(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、ダンパが最伸長した際には、シリンダ内が大気圧以下とならないように配慮する必要があり、ダンパが最収縮した際には、シリンダ内の圧力によりロッドをシリンダ内から押し出す力(ロッド反力)が過剰とならないように配慮する必要がある。このような要求を満たすため、アキュムレータを備えたダンパでは、アキュムレータでシリンダ内の伸側室と圧側室に予圧力を与える場合がある。
【0009】
しかしながら、設置スペースと制振対象に応じてシリンダおよび外筒の長さと肉厚が設計上一義的に決まってしまう。このように、シリンダと外筒との間をアキュムレータとして利用しようとすると、アキュムレータの容積が設計上一義的に決められてしまうために、ダンパが最伸長しても最収縮してもロッド反力が最適となるようにアキュムレータの特性を調整するのは非常に困難である。
【0010】
また、ダンパの外部に別体でアキュムレータを設ける構造を採用して、この問題を解決しようとすると、ダンパ全体が大型化するとともに、非対称形状となるためにダンパを設置スペースへ取付ける際に、他部品との干渉を招きかねず設置作業が非常に面倒となる。
【0011】
そこで、本発明は、アキュムレータの特性の最適化が容易で、かつ、設置作業も容易なダンパの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した目的を達成するために、本発明のダンパは、シリンダと、シリンダ内に摺動自在に挿入されてシリンダ内を伸側室と圧側室
とに仕切るピストンと、シリンダ内に挿入されるとともにピストンに連結されるロッドと、シリンダの外周側に配置されてシリンダを覆う外筒と、シリンダと外筒との間に設置されたアキュムレータとを備え、アキュムレータ
は複数の孔が設けられたハウジングと、孔内に摺動自在に挿入されるフリーピストンと、フリーピストンを液室側へ向けて附勢するばね要素とを有する。
【0013】
また、本発明の他のダンパは、筒状のアキュムレータと、アキュムレータ内に摺動自在に挿入されてアキュムレータ内を伸側室と圧側室
とに仕切るピストンと、アキュムレータ内に挿入されるとともにピストンに連結されるロッドとを備え、アキュムレータ
は複数の孔が設けられた筒状のハウジングと、孔内に摺動自在に挿入されるフリーピストンと、フリーピストンを液室側へ向けて附勢するばね要素とを有する。
【0014】
さらに、本発明の他のダンパは、シリンダと、シリンダ内に摺動自在に挿入されてシリンダ内を伸側室と圧側室
とに仕切るピストンと、シリンダ内に挿入されるとともにピストンに連結されるロッドと、シリンダの外周に配置されてシリンダの外周を覆う筒状のアキュムレータとを備え、アキュムレータ
は複数の孔が設けられたハウジングと、孔内に摺動自在に挿入されるフリーピストンと、フリーピストンを液室側へ向けて附勢するばね要素とを有する。
【0015】
このように構成されたダンパによれば、アキュムレータのアキュムレータ容積をダンパの最伸長から最収縮までロッド反力が適切となるように調整でき、アキュムレータの特性をダンパに最適となるようにチューニングできる。また、ダンパの大型化や非対称形状となるのを回避できる。
【0016】
そして、アキュムレータにおけるハウジングが一端から他端へ通じる整流通路を有していてもよく、このように構成されたダンパによれば、作動液体が整流通路を通過する際に流速を減じて作動液体中の気泡の発生を防止できるので常時設定通りの減衰力を発揮できる。
【0017】
さらに、ダンパは、複数のアキュムレータをシリンダと外筒との間に軸方向に並べて配置させて構成されてもよい。このように構成されたダンパによれば、各々のアキュムレータにおけるハウジングの軸方向の寸法を短くしつつもアキュムレータ容積の確保が可能となるとともに各々のアキュムレータの加工が非常に簡単となる。
【0018】
そしてさらに、アキュムレータにおけるハウジングが液室とシリンダ内或いはアキュムレータ内とを連通する減衰通路と、減衰通路を通過する液体の流れに抵抗を与える減衰バルブとを有していてもよい。このように構成されたダンパによれば、ダンパの構造によって部品点数を削減できるか、或いは、ダンパの長手方向の長さを短くできる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のダンパによれば、アキュムレータの特性の最適化が容易で、かつ、設置作業も容易となる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。なお、以下に説明する各実施の形態のダンパにおいて共通する構成については同じ符号を付し、説明の重複を避けるために、一の実施の形態のダンパの説明において説明した構成については他の実施の形態のダンパにおける説明では詳細な説明を省略する。
