(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図示した実施の形態に基づいて、この発明を説明する。一実施の形態における振動試験機Vは、
図1および
図2に示すように、往復運動可能であって試験体としてのダンパDの一端を保持可能な複数のスライダ2と、ダンパDの他端を保持可能なクランプ5と、スライダ2を駆動する駆動部としてのアクチュエータ11と、アクチュエータ11によって各スライダ2が駆動されると各スライダ2をクランプ5に対して遠近させつつ各スライダ2をクランプ5に対して等しい距離に位置決めるリンク機構Rと、クランプ5が各スライダ2に対して等しい距離を保つ方向へクランプ5を加振する加振機6とを備えて構成されている
本実施の形態の振動試験機Vでは、ダンパDを試験体として、ダンパDに振動を与えるが、ダンパD以外を試験体とした振動試験の実施も可能である。よって、振動試験機VをダンパDの振動試験以外に利用してもよい。
【0019】
以下、振動試験機Vの各部について詳細に説明する。振動試験機Vは、架台20と、架台20から立ち上がる一対の柱21,21と、柱21,21に架け渡されて柱21,21に対して上下方向へ移動可能な梁としての可動梁22とを備えており、スライダ2は、可動梁22上を往復移動する。
【0020】
また、可動梁22は、リニアアクチュエータ23,23によって、柱21,21に対して上下方向に駆動され、柱21,21上の任意の位置で固定される。
【0021】
可動梁22は、
図1および
図2に示すように、透孔22aの左右に図中で左右方向へ沿って上下に貫通する孔22b,22bを備えている。また、可動梁22の
図1中左右端には、柱21,21の外周に摺接する軸受22c,22cを備えており、可動梁22は、リニアアクチュエータ23,23によって駆動されて
図1中上下方向へ移動でき、柱21,21の任意の位置に位置決めされる。なお、柱21の設置数は、可動梁22で受ける荷重に応じて任意に設定できる。
【0022】
さらに、可動梁22には、
図2に示すように、孔22b,22bを挟む位置に配置される第二ガイド部としてのプレート状のガイド部材7が設けられている。ガイド部材7は、可動梁22から立ち上がっており、孔22bを挟む位置に配置されてスライダ2の側面に摺接する一対のガイド壁7a,7aで構成されており、ガイド壁7a,7a間にスライダ2が収容される。また、各ガイド壁7a,7aの孔22bに臨む側の側面には、側面の全長に亘って合成樹脂製のスライドシュー8が装着されている。また、可動梁22の上面には、孔22bを挟む位置に孔22bの設置方向である
図2中左右方向に沿って合成樹脂製の二つのスライドシュー9が装着されている。
【0023】
そして、ガイド部材7におけるガイド壁7a,7a間に収容されるスライダ2は、側面がガイド壁7a,7aに臨み、下面が可動梁22に臨んでおり、ガイド部材7によって案内されて可動梁22に対して滑動して
図1中左右方向へ移動できる。本実施の形態では、スライダ2は、側面がガイド部材7のガイド壁7a,7aのお互いに向き合う面に装着されたスライドシュー8に摺接し、下面が可動梁22の上面に装着されたスライドシュー9に摺接しており、可動梁22に対して円滑にガイド部材7に沿って移動できる。また、可動梁22とスライダ2との間にスライドシュー9が設けられ、スライダ2とガイド部材7との間にスライドシュー8が設けられているので、可動梁22、スライダ2およびガイド部材7の摩耗も抑制されている。ただし、スライドシュー8,9については省略も可能である。
【0024】
このように、ガイド部材7に摺動自在に挿入されたスライダ2は、ガイド部材7によって案内されて
図1中左右方向へ可動梁22上を円滑に往復移動できる。よって、本実施の形態における振動試験機Vにあっては、各スライダ2の移動方向であるスライダ軸線Xは、
図1中に一点鎖線で示すように、可動梁22の左右方向に沿って左右方向へ延びる直線である。また、可動梁22は、中央であって孔22b,22bの間に第一ガイド部としての筒状の軸受24を備えている。
【0025】
