(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記補正手段は、前記推定手段により推定された前記空気侵入総量と前記排出空気量との差に応じた補正定数を乗ずることによって、前記空気侵入総量及び前記起動継続時間の少なくともいずれか1つを補正する請求項1に記載の制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔第1実施形態〕
以下に、本発明に係る抽気装置の制御装置及び制御方法の第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る冷凍機1の概略構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る冷凍機1は、圧縮型冷凍機であり、冷媒を圧縮する圧縮機2、圧縮機2によって圧縮された高温高圧のガス冷媒を凝縮する凝縮器3、凝縮器3からの液冷媒を膨張させる膨張弁4と、膨張弁4によって膨張させられた液冷媒を蒸発させる蒸発器5と、冷凍機1内に侵入した不凝縮ガス(主に空気)を大気へ排出する抽気装置6と、冷凍機1が備える各部の制御を行う制御装置7とを主な構成として備えている。
冷媒としては、低圧冷媒である低GWP冷媒が採用される。なお、本実施形態に係る抽気装置6は、後述する補正を行うことで高精度に機内に侵入した不凝縮ガスの量を推定することが可能であるため、低GWP冷媒に限らず様々な冷媒を使用することが可能である。
【0021】
圧縮機2は、例えば、定速モータもしくは可変速モータにより駆動される多段遠心圧縮機である。抽気装置6は、配管8によって凝縮器3と接続されており、配管8を通じて凝縮器3からの冷媒ガス(不凝縮ガスを含む)が抽気装置6における抽気タンク16に導かれるようになっている。また、配管8には、冷媒ガスの流通および遮断を制御するためのバルブ9及び逆流防止弁10が設けられている。このバルブ9の開閉が制御装置7によって制御されることで、抽気装置6の起動及び停止が制御される。また、逆流防止弁10によって、抽気装置6における抽気タンク16から凝縮器3への冷媒ガス(不凝縮ガスを含む)の逆流が防止されている。
【0022】
抽気装置6は、例えば、配管8を通じて供給された冷媒ガス(不凝縮ガスを含む)をペルチェ素子で冷却することで凝縮し、不凝縮ガスと分離する抽気タンク16と、抽気タンク16内に蓄積された不凝縮ガスを大気中に抽気するポンプ11とを備えている。抽気タンク16において、不凝縮ガスは大気中に排出され、また、不凝縮ガスと分離された冷媒ガスは、バルブ12を制御することにより、配管13を通じて蒸発器5に戻される。なお、抽気装置6の構成は一例であり、この構成に限られない。抽気タンク16において冷媒ガスを凝縮するための冷却方法についても、ペルチェ素子を用いた冷却は一例であり、この構成に限られない。
【0023】
また、抽気装置6における抽気タンク16には、内部に蓄積した不凝縮ガスの状態(不凝縮ガスの有無や蓄積量等)を監視するために、圧力センサ14と温度センサ15が設けられている。これらセンサの計測値は、制御装置7に送信され、抽気装置6の制御に用いられる。
【0024】
なお、
図1に示した冷凍機1の構成は一例であり、この構成に限定されない。例えば、凝縮器3に代えて空気熱交換器を配置し、冷やされた外気と冷媒との間で熱交換を行うような構成としてもよい。また、冷凍機1は冷房機能のみを有する場合に限定されず、例えば、暖房機能のみ、或いは、冷房機能及び暖房機能の両方を有しているものであってもよい。
【0025】
制御装置7は、各センサから受信した測定値や上位システムから送られてくる負荷率などに基づいて圧縮機2を制御する機能や、抽気装置6を制御する機能などを有している。
【0026】
制御装置7は、例えば、図示しないCPU(中央演算装置)、RAM(Random Access Memory)等のメモリ、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体等かを備えている。後述の各種機能を実現するための一連の処理の過程は、プログラムの形式で記録媒体等に記録されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、後述の各種機能が実現される。
