特許第6971796号(P6971796)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971796
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】電極及びこれを備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20211111BHJP
   G03G 21/18 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   G03G21/16 152
   G03G21/18 167
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-220208(P2017-220208)
(22)【出願日】2017年11月15日
(65)【公開番号】特開2018-141952(P2018-141952A)
(43)【公開日】2018年9月13日
【審査請求日】2020年11月12日
(31)【優先権主張番号】特願2017-34886(P2017-34886)
(32)【優先日】2017年2月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】特許業務法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中屋敷 雄司
【審査官】 飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−148835(JP,A)
【文献】 特開2002−229414(JP,A)
【文献】 特開2016−018190(JP,A)
【文献】 特開2001−084979(JP,A)
【文献】 特開平08−203486(JP,A)
【文献】 米国特許第04383007(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する線材が螺旋状に巻かれて筒状に形成された弾性変形可能なバネ部と、
前記バネ部の第1軸方向の一端側に設けられ、前記第1軸方向と交差する方向を第2軸方向として導電性を有する線材が環状に巻かれたリング部と、
を有し、
前記リング部は、前記第2軸方向に、
前記バネ部に接続される第1リング部と、
前記第1リング部に接続される第2リング部と、
を有し、
前記リング部が被接点部と接触していない状態において、前記第1リング部の前記被接点部側の接点端部よりも前記第2リング部の前記被接点部側の接点端部の方が前記被接点部側の方向に突出しており、
前記第2リング部が前記被接点部と接触して前記バネ部が前記第1軸方向に圧縮された状態において、前記被接点部に対して前記第1リング部と前記第2リング部とが共に接触することを特徴とする電極。
【請求項2】
前記第1リング部と前記第2リング部との間に前記リング部の前記第2軸方向において隙間が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電極。
【請求項3】
前記隙間は、前記線材の外径よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の電極。
【請求項4】
前記第1リング部の前記被接点部側の接点端部よりも前記第2リング部の前記被接点部側の接点端部の方が前記被接点部側の方向に突出する突出量は、前記線材の外径よりも大きいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電極。
【請求項5】
前記リング部は、前記第2軸方向に、
前記第1リング部と前記第2リング部との間に接続される第3リング部を有し、
前記リング部が被接点部と接触していない状態において、前記第1リング部の前記被接点部側の接点端部よりも前記第3リング部の前記被接点部側の端部が前記バネ部側に引っ込んでいることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電極。
【請求項6】
前記第1リング部と前記第3リング部との間には、前記リング部の前記第2軸方向において第2の隙間が設けられ、
前記第2リング部と前記第3リング部との間には、前記リング部の前記第2軸方向において第3の隙間が設けられることを特徴とする請求項5に記載の電極。
【請求項7】
前記第2の隙間または前記第3の隙間のうちの少なくとも何れかが前記線材の外径よりも大きいことを特徴とする請求項6に記載の電極。
【請求項8】
前記被接点部に対して前記リング部が接触した状態で、それらの接触部が外部に露出していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の電極。
【請求項9】
少なくとも像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電手段と、を有するカートリッジが着脱可能に設けられ、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の電極を有する画像形成装置において、