リンク機構Rは、直線である可動体軸線Yに沿って往復運動可能な可動体1と、可動体1と各スライダ2とに回り対偶にて接合されて可動体1と各スライダ2とを連結する複数の等しい長さのリンク3とを備えて構成されている。そして、駆動部としてのアクチュエータ11,11で各スライダ2を駆動すると、各スライダ2は、リンク機構Rによって同期してクランプ5に対して遠近しつつも互いにクランプ5から等しい距離を保ちながらスライダ軸線Xに沿って移動する。
【0026】
そして、可動体1は、可動梁22の中央に設けた透孔22aに挿通されるとともに同じく可動梁22の中央に設けた第一ガイド部としての筒状の軸受24内に摺動自在に挿入されて
図1中上下動可能なロッド1aと、ロッド1aの
図1中上端に設けたアイ型の接合部1bとを備えている。よって、可動体1は、軸受24によって移動が案内されて可動梁22に対して
図1中上下方向へ往復移動が可能となっている。よって、本実施の形態における振動試験機Vにあっては、可動体1の移動方向である可動体軸線Yは、
図1中に破線で示すように、可動梁22の中央を通る鉛直方向へ延びる直線となっている。
【0027】
ロッド1aが軸受24によってすべり支承されているので、可動体1と可動梁22とはすべり対偶となり、可動体1は、可動体軸線Y上を
図1中上下方向への往復移動が許容されるものの
図1中左右方向および前後方向への移動は制限される。また、各スライダ2は、スライダ軸線Xを移動軸線として可動梁22上を滑動して可動梁22に対して
図1中左右方向に往復動でき、可動体軸線Yに対して直交する同一平面内に配置されている。
【0028】
そして、可動体1と各スライダ2は、可動体1の接合部1bと各スライダ2にそれぞれピン接合される長さが等しい一対のリンク3,3によって連結されている。リンク3は、可動体1およびスライダ2に対して、可動体軸線Yとスライダ軸線Xの両方を含む面上で回転できる。また、可動梁22と各スライダ2との間には、それぞれ駆動部としての直動型のアクチュエータ11,11が設けられており、アクチュエータ11,11を伸縮駆動すると、スライダ2をスライダ軸線Xに沿って移動させ得る。
【0029】
よって、アクチュエータ11,11を伸縮させて各スライダ2同士を離間する方向或いは接近させる方向へ駆動すると、可動体1のリンク3,3のピン接合点が可動体軸線Y上で上下動する。すると、リンク3,3の長さがともに等しいので、スライダ2,2は、必ず可動体軸線Yを対称軸とした線対称となる位置に位置決めされながら駆動される。つまり、各スライダ2は、常に互いに可動体軸線Yから等距離離れた位置に配置されるのである。このように、本実施の形態では、各スライダ2におけるスライダ軸線Xは、共通であって、可動体軸線Yに対して交わるので、可動体軸線Yに直交する直交平面において可動体軸線Yとの距離が最短距離(この場合の距離は0)となる。そして、全スライダ軸線Xは、全スライダ軸線Xが直交平面に対して成す角度(この場合の角度は0)と、全スライダ軸線Xにおける最短距離(この場合の距離は0)が全て等しくなるように配置されている。
【0030】
また、スライダ2は、
図3に示すように、中央下部に設けられた可動梁22に臨む矩形の凹部2aと、上端から下端へ向けて開口して凹部2aへ通じる挿通孔2bとを備えている。
【0031】
固定装置Lは、本実施の形態では、
図1から
図3に示すように、ロック片30と、油圧シリンダ31とで構成されている。ロック片30は、可動梁22に対してスライダ側に配置されてスライダ2の凹部2a内に収容されるヘッド部30aと、可動梁22に対して反スライダ側に配置されるボトム部30bと、スライダ2の移動方向に沿って可動梁22に設けられた孔22bに挿通されてヘッド部30aとボトム部30bとを連結する連結軸30cとを備えている。
【0032】
本実施の形態では、ヘッド部30aと連結軸30cとを一体として、連結軸30cの先端に図示しない螺子部を設け、螺子軸をボトム部30bに設けた図示しない螺子孔に螺合してロック片30が形成される。なお、ボトム部30bと連結軸30cとを一体として、連結軸30cの先端に図示しない螺子部を設け、螺子軸をヘッド部30aに設けた図示しない螺子孔に螺合してロック片30が形成されてもよい。また、ヘッド部30aと、ボトム部30bと連結軸30cをそれぞれ別体として、螺子締結等によってこれらヘッド部30a、ボトム部30bおよび連結軸30cを一体化するようにしてロック片30を製造してもよい。
【0033】
