特許第6971811号(P6971811)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971811
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01F 12/22 20060101AFI20211111BHJP
【FI】
   A01F12/22 B
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-228197(P2017-228197)
(22)【出願日】2017年11月28日
(65)【公開番号】特開2019-97400(P2019-97400A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2019年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】梅林 竜司
【審査官】 星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−067910(JP,A)
【文献】 特開2011−193784(JP,A)
【文献】 特開平11−028019(JP,A)
【文献】 特開昭53−058358(JP,A)
【文献】 特開平11−018558(JP,A)
【文献】 実開昭51−002563(JP,U)
【文献】 特開平04−038136(JP,A)
【文献】 実開昭52−053303(JP,U)
【文献】 米国特許第04303078(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0207286(US,A1)
【文献】 実開昭51−018263(JP,U)
【文献】 特開2001−037140(JP,A)
【文献】 特開2009−106241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01F 12/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取穀稈を扱胴によって脱穀処理する脱穀装置が備えられたコンバインであって、
前記扱胴は、前後方向に延びる扱胴軸と、前記扱胴軸に支持されると共に複数の扱歯が外周部に取り付けられる胴体と、を有し、
前記胴体は、前記胴体が前後に分割されると共に一体に回転する複数の胴体部を有し、
前後に隣り合う前記胴体部同士を連結する連結部材が備えられ、
前記胴体部に、前記扱歯の基部が差し込まれる孔が形成され、
前記連結部材は、前記孔と重複しておらず、
前記連結部材は、前記胴体の内部における前側の前記胴体部と後側の前記胴体部との境界部において、前側の前記胴体部の内周面と後側の前記胴体部の内周面とに亘って設けられる連結部を有し、
前記連結部に、前記扱歯の基部が入り込む切り欠き部が複数形成され、
前記切り欠き部として、前記連結部において前側に開口する前切り欠き部と、前記連結部において後側に開口する後切り欠き部と、が備えられているコンバイン。
【請求項2】
刈取穀稈を扱胴によって脱穀処理する脱穀装置が備えられたコンバインであって、
前記扱胴は、前後方向に延びる扱胴軸と、前記扱胴軸に支持されると共に複数の扱歯が外周部に取り付けられる胴体と、を有し、
前記胴体は、前記胴体が前後に分割されると共に一体に回転する複数の胴体部を有し、
前後に隣り合う前記胴体部同士を連結する連結部材が備えられ、
前記胴体部に、前記扱歯の基部が差し込まれる孔が形成され、
前記連結部材は、前記孔と重複しておらず、
前記連結部材は、前側の前記胴体部の内周面と後側の前記胴体部の内周面とに亘る連結部を有し、
前記連結部に、前記扱歯の基部が入り込む切り欠き部が複数形成され、
前記切り欠き部として、前記連結部において前側に開口する前切り欠き部と、前記連結部において後側に開口する後切り欠き部と、が備えられ、
前記連結部は、前記胴体の内周面に沿って前記扱胴の回転軸心周りの略環形状に形成された板材によって構成され、
前記連結部の内周面から前記胴体の径方向の内側に向かって立ち上がるリブが、前記連結部の内周面における前記回転軸心周りの全周に設けられているコンバイン。
【請求項3】
前記リブの前記連結部の内周面からの高さは、前記回転軸心周りの全周に亘って同じである請求項に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記胴体は、三つ以上の前記胴体部に前後に分割され、
前記連結部材は、前後に連続する三つの前記胴体部のうち前側の前記胴体部の内周面と真ん中の前記胴体部の内周面とに亘る前側の前記連結部と、前記前後に連続する三つの胴体部のうち後側の前記胴体部の内周面と前記真ん中の胴体部の内周面とに亘る後側の前記連結部と、前記前側の連結部と前記後側の連結部とに亘って前後方向に延びる複数の前後向き部と、を有し、
前記複数の前後向き部は、前記孔と重複していない請求項又はに記載のコンバイン。
【請求項5】
前記前後向き部は、前記前側の連結部の内周面と前記後側の連結部の内周面とに亘って設けられ、
前記前後向き部の前記連結部の内周面からの高さは、前記リブの前記連結部の内周面からの高さと同じである請求項に記載のコンバイン。
【請求項6】
前記前切り欠き部と前記後切り欠き部とは、前記胴体の周方向に位置ズレしている請求項1から5の何れか一項に記載のコンバイン。
【請求項7】
前記胴体部と前記連結部とに亘って、前記胴体部と前記連結部との正しい位置関係を示す合いマークが設けられている請求項から6の何れか一項に記載のコンバイン。
【請求項8】