【0027】
図2は、制御装置7が備える機能のうち、抽気装置6の制御機能を抽出して示した機能ブロック図である。
図2に示されるように、制御装置7は、推定部21と、判定部22と、起動制御部23と、記憶部24と、排出空気量算出部25と、補正部26とを備えている。
【0028】
推定部21は、冷凍機1の構造面から決定された空気の侵入しやすさを示す空気侵入影響度と、圧力をパラメータとして含む関数とを用いて、空気侵入総量を推定する。
空気侵入影響度とは、例えば、冷凍機1に空気(酸素)が侵入する可能性のある隙間がどの程度あるのかを示す指標であり、記憶部24に予め格納されている。空気侵入影響度は、例えば、配管などを接続する継手の構造、サイズ、数などにより決定される。また、樹脂材を透過して空気が侵入する場合も考慮し、樹脂材の情報を加味して空気侵入影響度を設定することとしてもよい。
【0029】
本実施形態では、冷凍機1が複数のセクションに区分されており、セクション毎に空気侵入影響度が設定されている。
ここで、セクションは、適宜区分けすることが可能である。例えば、運転条件(例えば、運転中か停止中か)や冬期・夏期に応じて、負圧になりやすいか否かとの観点から、同じ傾向を示す箇所が一つのセクションとなるようにセクション分けすることとしてもよい。例えば、夏期は、蒸発器5まわりが負圧となりやすく、冬期は運転時・停止時ともに、給油系統以外の箇所は負圧となりやすい。このような傾向から、例えば、蒸発器5まわりを一つのセクションとしてそれぞれ定め、それ以外の箇所については、例えば、圧縮機2まわり、凝縮器3まわりをそれぞれ一つのセクションとして定めることとしてもよい。
【0030】
推定部21は、例えば、セクション毎に設定された空気侵入影響度と、各セクションにおける圧力と、大気圧とを用いてセクション毎に空気侵入量を推定する。具体的には、セクションにおける圧力が大気圧よりも高い場合、すなわち、正圧の場合には、空気侵入量はゼロとなる。一方、セクションにおける圧力が大気圧よりも低い場合、すなわち、負圧の場合には、圧力と大気圧との差圧の1/2乗に空気侵入影響度を乗じた値を空気侵入量として推定する。演算式で表すと以下の(1)式、(2)式となる。
【0033】
上記(1)式、(2)式において、P(s)はセクションsの圧力[Pa(abs)]、Patは大気圧[Pa(abs)]、M(s)はセクションsの空気侵入量[m
3]、E(s)はセクションsの空気侵入影響度[m
3/Pa]である。なお、空気侵入量の単位は上記の[m
3]に限らず、例えば、kg、mol等を用いてもよい。
【0034】
なお、セクションsの空気侵入量M(s)とは、単位時間当たり(1制御周期あたり)に、セクションsにおける圧力及び大気圧の状態において、セクションsに侵入したと推定される空気量を示している。
【0035】
このようにして各セクションについての空気侵入量M(s)がそれぞれ推定されると、この空気侵入量M(s)に対して、補正部26による補正が行われ、空気侵入量Ma(s)が算出される。そして、推定部21は、各セクションの空気侵入量Ma(s)を合計した値(空気侵入量Ms(s))を空気侵入量の前回積算値に加算することで、空気侵入量の積算値、すなわち、現時点における冷凍機1全体の空気侵入量の総量(以下「空気侵入総量」という。)を演算する。演算式は以下の(3)式の通りである。
【0037】
(3)式において、M(t)は空気侵入総量、M(t−1)は空気侵入量の前回積算値、ΣMa(s)は今回演算したセクション毎の空気侵入量の合計値である。
【0038】
判定部22は、推定部21によって推定された空気侵入総量M(t)が、予め設定されている許容値Mc以上であるかを判定する。
【0039】
許容値Mcは、例えば、冷媒の化学的安定性試験や運用実績に基づいて設定される。例えば、冷媒の分解が発生する空気侵入総量、又は、冷凍機1の安定運転を阻害しない空気侵入総量を試験や運用実績によって取得し、この空気侵入総量よりも小さな値に設定される。
