特許第6971799号(P6971799)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971799
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】X線診断システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/04 20060101AFI20211111BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   A61B6/04 331F
   A61B6/00 350Z
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-225057(P2017-225057)
(22)【出願日】2017年11月22日
(65)【公開番号】特開2019-92866(P2019-92866A)
(43)【公開日】2019年6月20日
【審査請求日】2020年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118876
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 順生
(74)【代理人】
【識別番号】100125151
【弁理士】
【氏名又は名称】新畠 弘之
(72)【発明者】
【氏名】福崎 武宏
(72)【発明者】
【氏名】西墻 俊一郎
(72)【発明者】
【氏名】政橋 順史
(72)【発明者】
【氏名】網田 恒司
(72)【発明者】
【氏名】笠岡 隼人
(72)【発明者】
【氏名】殿塚 浩規
(72)【発明者】
【氏名】二瓶 嘉代子
【審査官】 佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−517098(JP,A)
【文献】 米国特許第06295671(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00−6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体のX線撮像を行って、X線画像を生成するX線診断装置と、
前記X線診断装置に取り付けられる踏み台装置と、
を備えるX線診断システムであって、
前記踏み台装置は、
前記X線診断装置に取り付けられるとともに、第1のX線透過率を有するフレームと、 前記フレームに固定されて、前記X線診断装置により撮像を行う被検体を支持するとともに、前記第1のX線透過率よりも高い第2のX線透過率を有する踏み板部と、
を備え
前記X線診断装置は、前記被検体の前記X線画像の輝度補正を行って、前記踏み板部が前記X線画像に与えた影響を補正する輝度補正部を、さらに備えるX線診断システム。
【請求項2】
前記輝度補正部は、前記X線画像を解析することにより、前記X線画像に明るい第1領域と暗い第2領域との境界線が存在するか否かを判定し、前記境界線が存在する場合には、前記第1領域と前記第2領域のうちの少なくとも一方の輝度を補正する、請求項に記載のX線診断システム。
【請求項3】
前記輝度補正部は、前記X線診断装置の設定と前記踏み板部の位置とから、前記X線画像における明るい第1領域と暗い第2領域との境界線の存在とその位置を算出し、前記境界線が存在する場合には、前記第1領域と前記第2領域のうちの少なくとも一方の輝度を補正する、請求項に記載のX線診断システム。
【請求項4】
前記踏み台装置は、前記X線診断装置の寝台の天板に取り付けられて、立位にある被検体を支持する、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のX線診断システム。
【請求項5】
前記フレームは、踏み板部の両側部に一対設けられており、前記踏み板部の両側部が前記フレームに固定される、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のX線診断システム
【請求項6】
前記一対のフレームの間に、前記フレームの強度を補うための補強部材が設けられている、請求項に記載のX線診断システム
【請求項7】
前記補強部材は、前記フレームを介して、前記X線診断装置により撮像を行う前記被検体を支持する、請求項に記載のX線診断システム
【請求項8】
前記補強部材は、前記X線診断装置により撮像を行う前記被検体を、少なくとも部分的に、前記フレームを介さずに支持する、請求項に記載のX線診断システム
【請求項9】
前記フレームは、前記踏み板部方向に延びて張り出した張り出し部を備えており、前記張り出し部が、前記X線診断装置により撮像を行う前記被検体を、少なくとも部分的に支持する、請求項乃至請求項のいずれかに記載のX線診断システム
【請求項10】
前記踏み板部は、カーボン、メラミン樹脂、アクリル樹脂のうちの1つで、或いは、これらの組み合わせで、構成されている、請求項乃至請求項のいずれかに記載のX線診断システム
【請求項11】
被検体のX線撮像を行って、X線画像を生成するX線診断装置と、
前記X線診断装置に取り付けられる踏み台装置と、
を備えるX線診断システムであって、
前記踏み台装置は、前記X線診断装置により撮像を行う被検体を支持するとともに、X線を透過する材料により構成された踏み板部を備え、
前記X線診断装置は、生成された前記X線画像のうち、前記踏み板部をX線が透過した領域を識別し、当該識別結果に基づき、前記X線画像に対して輝度補正を行う輝度補正部を備える、
X線診断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、踏み台装置及びX線診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
X線診断装置を備えるX線診断システムを用いて、足関節の断層撮影や斜入撮影を行う場合、X線診断装置が備える寝台を水平状態にして、被検体の仰臥位によるX線撮像が通常行われている。一方、被検体を立位にしてX線撮像を行おうとする場合、寝台の天板に踏み台装置を取り付けて、寝台が垂直状態になった場合でも、被検体が踏み台装置を足がかりとして起立した状態が維持できるようにしなければならない。
