【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような高さ調整策として、例えば特許文献1記載の従来技術においては、その
図4に示されているように、型枠パネルである型枠本体10を、くさび状の一対のスペーサー50,50の上に載せるとともに該スペーサーの取合いを変えることで保持高さを調整しつつ、該スペーサーを介して床版20の上面に仮保持するとともに、型枠本体10の下方に生じる隙間については、該型枠本体の最下段の横リブ3c上に桟木70をボルト止めした上、該桟木に型枠本体10の下側開放面部5を介して堰板としての木製幕板60を釘打ちすることにより、該隙間を塞ぐ構成が採用されている。
【0008】
しかしながら、上記従来技術においては、木製幕板60を型枠本体10のコンクリート当接面と面一に取り付けることができるよう、該木製幕板を型枠本体10の下縁切り欠き部に嵌め込まれるようになっているため、調整高さに応じて、木製幕板60を材軸方向に切断してその幅を調整せねばならないばかりか、この作業を橋軸方向に沿った長大な距離で行わねばならず、木製幕板60を桟木70に釘打ちする手間とも相俟って、型枠工事に長時間を要するという問題を生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、橋梁の上部構造を構成する床版に鉄筋コンクリート壁高欄を設ける場合において、該鉄筋コンクリート壁高欄の型枠工事の作業性を向上させることが可能な壁用型枠パネルを提供することを目的とする。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る壁用型枠パネルは請求項1に記載したように、建込み姿勢において各側方、下方及び上方に位置する縁部をそれぞれ一対の側方縁部、下方縁部及び上方縁部として有するとともに該建込み姿勢において前記上方縁部の水平位置が前記下方縁部の水平位置よりもコンクリート打設側にずれるように構成されてなる矩形状の面板部と、前記一対の側方縁部であって前記下方縁部の近傍に位置する部位にそれぞれ立設され前記建込み姿勢で下方となる方向に開いたスリットがそれぞれ形成された一対の堰板保持部と、前記面板部の非コンクリート打設側に基端部位が連結されてなる伸縮機構とを備えるとともに、前記スリットを、長尺状の堰板が挿入自在となるようにかつ該堰板が前記下方縁部に当接するように形成し、前記伸縮機構を、その先端部位が前記堰板の側面のうち、前記建込み姿勢で上面となる側面に当接自在となるように構成したものである。
【0011】
また、本発明に係る壁用型枠パネルは、前記面板部を、第1の平板状面板部及び該第1の平板状面板部に対して折り曲げられた形で連なる第2の平板状面板部からなる折曲げ状面板部で構成するとともに、前記第2の平板状面板部の縁部のうち、前記建込み姿勢において各側方及び下方に位置する縁部をそれぞれ前記一対の側方縁部及び前記下方縁部とし、前記第1の平板状面板部の縁部であってその非コンクリート打設側に補剛部を立設するとともに、該補剛部に前記一対の堰板保持部を一体化させたものである。
【0012】
また、本発明に係る壁用型枠パネルは、前記第1の平板状面板部の非コンクリート打設側であってその周縁より内側の領域に中間補剛部を立設するとともに、前記建込み姿勢で下方となる方向に開いた中間スリットが形成されかつ該中間スリットに挿入された前記堰板が前記下方縁部に当接するように形成されてなる中間堰板保持部を前記中間補剛部に一体化させる形で前記第2の平板状面板部の非コンクリート打設側であってその周縁より内側の領域に立設したものである。
【0013】
また、本発明に係る壁用型枠パネルは、前記伸縮機構を、ナット、該ナットに螺合されるボルト及び該ボルトの先端に取り付けられた当接部で構成し、前記ナットを前記基端部位として前記一対の堰板保持部又は前記中間堰板保持部に固着するとともに、前記当接部を前記先端部位としたものである。
【0014】