ヘッド部30aは、立方体形状をしていて凹部2a内に挿入可能とされており、凹部2a内に挿入されると側面がスライダ2に摺接して、スライダ2によって連結軸30cの軸周り方向への回転が防止される。また、ヘッド部30aの
図3中上下方向の長さである厚みは、凹部2aの
図3中上下方向長さである深さより短く、ヘッド部30aは、凹部2a内での上下方向への移動が許容されている。
【0034】
ボトム部30bは、上方から見て矩形とされており可動梁22の下面に設けたスライドシュー10に対向している。そして、連結軸30cは、孔22bに挿通されて、可動梁22の上方に配置されるヘッド部30aと可動梁22の下方に配置されるボトム部30bとを連結している。なお、ヘッド部30aは、下面を可動梁22に当接している状態では、少なくとも孔22bを通して下方へ落下しない大きさに設定され、ボトム部30bは、孔22bを介して可動梁22の上方側へ移動できない大きさに設定される。よって、ロック片30は、
図3に示すように、I型形状とされており、後述する油圧シリンダ31と分離された状態となっても可動梁22から脱落して下方へ落下しない。
【0035】
可動梁22の上面のスライドシュー9の上面から可動梁22の下面のスライドシュー10の下面までの距離をHとし、凹部2aの深さとヘッド部30aの厚みの差をdとし、連結軸30cの軸方向長さAとすると、H≦A<H+dが成り立つように設定されている。つまり、連結軸30cの軸方向長さは、スライドシュー9,10と可動梁22の全部の厚みH以上で、この厚みHに凹部2aの深さとヘッド部30aの厚みの差dを加算した値よりも短くなるように設定されている。よって、ロック片30におけるヘッド部30aの上方とスライダ2の凹部2aの底面との間には隙間が形成されている。
【0036】
また、油圧シリンダ31は、スライダ2に保持されるシリンダ31aと、シリンダ31aに出入りするロッド31bとを備えており、図示しないポンプから圧油の供給によって、ロッド31bを
図3中上方へ駆動できる。そして、ロッド31bは、スライダ2に設けた挿通孔2b内に挿通されてロック片30のヘッド部30aに連結されている。よって、油圧シリンダ31への圧油の供給によってロック片30をスライダ2に対して接近させる方向となる
図3中上方向へ引き寄せできる。
【0037】
そして、ロック片30おけるヘッド部30aの上方とスライダ2の凹部2aの底面との間には隙間があるから、油圧シリンダ31を駆動してロック片30にスライダ2に対して上方へ引き上げる力を作用させると、ボトム部30bがスライドシュー10に押し付けられる。すると、油圧シリンダ31がボトム部30bに与える荷重によってボトム部30bとスライドシュー10との間に生じる摩擦でスライダ2が可動梁22に対して固定される。なお、油圧シリンダ31は、シリンダ31aを閉鎖するバルブを備えており、スライダ2を固定状態とするための荷重をボトム部30bに与えた状態でロッド31bを固定できる。このようにすれば、図外ポンプを駆動し続けなくともスライダ2を可動梁22に固定できるので、省エネルギとなる。
【0038】
また、ロック片30のボトム部30bの下方には、試験体であるダンパDの上端のブラケットに連結できる上方クランプ30dが設けられている。また、上方クランプ30dにはロードセル等の力センサ30eが設けられている。
【0039】
スライダ2は、アクチュエータ11,11によって可動梁22に対して試験者が所望する位置に位置決めされる。このスライダ2の位置決めに当たっては、油圧シリンダ31をアンロード状態としてスライダ2が自由に可動梁22上を移動できるようにしておく。そして、スライダ2を試験者が所望する位置に移動させた後には、アクチュエータ11,11を停止させて、油圧シリンダ31を作動させてロック片30をスライダ2側へ引き寄せてボトム部30bを可動梁22へ押し付けてスライダ2を可動梁22に固定する。すると、スライダ2およびロック片30は、可動梁22に対して試験者が所望する位置に固定される。
【0040】
可動梁22の下方であって、可動体1の直下には、試験体であるダンパDの下端に設けたブラケットに連結されるクランプ5が設けられている。本実施の形態では、クランプ5は、可動体1が往復動する可動体軸線Y上であって可動体1の下方に設けられている。クランプ5には、