前記胴体部は、ロール成形された板材によって構成され、
前記扱胴の回転軸心周りにおいて、前記複数の胴体部のロール継ぎ目が位置合わせされることにより、前記複数の胴体部が位置合わせされるように構成されている請求項1から7の何れか一項に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈取穀稈を扱胴によって脱穀処理する脱穀装置が備えられたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようなコンバインとして、例えば、特許文献1に記載のコンバインが既に知られている。特許文献1に記載のコンバインには、刈取穀稈を扱胴によって脱穀処理する脱穀装置(文献では「脱穀機」)が備えられている。扱胴は、機体前後方向に延びる扱胴軸(文献では「支軸」)と、扱胴軸に支持されると共に複数の扱歯が外周部に取り付けられる胴体(文献では「扱胴ドラム」)と、を有している。胴体は、胴体の前後全長に亘る単一の胴体部によって構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−068752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のコンバインでは、扱胴の組み立て時に、胴体全体を一体的に取り扱わなければならず、労力を要する。また、胴体部の前後長さが長いため、強度面で不利である。
【0005】
上記状況に鑑み、組み立て性に優れ、かつ、強度面で有利な扱胴を備えたコンバインが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特徴は、
刈取穀稈を扱胴によって脱穀処理する脱穀装置が備えられたコンバインであって、
前記扱胴は、前後方向に延びる扱胴軸と、前記扱胴軸に支持されると共に複数の扱歯が外周部に取り付けられる胴体と、を有し、
前記胴体は、前記胴体が前後に分割されると共に一体に回転する複数の胴体部を有し、
前後に隣り合う前記胴体部同士を連結する連結部材が備えられ、
前記胴体部に、前記扱歯の基部が差し込まれる孔が形成され、
前記連結部材は、前記孔と重複しておらず、
前記連結部材は、前記胴体の内部における前側の前記胴体部と後側の前記胴体部との境界部において、前側の前記胴体部の内周面と後側の前記胴体部の内周面とに亘って設けられる連結部を有し、
前記連結部に、前記扱歯の基部が入り込む切り欠き部が複数形成され、
前記切り欠き部として、前記連結部において前側に開口する前切り欠き部と、前記連結部において後側に開口する後切り欠き部と、が備えられていることにある。
【0007】
本特徴構成によれば、扱胴の組み立て時に、胴体を複数の胴体部に分けて取り扱うことにより、胴体全体を一体的に取り扱うよりも労力が少なくなる。また、前後に隣り合う胴体部同士を連結部材によって連結することにより、前後に隣り合う胴体部同士を重ね合わせる必要がなく、前側の胴体部の外周面と後側の胴体部の外周面とが面一となるように、前後に隣り合う胴体部同士を容易に連結することができる。しかも、連結部材が扱歯の基部が差し込まれる孔と重複していないため、扱歯の基部が連結部材と干渉することがない。これにより、前後に隣り合う胴体部同士が連結された状態で、これらの胴体部への扱歯の取り付けを一度の工程で行うことができる。さらに、各胴体部の前後長さが短くなるため、強度面で有利である。
【0008】
すなわち、本特徴構成によれば、組み立て性に優れ、かつ、強度面で有利な扱胴を備えたコンバインを実現することができる。
本特徴構成によれば、扱歯の基部が切り欠き部に入り込むことにより、連結部が扱歯の基部と干渉することがない
【0009】
【0010】
【0011】
発明の特徴は
刈取穀稈を扱胴によって脱穀処理する脱穀装置が備えられたコンバインであって、
前記扱胴は、前後方向に延びる扱胴軸と、前記扱胴軸に支持されると共に複数の扱歯が外周部に取り付けられる胴体と、を有し、
前記胴体は、前記胴体が前後に分割されると共に一体に回転する複数の胴体部を有し、
前後に隣り合う前記胴体部同士を連結する連結部材が備えられ、
前記胴体部に、前記扱歯の基部が差し込まれる孔が形成され、
前記連結部材は、前記孔と重複しておらず、
前記連結部材は、前側の前記胴体部の内周面と後側の前記胴体部の内周面とに亘る連結部を有し、
前記連結部に、前記扱歯の基部が入り込む切り欠き部が複数形成され、
前記切り欠き部として、前記連結部において前側に開口する前切り欠き部と、前記連結部において後側に開口する後切り欠き部と、が備えられ、
前記連結部は、前記胴体の内周面に沿って前記扱胴の回転軸心周りの略環形状に形成された板材によって構成され、
前記連結部の内周面から前記胴体の径方向の内側に向かって立ち上がるリブが、前記連結部の内周面における前記回転軸心周りの全周に設けられていると好適である。
【0012】
本特徴構成によれば、扱胴の組み立て時に、胴体を複数の胴体部に分けて取り扱うことにより、胴体全体を一体的に取り扱うよりも労力が少なくなる。また、前後に隣り合う胴体部同士を連結部材によって連結することにより、前後に隣り合う胴体部同士を重ね合わせる必要がなく、前側の胴体部の外周面と後側の胴体部の外周面とが面一となるように、前後に隣り合う胴体部同士を容易に連結することができる。しかも、連結部材が扱歯の基部が差し込まれる孔と重複していないため、扱歯の基部が連結部材と干渉することがない。これにより、前後に隣り合う胴体部同士が連結された状態で、これらの胴体部への扱歯の取り付けを一度の工程で行うことができる。さらに、各胴体部の前後長さが短くなるため、強度面で有利である。
