特許第6971832号(P6971832)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971832
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】苗植付装置
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20211111BHJP
【FI】
   A01C11/02 365A
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-248211(P2017-248211)
(22)【出願日】2017年12月25日
(65)【公開番号】特開2019-110854(P2019-110854A)
(43)【公開日】2019年7月11日
【審査請求日】2019年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】田部 智也
【審査官】 竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−086413(JP,U)
【文献】 特開平09−266711(JP,A)
【文献】 特開平08−336319(JP,A)
【文献】 特開2017−136026(JP,A)
【文献】 特開平06−339315(JP,A)
【文献】 特開平01−124313(JP,A)
【文献】 特開昭63−226206(JP,A)
【文献】 実開昭58−139015(JP,U)
【文献】 中国特許出願公開第104025783(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体横幅方向に往復移送可能な苗載台と、
前記苗載台の苗縦送り方向下手側の端部を摺動可能に支持し、かつ、苗取出口、および、前記苗取出口の両横側において苗の縦送り方向下手側の端部を下方から摺動可能に受け止め支持する苗受け部を有する摺動ガイドレールと、
植付爪を有し、かつ、前記植付爪が前記苗取出口を通過して前記苗載台から苗を取出し、取出した苗を圃場に下降搬送して植付ける苗植付機構と、
前記摺動ガイドレールに支持されて、前記植付爪による苗取出しを案内する苗取出しガイドと、が備えられ、
前記苗取出しガイドは、
前記摺動ガイドレールに連結される連結部と、
前記苗取出口の両横側から下向きに延びる取出しガイド板部と、
前記苗取出口に入り込んで前記苗取出口の取出口縁に沿う取出口ガイド部と、を有し、
前記取出口ガイド部における前記苗取出口の内外方向での幅が前記取出しガイド板部の板厚よりも広くなっており、
前記連結部は、前記苗取出口の両横側において前記苗受け部の裏面側に位置する横連結フランジを有し、
前記苗受け部の表面側に、前記苗受け部の苗床土部との摩擦による摩滅を抑制する補強プレートが備えられ、
前記取出口ガイド部は、前記横連結フランジに対して前記苗受け部の表面側に突出し、かつ、前記苗受け部の表面側に突出している端面において前記補強プレートにおける前記苗受け部側とは反対側の面と面一になっている苗植付装置。
【請求項2】
前記摺動ガイドレールは、前記苗受け部から立ち上がって苗の縦送り方向下手側の端面を受け止めるストッパー部を有し、
前記苗取出口は、前記苗受け部に形成された横口部、および、前記ストッパー部に形成された縦口部を有し、
前記取出口ガイド部は、前記取出口縁のうちの前記横口部に対応する横口縁部、及び、前記取出口縁のうちの前記縦口部に対応する縦口縁部に沿っており、
前記連結部は、前記苗取出口の両横側において前記ストッパー部の裏面側に位置する縦連結フランジを有し、
前記ストッパー部の表面側に、前記ストッパー部の苗床土部との摩擦による摩滅を抑制する補強プレートが備えられ、
