(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記高精度3次元地図データは、各道路の路面に沿う複数本のベクトルデータを含むものであることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の走行速度算出装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る走行速度算出装置が車両に設けられている状態を示すブロック図である。
図1を参照して、実施の形態1の走行速度算出装置100について説明する。
【0012】
地図データ記憶部11は、いわゆる「ダイナミックマップ」などの高精度3次元地図データを記憶するものでる。高精度3次元地図データは、例えば、モービルマッピングシステム(Mobile Mapping System,MMS)などにより収集された3次元点群データに基づき生成されたベクトルデータにより構成されている。高精度3次元地図データは、少なくとも、各道路の路面に沿う複数本のベクトルデータを含むものである。
【0013】
GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機12は、アンテナ2を用いて、図示しない人工衛星により送信された複数種類のGNSS信号を受信するものである。具体的には、例えば、GNSS受信機12は、民間用のGPS(Global Positioning System)信号を受信するのに加えて、準天頂衛星システム(Quasi−Zenith Satellite System,QZSS)によるCLAS(Centimeter Level Augmentation Service)信号を受信するものである。
【0014】
ジャイロセンサ13は、例えば、2軸のジャイロセンサにより構成されている。ジャイロセンサ13は、車両1の車体のロール方向の角速度(以下「ロールレート」という。)ωr及び車両1の車体のヨー方向の角速度(以下「ヨーレート」という。)ωyを検出するものである。ジャイロセンサ13は、これらの検出値ωr,ωyを所定の時間間隔にて出力するものである。
【0015】
自車位置算出部14は、GNSS受信機12により受信されたGNSS信号を用いて、いわゆる「衛星航法」により車両1の現在位置(以下「自車位置」という。)を算出するものである。または、自車位置算出部14は、ジャイロセンサ13を含むセンサ類による検出値を用いて、いわゆる「自立航法」により自車位置を算出するものである。または、自車位置算出部14は、衛星航法と自立航法とを組み合わせて実行することにより自車位置を算出するものである。なお、自車位置算出部14は、地図データ記憶部11に記憶されている高精度3次元地図データを用いて、いわゆる「マップマッチング」により、当該算出された自車位置を補正するものであっても良い。
【0016】
ナビゲーション装置3は、例えば、車両1のダッシュボードに取り付けられた専用の車載情報機器、又は、車両1に持ち込まれたスマートフォン、タブレットPC(Personal Computer)若しくはPND(Portable Navigation Device)などの携帯情報端末により構成されている。
【0017】
ナビゲーション装置3は、地図データ記憶部11に記憶されている高精度3次元地図データなどを用いて、いわゆる「ダイクストラ法」などの公知の方法により、自車位置から目的地までの走行予定経路を探索するものである。この自車位置は、自車位置算出部14により算出されたものである。この目的地は、表示装置4に設定用の画面が表示された状態にて、操作入力装置5の操作により設定されたものである。
【0018】
ここで、車両1は、いわゆる「手動運転」により走行する動作モード(以下「手動運転モード」という。)に加えて、自動運転により走行する動作モード(以下「自動運転モード」という。)を有している。ナビゲーション装置3は、車両1が手動運転モードに設定されている場合、車両1が当該探索された走行予定経路を走行するように、車両1の運転者を案内する制御を実行するものである。具体的には、例えば、ナビゲーション装置3は、案内用の画像を表示装置4に表示させたり、又は案内用の音声を音声出力装置6に出力させたりするものである。
【0019】
表示装置4は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどのディスプレイにより構成されている。操作入力装置5は、例えば、表示装置4と一体型のタッチパネル、ナビゲーション装置3と一体型のハードウェアキー、車両1のハンドルと一体型のリモートコントローラー、又は音声認識装置などにより構成されている。音声出力装置6は、例えば、複数個のスピーカーにより構成されている。
【0020】
自動運転制御装置7は、車両1が自動運転モードに設定されている場合、車両1がナビゲーション装置3により探索された走行予定経路を自動的に走行するように、車両1のステアリング、アクセル及びエンジンブレーキなどを制御するものである。これらの制御には、ジャイロセンサ13を含むセンサ類による検出値に加えて、図示しない車外撮像用のカメラによる撮像画像に対する画像認識処理の結果なども用いられる。自動運転制御装置7は、例えば、車両1に搭載されたECU(Electronic Control Unit)などにより構成されている。