前記被接点部は、前記帯電手段に供給する電力を受電する受電部であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
少なくとも像担持体に形成された静電潜像に現像剤を供給する現像手段を有するカートリッジが着脱可能に設けられ、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の電極を有する画像形成装置において、
前記被接点部は、前記現像手段に供給する電力を受電する受電部であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
少なくとも像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電手段と、を有する第1カートリッジと、
前記像担持体に形成された静電潜像に現像剤を供給する現像手段を有する第2カートリッジと、が着脱可能に設けられ、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の電極を2つ有する画像形成装置において、
前記第1カートリッジに設けられる前記帯電手段に供給する電力を受電する受電部からなる前記被接点部に第1電極の前記リング部が接触し、
前記第2カートリッジに設けられる前記現像手段に供給する電力を受電する受電部からなる前記被接点部に第2電極の前記リング部が接触することを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
前記第1カートリッジと、前記第2カートリッジとは、それぞれ独立して画像形成装置の本体に対して着脱可能に設けられたことを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に用いられる電極に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、画像形成装置に用いられる電極が線材を螺旋状に巻かれて筒状に形成されたバネ部からなる。バネ部の軸方向の一端側に設けられた環状の電気接点部には、バネ部の軸方向と交差する方向を中心線として線材が少なくとも2回巻かれたリング部が設けられている。
【0003】
特許文献2には、バッテリー電極端子用コンタクト組立部品に用いられる電極が記載されている。この電極は、線材がコイル状(螺旋状)に巻かれたバネ部、及びその線材をバネ部の軸方向に90°方向を変えて円環状に二巻きして形成された接点部を有して構成されている。このように構成することにより被接点部と二箇所で接触するため電気導通性において信頼性の高い構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−148835号公報
【特許文献2】特開2002−124231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2では、接点部を構成する2回巻かれたリング部は、互いに接触した状態で、且つリング部が被接点部と接触していない状態において、2つの接触部が同じ高さ位置に配置されたものである。このため被接点部が傾くなどして、接点部と被接点部との接触角度が相対的に傾いてしまう際には、接触部が一箇所になり電気接点としての電気導通性において信頼性が低下する。
【0006】
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、電極と被接点部との相対的角度が変位しても被接点部との電気的接触部が確実に二箇所で接触する電極を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための本発明に係る電極の代表的な構成は、導電性を有する線材が螺旋状に巻かれて筒状に形成された弾性変形可能なバネ部と、前記バネ部の第1軸方向の一端側に設けられ、前記第1軸方向と交差する方向を第2軸方向として導電性を有する線材が環状に巻かれたリング部と、を有し、前記リング部は、前記第2軸方向に、前記バネ部に接続される第1リング部と、前記第1リング部に接続される第2リング部と、を有し、前記リング部が被接点部と接触していない状態において、前記第1リング部の前記被接点部側の接点端部よりも前記第2リング部の前記被接点部側の接点端部の方が前記被接点部側の方向に突出しており、前記第2リング部が前記被接点部と接触して前記バネ部が前記第1軸方向に圧縮された状態において、前記被接点部に対して前記第1リング部と前記第2リング部とが共に接触することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電極と被接点部との相対的角度が変位しても被接点部との電気的接触部が確実に二箇所で接触することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】画像形成装置の構成を示す断面説明図である。