ここで、許容値Mcと、空気侵入総量とは単位が整合している必要がある。例えば、許容値の単位が[mol]で、空気侵入総量が[mol]以外の単位である場合には、空気侵入総量の単位を許容値の単位[mol]に変換し、変換後の空気侵入総量と許容値とを比較することとすればよい。
【0040】
起動制御部23は、空気侵入総量M(t)が許容値Mc以上である場合に、抽気装置6を起動させる。例えば、起動制御部23は、配管8に設けられているバルブ9を開き、抽気装置6を起動する。抽気装置6の起動継続時間は、冷凍機容量に対する冷凍機1全体の空気侵入総量M(t)の割合に応じて随時決定される。
【0041】
また、冷凍機容量に対する冷凍機1全体の空気侵入総量M(t)の割合に応じて起動継続時間を随時決定する場合には、例えば、以下の(4)式を用いればよい。
【0044】
(4)式において、tcは抽気装置6の起動継続時間[s]、Vncは抽気すべき気体容量[m
3]であり、上記(5)式で演算される。また、Vcは冷凍機内容積[m
3]である。なお、(5)式では、空気侵入総量M(t)に所定のマージンαを加算することで、抽気すべき気体容量を実際の空気侵入総量M(t)よりも少し多めに設定し、算出される起動継続時間に余裕を持たせている。
【0045】
なお、抽気装置6の起動継続時間tcは、抽気される気体の体積と、抽気装置6の引き込み能力をパラメータとする以下の(6)式によって演算することとしてもよい。
【0047】
(6)式において、vaは抽気装置6の引き込み能力[m
3/s]である。
なお、起動制御部23は、空気侵入総量が許容値未満である場合には、起動制御部23は抽気装置6の起動を行わない。
【0048】
記憶部24には、上述した推定部21、判定部22の処理において参照される情報が予め格納されている。例えば、各セクションにおける空気侵入影響度E(s)、許容値Mcの他、各演算式(1)−(6)に含まれる定数が予め登録されている。また、記憶部24には、推定された空気侵入総量M(t)と排出空気量Md(t)との差と、補正定数cとがそれぞれ対応して設定されているテーブルが記憶されている。空気侵入総量M(t)が排出空気量Md(t)よりも少ない場合には、補正定数は、1より大きな値に設定されており、空気侵入総量M(t)が排出空気量Md(t)よりも多い場合には、補正定数cは、1より小さな値に設定されている。補正定数cは、推定された空気侵入総量M(t)と排出空気量Md(t)との差に応じて設定されており、一例としては、排出空気量Md(t)を空気侵入総量M(t)で割った値である。なお、補正定数cは、記憶部24にテーブルとして記憶されている場合でなくとも、計算式を記憶しておいて、補正時に算出することとしてもよい。
【0049】
排出空気量算出部25は、抽気装置6によって実際に抽気された空気量である排出空気量Md(t)を算出する。実際に抽気装置6を動作させると、抽気装置6における抽気タンク16内に不凝縮ガスが蓄積されていく。そして、抽気タンク16に蓄積した不凝縮ガスが予め設定された所定量(一回の排出量D1)に達した場合には、バルブ9を閉じて凝縮器3からの冷媒ガスの供給を止め、抽気タンク16に設けられたポンプ11を動作させ不凝縮ガスを大気中へ排出する。不凝縮ガスの排出が完了すると、バルブ9が再度開とされ、抽気タンク16に不凝縮ガスが蓄積されてき、上述の排出動作が不凝縮ガスの排出が完了するまで繰り返される。この排出動作は、設定された起動継続時間の間に、実際に冷凍機1に蓄積された不凝縮ガスの量に応じて一回又は複数回実施される。抽気装置6の起動継続時間中には、排出動作が一回又は複数回実施されるため、一回の排出量D1と、排出動作が実施された回数nを測定することで、実際に排出された空気量である排出空気量Md(t)を算出することができる。
【0050】
なお、一回の排出量D1は、抽気装置6(主に抽気タンク16)の容量に基づいて決定される。つまり、抽気タンク16の容量分の不凝縮ガスが抽気装置6に蓄積されたときに(抽気タンク16が不凝縮ガスで満杯となったときに)、蓄積された不凝縮ガスを排出する。冷凍機1内に蓄積された不凝縮ガスを短時間で排出したい場合には、一回の排出量を多くするために、大きな容量を持つ抽気タンク16を用いることが好ましい。また、実際に抽気された空気量である排出空気量をより精度良く算出する場合には、一回の排出量を少なくし、排出空気量Md(t)の推定分解能を高めることが好ましい。この場合には、小さな容量の抽気タンク16を用いればよい。