【0021】
曲率半径算出部15は、車両1が自動運転モードに設定されている場合において、ナビゲーション装置3により車両1の走行予定経路が探索されたとき、走行予定経路に含まれる各カーブの曲率半径Rを算出するものである。バンク角算出部16は、車両1が自動運転モードに設定されている場合において、ナビゲーション装置3により車両1の走行予定経路が探索されたとき、走行予定経路に含まれる各カーブのバンク角θを算出するものである。
【0022】
すなわち、地図データ記憶部11に記憶されている高精度3次元地図データには、各道路の路面に沿う複数本のベクトルデータが含まれている。これらのベクトルデータは、各道路の路面に沿う複数列の3次元位置座標群により表されるものである。曲率半径算出部15は、これらの3次元位置座標に基づき各カーブの曲率半径Rを算出する。バンク角算出部16は、これらの3次元位置座標に基づき各カーブのバンク角θを算出する。
【0023】
地図データ記憶部11、GNSS受信機12、ジャイロセンサ13、自車位置算出部14、曲率半径算出部15、バンク角算出部16及び図示しない電源部などにより、高精度測位装置8の要部が構成されている。
【0024】
図2に、曲率半径Rの一例を示す。以下、走行予定経路に含まれるカーブCの入口部に対する所定距離(例えば10メートル)手前の地点Paを「第1地点」といい、カーブCの入口部に対応する地点Pbを「第2地点」といい、カーブCの中央部に対応する地点Pcを「第3地点」といい、カーブCの出口部に対応する地点Pdを「第4地点」という。
【0025】
図中、Vaは車両1が第1地点Paを通過するときの走行速度を示しており、Vbは車両1が第2地点Pbを通過するときの走行速度を示しており、Vcは車両1が第3地点Pcを通過するときの走行速度を示しており、Vdは車両1が第4地点Pdを通過するときの走行速度を示している。また、RはカーブCの曲率半径を示しており、ωは車両1がカーブCを走行するときの角速度を示しており、WはカーブCの内側から外側に向かう横風を示している。
【0026】
図3に、バンク角θの一例を示す。
図3に示す如く、カーブCの路面はカーブCの内側から外側に向かうにつれて次第に低くなるものであり、バンク角θを有している。図中、Mは車両1の車両重量を示しており、Oは車両1の重心位置を示しており、Hは路面から重心位置Oまでの高さを示しており、Bは重心位置Oから車両1の左端部までの幅を示しており、gは重力加速度を示している。また、Fは車両1がカーブCを走行するときの遠心力を示しており、F=M・R・ω
2により表されるものである。また、Fwは横風Wにより車両1に作用する遠心力方向の力を示しており、ωrはロールレートを示している。
【0027】
なお、
図3においては、簡単のために車両1が剛体であるとみなしており(すなわち車体と車輪が一体であるとみなしており)、サスペンションの伸縮などによる路面に対する車体の傾きは図示を省略している。
【0028】
ナビゲーション装置3は、車両1が第1地点Paを通過したタイミング(すなわち車両1がカーブCに接近したタイミング)、車両1が第2地点Pbを通過したタイミング(すなわち車両1がカーブCに進入したタイミング)、及び車両1が第3地点Pcを通過したタイミングを走行速度算出装置100に通知する機能を有している。以下、走行速度算出装置100の要部について説明する。
【0029】
曲率半径取得部21は、車両1が第1地点Paを通過したとき、カーブCの曲率半径Rを示す情報(以下「曲率半径情報」という。)を高精度測位装置8から取得するものである。この曲率半径Rは、曲率半径算出部15により算出されたものである。
【0030】
バンク角取得部22は、車両1が第1地点Paを通過したとき、カーブCのバンク角θを示す情報(以下「バンク角情報」という。)を高精度測位装置8から取得するものである。このバンク角θは、バンク角算出部16により算出されたものである。
【0031】
車両重量算出部23は、車両1が第1地点Paを通過したとき、車両1の車両重量Mを算出するものである。
【0032】
すなわち、車両重量算出部23には、車両1の乾燥重量を示す情報が予め記憶されている。また、車両重量算出部23は、車両1の各座席に設けられている体重計9による計測値を用いて、車両1内の搭乗者の体重を算出する。また、車両重量算出部23は、車両1内の積載物の重量を示す情報をナビゲーション装置3などから取得する。この情報は、表示装置4に入力用の画面が表示された状態にて、操作入力装置5の操作により入力されたものである。また、車両重量算出部23は、燃料計10による燃料残量の計測値を用いて、車両1内の燃料の重量を算出する。車両重量算出部23は、これらの情報を用いて、車両1の乾燥重量、車両1内の搭乗者の体重、車両1内の積載物の重量及び車両1内の燃料の重量を合計することにより、車両重量Mを算出する。
【0033】
重心位置算出部24は、車両1が第1地点Paを通過したとき、車両1の重心位置Oを算出するものである。
【0034】