図1に示すように、クランプ軸線Zを中心として線対称の位置にダンパDの下端に設けられるブラケットに連結可能な取付点5a,5aを備えている。
【0041】
そして、加振機6は、クランプ5が各スライダ2に対して等しい距離を保つ方向へクランプ5を加振する。本実施の形態では、加振機6は、架台20に設置されており、可動体1の直下に配置されたクランプ5を可動体軸線Y上にて上下方向に駆動して、クランプ5に保持された試験体であるダンパDに上下方向の振動を与える。クランプ5は、
図4に示すように、各スライダ2を含む平面Fにおける各スライダ2から等しい距離にある可動体軸線Yとの交点Pを通り、平面Fに直交するクランプ軸線Z上に配置されている。この場合、可動体軸線Yは、クランプ軸線Zと共通であり、クランプ5は、クランプ軸線Z上であり且つ可動体軸線Y上に配置されている。そして、加振機6は、クランプ5をクランプ軸線Z方向である上下方向へ駆動する。よって、クランプ5は、加振機6によって加振されると、常に各スライダ2に対して等しい距離を保ちながら上下方向に振動する。つまり、クランプ5は、常にクランプ5と全スライダ2との間の距離が全て同じになるように振動する。
【0042】
このように構成された振動試験機Vには、試験体であるダンパDを二つ同時に取付けて振動試験を行える。具体的には、二つのダンパDのうち一方は、上端が
図1中左側のスライダ2における上方クランプ30dに連結され、下端がクランプ5に連結される。また、二つのダンパDのうち他方は、上端が
図1中右側のスライダ2における上方クランプ30dに連結され、下端がクランプ5に連結される。そして、二つのダンパDのうち、
図1中左側に配置されるダンパDの下端は、クランプ5の左側の取付点5aに連結され、
図1中右側に配置されるダンパDの下端は、クランプ5の右側の取付点5aに連結される。
【0043】
左右の上方クランプ30dの位置は、スライダ2の可動梁22に対する固定位置となり、可動梁22上の試験条件に適した任意の位置に位置決められる。左右のスライダ2は、アクチュエータ11,11によって可動体軸線Yに対して等間隔で離間した位置に配置されるので、左右のクランプ4dも同様に可動体軸線Yに対して等間隔で離間した位置に配置される。また、クランプ5におけるダンパDの取付点5a,5aは、本実施の形態では、クランプ軸線Zおよび可動体軸線Yを対称軸とすると線対称となる位置に設けられている。
【0044】
よって、振動試験機Vに取付けられた二つのダンパDは、クランプ軸線Zを対称軸として線対称となる取付姿勢で振動試験機Tに取付けられる。よって、振動試験機Vを正面から見ると、
図1に示すように、ダンパDの軸線とクランプ軸線Zの軸線とがなす角度はともに同じ角度となり、二つのダンパDの取付姿勢は互いに同じになる。したがって、加振機6でクランプ5を介して二つのダンパDの下端に上下方向の振動を与えると、二つのダンパDに同一条件で振動を負荷できる。
【0045】
このように、本発明の振動試験機Vでは、往復運動可能であってダンパ(試験体)Dの一端を保持可能な複数のスライダ2と、ダンパ(試験体)Dの他端を保持可能なクランプ5と、スライダ2を駆動するアクチュエータ(駆動部)11,11と、アクチュエータ(駆動部)11,11によって各スライダ2が駆動されると各スライダ2をクランプ5に対して遠近させつつ各スライダ2をクランプ5に対して等しい距離に位置決めるリンク機構Rと、クランプ5が各スライダ2に対して等しい距離を保つ方向へクランプ5を加振する加振機6とを備えている。
【0046】
よって、試験体であるダンパDの一端を保持可能な二つのスライダ2とクランプ5の位置関係は、スライダ2の位置を変更しても機構的に各スライダ2とクランプ5との距離が常に等しくなる位置に各スライダ2が位置決めされるとともに、クランプ5が各スライダ2に対して常に等しい距離を保ったまま振動できるのである。対して、一つのダンパDのみに振動を与える振動試験機ではダンパ毎に取付姿勢を精度よく調整する作業が必要となるが、この振動試験機Vでは、二つのダンパDの振動試験を一度に行える。そして、この振動試験機Vでは、各ダンパDの取付姿勢をそれぞれ調整するのではなく、スライダ2を移動させても常にスライダ2はクランプ5に対して等しい距離に配置されるため一度に二つのダンパDの取付姿勢を同時に調整できる。よって、本発明の振動試験機Vによれば、ダンパ(試験体)Dの取付姿勢の調整が容易で、振動試験の効率を向上できる。