【0003】
しかし、踏み台装置は板金等のX線透過率が極めて低い材料で構成されているため、被検体をX線撮像しようとしても、X線が踏み台装置で吸収されてしまい、十分な精度で被検体のX線撮像ができないという問題がある。このため、踏み台装置によるX線の吸収や遮蔽を避けるために、踏み台装置の上にX線の透過率が極めて高い材料で形成されたスペーサを設け、このスペーサの上に被検体を立たせることにより、被検体が立位にある状態の足関節等のX線撮像を行っていた。
【0004】
ところが、このようなスペーサを使用すると、寝台が垂直状態となり、被検体が立位になると、被検体が床から高い位置にいることとなり、被検体に恐怖心を与えてしまう恐れがある。また、踏み台装置を寝台の天板に取り付けた状態で、寝台を水平状態に移動すると、被検体の背中や頭が寝台の端からはみ出してしまう可能性もある。このため、踏み台装置の上にスペーサを設けずとも、立位の被検体の足関節等のX線撮像ができるようになることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−89934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本実施形態の目的は、被検体の恐怖心を抑制したX線撮像が可能となる踏み台装置、及び、そのような踏み台装置とその踏み台装置が取り付けられるX線診断装置とを備えたX線診断システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係る踏み台装置は、X線診断装置に取り付けられるとともに、第1のX線透過率を有するフレームと、前記フレームに固定されて、前記X線診断装置により撮像を行う被検体を支持するとともに、前記第1のX線透過率よりも高い第2のX線透過率を有する踏み板部と、を備える。
【0008】
本実施形態に係るX線診断システムは、被検体のX線撮像を行って、X線画像を生成するX線診断装置と、前記X線診断装置に取り付けられる踏み台装置と、を備えるX線診断システムであって、前記踏み台装置は、前記X線診断装置に取り付けられるとともに、第1のX線透過率を有するフレームと、前記フレームに固定されて、前記X線診断装置により撮像を行う被検体を支持するとともに、前記第1のX線透過率よりも高い第2のX線透過率を有する踏み板部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係るX線診断システムの全体構成を説明する斜視図。
図2図1に示すX線診断システムのX線診断装置の構成を説明するブロック図。
図3図1に示すX線診断システムのX線診断装置に取り付けられる第1実施形態に係る踏み台装置の斜視図。
図4図3の踏み台装置を用いてX線撮像をする際の側面図。
図5図4のX線撮像に基づくX線画像における上方領域と下方領域を説明する図。
図6図1に示すX線診断システムのX線診断装置で実行される画像補正処理の内容を説明する図。
図7】本実施形態に係るX線診断システムのX線診断装置の変形例を説明するブロック図。
図8図7に示した変形例における、踏み台装置の背面図。
図9】第2実施形態に係る踏み台装置の斜視図。
図10】第2実施形態に係る踏み台装置を用いてX線撮像をする際の側面図。
図11】第3実施形態に係る踏み台装置を用いてX線撮像をする際の側面図。
図12】第4実施形態に係る踏み台装置の斜視図。
図13】第4実施形態に係る踏み台装置を用いてX線撮像をする際の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本実施形態に係る踏み台装置及びX線診断システムを説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行うこととする。
【0011】
〔第1実施形態〕
図1は、本実施形態に係るX線診断システムSYSの全体構成を説明する図である。この図1に示すX線診断システムSYSは、X線診断装置1と、このX線診断装置1に着脱可能に取り付けられる踏み台装置60とを備えて構成されている。本実施形態においては、X線診断装置1は、例えば、X線撮像装置10とコンソール装置20とを備えて構成されている。
【0012】
より具体的には、X線撮像装置10は、架台30と、この架台30に設けられたCアーム移動機構32、起倒機構34及びCアーム回転機構36と、これらCアーム移動機構32、起倒機構34及びCアーム回転機構36により移動するCアーム38と、このCアーム38の一方の端部に取り付けられたX線管40及びX線絞り器42と、Cアーム38の他方の端部に取り付けられた平面検出器44と、これらX線絞り器42と平面検出器44との間に位置して被検体Pを載せる寝台の天板46とを、備えて構成されている。
【0013】
架台30は、Cアーム移動機構32と、起倒機構34と、Cアーム回転機構36とを保持する基礎となる台座であるとともに、これらの機構の移動を制御する制御部が格納されている。この架台30に格納されている制御部は、ケーブル50を介して、コンソール装置20に接続されている。
【0014】
Cアーム移動機構32は、起倒機構34に沿って移動する機構部であり、Cアーム移動機構32の移動とともに、Cアーム38も起倒機構34に沿って移動する。このため、Cアーム38は、起倒機構34に沿って、起倒機構34の一方から他方へ、及び、他方から一方へ、移動自在である。
【0015】
起倒機構34は、その端部に位置する支持アーム35を介して、寝台の天板46を支持する。すなわち、天板46は支持アーム35に取り付けられており、支持アーム35は起倒機構34に取り付けられている。このため、起倒機構34がCアーム38とともに回転すると、天板46も回転して、天板46上の被検体Pの姿勢を変えることができる。
【0016】