【0022】
<第一の実施の形態>
第一の実施の形態におけるダンパD1は、
図1に示すように、シリンダ1と、シリンダ1内に摺動自在に挿入されてシリンダ1内を伸側室R1と圧側室R2
とに仕切るピストン2と、シリンダ1内に挿入されるとともにピストン2に連結されるロッド3と、シリンダ1の外周側に配置されてシリンダ1を覆う外筒4と、シリンダ1と外筒4との間に設置されたアキュムレータAとを備えて構成されている。
【0023】
以下、ダンパD1の各部について詳細に説明する。シリンダ1の一端には、バルブケース5が嵌合されており、他端にはロッドガイド6が嵌合されている。また、シリンダ1の外側には、シリンダ1の外周を覆ってシリンダ1との間にシリンダ1内に連通される環状隙間Sを形成する外筒4が設けられている。外筒4の一端は、キャップ7によって閉塞され、外筒4の他端はロッドガイド6によって閉塞されている。シリンダ1は、外筒4に装着されるロッドガイド6とキャップ7に当接するバルブケース5によって挟持されて外筒4内に収容されつつ固定されている。
【0024】
ピストン2は、シリンダ1内に摺動自在に挿入されており、シリンダ1内を伸側室R1と圧側室R2とに仕切っている。伸側室R1および圧側室R2には、それぞれ、作動液体として作動油が充填されている。なお、作動液体は、本例では、作動油とされているが、水や水溶液等といった他の液体とされてもよい。
【0025】
ピストン2は、伸側室R1と圧側室R2とを連通する伸側通路2aおよび圧側通路2bを備えている。伸側通路2aには、伸側室R1から圧側室R2へ向かう作動油の流れのみを許容するとともにこの流れに抵抗を与える伸側減衰バルブ2cが設けられ、圧側通路2bには、圧側室R2から伸側室R1へ向かう作動油の流れのみを許容するとともにこの流れに抵抗を与える圧側減衰バルブ2dが設けられている。なお、伸側減衰バルブ2cおよび圧側減衰バルブ2dには、調圧バルブ、リリーフバルブといった種々の減衰バルブを利用できる。このように本例では、伸側通路2aおよび圧側通路2bは、共に一方通行の通路に設定されているが、伸側通路2aおよび圧側通路2bの代わりに伸側室R1と圧側室R2を連通して双方向の流れを許容する通路を設けて、この通路に絞りなどの双方向流れを許容する減衰バルブを設けてもよい。
【0026】
また、ロッド3は、一端がロッドガイド6内を通してシリンダ1内に移動自在に挿入されてピストン2に連結されるとともに他端をシリンダ1外に突出させている。本例では、ダンパD1は、ロッド3が伸側室R1内にのみ挿通される所謂片ロッド型のダンパとされているが、圧側室R2にも挿通されてロッド3の両端がシリンダ1の両端側からそれぞれ外方へ突出する所謂両ロッド型のダンパとされていてもよい。ダンパD1は、制振対象に連結できるように、キャップ7とロッド3の他端の双方にブラケット3a,7aを備えている。
【0027】
バルブケース5は、圧側室R2と環状隙間Sとを連通する排出通路5aと吸込通路5bとを備えている。排出通路5aには、圧側室R2から環状隙間Sへ向かう作動油の流れに抵抗を与えるベースバルブ5cが設けられており、吸込通路5bには、環状隙間Sから圧側室R2へ向かう作動油の流れのみを許容する逆止弁5dが設けられている。なお、ベースバルブ5cには、伸側減衰バルブ2cおよび圧側減衰バルブ2dと同様に種々の構造の減衰バルブを利用できる。ベースバルブ5cは、圧側室R2から環状隙間Sへ向かう流体の流れのみを許容するものでもよいし、双方向の流れを許容するものでもよい。
【0028】
アキュムレータAは、
図1および
図2に示すように、複数の孔10aを備えた筒状のハウジング10と、孔10a内に摺動自在に挿入されるフリーピストン11と、フリーピストン11を附勢するばね要素としてのコイルばね12とを備えて構成されている。
【0029】
ハウジング10は、肉厚の筒状であって外筒4の内周に装着されるCリング13,14によって挟持されて軸方向への移動が規制された状態でシリンダ1と外筒4との間の環状隙間Sに収容されている。なお、Cリング13,14は、シリンダ1の外周に装着されていてもよい。また、ハウジング10は、本例では、
