(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係るモータ制御装置を、図面を用いて説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る電動オイルポンプ1の概略構成の一例を示す図である。本発明の一実施形態に係るモータ制御装置は、電動オイルポンプ1の駆動源として用いられるモータの駆動を制御する。
【0013】
電動オイルポンプ1は、例えば、車両に搭載される無段変速機等の油圧機器などのオイル供給先Tにオイルを供給する油圧供給源として用いられるものである。
【0014】
電動オイルポンプ1は、上位ECU2に接続されている。
電動オイルポンプ1は、オイルパン3内に貯留されたオイルを汲み上げ、油圧を付与してオイル供給先Tにオイルを供給する。
【0015】
上位ECU2は、電動オイルポンプ1及び温度センサ4に接続されている。
上位ECU2は、アンドリングストップ等でエンジン停止した場合において油圧供給Tにオイルを供給するために、電動オイルポンプ1を駆動させる。例えば、上位ECU2は、エンジン停止した場合には、温度センサ4が測定したオイルの温度に応じて、モータに流す相電流の目標値(以下、「相電流目標値」という。)を含む駆動指令を電動オイルポンプ1に送信する。
【0016】
次に、本発明の一実施形態に係る電動オイルポンプ1の概略構成について説明する。
電動オイルポンプ1は、オイルポンプ5、モータ6、回転角検出部7、及び駆動装置8を備える。
【0017】
オイルポンプ5は、モータ6及びオイル供給先Tに接続されている。
オイルポンプ5は、モータ6によって駆動されるポンプである。オイルポンプ5は、モータ6に駆動されることによりオイルパン3内のオイルをオイル供給先Tに圧送する。
【0018】
モータ6は、永久磁石を有するロータと、3相(U、V、W)それぞれに対応するコイルLu、Lv、Lwがロータの回転方向に順に巻装されているステータとを備えている。各相のコイルLu、Lv、Lwのそれぞれは、駆動装置8に接続されている。例えば、モータ6は、ブラシレスモータである。
【0019】
回転角検出部7は、モータ6の回転角度を検出する。そして、回転角検出部7は、検出した回転角度に応じた出力信号を駆動装置8に出力する。
【0020】
駆動装置8は、上位ECU2及びモータ6に接続されている。駆動装置8は、上位ECU2から出力される駆動指令に基づいて、モータ6の駆動を制御する。例えば、駆動装置8は、モータ6の相電流が、上位ECU2から入力される駆動指令に含まれる相電流目標値になるようにフィードバック制御する。また、駆動装置8は、モータ6が高回転で回転してる際のモータトルクを高めるために弱め磁束制御を行ない、モータ6に通電する通電タイミングを進角側に進める進角制御を実行する。
【0021】
以下に、本発明の一実施形態に係る駆動装置8の概略構成について、
図2を用いて説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る駆動装置8の概略構成を示す図である。
【0022】
図2に示すように、駆動装置8は、電源部9、インバータ10、電流センサ11、及びモータ制御装置12を備える。
【0023】
電源部9は、例えば、車両に搭載されるバッテリである。電源部9が、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池といった二次電池を用いることができる。また、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタ(コンデンサ)を用いることもできる。
【0024】
インバータ10は、複数のスイッチング素子SWを有し、このスイッチング素子のオンとオフとをPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御することで電源電流を相電流に変換する。具体的には、インバータ10は、6つのスイッチング素子SW1〜SW6を有している。インバータ10は、スイッチング素子SW1〜SW6のオンとオフとを切り替えて電源電流を相電流に変換する。
【0025】
直列に接続されたスイッチング素子SW1,SW4と、直列に接続されたスイッチング素子SW2,SW5と、直列に接続されたスイッチング素子SW3,SW6とは、電流センサ11を介して接続された電源部9の高電位側と、接地電位との間に並列に接続されている。
【0026】
また、スイッチング素子SW1とスイッチング素子SW4との接続点は、コイルLuの一端に接続されている。スイッチング素子SW2とスイッチング素子SW5との接続点は、コイルLvの一端に接続されている。スイッチング素子SW3とスイッチング素子SW6との接続点は、コイルLwの一端に接続されている。
【0027】
本実施形態では、スイッチング素子SWがn型チャネルのFET(Field Effective Transistor)である場合について説明するが、これに限定されず、例えば、IGBT(Insulated gate bipolar transistor)、及びBJT(bipolar junction transistor)であってもよい。各スイッチング素子SW1〜SW6は、還流ダイオードD1〜D6と並列に接続された構成を有している。また、各スイッチング素子SW1〜SW6は、ゲート端子がモータ制御装置12に接続されている。