Cアーム回転機構36は、Cアーム38と起倒機構34とを回転自在に支持する。すなわち、Cアーム回転機構36は、C型に形成されたCアーム38における湾曲して最も張り出した中央部分を中心に、Cアーム38を回転可能に保持している。Cアーム回転機構36における回転角は任意であるが、本実施形態においては、天板46に被検体Pが横たわった状態で、Cアーム回転機構36によりCアーム38と起倒機構34とを回転させ、例えば立位の被検体P撮像できる程度の回転角を有している。Cアーム回転機構36は、Cアーム38の回転に伴い、起倒機構34も同様に回転させ、任意の回転角で、Cアーム移動機構32を介して、Cアーム38を起倒機構34に沿って移動自在に保持する。
【0017】
X線管40は、供給される高電圧を用いて、X線を発生する。X線絞り器42は、X線管40が発生させたX線を絞り込み、被検体Pの所望の領域にX線が照射されるようにする。平面検出器44は、フラット・パネル・ディテクタ(Flat Panel Detector)とも呼ばれ、被検体Pを透過したX線を検出する。すなわち、X線管40及びX線絞り器42と、平面検出器44とは、Cアーム38により被検体Pを挟んで対向するように、Cアーム38の一端と他端に配置される。
【0018】
平面検出器44は、例えば、X線管40の焦点を中心として1つの円弧に沿ってチャネル方向に複数のX線検出素子が配列された複数のX線検出素子列から構成される。平面検出器44は、X線管40から照射され、被検体Pを通過したX線を検出し、当該X線量に対応した電気信号を生成し、この電気信号をデジタル化した画像データを出力する。
【0019】
天板46は、被検体Pを載せるベッドであり、寝台の上に配置される。天板46は、被検体Pによる荷重に耐え得る強度を有するとともに、X線の透過率の高い材料で形成されている。本実施形態においては、天板46は、例えば、カーボン、アクリル樹脂等により、形成されている。なお、被検体Pは、本実施形態に係るX線診断装置1の構成要素に含まれるものではない。
【0020】
さらに、本実施形態においては、天板46には、踏み台装置60が着脱可能に取り付けられている。この踏み台装置60は、Cアーム38を回転させて、天板46に横たわった被検体Pを立位にした際に、被検体Pの足部が位置して、被検体Pが踏み台装置60上に起立することができるようにするための補助装置である。被検体Pの立位による撮影が必要ない場合には、この踏み台装置60は天板46から取り外すことができる。ここで、「立位」とは、被検体Pが踏み台装置60上で垂直に立っている状態のみならず、被検体Pが垂直でなくても、およそ、被検体Pの脚部に被検体Pの体重が載って、被検体Pの脚部に体重がかかっている状態をも含んでいる。
【0021】
なお、本実施形態においては、踏み台装置60は、天板46に着脱可能に取り付けられることとしたが、必ずしも着脱可能である必要はない。すなわち、恒久的に、踏み台装置60は、天板46に取り付けられてもよい。
【0022】
一方、このX線撮像装置10にケーブル50を介して接続されたコンソール装置20は、表示装置52や入力装置54等を備えて構成されている。詳しくは後述するが、コンソール装置20は、X線撮像装置10に入力装置54を介して操作者が各種の指示を入力するための装置であるとともに、X線撮像装置10で撮像されたX線画像を表示装置52に表示するための装置である。
【0023】
図2は、図1に示したX線診断装置1の内部構成を説明するためのブロック図である。X線診断装置1におけるX線撮像装置10とコンソール装置20との間は、上述したケーブル50により接続されている。
【0024】
コンソール装置20は、上述した表示装置52と入力装置54に加えて、記憶回路64と処理回路66とを備えて構成されている。表示装置52は、各種の情報を表示する。例えば、表示装置52は、処理回路66によって生成された医用画像(X線画像)や、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。表示装置52は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等によって構成される。
【0025】
入力装置54は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路66に出力する。例えば、入力装置54は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック等により実現される。
【0026】
記憶回路64は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。例えば、本実施形態においては、記憶回路64は、各種のプログラムを記憶するプログラム記憶回路64aと、X線画像に関するデータを格納して記憶するX線画像格納部64bとを備えている。
【0027】
処理回路66は、入力装置54から出力される入力操作の電気信号に応じてX線撮像装置10の全体的な動作を制御する。本実施形態においては、処理回路66は、例えば、X線画像取得機能66a、領域判断機能66b、輝度補正機能66c、及び、X線画像格納機能66dを有している。
【0028】
図2における実施形態では、X線画像取得機能66a、領域判断機能66b、輝度補正機能66c、及び、X線画像格納機能66dにて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路64のプログラム記憶回路64aに格納されている。処理回路66はプログラムを記憶回路64のプログラム記憶回路64aから読み出し、実行することで、各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路は、図2の処理回路66内に示された各機能を有することとなる。なお、図2においては単一の処理回路66によりX線画像取得機能66a、領域判断機能66b、輝度補正機能66c、及び、X線画像格納機能66dにて行われる処理機能が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路66を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