すなわち、本特徴構成によれば、組み立て性に優れ、かつ、強度面で有利な扱胴を備えたコンバインを実現することができる。
本特徴構成によれば、扱歯の基部が切り欠き部に入り込むことにより、連結部が扱歯の基部と干渉することがない。
本特徴構成によれば、前側の胴体部と後側の胴体部との境界部において、これらの内周面における回転軸心周りの全周が連結部によって支持され、かつ、連結部が回転軸心周りの全周に亘ってリブによって補強されていることになる。これにより、前側の胴体部と後側の胴体部とをしっかりと連結することができる。
【0013】
さらに、本発明において、
前記リブの前記連結部の内周面からの高さは、前記回転軸心周りの全周に亘って同じであると好適である。
【0014】
本特徴構成によれば、リブの内周側に、回転軸心を中心とする円形の開口が存在することになり、扱胴のメンテナンス(例えば、扱歯の交換等)を行う際に、当該開口から胴体部の内部に手を入れて作業を容易に行うことができる。
【0015】
さらに、本発明において、
前記胴体は、三つ以上の前記胴体部に前後に分割され、
前記連結部材は、前後に連続する三つの前記胴体部のうち前側の前記胴体部の内周面と真ん中の前記胴体部の内周面とに亘る前側の前記連結部と、前記前後に連続する三つの胴体部のうち後側の前記胴体部の内周面と前記真ん中の胴体部の内周面とに亘る後側の前記連結部と、前記前側の連結部と前記後側の連結部とに亘って前後方向に延びる複数の前後向き部と、を有し、
前記複数の前後向き部は、前記孔と重複していないと好適である。
【0016】
本特徴構成によれば、前側の連結部と後側の連結部とが複数の前後向き部によって連結されることになり、これにより、連結部材全体としての構造的な一体性を高めることができる。また、複数の前後向き部が扱歯の基部が差し込まれる孔と重複していないため、扱歯の基部が複数の前後向き部と干渉することがない。これにより、前側の胴体部、真ん中の胴体部及び後側の胴体部が連結された状態で、これらの胴体部への扱歯の取り付けを一度の工程で行うことができる。
【0017】
さらに、本発明において、
前記前後向き部は、前記前側の連結部の内周面と前記後側の連結部の内周面とに亘って設けられ、
前記前後向き部の前記連結部の内周面からの高さは、前記リブの前記連結部の内周面からの高さと同じであると好適である。
【0018】
本特徴構成によれば、前後向き部がリブの内周端から回転軸心側に突出しておらず、リブの内周側の開口から胴体の内部に手を入れて扱胴のメンテナンス(例えば、扱歯の交換等)を行う際に、前後向き部が作業の邪魔になり難い。
【0019】
さらに、本発明において、
前記前切り欠き部と前記後切り欠き部とは、前記胴体の周方向に位置ズレしていると好適である。
さらに、本発明において、
前記胴体部と前記連結部とに亘って、前記胴体部と前記連結部との正しい位置関係を示す合いマークが設けられていると好適である。
【0020】
本特徴構成によれば、合いマークによって胴体部と連結部との正しい組み合わせが明確になり、連結部に対して誤った胴体部が取り付けられること(誤組み)を防止することができる。
【0021】
さらに、本発明において、
前記胴体部は、ロール成形された板材によって構成され、
前記扱胴の回転軸心周りにおいて、前記複数の胴体部のロール継ぎ目が位置合わせされることにより、前記複数の胴体部が位置合わせされるように構成されていると好適である。
【0022】
本特徴構成によれば、胴体部のロール継ぎ目を利用して、回転軸心周りにおける複数の胴体部の位置を合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】自脱型コンバインを示す左側面図である。
図2】自脱型コンバインを示す平面図である。
図3】脱穀装置を示す左側面断面図である。
図4】扱胴を示す左側面断面図である。
図5】扱胴を示す分解斜視図である。
図6】前側胴体部及び後側胴体部と中間胴体部とが連結された状態を示す図である。
図7図4におけるVII−VII断面図である。
図8】連結部材を示す分解斜視図である。
図9】連結部材を示す背面図である。
図10図6におけるX−X断面図である。
図11】胴体を示す分解展開図である。
図12】後側胴体部取り付け工程を示す図である。
図13】前側胴体部取り付け工程を示す図である。
図14】中間胴体部取り付け工程を示す図である。
図15】扱歯取り付け工程を示す図である。
図16】扱歯の基部が差し込まれる孔と連結部材との位置関係を示す展開図である。
図17】別実施形態に係る中間胴体部取り付け工程を示す図である。
図18】第一の別実施形態に係る連結部位置合わせ部を示す図である。
図19】第二の別実施形態に係る連結部位置合わせ部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。
【0025】
〔コンバインの全体構成〕
図1及び図2には、自脱型コンバインを示している。本コンバインは、機体フレーム1と、機体フレーム1を支持する走行装置2と、を備えている。機体の前部における右側には、運転キャビン3が設けられている。運転キャビン3は、運転者が搭乗する運転部4と、運転部4を覆うキャビン5と、を備えている。運転部4の下方には、エンジン(図示省略)が設けられている。
【0026】
運転キャビン3の前方には、植立穀稈を刈り取る刈取部6が設けられている。運転キャビン3の後方には、穀粒を貯留する穀粒貯留タンク7が設けられている。穀粒貯留タンク7内の穀粒を排出する穀粒排出装置8が設けられている。機体の左側部には、刈取穀稈を挟持搬送するフィードチェーン9が設けられている。穀粒貯留タンク7の左隣には、脱穀装置10が設けられている。脱穀装置10は、フィードチェーン9によって搬送される刈取穀稈を扱胴11によって脱穀処理する。脱穀装置10の後側には、排藁搬送装置12が連設されている。排藁搬送装置12は、フィードチェーン9から脱穀処理後の排藁を受け取って後方へ挟持搬送する。