本発明に係る壁用型枠パネルにおいては、その建込み姿勢において、上方縁部の水平位置が下方縁部の水平位置よりもコンクリート打設側にずれるように面板部を構成してあるとともに、該面板部の一対の側方縁部であって下方縁部の近傍に位置する部位には、建込み姿勢で下方となる方向に開いたスリットが形成された堰板保持部をそれぞれ立設してあり、該スリットは、長尺状の堰板が挿入自在となるようにかつ該堰板がその幅が表れる側の側面で下方縁部に当接するように形成してある。
【0015】
このようにすると、床版の上面にほぼ垂直に長尺状の堰板を横置するとともに該堰板を一対の堰板保持部のスリットにそれぞれ挿入した状態において、該堰板は、その下縁で床版の床面に当接し、その幅が表れる側の側面で面板部の下方縁部に当接するため、堰板のスリットへの挿入深さとは関係なく、床版の上方空間は、面板部及び堰板で確実に仕切られる。
【0016】
また、本発明に係る壁用型枠パネルにおいては、面板部の非コンクリート打設側に基端部位が連結されてなる伸縮機構を、その先端部位が、上述した堰板の側面のうち、建込み姿勢で上面となる側面、言い換えれば厚みが表れる側の側面に当接自在となるように構成してあるので、伸縮機構を作動させ又は操作して基端部位と先端部位との相対距離を変化させることにより、同じく堰板のスリットへの挿入深さとは関係なく、壁用型枠パネルは、伸縮機構及び堰板を介して床版の床面に支持される。
【0017】
そのため、床版床面からの型枠設置高さを調整してコンクリート打設を行う必要がある場合であっても、かかる高さ調整を容易に行うことが可能となり、かくして鉄筋コンクリート壁を構築する際の型枠工事における作業性を大幅に向上させることができる。
【0018】
面板部は、建込み姿勢において上方縁部の水平位置が下方縁部の水平位置よりもコンクリート打設側にずれるように構成されていれば足りるものであって、建込み姿勢において床版に対し傾斜するように構成され、又はコンクリート打設側に凸となるように折曲げ状若しくは湾曲状に形成されたものが包摂されるが、第1の平板状面板部及び該第1の平板状面板部に対して折り曲げられた形で連なる第2の平板状面板部からなる折曲げ状面板部で構成し、第1の平板状面板部の縁部であってその非コンクリート打設側に補剛部を立設するとともに該補剛部に一対の堰板保持部を一体化させた構成が典型例となる。
【0019】
なお、かかる構成においては、第2の平板状面板部の縁部のうち、建込み姿勢において各側方及び下方に位置する縁部がそれぞれ上述の一対の側方縁部及び下方縁部に該当し、第1の平板状面板部の縁部のうち、建込み姿勢において上方に位置する縁部は、上述の上方縁部に該当する。
【0020】
面板部は、その周縁のみならず、内側にも中間補剛部や中間堰板保持部を設けた構成が採用可能であって、かかる構成によれば、剛性が高くなってパネルの大型化が可能となる。
【0021】
具体的には、第1の平板状面板部の非コンクリート打設側であってその周縁より内側の領域に中間補剛部を立設するとともに、建込み姿勢で下方となる方向に開いた中間スリットが形成されかつ該中間スリットに挿入された堰板が下方縁部に当接するように形成されてなる中間堰板保持部を上述の中間補剛部に一体化させる形で第2の平板状面板部の非コンクリート打設側であってその周縁より内側の領域に立設した構成を採用することができる。
【0022】
伸縮機構は、床版床面にほぼ垂直に横置された長尺状の堰板を介して該床版から反力をとることで、全体荷重を支持しつつ、その基端部位と先端部位との距離を変更できるものであれば、その構成は任意であるが、高ナット、該高ナットに螺合されるボルト及び該ボルトの先端に取り付けられた当接部で構成するとともに、高ナットを基端部位として上述の堰板保持部又は中間堰板保持部に固着するとともに、当接部を上述の先端部位とした構成が典型例となる。
【0023】
本発明に係る壁用型枠パネルは、橋梁の上部構造を構成する床版に構築される鉄筋コンクリート壁高欄への適用が主たるものとなるが、橋梁に限らず、広く鉄筋コンクリート壁に適用することが可能である。
【0024】
また、本発明に係る壁用型枠パネルは、鉄筋コンクリート壁の一方の側面に設ける型枠材として単体で成立し得るが、上述した上方縁部を該上方縁部に公知の型枠パネルが連結できるように構成したならば、安価に調達可能な型枠パネル、例えば木製の合板パネルと組み合わせることにより、型枠パネル全体の製作コストを抑えることが可能となる。