【0029】
このように、本実施形態においては、処理回路66は、例えば、プロセッサにより構成される。ここで、プロセッサという文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及び、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは、記憶回路64のプログラム記憶回路64aに保存されたプログラムを読み出して実行することにより機能を実現する。なお、記憶回路64にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成して構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、プロセッサは、プロセッサ単一の回路として構成されている場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて、1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合して、その機能を実現するようにしてもよい。
【0030】
なお、図2のX線診断装置1においては、コンソール装置20の構成要素は1つの筐体に格納されているが、これらコンソール装置20の構成要素は、必ずしも、1つの筐体に格納されている必要はなく、別筐体に格納されて複数存在してもよい。換言すれば、コンソール装置20は、単一のコンソールにて複数の機能を実行するのではなく、複数の機能を別々のコンソールが実行することにしても構わない。
【0031】
一方、X線撮像装置10には、X線撮像装置10の制御部である制御回路70に加えて、高電圧発生器72と平面検出器補正処理回路74も備えて構成されている。制御回路70は、コンソール装置20から入力される指示信号に基づいて、X線撮像装置10の制御を行う。具体的には、制御回路70は、上述したCアーム移動機構32と、起倒機構34と、Cアーム回転機構36の移動を制御するとともに、寝台の上に設けられた天板46の高さを変更すべく、天板46の上下移動を制御する。
【0032】
高電圧発生器72は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路から構成され、X線管40に印加する高電圧を発生する機能を有する高電圧発生装置と、X線管40が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置から構成される。高電圧発生器72は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。
【0033】
平面検出器補正処理回路74は、平面検出器44から出力された画像データに対して、各種の補正処理を施す。本実施形態においては、平面検出器補正処理回路74は、例えば、画像データに対して、オフセット補正処理、ゲイン補正処理、欠陥画素補正処理を施して、コンソール装置20へ出力する。
【0034】
次に、図1に示した本実施形態に係る踏み台装置60について詳しく説明する。図3は、本実施形態に係る踏み台装置60の斜視図であり、天板46に着脱可能に取り付けた状態を示している。
【0035】
この図3に示すように、一対のフレーム100a、100bと、踏み板部102とを備えて構成されており、フレーム100a、100bと踏み板部102とは、踏み板部102の両側部に設けられた締結具104a、104bとにより、固定されている。
【0036】
より詳しくは、被検体Pの右足側に位置する右側のフレーム100aには、踏み板部102の右側端部が位置している。本実施形態においては、踏み板部102の右側端部が、3つの締結具104aにより、右側のフレーム100aに固定されている。
【0037】
一方、被検体Pの左足側に位置するフレーム100bには、踏み板部102の左側端部が位置している。本実施形態においては、踏み板部102の左側端部が、3つの締結具104bにより、左側のフレーム100bに固定されている。
【0038】
本実施形態においては、締結具104a、104bは、締結ネジにより構成されているが、締結具104a、104bは、踏み板部102を一対のフレーム100a、100bに取り付けるための手段の一例に過ぎず、例えば、接着剤、クリップ等を用いて、踏み板部102を一対のフレーム100a、100bに取り付けるようにしてもよい。
【0039】
踏み板部102の厚さD1、すなわち、天板46に沿った方向の厚さと、フレーム100a、100bの厚さD2、すなわち天板46に沿った方向のフレーム100a、100bの太さとの関係は、任意である。ただし、本実施形態においては、踏み板部102の厚さD1は、フレーム100a、100bの厚さD2よりも薄くなっており、被検体Pが踏み板部102の上で立位になっても、被検体Pの位置が高くならないようになっている。
【0040】
フレーム100a、100bの材料は任意であるが、金属等の十分な剛性のある材料で構成されている。このため、フレーム100a、100bは、比較的、X線を透過しにくいと言える。一方で、踏み板部102も任意であるが、カーボンや、メラミン樹脂、アクリル等の被検体Pが立位になっても、その被検体Pを支持することができる程度の強度を有しているが、比較的、X線を透過しやすい材料で構成されている。換言すれば、踏み板部102のX線透過率は、フレーム100a、100bのX線透過率よりも、大きくなるように構成されている。このため、X線管40から照射されたX線が、あまり吸収されることなく、被検体Pの足部に到達し、立位の状態にある被検体Pの足部のX線撮像を行うことができるようになる。
【0041】
なお、踏み板部102は、カーボンや、メラミン樹脂、アクリル等の単一の材料で構成するだけでなく、これらを組み合わせた材料で構成するようにしてもよい。また、本実施形態におけるフレーム100a、100bのX線透過率が第1のX線透過率に相当しており、踏み板部102のX線透過率が第2のX線透過率に相当している。
【0042】