【0027】
〔刈取部〕
刈取部6は、複数刈り仕様(例えば、六条刈り仕様)に構成されている。刈取部6は、複数(例えば、七個)の分草具13と、複数(例えば、六個)の引起装置14と、切断装置15と、搬送装置16と、を備えている。分草具13は、圃場の植立穀稈を分草する。引起装置14は、分草された植立穀稈を引き起こす。切断装置15は、引き起こされた植立穀稈を切断する。搬送装置16は、刈取穀稈を脱穀装置10に向けて後方へ搬送する。
【0028】
〔脱穀装置〕
図3に示すように、脱穀装置10の上部には、扱室17が形成されている。扱室17には、扱胴11が設けられている。扱胴11は、機体前後方向に延びる回転軸心Y1周りで回転可能である。扱胴11の下方には、受網18が設けられている。扱室17の後方には、塵埃を外部に排出する排塵ファン19が設けられている。
【0029】
脱穀装置10の下部には、選別対象物を揺動選別する揺動選別装置20、揺動選別装置20に選別風を送風する唐箕21、一番物の穀粒(単粒化穀粒等)を回収する一番回収部22、二番物の穀粒(枝梗付き穀粒等)を回収する二番回収部23等が設けられている。
【0030】
一番回収部22には、一番物の穀粒を右方へ搬送する一番スクリュ24が設けられている。一番スクリュ24の右端部には、一番物の穀粒を穀粒貯留タンク7に揚穀搬送する揚穀装置25が連動連結されている。
【0031】
二番回収部23には、二番物の穀粒を右方へ搬送する二番スクリュ26が設けられている。二番スクリュ26の右端部には、二番物の穀粒を揺動選別装置20に還元する二番還元装置27が連動連結されている。
【0032】
〔扱胴〕
図3から図5に示すように、扱胴11は、機体前後方向に延びる扱胴軸28と、扱胴軸28に支持されると共に複数の扱歯29が外周部に取り付けられる略円筒形状の胴体30と、を有している。扱胴11は、機体前後方向に延びる回転軸心Y1周りで回転可能である。扱胴11は、扱胴軸28を介して扱室17における前壁31F及び後壁31Bに支持されている。胴体30は、胴体30が前後に分割(例えば、三分割)された複数(例えば、三つ)の胴体部を有している。胴体30は、前記胴体部として、前側に位置する前側胴体部32と、後側に位置する後側胴体部33と、前側胴体部32と後側胴体部33との間に位置する中間胴体部34と、を有している。前側胴体部32、後側胴体部33及び中間胴体部34は、これらが一体に回転するように、単一の扱胴軸28に支持されている。前側胴体部32の前後長さL1、後側胴体部33の前後長さL2及び中間胴体部34の前後長さL3は、略等しい。すなわち、前側胴体部32、後側胴体部33及び中間胴体部34は、前後方向の長さが略等しい。
【0033】
扱胴軸28は、前ベアリング35を介して前壁31Fに回転可能に支持されていると共に、後ベアリング36を介して後壁31Bに回転可能に支持されている。扱胴軸28のうち前壁31Fから前方に突出する部分には、前記エンジンからの駆動力が入力される入力プーリ37が設けられている。
【0034】
〔前側胴体部〕
前側胴体部32は、略円筒形状の板材(ロール成形された板材)によって構成されている。前側胴体部32には、扱歯29の基部(ボルト29a)が差し込まれる孔32aが形成されている。前側胴体部32の前端開口縁部には、前端開口を塞ぐ前板材38がボルト固定されている。前板材38の後面(胴体30の内部側の面)には、前側ボス39がボルト40によって固定されている。前側ボス39は、扱胴軸28にボルト41によって固定されている。前板材38は、前側ボス39を介して扱胴軸28に扱胴軸28と一定回転可能に支持されている。
【0035】
〔後側胴体部〕
後側胴体部33は、略円筒形状の板材(ロール成形された板材)によって構成されている。後側胴体部33には、扱歯29の基部(ボルト29a)が差し込まれる孔33aが形成されている。後側胴体部33の後端開口縁部には、後端開口を塞ぐ後板材42がボルト固定されている。後板材42の前面(胴体30の内部側の面)には、後側ボス43がボルト44によって固定されている。後側ボス43は、扱胴軸28にボルト45によって固定されている。後板材42は、後側ボス43を介して扱胴軸28に扱胴軸28と一体回転可能に支持されている。
【0036】
〔中間胴体部〕
中間胴体部34は、中間胴体部34が胴体30の周方向に分割(例えば、二分割)された複数(例えば、二つ)の中間胴体部構成部材46を有している。中間胴体部34には、扱歯29の基部(ボルト29a)が差し込まれる孔34aが形成されている。中間胴体部構成部材46は、略半円筒形状の板材(ロール成形された板材)によって構成されている。中間胴体部34は、胴体30の周方向に二分割された半割り構造である。二つの中間胴体部構成部材46は、同一の部材によって構成され、かつ、扱歯29の配列が同一である(図16参照)。各中間胴体部構成部材46は、前側胴体部32及び後側胴体部33に対して着脱可能である。中間胴体部構成部材46のうち胴体30の周方向における一方側の縁部には、他方の中間胴体部構成部材46と連結される連結部46aが設けられている。連結部46aは、他方の中間胴体部構成部材46に内周側から当て付けられた状態でボルト固定されている。
【0037】
〔連結部材〕
