(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971814
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 39/08 20060101AFI20211111BHJP
D06F 33/34 20200101ALI20211111BHJP
D06F 105/02 20200101ALN20211111BHJP
D06F 103/04 20200101ALN20211111BHJP
D06F 103/16 20200101ALN20211111BHJP
D06F 103/32 20200101ALN20211111BHJP
D06F 103/38 20200101ALN20211111BHJP
D06F 103/68 20200101ALN20211111BHJP
【FI】
D06F39/08 301F
D06F33/34
D06F105:02
D06F103:04
D06F103:16
D06F103:32
D06F103:38
D06F103:68
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-231755(P2017-231755)
(22)【出願日】2017年12月1日
(65)【公開番号】特開2019-97865(P2019-97865A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2020年9月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小倉 範史
【審査官】
程塚 悠
(56)【参考文献】
【文献】
特開2017−113395(JP,A)
【文献】
特開2007−330320(JP,A)
【文献】
特開2001−321591(JP,A)
【文献】
特開2017−176819(JP,A)
【文献】
特開2017−032001(JP,A)
【文献】
特開平10−127977(JP,A)
【文献】
特開平09−239189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/08
D06F 33/30−33/34
D06F 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽と、
外部の水源より前記水槽に給水を行う経路に設けられ、微細気泡を含む微細気泡水を生成する複数の微細気泡水生成部と、
これら複数の微細気泡水生成部を介して行う前記水槽への給水を制御する給水制御部と、
前記複数の微細気泡水生成部に対応して設けられる複数の給水弁とを備え、
前記給水制御部は、1つの工程における洗濯運転の状態に応じて、開にする制御の対象とする前記複数の給水弁の数を変える洗濯機。
【請求項2】
前記経路における水の流量を測定する流量測定部を備え、
前記給水制御部は、前記流量が減少するのに応じて制御対象とする給水弁の数を減らす請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】
外気又は水の温度を測定する温度測定部を備え、
前記給水制御部は、前記温度が高くなるのに応じて制御対象とする給水弁の数を増やす請求項1又は2記載の洗濯機。
【請求項4】
ユーザが洗い,濯ぎ及び脱水の各行程について、運転時間が異なる複数の運転コースを選択するためのコース選択部を備え、
前記給水制御部は、予め設定されている標準コースよりも運転時間が短い運転コースが選択されると、制御対象とする給水弁の数を増やす請求項1から3の何れか一項に記載の洗濯機。
【請求項5】
ユーザが、洗い,濯ぎ及び脱水の各行程について運転時間を設定するための運転時間設定部を備え、
前記給水制御部は、前記各行程について予め設定されている運転時間よりも、短い運転時間が設定されると制御対象とする給水弁の数を増やす請求項1から4の何れか一項に記載の洗濯機。
【請求項6】
ユーザが、洗濯運転の終了時刻又は洗濯運転が終了するまでの時間を予約運転として設定するための予約運転設定部を備え、
前記給水制御部は、前記予約運転が設定された際に、制御対象とする給水弁の数を減らしても、設定された洗濯運転の終了時間内に運転が終了できると判断すると給水弁の数を減らす請求項1から5の何れか一項に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記水槽内に投入された衣類の重量を測定する重量測定部を備え、