【0047】
また、本実施の形態の振動試験機Vでは、各スライダ軸線Xは、可動体軸線Yに直交する或る平面F上に配置されるとともに可動体軸線Yに交わるように配置されている。このように構成された振動試験機Vでは、可動体1の移動と任意に選んだ一つのスライダ2の移動とが必ず同一平面内で行われるため、横力を受けずに可動体1とスライダ2とが移動できるので、可動体1とスライダ2は、円滑に移動できる。
【0048】
さらに、本実施の形態の振動試験機Vでは、加振機6が設置される架台20と、架台20から立ち上がる柱21,21と、柱21,21に装着される可動梁(梁)22とを備え、可動梁(梁)22が可動体1の移動を案内する軸受(第一ガイド部)24と、スライダ2の移動を案内するガイド部材(第二ガイド部)7とを有している。このように構成された振動試験機Vでは、荷重を受ける梁そのものに可動体1とスライダ2の往復運動を案内する機能を集約できるので、可動体1とスライダ2の往復運動を案内するために別の構造体を設ける必要が無くなり、コストを低減できる。また、本実施の形態の振動試験機Vでは、梁が可動梁22であり、柱21,21に対して上下移動が可能であるので、ダンパ(試験体)Dの長さによらず振動試験が可能である。
【0049】
また、本実施の形態では、スライダ2を可動梁(梁)22に対して固定する固定装置Lを備えている。このように固定装置Lを備えた振動試験機Vでは、スライダ2を固定して、振動試験中にダンパ(試験体)Dの取付姿勢を維持できるので良好な振動試験を実施できる。
【0050】
なお、前述したように振動試験機Vは、可動梁(梁)22と、可動梁(梁)22上を滑動可能なスライダ2と、可動梁(梁)22に設けられてスライダ2に摺接してスライダ2の移動を案内するガイド部材7と、スライダ2を可動梁(梁)22に対して固定する固定装置Lとを備え、固定装置Lが可動梁(梁)22に対してスライダ側に配置されるヘッド部30aと、可動梁(梁)22に対して反スライダ側に配置されるボトム部30bと、スライダ2の移動方向に沿って可動梁(梁)22に設けられた孔22bに挿通されてヘッド部30aとボトム部30bとを連結する連結軸30cとを有するロック片30と、ロック片30を可動梁(梁)22に対してスライダ側へ引き寄せてボトム部30bを可動梁(梁)22へ押し付け可能な油圧シリンダ31とを有している。このように構成された振動試験機Vでは、スライダ2が可動梁(梁)22に対して滑動でき、ロック片30におけるボトム部30bを可動梁(梁)22へ押してつけてスライダ2を可動梁(梁)2に固定できる。よって、ボールの転動を利用する高価なリニアガイドに比較して、非常にコストが安価となりスライダ2を所望する位置で固定可能である。
【0051】
また、ロック片30がヘッド部30aとボトム部30bと連結軸30cとを備えてI型形状とされていて、可動梁(梁)22から脱落しないので、スライダ2や油圧シリンダ31の交換も容易となる。
【0052】
なお、前述したところでは、ロック片30をスライダ側へ引き寄せるのに油圧シリンダ31以外にもスライダ2に対してロック片30をスライダ側へ引き寄せ可能な機械要素を利用してもよい。よって、油圧シリンダ31の代わりに、ロック片30の上端に螺子孔を設けて、この螺子孔に螺合するとともに挿通孔2bに挿通されて頭がスライダ2の上方に突出するボルトを利用して、ロック片30をスライダ側へ引き寄せるようにしてもよい。
【0053】
また、ガイド部材7は、スライダ2の互いに対向する側面のそれぞれに摺接するガイド壁7a,7aを備えていてスライダ2を挟み込むようにしてスライダ2の移動を案内しているが、ガイド部材7は、スライダ2の移動を案内できればよいので、構成は前述した具体的な構成に限定されない。たとえば、スライダ2に進行方向に沿う溝を設けて可動梁22に溝内に挿入可能なレールを設け、このレールをガイド部材としてもよい。つまり、スライダ2の形状、構造および設置数は、前述した形状、構造および設置数に限定されるものではなく、ガイド部材7で移動が案内できるようにガイド部材7の構造に応じてスライダ2の形状および構造については適宜設計変更できる。
【0054】