図2に示すように、軸方向に沿って形成される六つの孔10aを備えるとともに、一端から開口して他端へ通じる二つの整流通路10bを備えている。
【0030】
なお、整流通路10bの直径は、孔10aの直径よりも小径に設定されている。また、本例では、孔10aは、ハウジング10を軸方向に貫く貫通孔とされており、
図1中左端となるヘッド側端は開放される一方、
図1中右端となるボトム側端は孔10aのボトム側端に装着されるプラグ15によって閉塞されている。孔10aの容積は、アキュムレータAにおけるアキュムレータ容積に寄与するものであり、孔10aの設置数と容積は、ダンパD1に適するように設定されればよい。なお、プラグ15を廃止して孔10aを底がある袋孔としてもよい。ハウジング10は、金属で形成されてもよいが、合成樹脂で形成されてもよい。ハウジング10を合成樹脂で成形する場合、射出成形等の型を利用した製造ができるので孔あけ加工が不要となるので加工工数を低減できる。
【0031】
そして、この孔10a内には、フリーピストン11が摺動自在に挿入されている。そして、フリーピストン11は、孔10a内を、環状隙間Sおよび排出通路5a或いは吸込通路5bを通じてシリンダ1内の圧側室R2内へ連通される液室Lと密閉される密閉室Cとに仕切っている。液室Lと環状隙間Sには、伸側室R1および圧側室R2と同様に作動液体として作動油が充填される。
【0032】
また、密閉室C内には、気体が充填されるとともにコイルばね12が収容されている。気体は、窒素等の不活性ガスとされるとよいが、大気等、他の気体の利用も可能である。コイルばね12の一端はフリーピストン11の端部に設けた突起11aに嵌合されており、コイルばね12の他端はプラグ15の端部に設けた突起15aに嵌合されている。よって、フリーピストン11は、コイルばね12およびプラグ15によってハウジング10の孔10a内から脱落して外方へ抜け出ないようになっている。フリーピストン11は、密閉室C内の圧力とコイルばね12の弾発力によって液室L側に附勢されており、環状隙間S内およびシリンダ1内を加圧している。なお、ばね要素は、コイルばね12のばね、ゴムなどの弾性体であってもよいし、密閉室C内に気体を封入して構成されるエアばねであってもよい。
【0033】
このように構成されたダンパD1の作動について説明する。まず、ダンパD1が伸長作動する場合の作動を説明する。ダンパD1が伸長作動してピストン2がシリンダ1に対して
図1中左方へ移動すると、伸側室R1が圧縮されて圧側室R2の容積が拡大される。すると、圧縮される伸側室R1内の作動油は、伸側通路2aを通過して圧側室R2へ移動する。また、ロッド3がシリンダ1から退出する体積分の作動油がシリンダ1内で不足するが、フリーピストン11が液室L側に移動してこの不足分に見合った作動油が液室Lから押し出されて吸込通路5bを介してシリンダ1内へ供給される。このようにアキュムレータAによって、ロッド3がシリンダ1内から退出する体積分の作動油がシリンダ1内に供給されて、ダンパD1の伸長行程時の体積補償が行われる。そして、前記した伸側通路2aを介して伸側室R1から圧側室R2へ向かう作動油の流れに対して、伸側減衰バルブ2cが抵抗を与えるので、伸側室R1内の圧力は上昇する。他方のアキュムレータAから作動油の供給を受ける圧側室R2内の圧力は、アキュムレータA内の圧力と等しくなる。よって、伸側室R1と圧側室R2の圧力に差が生じ、ダンパD1は、圧力差に見合った伸長を妨げる方向の伸側減衰力を発揮する。
【0034】
つづいて、ダンパD1が収縮作動する場合の作動を説明する。ダンパD1が収縮作動してピストン2がシリンダ1に対して
図1中右方へ移動すると、圧側室R2が圧縮されて伸側室R1の容積が拡大される。すると、圧縮される圧側室R2内の作動油は、圧側通路2bを通過して伸側室R1へ移動する。また、ロッド3がシリンダ1内へ進入する体積分の作動油は、シリンダ1内で過剰となる。この過剰分の作動油は、排出通路5aを介して環状隙間Sへ排出され、フリーピストン11が孔10a内で密閉室Cを圧縮する方向へ移動して液室Lを拡大し、アキュムレータAによって吸収される。このように、ロッド3がシリンダ1内へ進入する体積分の作動油がアキュムレータAに吸収されて、ダンパD1の収縮行程時の体積補償が行われる。そして、排出通路5aを介して圧側室R2からアキュムレータAへ向かう作動用の流れに対してベースバルブ5cが抵抗を与え、圧側通路2bを介して圧側室R2から伸側室R1へ向かう作動油の流れに対して伸側減衰バルブ2cが抵抗を与える。そのため、圧側室R2の圧力が上昇するとともに伸側室R1内の圧力は下降して、伸側室R1と圧側室R2の圧力に差が生じ、ダンパD1は、圧力差に見合った収縮を妨げる方向の圧側減衰力を発揮する。なお、アキュムレータAは、作動油の温度変化による体積変化が生じると、フリーピストン11が変位して液室Lを拡縮させて作動油の体積変化を吸収できる。