【0028】
電流センサ11は、モータ6に流れる電流(以下、「相電流」という。)を検出してモータ制御装置12に出力する。例えば、電流センサ11は、シャント抵抗111及びアンプAMを備える。
【0029】
アンプAMは、電源部9からインバータ10に流れる電源電流がシャント抵抗111に流れることで、シャント抵抗111の両端に生じる電圧差を増幅する。そして、アンプAMは、シャント抵抗111の両端に生じる電圧差を増幅した信号を電流検出信号としてモータ制御装置12に出力する。この電流検出信号は、相電流を示すものである。すなわち、電流センサ11は、シャント抵抗111の両端に生じた電位差から相電流を算出し、その算出した相電流をモータ制御装置12に出力する。
【0030】
以下に、本発明の実施形態に係るモータ制御装置12の構成について、説明する。
【0031】
モータ制御装置12は、電流検出部13、位置検出部14、回転数検出部15、格納部16、制御部17、及び駆動制御部18を備える。制御部17は、進角値設定部19及び通電制御部20を備える。
【0032】
電流検出部13は、電流センサ11より出力される電流検出信号に基づいて、モータ6に流れる相電流の値(以下、「相電流値」という。)を検出する。そして、電流検出部13は、検出した相電流値を進角値設定部17及び通電制御部18に出力する。
【0033】
位置検出部14は、回転角検出部7が出力する信号に基づいて、モータ6のロータの回転角(ロータの回転位置)を検出して、その検出結果を回転数検出部15及び通電制御部18に出力する。
【0034】
回転数検出部15は、位置検出部14が出力するロータの回転角を示す信号の単位時間あたりの変化量を検出し、その検出した変化量からモータ6の回転数を算出する。そして、回転数検出部15は、算出した回転数を進角値設定部17に出力する。
【0035】
格納部16は、モータ6の回転数と、モータ6への通電タイミングの進角値とが関連付けられた情報を進角テーブルとして格納する。
図3は、本発明の一実施形態に係る進角テーブルを説明する図である。
【0036】
進角テーブルには、モータ6の相電流値(例えば、第1の相電流値、第2の相電流値)ごとに、モータ6の回転数と進角値とが関連付けられて格納されている。進角値とは、モータ6の各相の巻線に対する通電開始位相及び通電終了位相を各相のインダクタンス変化に応じた所定位置(例えば、インダクタンスの増大開始位相及び減少開始位相等)から通電角を進角側に変化させる角度を表す。
【0037】
ここで、本実施形態の特徴の一つは、進角テーブルに格納されている進角値のデータ数がモータ6の回転数の範囲に応じて異なることである。具体的には、
図3に示すように、進角テーブルは、モータ6の回転数において、進角値のデータが細かく設定された第1の範囲と、進角値が粗く設定された第2の範囲とを有する。
【0038】
第1の範囲は、進角値に対するモータ6に流れる電流の変化率が所定値以上となる範囲である。例えば、第1の範囲は、モータ6の中回転領域である。
一方、第2の範囲は、進角値に対するモータ6に流れる電流の変化率が所定値未満となる範囲である。例えば、第2の範囲は、モータ6の低回転領域及び高回転領域である。
【0039】
したがって、
図3に示す例では、中回転領域においては、進角値のデータとして10個のデータが進角テーブルに格納されている。一方、低回転領域及び高回転領域においては、それぞれ進角値のデータとして3個のデータが進角テーブルに格納されている。
【0040】
進角値設定部17は、電流検出部13が検出した相電流値と、回転数検出部15が検出したモータ6の回転数とに基づいて、進角テーブルから進角値を決定する。そして、進角値設定部17は、その決定した進角値を通電制御部18に出力する。
【0041】
通電制御部18は、位置検出部14から出力されるロータの回転位置と、進角値設定部17から出力される進角値とを取得する。そして、通電制御部18は、取得したロータの回転位置と、進角値とに基づいて、U相巻線Lu、V相巻線Lv、及びW相巻線Lwに通電する通電タイミングを決定する。
【0042】
また、通電制御部18は、上位ECU2から出力された駆動指令の相電流目標値を取得する。そして、通電制御部18は、その取得した相電流目標値と、電流検出部13から供給される相電流値との偏差(以下、「電流差分値」という。)を算出する。そして、通電制御部18は、算出した駆動電流差分値に基づいて、一般的に公知のPI(Proportional Integral)制御、又は、PID(Proportional Integral Derivative)制御を用いてデューティ比を算出する。
【0043】
そして、通電制御部18は、決定した通電タイミングを示すタイミング信号と、算出したデューティ比を駆動制御部18に出力する。
【0044】