【0051】
なお、一回の排出量D1は、抽気装置6(主に抽気タンク16)の容量を上限として、任意に決定してもよい。この場合には、抽気装置6に設置された圧力センサ14と温度センサ15によって、抽気タンク16内の不凝縮ガスの量を推定し、推定した不凝縮ガスの量と、任意に決定された所定量(一回の排出量D1)とを比較すればよい。
【0052】
補正部26は、空気侵入総量M(t)と排出空気量Md(t)との差が所定量β以上であった場合に、推定された空気侵入総量M(t)及び起動継続時間の少なくともいずれか1つを補正する。このため、補正部26では、補正要否判定部31と、補正定数更新部32と、補正実行部33とを備えている。本実施形態においては、空気侵入総量M(t)を補正する場合について説明する。なお、起動継続時間の補正については、後段の変形例にて説明する。
【0053】
補正要否判定部31では、空気侵入総量M(t)と排出空気量Md(t)との差が所定量β以上あるか否かを判定することで、空気侵入総量M(t)を補正する必要があるか否かを判定する。なお、後述するように、空気侵入総量M(t)を補正する必要がある場合には、推定された各セクションの空気侵入量M(s)を補正するための補正定数cが更新されることで、結果的に、空気侵入総量M(t)が修正される。なお、補正要否判定部31において用いる所定量βとは、推定される空気侵入総量M(t)の、排出空気量Md(t)に対して許容される誤差の範囲内で設定される。
【0054】
補正定数更新部32では、補正要否判定部31によって、空気侵入総量M(t)と排出空気量Md(t)との差が所定量β以上であると判定された場合に、補正定数を更新する。補正定数は、初期設定値として1が設定されるものとし、補正要否判定部31によって、空気侵入総量M(t)を補正する必要があると判定された場合に、その都度更新する。具体的には、補正定数更新部32は、空気侵入総量M(t)が補正する必要があると判定された場合には、推定された空気侵入総量M(t)と排出空気量Md(t)との差に応じた補正定数を記憶部24から読み出し、読み出した補正定数を、それまで設定されていた補正定数に乗ずることで更新する。例えば、補正定数が1.2として設定されている状態において、補正定数更新部32により記憶部24から1.1の補正定数が読み出された場合には、新たな補正定数を1.2×1.1=1.32として更新する。補正定数の更新は、空気侵入総量M(t)の補正が必要であると判定される毎に、新たな補正定数が乗ざれることで更新される。
【0055】
補正実行部33では、推定部21によって推定された各セクションの空気侵入量M(s)に補正定数を乗ずることによって、空気侵入量Ma(s)を算出する。そして、推定部21は、補正実行部33により算出された空気侵入量Ma(s)を用いて、空気侵入総量M(t)を算出する。
【0056】
次に、上述の制御装置7による抽気装置6の制御方法について
図3を参照して説明する。なお、補正定数cは、初期値においては1に設定されており、補正部26によって補正定数が更新された場合には、更新された補正定数cを用いることとする。
まず、冷凍機1内および冷凍機1周辺に設けられている各種センサ(例えば、圧力センサ、温度センサ(
図1において不図示))から各セクションにおける圧力P(s)、大気圧Patの計測値を取得する(S301)。
【0057】
次に、各セクションにおける圧力P(s)及び大気圧Patを用いて、セクション毎の空気侵入量M(s)を算出する(S302)。
【0058】
次に、セクション毎に推定された空気侵入量M(s)を補正する(S303)。具体的には、空気侵入量M(s)に対して補正定数を乗じて、空気侵入量Ma(s)を算出する。なお、補正定数cは初期値では1に設定されているため、補正定数の更新が行われていない場合には、M(s)=Ma(s)となる。また、補正定数の更新が行われている場合には、更新された補正定数(≠1)を用いるため、M(s)≠Ma(s)となる。