また、本実施の形態のガイド装置Gでは、押付部がスライダ2に設けられてロック片4を駆動する油圧シリンダ31とされているので、スライダ2の移動の許容と可動梁22への固定との切換が油圧シリンダ31の制御によって可能となるから、スライダ2の移動の許容と可動梁22への固定の切換え操作が非常に簡単となる。
【0055】
さらに、本実施の形態の振動試験機Vでは、スライダ2が可動梁(梁)22に設けられた孔22bに臨む凹部2aを有し、ヘッド部30aが凹部2a内に収容されてスライダ2に対して連結軸30c周りの回転が阻止される。このように構成された振動試験機Vは、ロック片30のボトム部30bにダンパ(試験体)Dを取付ける上方クランプ30dを設置する場合に、別途回り止めを設ける必要が無くなる。
【0056】
また、本実施の形態では、可動梁22がスライダ2との間と、ボトム部4bとの間にスライドシュー8,9を有しているので、可動梁22、スライダ2およびロック片30の摩耗を防止できるとともに、スライダ2の可動梁22のなめらか移動を実現できる。
【0057】
なお、固定装置Lは、ダンパ(試験体)Dに負荷する荷重に応じてスライダ2を可動梁(梁)22に対して固定できるように設計されればよいので、固定装置Lの構造は、前述した構造に限られない。
【0058】
また、本実施の形態の振動試験機Vでは、駆動部が各スライダ2を個々に駆動するアクチュエータ11,11を有している。このように、スライダ2の一つ一つにそれぞれスライダ2を駆動するアクチュエータ11,11を設けると、スライダ2自体が直接駆動されるので、各スライダ2を偏りなく駆動できる。ただし、駆動部は、可動体1のみを駆動するか、或いは、一部のスライダ2のみを駆動しても、スライダ2は同期してクランプ5に対して等しい距離を保ちながら移動するので、そのようにしてもよい。また、本実施の形態では、第一ガイド部は、軸受24とされているが、可動体1をアクチュエータで駆動するようにして、このアクチュエータ自体を第一ガイド部としても機能させるようにしてもよい。ただし、軸受24を第一ガイド部とする場合、第一ガイド部を交換する際には軸受24の交換ですむので、メンテナンスコストが安価となる利点がある。
【0059】
前述したところでは、二つのスライダ2を
図1に示すように共通するスライダ軸線Xに沿って移動させる構造と採用しているが、各スライダ2を同期させてクランプ5に対して等しい距離を保ちながら移動させる機構はこれに限定されない。各スライダ2を同期させてクランプ5に対して等しい距離を保ちながら移動させる機構は、次の条件を満たせばよく、スライダ2の設置数も任意に設定できる。
【0060】
具体的には、複数のスライダ2が可動体軸線Yに対して直交する同一平面内に配置され、各スライダ2の移動方向としてのスライダ軸線Xのそれぞれが可動体軸線Yに直交する直交平面において最短距離を採り、直交平面に対して成す角度と最短距離が全て等しくなるように配置されればよい。なお、各スライダ軸線Xは、直線とされる他、円弧状の線でも構わないが、円弧状の線であれば、全てのスライダ軸線Xが同一曲率の円弧状の線となっていればよい。
【0061】
複数のスライダ2は、可動体軸線Yに対して直交する同一平面内に配置されればよいが、各スライダ2がスライダ軸線Xに沿って移動しても各スライダ2は、常に、可動体軸線Yに直交する或る平面内に配置されればよい。
【0062】
したがって、
図5に示すように、複数のスライダ2を持つ振動試験機である場合、スライダ2の一つが可動体軸線Yに直交する或る平面F1内に位置する場合、残りのスライダ2も同じ平面F1に配置されればよく、スライダ2の一つが駆動部によって駆動されて移動して平面F2に配置される場合、残りの他のスライダ2も同じ平面F2に配置されればよい。つまり、複数のスライダ2が可動体軸線Yに対して直交する同一平面内に配置されるとは、全スライダ2の位置が変化しても常に全スライダ2が可動体軸線Yに直交する或る同じ平面内に配置されることを示している。
【0063】
したがって、たとえば、
図6に示す振動試験機のように、可動体1が鉛直方向へ伸びる可動体軸線Yに沿って往復運動して三つのスライダ2を駆動する例では、三つのスライダ2のうち一つが可動体軸線Yに直交する平面F3内に位置する際には残りの二つのスライダ2も同様に平面F3に配置されればよい。