すなわち、重心位置算出部24には、車両1の寸法及び乾燥重量を示す情報、車両1における各座席の位置を示す情報、車両1におけるトランクの位置を示す情報、並びに、車両1における燃料タンクの位置を示す情報などが予め記憶されている。重心位置算出部24は、車両1内の積載物の寸法(より具体的には縦横高さの寸法)、重量及び積載位置を示す情報をナビゲーション装置3などから取得する。この情報は、表示装置4に入力用の画面が表示された状態にて、操作入力装置5の操作により入力されたものである。また、重心位置算出部24は、体重計9による計測値を用いて、車両1内の各座席における搭乗者の有無を示す情報、及び、車両1内の各搭乗者の体重を示す情報を生成する。重心位置算出部24は、燃料計10による計測値を用いて、車両1内の燃料の重量を示す情報を生成する。重心位置算出部24は、これらの情報を用いて車両1の重心位置Oを算出する。
【0035】
走行速度算出部25は、車両1が第1地点Paを通過したとき、車両1が第3地点Pcを通過するときの走行速度であって、横風Wが吹いていない状態(すなわちFw≒0の状態)にてカーブCにおける車両1の転倒を回避可能な走行速度(以下「第1走行速度」という。)Vc1を算出するものである。
【0036】
具体的には、例えば、走行速度算出部25には、第1走行速度算出用の所定の関数が予め記憶されている。当該関数は、曲率半径R、バンク角θ、車両重量M及び重心位置Oなどに基づく複数個の変数を含むものである。走行速度算出部25は、曲率半径情報が示す曲率半径R、バンク角情報が示すバンク角θ、車両重量算出部23により算出された車両重量M及び重心位置算出部24により算出された重心位置Oなどに基づく複数個の値を当該複数個の変数に代入することによりVc1を算出する。
【0037】
または、例えば、走行速度算出部25には、第1走行速度算出用の所定のテーブルが予め記憶されている。当該テーブルは、曲率半径R、バンク角θ、車両重量M及び重心位置Oなどに基づく複数個の値と第1走行速度Vc1との対応関係を示すものである。走行速度算出部25は、曲率半径情報が示す曲率半径R、バンク角情報が示すバンク角θ、車両重量算出部23により算出された車両重量M及び重心位置算出部24により算出された重心位置Oなどに基づく複数個の値に対応するVc1を当該テーブルから選択する。
【0038】
また、走行速度算出部25は、車両1が第1地点Paを通過したとき、車両1が第3地点Pcを通過するときの走行速度であって、カーブCの路面が乾燥している状態(すなわち、車両1のタイヤと乾燥路面との間の摩擦係数をμ0、車両1のタイヤとカーブCの路面との間の摩擦係数をμとして、μ≒μ0の状態)にてカーブCにおける車両1のスリップ量を所定量(以下「許容スリップ量」という。)以下に抑制可能な走行速度(以下「第2走行速度」という。)Vc2を算出するものである。
【0039】
具体的には、例えば、走行速度算出部25には、第2走行速度算出用の所定の関数が予め記憶されている。当該関数は、第1走行速度算出用の関数と異なるものであり、かつ、曲率半径R、バンク角θ、車両重量M及び重心位置Oなどに基づく複数個の変数を含むものである。走行速度算出部25は、曲率半径情報が示す曲率半径R、バンク角情報が示すバンク角θ、車両重量算出部23により算出された車両重量M及び重心位置算出部24により算出された重心位置Oなどに基づく複数個の値を当該複数個の変数に代入することによりVc2を算出する。
【0040】
または、例えば、走行速度算出部25には、第2走行速度算出用の所定のテーブルが予め記憶されている。当該テーブルは、第1走行速度算出用のテーブルと異なるものであり、かつ、曲率半径R、バンク角θ、車両重量M及び重心位置Oなどに基づく複数個の値と第2走行速度Vc2との対応関係を示すものである。走行速度算出部25は、曲率半径情報が示す曲率半径R、バンク角情報が示すバンク角θ、車両重量算出部23により算出された車両重量M及び重心位置算出部24により算出された重心位置Oなどに基づく複数個の値に対応するVc2を当該テーブルから選択する。
【0041】
走行速度算出部25は、第1走行速度Vc1及び第2走行速度Vc2のうちの最低値を車両1が第3地点Pcを通過するときの走行速度Vcの初期値Vc0に設定するものである。また、走行速度算出部25は、車両1が第2地点Pbを通過するときの走行速度Vbを算出するものである。具体的には、例えば、走行速度算出部25は、第2地点Pbから第3地点Pcまでの距離などに基づき、第3地点Pcにて車両1をVc0に減速可能なVbを算出する。また、走行速度算出部25は、車両1が第4地点Pdを通過するときの走行速度Vdを、車両1が第1地点Paを通過したときの走行速度Vaと同等の値に設定するものである。
【0042】
走行速度算出部25は、Vb、Vc0及びVdの値を自動運転制御装置7に出力するものである。自動運転制御装置7は、走行速度算出部25からVb、Vc0及びVdの値が出力されたとき、車両1が第2地点Pbを通過するときの走行速度をVbとし、かつ、車両1が第3地点Pcを通過するときの走行速度をVc0とし、かつ、車両1が第4地点Pdを通過するときの走行速度をVdとするための制御を開始するようになっている。
【0043】
ロールレート算出部26は、車両1が第2地点PbをVbにて通過し、かつ、車両1が第3地点PcをVc0にて通過する場合における、当該2地点Pb,Pc間にて発生するロールレートの予測値ωr0を算出するものである。
【0044】