【0059】
次に、各セクションの空気侵入量Ma(s)を加算した値ΣMa(s)を空気侵入量の前回積算値M(t−1)に加算することにより、空気侵入総量M(t)を演算する(S304)。
【0060】
次に、空気侵入総量M(t)が許容値Mc以上であるか否かを判定する(S305)。ここで、両者の単位が一致していない場合には、一方の単位を他方に合わせて変換する処理を行った後に、両者を比較する。
【0061】
S305において、空気侵入総量M(t)が許容値Mc以上である場合(S305のYES判定)には、空気侵入総量M(t)に基づいて、起動継続時間を算出する(S306)。そして、抽気装置6を起動させる(S307)。続いて、起動継続時間が経過したか否かを判定し(S308)、起動継続時間を経過した場合に、抽気装置6を停止させる(S309)。
続いて、空気侵入量の前回積算値M(t−1)にゼロを設定する(S310)。
一方、S305において、空気侵入総量M(t)が許容値Mc未満であった場合には、空気侵入量の前回積算値M(t−1)に今回演算した空気侵入総量M(t)を設定する(S311)。
【0062】
上記の処理は、例えば、冷凍機1の運転中、停止中を問わず、一定の時間間隔で継続的に行われる。
【0063】
次に、上述の制御装置7による抽気装置6の排出空気量算出方法について
図4を参照して説明する。
図4に示すフローチャートは、起動制御部23によって抽気装置6が起動されると動作が開始される。
【0064】
まず、起動制御部23によって抽気装置6が起動されると、排出動作回数n=0と設定する(S401)。
次に、起動継続時間が経過したか否かを判定し(S402)、起動継続時間が経過していない場合(S402のNO判定)には、抽気装置6による排出動作が行われたか否かを判定する(S403)。排出動作が行われていないと判定された場合(S403のNO判定)には、再度、起動継続時間が経過したか否かを判定する(S402)。なお、S402及びS403の動作によって、起動継続時間内に排出動作が行われたか否かが判定されることとなる。
【0065】
抽気装置6の排出動作が行われたと判定された場合(S403のYES判定)には、排出動作回数nがカウントアップ(プラス1回)される(S404)。排出動作回数nのカウントアップが終了すると、S402へ戻り、上述の処理を繰り返す。
【0066】
起動継続時間が経過したと判定された場合(S402のYES判定)には、実際に抽気された空気量である排出空気量Md(t)が算出される(S405)。具体的には、S405では、抽気装置6の一回の排出動作における不凝縮ガスの排出量D1に、排出動作回数nを乗ずることによって、排出空気量Md(t)を算出する。
【0067】
次に、上述の制御装置7による補正方法について
図5を参照して説明する。
図5に示すフローチャートは、抽気装置6の排出動作がすべて完了し、排出空気量Md(t)が算出された後に実行される。なお、
図5に示すフローチャートは、抽気装置6の排出動作が完了する毎に実行される。
【0068】
まず、空気侵入総量M(t)と排出空気量Md(t)との差(絶対値)が所定量β以上か否かを判定する(S501)。空気侵入総量M(t)と排出空気量Md(t)との差(絶対値)が所定量βより小さい場合(S501のNO判定)には、補正定数の更新は行われない(S502)。
【0069】
空気侵入総量M(t)と排出空気量Md(t)との差(絶対値)が所定量β以上である場合(S501のYES判定)には、推定された空気侵入総量M(t)と排出空気量Md(t)との差に応じた補正定数を記憶部24から読み出す(S503)。そして、読み出した補正定数をそれまで設定されていた補正定数に乗ずることにより更新する(S504)。
【0070】
次に、上述の制御装置7による不凝縮ガスの排出動作について
図6及び7を参照して説明する。
図6は、本実施形態に係る冷凍機1の凝縮器3における不凝縮ガスの量を示した図である。
図7は、本実施形態に係る冷凍機1の抽気装置6における不凝縮ガスの量を示した図である。
【0071】