図4から図7に示すように、胴体30の内部には、前側胴体部32と中間胴体部34とを連結し、かつ、後側胴体部33と中間胴体部34とを連結する連結部材47が設けられている。連結部材47は、前側の連結部48と、後側の連結部48と、複数の前後向き部55と、を有している。連結部48は、前側胴体部32と中間胴体部34との間と、後側胴体部33と中間胴体部34との間とに、夫々設けられている。前側の連結部48及び後側の連結部48は、同一の部材によって構成されている。
【0038】
前側の連結部48は、胴体30の内部における前側胴体部32と中間胴体部34との境界部において、前側胴体部32の内周面と中間胴体部34の内周面とに亘って設けられている。前側の連結部48は、前側胴体部32と中間胴体部34とを連結し、かつ、胴体30の周方向で隣り合う中間胴体部構成部材46の前端部同士を連結している。前側の連結部48は、前側胴体部32に着脱可能にボルト49Aによって固定され、かつ、中間胴体部34(中間胴体部構成部材46)に着脱可能にボルト49Bによって固定されている。
【0039】
後側の連結部48は、胴体30の内部における後側胴体部33と中間胴体部34との境界部において、後側胴体部33の内周面と中間胴体部34の内周面とに亘って設けられている。後側の連結部48は、後側胴体部33と中間胴体部34とを連結し、かつ、胴体30の周方向で隣り合う中間胴体部構成部材46の後端部同士を連結している。後側の連結部48は、後側胴体部33に着脱可能にボルト49Aによって固定され、かつ、中間胴体部34(中間胴体部構成部材46)に着脱可能にボルト49Bによって固定されている。
【0040】
ボルト49A、49Bは、ボルト頭部に六角孔が形成されたボルトである。前側胴体部32及び後側胴体部33の固定には、ボルト頭部の摩耗を低減するべく、ボルト頭部の高さが低いボルト49Aを使用している。中間胴体部34の固定には、ボルト49Bを容易に操作するべく、ボルト頭部の高さが高いボルト49Bを使用している。これにより、メンテナンス時に取り外すことになる中間胴体部34について、その着脱作業を容易に行うことができる。
【0041】
図7から図9に示すように、連結部48は、胴体30の内周面に沿って設けられている。連結部48は、胴体30の内周面に沿って回転軸心Y1周りの略環形状に形成された板材によって構成されている。連結部48は、複数(例えば、二つ)の連結部構成部材51に胴体30の周方向に分割されて構成されている。すなわち、連結部48は、胴体30の周方向に二分割された半割り構造である。二つの連結部構成部材51は、同一の部材によって構成されている。
【0042】
連結部構成部材51は、略半環形状の板材によって構成されている。連結部構成部材51のうち胴体30の周方向における一端部には、他方の連結部構成部材51が重ね合わされる被重合部51aが形成されている。連結部構成部材51において、被重合部51aとその他の部分との境界部は、被重合部51aが前記その他の部分よりも胴体30の径方向の内周側に位置するように、段差形状に形成されている。連結部構成部材51には、ボルト49A、49B用のボルト孔51bが形成されている。
【0043】
連結部構成部材51には、扱歯29の基部(ボルト29a)やナット29bが入り込む切り欠き部51cが複数(例えば、四つ)形成されている(図6及び図10参照)。連結部構成部材51において、二つの切り欠き部51cが回転軸心Y1方向の一方側に開口し、かつ、二つの切り欠き部51cが回転軸心Y1方向の他方側に開口している。一方側に開口する切り欠き部51cと他方側に開口する切り欠き部51cとは、胴体30の周方向に位置ズレしている。
【0044】
連結部48の内周面から胴体30の径方向の内側に向かって立ち上がるリブ50が、連結部48の内周面における回転軸心Y1周りの全周に設けられている。リブ50の連結部48の内周面からの高さh1は、回転軸心Y1周りの全周に亘って同じ(略同じを含む)である。リブ50の内周側には、回転軸心Y1を中心とする円形の開口50aが存在している。リブ50のうち被重合部51aに対応する箇所には、被重合部51aが入り込む凹部50bが形成されている。
【0045】
連結部48(連結部構成部材51)に形成された開口51dに、リブ50に設けられた突起50cが差し込まれている。開口51dは、連結部48において、回転軸心Y1周りに間隔をあけて複数(例えば、四つ)形成されている。開口51dは、胴体30の周方向に長い長孔である。
【0046】
突起50cは、リブ50において、回転軸心Y1周りに間隔をあけて複数(例えば、四つ)形成されている。突起50cは、リブ50のうち連結部48の内周面に対向する部分(リブ50の外周部)から胴体30の径方向の外側に向かって突出している。突起50cは、連結部48から胴体30の径方向の外側に向けて突出する状態で回転軸心Y1周りに間隔をあけて設けられている。突起50cは、胴体30の径方向において、連結部48の外周面よりも外側に突出し、かつ、胴体30の外周面よりも外側に突出していない。突起50cは、突起50cのうち径方向の外側の端面が胴体30の外周面と面一(略面一を含む)となるように突出している。
【0047】
一方の連結部構成部材51が他方の連結部構成部材51側の被重合部51aに重ね合わされた状態で、かつ、突起50cが開口51dに嵌め込まれた状態で、連結部48とリブ50とが固定(例えば、溶接固定)されている。一方の連結部構成部材51の外周面と他方の連結部構成部材51の外周面とは、面一となっている。すなわち、一方の連結部構成部材51の外周面と他方の連結部構成部材51の外周面とは、回転軸心Y1を中心とする円(同心円)上に位置している。
【0048】