図2】画像形成装置のフレーム構成を示す斜視説明図である。
図3】画像形成装置本体にプロセスカートリッジが挿入されて画像形成可能な状態における第1実施形態の電極のリング部の構成を示す斜視説明図である。
図4】画像形成装置本体にプロセスカートリッジが挿入されて画像形成可能な状態における第1実施形態の電極のリング部の構成を示す上から見た断面説明図である。
図5】(a)は、第1実施形態の電極の構成を示す正面図である。(b)は、第1実施形態の電極の構成を示す側面図である。
図6】(a)〜(c)は、第1実施形態の電極のリング部とプロセスカートリッジ側の受電部との接触状態を示す断面説明図である。
図7】(a)は、第2実施形態の電極の構成を示す正面図である。(b)は、第2実施形態の電極の構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図により本発明に係る電極及びこれを備えた画像形成装置の一実施形態を具体的に説明する。
【0011】
〔第1実施形態〕
先ず、図1図6を用いて本発明に係る電極を備えた画像形成装置の第1実施形態の構成について説明する。図1は、画像形成装置の構成を示す断面説明図である。図2は、画像形成装置のフレーム構成を示す斜視説明図である。図3は、画像形成装置本体にプロセスカートリッジが挿入されて画像形成可能な状態における第1実施形態の電極のリング部の構成を示す斜視説明図である。
【0012】
図4は、画像形成装置本体にプロセスカートリッジが挿入されて画像形成可能な状態における第1実施形態の電極のリング部の構成を示す断面説明図である。図5(a)は、第1実施形態の電極の構成を示す正面図である。図5(b)は、第1実施形態の電極の構成を示す側面図である。図6(a)〜(c)は、第1実施形態の電極のリング部とプロセスカートリッジ側の受電部との接触状態を示す断面説明図である。
【0013】
<画像形成装置>
図1を用いて本発明に係る電極を備えた画像形成装置1の構成について説明する。図1に示す画像形成装置1は、プロセスカートリッジ100が着脱可能に設けられている。本実施形態の画像形成装置1は、電子写真方式を用いたレーザビームプリンタの一例である。
【0014】
図1に示す画像形成装置1は、筒状の電子写真感光体からなる像担持体となる感光ドラム100aが図1の時計回り方向に回転する。図1の時計回り方向に回転する感光ドラム100aの表面は、帯電手段となる帯電ローラ100bにより一様に帯電される。一様に帯電された感光ドラム100aの表面には、光学台18に設けられた露光手段となるレーザスキャナ18aから画像情報に基づいたレーザ光が照射される。これにより感光ドラム100aの表面の感光層に静電潜像が形成される。
【0015】
感光ドラム100aの表面に形成された静電潜像に対して現像手段となる現像装置100jに設けられた現像剤担持体となる現像ローラ100cにより現像剤となるトナーが供給されてトナー像として現像される。感光ドラム100aの表面にトナー像を形成するのと同期して給送カセット3内に収容された記録材2が給送される。
【0016】
給送カセット3内に収容された記録材2は、ピックアップローラ4により繰り出された後、給送ローラ5aと分離ローラ5bとにより形成される分離部5に送られる。分離部5では、給送カセット3内に積載された記録材2の最上位置にある一枚が分離給送される。その後、搬送ローラ6により挟持搬送されて、停止したレジストローラ7のニップ部に記録材2の先端部が付き当てられて斜行が補正される。
【0017】
その後、所定のタイミングでレジストローラ7が回転し、記録材2はレジストローラ7により挟持搬送されて感光ドラム100aと転写手段となる転写ローラ13とにより形成される転写ニップ部Nに搬送される。図示しない転写バイアス電源から転写ローラ13に転写バイアスが印加されて感光ドラム100aの表面に形成されたトナー像が記録材2に転写される。転写後の感光ドラム100aの表面に残留した残トナーは、クリーニング容器100fに設けられたクリーニング手段となるクリーニングブレード100eにより掻き取られて除去される。
【0018】
転写ニップ部Nにおいて、トナー像が転写された記録材2は、感光ドラム100aの表面と、転写ローラ13とにより挟持搬送され、下面を搬送ガイド8によりガイドされて定着手段となる定着装置9に搬送される。定着装置9には、加圧ローラ9aと加熱ユニット9bとが設けられている。定着装置9を通過する記録材2が加圧ローラ9aと加熱ユニット9bとにより挟持搬送される過程において加熱及び加圧されてトナー像が熱溶融し、記録材2に熱定着される。
【0019】
トナー像が熱定着された記録材2は、加圧ローラ9aと加熱ユニット9bとにより挟持搬送されて後搬送ローラ10に送られる。記録材2の一面のみに画像を形成する場合には、記録材2は後搬送ローラ10により挟持搬送される。その後、搬送ガイド26に沿って排出ローラ11aと従動ローラ11bとにより構成される排出ローラ対により画像形成装置1本体の内部から排出されて排出トレイ12上に排出積載される。
