特許第6971786号(P6971786)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6971786画像形成装置、及びカートリッジユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971786
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】画像形成装置、及びカートリッジユニット
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20211111BHJP
【FI】
   G03G21/16 171
   G03G21/16 104
【請求項の数】16
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-214159(P2017-214159)
(22)【出願日】2017年11月6日
(65)【公開番号】特開2019-86634(P2019-86634A)
(43)【公開日】2019年6月6日
【審査請求日】2020年10月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】平塚 崇
【審査官】 市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−251590(JP,A)
【文献】 特開平04−000469(JP,A)
【文献】 特開2016−126203(JP,A)
【文献】 特開2015−206929(JP,A)
【文献】 特開2016−224194(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0078858(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に静電潜像が形成される感光ドラムを備えたカートリッジユニットと、前記カートリッジユニットを装置本体の内部で支持するカートリッジ支持部材と、を備える画像形成装置において、
前記カートリッジユニットは、前記装置本体に対して着脱可能に構成されており、
前記カートリッジユニットが前記装置本体に装着された場合に、前記カートリッジユニットと前記カートリッジ支持部材とによって連通部と空洞部を備えるヘルムホルツ共鳴器が構成され、
前記カートリッジユニットは、前記ヘルムホルツ共鳴器の少なくとも連通部の一部を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記カートリッジユニットは、前記ヘルムホルツ共鳴器の少なくとも空洞部の一部を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記カートリッジユニットは前記ヘルムホルツ共鳴器の連通部の全体を備え、
前記カートリッジ支持部材は前記ヘルムホルツ共鳴器の空洞部の全体を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記カートリッジユニットは、前記ヘルムホルツ共鳴器の連通部の全体と、前記ヘルムホルツ共鳴器の空洞部の一部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記カートリッジ支持部材は、前記ヘルムホルツ共鳴器の連通部の一部と、前記ヘルムホルツ共鳴器の空洞部の全体を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ヘルムホルツ共鳴器は、第1のヘルムホルツ共鳴器と第2のヘルムホルツ共鳴器を含み、第1のヘルムホルツ共鳴器の消音周波数と第2のヘルムホルツ共鳴器の消音周波数は異なることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記カートリッジユニットが前記装置本体に装着された場合に、ヘルムホルツ共鳴器が構成される前記カートリッジユニットと前記カートリッジ支持部材との対向部に、弾性変形可能なシーリング部材を配置することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記感光ドラムは回転可能に構成されており、前記感光ドラムの回転軸方向から視た場合において、
前記連通部の開口面に対して垂直な仮想線Xを引いた場合に、前記仮想線Xは前記感光ドラムと交わることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
カートリッジユニットを支持するためのカートリッジ支持部材を備える画像形成装置に装着可能なカートリッジユニットであって、