次に、本実施形態に係るX線診断システムSYSにおけるX線診断装置1を用いて撮像したX線画像に対して行う、輝度補正処理について説明する。なお、この輝度補正処理は、必ずしも必要な処理ではなく、任意の処理である。
【0043】
まず、図4及び図5に基づいて、踏み台装置60を用いてX線撮像を行った場合に、輝度の低い領域がX線画像に生成される理由を説明する。この図4は、立位の被検体Pの足部をX線撮像する様子を模擬的に説明する右側面図であり、図5は、撮影されたX線画像XMGの領域の一例を示す図である。
【0044】
この図4に示すように、X線管40及びX線絞り器42からX線が、関心領域である被検体Pの足部に向けて照射されたとする。この場合、被検体Pの足部を透過したX線が平面検出器44で検出されることとなる。このとき、X線画像XMGのうち鉛直上側部分にあたる上方領域RG1はX線が踏み板部102を通過していないが、X線画像XMGのうち鉛直下側部分にあたる下方領域RG2はX線が踏み板部102を通過していることとなる。踏み板部102のX線透過率は比較的低く形成されているが、100%ではない。このため、上方領域RG1のX線透過率よりも、下方領域RG2のX線透過率が低くなり、X線画像における上方領域RG1に対応する領域よりも、下方領域RG2に対応する領域の方が、輝度低くなり、暗くなってしまう恐れがある。
【0045】
すなわち、図5に示すように、撮像したX線画像XMGにおいては、踏み板部102を通過していないX線の領域である、上方領域RG1は、比較的輝度が高くて、明るく表示されるのに対して、踏み板部102を通過したX線の領域である、下方領域RG2は、比較的輝度が低くて、暗く表示される。輝度の高い上方領域RG1と輝度の低い下方領域RG2との境界が、境界線BDとして示されている。無論、操作者がこのことを理解して、X線画像の診断を行うのであれば問題ないとも言えるが、本実施形態においては、操作者の違和感を緩和するために、X線診断装置1がX線画像の補正を行うこととしている。
【0046】
図6は、本実施形態に係るX線診断装置1において実行される画像補正処理の内容を説明するフローチャートを示す図である。この図6に示す画像補正処理は、コンソール装置20における処理回路66で実行される処理である。すなわち、X線画像を取得する処理(ステップS10)は、処理回路66のX線画像取得機能66aにより実現される処理であり、踏み板部102により生成された暗い領域があるか否かを判断する処理(ステップS12)は、処理回路66の領域判断機能66bにより実現される処理であり、X線画像の輝度を補正する処理(ステップS14)は、処理回路66の輝度補正機能66cにより実現される処理であり、補正したX線画像を格納する処理(ステップS16)は、処理回路66のX線画像格納機能66dにより実現される。
【0047】
なお、本実施形態に係るX線画像取得機能66aが、X線画像取得部に相当しており、本実施形態に係る領域判断機能66bが領域判断部に相当しており、本実施形態に係る輝度補正機能66cが輝度補正部に相当しており、本実施形態に係るX線画像格納機能66dがX線画像格納部に相当している。
【0048】
各処理をより詳しく説明すると、処理回路66のX線画像取得機能66aは、例えば、記憶回路64のX線画像格納部64bに格納されているX線画像を読み出して取得する(ステップS10)。なお、X線画像は、記憶回路64のX線画像格納部64bから取得するのではなく、例えば、処理回路66で生成したX線画像を、記憶回路64のX線画像格納部64bに格納することなく、そのまま取得して使用するようにしてもよい。
【0049】
次に、処理回路66の領域判断機能66bは、X線画像の画像解析を行い、図5で示したような明るい上方領域RG1と、暗い下方領域RG2とがX線画像に存在するか否かを判断する(ステップS12)。これら上方領域RG1と下方領域RG2とが存在するか否かは、例えば、X線画像に明るい上方領域RG1と暗い下方領域RG2との境界線BDが存在するか否かで判断できる。この境界線BDは、踏み板部102の形状と同様にX線画像の横方向に延びる直線として現れる。このため、X線画像の画像解析では、X線画像の横方向に延びる境界線BDの存在の有無を判断すればよい。
【0050】
境界線BDの検出手法としては、種々のものが考えられるが、本実施形態においては、例えば、次の2つのような手法により検出される。第1の手法は、X線画像の各列(横方向)の画素値の平均プロファイルから境界線BDを検出する。そして、各列の平均プロファイルの変化量が所定の閾値を超える場合に、これを境界線BDとして検出するようにしてもよいし、或いは、3以上の列で区分して、その区分された区間における平均プロファイルの変化率(傾き)が閾値を超える場合に、これを境界線BDとして検出するようにしてもよい。第2の手法は、X線画像に対してエッジ抽出処理を行い、X線画像から線状成分を抽出し、この抽出された線状成分に、所定の閾値以上の長さを持った横方向の線状成分が含まれている場合に、これを境界線BDとして検出する。
【0051】
或いは、図4に示したX線管40と、X線絞り器42と、平面検出器44などのX線診断装置1の設定と、踏み板部102の位置とから、X線画像の境界線BDの存在とその位置を算出してもよい。すなわち、制御回路70は、X線管40及びX線絞り器42と、踏み板部102と、平面検出器44との位置を把握しているので、処理回路66は、これら3者の制御された位置関係から、X線画像における、明るい上方領域RG1と、暗い下方領域RG2とが、X線画像に存在するか否か、また、存在するとしたらX線画像上のどこに位置しているのかを判断するようにしてもよい。
【0052】
踏み台装置60が天板46に取り付けられているか否かの情報や、どの踏み台装置60が取り付けられているのかに関する情報は、機構系によりX線診断装置1の処理回路66が取得するようにしてもよい。例えば、X線診断装置1のブロック図である図7に示す例のように、踏み台装置60が天板46に取り付けられているか否かの情報は、天板46における踏み台装置60の取り付け位置にセンサ46aを設け、このセンサ46aが取り付け物の存在を検出した場合には、処理回路66は踏み台装置60が取り付けられていると判定し、センサ46aが取り付け物の存在を検出しない場合には、処理回路66は踏み台装置60が取り付けられていないと判定することができる。