【0020】
記録材2の裏面にも画像を形成する際には、図示しない搬送路切替手段により搬送ガイド26の位置が切り替えられて後搬送ローラ10により記録材2が挟持搬送される。その後、記録材2は、図1の反時計回り方向に移動した搬送ガイド26に沿って排出ローラ11aと従動ローラ11cとにより構成される反転ローラ対に挟持される。
【0021】
そして、記録材2の進行方向後端部が搬送ガイド26を通過した後、該搬送ガイド26が図1の時計回り方向に移動する。そして、排出ローラ11aの回転方向が反転する。これにより排出ローラ11aと従動ローラ11cとにより挟持された記録材2は、反転路24を搬送される。その後、記録材2は、搬送ローラ16,17により挟持搬送されて表裏面が反転する。その後、再度、停止したレジストローラ7のニップ部に記録材2の先端部が付き当てられて斜行が補正される。
【0022】
その後、所定のタイミングでレジストローラ7が回転し、一面目と同様に転写ニップ部Nにおいて、感光ドラム100aの表面に形成されたトナー像が転写ローラ13により記録材2の二面目に転写される。その後、記録材2は、搬送ガイド8、定着装置9、後搬送ローラ10を通過して搬送ガイド26にガイドされて排出ローラ11aと従動ローラ11bとにより構成される排出ローラ対により排出トレイ12上に排出される。
【0023】
<カートリッジ>
プロセスカートリッジ100(カートリッジ)は、画像形成装置1本体に開閉可能に設けられた開閉ドア14を開放して画像形成装置1本体内に設けられたガイド部材15a,15bに沿って図1の矢印A,B方向に着脱可能に設けられている。
【0024】
プロセスカートリッジ100は、像担持体となる感光ドラム100aと、少なくとも一つの画像形成プロセス手段を備えたものである。本実施形態のプロセスカートリッジ100は、像担持体となる感光ドラム100aを有する。更に、該感光ドラム100aの表面を一様に帯電する帯電手段となる帯電ローラ100bを有する。
【0025】
更に、プロセスカートリッジ100は、該感光ドラム100aの表面に形成された静電潜像に現像剤となるトナーを供給する現像手段となる現像装置100jを有する。更に、現像剤となるトナーを収容する現像容器100dと、現像剤担持体となる現像ローラ100cとを有する。更に、クリーニング手段となるクリーニング容器100f、クリーニングブレード100e等が一体的に設けられている。レーザスキャナ18a、転写ローラ13は、画像形成装置1本体側に設けられている。
【0026】
レーザスキャナ18aから出射された画像情報に応じたレーザ光は、プロセスカートリッジ100を構成する枠体に設けられた開口を介して感光ドラム100aの表面に照射される。プロセスカートリッジ100に回転可能に設けられた感光ドラム100aの表面は、枠体に設けられた図示しないシャッタ部材により覆われている。ユーザがプロセスカートリッジ100を画像形成装置1本体の所定位置に装着する操作に連動して図示しないシャッタ部材が移動して開口され、感光ドラム100aの表面が露出して転写ローラ13の表面に対向する。
【0027】
画像形成装置1本体には、図示しない回動支点を中心に回動することで画像形成装置1本体に対して開閉可能に設けられた開閉ドア14と、プロセスカートリッジ100をガイドするガイド部材15a,15bが設けられている。プロセスカートリッジ100を画像形成装置1本体に対して着脱する際は、プロセスカートリッジ100の移動は、ガイド部材15a,15bにより図1の矢印A,B方向に規制される。
【0028】
<電極>
次に、図2図6を用いて画像形成装置1本体側からプロセスカートリッジ100に対して必要な電力を供給する電極200の構成について説明する。図2に示す画像形成装置1本体の装置フレーム25は、光学台18、底板22,23を両側から挟み込むように配置された左右側板19,20、左右側板19,20の上部を橋渡しする形で補強する上ステイ21とを有して構成される。
【0029】
図4に示すように、左側板19の外側(図4の左側)には、画像形成装置1本体側からプロセスカートリッジ100に電力を供給する高圧基板203を支持するホルダ部204が設けられている。ホルダ部204に支持された高圧基板203は、図示しない電源基板により生成された電圧を変圧し、図3及び図4に示す一対の電極200を介してプロセスカートリッジ100に設けられた受電部100g,100hに電力を供給する。
【0030】
<被接点部>
図3及び図4に示すように、プロセスカートリッジ100の枠体からなる現像容器100dの長手方向端部の側面には、現像手段となる現像ローラ100cに供給する現像バイアス電力を受電する受電部100hが設けられている。
【0031】