前記カートリッジユニットが前記装置本体に装着された場合に、前記カートリッジユニットと前記カートリッジ支持部材とによって連通部と空洞部を備えるヘルムホルツ共鳴器が構成され、
前記カートリッジユニットは、前記ヘルムホルツ共鳴器の少なくとも連通部の一部を備えることを特徴とするカートリッジユニット。
【請求項10】
前記カートリッジユニットは、前記ヘルムホルツ共鳴器の少なくとも空洞部の一部を備えることを特徴とする請求項9に記載のカートリッジユニット。
【請求項11】
前記カートリッジユニットは前記ヘルムホルツ共鳴器の連通部の全体を備え、
前記カートリッジ支持部材は前記ヘルムホルツ共鳴器の空洞部の全体を備えることを特徴とする請求項9に記載のカートリッジユニット。
【請求項12】
前記カートリッジユニットは、前記ヘルムホルツ共鳴器の連通部の全体と、前記ヘルムホルツ共鳴器の空洞部の一部を備えることを特徴とする請求項9又は10に記載のカートリッジユニット。
【請求項13】
前記カートリッジ支持部材は、前記ヘルムホルツ共鳴器の連通部の一部と、前記ヘルムホルツ共鳴器の空洞部の全体を備えることを特徴とする請求項9に記載のカートリッジユニット。
【請求項14】
前記ヘルムホルツ共鳴器は、第1のヘルムホルツ共鳴器と第2のヘルムホルツ共鳴器を含み、第1のヘルムホルツ共鳴器の消音周波数と第2のヘルムホルツ共鳴器の消音周波数は異なることを特徴とする請求項9乃至13のいずれか1項に記載のカートリッジユニット。
【請求項15】
前記カートリッジユニットが前記装置本体に装着された場合に、ヘルムホルツ共鳴器が構成される前記カートリッジユニットと前記カートリッジ支持部材との対向部に、弾性変形可能なシーリング部材を配置することを特徴とする請求項9乃至14のいずれか1項に記載のカートリッジユニット。
【請求項16】
回転可能な感光ドラムを備え、
前記カートリッジユニットが前記装置本体に装着された際に、
前記感光ドラムの回転軸方向から視た場合において、
前記連通部の開口面に対して垂直な仮想線Xを引いた場合に、前記仮想線Xは前記感光ドラムと交わることを特徴とする請求項9乃至15のいずれか1項に記載のカートリッジユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘルムホルツ共鳴器を備えた画像形成装置、及び画像形成装置に装着されるカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等の画像形成装置においては、画像形成時にモータ、ファンなどが動作することによって稼働音が発生する。その一方で、近年の顧客ニーズからは画像形成装置に対して静音化が強く求められるようになってきている。
【0003】
画像形成装置の稼働音を低減する構成として、ヘルムホルツ共鳴器を内蔵した画像形成装置が提案されている(特許文献1、2)。ヘルムホルツ共鳴器は、消音する周波数帯によって容積が決定される空洞部と、空洞部と外部とを連通する連通部によって構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−33646号公報
【特許文献2】特開2001−117451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成では、外装開閉カバーに板状部材を重ねた多重構造でヘルムホルツ共鳴器を構成している。しかしながら、外装開閉カバーに別部材の板状部材を取付けることによってヘルムホルツ共鳴器の空洞部を形成しているため、外装開閉カバーのみの状態よりも部材構成が複雑化する。
【0006】
特許文献2の構成では、画像形成装置の感光ドラム内部の空間をヘルムホルツ共鳴器の空洞部として構成している。そのため、部材構成を複雑にすることなくヘルムホルツ共鳴器を配置可能である。一方で、感光ドラムのシリンダ部からは、帯電バイアス、もしくは現像バイアスの印加によって加振され、高周波音が発生する。このような音に対しては、感光ドラムのシリンダから外側へ放射されるため、シリンダの内側に配置されているヘルムホルツ共鳴器の連通部に音を導きにくく、消音効果を得にくい。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、省スペースを実現しつつヘルムホルツ共鳴器による消音を行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための画像形成装置の一態様は、表面に静電潜像が形成される感光ドラムを備えたカートリッジユニットと、前記カートリッジユニットを装置本体の内部で支持するカートリッジ支持部材と、を備える画像形成装置において、前記カートリッジユニットは、前記装置本体に対して着脱可能に構成されており、前記カートリッジユニットが前記装置本体に装着された場合に、前記カートリッジユニットと前記カートリッジ支持部材とによって連通部と空洞部を備えるヘルムホルツ共鳴器が構成され、前記カートリッジユニットは、前記ヘルムホルツ共鳴器の少なくとも連通部の一部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、省スペースを実現しつつヘルムホルツ共鳴器による消音を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の画像形成装置100の概略構成を示す図。