前記給水制御部は、ユーザが設定した洗い,濯ぎ行程における使用水量に対して測定された衣類の重量が軽い時には、制御対象とする給水弁の数を増やす請求項1から6の何れか一項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、微細気泡を含む微細気泡水を生成する機能を備えた洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にファインバブルと称される微細気泡を含む微細気泡水を生成し洗濯を行うことで、洗浄性能の向上を図った洗濯機が提案されている。微細気泡水は、水源から供給される水に微細気泡を混入させて生成されるため、その分だけ実際の水量が通常の水よりも少なくなり、生成する過程にも時間を要する。したがって、水槽への給水時間が長引いてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−113395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
給水時間を短くするには、微細気泡水を生成する生成部を増やして対応することも考えられる。しかしその場合、給水時間は短縮されるが、それぞれの微細気泡生成部への給水量が減るため、微細気泡の発生量が低下してしまう。特に、水源からの流量が少なくなるほど、その傾向が顕著になる。
【0005】
また、洗濯運転の設定や温度等の運転環境によっては、ユーザが望む洗浄性能の実現に対して微細気泡を過剰に供給している状況も想定される。したがって、単に微細気泡生成部を増設することが一概に良いとは言えない。加えて、個々のユーザによっては、運転時間の短縮を望んだり、異なる設定や環境で運転を行うことから、それらも考慮すれば柔軟な対応が必要となる。
【0006】
そこで、微細気泡水を用いて行う洗濯における洗浄性能の維持と、ユーザへの利便性とを両立できる洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の洗濯機は、水槽と、
外部の水源より前記水槽に給水を行う経路に設けられ、微細気泡を含む微細気泡水を生成する複数の微細気泡水生成部と、
これら複数の微細気泡水生成部を介して行う前記水槽への給水を制御する給水制御部と、
前記複数の微細気泡水生成部に対応して設けられる複数の給水弁とを備え、
前記給水制御部は、
1つの工程における洗濯運転の状態に応じて
、開にする制御の対象とする前記複数の給水弁
の数を変える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態であり、洗濯機の構造を示す断面図(その1)
【
図3】要部に係る洗濯機の電気的構成を示す機能ブロック図
【
図4】給水制御の処理内容を示すフローチャート(その1)
【
図5】給水制御の処理内容を示すフローチャート(その2)
【
図6】第2実施形態であり、給水経路構成(1)に対応する給水制御の処理内容を示すフローチャート
【
図7】給水経路構成(2)に対応する給水制御の処理内容を示すフローチャート
【
図8】第3実施形態であり、給水制御の処理内容を示すフローチャート
【
図9】第4実施形態であり、給水制御の処理内容を示すフローチャート
【
図10】第5実施形態であり、給水制御の処理内容を示すフローチャート
【
図11】第6実施形態であり、給水制御の処理内容を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について
図1から
図5参照して説明する。
図1に示す洗濯機10は、外箱12、水槽14、回転槽16、パルセータ18、及びモータ20を備えている。洗濯機10の設置面側つまり鉛直下側を、洗濯機10の下側とし、設置面と反対側つまり鉛直上側を、洗濯機10の上側とする。
【0010】
洗濯機10は、回転槽16の回転軸が鉛直方向を向いた所謂縦軸型の洗濯機である。外箱12は、洗濯機10の外殻を構成している。外箱12は、例えば鋼板等によって略矩形の箱状に形成されており、上部に開口部を有している。水槽14は、外箱12の内部に収容されている。回転槽16は、水槽14の内部に収容されている。水槽14は、上側に開口部を有し、下側に水槽底部を有した有底円筒形状に形成されている。同様に、回転槽16は、上側に開口部を有し、下側に回転槽底部を有した有底円筒形状に形成されている。
【0011】
水槽14は、水槽底部に設けられた図示しない排水口を有している。また、洗濯機10は、排水弁11及びこれに接続された排水ホース13を備えている。排水弁11は、例えば電子制御式の電磁弁であり、制御回路46によって駆動制御される。排水弁11が開放されることにより、水槽14内の水は、排水口から排水弁11を経由して洗濯機10の外部へ排出される。
【0012】
回転槽16は、複数の図示しない孔を有しており、回転槽16の内部と外部とを連通している。孔は、回転槽16の主に円筒状の筒状部分を構成する周壁の全域に形成されている。水槽14内に供給された水は、孔を通って、回転槽16の内外を出入りする。
【0013】