具体的には、例えば、ロールレート算出部26には、車両1のサスペンションの性能などを示す情報が予め記憶されている。ロールレート算出部26は、曲率半径情報が示す曲率半径R、バンク角情報が示すバンク角θ、車両重量算出部23により算出された車両重量M、重心位置算出部24により算出された重心位置O及び予め記憶されている情報が示すサスペンションの性能などに基づき、横風Wが吹いていない状態(すなわちFw≒0の状態)におけるロールレートの予測値ωr0を算出する。
【0045】
ヨーレート算出部27は、車両1が第2地点PbをVbにて通過し、かつ、車両1が第3地点PcをVc0にて通過する場合における、当該2地点Pb,Pc間にて発生するヨーレートの予測値ωy0を算出するものである。
【0046】
具体的には、例えば、ヨーレート算出部27には、車両1のタイヤと乾燥路面との間の摩擦係数μ0などを示す情報が予め記憶されている。ヨーレート算出部27は、曲率半径情報が示す曲率半径R、バンク角情報が示すバンク角θ、車両重量算出部23により算出された車両重量M、重心位置算出部24により算出された重心位置O及び予め記憶されている情報が示す摩擦係数μ0などに基づき、カーブCの路面が乾燥している状態(すなわちμ≒μ0の状態)におけるヨーレートの予測値ωy0を算出する。
【0047】
車両1が第2地点Pbを通過してから第3地点Pcを通過するまでの間に、走行速度算出部25は、ジャイロセンサ13によるロールレートの検出値ωrを取得する。走行速度算出部25は、検出値ωrが予測値ωr0よりも大きい場合、第1走行速度Vc1よりも低い走行速度(以下「第3走行速度」という。)Vc3を算出する。第1走行速度Vc1に対する第3走行速度Vc3の低下量は、予測値ωr0に対する検出値ωrの差分値に応じた値となる。
【0048】
すなわち、検出値ωrが予測値ωr0よりも大きい場合、横風Wが吹いており、横風Wによる力Fwが車両1に作用している蓋然性が高い。この場合、横風Wが吹いていない状態に比して車両1が転倒し易くなる。そこで、走行速度算出部25は、第1走行速度Vc1よりも更に低い第3走行速度Vc3を算出することにより、横風Wが吹いている状態(すなわちFw>0の状態)であっても車両1の転倒を回避可能な第3走行速度Vc3を算出するのである。
【0049】
また、車両1が第2地点Pbを通過してから第3地点Pcを通過するまでの間に、走行速度算出部25は、ジャイロセンサ13によるヨーレートの検出値ωyを取得する。走行速度算出部25は、検出値ωyが予測値ωy0よりも大きい場合、第2走行速度Vc2よりも低い走行速度(以下「第4走行速度」という。)Vc4を算出する。第2走行速度Vc2に対する第4走行速度Vc4の低下量は、予測値ωy0に対する検出値ωyの差分値に応じた値となる。
【0050】
すなわち、検出値ωyが予測値ωy0よりも大きい場合、雨又は雪などの影響により、カーブCの路面における摩擦係数μが乾燥路面における摩擦係数μ0よりも小さい値になっている蓋然性が高い。この場合、カーブCの路面が乾燥している状態に比して車両1のスリップ量が大きくなる。そこで、走行速度算出部25は、第2走行速度Vc2よりも更に低い第4走行速度Vc4を算出することにより、カーブCの路面における摩擦係数μが乾燥路面における摩擦係数μ0よりも小さい状態(すなわちμ<μ0の状態)であっても車両1のスリップ量を許容スリップ量以下に抑制可能な第4走行速度Vc4を算出するのである。
【0051】
走行速度算出部25は、Vc0、Vc3及びVc4のうちの最低値を車両1が第3地点Pcを通過するときの走行速度Vcに設定する。すなわち、Vc0はVc1及びVc2のうちの最低値であるところ、Vc3及びVc4の両方が算出された場合はVc1、Vc2、Vc3及びVc4のうちの最低値がVcに設定されるものであり、Vc3のみが算出された場合はVc1、Vc2及びVc3のうちの最低値がVcに設定されるものであり、Vc4のみが算出された場合はVc1、Vc2及びVc4のうちの最低値がVcに設定されるものであり、Vc3及びVc4のいずれも算出されなかった場合はVc1及びVc2のうちの最低値(すなわちVc0と同等の値)がVcに設定されるものである。
【0052】
走行速度算出部25は、当該設定されたVcの値を自動運転制御装置7に出力する。自動運転制御装置7は、走行速度算出部25からVcの値が出力されたとき、VcがVc0と同等の値である場合は実行中の制御を継続する一方、VcがVc0と異なる値である場合はVc0に対するVcの差分値に応じて制御を変更するようになっている。
【0053】
曲率半径取得部21、バンク角取得部22、車両重量算出部23、重心位置算出部24、走行速度算出部25、ロールレート算出部26及びヨーレート算出部27により、走行速度算出装置100の要部が構成されている。
【0054】
次に、
図4を参照して、高精度測位装置8及び走行速度算出装置100の要部のハードウェア構成について説明する。
【0055】
地図データ記憶部11の機能は、メモリ31により実現される。メモリ31は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)などの半導体メモリを用いたものや、ハードディスクドライブであっても構わない。
【0056】
自車位置算出部14、曲率半径算出部15及びバンク角算出部16の機能は、例えば、CPU(Central Processing Unit)32により実現される。CPU32は、1個のCPUを用いたものであっても良く、又は複数個のCPUを用いたものであっても良い。