図2】ヘルムホルツ共鳴器200の模式図。
図3】第1の実施例における画像形成部55の感光ドラムカートリッジ43y近傍の断面模式図。
図4】第2の実施例における画像形成部55の感光ドラムカートリッジ43y近傍の断面模式図。
図5】第3の実施例における画像形成部55の感光ドラムカートリッジ43y近傍の断面模式図。
図6】第4の実施例における画像形成部55の感光ドラムカートリッジ43y近傍の断面模式図。
図7】第5の実施例における画像形成部55の感光ドラムカートリッジ43y近傍の断面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。従って、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【0013】
図1において、画像形成装置100は、画像形成装置本体100A(以下、装置本体という)と、装置本体100Aの上部に設けられた画像読取部41を備える。画像読取部41は、原稿載置台としてのプラテンガラスに載置された原稿に光を照射し、反射光をデジタル信号に変換するイメージセンサ等を有する。なお、画像を読み取るための原稿は、自動原稿給送装置41aによりプラテンガラス上に搬送される。また、装置本体100Aには、画像形成部55と、画像形成部55にシートSを給送するシート給送装置51,52と、シートSを反転させて画像形成部55へ搬送するシート反転部59が設けられている。
【0014】
画像形成部55は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の4色のトナー画像を形成するための画像形成部を備える。以下、各画像形成部の構成要素を区別する場合には付番の後にy,m,c,kを付加する。なお、区別しない場合には、y,m,c,kの記載を省略する。
【0015】
画像形成部55は、露光ユニット42と、4つの感光ドラムカートリッジ43(43y,43m,43c,43k)と4つの現像カートリッジ44(44y,44m,44c,44k)を備えている。また、画像形成部55は、感光ドラムカートリッジ43、ならびに現像カートリッジ44の上方に配された中間転写ユニット45、2次転写部56、定着部57を備えている。感光ドラムカートリッジ43は、本実施形態におけるカートリッジユニットの一例である。
【0016】
ここで、感光ドラムカートリッジ43は、感光ドラム21(21y,21m,21c,21k)と、帯電ローラ22(22y,22m,22c,22k)と、ドラムクリーニングブレード23(23y,23m,23c,23k)を備えている。感光ドラム21は、図1において時計方向に回転可能に構成されている。また、感光ドラムカートリッジ43は装置本体100Aから着脱可能な構成となっている。感光ドラムカートリッジ43は、装置本体100Aに備え付けられているドラムカートリッジ支持部材46(46y、46m、46c、46k)により、装置本体100Aの内部において支持される。感光ドラムカートリッジ43は、図1の紙面の手前方向に抜きだし可能となっており、図1の紙面の奥方向に装着可能となっている。
【0017】
なお、本実施の形態の画像形成部55においては、感光ドラムカートリッジ43とドラムカートリッジ支持部材46によって、ヘルムホルツ共鳴器200が構成されている。詳細は後述する。
【0018】
現像カートリッジ44は、現像ローラ24(24y,24m,24c,24k)を備えている。また、現像カートリッジ44は装置本体100Aから挿抜可能な構成となっており、装置本体100Aに備え付けられている現像カートリッジ支持部材47(47y、47m、47c、47k)によって支持されている。
【0019】
中間転写ユニット45は、ベルト駆動ローラ26、2次転写内ローラ56a等に張架されている中間転写ベルト25と、感光ドラム21に対向した位置で中間転写ベルト25に当接する1次転写ローラ27(27y,27m,27c,27k)を備えている。そして、後述するように、中間転写ベルト25に1次転写ローラ27によって正極性の転写バイアスを印加することにより、感光ドラム21上の負極性を持つトナー像が順次中間転写ベルト25に多重転写される。これにより、中間転写ベルト25上にはフルカラー画像が形成される。