前記取出口ガイド部は、前記縦連結フランジに対して前記ストッパー部の表面側に突出し、かつ、前記ストッパー部の表面側に突出している端面において前記補強プレートの前記ストッパー部側とは反対側の面と面一になっている請求項1に記載の苗植付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体横幅方向に往復移送可能な苗載台と、前記苗載台の苗縦送り方向下手側の端部を摺動可能に支持し、かつ、苗取出口を有する摺動ガイドレールと、植付爪を有し、かつ、前記植付爪が前記苗取出口を通過して前記苗載台から苗を取出し、取出した苗を圃場に下降搬送して植付ける苗植付機構と、が備えられた苗植付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記した苗植付装置において、摺動ガイドレールに支持されて、植付爪による苗取出しを案内する苗取出しガイドが備えられたものがある。苗取出しガイドは、苗取出口の両横側から下向きに延びる取出しガイド板部と、苗取出口に入り込んで苗取出口の取出口縁に沿う取出口ガイド部と、を有するものとなっている。
この種の苗取出しガイドとしては、例えば特許文献1に示される苗取出ガイドがある。
特許文献1に示される苗取出ガイドでは、左右一対のガイド体、及び、苗取出口の取出口縁に沿うと共に面取りを有する部分が備えられている。ガイド体が取出しガイド板部に相当し、面取りを有する部分が取出口ガイド部に相当する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−135421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
植付爪が苗取出口を通過して苗載台の苗から植付用苗を掻き取るとき、苗取出しガイドにおける取出口ガイド部が固定刃機能を発揮するので、取出口ガイド部が苗の床土部に切断作用して磨滅しがちとなる。取出口ガイド部の磨滅が進むと、摺動ガイドレールにおける苗取出口周りの部位が取出口ガイド部に代わって固定刃機能を発揮することになり、摺動ガイドレールにおける苗取出口周りの部位が磨滅しがちになる。摺動ガイドレールにおける苗取出口周りの部位が磨滅すると、摺動ガイドレールの苗取出口が広くなり、植付爪によって取り出される植付用苗の大きさが大きくなってしまう。また、摺動ガイドレールを交換することになると、摺動ガイドレールは、長尺物なので、脱着に手間が掛かり、かつ、交換費用が高くなる。植付条数が多い苗植付装置では、摺動ガイドレールの長さが長くなるので、より手間が掛かり、より高くつく。
【0005】
本発明は、摺動ガイドレールの磨滅を安価に回避しやすい苗植付装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による苗植付装置は、
機体横幅方向に往復移送可能な苗載台と、
前記苗載台の苗縦送り方向下手側の端部を摺動可能に支持し、かつ、苗取出口、および、前記苗取出口の両横側において苗の縦送り方向下手側の端部を下方から摺動可能に受け止め支持する苗受け部を有する摺動ガイドレールと、
植付爪を有し、かつ、前記植付爪が前記苗取出口を通過して前記苗載台から苗を取出し、取出した苗を圃場に下降搬送して植付ける苗植付機構と、
前記摺動ガイドレールに支持されて、前記植付爪による苗取出しを案内する苗取出しガイドと、が備えられ、
前記苗取出しガイドは、
前記摺動ガイドレールに連結される連結部と、
前記苗取出口の両横側から下向きに延びる取出しガイド板部と、
前記苗取出口に入り込んで前記苗取出口の取出口縁に沿う取出口ガイド部と、を有し、
前記取出口ガイド部における前記苗取出口の内外方向での幅が前記取出しガイド板部の板厚よりも広くなっており、
前記連結部は、前記苗取出口の両横側において前記苗受け部の裏面側に位置する横連結フランジを有し、
前記苗受け部の表面側に、前記苗受け部の苗床土部との摩擦による摩滅を抑制する補強プレートが備えられ、
前記取出口ガイド部は、前記横連結フランジに対して前記苗受け部の表面側に突出し、かつ、前記苗受け部の表面側に突出している端面において前記補強プレートにおける前記苗受け部側とは反対側の面と面一になっている。
【0007】
