(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明するが、まず
図1〜
図6を参照して第1実施の形態を説明する。
図6に示すように、本実施の形態にかかる竪格子体1は、ファサードであり、複数の竪格子材3を互いに間隔をあけて直線状に並べて地面Gに立設している。各竪格子材3の上端にはキャップ5が取り付けられている。各竪格子材3は、アルミニウム合金製であり、例えば70mm角の中空材で、地上から立設する高さが約1600mmである。尚、
図6に示すように、本実施の形態では、竪格子材3は合計7本用いているが、
図4では竪格子材3の数を省略して示している。
【0010】
次に、
図6に示す竪格子体の製造方法に用いられる施工治具について説明する。
図1及び
図3に示すように、施工治具7は、通し材9と、取付材11とを備えており、竪格子材3に着脱自在としてある。
通し材9は、複数の竪格子材3に亘って設けるものである。この通し材9は、アルミニウム合金製の中空形材であり、断面が略矩形を成している。通し材9は、竪格子材3の上端部において、竪格子材3の一側面に当接して配置されている。この通し材9には、竪格子材3と反対側の面に、長手方向に沿って係合溝9aが形成されている。通し材9の長さは約1000mmである。
取付材11は、各竪格子材3の位置に合わせて各竪格子材3と通し材9に跨がって仮固定するものである。取付材11は、竪格子材3に係止する係止部11aと、通し材9に仮固定される仮固定部11bと、係止部11aと仮固定部11bとの連結部11cとを有し、係止部11aと仮固定部11bと連結部11cとでコ字形状に形成されている。
図3(a)に示すように、係止部11aは、竪格子材3の他端(立設したときに上端となる端)3bから竪格子材3の中空内に挿入されており、仮固定部11bは通し材9の係合溝9a側の面に対向して配置されている。
【0011】
更に、取付材11には、通し材9を竪格子材3に押し付ける押し付け手段13が設けてある。本実施の形態では、押し付け手段13は、仮固定部11bに形成されたねじ孔11dに螺合するちょうボルトである。
また、本実施の形態では、竪格子材3において、施工治具7の取付側と反対側には、各竪格子材3を連結する連結材15が設けてある。
図1に示すように、連結材15は、各竪格子材3の下端を連結するものであり、
図3(b)に示すように、通し材9と略同じ長さのアングル材である。
図1(b)に示すように、この連結材15は、竪格子材3の一端3a(地面に立設したときの下端)に当接する一側部15aと、竪格子材3の側面に重ねる他側部15bとで側面視略L字形状を成している。
図2(a)に示すように、連結材15の他側部15bには、取付孔17を穿けるときの目印15cが形成されている。目印15cは、連結材15の長手方向に形成された溝条であり、連結材15のL字のコーナーから所定寸法離れた位置に設けてある。
【0012】
次に、竪格子体1の製造方法について説明する。
図2(a)に示すように、竪格子材3を必要とする高さに合わせて切断した後、竪格子材3を倒れた状態にして地面に並べ、一端3a(地面に立設したときの下端)側に、連結材15の取り付け孔16を加工する。
一方、連結材15には、その他側部15bに所定のピッチで取付孔17を形成する。取付孔17は、連結材15の他側部15bに形成された溝条の目印15cの位置で、目印15cの長手方向で所定ピッチの寸法毎に孔を穿ける。所定のピッチは、隣合う竪格子材の取り付け位置に合わせたピッチである。
次に、竪格子材3の一端3a(地面に立設したときの下端)を連結材15のL字の一側部15aに当てて、竪格子材3の一端3aを揃え、連結材15の他側部15bを竪格子材3の側面に当てて、ねじ19を各取付孔17にねじ込んで、連結材15を竪格子材3に順次固定する。
これにより、
図2(b)に示すように、各竪格子材3の一端3a側を連結材15で連結した状態にする。
【0013】
その後、