【0057】
曲率半径取得部21、バンク角取得部22、車両重量算出部23、重心位置算出部24、走行速度算出部25、ロールレート算出部26及びヨーレート算出部27の機能は、例えば、ECU41により実現される。ECU41は、1個のECUを用いたものであっても良く、又は複数個のECUを用いたものであっても良い。
【0058】
高精度測位装置8と走行速度算出装置100間は、CAN(Controller Area Network)規格に基づく車両1内のネットワークを介して通信自在である。これにより、曲率半径取得部21は高精度測位装置8から曲率半径情報を取得することができ、かつ、バンク角取得部22は高精度測位装置8からバンク角情報を取得することができる。
【0059】
次に、
図5のフローチャートを参照して、走行速度算出装置100の動作について説明する。
【0060】
車両1が第1地点Paを通過したこと(すなわち車両1がカーブCに接近したこと)がナビゲーション装置3から走行速度算出装置100に通知されたとき(ステップST1“YES”)、ステップST2にて、車両重量算出部23が車両1の車両重量Mを算出する。車両重量Mの算出方法の具体例は上記のとおりであるため、再度の説明は省略する。
【0061】
次いで、ステップST3にて、重心位置算出部24が車両1の重心位置Oを算出する。重心位置Oの算出方法の具体例は上記のとおりであるため、再度の説明は省略する。
【0062】
次いで、ステップST4にて、バンク角取得部22が高精度測位装置8からカーブCのバンク角θを示すバンク角情報を取得する。バンク角算出部16によるバンク角θの算出方法の具体例は上記のとおりであるため、再度の説明は省略する。
【0063】
次いで、ステップST5にて、曲率半径取得部21が高精度測位装置8からカーブCの曲率半径Rを示す曲率半径情報を取得する。曲率半径算出部15による曲率半径Rの算出方法の具体例は上記のとおりであるため、再度の説明は省略する。
【0064】
次いで、ステップST6にて、走行速度算出部25は、ステップST2で算出された車両重量M、ステップST3で算出された重心位置O、ステップST4で取得されたバンク角情報が示すバンク角θ及びステップST5で取得された曲率半径情報が示す曲率半径Rなどに基づき、第1走行速度算出用の関数又はテーブルを用いて第1走行速度Vc1を算出する。この第1走行速度Vc1は、横風Wが吹いていない状態(すなわちFw≒0の状態)にてカーブCにおける車両1の転倒を回避可能な値である。
【0065】
また、走行速度算出部25は、ステップST2で算出された車両重量M、ステップST3で算出された重心位置O、ステップST4で取得されたバンク角情報が示すバンク角θ及びステップST5で取得された曲率半径情報が示す曲率半径Rなどに基づき、第2走行速度算出用の関数又はテーブルを用いて第2走行速度Vc2を算出する。この第2走行速度Vc2は、カーブCの路面が乾燥している状態(すなわちμ≒μ0の状態)にてカーブCにおける車両1のスリップ量を許容スリップ量以下に抑制可能な値である。
【0066】
また、走行速度算出部25は、これらの走行速度Vc1,Vc2のうちの最低値をVcの初期値Vc0に設定する。走行速度算出部25は、当該設定されたVc0の値を自動運転制御装置7に出力する。
【0067】
次いで、ステップST7にて、走行速度算出部25は、ステップST6で設定されたVc0の値に応じたVbを算出する。また、走行速度算出部25は、VdをVaと同等の値に設定する。走行速度算出部25は、これらの走行速度Vb,Vdの値を自動運転制御装置7に出力する。
【0068】
次いで、ステップST8にて、ロールレート算出部26は、ステップST2で算出された車両重量M、ステップST3で算出された重心位置O、ステップST4で取得されたバンク角情報が示すバンク角θ、ステップST5で取得された曲率半径情報が示す曲率半径R及び予め記憶されている情報が示すサスペンションの性能などに基づき、横風Wが吹いていない状態(すなわちFw≒0の状態)における2地点Pb,Pc間のロールレートの予測値ωr0を算出する。
【0069】
次いで、ステップST9にて、ヨーレート算出部27は、ステップST2で算出された車両重量M、ステップST3で算出された重心位置O、ステップST4で取得されたバンク角情報が示すバンク角θ、ステップST5で取得された曲率半径情報が示す曲率半径R及び予め記憶されている情報が示す乾燥路面における摩擦係数μ0などに基づき、カーブCの路面が乾燥している状態(すなわちμ≒μ0の状態)における2地点Pb,Pc間のヨーレートの予測値ωy0を算出する。
【0070】
ステップST9の後、車両1は、自動運転制御装置7による制御の下、ステップST7で算出されたVbにて第2地点Pbを通過する。これにより、車両1はカーブCに進入する。
【0071】
次いで、車両1が第2地点Pbを通過したこと(すなわち車両1がカーブCに進入したこと)がナビゲーション装置3から走行速度算出装置100に通知された後(ステップST10“YES”)、ステップST11にて、走行速度算出部25は、ジャイロセンサ13によるロールレートの検出値ωrを取得する。次いで、ステップST12にて、走行速度算出部25は、ステップST11で取得された検出値ωrをステップST8で算出された予測値ωr0と比較する。