【0035】
前述したところでは、ダンパD1は、排出通路5aに設けたベースバルブ5c、ピストン2に設けた伸側減衰バルブ2cおよび圧側減衰バルブ2dによって減衰力を発揮しているが、これらに代えて或いは加えて、シリンダ1に環状隙間Sを介して液室Lに通じるオリフィスを設けて減衰力を発揮してもよい。この場合、オリフィスを複数軸方向に配置して設けておけば、ダンパD1は、ピストン2がシリンダ1の中央からストロークエンドに向かって変位していくと伸側室R1あるいは圧側室R2を液室Lに連通するオリフィスの数が変化するので、ダンパD1はピストン2の位置に依存して変化する減衰力を発揮できるようになる。この様なオリフィスの追加は、以下で説明する各実施の形態のダンパにも採用できる。
【0036】
このダンパD1の収縮行程時には、シリンダ1からアキュムレータAの液室Lへ向けて作動油が流れるが、収縮速度が速いと排出通路5aを通過した作動油が勢いよく環状隙間Sへ流れる。しかし、アキュムレータAの液室Lは、ダンパD1のヘッド側となる
図1中左方に開口しており、作動油は、ハウジング10に設けた小径の
整流通路10bを通過してから液室Lへ到達する。作動油の流速は、液室Lへ到達する前に整流通路10bの通過により減速される。
【0037】
よって、このように整流通路10bを設けておくと、作動油の流速が減速されて環状隙間S内での作動油の撹拌が抑制され、作動油中に溶け込んだ気体が気泡となって出現するのを防止できる。気泡が作動油中に出現すると、ダンパD1が設定通りの減衰力を発揮し難くなるが、本例のダンパD1では、気泡の発生を防止できるので常時設定通りの減衰力を発揮できる。
【0038】
なお、本例では、整流通路10bをハウジング10の肉を軸方向に貫くように形成されているが、ハウジング10の外周或いは内周に溝を設けて流速を減速させる整流通路としてもよい。また、
図3に示す第一の実施の形態の第一変形例のダンパD11のように、ハウジング10の外径を外筒4に嵌合できる径として、ハウジング10の内径をシリンダ1との間に流速を減速させ得る隙間を形成できる径として、流速を減速させる整流通路としてハウジング10とシリンダ1との間の隙間を利用してもよい。さらには、
図4に示す第一の実施の形態の第二変形例のダンパD12のように、ハウジング10の内径をシリンダ1に嵌合できる径として、ハウジング10の外径を外筒4との間に流速を減速させ得る隙間を形成できる径として、流速を減速させる整流通路としてハウジング10と外筒4との間の隙間を利用してもよい。この場合、アキュムレータAは、シリンダ1の外周に装着されるCリング13,14を用いてシリンダ1に固定されればよい。なお、流速を減速させる必要がない場合、液室Lの開口がダンパD1のボトム側に向くようにアキュムレータAを配置してもよい。
【0039】
そして、本発明のダンパD1にあっては、シリンダ1と外筒4との間の環状隙間Sをそのままアキュムレータとして利用するのではなく、この環状隙間Sに、
複数の孔10aを備えたハウジング10と、孔10a内に液室Lを仕切るフリーピストン11と、コイルばね(ばね要素)12とを備えたアキュムレータAを備えている。
【0040】
アキュムレータAのアキュムレータ容積に寄与する孔10aの容積、設置数は、ハウジング10で許容される限りにおいて任意に設定できるから、アキュムレータAを備えたダンパD1によれば、最伸長から最収縮までロッド反力が適切となるようにアキュムレータAのアキュムレータ容積を調整でき、アキュムレータAの特性をダンパD1に最適となるようにチューニングできる。また、アキュムレータAは、シリンダ1と外筒4との間の環状隙間S内に収容されるので、ダンパD1の大型化や非対称形状となるのを回避でき、ダンパD1を設置スペースへ取付ける際に他部品との干渉を招かずに済む。以上より、本発明のダンパD1によれば、アキュムレータAの特性の最適化が容易で、かつ、設置作業も容易となる。なお、アキュムレータAの特性のチューニングの際に、ハウジング10に設ける孔10aの設置数と容積をダンパD1の仕様に合わせて変更してもよいが、孔10aの設置数と容積を決めておいて、必要となるアキュムレータ容積に応じてダンパD1に最適となる個数の孔10aのみにフリーピストン11とばね要素を設けてアキュムレータAの特性をチューニングしてもよい。