図6に示すように、冷凍機1の運転状態及び外部環境によって冷凍機1内に不凝縮ガスが蓄積されていく。蓄積されていく不凝縮ガスの量は、推定部21によって推定され、また、補正部26によって補正が行われることにより高精度に推定される。そして、凝縮器3に蓄積された不凝縮ガスの量(空気侵入総量M(t))が許容値Mcを超えた場合に、抽気装置6が起動され、凝縮器3内に蓄積していた不凝縮ガスは、抽気装置6に引き込まれていく。
【0072】
抽気装置6側では、
図7に示すように、凝縮器3に蓄積された不凝縮ガスの量(空気侵入総量M(t))が許容値Mcを超えた場合に、起動され、不凝縮ガスを凝縮器3から引き込む。このため、抽気装置6には不凝縮ガスが蓄積されていく。そして、抽気装置6に蓄積された不凝縮ガスが所定の排出量D1に達した場合に、バルブ9を閉じ、ポンプ11によって不凝縮ガスを大気中に排出する。この排出動作によって、抽気装置6の中に蓄積されていた不凝縮ガスのほとんどが排出される。そして、再度バルブ9を開とすることによって、凝縮器3から抽気装置6へ不凝縮ガスが引き込まれ、抽気装置6に不凝縮ガスが蓄積されていく。そして、上述のように排出動作が繰り返し行われる。
図7に示す例では、凝縮器3に蓄積された不凝縮ガスをすべて排出するためには、抽気装置6によって排出動作が2回行われる場合について説明したが、この例には限られない。
【0073】
なお、補正部26は、推定部21によって推定された各セクションについての空気侵入量M(s)に対して補正を行うことで空気侵入量Ma(s)を算出し、推定部21では、空気侵入量Ma(s)を合計した値(空気侵入量Ms(s))を算出していたが、補正部26により補正が行われる値については、推定部21によって推定された各セクションについての空気侵入量M(s)に限られない。例えば、推定部21は、各セクションについての空気侵入量M(s)をそれぞれ推定すると、各セクションの空気侵入量M(s)を合計した値(空気侵入量Ms(s))を算出する。そして、各セクションの空気侵入量M(s)を合計した値(空気侵入量Ms(s))に対して、補正部26による補正を行ってもよい。具体的には、補正部26は、推定部21により推定された各セクションの空気侵入量M(s)を合計した値(空気侵入量Ms(s))に対して、補正定数を乗ずることによって、空気侵入量Ms(s)を補正し、この値に、空気侵入量の前回積算値M(t−1)を加算することによって、空気侵入総量M(t)を算出する。このように算出された空気侵入総量M(t)は、判定部22にて、予め設定されている許容値Mc以上であるかが判定される。
【0074】
次に、本実施形態における補正対象の変形例を説明する。上記第1実施形態では、空気侵入総量を補正しているが、これに代えて又はこれに加えて、本変形例では、起動制御部23により設定される起動継続時間を補正する。起動継続時間とは、空気侵入総量M(t)によって決定されているため、起動継続時間を補正することによっても、間接的に、空気侵入総量M(t)を補正していることとなる。
【0075】
本変形例では、記憶部24は、空気侵入総量M(t)と排出空気量Md(t)との差と、起動継続時間を補正するための補正定数c´とがそれぞれ対応して設定されているテーブルを記憶している。また、補正定数更新部32は、補正要否判定部31によって空気侵入総量M(t)を補正する必要があると判定された場合に、空気侵入総量M(t)と排出空気量Md(t)との差に応じた、起動継続時間を補正するための補正定数c´を記憶部24から読み出し、読み出した補正定数を新たな補正定数として設定することで更新する。そして、補正実行部33にて、新たな補正定数を起動継続時間に乗じ、補正を行う。
【0076】
次に、本実施形態における補正定数に係る変形例を説明する。本変形例では、セクション毎に空気侵入影響度が設定されており、補正部26は、空気侵入総量を補正する場合には、空気侵入影響度に応じてセクション毎に空気侵入量を補正する。
【0077】
このため、本変形例では、記憶部24が各セクションの空気侵入影響度に対応する加算定数を記憶しておき、補正実行部33では、推定部21によって推定された各セクションの空気侵入量M(s)に補正定数を乗ずるとともに、それぞれのセクションに対応する加算定数を加算することによって、空気侵入量Ma(s)を算出する。なお、補正定数に対して、補正定数更新部32による更新が行われていない場合(c=1の場合)には、加算定数の加算は行わない。