【0020】
2次転写部56は、2次転写内ローラ56aと、2次転写内ローラ56aと中間転写ベルト25を介して接する2次転写外ローラ56bとにより構成される。そして、後述するように2次転写外ローラ56bに正極性の2次転写バイアスを印加することによって中間転写ベルト25上に形成されたフルカラー画像をシートSに転写する。
【0021】
定着部57は、定着ローラ57aと定着バックアップローラ57bを備えている。そして、定着ローラ57aと定着バックアップローラ57bとの間をシートSが挟持搬送されることにより、シートS上のトナー像は加圧、加熱されてシートSに定着される。
【0022】
シート給送装置51,52は、それぞれシートSを収納する収納手段であるカセット51a,52aを備える。また、カセット51a,52aに収納されたシートSを摩擦力により分離しながら1枚ずつ給送する機能を有するシート分離給送部51b,52bを備えている。
【0023】
なお、図1において、2次転写前搬送パス103は、カセット51a,52aから給送されたシートSを2次転写部56まで搬送するパスである。定着前搬送パス104は2次転写部56まで搬送されたシートSを2次転写部56から定着部57まで搬送するパスである。定着後搬送パス105は、定着部57まで搬送されたシートSを定着部57から切換部材61まで搬送するパスである。排紙パス106は、切換部材61まで搬送されたシートSを切換部材61から排紙部58まで搬送するパスである。再搬送パス107は、画像形成部55により片面に画像が形成されたシートSの裏面に画像を形成するため、シート反転部59により反転されたシートSを再び画像形成部55へ搬送するパスである。
【0024】
次に、このような構成の画像形成装置100の画像形成動作について説明する。画像形成動作が開始されると、まず不図示のパソコン等からの画像情報に基づき露光ユニット42は感光ドラム21の表面に向けてレーザー光を照射する。このとき、感光ドラム21の表面は、帯電ローラ22によって所定の極性・電位に一様に帯電されており、レーザー光を照射すると、レーザー光が照射された部位の電荷が減衰することによって感光ドラム表面に静電潜像が形成される。
【0025】
この後、現像ローラ24に所定の電位を印加し、現像ローラ24からそれぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)のトナーを供給することによって、静電潜像をトナー像として現像する。そして、この各色トナー像を1次転写ローラ27にそれぞれ印加した1次転写バイアスにより、順次中間転写ベルト25に転写することにより、中間転写ベルト25上にフルカラートナー画像が形成される。
【0026】
一方で、このトナー画像形成動作に並行して、シート給送装置51,52は、シート吸着分離給送部51b,52bによりカセット51a,52aから1枚のシートSのみを分離給送する。この後、シートSは引き抜きローラ対51c,51dに到達する。さらに、引き抜きローラ対51c,51dに挟持されたシートSは、シート厚検出手段53によるシート厚検出を経て搬送パス103に送り込まれ、停止しているレジストレーションローラ対62a,62bに当接することにより先端の位置が調整される。
【0027】
次に、2次転写部56において、中間転写ベルト上のフルカラートナー像とシートSの位置とを一致させるタイミングでレジストレーションローラ対62a,62bが駆動される。これにより、シートSは2次転写部56まで搬送され、2次転写部56にて、2次転写外ローラ56bに印加した2次転写バイアスにより、フルカラートナー像がシートS上に一括して転写される。
【0028】
フルカラートナー像が転写されたシートSは、定着部57に搬送され、この定着部57において熱及び圧力を受けて各色のトナーが溶融混色し、シートSにフルカラーの画像として定着される。この後、画像が定着されたシートSは、定着部57の下流に設けられた排紙部58によって排紙される。なお、シートの両面に画像を形成する際は、シートSの搬送方向をシート反転部59にて反転させて、シートSを再び画像形成部55へ搬送する。
【0029】
次に、図2を用いて、本発明の画像形成装置100が備えるヘルムホルツ共鳴器200の構造を説明する。図2はヘルムホルツ共鳴器200の模式図である。
【0030】
ヘルムホルツ共鳴器200は、大別して、容積Vの空間をもつ空洞部202と、空洞部202から長さLだけ伸び、断面積Sの開口を有する連通部201を備えている。連通部201内の空気の質量が、空洞部202の空間が形成する空気ばねによって振動し共鳴することによって、連通部201に入ってくる音の特定周波数fを消音する。消音する特定周波数fは(1)式で表される。