【0041】
本例では、アキュムレータAがシリンダ1と外筒4との間の環状隙間S内に収容されるので、ハウジング10を軸方向から見た形状が円形でなくとも扇形状やC形状といった形状とされてもよい。
【0042】
また、本例では、バルブケース5を設けているがバルブケース5を廃止して、
図5に示す第一の実施の形態の第三変形例のダンパD13のように、シリンダ1の
図5中右端に環状隙間Sと連通する透孔1aを設けて、アキュムレータAにおけるハウジング10が、ハウジング10の一端から他端へ通じる減衰通路16と吸込通路17と、減衰通路16に設けた減衰バルブ18と、吸込通路17に設けた逆止弁19とを備えてもよい。なお、この場合、ハウジング10は、整流通路10bを備えない。
【0043】
環状隙間SのアキュムレータAより
図5中右方のボトム側は、透孔1aによってシリンダ1内に連通されて圧側室R2の一部として機能する。減衰バルブ18は、圧側室R2からアキュムレータAにおける液室Lへ向かう作動油の流れに抵抗を与える。逆止弁19は、アキュムレータAにおける液室Lから圧側室R2へ向かう作動油の流れのみを許容する。よって、ダンパD13が伸長する際には、逆止弁19が開いて液室Lからロッド3がシリンダ1から退出する体積分の作動油が圧側室R2に供給されて体積補償がなされ、ダンパD13は伸側減衰バルブ2cによって生じる伸側室R1と圧側室R2の圧力差に見合った伸側減衰力を発揮する。また、ダンパD1が収縮する際には、ロッド3がシリンダ1内に進入する体積分の作動油が圧側室R2から減衰バルブ18を通過して液室Lへ移動して体積補償がなされ、ダンパD13は圧側減衰バルブ2dと減衰バルブ18によって生じる圧側室R2と伸側室R1の圧力差に見合った圧側減衰力を発揮する。
【0044】
このように、第一の実施の形態の第三変形例のダンパD13では、アキュムレータAの
図5中右方のボトム側が圧側室R2の一部として機能し、減衰バルブ18がベースバルブとして機能するので、アキュムレータAがバルブケース5として機能する。バルブケース5の機能は、アキュムレータと圧側室R2とを仕切り、アキュムレータAと圧側室R2とを連通する排出通路5aと吸込通路5bの形成と、ベースバルブ5cと逆止弁5dの保持にあるが、この機能をアキュムレータAに集約できる。よって、ダンパD13の部品点数を削減できるので、ダンパD13が安価となる。
【0045】
なお、
図6に示す第一の実施の形態の第四変形例のダンパD14のように、シリンダ1と外筒4との間の環状隙間S内に複数のアキュムレータAを軸方向に並べて配置してもよい。この場合、アキュムレータAを並べて配置されても、隣り合うアキュムレータA同士で孔10a,10
aの開口部が閉塞されないように、ハウジング10の
図3中左端となるヘッド側端外周に切欠部10cを設けている。よって、孔10aの開口端および整流通路10bは、切欠部10cに臨んでいる。そして、各アキュムレータAのハウジング10を同一方向に向けて並べて配置すれば、切欠部10cを設けていないハウジング10の端部と切欠部10cを備えたハウジング10の端部が接するから、孔10aの開口端および整流通路10bが閉塞されるのを防止できる。
【0046】
ダンパD14が長尺な場合、一つのアキュムレータAでアキュムレータ容積を確保する場合にハウジング10が長尺となって加工が困難となる場合があるが、複数のアキュムレータAを設置する場合には、各々のアキュムレータAにおけるハウジング10の軸方向の寸法を短くしつつもアキュムレータ容積の確保が可能となるとともに各々のアキュムレータAの加工が非常に簡単となる。
【0047】
また、前述したところでは、バイフロー型のダンパD1にアキュムレータAを適用しているが、
図7に示す第一の実施の形態の第五変形例のダンパD15のように、ユニフロー型のダンパD15にアキュムレータAを適用してもよい。
【0048】