【0064】
そして、この条件に加えて、各スライダ2のスライダ軸線Xのそれぞれが可動体軸線Yに対して等しい距離に配置されるとともに、可動体軸線Yに直交する平面に対して等しい角度で交わるようにすればよい。
図6に示したところでは、各スライダ2のスライダ軸線Xのそれぞれは、可動体軸線Yの点P1に交わる。よって、可動体軸線Yに直交する直交平面である平面F3においてスライダ軸線Xと可動体軸線Yとの距離が最短となり、スライダ軸線Xが可動体軸線Yに直交する平面F3上に配置されるのでスライダ軸線Xが平面F3と成す角度は0となる。そして、各スライダ軸線Xが直交平面である平面F3において、スライダ軸線Xと可動体軸線Yとの距離が最短距離となり、その最短距離が0であり、前記角度も0となる。
【0065】
つまり、スライダ軸線Xは、可動体軸線Yにおける点P1から放射状に延びており、スライダ2は、可動体軸線Yを中心として平面F3上を放射方向に往復移動する。そして、可動体1と各スライダ2が等しい長さのリンク3に回り対偶で接合されるので、可動体1が可動体軸線Y上を往復移動すると、各スライダ2はスライダ軸線Xに沿って可動体軸線Yとの交点P1に対して遠近するように移動する。
【0066】
クランプ5は、常に各スライダ2から等しい距離だけ離間した位置に配置されればよい。
図6に示したところでは、三つのスライダ2から等しい距離となるのは、可動体軸線Y上の任意の位置となる。
【0067】
加振機6は、クランプ5と各スライダ2との間の各距離が同じになるクランプ軸線Z上に沿ってクランプ5を加振すればよい。この場合、各スライダ2の全部から等しい距離となる点の集合は可動体軸線Yとなり、加振機6は、クランプ5を可動体軸線Yに沿って加振すればよいので、クランプ軸線Zは可動体軸線Yと同じ直線となる。このようにクランプ5を配置して加振機6でクランプ5に振動を与えると、クランプ5は、常にクランプ5と全スライダ2との間の距離が全て同じとなる振動する。よって、試験体であるダンパDの一端を保持可能なスライダ2とクランプ5の位置関係は、スライダ2の位置を変更しても機構的に各スライダ2とクランプ5との距離が常に等しくなる位置に各スライダ2が位置決めされるとともに、クランプ5は、振動しても常にクランプ5と全スライダ2との間の距離が全て同じになる。
【0068】
また、
図7に示振動試験機のように、可動体1が水平方向へ伸びる可動体軸線Yに沿って往復動して二つのスライダ2を駆動する例では、スライダ2の一方が可動体軸線Yに直交する平面F4内に位置する際にはスライダ2の他方も同様に平面F4に配置される。
【0069】
そして、
図7に示した振動試験機では、各スライダ2のスライダ軸線Xのそれぞれが可動体軸線Yに対して距離y1だけ下方へずれた点P2を通るように配置され、可動体軸線Yに直交する平面F5に対して等しい角度θ1で交わっている。この場合、各スライダ軸線Xは、可動体軸線Yに直交する直交平面である平面F5で可動体軸線Yとの距離を最短とし、各スライダ軸線Xと可動体軸線Yとの最短距離はy1であって等しく、各スライダ軸線Xが直交平面である平面F5と成す角度はθ1となるように配置されている。
【0070】
すると、可動体1が移動するとスライダ2は、それぞれのスライダ軸線Xに沿って可動体1からリンク3の長さだけ離れた位置に位置決めされるとともに、全スライダ2が常に可動体軸線Yと直交する平面内に位置決めされる。クランプ5は、二つのスライダ2との間の距離が常に等しくなる位置に位置決めされるが、この場合、スライダ2から等しい距離だけ離れた平面F6内に配置されればよい。
【0071】
加振機6は、この場合、平面F6に沿ってクランプ5を加振すればよく、方向は平面F6内で任意に設定できる。このようにクランプ5を配置して加振機6でクランプ5に振動を与えると、クランプ5は、常にクランプ5と全スライダ2との間の距離が全て同じとなる振動する。よって、試験体であるダンパDの一端を保持可能なスライダ2とクランプ5の位置関係は、スライダ2の位置を変更しても機構的に各スライダ2とクランプ5との距離が常に等しくなる位置に各スライダ2が位置決めされるとともに、クランプ5は、振動しても常にクランプ5と全スライダ2との間の距離が全て同じになる。したがって、たとえば、