【0031】
【数1】
【0032】
ここで、c:音速、ΔL:開口端補正であり、ΔLは、1.6a(aは連通部201の断面を円形とした場合の半径)である。
【0033】
本発明においては、感光ドラム21のシリンダ部(不図示)から発生する高周波音を消音の対象としており、発生する高周波音の周波数と(1)式の特定周波数fが一致するように、ヘルムホルツ共鳴器200のパラメータを決定している。
【0034】
〔第1の実施形態〕
次に、本発明を適用した画像形成装置100の第1の実施形態を説明する。
【0035】
図3は、第1の実施形態における画像形成部55の感光ドラムカートリッジ43y近傍の断面模式図である。図3は、感光ドラム21yの回転軸に対し垂直な断面図である。マゼンタ、シアン、ブラックのそれぞれの感光ドラムカートリッジ43m、43c、43k近傍の構成は、感光ドラムカートリッジ43y近傍の構成と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0036】
図3に示すように、感光ドラムカートリッジ43yと現像カートリッジ44yとは隣接して配置されている。既述の通り、感光ドラムカートリッジ43yは装置本体100Aから挿抜可能な構成となっており、装置本体100Aに備え付けられているドラムカートリッジ支持部材46yによって支持されている。同様に、現像カートリッジ44yは装置本体100Aから挿抜可能な構成となっており、装置本体100Aに備え付けられている現像カートリッジ支持部材47yによって支持されている。
【0037】
感光ドラムカートリッジ43yが備えている帯電ローラ22yは、負極性の直流高圧電源48yに電気的に接続されており、感光ドラムカートリッジ43yが備えている感光ドラム21yと接触しながら感光ドラム21y表面を帯電させる。感光ドラム21yは、ドラムシリンダの表面に感光層等が形成されている。
【0038】
現像カートリッジ44yが備えている現像ローラ23yは、直流成分に2kHz程度の交流成分を重畳した負極性の電圧が出力される高圧電源49yに電気的に接続されている。また、現像ローラ23yの表面にはイエロートナーを含んだイエロー現像剤(不図示)が供給されている。現像ローラ23yは、高圧電源49yから電圧が印加されることによって、イエロー現像剤を感光ドラム21yと接触させながら感光ドラム21y上にトナー画像を形成する。
【0039】
感光ドラム21y上へのトナー画像の形成時においては、感光ドラム21yは、現像ローラ23yに印加された交流成分の電圧の影響によってその交流成分の周波数にて加振される。加振された結果、感光ドラム21yからは加振された周波数の音が発生する。
【0040】
一方で、既述の通り、感光ドラムカートリッジ43yとドラムカートリッジ支持部材46yによってヘルムホルツ共鳴器200が構成されている。第1の実施形態のヘルムホルツ共鳴器200は、前述の感光ドラム21yが現像ローラ23yによって加振される音を消音対象として、各種パラメータが決定されている。
【0041】
ここで、第1の実施例のヘルムホルツ共鳴器200の詳細な構造を説明する。
【0042】
ヘルムホルツ共鳴器200の連通部201は、感光ドラムカートリッジ43yが備えているドラムカートリッジフレーム28yに形成されている。また、ヘルムホルツ共鳴器200の空洞部202は、ドラムカートリッジ支持部材46yに形成されている。図3のように、連通部201と空洞部202は、感光ドラムカートリッジ43yが装置本体100Aに挿入された状態において、互いに空間的に連通した位置に配置されている。感光ドラムカートリッジ43yが装置本体100Aに挿入されることによって、連通部201と空洞部202とを備えるヘルムホルツ共鳴器200が構成される。
【0043】
本実施形態では、感光ドラムカートリッジ43yが、連通部201の全体を備え、ドラムカートリッジ支持部材46yが空洞部202の全体を備える構成となっている。本実施形態のようにヘルムホルツ共鳴器200を構成することによって、消耗部材である感光ドラムカートリッジ43の部品点数を増加させることなくヘルムホルツ共鳴器200を配置可能である。
【0044】
また、音源である感光ドラム21近傍にヘルムホルツ共鳴器200を配置可能である。また、図3のように感光ドラム21yの回転軸方向から視た断面において、連通部201は感光ドラム21yの方向に向いている。言い換えれば、連通部201の開口面201aに対して垂直な仮想線Xを引いた場合に、仮想線Xが感光ドラム21yに交わる構成となっている。そのため、ヘルムホルツ共鳴器200の連通部201に音を導きやすく、結果として効果的な消音も可能である。