【0053】
また、例えば、どの踏み台装置60が取り付けられているのかに関する情報は、被検体Pが天板46に載っていない状態で、踏み板部102のX線撮像を行い、踏み板部102のX線透過率を測定し、この測定したX線透過率に基づいて、処理回路66が踏み台装置60を特定するようにしてもよい。ここで、処理回路66は、記憶回路64に記憶された踏み台装置60のリストを参照したり、院内ネットワーク、インターネット等のネットワークNWを介してサーバSV上に記憶されたリストを参照したりすることにより、天板46に現在取り付けられている踏み台装置60を特定することができる。ここで、踏み台装置60のリストは、踏み台装置60の種類と踏み台装置60の踏み板102のX線透過率とが関連付けられたものであると良い。また、踏み台装置60の寸法情報をさらに関連付け、この寸法情報に基づいて、X線画像上において明るい上方領域RG1と、暗い下方領域RG2とがどこに位置するのかを処理回路66が算出できるようにしても良い。
【0054】
或いは、例えば、踏み台装置60を背面図である図8に示す例のように、踏み台装置60のフレーム100a、100bの裏面に、バーコード、2次元コード等の被読取部101を設け、X線診断装置1のブロック図である図7に示す例のように、天板46側に、バーコードリーダ、2次元コードリーダ等の被読取部101の読み取りを行う読取部46bを設け、読取部46bによる読み取り結果に基づいて、処理回路66が天板46に現在取り付けられている踏み台装置60を特定することができる。この場合も、記憶回路64に記憶された踏み台装置60のリストを参照したり、院内ネットワーク、インターネット等のネットワークNWを介してサーバSV上に記憶されたリストを参照したりすることで、踏み台装置60の特定を行うことができる。なお、読取部46bが被読取部101を読み取ることができないときには、天板46に踏み台装置60が取り付けられていないと判断してしまうようにすれば、センサ46aの設置は省略することも可能である。
【0055】
また、踏み台装置60が天板46に取り付けられているか否かの情報や、どの踏み台装置60が取り付けられているのかに関する情報は、操作者がX線診断装置1に入力するようにしてもよい。例えば、図7に示す例のように、記憶回路64に記憶された踏み台装置60のリストを、表示装置54に表示し、操作者が入力装置54を用いて、表示されたリストの中から、天板46に取り付けられている踏み台装置60を選択するようにしてもよい。踏み台装置60が天板46に取り付けられていない場合には、操作者は、踏み台装置60の取り付けなしを、表示装置54から選択できるようにする。上述同様に、踏み台装置60のリストは、踏み台装置60の種類と踏み台装置60の踏み板102のX線透過率とが関連付けられており、処理回路66は、このリストに基づいて、操作者が選択入力した踏み台装置60の踏み板部102に関するX線透過率を特定することができる。また、踏み台装置60の寸法情報をさらに関連付け、この寸法情報に基づいて、X線画像上において明るい上方領域RG1と、暗い下方領域RG2とがどこに位置するのかを処理回路66が算出できるようにしても良い。
【0056】
再び、図6に示すように、踏み板部102により生成された暗い領域が存在すると判断した場合(ステップS12:Yes)には、処理回路66の輝度補正機能66cは、X線画像の輝度を補正する処理を行う(ステップS14)。すなわち、取得したX線画像に画像処理を施して、暗い下方領域RG2の輝度を高める処理を行う。どの程度、暗い下方領域RG2の輝度を高めるかは、任意であるが、例えば、上方領域RG1の平均輝度と、下方領域RG2の平均輝度が等しくなるように、下方領域RG2の輝度を高くするという手法がある。或いは、被検体Pが撮像されていない背景における上方領域RG1の輝度と、同じく被検体Pが撮像されていない背景における下方領域RG2の輝度とが等しくなるように、下方領域RG2の輝度を高くするという手法もある。
【0057】
なお、これとは逆に、上方領域RG1の輝度を低くして、下方領域RG2の輝度と合わせるというやり方も考えられる。さらには、上方領域RG1の輝度を低くするとともに、下方領域RG2の輝度を高くして、上方領域RG1の輝度と、下方領域RG2の輝度とを揃えるというやり方も考えられる。すなわち、本実施形態に係るX線画像の輝度を補正する処理では、明るい上方領域RG1と暗い下方領域RG2のうちの少なくとも一方の輝度を補正することにより、踏み板部102がX線画像に与えた影響を補償する。
【0058】
このX線画像の輝度を補正する処理が完了した後、処理回路66のX線画像格納機能66dは、補正したX線画像を格納する処理を行う(ステップS16)。本実施形態においては、輝度が補正されたX線画像が、記憶回路64のX線画像格納部64bに再び格納される。なお、輝度が補正されたX線画像は、記憶回路64のX線画像格納部64bに格納されるとともに、或いは、記憶回路64のX線画像格納部64bに格納されることなく、表示装置52に表示されるようにしてもよい。
【0059】
このX線画像を格納する処理(ステップS16)が完了した場合、或いは、ステップS12においてX線画像に踏み板部102により生成された暗い領域が存在しないと判断された場合(ステップS12:No)には、この画像補正処理は終了する。
【0060】
以上のように、本実施形態に係るX線診断システムSYSによれば、X線診断装置1に取り付けられる踏み台装置60の踏み板部102のX線透過率を、フレーム100a、100bのX線透過率よりも高くなるようにしたので、立位の状態にある被検体Pの足部や脚部等のX線撮像を、被検体Pに恐怖心を抱かせることなく行うことができる。すなわち、従来必要とされていたスペーサを使用せずともに、立位の被検体Pの足部や脚部のX線撮像を行うことができる。
【0061】