【0078】
加算定数は、各セクションにおける空気侵入影響度を考慮し、補正をより効果的に行うものである。このために、加算定数は、空気侵入影響度に応じて、実験等により予め設定されている。
【0079】
このため、本変形例では、各セクションにおける空気侵入影響度を考慮して、各セクションにおける空気侵入量M(s)を補正しているため、各セクションにおける空気侵入量M(s)をより精度良く補正できる。つまり、各セクションにおける空気侵入量M(s)から算出される空気侵入総量M(t)についてもより精度良く補正ができるということとなる。
【0080】
なお、本変形例について、補正部26(補正実行部33)は、推定部21によって推定された各セクションの空気侵入量M(s)に補正定数を乗ずるとともに、それぞれのセクションに対応する加算定数を加算することによって、各セクションの空気侵入量M(s)を補正(空気侵入量Ma(s)を算出)することとしたが、補正部26が行う補正については、上記に限られない。例えば、補正部26は、まず、推定部21によって推定された各セクションの空気侵入量M(s)に対して、それぞれのセクションに対応する加算定数を加算することによって、各セクションの空気侵入量M(s)を補正する(重みづけ)。そして、補正部26は、補正後のセクション毎の空気侵入量M(s)の合計値に対して、補正定数の乗算を行うことで補正(空気侵入量Ma(s)を算出)することとしてもよい。つまり、補正部26は、各セクション毎に推定された空気侵入量M(s)に対して、空気侵入影響度に応じた重みづけ(加算定数の加算)を行った上で、補正(補正定数の乗算)を行うこととしてもよい。
【0081】
以上説明したように、本実施形態に係る抽気装置の制御装置及び制御方法によれば、冷凍機1内に侵入した不凝縮ガスを空気侵入総量として推定し、この推定した空気侵入総量及び/又は抽気装置6の起動継続時間を、実際に抽気装置6によって排出された空気量である排出空気量に基づいて補正することとした。このため、冷凍機1の実際の運転状況に応じて、空気侵入量及び抽気装置6の起動継続時間を適切に補正することができる。抽気装置6の起動継続時間は、空気侵入量に依存しているため、起動継続時間を補正する場合であっても、間接的に、空気侵入総量を補正していることとなる。すなわち、運転状況に応じた空気侵入総量をより精度良く推定することが可能となる。例えば、冷凍機1の冷媒として低GWP冷媒を用いた場合であっても、より精度良く空気侵入量を推定することが可能となるため、より安定的な運転を維持することができる。また、より精度良く空気侵入量を推定できるため、抽気装置6の起動を最適化し、不要な消費電力を抑制することができる。
【0082】
更に、空気侵入量及び/または起動継続時間に補正定数を乗ずるという簡単な計算で補正を行うこととしたため、処理負担をかけず補正を行うことができる。
【0083】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係る抽気装置の制御装置及び制御方法について説明する。
上述した第1実施形態では、セクション毎に空気侵入量を推定していたが、本実施形態では、セクションに区分けせずに、冷凍機1全体についての空気侵入総量M(t)を直接的に推定する点が異なる。すなわち、本実施形態における冷凍機1は、推定部21による空気侵入総量M(t)の演算手法が第1実施形態と異なる。以下、本実施形態に係る冷凍機1について、第1実施形態と異なる点について主に説明する。
【0084】
本実施形態に係る推定部21は、以下の(7)式を用いて現在の空気侵入総量M(t)を演算する。
【0086】