また、プロセスカートリッジ100の枠体からなるクリーニング容器100fの長手方向端部の側面には、帯電手段となる帯電ローラ100bに供給する帯電バイアス電力を受電する受電部100gが設けられている。図4に示す左側板19の外側(図4の左側)には、ホルダ部204が設けられており、該ホルダ部204の内部には、一対の筒状のガイド部204aが設けられている。
【0032】
一対の筒状のガイド部204aの内部には、電極200が摺動可能に設けられている。電極200は、導電性を有する線材がコイル状(螺旋状)に巻かれて筒状に形成された弾性変形可能なバネ部201を有する。更に、該バネ部201の第1軸方向一端側(図5(a),(b)の上側)にリング部202が設けられる。リング部202は、該バネ部201の第1軸方向(図5(a),(b)の上下方向)と交差する方向(図5(b)の左右方向)を第2軸方向として導電性を有する線材が環状に巻かれている。
【0033】
リング部202は、バネ部201の第1軸方向の一端側の線材を90°方向を変えて該バネ部201の第1軸方向(図5(a),(b)の上下方向)に対して略直交する方向に第2軸方向(図5(b)の左右方向)を配置したものである。リング部202は、円環状に二巻きして形成される。リング部202は、第2軸方向(図5(b)の左右方向)にバネ部201に接続される第1リング部202aと、該第1リング部202aに接続される第2リング部202bとを有する。
【0034】
<第1リング部と第2リング部との構造の違い>
図5(a),(b)に示すように、リング部202が、帯電ローラ100bに帯電バイアス電力を供給する受電部100gや現像ローラ100cに現像バイアス電力を供給する受電部100h等の被接点部と接触しない状態を考慮する。この状態で、第1リング部202aと第2リング部202bのバネ部201から最も離れた部分(接点端部202a1,202b1)の位置は、バネ部201の第1軸方向(中心線eに沿った方向)において異なる位置にある。
【0035】
即ち、第2リング部202bのバネ部201から最も離れた部分(接点端部202b1)の位置を考慮する。その位置は、バネ部201の第1軸方向(中心線eに沿った方向)において第1リング部202aのバネ部201から最も離れた部分(接点端部202a1)の位置よりも、バネ部201の第1軸方向(中心線eに沿った方向)に沿って突出量aだけ突出している。
【0036】
図4に示すように、一対の電極200は、ホルダ部204に支持された高圧基板203側に設けられた給電部203a,203bと、プロセスカートリッジ100側に設けられた受電部100g,100hとの間で挟み込まれるように押圧される。バネ部201とリング部202の弾性力により復元力(伸長力)が作用する。これにより一対の電極200を介して高圧基板203側に設けられた給電部203a,203bと、プロセスカートリッジ100側に設けられた受電部100g,100hとがそれぞれ電気的導通を確保して接点として機能する。
【0037】
図4に示すように、帯電ローラ100bに帯電バイアス電力を供給する受電部100g(被接点部)と、現像ローラ100cに現像バイアス電力を供給する受電部100h(被接点部)に対して、それぞれの電極200のリング部202が接触した状態を考慮する。その状態で、それらの接触部が外部に露出している。これによりユーザ等が接触状態を視認することができる。
【0038】
図1及び図3に示すクリーニング容器100fは、少なくとも感光ドラム100a(像担持体)と、帯電ローラ100b(帯電手段)とを有する第1カートリッジとして構成される。また、現像容器100dは、第2カートリッジとして構成される。クリーニング容器100f(第1カートリッジ)と現像容器100d(第2カートリッジ)とは、画像形成装置本体に対して着脱可能に設けられる。ここで、クリーニング容器100f(第1カートリッジ)と現像容器100d(第2カートリッジ)とは、それぞれ独立して画像形成装置本体に対して着脱可能に設ける構成でも良い。
【0039】
画像形成装置1は、図3及び図4に示すように、電極200を2つ有する。クリーニング容器100f(第1カートリッジ)に設けられる帯電ローラ100b(帯電手段)に供給する電力を受電する受電部100gからなる被接点部に図4の下方に示す第1電極200のリング部202が接触する。
【0040】
一方、現像容器100d(第2カートリッジ)に設けられる現像ローラ100c(現像手段)に供給する電力を受電する受電部100hからなる被接点部に図4の上方に示す第2電極200のリング部202が接触する。
【0041】
図5(a),(b)に示すように、電極200は、導電性を有する線材が螺旋状に巻かれて筒状(コイル状)に形成された弾性変形可能なバネ部201を有する。更に、該バネ部201の第1軸方向(図5(a),(b)の上下方向)の一端部(図5(a),(b)の上側)にリング部202が設けられている。
【0042】
リング部202は、バネ部201の一端部の線材が90°方向を変えて該バネ部201の第1軸方向と直交する方向(図5(b)の左右方向)に第2軸方向が配置された円環状に二巻きして形成されている。
【0043】