【0072】
ロールレートの検出値ωrが予測値ωr0よりも大きい場合(ステップST12“YES”)、ステップST13にて、走行速度算出部25は、ステップST6で算出された第1走行速度Vc1よりも低い第3走行速度Vc3を算出する。第1走行速度Vc1に対する第3走行速度Vc3の低下量は、予測値ωr0に対する検出値ωrの差分値に応じた値となる。これにより、横風Wが吹いている状態(すなわちFw>0の状態)にて車両1の転倒を回避可能な第3走行速度Vc3が算出される。
【0073】
また、ステップST14にて、走行速度算出部25は、ジャイロセンサ13によるヨーレートの検出値ωyを取得する。次いで、ステップST15にて、走行速度算出部25は、ステップST14で取得された検出値ωyをステップST9で算出された予測値ωy0と比較する。
【0074】
ヨーレートの検出値ωyが予測値ωy0よりも大きい場合(ステップST15“YES”)、ステップST16にて、走行速度算出部25は、ステップST6で算出された第2走行速度Vc2よりも低い第4走行速度Vc4を算出する。第2走行速度Vc2に対する第4走行速度Vc4の低下量は、予測値ωy0に対する検出値ωyの差分値に応じた値となる。これにより、カーブCの路面における摩擦係数μが乾燥路面における摩擦係数μ0よりも小さい状態(すなわちμ<μ0の状態)にて車両1のスリップ量を許容スリップ量以下に抑制可能な第4走行速度Vc4が算出される。
【0075】
次いで、ステップST17にて、走行速度算出部25は、Vc0、Vc3及びVc4のうちの最低値をVcに設定する。すなわち、Vc0はVc1及びVc2のうちの最低値であるところ、Vc3及びVc4の両方が算出された場合はVc1、Vc2、Vc3及びVc4のうちの最低値がVcに設定され、Vc3のみが算出された場合はVc1、Vc2及びVc3のうちの最低値がVcに設定され、Vc4のみが算出された場合はVc1、Vc2及びVc4のうちの最低値がVcに設定され、Vc3及びVc4のいずれも算出されなかった場合はVc1及びVc2のうちの最低値(すなわちVc0と同等の値)がVcに設定される。走行速度算出部25は、当該設定されたVcの値を自動運転制御装置7に出力する。
【0076】
ステップST17の後、車両1は、自動運転制御装置7による制御の下、ステップST17で設定されたVcにて第3地点Pcを通過し、次いで、ステップST7で設定されたVdにて第4地点Pdを通過する。これにより、車両1はカーブCを脱出する。
【0077】
次に、Vcを適切な値に設定することにより、カーブCにおける車両1の転倒を回避することができる原理について説明する。
【0078】
図2及び
図3に示す例において、車両1が第3地点Pcを通過するときのロール方向の運動方程式は以下の式(1)により表される。ここで、Irは車両1の車体のロール方向の慣性モーメントを示している。
【0080】
したがって、カーブCにて車両1が転倒する条件は以下の式(2)により表される。
【0082】
ここで、上記のとおりF=M・R・ω
2であるため、μ=tanθとすると、式(2)を変形することにより以下の式(3)が得られる。
【0084】
このように、カーブCにて車両1が転倒する条件を示す数式は、Vcの項を含むものとなる。したがって、Vcを適切な値に設定することにより、カーブCにおける車両1の転倒を回避することができる。
【0085】
なお、式(1)〜式(3)は、第1走行速度算出用の関数又はテーブルの生成に用いることができる。第1走行速度算出用の関数の生成に式(1)〜式(3)を用いた場合、当該関数が摩擦係数μに基づく変数を含むものとなる可能性がある。この場合、走行速度算出部25は、当該関数を用いて第1走行速度Vc1を算出するとき、ヨーレート算出部27に記憶されている摩擦係数μ0を示す情報を取得して、このμ0の値を当該変数に代入するものであっても良い。第1走行速度算出用のテーブルに摩擦係数μに基づく値が含まれている場合も同様である。
【0086】
また、第1走行速度算出用の関数の生成に式(1)〜式(3)を用いた場合、当該関数が慣性モーメントIrに基づく変数を含むものとなる可能性がある。この場合、車両重量算出部23が車両重量Mを算出し、次いで、重心位置算出部24が重心位置Oを算出した後、重心位置算出部24が当該算出された車両重量M及び重心位置Oなどに基づき慣性モーメントIrを算出するものであっても良い。第1走行速度算出用のテーブルに慣性モーメントIrに基づく値が含まれている場合も同様である。
【0087】
次に、Vcを適切な値に設定することにより、カーブCにおける車両1のスリップ量を許容スリップ量以下に抑制することができる原理について説明する。
【0088】
車両1が第3地点Pcを通過するときの横方向の運動方程式は、車両旋回時の2輪モデルに基づき、以下の式(4)により表される。また、車両1が第3地点Pcを通過するときのヨー方向の運動方程式は、車両旋回時の2輪モデルに基づき、以下の式(5)により表される。ここで、βは重心位置Oのスリップ角を示しており、Yfは車両1の前輪1輪当たりのコーナリングフォースを示しており、Yrは車両1の後輪1輪当たりのコーナリングフォースを示しており、Iyは車両1の車体のヨー方向の慣性モーメントを示しており、Lfは車両1の前輪軸と重心位置O間の距離を示しており、Lrは車両1の後輪軸と重心位置O間の距離を示している。