本構成によると、取出口ガイド部における苗取出口内外方向での幅が広いので、取出口ガイド部の磨滅が進んで摺動ガイドレールにおける苗取出口周りの部位が苗取出しガイドに代わって固定刃機能を発揮することになるまでの取出口ガイド部の磨滅代が大きくなる。すると、取出口ガイド部の磨滅が進んで摺動ガイドレールが固定刃機能を発揮することになった場合に植付爪によって取出される植付用苗の大きさと、取出口ガイド部が磨滅する前に植付爪によって取出される植付用苗の大きさとの差が大きくなり、植付爪によって取り出される植付用苗の大きさの変化を見つけやすい。植付用苗の大きさの変化を見つけやすいと、植付用苗の大きさの変化を基に、苗取出しガイドにおける取出口ガイド部がどの程度磨滅したかを判断しやすいので、取出口ガイド部の磨滅が進んで摺動ガイドレールが固定刃機能を発揮することになるまでに苗取出しガイドを交換することが容易となる。
【0008】
従って、苗取出しガイドの取出口ガイド部における苗取出口内外方向での幅を取出しガイド板部の板厚よりも広くするだけの安価な対策で摺動ガイドレールの磨滅を回避しやすくなる。
本構成によると、摺動ガイドレールの苗受け部における苗との摩擦による磨滅が補強プレートによって抑制されるので、摺動ガイドレールの長期使用が可能となる。
【0009】
本発明においては、
前記摺動ガイドレールは、前記苗受け部から立ち上がって苗の縦送り方向下手側の端面を受け止めるストッパー部を有し、
前記苗取出口は、前記苗受け部に形成された横口部、および、前記ストッパー部に形成された縦口部を有し、
前記取出口ガイド部は、前記取出口縁のうちの前記横口部に対応する横口縁部、及び、前記取出口縁のうちの前記縦口部に対応する縦口縁部に沿っており、
前記連結部は、前記苗取出口の両横側において前記ストッパー部の裏面側に位置する縦連結フランジを有し、
前記ストッパー部の表面側に、前記ストッパー部の苗床土部との摩擦による摩滅を抑制する補強プレートが備えられ、
前記取出口ガイド部は、前記縦連結フランジに対して前記ストッパー部の表面側に突出し、かつ、前記ストッパー部の表面側に突出している端面において前記補強プレートの前記ストッパー部側とは反対側の面と面一になっていると好適である。
【0010】
本構成によると、植付用苗が取り出されるとき、摺動ガイドレールの苗取出口における縦口縁部が固定刃になることも、摺動ガイドレールの苗取出口における横口縁部が固定刃になることも苗取出しガイドにおける取出口ガイド部によって防止されるので、摺動ガイドレールの磨滅をより回避しやすい。
【0011】
【0012】
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】乗用型田植機の全体を示す左側面図である。
図2】苗植付装置を示す平面図である。
図3】苗植付装置の苗取出し部を示す側面図である。
図4】摺動ガイドレールの苗取出し部を示す平面図である。
図5図4のV−V断面矢視図である。
図6】摺動ガイドレールの苗取出口、及び、苗取出しガイドを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る苗植付装置の実施の形態を乗用型田植機に適用された場合について、図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、乗用型田植機の全体を示す側面図である。図1に示す[F]の方向が走行機体1の前方向、[B]の方向が走行機体1の後方向、紙面表側の方向が走行機体1の左方向、紙面裏側の方向が走行機体1の右方向と定義する。
【0016】
〔乗用型田植機の全体〕