ここで、バネ部201の第1軸方向とは、図5(b)に示すように、導電性を有する線材が螺旋状に巻かれて形成された筒状(コイル状)体の中心線eに沿った方向である。また、リング部202の第2軸方向とは、バネ部201の一端部の線材が90°方向を変えて最初に螺旋状に巻かれて形成されたリング状(コイル状)体からなる第1リング部202aの中心線fに沿った方向である。尚、第2リング部202bの図示しない中心線は、第1リング部202aの中心線fとは、ずれた位置にある。
【0044】
図5(b)に示すように、リング部202の第2軸方向(図5(b)の左右方向)の中心線fは、バネ部201の第1軸方向(図5(b)の上下方向)の中心線eに対して交差する。好ましくは、第1軸方向の中心線eと第2軸方向の中心線fとは、直交する関係になるように設計されている。
【0045】
リング部202は、バネ部201の第1軸方向(図5(b)の上下方向)の一端部(図5(b)の上側)の線材に接続された第1リング部202aと、該第1リング部202aに接続された第2リング部202bとを有して構成されている。
【0046】
図5(a),(b)に示すように、プロセスカートリッジ100側に設けられた被接点部となる受電部100g,100hと、電極200のリング部202とがそれぞれ接触していない状態を考慮する。その状態で、第1リング部202aのプロセスカートリッジ100側(被接点部側)の接点端部202a1と、第2リング部202bのプロセスカートリッジ100側(被接点部側)の接点端部202b1とを考慮する。図5(a),(b)に示すように、第1リング部202aの接点端部202a1よりも第2リング部202bの接点端部202b1の方がプロセスカートリッジ100側(被接点部側)の方向(図5(a),(b)の上方向)に突出量aだけ突出する。
【0047】
第1リング部202aの接点端部202a1に対する第2リング部202bの接点端部202b1の突出量aは、電極200を構成する鋼線材の線径d(線材の外径)よりも大きくなるように設定されている。また、リング部202の第2軸方向(図5(b)の左右方向)において、第1リング部202aと第2リング部202bとの間に設けられた隙間bが電極200を構成する鋼線材の線径d(線材の外径)よりも大きくなるように設定されている。
【0048】
次に、図6を用いてプロセスカートリッジ100が画像形成装置1本体内に挿入され、プロセスカートリッジ100側に設けられた受電部100g,100hと、電極200のリング部202とが接触した状態について説明する。図6(a)は、電極200のバネ部201の第1軸方向(図6(a)の左右方向)に対して、プロセスカートリッジ100側の受電部100g,100hの表面が垂直に配置された場合の理想的な接触状態を示した図である。
【0049】
プロセスカートリッジ100が画像形成装置1本体に挿入される。そして、プロセスカートリッジ100側の受電部100g,100hによりリング部202を介してバネ部201が第1軸方向(図6(a)の左方向)に圧縮された状態を考慮する。その状態では、突出量aだけ突出した第2リング部202bの接点端部202b1が、第1リング部202aの接点端部202a1に先行してプロセスカートリッジ100側の受電部100g,100hと接触する。
【0050】
プロセスカートリッジ100側の受電部100g,100hと接触した第2リング部202bは、バネ部201の圧縮力により第1リング部202aの接点端部202a1の位置と同じ位置まで押圧されて変形する。これによりプロセスカートリッジ100側の受電部100g,100hと、第1、第2リング部202a,202bとが共に接触する。これにより電極200は、単純な構成のままで接点の電気的接触安定性及び信頼性を高めることが可能となる。実際の製品では、各構成要素の寸法にバラツキが存在する。このため図6(a)に示すような理想的な接触状態を実現するのは非常に難しい。
【0051】
次に、図6(b),(c)を用いて電極200のバネ部201の第1軸方向(図6(b),(c)の左右方向)に対して、プロセスカートリッジ100側の受電部100g,100hの表面が垂直から傾いた場合の接触状態について説明する。
【0052】
図6(b)は、プロセスカートリッジ100側の受電部100g,100hの画像形成装置1の上方側(図6(b)の上方側)が電極200から遠ざかる方向に垂直から傾いた状態を示す図である。プロセスカートリッジ100が画像形成装置1本体に挿入される。そして、プロセスカートリッジ100側の受電部100g,100hによりバネ部201が圧縮された状態を考慮する。
【0053】
その状態においては、図6(b)に示すように、第1リング部202aの接点端部202a1が第2リング部202bの接点端部202b1に先行して、プロセスカートリッジ100側の受電部100g,100hと接触する。或いは、第1リング部202aの接点端部202a1と、第2リング部202bの接点端部202b1とが略同時にプロセスカートリッジ100側の受電部100g,100hと接触する。
【0054】