駆動制御部18は、通電制御部18から出力されたタイミング信号とデューティ比とに基づいて駆動信号(パルス幅変調信号(PWM信号))を生成する。そして、駆動制御部18は、生成した駆動信号を予め設定されている複数の通電パターンに従って各スイッチング素子SWのゲートに送信することで、モータ6を駆動制御する。
【0045】
次に、本発明の一実施形態に係るモータ制御装置12における進角制御の動作の流れについて、説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係るモータ制御装置12における進角制御の動作の流れを示す図である。
【0046】
モータ制御装置12は、上位ECU2から駆動指令を取得すると(ステップS101)、電流センサ11より出力される電流検出信号に基づいて、モータ6の相電流値を検出する(ステップS102)。
【0047】
モータ制御装置12は、位置検出部14が出力するロータの回転角を示す信号の単位時間あたりの変化量を検出し、その検出した変化量からモータ6の回転数を算出する(ステップS103)。
【0048】
モータ制御装置12は、検出した相電流値と算出したモータ6の回転数とに基づいて、進角テーブルから進角値を決定する(ステップS104)。そして、モータ制御装置12は、その決定した進角値だけ通電タイミングを進角側に進める進角制御を実行して、モータ6を駆動する。(ステップS105)。
【0049】
次に本実施形態に係る作用効果について説明する。
図5は、従来の進角テーブルを説明する図である。
【0050】
従来のモータ制御装置は、進角制御を実行する場合には、
図5に示すような進角テーブルを用いて、進角値を取得している。しかしながら、
図5に示す従来の進角テーブルでは、一定の回転数ごとに進角値が設定されており、低回転領域、中回転領域、高回転領域の各々の領域において、進角値のデータ数は区別されていない。したがって、従来のモータ制御装置は、進角値に対する相電流の変化が大きい領域である中回転領域において、従来の進角テーブルを用いて進角値を切り替えてしまうと、データ間の進角値の差異が大きいために、相電流が大きく変動してしまう。その結果、モータの回転数が安定するまでに時間がかかってしまう場合がある。また、相電流の変動を小さくするために、進角テーブルを細かく設定しようとすると、その進角テーブルを格納している格納部(例えば、ROM(read only memory))の容量が増加してしまう。
【0051】
一方、本実施形態に係る進角テーブルは、モータ6の回転数の範囲において、進角値のデータが細かく設定された第1の範囲と、進角値が粗く設定された第2の範囲とを有する。より具体的には、第1の範囲は、進角値に対するモータ6に流れる電流の変化率が所定値以上となる範囲であり、例えば、モータの中回転領域である。一方、例えば、第2の範囲は、モータの低回転領域及び高回転領域である。これにより、本実施形態に係る進角テーブルにおいて、進角値に対する相電流の変化が大きい領域では、進角値のデータ数を増加させることができ、データ間の進角値の差異を小さくすることができる。したがって、モータ制御装置12は、中回転領域において進角値を切り替える場合には、相電流の変動を抑制することができる。その結果、モータの回転数が安定するまでに要する時間を短縮化できる。更に、本実施形態に係る進角テーブルでは、進角値に対するモータ6に流れる電流の変化率が所定値未満となる第2の範囲では、進角値のデータ数を削減する。これにより、本実施形態に係る進角テーブルは、従来と比較して、全体としての進角値のデータ数を増加させることはなく、進角テーブルを格納している格納部16の容量を増加させる必要がない。
【0052】
上述したように、本発明の一実施形態に係るモータ制御装置12は、モータ6の回転数と、モータ6への通電タイミングの進角値とが関連付けられた進角テーブルを格納する格納部16を備える。そして、その進角テーブルは、モータ6の回転数の範囲において、進角値のデータが細かく設定された第1の範囲と、進角値が粗く設定された第2の範囲とを有する。これにより、モータ制御装置12は、進角制御を行う場合において、モータ電流(相電流値)の変動を抑制することができる。
【0053】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0054】
上記実施形態では、電流センサ11としてシャント抵抗111を用いたが、本発明はこれに限定されない。例えば、電流センサ11は、非接触で相電流を検出するものでもよく、例えば、カレントトランスやロゴスキーコイルであってもよい。
【0055】
なお、本実施形態に係るモータ制御装置12が備える各部は、進角制御に関する各種処理を行うプログラムをインストールし、このプログラムをコンピュータに実行させることで、構成してもよい。つまり、コンピュータにモータ制御装置12における進角制御を行うための各種処理を行うプログラムを実行させることにより、モータ制御装置12が備える各部としてコンピュータを機能させることで、モータ制御装置12を構成してもよい。
コンピュータはCPU、ROM、RAM、EEPROM(登録商標)等の各種メモリ、通信バス及びインタフェースを有し、予めファームウェアとしてROMに格納された処理プログラムをCPUが読み出して順次実行することで、モータ制御装置12として機能する。