図1に示すように、乗用型田植機は、ミッションケース2及び後部フレーム3等によって構成された機体フレーム4を有し、かつ、機体フレーム4の前部に操向可能かつ駆動可能に装備され左右一対の前車輪5、機体フレーム4の後部に駆動可能に装備された左右一対の後車輪6を有した自走車を備えている。自走車の前部に、エンジン7を有する原動部8が設けられている。エンジン7の動力がミッションケース2に入力され、ミッションケース2から前車輪5及び後車輪6に伝達される。自走車の後部に運転部9が設けられている。運転部9に、運転座席10、前車輪5を操向操作するステアリングホィール11が設けられている。自走車は、運転部9に搭乗して運転するよう乗用型に構成されている。機体フレーム4の後部にリンク機構12を介して苗植付装置13が連結されている。リンク機構12は、油圧シリンダ14の伸縮作動によって上下に揺動操作される状態で機体フレーム4に支持されている。苗植付装置13は、リンク機構12の昇降操作により、接地フロート15が圃場面に下降して接地した下降作業状態と、接地フロート15から圃場面から浮上した上昇非作業状態とにわたって昇降操作される。苗植付装置13は、フィードケース16有し、エンジン7からミッションケース2に入力された動力がミッションケース2から回転軸17を介してフィードケース16に入力されることによって駆動される。
【0017】
乗用型田植機では、苗植付装置13を下降作業状態に下降させ、この状態で自走車を走行させることにより、苗植付装置13によって圃場に苗を植え付ける苗植え作業が行われる。
【0018】
〔苗植付装置の構成〕
図1,2に示されるように、苗植付装置13は、主フレーム21等によって構成された植付機体20、8つの苗植付機構25、1つの苗載台60及び5つの接地フロート15を備え、8条植えの苗植え作業が可能に構成されている。詳しくは、次の如く構成されている。
【0019】
図1,2に示されるように、植付機体20は、主フレーム21の他、4つの植付駆動ケース22を有している。主フレーム21は、植付機体20の前部において、植付機体20の横幅方向に延びている。4つの植付駆動ケース22は、植付機体20の横幅方向に間隔空けて並ぶ状態で主フレーム21から後方向きに延びている。
【0020】
図1,2に示されるように、8つの苗植付機構25は、4つの植付駆動ケース22それぞれの後部の両横側に1つずつ駆動可能に支持される状態で植付機体20に装備されている。各苗植付機構25は、植付駆動ケース22に回転駆動可能に支持された回転ロータ26、及び、回転ロータ26の両端部に振り分けて駆動可能に支持された一対の植付アーム27を備えている。一対の植付アーム27それぞれの先端部に植付爪28が支持されている。
【0021】
図1,2に示されるように、苗植付機構25よりも前側において、植付機体20の横幅方向に延びる摺動ガイドレール30が植付駆動ケース22に支持されている。図3,6に示されるように、摺動ガイドレール30は、アルミ合金材によって構成されている。摺動ガイドレール30は、苗受け部31、及び、苗受け部31の端部から立ち上がっているストッパー部32を有している。摺動ガイドレール30のうちの8つの苗植付機構25それぞれに対応する部位に苗取出口33が形成されている。苗取出口33は、苗受け部31とストッパー部32とにわたって形成され、苗受け部31に形成された横口部34、ストッパー部32に形成された縦口部35を有している。
【0022】
各苗植付機構25では、フィードケース16から植付駆動ケース22に入力された動力によって駆動され、一対の植付爪28それぞれにおいて、植付爪28の先端側が苗取出口33を上方から通過して圃場に下降し、圃場から上昇して苗取出口33の上方に戻る状態で上下に回動し、植付爪28による苗載台60からの苗取出しが可能になり、かつ、植付爪28による苗植え付けが可能になっている。
【0023】
図3,4,5に示されるように、摺動ガイドレール30のうち、8つの苗取出口33が形成されている部位のそれぞれに苗取出しガイド40が支持されている。8つの苗取出しガイド40は、同じ構成を備えている。8つの苗取出しガイド40は、次の如く構成されている。
【0024】
図3,4,5,6に示されるように、苗取出しガイド40は、樹脂材の成型によって作製され、樹脂製になっている。苗取出しガイド40は、左右一対の連結部41、左右一対の取出しガイド板部45、取出口ガイド部50を有している。
【0025】
苗取出しガイド40は、左右の連結部41が摺動ガイドレール30に連結ボルト42によって連結されることにより、摺動ガイドレール30に支持されている。
【0026】