第2リング部202bの接点端部202b1が接触するプロセスカートリッジ100側の受電部100g,100hとの接点は、以下の通り突出している。第1リング部202aの接点端部202a1が接触するプロセスカートリッジ100側の受電部100g,100hとの接点よりもプロセスカートリッジ100側の受電部100g,100hの方向に突出している。
【0055】
このため図6(b)に示すように、プロセスカートリッジ100側の受電部100g,100hの画像形成装置1の上方側が電極200から遠ざかっている場合がある。その場合においてもプロセスカートリッジ100側の受電部100g,100hと、第1、第2リング部202a,202bの接点端部202a1,202b1とが共に接触する。これにより電極200は単純な構成のままで、接点の電気的接触安定性及び信頼性を高めることが可能となる。
【0056】
図6(c)は、プロセスカートリッジ100側の受電部100g,100hの画像形成装置1の下方側(図6(c)の下方側)が電極200から遠ざかる方向に垂直から傾いた状態を示す図である。プロセスカートリッジ100が画像形成装置1本体に挿入される。そして、プロセスカートリッジ100側の受電部100g,100hによりバネ部201が圧縮された状態を考慮する。その状態においては、第2リング部202bの接点端部202b1が第1リング部202aの接点端部202a1に先行して、プロセスカートリッジ100側の受電部100g,100hと接触する。
【0057】
図5(a),(b)に示すように、電極200の第2リング部202bのプロセスカートリッジ100側の接点端部202b1は、以下の通り突出している。第1リング部202aのプロセスカートリッジ100側の接点端部202a1よりもプロセスカートリッジ100の受電部100g,100h側の方向に突出している。また、図5(b)に示すように、第1リング部202aと第2リング部202bとは、第2軸方向(図5(b)の左右方向)において隙間bが設けられている。
【0058】
プロセスカートリッジ100側の受電部100g,100hに接点端部202b1が接触した第2リング部202bは、バネ部201の圧縮力の復元力により押圧されて第1リング部202aよりも大きく変形する。図6(c)に示すように、プロセスカートリッジ100側の受電部100g,100hの画像形成装置1の下方側が電極200から遠ざかっている場合がある。その場合でもプロセスカートリッジ100側の受電部100g,100hに対して第1、第2リング部202a,202bが共に接触する。
【0059】
即ち、第2リング部202bの接点端部202b1が被接点部となるプロセスカートリッジ100側の受電部100g,100hと接触してバネ部201が軸方向に圧縮された状態を考慮する。その状態において、受電部100g,100h(被接点部)に対して第1、第2リング部202a,202bが共に接触する。これにより電極200は、単純な構成のままで、接点の電気的接触安定性及び信頼性を高めることが可能となる。
【0060】
図5(a),(b)に示す電極200の第2リング部202bのプロセスカートリッジ100側の接点端部202b1の第1リング部202aのプロセスカートリッジ100側の接点端部202a1に対する突出量aを考慮する。本実施形態では、画像形成装置1の内部構成の制限により突出量aを電極200を構成する鋼線材の線径dの5倍以下に設定している。
【0061】
図6(a)〜(c)に示すように、電極200と、被接点部となるプロセスカートリッジ100側の受電部100g,100hとの相対的角度が変位する場合を考慮する。そのような場合でも被接点部(受電部100g,100h)との電気的接触部(第1、第2リング部202a,202b)が確実に二箇所で接触することができる。
【0062】
図5(a),(b)に示すように、第1リング部202aと第2リング部202bとの間に第2軸方向(図5(b)の左右方向)において隙間bを設ける。そして、被接点部(受電部100g,100h)と接触していない状態を考慮する。その状態において、第1リング部202aの被接点部(受電部100g,100h)側の接点端部202a1と、第2リング部202bの被接点部(受電部100g,100h)側の接点端部202b1とを考慮する。第1リング部202aの接点端部202a1よりも第2リング部202bの接点端部202b1の方が被接点部(受電部100g,100h)側の方向(図5(a),(b)の上方向)に突出量aだけ突出するように構成する。
【0063】
これにより図6(a)〜(c)に示すように、電極200のバネ部201が圧縮された状態で被接点部(受電部100g,100h)と第2リング部202bの接点端部202b1とが接触した状態を考慮する。その状態で、第2リング部202bがバネ部201の圧縮力の復元力により押圧、変形する。これにより被接点部(受電部100g,100h)と第1リング部202aの接点端部202a1及び被接点部(受電部100g,100h)と第2リング部202bの接点端部202b1とが共に接触する。これにより電極200は単純な構成のままで接点の電気的接触安定性及び信頼性を高めることが可能となる。