前後向き部55は、前側の連結部48と後側の連結部48とに亘って前後方向に延びている。前後向き部55は、前側の連結部48の内周面と後側の連結部48の内周面とに亘って設けられている。前後向き部55の前端部は、前側の連結部48の内周面及び前側のリブ50に固定(例えば、溶接固定)されている。前後向き部55の後端部は、後側の連結部48の内周面及び後側のリブ50に固定(例えば、溶接固定)されている。
【0049】
前側の連結部48と後側の連結部48とが前後向き部55によって連結されることにより、前側の連結部48と後側の連結部48とが一体化されている。すなわち、前側の連結部48、後側の連結部48及び前後向き部55がユニットとして構成(ユニット化)されている。前後向き部55は、断面形状が略L字形状の部材によって構成されている。前後向き部55は、回転軸心Y1周りに等角度間隔で複数配置されている。本実施形態では、前後向き部55は、回転軸心Y1周りに90度間隔で四本配置されている。
【0050】
前後向き部55の連結部48の内周面からの高さh2は、リブ50の連結部48の内周面からの高さh1と同じ(略同じを含む)である。本実施形態では、前後向き部55の連結部48の内周面からの高さh2は、前後向き部55がリブ50の内周縁から開口50a側に食み出ない高さ(リブ50の連結部48の内周面からの高さh1よりも若干低い高さ)に設定されている。
【0051】
〔連結部位置合わせ部〕
図11に示すように、回転軸心Y1周りにおける前側の連結部48に対する前側胴体部32の位置を合わせると共に、回転軸心Y1方向における前側の連結部48に対する前側胴体部32の位置を合わせる前側の連結部位置合わせ部53Fが設けられている。回転軸心Y1周りにおける後側の連結部48に対する後側胴体部33の位置を合わせると共に、回転軸心Y1方向における後側の連結部48に対する後側胴体部33の位置を合わせる後側の連結部位置合わせ部53Bが設けられている。
【0052】
前側の連結部位置合わせ部53Fは、前側胴体部32と前側の連結部48とに亘って設けられている。前側の連結部位置合わせ部53Fは、複数(例えば、四つ)の突起50cと、複数(例えば、二つ)の入り込み部32bと、を有している。入り込み部32bは、突起50c同士の間に入り込むものであり、前側胴体部32の前後端部のうち前側の連結部48側の端部(後端部)に設けられている。言い換えると、前側胴体部32の後端部における入り込み部32b同士の間には、突起50cが入り込む凹部32cが形成されている。回転軸心Y1周りにおける突起50c同士の間隔d及び入り込み部32bの幅bは、入り込み部32bが突起50c同士の間に嵌合するように設定されている。
【0053】
後側の連結部位置合わせ部53Bは、後側胴体部33と後側の連結部48とに亘って設けられている。後側の連結部位置合わせ部53Bは、複数(例えば、四つ)の突起50cと、複数(例えば、二つ)の入り込み部33bと、を有している。入り込み部33bは、突起50c同士の間に入り込むものであり、後側胴体部33の前後端部のうち後側の連結部48側の端部(前端部)に設けられている。言い換えると、後側胴体部33の前端部における入り込み部33b同士の間には、突起50cが入り込む凹部33cが形成されている。回転軸心Y1周りにおける突起50c同士の間隔d及び入り込み部33bの幅bは、入り込み部33bが突起50c同士の間に嵌合するように設定されている。
【0054】
〔胴体部間位置合わせ部〕
回転軸心Y1周りにおける後側胴体部33に対する中間胴体部34の位置を合わせる胴体部間位置合わせ部56が設けられている。胴体部間位置合わせ部56は、後側胴体部33と中間胴体部34とに亘って設けられている。胴体部間位置合わせ部56は、複数(例えば、二つ)の凹部33dと、複数(例えば、二つ)の凸部46bと、を有している。凹部33dは、後側胴体部33の前端部における入り込み部33b(具体的には、入り込み部33bの幅中央部)に形成されている。凸部46bは、凹部33dに入り込むものであり、中間胴体部34の後端部に形成されている。
【0055】
〔合いマーク〕
後側胴体部33と後側の連結部48とに亘って、後側胴体部33と後側の連結部48との正しい位置関係を示す合いマークMが設けられている。合いマークMは、後側胴体部33側のマーク(凹部33d)と、後側の連結部48側のマーク51eと、を有している。本実施形態では、凹部33dが後側胴体部33側のマークとして機能する。マーク51eは、後側の連結部48のうち突起50c同士の間の部分に設けられている。マーク51eは、後側に向かって開口する凹形状に形成されている。
【0056】
ここで、合いマークM(前側の連結部48側のマーク51e及び後側の連結部48側のマーク51e)は、連結部材47を組み立てる際にも利用することができる。具体的には、連結部材47を組み立てる際に、回転軸心Y1周りにおいて、前側の連結部48側のマーク51eと後側の連結部48側のマーク51eとが位置合わせされることにより、前側の連結部48と後側の連結部48とが位置合わせされることになる。
【0057】
〔扱胴の製造方法〕
次に、扱胴11の製造方法について、図12から図15により説明する。図12から図15に示すように、扱胴11の製造方法は、後側胴体部取り付け工程(図12参照)と、前側胴体部取り付け工程(図13参照)と、中間胴体部取り付け工程(図14参照)と、扱歯取り付け工程(図15参照)と、を備えている。
【0058】
図12に示すように、後側胴体部取り付け工程は、後側胴体部33を後側の連結部48に取り付ける工程である。上述のように、後側の連結部48に対する後側胴体部33の固定は、ボルト49Aによって行われる。
【0059】