パルセータ18は、回転槽16内の回転槽底部付近に設けられている。パルセータ18は、回転槽16に対して相対的に回転可能である。モータ20は、水槽14の外側にあって水槽底部に設けられている。モータ20は、例えばアウターロータ型のDCブラシレスモータである。モータ20と、回転槽16及びパルセータ18とは、図示しないクラッチによって接続されている。図示しないクラッチは、パルセータ18のみが回転する形態と、パルセータ18と回転槽16とが一体的に回転する形態とを選択的に切り替えることが可能である。パルセータ18は、回転槽16に対して相対的に回転することで、回転槽16の内側に収容された洗濯物を撹拌する。
【0014】
洗濯機10は、その上部に給水管30を備えている。給水管30は3つに分岐しており、各分岐管30(1)〜30(3)の先には、給水弁32(1)〜32(3),微細気泡発生器40(1)〜40(3)がそれぞれ設けられており、洗剤ケース44に接続されている。給水管30には、例えば水道水の蛇口や風呂水の取水手段が接続されており、洗濯に供する源水22が供給される。洗剤ケース44を経由した水は、給水口45から水槽14内に供給される。
【0015】
微細気泡発生器40は、内部に設けられた流路を通過する液体,この場合水の中に、微細な気泡を発生させる装置である。微細気泡発生器40は、例えば、内部流路を流れる液体の圧力を急激に低下させることで微細気泡を発生させるキャビテーション方式を採用できる。その他、例えば加圧溶解方式、高速旋回液流方式、微細孔方式、気液二相流旋回方式などの方式を用いてもよい。また、特開2016−7308号公報に開示されている微細気泡発生装置を利用してもよい。微細気泡発生器40は、泡の球相当直径が50nm〜1μm程度のウルトラファインバブルを含む気泡を主として発生させる。本実施形態におけるファインバブルは、泡の球相当直径が50nm〜1μmのウルトラファインバブルを含む。微細気泡及び当該気泡を含むファインバブル水の性質については、特開2017−113395号公報に記載されている。
【0016】
尚、
図2は、洗濯機10の構成のバリエーションである洗濯機10’を示している。洗濯機10’は、洗濯機10より微細気泡発生器40(3)を除いたものである。以下、洗濯機10の給水経路構成を給水経路構成31(1)とし、洗濯機10’の当該構成を給水経路構成31(2)と称する。
【0017】
図3は、本実施形態の要旨に関係する部分について示す、洗濯機の電気的構成のブロック図である。洗濯機10は、洗濯コース内容の操作等を行うための操作パネル48,水槽14内の水位を検知する水位センサ50,温度センサ51,不揮発性メモリ52を備えている。制御回路46は、マイクロコンピュータ47を主体に構成されている。制御回路46は、洗濯物の洗い、すすぎ及び脱水の洗濯運転等を制御する機能を有している。
【0018】
制御回路46には、操作パネル48,水位センサ50,サーミスタ等の温度センサ51及び、モータ20に配置された回転センサ53からの信号が入力される。制御回路46は、これらの入力信号と、予め備えた制御プログラムに基づいて、モータ20の回転,給水弁32及び排水弁11の開閉を制御する。また、制御回路46は、表示回路54における各種情報の表示や、ブザー55による報知音の鳴動等を制御する。
【0019】
次に、本実施形態の作用について
図4及び
図5を参照して説明する。
図4は、制御回路46が給水時に行う処理を示すフローチャートである。制御回路46は、例えば、給水動作における所定の水位間の給水時間を、予め設定した閾値と比較することで水の流量を測定する。制御回路46は、給水制御部及び流量測定部に相当する。先ず、給水弁32(1)を開いて給水を開始し(S01)流量を測定する(S02)。測定が完了すると(YES)、測定した流量を不揮発性メモリ52に記憶する(S03)。
【0020】
そして、測定した流量が例えば5L/分未満であれば(S2;YES)、そのまま給水弁32(1)による給水を継続する(S3)。つまり、微細気泡発生器40(1)のみによりファインバブル水を給水する。回転槽16内の水位が目標値に到達すると(S4;YES)、給水弁32(1)を閉じて(S5)給水を終了する。
【0021】
一方、測定した流量が5L/分以上であれば(S2;NO)、給水弁32(1)に加え給水弁32(2)も開いて給水を行う(S6)。この場合、微細気泡発生器40(1)及び40(2)によりファインバブル水を給水する。水位が目標値に到達すると(S7;YES)、給水弁32(1)を閉じて(S8)給水を終了する。尚、この処理は、給水経路構成31(1)及び31(2)について共通である。
【0022】
すなわち、流量が少ない時に水を複数の微細気泡発生器40に通過させると、少ない流量の水が更に分散されるため生成される微細気泡の数が少なくなり、洗浄性能が低下する。そこで、微細気泡発生器40(1)のみに水を通過させて微細気泡の供給量が減少することを回避する。一方、流量が多い時には、微細気泡発生器40(1)及び40(2)を併用しても微細気泡の数が大きく低下することはないので、併用により給水時間の短縮を図る。