また、スペーサを使用しないことから、寝台の天板46における被検体Pの高さも低くなり、被検体Pの頭部が天板46の端部からはみ出さないようにすることができる。このため、被検体Pに恐怖心を与えないことは勿論のこと、立位の被検体Pを安定させた状態でX線撮像を行うことができる。
【0062】
さらに、X線診断装置1は、撮像したX線画像の輝度補正を行って、明るい上方領域RG1と暗い下方領域RG2の輝度を調整することとしたので、踏み板部102によりX線が多少なりとも吸収されてしまうことによるX線画像の影響を、操作者に感じさせないようにすることができる。すなわち、X線画像における上方領域RG1と下方領域RG2の輝度を揃えることにより、より診断に適したX線画像を生成することができる。
【0063】
また、X線画像の画像解析により、明るい上方領域RG1と暗い下方領域RG2の境界線BDの位置を特定するようにしたので、踏み板部102の寸法に関する情報等がなくとも、X線画像の輝度補正を行うことができる。このため、新しい設計の踏み板部102にリプレイスしたとしても、X線診断装置1の設定変更をする必要はなく、さらには、異なる複数の種類の踏み板部102を使い分けて使用することも可能となる。
【0064】
一方、X線診断装置1の設定と、踏み板部102の位置から、X線画像の境界線BDの存在とその位置を算出した場合には、X線画像の精度に依存せずに、正確に、明るい上方領域RG1と暗い下方領域RG2の境界線BDの存在の有無とその位置を特定できる。
【0065】
また、踏み台装置60のフレーム100a、100bを、踏み板部102の両側部の位置に設けたので、踏み板部102の両側部で十分な強度を確保することができる。このため、被検体Pが踏み台装置60から乗り降りする際の衝撃にも、踏み板部102は余裕を持って耐えることができる。
【0066】
〔第2実施形態〕
第2実施形態は、上述した第1実施形態に係る踏み台装置60に、フレーム100a、100bの強度を補うための補強部材を追加的に設けたものである。以下、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0067】
図9は、第2実施形態に係る踏み台装置60の斜視図であり、上述した第1実施形態における図3に対応する図である。図10は、第2実施形態に係る踏み台装置60の右側面図である。
【0068】
これら図9及び図10に示すように、本実施形態に係る踏み台装置60においては、一対のフレーム100a、100bの間に、補強部材200が設けられている。この補強部材200は、フレーム100a、100bの強度を補うためのものであり、例えば、金属等の十分に剛性のある材料で構成されている。この補強部材200は、フレーム100a、100bと同じ材料で構成されていてもよいし、或いは、異なる材料で構成されていてもよい。
【0069】
補強部材200は、踏み板部102と離間して、フレーム100a、100bに取り付けられている。このため、補強部材200が直接、被検体Pを支持するのではなく、フレーム100a、100bを介して、被検体Pを支持することとなる。
【0070】
補強部材200とフレーム100a、100bとの位置関係は、任意であるが、本実施形態においては、フレーム100a、100bの角部110a、110bに取り付けられている。また、踏み台装置60が寝台の天板46に取り付けられた場合には、フレーム100a、100bとともに、補強部材200は天板46に接するようにフレーム100a、100bに取り付けられている。これにより、踏み台装置60を安定的に天板46に取り付けることが可能となる。
【0071】
但し、補強部材200のX線透過率は、踏み板部102のX線透過率よりも低い。このため、補強部材200は、X線管40からX線絞り器42を介して照射されるX線の障害とならない位置に設ける必要がある。すなわち、踏み板部102は、高いX線透過率を有するが、補強部材200は、これよりも低いX線透過率を有するため、X線管40やX線絞り器42の位置が、被検体Pの斜め前方位置にある場合でもX線撮像ができるように、フレーム100a、100の天板46寄りの位置に配置する必要がある。
【0072】
また、仮に、X線管40やX線絞り器42の位置が、被検体Pの足部真下となる場合をも考慮すると、補強部材200は、フレーム100a、100bの角部110a、110bの位置に設置するのが望ましいこととなる。
【0073】
以上のように、本実施形態に係る踏み台装置60によれば、フレーム100a、100bの間に補強部材200を設けたので、踏み台装置60全体の剛性を向上させることができる。このため、X線診断装置1により撮像を行う被検体Pを踏み板部102で無理なく支持することができる。その一方で、フレーム100a、100bの角部110a、110bに補強部材200を設けたので、補強部材200がX線撮像の邪魔にならず、明瞭なX線画像を得ることができる。
【0074】
〔第3実施形態〕
第3実施形態は、上述した第2実施形態に係る踏み台装置60の補強部材200を変形して、この補強部材により、X線診断装置1により撮像を行う被検体Pを、少なくとも部分的に、フレーム100a、100bを介さずに支持するようにしたものである。以下、上述した第2実施形態と異なる部分を説明する。
【0075】
図11は、第3実施形態に係る踏み台装置60の右側面図であり、上述した第2実施形態の図10に対応する図である。この図11に示すように、本実施形態に係る踏み台装置60においては、補強部材300を側面から見た場合にL字状断面をなしており、補強部材300が、X線診断装置1により撮像を行う被検体Pを、少なくとも部分的に、フレーム100a、100bを介さずに、直接支持している。
【0076】
より具体的には、本実施形態に係る補強部材300は、その側面から見た場合に、踏み板部102の天板46側の端部に位置しており、踏み板部102と直接、接している。すなわち、補強部材300は、踏み板部102方向に延びる第1延出部302と、天板46方向に延びる第2延出部304とを備えている。第1延出部302は、踏み板部102の平面方向で踏み板部102の端部と接しており、踏み板部102にかかる荷重を支える。一方、第2延出部304は、踏み板部102の断面方向で踏み板部102の端部と接しており、踏み板部102の位置決めをする。