【0090】
また、車両1が第3地点Pcを通過するときの前輪のタイヤスリップ角βfは、車両旋回時の2輪モデルに基づき、以下の式(6)により表される。また、車両1が第3地点Pcを通過するときの後輪のタイヤスリップ角βfは、車両旋回時の2輪モデルに基づき、以下の式(7)により表される。ここで、δは車両1の前輪の舵角を示している。
【0092】
このように、車両1が第3地点Pcを通過するときのタイヤスリップ角βf,βrを示す数式は、Vcの項を含むものとなる。したがって、Vcを適切な値に設定することにより、カーブCにおける車両1のスリップ量を許容スリップ量以下に抑制することができる。
【0093】
なお、式(4)〜式(7)は、第2走行速度算出用の関数又はテーブルの生成に用いることができる。第2走行速度算出用の関数の生成に式(4)〜式(7)を用いた場合、当該関数は重心位置Oと輪軸間の距離Lf,Lrに基づく変数を含むものとなる可能性がある。この場合、車両1における輪軸の位置を示す情報が重心位置算出部24に予め記憶されており、重心位置算出部24が重心位置Oを算出した後、重心位置算出部24が重心位置Oと輪軸間の距離Lf,Lrを算出するものであっても良い。第2走行速度算出用のテーブルに距離Lf,Lrに基づく値が含まれている場合も同様である。
【0094】
また、第2走行速度算出用の関数の生成に式(4)〜式(7)を用いた場合、当該関数は慣性モーメントIyに基づく変数を含むものとなる可能性がある。この場合、車両重量算出部23が車両重量Mを算出し、次いで、重心位置算出部24が重心位置Oを算出した後、重心位置算出部24が当該算出された車両重量M及び重心位置Oなどに基づき慣性モーメントIyを算出するものであっても良い。第2走行速度算出用のテーブルに慣性モーメントIyに基づく値が含まれている場合も同様である。
【0095】
なお、走行速度算出部25の機能は、ECU41に代えて、高精度測位装置8内のCPU32により実現されるものであっても良い。
【0096】
また、車両重量Mの算出タイミング、重心位置Oの算出タイミング、バンク角情報の取得タイミング、曲率半径情報の取得タイミング、走行速度Vb,Vc1,Vc2及び予測値ωr0,ωy0の算出タイミングは、車両1が第2地点Pbを通過するよりも先のタイミング(すなわち車両1がカーブCに進入するよりも先のタイミング)であれば良く、車両1が第1地点Paを通過したタイミングに限定されるものではない。
【0097】
例えば、車両1が自動運転による走行を開始したとき、車両重量算出部23が車両重量Mを算出し、重心位置算出部24が重心位置Oを算出するものであっても良い。次いで、ナビゲーション装置3により車両1の走行予定経路が探索されたとき、バンク角取得部22が走行予定経路に含まれる各カーブのバンク角θを示すバンク角情報を取得し、曲率半径取得部21が走行予定経路に含まれる各カーブの曲率半径Rを示す曲率半径情報を取得し、走行速度算出部25が当該各カーブにおける走行速度Vb,Vc1,Vc2を算出し、ロールレート算出部26が当該各カーブにおける予測値ωr0を算出し、ヨーレート算出部27が当該各カーブにおける予測値ωy0を算出するものであっても良い。次いで、車両1が個々のカーブに接近したとき、車両重量算出部23が車両重量Mを再度算出し、重心位置算出部24が重心位置Oを再度算出し、走行速度算出部25が当該カーブにおける走行速度Vb,Vc1,Vc2を再度算出し、ロールレート算出部26が当該カーブにおける予測値ωr0を再度算出し、ヨーレート算出部27が当該カーブにおける予測値ωy0を再度算出するものであっても良い。
【0098】
すなわち、車両1が出発地から個々のカーブまで走行することにより、車両1内の燃料残量が減少して車両重量M及び重心位置Oが変化する。これに対して、車両1が個々のカーブに接近したタイミングにて車両重量M、重心位置O、走行速度Vb,Vc1,Vc2及び予測値ωr0,ωy0を再度算出することにより、燃料残量の減少による車両重量M及び重心位置Oの変化に対応することができる。
【0099】
また、通常、カーブCにおける車両1のスリップ量に対するバンク角θの影響は小さい(タイヤスリップ角βf,βrを示す式(6)及び式(7)においても、バンク角θの項は含まれていない。)。このため、第2走行速度算出用の関数は、バンク角θに基づく変数を含まないものであっても良い。同様に、第2走行速度算出用のテーブルは、バンク角θに基づく値を含まないものであっても良い。
【0100】
以上のように、実施の形態1の走行速度算出装置100は、車両1がカーブCに進入するよりも先に、高精度3次元地図データを用いて算出されたカーブCの曲率半径Rを示す情報(曲率半径情報)を取得する曲率半径取得部21と、車両1がカーブCに進入するよりも先に、高精度3次元地図データを用いて算出されたカーブCのバンク角θを示す情報(バンク角情報)を取得するバンク角取得部22と、曲率半径取得部21及びバンク角取得部22により取得された情報を用いて、車両1が自動運転によりカーブCを走行するときの走行速度Vcを算出する走行速度算出部25と、を備える。高精度3次元地図データを用いることにより、自動運転により走行中の車両1をカーブCにて減速させる場合における走行速度Vcの算出精度を向上することができる。