【0023】
図5は、過去に測定済みの流量を利用する場合のフローチャートであり、ステップS01〜S03に替えて「流量測定済み?」の判断ステップS1を実行する。流量が測定済みでなければ(NO)ステップS6に移行する。
【0024】
以上のように本実施形態によれば、水槽14と外部の水源より水槽14に給水を行う経路に設けられ、微細気泡を含む微細気泡水を生成する複数の微細気泡発生器40と、微細気泡発生器40を介して行う水槽への給水を制御する制御回路46と、複数の微細気泡水生成部40に対応して設けられる複数の給水弁32とを備える。
【0025】
そして、制御回路46は、洗濯運転の状態に応じて複数の給水弁32を制御対象とする数を変える。これにより、洗濯運転の状態に応じて洗浄性能とユーザの利便性とを調整することができる。具体的には、制御回路46は、水の流量が減少するのに応じて制御対象とする給水弁32の数を減らすことで、洗浄性能が低下することを回避できる。
【0026】
(第2実施形態)
以下、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。第2実施形態では、温度センサ51により測定された外気温又は水温に応じて給水制御を行う。外気温を測定する場合は、温度センサ51を例えば外箱12と水槽14との間に配置する。水温を測定する場合は、温度センサ51を例えば給水経路の途中や水槽14の底等に配置する。
【0027】
図6は、給水経路構成31(1)を用いた場合のフローチャートである。温度が測定済みであれば(S11;YES)、その温度が例えば30℃を超えているか否かを判断する(S12)。温度が30℃を超えていれば(YES)、給水弁32(1)〜32(3)を全て開いて微細気泡発生器40(1)〜40(3)により微細気泡を発生させ、ファインバブル水を供給する(S13)。そして、回転槽16内の水位が目標値に到達すると(S14;YES)、給水弁32(1)〜32(3)を閉じて(S15)給水を終了する。一方、温度が測定済みでない場合(S11;NO)、又は温度が30℃以下の場合はステップS6〜S8を実行する。
【0028】
また、給水経路構成31(2)を用いた場合に対応する
図7に示す処理では、ステップS13に替えてステップS16を実行し、給水弁32(1),32(3)を開き、微細気泡発生器40(1)のみにより微細気泡を発生させてファインバブル水を供給すると共に、給水弁32(3)より微細気泡を含まない水を給水する。そして、回転槽16内の水位が目標値に到達すると(S17;YES)、給水弁32(1),32(3)を閉じて(S18)給水を終了する。
【0029】
すなわち、水温が高いほど洗剤による洗浄効果は高くなるので、微細気泡の数が少なくても洗浄性能に及ぶ影響は小さい。そこで、給水経路構成31(1)を用いる際には、全ての給水弁32(1)〜32(3)を動作させ、洗浄性能を低下させることなく給水時間,ひいては運転時間を短縮する。また、給水経路構成31(2)を用いる際には給水弁32(3)を開くことで、水の多くは給水弁32(3)を介して流れる。これにより、やはり微細気泡の供給量は低下するが、洗浄性能に影響を与えずに運転時間を短縮する。
【0030】
以上のように第2実施形態によれば、制御回路46は、温度センサ51により測定した水温又は外気温が高くなるのに応じて制御対象とする給水弁32の数を増やすようにした。これにより、洗浄性能を低下させることなく運転時間を短縮できる。
【0031】
(第3実施形態)
第3実施形態では、洗濯機に予め設定されており、ユーザが選択した運転コースの運転時間に応じて給水制御を行う。尚、第3〜第6実施形態は何れも、給水経路構成31(1)及び31(2)について共通である。制御回路46はコース選択部に相当する。
図8に示すように、ユーザが予め設定されている「標準コース」を選択すると(S31;YES)ステップS16〜S18を実行し、ユーザが、「標準コース」よりも運転時間が短く設定されている「スピードコース」を選択すると(S32;YES)ステップS13〜S15を実行する。
【0032】
すなわち、ユーザが「スピードコース」を選択した場合、ユーザは洗濯運転が速く完了することを望んでいると想定される。したがって、給水弁32(1)〜32(3)を全て開いて運転時間を短縮する。尚、「スピードコース」の運転時間が「標準コース」よりも「短い」と判断する程度に関しては、幅を持たせても良い。例えば、「標準コース」における「洗い」の運転時間が10分である場合に対して、「スピードコース」における同運転時間が6分以下であればステップS32で「YES」と判断し、同運転時間が9分程度であれば「NO」と判断するようにしても良い。
【0033】
以上のように第3実施形態によれば、制御回路46は、ユーザにより選択された運転コースの運転時間が、予め設定されている「標準コース」の運転時間よりも短いものであれば制御対象とする給水弁32の数を増やすので、ユーザの期待に沿うように運転時間を短縮することができる。