後側胴体部取り付け工程において、入り込み部33bが突起50c同士の間に入り込んで(言い換えると、突起50cが凹部33cに入り込んで)、回転軸心Y1方向において、後側胴体部33の前端部のうち凹部33cに対応する部分が突起50cに当接することにより、後側の連結部48が後側胴体部33の前端開口縁部から後側胴体部33の内部に入り込むのが規制されることになる。そして、回転軸心Y1周りにおいて、入り込み部33bが突起50cに当接することにより、後側胴体部33が後側の連結部48に対して回転軸心Y1周りで回転するのが規制されることになる。
【0060】
こうして、回転軸心Y1方向における後側の連結部48に対する後側胴体部33の位置が合わされ、かつ、回転軸心Y1周りにおける後側の連結部48に対する後側胴体部33の位置が合わされることになる。
【0061】
ここで、後側胴体部取り付け工程において、誤って、後側の連結部48に前側胴体部32を取り付けようとした場合でも、前側胴体部32には、後側の連結部48側のマーク51eに対応するマークがないため、この時点で誤りに気付くことになる。言い換えると、後側胴体部33側の凹部33dが後側の連結部48側のマーク51eに対応することにより、後側胴体部33に後側の連結部48を取り付けようとしていること(後側胴体部33と後側の連結部48との正しい組み合わせ)が分かることになる。
【0062】
図13に示すように、前側胴体部取り付け工程は、前側胴体部32を前側の連結部48に取り付ける工程である。上述のように、前側の連結部48に対する前側胴体部32の固定は、ボルト49Aによって行われる。
【0063】
前側胴体部取り付け工程において、入り込み部32bが突起50c同士の間に入り込んで(言い換えると、凹部32cに突起50cが入り込んで)、回転軸心Y1方向において、前側胴体部32の後端部のうち凹部32cに対応する部分が突起50cに当接することにより、前側の連結部48が前側胴体部32の後端開口縁部から前側胴体部32の内部に入り込むのが規制されることになる。そして、回転軸心Y1周りにおいて、入り込み部32bが突起50cに当接することにより、前側胴体部32が前側の連結部48に対して回転軸心Y1周りで回転するのが規制されることになる。
【0064】
こうして、回転軸心Y1方向における前側の連結部48に対する前側胴体部32の位置が合わされ、かつ、回転軸心Y1周りにおける前側の連結部48に対する前側胴体部32の位置が合わされることになる。
【0065】
ここで、前側胴体部32のロール継ぎ目P1及び後側胴体部33のロール継ぎ目P2は、回転軸心Y1周りにおける前側胴体部32と後側胴体部33との位置を合わせる位置合わせ部として機能する。ロール継ぎ目P1、P2は、ロール開始位置として理解することができる。前側胴体部32を前側の連結部48に取り付ける際に、回転軸心Y1周りにおいて、前側胴体部32のロール継ぎ目P1を後側胴体部33のロール継ぎ目P2に位置合わせすることにより、回転軸心Y1周りにおける後側胴体部33に対する前側胴体部32の位置が合わせされることになる。
【0066】
図14に示すように、中間胴体部取り付け工程は、中間胴体部34(中間胴体部構成部材46)を前側及び後側の連結部48に取り付ける工程である。上述のように、前側及び後側の連結部48に対する中間胴体部34(中間胴体部構成部材46)の固定は、ボルト49Bによって行われる。
【0067】
中間胴体部取り付け工程において、凸部46bを凹部33dに入り込ませることにより、回転軸心Y1周りにおける後側胴体部33に対する中間胴体部構成部材46の位置が合わされることになる。そして、中間胴体部構成部材46の前端部が前側の突起50cや前側胴体部32の後端部(入り込み部32b)に当接し、かつ、中間胴体部構成部材46の後端部が後側の突起50cや後側胴体部33の前端部(入り込み部33b)に当接することにより、回転軸心Y1方向における中間胴体部構成部材46の位置が合わされることになる。
【0068】
図15に示すように、扱歯取り付け工程は、前側胴体部32、後側胴体部33及び中間胴体部34に扱歯29を取り付ける工程である。扱歯取り付け工程では、前側胴体部32、後側胴体部33及び中間胴体部34が、連結部材47に取り付けられた状態で、扱歯29が前側胴体部32、後側胴体部33及び中間胴体部34に取り付けられる。
【0069】
ここで、図16に示すように、連結部材47は、前側胴体部32の孔32a、後側胴体部33の孔33a及び中間胴体部34の孔34aと重複していない。具体的には、前側の連結部48は、前側胴体部32の孔32a及び中間胴体部34の孔34aと重複しておらず、かつ、後側の連結部48は、後側胴体部33の孔33a及び中間胴体部34の孔34aと重複しておらず、かつ、前後向き部55は、中間胴体部34の孔34aと重複していない。これにより、前側胴体部32、後側胴体部33及び中間胴体部34が、連結部材47に取り付けられた状態で、扱歯29が連結部材47と干渉することなく、扱歯29を胴体30に取り付けることができる。
【0070】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、扱歯取り付け工程において、前側胴体部32、後側胴体部33及び中間胴体部34に扱歯29が取り付けられる。しかし、図17に示すように、中間胴体部取り付け工程において、中間胴体部34に扱歯29が取り付けられるようにしてもよい。
【0071】
(2)上記実施形態では、前側の連結部位置合わせ部53Fは、入り込み部32bが突起50c同士の間に入り込むことにより、回転軸心Y1方向における前側の連結部48に対する前側胴体部32の位置が合わされ、かつ、回転軸心Y1周りにおける前側の連結部48に対する前側胴体部32の位置が合わされるように構成されている。同様に、後側の連結部位置合わせ部53Bは、入り込み部33bが突起50c同士の間に入り込むことにより、回転軸心Y1方向における後側の連結部48に対する後側胴体部33の位置が合わされ、かつ、回転軸心Y1周りにおける後側の連結部48に対する後側胴体部33の位置が合わされるように構成されている。
