90内に具備され、第1、2インナーブラケット80a、80bと結合するベアリング140をさらに含む。
ベアリング140は、ニードルベアリングであってもよく、一つのホイールハウジング90内に第1、2インナーブラケット80a、80bが具備され、ベアリング140によって第1、2インナーブラケット80a、80bが円滑に回転可能になる。
また、一つのホイールハウジング90内に第1、2インナーブラケット80a、80bが具備され、部品数が減って生産性および経済性が向上し、全体の機構が占める空間を減らすことができる。
ホイールハウジング90内に具備される第1インナーブラケット80aと、第2インナーブラケット80bとが結合されてもよい。例えば、第1インナーブラケット80aと、第2インナーブラケット80bにそれぞれ第1インナーブラケット結合部84と、第2インナーブラケット結合部85が形成され、第1インナーブラケット結合部84と、第2インナーブラケット結合部85とが結合されてもよい。
【0031】
図面には第1インナーブラケット結合部84と、第2インナーブラケット結合部85がそれぞれ凸/凹形状でこれを結合して示しているが、これに限定されない。
第1インナーブラケット80aと、第2インナーブラケット80bとが結合された場合、第1インナーブラケット80aと、第2インナーブラケット80bとが分離した場合よりも、部品、例えば、ベアリング、インナーブラケット、ホイールハウジングなどの製作公差によるズレを防ぎ、より安定した動きが可能になる。
第1、2カム部70a、70bには2個のカム71、72が形成され、各カム71、72間にはカムキャップ結合部76が形成される。
カム71、72と接触してバルブ200が開閉する。
連続可変バルブデュレーション装置は、カムキャップ結合部76を回転可能に支持するカム支持部46が形成されたカムキャップ40をさらに含む。
カムキャップ結合部76が形成されたカムユニット70を回転可能に支持するカムキャップ40にガイドブラケット134が結合する。
また、ジャーナルブラケット110もカムキャップ40に結合され、組み立ておよび整備が容易になる。
【0032】
図16乃至
図18は本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置の作動を説明する図面である。
図16に示すとおり、中立状態、つまり、カム軸30とカムユニット70の回転中心が一致した場合、カム71、72はカム軸30と同一の速度で回転する。
エンジンの作動状態によってECU(engine control unitor electric control unit、図示なし)が制御部100に制御信号を印加すると、例えば、制御モータ112が制御シャフト108を回転させる。
図17および
図18に示すとおり、制御シャフト108によってホイールハウジング90のカム軸30に対する相対位置が変更される。
ホイールハウジング90の位置がカム軸30の回転中心に対して一方向に移動すると、カムユニット70に対するカム71、72の回転速度がその位相によって変更される。
つまり、スライダーピン60のピンボディー62がカム軸30に形成されたカム軸孔34に移動可能に挿入され、ピンヘッド64が第1スライディング孔86内に回転可能に挿入され、ローラカム82が第2スライディング孔88に回転可能に挿入され、カムスロット74内で移動可能であるため、カム71、72はカム軸30に対する相対的な回転速度が変わる。
【0033】
図19は本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置のカムスロットを示した図面であり、
図20は本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置のバルブプロファイルを示したグラフである。
図19に示すとおり、カムスロット74がカム71または72よりも進角(
図18のa)または遅角(
図18のb)した位置に形成してもよく、またはカムローブ(lobe)と同一の位相に形成されて多様な形状のバルブプロファイルを形成することができる。
バルブ200の最大リフト値は一定であり、ホイールハウジング90の位置が相対的に変わることによってカム71、72のカム軸30に対する相対回転速度が変わり、バルブ200の開閉時間が変化し、これによって、バルブ200のデュレーションが変わる。
カムスロット74の形成位置、バルブ200の装着角度などによって
図20の(a)に示すとおり、バルブを開ける時間と閉じる時間を同時に変更することができる。
また、
図20の(b)に示すとおり、バルブ200の開放時間は一定し、バルブ200の閉鎖時間を進角(advanced)させるか、遅角(retarded)させることもできる。
反対に、
図20の(c)に示すとおり、バルブ200の閉鎖時間は一定し、バルブ200の開放時間を進角(advanced)させるか、遅角(retarded)させることもできる。
【0034】
上述のように、本発明の実施例に係る連続可変バルブデュレーション装置によると、バルブリフトの多様なデュレーションを具現することができる。
また、連続可変バルブデュレーション装置の構成が相対的に小さく、バルブトレインの全体高さを相対的に低く維持することができる。
また、既存の一般エンジンを大幅に設計変更することなく、連続可変バルブデュレーション装置を適用することできるので、生産性を高めることができ、生産コストを節減することができる。
スライダーピン60にボディーオイル孔66とオイル溝68が形成され、インナーブラケットなど回転する部品への潤滑油の供給が円滑になる。
ガイド溝91の形状を単純にすることで製作工程が単純であり、製作コストを節減することができる。
ガイド溝91と制御シャフト108との間にスライダーハウジング50が介在するため騒音、振動および摩耗などを抑制することができる。
【0035】
以上、本発明に関する好ましい実施例を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の属する技術分野を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0036】
1 エンジン
30 カム軸
32 カム軸オイル孔
34 カム軸孔
40 カムキャップ
46 カム支持部
50 スライダーハウジング
52 オイル供給孔
54 スライダーハウジング末端
56 スライダーハウジング突出部
60 スライダーピン
62 ピンボディー
64 ピンヘッド
66 ボディーオイル孔
68 オイル溝
69 連通孔
70 カムユニット
70a、70b 第1、2カム部
71、72 カム
74 カムスロット
76 カムキャップ結合部
80 インナーブラケット
82 ローラカム
82a ローラカムボディー
82b ローラカムヘッド
82c 突出部
83 カムスロット
84 第1インナーブラケット結合部
85 第2インナーブラケット結合部
86 第1スライディング孔
88 第2スライディング孔
90 ホイールハウジング
91 ガイド溝
95 ガイド孔
100 制御部
102 第1ジャーナル
103 第1ジャーナル孔
104 第2ジャーナル
105 第2ジャーナル孔
106 スライディング部
107 結合溝
108 制御シャフト
110 ジャーナルブラケット
111 ジャーナルブラケット突出部
112 制御モータ
130 ガイド部
132 ガイドシャフト
134 ガイドブラケット
140 ベアリング
200 バルブ
201〜204 第1〜4シリンダー