具体的には、ダンパD15では、ピストン2にはピストン通路2eとピストン通路2eを圧側室R2から伸側室R1へ向かう作動油の流れのみを許容する一方通行の通路に設定する逆止弁2fを設け、バルブケース5には、排出通路5aとベースバルブ5cを廃して吸込通路5bと逆止弁5dのみを設け、ロッドガイド6に伸側室R1と環状隙間Sとを連通する減衰通路20と減衰通路20を伸側室R1から環状隙間Sへ向けて通過する作動油の流れのみを許容するとともにこの流れに抵抗を与える減衰バルブ21を設けている。アキュムレータAは、ダンパD1と同様に環状隙間S内に収容されており、本例では、液室Lの開口を
図7中右側となるボトム側に向けた状態でCリング13,14によって固定されている。
【0049】
このように構成されたダンパD15が伸長作動する場合、ピストン2によって圧縮される伸側室R1から作動油が減衰通路20を介して環状隙間S内に排出される。また、ロッド3がシリンダ1内から退出する体積分の作動油が吸込通路5bを介して液室Lから拡大する圧側室R2に供給される。そして、伸側室R1から環状隙間Sへ向かう作動油の流れに対して減衰バルブ21が抵抗を与えるので、伸側室R1内の圧力が上昇し、圧側室R2の圧力はアキュムレータA内の圧力に等しくなる。よって、ダンパD15が伸長作動する場合、減衰バルブ21によって伸側室R1と圧側室R2とに圧力差が生じ、ダンパD15は、この圧力差に見合って伸長作動を妨げる伸側減衰力を発揮する。
【0050】
また、ダンパD15が収縮作動する場合、ピストン2によって圧縮される圧側室R2から作動油がピストン通路2eを介して伸側室R1へ移動する。また、ロッド3がシリンダ1内へ進入する体積分の作動油がシリンダ1内で過剰となるので、過剰分の作動油が減衰通路20を介して環状隙間S内に排出される。この過剰分の作動油は、環状隙間Sに進入した後に整流通路10bを通過して流速が減速されるとともにフリーピストン11が孔10a内で密閉室C側へ後退して拡大される液室Lに吸収され、収縮作動時の体積補償がなされる。そして、伸側室R1から環状隙間Sへ向かう作動油の流れに対して減衰バルブ21が抵抗を与え、逆止弁2fが開いて伸側室R1と圧側室R2とがピストン通路2eで連通状態におかれるので、伸側室R1と圧側室R2の圧力が等しく上昇する。ピストン2における伸側室R1に面する面積は、ピストン2における圧側室R2に面する面積よりもロッド3の断面積だけ小さいために、シリンダ1内の圧力によってピストン2は
図7中左方へ押されるため、ダンパD15は、収縮作動を妨げる圧側減衰力を発揮する。
【0051】
このようにダンパD15では、伸縮作動すると必ず伸側室R1から減衰通路20を介して作動油が環状隙間Sへ排出され、アキュムレータA、圧側室R2、伸側室R1の順に作動油が一方通行で循環するユニフロー型のダンパとされる。このように構成されたダンパD15にあっても、伸縮作動時に伸縮を妨げる方向の減衰力を発揮でき、アキュムレータAで体積補償が行われる。したがって、アキュムレータAを備えたユニフロー型のダンパD15にあっても最伸長から最収縮までロッド反力が適切となるようにアキュムレータAのアキュムレータ容積を調整でき、アキュムレータAの特性をダンパD15に最適となるようにチューニングできる。また、アキュムレータAは、シリンダ1と外筒4との間の環状隙間S内に収容されるので、ダンパD15の大型化や非対称形状となるのを回避でき、ダンパD15を設置スペースへ取付ける際に、他部品との干渉を招かずに済む。以上より、本例のダンパD15は、アキュムレータAの特性の最適化が容易で、かつ、設置作業も容易となる。
【0052】
なお、
図8に示す第一の実施の形態の第六変形例のダンパD16のように、ロッドガイド6に設けている減衰バルブ21をアキュムレータAに設けてもよい。この場合、ロッドガイド6には、減衰通路20と減衰バルブ21の代わりに伸側室R1と環状隙間S内のアキュムレータAより
図8中左側となるヘッド側とを連通する通路22のみを設けて、アキュムレータAにおけるハウジング10の整流通路10bを廃止し、ハウジング10に減衰通路23と減衰バルブ24を設ければよい。なお、この場合は、液室Lの開口は、
図8中右側となるボトム側へ向けておき、減衰バルブ21が環状隙間S内のアキュムレータAより
図8中左側のヘッド側から
図8中右側のボトム側へ向う作動油の流れのみを許容するように設定してある。このように構成されたダンパD16は、ダンパD15と同様にユニフロー型ダンパとして機能するが、アキュムレータAに減衰通路23と減衰バルブ24を設けているので、ロッドガイド6に減衰バルブを設ける必要がなくなるからロッドガイド6の軸方向長さを短くできる。よって、ユニフロー型に設定されるダンパD16の長手方向寸法を短くできる。