【0077】
なお、本実施形態においては、補強部材300を側面視L字状に形成したが、補強部材300の形状は、これに限定されるものではない。補強部材300は、何らかの形で、X線診断装置1により撮像を行う被検体Pを少なくとも部分的に、直接支持するような形状であれば足りる。
【0078】
補強部材300の両端は、上述した第2実施形態と同様に、フレーム100a、100bの角部110a、110bに取り付けられている。また、補強部材300は、X線管40やX線絞り器42からのX線の照射を妨げない位置に配置されているのも、上述した第2実施形態と同様である。
【0079】
以上のように、本実施形態に係る踏み台装置60によれば、上述した第2実施形態と同様に、フレーム100a、100bの間に補強部材300を設けたので、踏み台装置60全体の剛性を向上させることができる。また、補強部材300により、X線診断装置1により撮像を行う被検体Pを、少なくとも部分的に、フレーム100a、100bを介さずに、直接支持するようにしたので、踏み板部102を無理なく支えることができるとともに、踏み板部102の安定性を向上させることができる。
【0080】
〔第4実施形態〕
第4実施形態は、上述した第1実施形態に係る踏み台装置60のフレーム100a、100bに変形を加えて、より安定的に、踏み板部102をフレーム100a、100bが保持するようにしたものである。以下、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0081】
図12は、第4実施形態に係る踏み台装置60の斜視図であり、上述した第1実施形態における図3に対応する図である。但し、図12においては、説明の便宜上、踏み板部102は透過した状態を示している。図13は、第4実施形態に係る踏み台装置60の正面図であり、被検体Pが踏み板部102に載った状態を図示している。
【0082】
これら図12及び図13に示すように、本実施形態に係る踏み台装置60は、フレーム100a、100bに、張り出し部400a、400bが形成されている。この張り出し部400a、400bは、それぞれ、フレーム100a、100bから、踏み板部102の方向に延びて張り出した形状をなしている。換言すれば、正面視において、フレーム100aはL字状に張り出し部400aが形成されており、フレーム100bは逆L字状に張り出し部400bが形成されている。
【0083】
本実施形態においては、この張り出し部400a、400bに、踏み板部102が固定されている。このため、X線診断装置1により撮像を行う被検体Pを、少なくとも部分的に、張り出し部400a、400bが支持することができる。
【0084】
固定の手法は、上述した第1実施形態と同様に、例えば、締結具104a、104bにより、張り出し部400a、400bに踏み板部102が取り付けられている。すなわち、締結具104a、104bが踏み板部102を貫通して張り出し部400a、400bに到達している。このため、締結具104aを締め付けることにより、踏み板部102を張り出し部400a、400bに固定することができる。
【0085】
また、張り出し部400a、400bは、X線管40やX線絞り器42からのX線の照射を妨げない位置に配置されている。すなわち、張り出し部400a、400bは、フレーム100a、100bと同じ金属等の剛性の高い材料で形成される。このため、踏み板部102と比べてX線透過率が低い。したがって、張り出し部400a、400bがX線の照射の障害とならないように、張り出し部400a、400bを配置する必要がある。
【0086】
なお、本実施形態においては、張り出し部400a、400bは、フレーム100a、100bと一体に構成されているが、この張り出し部400a、400bは、フレーム100a、100bと別体に構成されるようにしてもよい。また、張り出し部400a、400bの形状も、図示の態様に限られるものではなく、フレーム100a、100bから張り出して、踏み板部102の下方から踏み板部102を支える形状であれば、種々の形状を採用し得る。
【0087】
以上のように、本実施形態に係る踏み台装置60によれば、フレーム100a、100bが張り出し部400a、400bを備えるように構成し、この張り出し部400a、400bに踏み板部102を取り付けるようにした。このため、X線診断装置1により撮像を行う被検体Pを、少なくとも部分的に、張り出し部400a、400bにより安定的に支持することができる。すなわち、広い面積で踏み板部102を支えるため、踏み板部102に被検体Pが載った場合の安定感を向上させることができる。
【0088】
なお、第4実施形態においては、張り出し部400a、400bを備えるフレーム100a、100bの構成を第1実施形態に適用した例を説明したが、第4実施形態に係る変形は他の実施形態にも適用可能である。すなわち、第2実施形態及び第3実施形態に係るフレーム100a、100bに、本実施形態と同様の張り出し部400a、400bを形成するようにしてもよい。
【0089】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置および方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置および方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0090】
1…X線診断装置、10…X線撮像装置、20…コンソール装置、30…架台、32…Cアーム移動機構、34…起倒機構、36…Cアーム回転機構、38…Cアーム、40…X線管、42…X線絞り器、44…平面検出器、46…天板、50…ケーブル、52…表示装置、54…入力装置、60…踏み台装置、SYS…X線診断システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13