【0045】
なお、第1の実施形態においては、ヘルムホルツ共鳴器200の消音周波数を感光ドラム21yが現像ローラ23yによって加振される音としているが、本発明はこれに限定されるものではない。帯電ローラ22yに交流の電圧を印加する場合は、その交流周波数においても感光ドラム21が加振される。その場合は、帯電ローラ22yによって加振される音を消音対象としてもよい。
【0046】
また、第1の実施形態の図3においては、ヘルムホルツ共鳴器200を1箇所配置しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図3の奥行き方向、もしくは断面方向に複数配置しても良い。
【0047】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明を適用した画像形成装置100の第2の実施形態を説明する。
【0048】
図4は、第2の実施例における画像形成部55の感光ドラムカートリッジ43y近傍の断面模式図である。第1の実施例とはヘルムホルツ共鳴器200の詳細構造が異なる。
【0049】
図4に示すように、第2の実施形態のヘルムホルツ共鳴器200の連通部201は、感光ドラムカートリッジ43yが備えているドラムカートリッジフレーム28yに形成されている。また、ヘルムホルツ共鳴器200の空洞部202は、感光ドラムカートリッジ43yに形成された空洞部202aと、ドラムカートリッジ支持部材46yに形成された空洞部202bによって構成されている。空洞部202aは、連通部201と空間的に連通する。
【0050】
図4のように、空洞部202aと空洞部202bは、感光ドラムカートリッジ43yが装置本体100Aに挿入された状態において、互いに合わさって容積Vの直方体状の空間である空洞部202を形成する。
【0051】
第2の実施例のようにヘルムホルツ共鳴器200を構成することによって、領域上、ドラムカートリッジ支持部材46yに空洞部202が収まらない場合においても、画像形成部55にヘルムホルツ共鳴器200を配置することが可能である。
【0052】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明を適用した画像形成装置100の第3の実施形態を説明する。
【0053】
図5は、第3の実施形態における画像形成部55の感光ドラムカートリッジ43y近傍の断面模式図である。第1、ならびに第2の実施形態とはヘルムホルツ共鳴器200の詳細構造が異なる。
【0054】
図5に示すように、ヘルムホルツ共鳴器200の連通部201は、ドラムカートリッジフレーム28yに形成された連通部201aと、ドラムカートリッジ支持部材46yの補助支持部材46byに形成された連通部201bによって構成されている。また、ヘルムホルツ共鳴器200の空洞部202は、ドラムカートリッジ支持部材46yの主要支持部材46ayに形成されており、連通部201bと空間的に連通する位置に配置されている。
【0055】
図5のように、連通部201aと連通部201bは、感光ドラムカートリッジ43yが装置本体100Aに挿入された状態において、互いに合わさって断面積S、長さLの連通部201を形成する。なお、ドラムカートリッジ支持部材46yの構成において、主要支持部材46ayと補助支持部材46byとは、一つの一体樹脂部品として構成してもよいし、別体の部品として構成してもよい。
【0056】
第3の実施形態では、連通部201の一部を、ドラムカートリッジ支持部材46yに持たせるものとしている。第3の実施形態のようにヘルムホルツ共鳴器200を構成することによって、交換ユニットである感光ドラムカートリッジ43yを、第1、第2の実施形態よりもコンパクトにすることが可能であり、ユーザーのハンドリング性が向上する。
【0057】
〔第4の実施形態〕
次に、本発明を適用した画像形成装置100の第4の実施例を説明する。
【0058】
図6は、第4の実施例における画像形成部55の感光ドラムカートリッジ43y近傍の断面模式図である。第1の実施形態とは帯電ローラ22yに交流電圧が印加されることが異なり、さらにそれに伴い、帯電ローラ22yの加振によって発生する音を消音対象としたヘルムホルツ共鳴器210が追加されている。
【0059】
図6に示すように、感光ドラムカートリッジ43yが備えている帯電ローラ22yには、直流成分に1kHz程度の交流成分を重畳した負極性の電圧が出力される高圧電源49yが電気的に接続されている。帯電ローラ22yは、感光ドラムカートリッジ43yが備えている感光ドラム21yと接触しながら感光ドラム21y表面を帯電させる。
【0060】