【0053】
<第二の実施の形態>
第二の実施の形態におけるダンパD2は、
図9に示すように、アキュムレータA1のハウジング30をそのままシリンダとして利用している。具体的には、ダンパD2は、筒状のアキュムレータA1と、アキュムレータA1内に摺動自在に挿入されてアキュムレータA1内を伸側室R1と圧側室R2
とに仕切るピストン2と、アキュムレータA1内に挿入されるとともにピストン2に連結されるロッド3とを備えて構成されている。
【0054】
この例におけるアキュムレータA1は、複数の孔30aを有するハウジング30と、孔30a内に摺動自在に挿入されるフリーピストン31と、フリーピストン31を附勢するばね要素としてのコイルばね32とを備えている。
【0055】
ハウジング30は、孔30aと
整流通路30bを備える他に筒状であって、内周にピストン2が摺動自在に挿入されており、両端外周部にそれぞれロッドガイド6とキャップ7に嵌合する環状のソケット30c,30dを備えている。よって、この場合、ハウジング30は、ロッドガイド6とキャップ7に装着されていて、ダンパD2における強度部材として機能するとともにシリンダとして機能しており、ハウジング30内はピストン2によって伸側室R1と圧側室R2とに仕切られている。また、ハウジング30は、本例では、第一の実施の形態のアキュムレータAにおけるハウジング10と同様に、軸方向に沿って形成される六つの孔30aを備えるとともに、一端から開口して他端へ通じる二つの整流通路30bを備えている。なお、整流通路30bの直径は、孔30aの直径よりも小径に設定されている。また、本例では、孔30aは、ハウジング30を軸方向に貫く貫通孔とされており、ハウジング30の両端のそれぞれソケット30c,30dの内側に開口している。また、孔30aの
図9中左端となるヘッド側端は、ロッドガイド6の外周に設けた環状凹部6aに臨んでおり、環状凹部6aを介して整流通路30bに連通されている。また、
図9中右端となるボトム側端は孔30aのボトム側端に装着されるプラグ33によって閉塞されている。整流通路30bの
図9中右端のボトム側端は、バルブケース5の外周に設けられた環状凹部5eに臨んでおり、排出通路5aおよび吸込通路5bを通じて圧側室R2に連通されている。よって、アキュムレータA1における液室Lは、環状凹部5e,6aおよび整流通路30bを通じてハウジング30内に設けられた圧側室R2に連通されているが、液室Lと圧側室R2とを連通する流路構造はこれに限定されない。また、孔30aの容積は、アキュムレータAの孔10aと同様にアキュムレータ容積に寄与するものであり、孔30aの設置数と容積は、ダンパD2に適するように設定されればよい。なお、プラグ33を廃止して孔30aを底がある袋孔としてもよい。
【0056】
そして、この孔30a内には、フリーピストン31が摺動自在に挿入されている。そして、フリーピストン31は、孔30a内を、排出通路5a或いは吸込通路5bを通じてシリンダ1内の圧側室R2内へ連通される液室Lと密閉される密閉室Cとに仕切っている。液室Lには、伸側室R1および圧側室R2と同様に作動液体として作動油が充填される。
【0057】
また、密閉室C内には、気体が充填されるとともにコイルばね32が収容されている。気体は、窒素等の不活性ガスとされるとよいが、大気等、他の気体の利用も可能である。コイルばね32の一端はフリーピストン31の端部に設けた突起31aに嵌合されており、コイルばね32の他端はプラグ33の端部に設けた突起33aに嵌合されている。よって、フリーピストン31は、コイルばね32およびプラグ15によってハウジング10の孔10a内から脱落して外方へ抜け出ないようになっている。フリーピストン31は、密閉室C内の圧力とコイルばね32の弾発力によって液室L側に附勢されており、アキュムレータAの内側に設けられる伸側室R1と圧側室R2とを加圧している。なお、ばね要素は、コイルばね32のばね、ゴムなどの弾性体であってもよいし、密閉室C内に気体を封入して構成されるエアばねであってもよい。
【0058】
そして、ハウジング30の内周には、ピストン2が摺動自在に挿入されており、ピストン2によってアキュムレータA内の空間が伸側室R1と圧側室R2とに仕切られている。また、ピストン2には、伸側室R1と圧側室R2とを連通する伸側通路2aおよび圧側通路2bと、伸側通路2aに設けた伸側減衰バルブ2cと、圧側通路2bに設けた圧側減衰バルブ2dとが設けられている。