詳述すると、図4,5に示されるように、左右の連結部41は、苗取出口33を挟んで摺動ガイドレール30の長手方向(苗取出口33の横幅方向)に並んでいる。左右の連結部41は、横連結フランジ41a及び縦連結フランジ41bを有している。左右の連結部41は、横連結フランジ41aが苗受け部31の裏面側に位置し、縦連結フランジ41bがストッパー部32の裏面側に位置する取付け姿勢で、縦連結フランジ41bが連結ボルト42によってストッパー部32に連結されることにより、摺動ガイドレール30に連結されている。
【0027】
図4,5に示されるように、取出口ガイド部50は、摺動ガイドレール30の苗取出口33に入り込み、苗取出口33の取出口縁36に沿っている。詳述すると、取出口ガイド部50は、横口ガイド部50A及び縦口ガイド部50Bを有している。
【0028】
図4,5,6に示されるように、横口ガイド部50Aは、左右一対の前後向きガイド部51、左右の前後向きガイド部51の前端側に連結された横向きガイド部52を有している。左右の前後向きガイド部51及び横向きガイド部52は、左右の横連結フランジ41aから上方向きに突出して苗取出口33のうちの横口部34に入り込んでいる。左の前後向きガイド部51が横口部34における左側の横口部縁36aに沿っている。右の前後向きガイド部51が横口部34における右側の横口部縁36aに沿っている。横向きガイド部52が横口部34における前側の横口部縁36bに沿っている。横向きガイド部52は、左右の連結部41を連結する連結部材になっている。
【0029】
縦口ガイド部50Bは、左右一対の上下向きガイド部53を有している。左右の上下向きガイド部53は、左右の縦連結フランジ41bから前向きに突出して苗取出口33のうちの縦口部35に入り込んでいる。左の上下向きガイド部53が縦口部35における左側の縦口部縁36cに沿っている。右の上下向きガイド部53が縦口部35における右側の縦口部縁36cに沿っている。
【0030】
本実施形態では、取出口ガイド部50は、横口ガイド部50A及び縦口ガイド部50Bを有し、取出口ガイド部50が取出口縁36のうちの横口部縁36a,36b及び縦口部縁36cに沿う構成を採用しているが、これに限らず、取出口ガイド部50は、縦口ガイド部50Bを備えず、横口部縁36a,36b及び縦口部縁36cのうちの横口部縁36a,36bのみに沿う構成を採用してもよい。すなわち、本発明における「苗取出口33の取出口縁36に沿う取出口ガイド部50」には、「縦口ガイド部50Bを備えず、苗取出口33の取出口縁36のうちの横口部縁36a,36b及び縦口部縁36cのうちの横口部縁36a,36bのみに沿う取出口ガイド部」が含まれる。
【0031】
図3,4,5に示されるように、左右一対の取出しガイド板部45は、苗取出口33の両横側から下向きに延びている。左右の取出しガイド板部45の間に、植付爪28、及び、植付爪28によって取出される植付用苗が苗取出口33から下降する経路が形成され、植付爪28によって取出される植付用苗が左右の取出しガイド板部45によって案内されつつ苗取出口33から下降する。左右一対の取出しガイド板部45のうちの左の取出しガイド板部45は、左の連結部41から下向きに延出されることにより、苗取出口33の左横側から下向きに延びている。左右一対の取出しガイド板部45のうちの右の取出しガイド板部45は、右の連結部41から下向きに延出されることにより、苗取出口33の右横側から下向きに延びている。
【0032】
図4,5,6に示されるように、取出口ガイド部50の苗取出口33の内外方向での幅Wとしての、左右の前後向きガイド部51の横口部34の内外方向での幅をW1、横向きガイド部52の横口部34の内外方向での幅をW2、左右の上下向きガイド部53の縦口部35の内外方向での幅をW3とし、左右の取出しガイド板部45の板厚をTとする。苗取出しガイド40は、W1がTよりも広い状態で、W2がTよりも広い状態で、W3がTよりも広い状態で作製されている。取出口ガイド部50と苗床土部との摩擦によって取出口ガイド部50が磨滅しても、WがTより広いことにより、取出口ガイド部50の長期使用が可能になる。