図1に示した振動試験機Vでは、加振機6がクランプ5を上下方向に加振するようにしているが、
図1における可動体軸線Yおよびクランプ軸線Zが上下方向ではなく水平方向となるように
図1の振動試験機Vをそのまま横倒しにして、加振機6が水平方向へクランプ5を加振するような態様も可能である。
【0072】
また、
図8に示す振動試験機のように、可動体1が鉛直方向へ伸びる可動体軸線Yに沿って往復動して四つのスライダ2を駆動する例では、スライダ2の一方が可動体軸線Yに直交する平面F7内に位置する際にはスライダ2の他方も同様に平面F7に配置される。
【0073】
そして、
図8に示した振動試験機では、各スライダ2のスライダ軸線Xのそれぞれが可動体軸線Yに対する直交する平面(直交平面)F8において最短距離離y2だけ離れた位置に配置され、可動体軸線Yに直交する平面(直交平面)F7に対して等しい角度θ2で交わっている。この場合、各スライダ軸線Xは、可動体軸線Yに直交する直交平面である平面(直交平面)F8で可動体軸線Yとの距離を最短とし、各スライダ軸線Xと可動体軸線Yとの最短距離はy2であって等しく、各スライダ軸線Xが直交平面である平面(直交平面)F8と成す角度はθ2となるように配置されている。
【0074】
すると、可動体1が移動するとスライダ2は、それぞれのスライダ軸線Xに沿って可動体1からリンク3の長さだけ離れた位置に位置決めされるとともに、全スライダ2が常に可動体軸線Yと直交する平面内に位置決めされる。
【0075】
クランプ5は、常に各スライダ2から等しい距離だけ離間した位置に配置されればよい。
図8に示したところでは、四つのスライダ2から等しい距離となるのは、可動体軸線Y上の任意の位置となる。
【0076】
加振機6は、クランプ5と各スライダ2との間の各距離が同じになるクランプ軸線Z上に沿ってクランプ5を加振すればよい。この場合、各スライダ2の全部から等しい距離となる点の集合は可動体軸線Yとなり、加振機6は、クランプ5を可動体軸線Yに沿って加振すればよいので、クランプ軸線Zは可動体軸線Yと同じ直線となる。このようにクランプ5を配置して加振機6でクランプ5に振動を与えると、クランプ5は、常にクランプ5と全スライダ2との間の距離が全て同じとなる振動する。よって、試験体であるダンパDの一端を保持可能なスライダ2とクランプ5の位置関係は、スライダ2の位置を変更しても機構的に各スライダ2とクランプ5との距離が常に等しくなる位置に各スライダ2が位置決めされるとともに、クランプ5は、振動しても常にクランプ5と全スライダ2との間の距離が全て同じになる。
【0077】
このように、前述の条件が満たされるように、可動体軸線Y、スライダ軸線X、クランプ軸線Z、スライダ2およびクランプ5の配置と、加振機6の加振方向を設定すれば、スライダ2を移動させても常にスライダ2はクランプ5に対して等しい距離に配置されるため一度に二つのダンパDの取付姿勢を同時に調整できる。よって、前述の条件が満たされるようにリンク機構Rを構成すれば、ダンパ(試験体)Dの取付姿勢の調整が容易で、振動試験の効率を向上できる振動試験機Vを実現できる。
【0078】
また、前述した実施の形態では、スライダ軸線Xを直線としているが、前述の条件が満たされれば、円弧状とされもよい。さらに、固定装置Lは、前述の構成に限らず、スライダ2を固定できればよいので、適宜設計変更可能である。
【0079】
さらに、スライダ2の移動を案内する第二ガイド部についても前述のガイド部材7に限られず、リニアガイドや他のガイド装置を用いることもできる。駆動部に利用するアクチュエータ11は、油圧や空圧を駆動源とするアクチュエータのほか電動のアクチュエータであってもよく、オペレータの手動による同力を駆動源とするものでもよい。
【0080】
さらに、可動体軸線Y方向から見て、可動体1とスライダ2とが相対的に回転するような場合、可動体1とリンク3との回り対偶における接合とスライダ2とリンク3との回り対偶における接合の一方または両方は、前記相対回転を許容する接合を選択すればよい。また、この振動試験機Vの試験体は、ダンパDに限られず、種々の試験体の振動試験に利用できる。
【0081】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形、および変更が可能である。