【0059】
つまり、このダンパD2は、シリンダ1と外筒4を廃止してアキュムレータA1をシリンダ1として機能させている点でダンパD1と異なるだけであり、ダンパD1と同様の作動を呈する。このようにダンパD2を構成しても、アキュムレータA1のアキュムレータ容積に寄与する孔30aの容積、設置数は、ハウジング30で許容される限りにおいて任意に設定できる。よって、アキュムレータA1を備えたダンパD2によれば、最伸長から最収縮までロッド反力が適切となるようにアキュムレータA1のアキュムレータ容積を調整でき、アキュムレータA1の特性をダンパD2に最適となるようにチューニングできる。また、アキュムレータA1は、シリンダ1を兼ねており、ダンパD2の大型化や非対称形状となるのを回避でき、ダンパD2を設置スペースへ取付ける際に他部品との干渉を招かずに済む。以上より、本発明のダンパD2によれば、アキュムレータA1の特性の最適化が容易で、かつ、設置作業も容易となる。なお、アキュムレータA1の特性のチューニングの際に、ハウジング30に設ける孔30aの設置数と容積をダンパD2の仕様に合わせて変更してもよいが、孔30aの設置数と容積を決めておいて、必要となるアキュムレータ容積に応じてダンパD2に最適となる個数の孔30aのみにフリーピストン31とばね要素を設けてアキュムレータA1の特性をチューニングしてもよい。
【0060】
また、本例のダンパD2は、ハウジング30に整流通路30bを備えているので、ダンパD2の収縮行程時に作動油が圧側室R2から液室Lへ至る間に流速を減速させ得るので、気泡の発生を防止して常時設定通りの減衰力を発揮できる。
【0061】
なお、このようにアキュムレータA1のハウジング30をシリンダとして機能させるようにする場合にあっても、第一の実施の形態の第三変形例のダンパD13のようにベースバルブをアキュムレータA1に設ける構造の採用も可能であるし、第一の実施の形態の第五変形例のダンパD15や第六変形例のダンパD16のようにユニフロー構造のダンパへのアキュムレータA1の適用も可能である。
【0062】
また、
図10に示す第二の実施の形態の第一変形例におけるダンパD21のように、シリンダとして機能するアキュムレータA1の外周に外筒40を設けて、外筒40で軸力その他の荷重を受けるようにしてもよい。
【0063】
<第三の実施の形態>
さらに、
図11に示す第三の実施の形態におけるダンパD3のように、第二の実施の形態のダンパD2の構造に加えて、アキュムレータA1の内周にシリンダ1を設けるようにしてもよい。
【0064】
第三の実施の形態のダンパD3は、シリンダ1と、シリンダ1内に摺動自在に挿入されてシリンダ1内を伸側室R1と圧側室R2
とに仕切るピストン2と、シリンダ1内に挿入されるとともにピストン2に連結されるロッド3と、シリンダ1の外周に配置されてシリンダ1の外周を覆う筒状のアキュムレータA1とを備えて構成されている。このように構成されるダンパD3にあっても、第二の実施の形態のダンパD2と同様の作動を呈し、最伸長から最収縮までロッド反力が適切となるようにアキュムレータA1のアキュムレータ容積を調整でき、アキュムレータA1の特性をダンパD3に最適となるようにチューニングできる。また、アキュムレータA1は、シリンダ1の外周を覆う筒状とされているので、ダンパD3の大型化や非対称形状となるのを回避でき、ダンパD3を設置スペースへ取付ける際に他部品との干渉を招かずに済む。以上より、本発明のダンパD3によれば、アキュムレータA1の特性の最適化が容易で、かつ、設置作業も容易となる。
【0065】
また、本例のダンパD3にあっては、ピストン2が摺接するシリンダ1を強度部材として利用でき、ピストン2から攻撃を受けないのでアキュムレータA1のハウジング30の材料選択の自由度が向上する。
【0066】
なお、このように構成されたダンパD3にあっても、第一の実施の形態の第三変形例のダンパD13のようにベースバルブをアキュムレータA1に設ける構造の採用も可能であるし、第一の実施の形態の第五変形例のダンパD15や第六変形例のダンパD16のようにユニフロー構造のダンパへのアキュムレータA1の適用も可能である。
【0067】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形および変更が可能である。