図3(a)に示すように、連結材15で連結した各竪格子材3を倒れた状態にしたまま、竪格子材3の他端3b(地面に立設したときの上端)側において、各竪格子材3の上側の面にクッション材21(
図1(b)参照)を介して通し材9を載せる。通し材9は係合溝9aを上に向けて各竪格子材3に亘って配置する。
各竪格子材3の他端3b側において、取付材11の係止部11aを竪格子材3の中空内に挿入し、仮固定部11bを通し材9の上側面(係合溝9a側の面)に載せる。これにより、取付材11は竪格子材3と通し材9に跨って配置される。このとき、取付材11は、隣合う竪格子材3どうしにおける竪格子材3の他端3bの間隔が、竪格子材3の一端3aの間隔と同じになるようにして取り付ける。
次に、取付材11の仮固定部11bに形成されているねじ孔11dに押し付け手段13のねじ軸13aを螺進して、
図1(b)に示すように、通し材9の係合溝9aの溝底にねじ軸13aの先端を押し付ける。
このようにして各竪格子材3に通し材9と取付材11を取り付けて、
図3(b)に示すように、各取付材11を各竪格子材3と通し材9に跨って仮固定した仮固定竪格子体23を組み立てる。
この仮固定竪格子体23は、一人で運んで施工できる重量とサイズであり、例えば重量が約20Kg、高さが約1900mm(地上に立設する高さ1600mm)、左右の巾が約1000mmである。尚、仮固定竪格子体23の重量やサイズは竪格子材3の角柱の一辺の寸法や長さ、本数等によっても異なるが、最大重量で約25Kgが好ましい。
【0014】
次に、
図4に示すように、仮固定竪格子体23をその連結材15側を下にして立ち上げて、連結材15と共に各竪格子材3の下端部を地面Gに掘った埋め込み穴に埋設し、支え棒25で仮固定竪格子体23を自立させる。
そして、納まり寸法、仮固定竪格子体23の垂直、水平を確認し、コンクリートKを打ち、
図1及び
図4に示すように、養生する。尚、
図1では支え棒25は省略している。
コンクリートKの養生中は、竪格子材3の上部小口にビニール袋等の被覆材27を被せて雨水が竪格子材3の内部に入るのを防止する。
【0015】
コンクリートKが乾いたら、被覆材27及び支え棒25を外した後、押し付け手段13を緩め、取付材11及び通し材9からなる施工治具7を各竪格子材3から外す。
そして、
図5に示すように、竪格子材3の上端3bにキャップ5をねじ29で止める。
これにより、
図6に示すように、地面Gに立設した竪格子体1を製造する。
【0016】
第1実施の形態にかかる竪格子体1の製造方法によれば、通し材9と取付材11を備える施工治具7で複数の竪格子材3を連結した状態にして、地面Gに立設できるから、各竪格子材3を一本ずつレベル出しをする必要がないので、竪格子体1の製造時間を短くできる。
通し材9と取付材11を備える施工治具7は竪格子材3に着脱自在であるから、竪格子体1の製造後に取り外して再利用できるのでコストダウンを図ることができる。
【0017】
図4に示すように、各竪格子材3の上端は通し材9と取付材11を備える施工治具7で連結すると共に各竪格子材3の下端を連結する連結材15を設けているので、仮固定竪格子体23の移動や埋設を安定に行うことができる。また、コンクリートKの養生中にも仮固定竪格子体23を安定に保持することができる。
各竪格子材3の下端を連結する連結材15は取り外すことなく、そのまま地中に埋設しているので、施工が容易である。
通し材9には、押し付け手段13の先端を係合する係合溝9aを形成しているので、押し付け手段13の位置決めが容易にできると共に押し付け手段13がずれ難い。
通し材9は各竪格子材3に押し付けているだけであるから、任意の間隔や位置で竪格子材3に仮固定できる。
【0018】
図3及び
図2に示すように、通し材9と取付材11を備える施工治具7、及び連結材15は、各竪格子材3を立設する前の倒れた状態で取付けているので、倒れた状態にある竪格子材3の上側の面で、施工治具7の取り付けや連結材15の取り付けができるので、作業性が良い。
取付材11は、竪格子材3の他端3bに掛けて係止しているので、簡単に取り付けできる。