上記(7)式において、Mbは基準冷凍機の空気侵入量、f(Ec´/Vc)は空気侵入影響度と冷凍機内容積とをパラメータとして有する関数、Ec´は基準冷凍機との構造の違いに基づいて相対的に決定された冷凍機1全体の空気影響度、Vcは冷凍機内容積、f(Pet,Pct)は蒸発圧力Petと凝縮圧力Pctとをパラメータとして有する関数である。つまり、(7)式におけるMb×f(Ec´/Vc)×f(Pet,Pct)とは、単位時間当たり(1制御周期あたり)に、冷凍機1全体に侵入したと推定される空気量を示している。f(Mb×f(Ec´/Vc)×f(Pet,Pct))は、Mb×f(Ec´/Vc)×f(Pet,Pct)をパラメータとして有する関数である。具体的には、f(Mb×f(Ec´/Vc)×f(Pet,Pct))は、冷凍機1全体に侵入したと推定される空気量(Mb×f(Ec´/Vc)×f(Pet,Pct))に対して補正を行うことを示している。
【0087】
(7)式に示すように、冷凍機1全体に侵入したと推定される空気量(Mb×f(Ec´/Vc)×f(Pet,Pct))に対して補正を行った値に、空気侵入量の前回積算値M(t−1)を加算することで、現在における空気侵入総量M(t)を演算する。
【0088】
ここで、空気侵入影響度と冷凍機内容積とをパラメータとして有する関数f(Ec´/Vc)は、構造面における空気の侵入しやすさを相対的に示す係数として機能する。すなわち、この関数の値が大きければ大きいほど、基準冷凍機より構造的な面から空気が侵入しやすいことを示す。また、蒸発温度と凝縮温度の関数f(Pet,Pct)は、圧力(大気圧との差圧)の観点から空気の侵入しやすさを示す係数として機能する。すなわち、蒸発器5圧力及び凝縮器3圧力が負圧であればあるほど空気が侵入しやすくなる。したがって、この関数値が大きくなるほど、圧力の観点から空気が侵入しやすいことを示す。
【0089】
本実施形態における記憶部24には、冷凍機1全体に侵入したと推定される空気量(Mb×f(Ec´/Vc)×f(Pet,Pct))を補正するための空気侵入総量M(t)と排出空気量Md(t)との差に基づいた補正定数c´´が格納されている。補正部26では、(7)式におけるMb×f(Ec´/Vc)×f(Pet,Pct)に対して、補正定数c´´を乗ずることで補正を行う。つまり、f(Mb×f(Ec´/Vc)×f(Pet,Pct))とは、具体的には、Mb×f(Ec´/Vc)×f(Pet,Pct)に対して補正定数c´´を乗ずることを示している。判定部22では、(7)式により算出された空気侵入総量M(t)と、許容値Mcとを比較する。
【0090】
本実施形態に係る冷凍機1の抽気装置6の制御装置7及び制御方法によれば、第1実施形態のように、各セクションに区分けする必要がないので、空気侵入量を演算する際の処理負担を軽減することが可能となる。更に、空気侵入影響度についても基準冷凍機との構造の違いから相対的に決定された値を用いるので、空気侵入影響度を決定する際の労力を軽減することが可能となる。そして、推定部21により推定された空気侵入量M(t)を、排出空気量に基づいて補正を行うため、より精度高く、冷凍機1に侵入した不凝縮ガスの量を推定することが可能である。
【0091】
本発明は、上述の実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々変形実施が可能である。
【0092】
例えば、各実施形態では、冷凍機1の制御装置7が抽気装置6を制御する機能を有する場合について説明したが、この例に限定されず、例えば、抽気装置6の制御機能を制御装置7とは分離し、抽気装置6専用の制御装置を別途設けることとしてもよい。
【0093】
また、各実施形態では、抽気装置6は、配管8によって凝縮器3と接続されていたが、凝縮器3の他にも空気が滞留しやすい箇所があれば、その箇所とも他の配管によって接続されていてもよい。このように、空気が滞留しやすい場所と抽気装置6とをそれぞれ接続することにより、機内の空気を効率的に排出することが可能となる。
【0094】
更に、各実施形態では、空気侵入量に基づいて抽気装置6を起動していたが、水分などの他の物質によっても冷媒が悪影響を受けるおそれがある。したがって、空気侵入量に加えて、水分等の他の物質についても侵入量を推定し、推定した侵入量に応じてその物質を除去または低減させる手段の起動及び停止を制御することとしてもよい。また、他の物質を常時除去することが可能な構造(フィルタドライヤーによる水分除去等)を設け、他の物質については常時除去するような構成としてもよい。