【0064】
〔第2実施形態〕
次に、図7を用いて本発明に係る電極を備えた画像形成装置の第2実施形態の構成について説明する。尚、前記第1実施形態と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。図7(a)は、第2実施形態の電極の構成を示す正面図である。図7(b)は、第2実施形態の電極の構成を示す側面図である。
【0065】
前記第1実施形態では、図5(a),(b)に示すように、電極200のプロセスカートリッジ100側に2つの第1、第2リング部202a,202bを設けた一例である。本実施形態では、図7(a),(b)に示すように、電極200のプロセスカートリッジ100側に3つの第1、第2、第3リング部202a,202b,202cを設けた一例である。
【0066】
本実施形態のリング部202は、第2軸方向に第1リング部202aと第2リング部202bとの間に接続される第3リング部202cを有する。第1リング部202aと第3リング部202cとの間には、リング部202の第2軸方向(図7(b)の左右方向)において第2の隙間b2が設けられる。また、第2リング部202bと第3リング部202cとの間には、リング部202の第2軸方向(図7(b)の左右方向)において第3の隙間b1が設けられる。第2の隙間b2と第3の隙間b1は、電極200を構成する鋼線材の線径d(線材の外径)よりも大きくなるように設定されている。
【0067】
図7(a),(b)に示すように、電極200のリング部202がプロセスカートリッジ100の受電部100g,100h(被接点部)と接触していない状態を考慮する。その状態において、第1リング部202aのプロセスカートリッジ100側(被接点部側)の接点端部202a1と、第3リング部202cのプロセスカートリッジ100側(被接点部側)の端部202c1とを考慮する。第1リング部202aの接点端部202a1よりも第3リング部202cの端部202c1がバネ部201側(バネ部側)に引っ込んでいる。
【0068】
即ち、第2リング部202bの接点端部202b1がプロセスカートリッジ100の受電部100g,100h側に最も近い。その次に第1リング部202aの接点端部202a1がプロセスカートリッジ100の受電部100g,100h側に近い。第3リング部202cの端部202c1がプロセスカートリッジ100の受電部100g,100h側に最も遠い位置に配置される。
【0069】
図7(a),(b)に示すように、第2リング部202bのプロセスカートリッジ100側の接点端部202b1の第1リング部202aのプロセスカートリッジ100側の接点端部202a1に対する突出量aを考慮する。該突出量aは、電極200を構成する鋼線材の線径dよりも大きくなるように設定されている。
【0070】
更に、リング部202の第2軸方向(図7(b)の左右方向)における第2リング部202bと第3リング部202cとの隙間b1が電極200を構成する鋼線材の線径dよりも大きくなるように設定される。更に、リング部202の第2軸方向(図7(b)の左右方向)における第1リング部202aと第3リング部202cとの隙間b2が電極200を構成する鋼線材の線径dよりも大きくなるように設定される。
【0071】
これによりバネ部201の圧縮力による復元力が第1実施形態に比べて弱い場合でも第2リング部202bは、第3リング部202cを介して容易に変形可能となる。これにより第1リング部202aの接点端部202a1と、第2リング部202bの接点端部202b1とがプロセスカートリッジ100側の受電部100g,100hに共に接触する。これにより電極200は、単純な構成のままで接点の電気的接触安定性及び信頼性を高めることが可能となる。
【0072】
本実施形態では、画像形成装置1の上方側(図7(b)の左側)に電極200の第2リング部202bを配置した一例である。電極200の第1リング部202aと第2リング部202bとを配置する方向については画像形成装置1のフレーム構成やプロセスカートリッジ100の構成により最適な配置は適宜変化する。
【0073】
尚、前記各本実施形態では、画像形成装置1として、レーザプリンタの一例について説明したが、これに限らず複写機などの他の画像形成装置に適用しても同様の効果が得られる。他の構成は前記第1実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
【符号の説明】
【0074】
100g…帯電ローラ100bに帯電バイアス電力を供給する受電部(被接点部)
100h…現像ローラ100cに現像バイアス電力を供給する受電部(被接点部)
201…バネ部
202…リング部
202a…第1リング部
202a1…接点端部
202b…第2リング部
202b1…接点端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7