【0101】
また、高精度3次元地図データは、各道路の路面に沿う複数本のベクトルデータを含むものである。これらのベクトルデータは、各道路の路面に沿う複数列の3次元位置座標群により表されるものである。これらの3次元位置座標に基づき、カーブCの曲率半径Rを算出することができ、かつ、カーブCのバンク角θを算出することができる。
【0102】
また、走行速度算出部25は、車両1がカーブCに進入するよりも先に、カーブCにおける車両1の転倒を回避するための第1走行速度Vc1及びカーブCにおける車両1のスリップ量を許容スリップ量以下に抑制するための第2走行速度Vc2を算出する。これにより、横風Wが吹いていない状態(すなわちFW≒0の状態)にて車両1の転倒を回避可能な第1走行速度Vc1を算出することができる。また、カーブCの路面が乾燥している状態(すなわちμ≒μ0の状態)にて車両1のスリップ量を許容スリップ量以下に抑制可能な第2走行速度Vc2を算出することができる。
【0103】
また、走行速度算出部25は、第1走行速度Vc1及び第2走行速度Vc2のうちの最低値を車両1がカーブCを走行するときの走行速度Vcに設定する。これにより、横風Wが吹いておらず、かつ、カーブCの路面が乾燥している場合に、車両1の転倒を回避することができ、かつ、車両1のスリップ量を許容スリップ量以下に抑制することができる。
【0104】
また、走行速度算出装置100は、車両1がカーブCに進入するよりも先に、車両1がカーブCに進入したときのロールレートの予測値ωr0を算出するロールレート算出部26を備え、走行速度算出部25は、車両1がカーブCに進入したときのロールレートの検出値ωrを取得して、当該取得された検出値ωrがロールレート算出部26により算出された予測値ωr0よりも大きい場合、第1走行速度Vc1よりも低い第3走行速度Vc3を算出する。これにより、横風Wが吹いている状態(すなわちFw>0の状態)にて車両1の転倒を回避可能な第3走行速度Vc3を算出することができる。
【0105】
また、走行速度算出部25は、第1走行速度Vc1、第2走行速度Vc2及び第3走行速度Vc3のうちの最低値を車両1がカーブCを走行するときの走行速度Vcに設定する。これにより、横風Wが吹いており、かつ、カーブCの路面が乾燥している場合に、車両1の転倒を回避することができ、かつ、車両1のスリップ量を許容スリップ量以下に抑制することができる。
【0106】
また、走行速度算出装置100は、車両1がカーブCに進入するよりも先に、車両1がカーブCに進入したときのヨーレートの予測値ωy0を算出するヨーレート算出部27を備え、走行速度算出部25は、車両1がカーブCに進入したときのヨーレートの検出値ωyを取得して、当該取得された検出値ωyがヨーレート算出部27により算出された予測値ωy0よりも大きい場合、第2走行速度Vc2よりも低い第4走行速度Vc4を算出する。これにより、カーブCの路面が乾燥していない状態(すなわちμ<μ0の状態)にて車両1のスリップ量を許容スリップ量以下に抑制可能な第4走行速度Vc4を算出することができる。
【0107】
また、走行速度算出部25は、第1走行速度Vc1、第2走行速度Vc2及び第4走行速度Vc4のうちの最低値を車両1がカーブCを走行するときの走行速度Vcに設定する。これにより、横風Wが吹いておらず、かつ、カーブCの路面が乾燥していない場合に、車両1の転倒を回避することができ、かつ、車両1のスリップ量を許容スリップ量以下に抑制することができる。
【0108】
また、走行速度算出装置100は、車両1がカーブCに進入するよりも先に、車両1がカーブCに進入したときのロールレートの予測値ωr0を算出するロールレート算出部26と、車両1がカーブCに進入するよりも先に、車両1がカーブCに進入したときのヨーレートの予測値ωy0を算出するヨーレート算出部27と、を備え、走行速度算出部25は、車両1がカーブCに進入したときのロールレートの検出値ωrを取得して、当該取得された検出値ωrがロールレート算出部26により算出された予測値ωr0よりも大きい場合、第1走行速度Vc1よりも低い第3走行速度Vc3を算出し、車両1がカーブCに進入したときのヨーレートの検出値ωyを取得して、当該取得された検出値ωyがヨーレート算出部27により算出された予測値ωy0よりも大きい場合、第2走行速度Vc2よりも低い第4走行速度Vc4を算出する。これにより、横風Wが吹いている状態(すなわちFw>0の状態)にて車両1の転倒を回避可能な第3走行速度Vc3を算出することができる。また、カーブCの路面が乾燥していない状態(すなわちμ<μ0の状態)にて車両1のスリップ量を許容スリップ量以下に抑制可能な第4走行速度Vc4を算出することができる。
【0109】
また、走行速度算出部25は、第1走行速度Vc1、第2走行速度Vc2、第3走行速度Vc3及び第4走行速度Vc4のうちの最低値を車両1がカーブCを走行するときの走行速度Vcに設定する。これにより、横風Wが吹いており、かつ、カーブCの路面が乾燥してない場合に、車両1の転倒を回避することができ、かつ、車両1のスリップ量を許容スリップ量以下に抑制することができる。
【0110】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。