【0033】
図3,4,5に示されるように、左右の取出しガイド板部45の植付爪通路側と反対側に、取出しガイド板部45を下方に延長する延長ガイド部材46が設けられている。延長ガイド部材46は、連結部41から下向きに植付爪28の下降経路に沿う状態で延出されている。延長ガイド部材46の上端側は、連結部41との共締めによって摺動ガイドレール30に支持されている。延長ガイド部材46の上端側は、また、取出しガイド板部45に設けられた支持突起55に係合されている。図3に示されるように、左右の延長ガイド部材46の間に前ガイド板47が設けられている。前ガイド板47の上端側は、取出しガイド板部45にわたって設けられた支持部54に支持されている。前ガイド板47の上下方向での途中部に左右の延長ガイド部材46を支持する支持部46aが設けられている。
【0034】
図1に示されるように、苗載台60は、下端側(苗縦送り方向下手側)ほど植付機体後方側に位置する傾斜姿勢で支柱部材61と摺動ガイドレール30とに支持されている。図2に示されるように、苗載台60には、8つの苗植付機構25に供給する苗を植付機体20の横幅方向に並べて載置する8つの苗載置部60aが形成されている。各苗載置部60aに載置された苗における下端側(苗縦送り方向下手側)の端部が苗載置部60aから苗取出口33の方へ突出し、突出した端部が摺動ガイドレール30の苗受け部31によって下方から摺動可能に受け止め支持され、かつ、突出した端部における苗縦送り方向下手側の端面が摺動ガイドレール30のストッパー部32によって摺動可能に受け止められる。
図4,5,6に示されるように、摺動ガイドレール30の苗受け面側に補強プレート30pが備えらえている。補強プレート30pは、苗受け部31と、ストッパー部32とにわたって設けられている。補強プレート30pは、連結ボルト42による苗取出しガイド40との共締めによって摺動ガイドレール30に固定されている。補強プレート30pは、ステンレス鋼板によって構成されている。摺動ガイドレール30と苗床土部との摩擦による摺動ガイドレール30の磨滅が補強プレート30pによって抑制される。
【0035】
支柱部材61は、植付機体20の前部に立設され、苗載台60の上端側を植付機体20の横幅方向に往復移動可能に支持している。図3に示されるように、苗載台60の下端部は、苗載台60に連結された連結部材62を介して摺動ガイドレール30の支持部30aに植付機体20の横幅方向に往復摺動可能に支持されている。苗載台60は、8つの苗植付機構25に対して植付機体20の横幅方向に往復移動可能な状態で支持されている。
【0036】
苗載台60とフィードケース16とにわたって苗横送り駆動機構(図示せず)が設けられている。苗載台60は、苗横送り駆動機構によって苗植付機構25の苗植え運動に連動させて植付機体20の横幅方向に往復移送され、各苗載置部60aに載置されている苗を摺動ガイドレール30に対して往復移送させる。すなわち、苗のうちの摺動ガイドレール30に支持されている下端部が苗横幅方向での一端部から他端部にわたって苗取出口33に対して往復移動され、植付爪28が苗取出口33で苗の下端部から植付用苗を取出すように、かつ、この苗取出しが苗の横幅方向での一端部から他端部にわたって順次に行われるように苗植付機構25に対して苗供給される。
【0037】
図2に示されるように、苗載台60の8つの苗載置部60aに苗縦送りベルト63が設けられている。各苗縦送りベルト63の搬送終端側が巻き掛けられているベルト駆動輪体(図示せず)とフィードケース16とにわたって苗縦送り駆動機構(図示せず)が設けられている。苗載台60が横送りの左右のストロークエンドに達したとき、各苗載置部60aの苗縦送りベルト63が苗縦送り駆動機構によって設定スロトークだけ駆動され、各苗載置部60aに載置されている苗が苗縦送りベルト63によって苗取出口33に向けて、苗植付機構25による苗縦方向での取出し長さに相当する長さだけ縦送りされる。
【0038】
苗植付装置13では、8の苗植付機構25のそれぞれにおいて、一対の植付爪28によって交互に苗植え付けされる。