【0072】
しかし、図18に示すように、入り込み部32bを設けずに、回転軸心Y1方向において、前側胴体部32の後端部が突起50cに当接することにより、回転軸心Y1方向における前側の連結部48に対する前側胴体部32の位置が合わされるようにしてもよい。同様に、入り込み部33bを設けずに、回転軸心Y1方向において、後側胴体部33の前端部が突起50cに当接することにより、回転軸心Y1方向における後側の連結部48に対する後側胴体部33の位置が合わされるようにしてもよい。
【0073】
あるいは、図19に示すように、前側胴体部32の内部に、複数の突起32dが回転軸心Y1周りに間隔をあけて設けられ、前側の連結部48に、突起32d同士の間に入り込む入り込み部48aが設けられ、入り込み部48aが突起32d同士の間に入り込むことにより、回転軸心Y1方向における前側の連結部48に対する前側胴体部32の位置が合わされ、かつ、回転軸心Y1周りにおける前側の連結部48に対する前側胴体部32の位置が合わされるようにしてもよい。同様に、後側胴体部33の内部に、複数の突起33eが回転軸心Y1周りに間隔をあけて設けられ、後側の連結部48に、突起33e同士の間に入り込む入り込み部48aが設けられ、入り込み部48aが突起33e同士の間に入り込むことにより、回転軸心Y1方向における後側の連結部48に対する後側胴体部33の位置が合わされ、かつ、回転軸心Y1周りにおける後側の連結部48に対する後側胴体部33の位置が合わされるようにしてもよい。
【0074】
(3)上記実施形態では、胴体部間位置合わせ部56は、後側胴体部33側の凹部33dと、凹部33dに入り込むものであり、中間胴体部34側の凸部46bと、を有している。しかし、胴体部間位置合わせ部56は、中間胴体部34側の凹部と、当該凹部に入り込むものであり、後側胴体部33側の凸部と、を有するものであってもよい。
【0075】
(4)上記実施形態では、胴体部間位置合わせ部56が後側胴体部33と中間胴体部34とに亘って設けられている。しかし、これに代えてあるいはこれと共に、回転軸心Y1周りにおける前側胴体部32に対する中間胴体部34の位置を合わせる胴体部間位置合わせ部が、前側胴体部32と中間胴体部34とに亘って設けられていてもよい。
【0076】
(5)上記実施形態では、後側胴体部33側のマーク(凹部33d)が後側胴体部33のうち入り込み部33bに設けられ、かつ、後側の連結部48側のマーク51eが後側の連結部48のうち突起50c同士の間の部分に設けられている。しかし、後側胴体部33側のマーク(凹部33d)を設ける箇所は、後側胴体部33のうち上記実施形態に係る箇所に限定されるものではなく、かつ、後側の連結部48側のマーク51eを設ける箇所は、後側の連結部48のうち上記実施形態に係る箇所に限定されるものではない。
【0077】
(6)上記実施形態では、突起50cは、突起50cのうち径方向の外側の端面が胴体30の外周面と面一となるように突出している。しかし、突起50cは、突起50cのうち径方向の外側の端面が胴体30の外周面よりも径方向の内側に位置するように突出していてもよい。
【0078】
(7)上記実施形態では、リブ50が連結部48の内周面における回転軸心Y1周りの全周に設けられている。しかし、リブ50が連結部48の内周面における回転軸心Y1周りの一部(例えば、部分的に複数)に設けられていてもよい。
【0079】
(8)上記実施形態では、リブ50の連結部48の内周面からの高さh1が回転軸心Y1周りの全周に亘って同じである。しかし、リブ50の連結部48の内周面からの高さh1が回転軸心Y1周りで異なっていてもよい。
【0080】
(9)上記実施形態では、前後向き部55の連結部48の内周面からの高さh2は、前後向き部55がリブ50の内周縁から開口50a側に食み出ない高さ(リブ50の連結部48の内周面からの高さh1よりも若干低い高さ)に設定されている。しかし、前後向き部55の連結部48の内周面からの高さh2は、前後向き部55がリブ50の内周縁から開口50a側に食み出る高さ(リブ50の連結部48の内周面からの高さh1よりも若干高い高さ)に設定されていてもよい。
【0081】
(10)上記実施形態では、胴体30が前後に三分割されている。しかし、胴体30が前後に四分割以上されていてもよい。あるいは、胴体30が前後に二分割されていてもよい。
【0082】
(11)上記実施形態では、中間胴体部34が胴体30の周方向に二分割されている。しかし、中間胴体部34が胴体30の周方向に三分割以上されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、自脱型コンバインの他、普通型コンバインにも利用可能である。
【符号の説明】
【0084】
10 脱穀装置
11 扱胴
28 扱胴軸
29 扱歯
29a 基部
30 胴体
32 前側胴体部(胴体部)
32a 孔
33 後側胴体部(胴体部)
33a 孔
34 中間胴体部(胴体部)
34a 孔
47 連結部材
48 連結部
50 リブ
51c 切り欠き部
55 前後向き部
h1 リブの連結部の内周面からの高さ
h2 前後向き部の連結部の内周面からの高さ
M 合いマーク
P1 ロール継ぎ目
P2 ロール継ぎ目
Y1 回転軸心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19