感光ドラム21y表面の帯電の際には、感光ドラム21yは、帯電ローラ22yに印加された交流成分の電圧の影響によってその交流成分の周波数にて加振される。加えて、第1の実施形態に既述の通り、現像ローラ23yに印加された別の周波数の交流電圧の影響によっても感光ドラム21yのシリンダは加振される。
【0061】
その結果、感光ドラム21yのシリンダ(不図示)からは、帯電ローラ22y、ならびに現像ローラ23yそれぞれに加振されたことに起因する2種類の周波数の音が発生する。
【0062】
本実施例においては、これら2種類の音をそれぞれ消音対象とした第1ヘルムホルツ共鳴器200、ならびに第2ヘルムホルツ共鳴器210が配置されている。
【0063】
第1のヘルムホルツ共鳴器200は容積V1の空間をもつ第1空洞部202と、第1空洞部202から長さL1だけ伸び、断面積S1の開口を有する第1連通部201を備えており、現像ローラ23yからの加振に起因する音を消音対象としている。もう一方の第2ヘルムホルツ共鳴器210は、容積V2の空間をもつ第2空洞部212と、第2空洞部212から長さL2だけ伸び、断面積S2の開口を有する第2連通部211を備えており、帯電ローラ22yからの加振に起因する音を消音対象としている。
【0064】
本実施形態において、第1ヘルムホルツ共鳴器200、ならびに第2ヘルムホルツ共鳴器210の詳細構造は、第1の実施形態と同様な構成となっている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、第2の実施形態のように、感光ドラムカートリッジ43yが空洞部202の一部を有するような構成にしても良い。又は第3の実施形態のように、ドラムカートリッジ支持部材46yが連通部201の一部を有するような構成にしても良い。
【0065】
〔第5の実施形態〕
次に、本発明を適用した画像形成装置100の第5の実施形態を説明する。
【0066】
図7は、第5の実施形態における画像形成部55の感光ドラムカートリッジ43y近傍の断面模式図である。第1の実施形態とは、連通部201と空洞部202が形成される感光ドラムカートリッジ43yとドラムカートリッジ支持部材46yとの対向部にシーリング部材203を配置したことが異なる。
【0067】
図7に示すように、感光ドラムカートリッジ43yが備えている連通部201と、ドラムカートリッジ支持部材46yが備えている空洞部202との間にシーリング部材203が配置されている。シーリング部材203は、不図示の接着部材によってドラムカートリッジ支持部材46yに接着されている。
【0068】
本実施例のシーリング部材203は弾性変形可能な発泡ゴムを主材料としている。シーリング部材203は、ドラムカートリッジフレーム28yとドラムカートリッジ支持部材46yとの間で圧縮され、空洞部202の気密性を確保する機能を有する。
【0069】
図2において既述の通り、ヘルムホルツ共鳴器200は、連通部201内の空気の質量が空洞部202の空間が形成する空気ばねによって振動し共鳴することによって消音機能が発現する。シーリング部材203によって空洞部202の気密性が確保されることで、空洞部202の空間が形成する空気ばねのバネ性を確実に確保できる。その結果、本実施例の構成は、より高い消音性能を発揮することが出来る。
【0070】
なお、本実施例のヘルムホルツ共鳴器200の詳細構造は、第1の実施形態に準じた構造となっている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、第2〜4の実施形態のヘルムホルツ共鳴器を構成する部分にシーリング部材203を設ける構成にしてもよい。
【0071】
〔その他変形例〕
上記の実施形態では、音の発生源として感光ドラム21を備えるドラムカートリッジ43yを例にして説明したがこれに限られるものではない。感光ドラム21以外にも音を発生させるような音源となり得るものがある場合において、着脱可能なカートリッジユニットにヘルムホルツ共鳴器の一部の構成をもたせることにより、スペースを抑えつつ、ヘルムホルツ共鳴器を装置本体に配置することが出来る。
【符号の説明】
【0072】
100 画像形成装置
55 画像形成部
43 感光ドラムカートリッジ
44 現像カートリッジ
46 ドラムカートリッジ支持部材
47 現像カートリッジ支持部材
48 帯電高圧電源
49 現像高圧電源
21 感光ドラム
22 帯電ローラ
23 ドラムクリーニングブレード
24 現像ローラ
200 ヘルムホルツ共鳴器
201 (第1)連通部
202 (第1)空洞部
210 ヘルムホルツ共鳴器
211 第2連通部
212 第2空洞部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7