【0034】
(第4実施形態)
第4実施形態では、洗い,濯ぎ,脱水の各行程について、ユーザがマニュアル操作で運転時間を設定可能となっており、設定された運転時間の長さに応じて給水制御を行う。制御回路46は運転時間設定部に相当する。
図9に示すように、制御回路46は、洗い,濯ぎ,脱水の何れかの行程について運転時間の設定がマニュアル操作で行われると(S41;YES)、設定された運転時間が「標準コース」よりも短いか否かを判断する(S42)。運転時間が「標準コース」よりも短い場合は(YES)ステップS13〜S15を実行する。
【0035】
設定された運転時間が「標準コース」よりも短くない場合は(S42;NO)、当該運転時間が「標準コース」よりも長いか否かを判断する(S43)。運転時間が「標準コース」よりも長ければ(YES)ステップS3〜S5を実行する。運転時間が「標準コース」よりも長くなければ(NO)、運転時間が「標準コース」に一致しているのでステップS16〜S18を実行する。尚、運転時間が「短い」と判断する程度に関しては、第3実施形態で述べたものと同様に幅を持たせても良い。
【0036】
以上のように第4実施形態によれば、制御回路46は、洗い,濯ぎ,脱水の何れかの行程について設定された運転時間が予め設定されている「標準コース」の運転時間よりも短いものであれば、制御対象とする給水弁32の数を増やすようにした。これにより、第3実施形態と同様に、ユーザの期待に沿うように運転時間を短縮することができる。
【0037】
(第5実施形態)
第5実施形態では、洗濯機が予約運転を行う機能を備えており、その設定の有無に応じて給水を制御する。制御回路46は予約運転設定部に相当する。
図10に示すように、制御回路46は、予約運転が設定されていると(S61;YES)、給水弁32(1)のみを開いて給水を行った場合の運転時間を計算する(S62)。そして、計算した運転時間が予約運転の終了時間よりも短ければ(S63;YES)ステップS3〜S5を実行する。一方、予約運転が設定されていない場合(S61;NO)、又は計算した運転時間が予約運転の終了時間以上であれば(S63;NO)ステップS16〜S18を実行する。
【0038】
すなわち、予約運転で設定された運転終了までの時間内であれば、洗濯運転に時間がかかっても問題が無い。そのような場合は、給水弁32(1)のみを開いて給水を行い、微細気泡の供給量を増やして洗浄性能を向上させる。
【0039】
以上のように第5実施形態によれば、制御回路46は、ユーザにより予約運転が設定された際に、制御対象とする給水弁32の数を減らしても、設定された洗濯運転の終了時間内に運転が終了できると判断すると給水弁32の数を減らすようにした。これにより、ユーザの利便性を損なうことなく洗浄性能を向上できる。
【0040】
(第6実施形態)
第6実施形態では、制御回路46は、例えばパルセータ18を正転方向,反転方向にそれぞれ所定時間,例えば1秒間回転させると、それぞれの回転量と予め設定した閾値とを比較することで回転槽16内に投入された衣類の重量を測定する。回転量は、例えば回転センサ53からのパルス信号の入力数を参照して求める。制御回路46は重量測定部に相当する。また、洗い,濯ぎ運転時の回転槽16内の水位設定が、ユーザのマニュアル操作でも可能となっている。そして、制御回路46は、測定した衣類の重量と、設定された水位との関係に基づいて給水を制御する。
【0041】
図11に示すように、水位がマニュアル操作で設定されていると(S71;YES)、設定された水位,水量が、測定した衣類の重量に適した水量を超えているか否かを判断する(S72)。衣類の重量に適した水量を超えていれば(YES)ステップS13〜S15を実行する。一方、水位がマニュアル操作で設定されていないか(S71;NO)、又は衣類の重量に適した水量以下であれば(S72;NO)ステップS16〜S18を実行する。
【0042】
すなわち、衣類の重量に対して水量が多い場合には、微細気泡の数が少なくても洗浄性能に与える影響は小さい。したがって、全ての給水弁32(1)〜32(3)を開いて運転時間を短縮する。
【0043】
以上のように第6実施形態によれば、制御回路46は、洗い,濯ぎ行程における使用水量に対して測定された重量が軽い時には、制御対象とする給水弁32の数を増やすようにした。これにより、洗浄性能を低下させることなく運転時間を短縮できる。
【0044】
(その他の実施形態)
各実施形態を組み合わせて実施しても良い。
ドラム式洗濯機に適用しても良い。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
図面中、10は洗濯機、14は水槽、16は回転槽、18はパルセータ、20はモータ、32は給水弁、40は微細気泡発生器、46は制御回路、50は水位センサ、51は温度センサ、53は回転センサを示す。