【0039】
すなわち、一対の植付アーム27のそれぞれにおいて、植付爪28の先端側が苗取出口33を上方から通過する。苗取出口33を通過する植付爪28の先端側が苗載置部60aに載置されている苗のうちの苗取出口33に位置する苗部分に掻き取り作用する。このとき、苗取出しガイド40の取出口ガイド部50が苗部分に対する固定刃となって苗部分がせん断され、苗載置部60aに載置されている苗部分が植付用苗として植付爪28によって取出される。苗載置部60aに載置されている苗の下端部が苗の横幅方向での一端部から他端部にかけて順次に苗取出口33に供給され、苗載台60の横移送による苗の横送りが左右ストロークエンドに達すると、苗載置部60aに載置されている苗が苗取出口33へ縦送りされる。これにより、植付爪28による植付用苗の取出しが苗載置部60aに載置されている苗の苗横幅方向での一端部から他端部にかけて順次に行われる。
【0040】
植付用苗が植付爪28によって取出されると、植付爪28によって保持され、苗取出しガイド40における取出しガイド板部45、及び、延長ガイド部材46及び前ガイド板47によって案内されつつ植付爪28によって下降搬送される。植付用苗が圃場まで下降搬送されると、苗押出し部材56(図3参照)によって植付爪28から外されて圃場の泥土部に植え付けられる。
【0041】
植付用苗の圃場への植え付けを終えると、植付爪28が圃場から上昇操作されて苗取出口33の上方へ戻され、植付用苗の取出し、取出した植付用苗の圃場への植付が繰り返して行われる。
【0042】
図2に示されるように、苗載台60の上面側に、苗載置部60aに載置された苗の浮き上がりを抑制する苗押さえ部材65が設けられている。苗押さえ部材65のうちの横一端側の1条用苗押さえ部65Aは、他の7条用苗押さえ部材65Bに対して分離可能に構成されている。苗載台60のうちの横一端側の1条用苗載台部60Aを他の7条用苗載台部60Bの上方に折り畳む際、1条用苗押さえ部65Aを1条用苗載台部60Aと共に格納することが可能になっている。
【0043】
苗押さえ部材65のうちの7条用苗押さえ部材65Bは、7条用苗載台部60Bの両横端部における上下側に設けられた端側支持部材66と、7条用苗載台部60Bのうちの3条用部分と4条用部分との間における上下側部分に設けられた中支持部材67と、3条用部分における下端側に設けられた下側支持部材68と、4条用部分における下端側に設けられた下側支持部材69とに支持されている。
【0044】
〔別実施形態〕
(1)上記した実施形態では、樹脂製の苗取出しガイド40が採用された例を示したが、金属製の苗取出しガイドを採用して実施してもよい。
【0045】
(2)上記した実施形態では、摺動ガイドレール30がアルミ合金材によって構成された例を示したが、鉄材、ステンレス材などどのような材質の部材によって構成してもよい。
【0046】
(3)上記した実施形態では、苗植付装置13が8条植え可能に構成された例を示したが、7条以下、あるいは9条以上の植え付けが可能に構成して実施してもよい。
【0047】
(4)上記した実施形態では、補強プレート30pが設けられた例を示しているが、補強プレート30pを設けないで実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、乗用型田植機に装備される苗植付装置の他、歩行型田植機に装備される苗植付装置に適用できる。
【符号の説明】
【0049】
25 苗植付機構
30 摺動ガイドレール
30p 補強プレート
31 苗受け部
32 ストッパー部
33 苗取出口
34 横口部
35 縦口部
36 取出口縁
36a 横口部縁
36b 横口部縁
40 苗取出しガイド
41 連結部
41a 横連結フランジ
41b 縦連結フランジ
45 取出しガイド板部
50 取出口ガイド部
60 苗載台
H 板厚
W 取出口ガイド部の幅
W1 前後向きガイド部の幅
W2 横向きガイド部の幅
W3 上下向きガイド部の幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6