図1に示すように、取付材11は、通し材9を押し付け手段13により各竪格子材3へ押し付けて仮固定しているので、押し付け手段13の押し付けを解除することで、仮固定を容易に解除できる。
連結材15には、連結孔17を形成するための溝条の目印15cが形成してあり、目印15cは、連結材15のコーナーから所定寸法の位置(高さ方向の位置)に形成してあるので、連結孔17を穿けるときには、連結材長手方向のピッチだけを決めればよいので、作業性が良い。
【0019】
次に、本発明の他の実施の形態を説明するが、以下に説明する実施の形態において、上述した第1実施の形態と同一の作用効果を奏する部分には同一の符号を付することによりその部分の詳細な説明を省略し、以下の説明では第1実施の形態と主に異なる点を説明する。
図7及び
図8を参照して、第2実施の形態にかかる竪格子体1及びその製造方法について説明する。
図8に示すように、第2実施の形態にかかる竪格子体1は、竪格子材3は5本であり、円弧状に並べて配置していることが、直線状に並べた第1実施の形態と異なっている。
図7に示すように、通し材9と連結材15は共に長手方向が円弧状のものが用いられているが、取付材11及び押し付け手段13は第1実施の形態と同種のものが用いられている。
【0020】
第2実施の形態にかかる竪格子体1の製造方法では、第1実施の形態と同様に、各竪格子材3を倒れた状態にして地面に並べ、隣り合う竪格子材3は間隔をあけて配置し、湾曲した連結材15を並べた竪格子材3の上面に載せるように配置する。連結材15は湾曲しているので左右側が反り上がって竪格子材3の上面から離れた状態になるが、連結材15の左右の一端側から対応する竪格子材3の一端3a側の上面に当てて、順次ねじ止めする。
同様に、通し材9についても、左右の一側から竪格子材3について、取付材11を竪格子材3の他端3bに順次係止して、各々押し付け手段13で仮固定して、仮固定竪格子体23を組み立てる。
その後、
図7に示すように、竪格子材3を円弧状に並べた仮固定竪格子体23を、
図4に示す第1実施の形態と同様に、連結材15側を下にして立ち上げて、連結材15と共に各竪格子材3の下端部を埋め込み穴に埋設し、支え棒25で仮固定竪格子体23を自立させて、コンクリート打ちを行う。
コンクリートKが乾いた後、押し付け手段13を外し、取付材11及び通し材9を外し、各竪格子材3の上端3bにキャップ5を取り付ける。
この第2実施の形態においても、上述した第1実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0021】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
例えば、押し付け手段13は、ボルトやねじに限らず、ばねやパッド等であってもよい。
竪格子体1における竪格子材3の本数は、上述した第1実施の形態では7本とし、第2実施の形態では5本としてが、これに限らず、第1実施の形態では3本や5本とし、第2実施の形態では3本や7本としたり、第1及び第2実施の形態共に8本以上としても良く、本数は任意である。
竪格子体1は、ファサードに限らず、テラス、手摺、フェンス等であっても良く、竪格子体の機能や目的は限定されない。
キャップ5は、ねじ29で固定することに限らず、シーリング材で接着してもよい。
図2(a)に示すように、連結材15に形成する取付孔17の目印15cは、溝条に形成することに限らず、隣合う竪格子材3のピッチに対応する位置にも溝条に交差するように、例えば十字の溝条を付けても良い。また、目印15cは、溝条や十字の溝に限らず、点状の凹み、凸条や線を引いて形成しても良い。
図1(b)に示すように、連結材15の一側部15aにおいて、竪格子材3の一端3aに沿う寸法は、他側部15bと略同じ寸法にすることに限らず、竪格子材3の一端3aを略覆う寸法にしたり、その半分程度の寸法にしても良い。また、一側部15aを竪格子材3の見込寸法よりも大きくして、竪格子体1を埋設したときにより安定させるようにしても良い。