特許第6971838号(P6971838)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971838
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】壁用型枠パネル
(51)【国際特許分類】
   E01D 19/10 20060101AFI20211111BHJP
【FI】
   E01D19/10
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-251957(P2017-251957)
(22)【出願日】2017年12月27日
(65)【公開番号】特開2019-116804(P2019-116804A)
(43)【公開日】2019年7月18日
【審査請求日】2020年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】592263517
【氏名又は名称】大同機材工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099704
【弁理士】
【氏名又は名称】久寶 聡博
(72)【発明者】
【氏名】加藤 丈博
【審査官】 山崎 仁之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−155519(JP,A)
【文献】 実開昭55−085110(JP,U)
【文献】 実開昭52−037821(JP,U)
【文献】 特開平08−269911(JP,A)
【文献】 米国特許第04604841(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建込み姿勢において各側方、下方及び上方に位置する縁部をそれぞれ一対の側方縁部、下方縁部及び上方縁部として有するとともに該建込み姿勢において前記上方縁部の水平位置が前記下方縁部の水平位置よりもコンクリート打設側にずれるように構成されてなる矩形状の面板部と、前記一対の側方縁部であって前記下方縁部の近傍に位置する部位にそれぞれ立設され前記建込み姿勢で下方となる方向に開いたスリットがそれぞれ形成された一対の堰板保持部と、前記面板部の非コンクリート打設側に基端部位が連結されてなる伸縮機構とを備えるとともに、前記スリットを、長尺状の堰板が挿入自在となるようにかつ該堰板が前記下方縁部に当接するように形成し、前記伸縮機構を、その先端部位が前記堰板の側面のうち、前記建込み姿勢で上面となる側面に当接自在となるように構成したことを特徴とする壁用型枠パネル。
【請求項2】
前記面板部を、第1の平板状面板部及び該第1の平板状面板部に対して折り曲げられた形で連なる第2の平板状面板部からなる折曲げ状面板部で構成するとともに、前記第2の平板状面板部の縁部のうち、前記建込み姿勢において各側方及び下方に位置する縁部をそれぞれ前記一対の側方縁部及び前記下方縁部とし、前記第1の平板状面板部の縁部であってその非コンクリート打設側に補剛部を立設するとともに、該補剛部に前記一対の堰板保持部を一体化させた請求項1記載の壁用型枠パネル。
【請求項3】
前記第1の平板状面板部の非コンクリート打設側であってその周縁より内側の領域に中間補剛部を立設するとともに、前記建込み姿勢で下方となる方向に開いた中間スリットが形成されかつ該中間スリットに挿入された前記堰板が前記下方縁部に当接するように形成されてなる中間堰板保持部を前記中間補剛部に一体化させる形で前記第2の平板状面板部の非コンクリート打設側であってその周縁より内側の領域に立設した請求項2記載の壁用型枠パネル。
【請求項4】
前記伸縮機構を、ナット、該ナットに螺合されるボルト及び該ボルトの先端に取り付けられた当接部で構成し、前記ナットを前記基端部位として前記一対の堰板保持部又は前記中間堰板保持部に固着するとともに、前記当接部を前記先端部位とした請求項1乃至請求項3のいずれか一記載の壁用型枠パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋コンクリート壁、典型的には橋梁上部構造の鉄筋コンクリート壁高欄を構築する際に適用される壁用型枠パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁は、地盤に立設される橋台や橋脚といった下部構造と、該下部構造で支持され道路や鉄道といった輸送路が設けられる上部構造とで概ね構成され、該上部構造は、上記輸送路が載置される床版や、該床版に立設される橋梁用防護柵等で構成される。
【0003】
橋梁用防護柵としては、歩行者や自転車の転落を防止するために設けられる高欄のほか、走行車両の橋梁外や歩道等への逸脱を防止する橋梁用車両防護柵、高欄兼用車両防護柵、さらには鉄筋コンクリート壁高欄等があり、目的に応じて適宜選択される。
【0004】
ここで、鉄筋コンクリート壁高欄は、走行車両の橋梁外への逸脱をより確実に防止することを目的とするものであって、剛性の高い防護柵として構築されるが、かかる鉄筋コンクリート壁高欄を構築するにあたっては、床版の不陸を吸収する等の事情により、床版上面からの高さ調整が必要となる。
【0005】
そのため、工場製作された型枠パネルを現場に搬入してこれを建て込む場合においても、該型枠パネルを床版に直接載置するのではなく、高さ調整された状態、つまり床版の上面から浮かせた状態で仮保持するとともに、その結果として生じた型枠パネルの下縁と床版上面との間に拡がる隙間を堰板で塞いだ上、該型枠パネルの内側にコンクリートを打設しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−155519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような高さ調整策として、例えば特許文献1記載の従来技術においては、その図4に示されているように、型枠パネルである型枠本体10を、くさび状の一対のスペーサー50,50の上に載せるとともに該スペーサーの取合いを変えることで保持高さを調整しつつ、該スペーサーを介して床版20の上面に仮保持するとともに、型枠本体10の下方に生じる隙間については、該型枠本体の最下段の横リブ3c上に桟木70をボルト止めした上、該桟木に型枠本体10の下側開放面部5を介して堰板としての木製幕板60を釘打ちすることにより、該隙間を塞ぐ構成が採用されている。
【0008】
しかしながら、上記従来技術においては、木製幕板60を型枠本体10のコンクリート当接面と面一に取り付けることができるよう、該木製幕板を型枠本体10の下縁切り欠き部に嵌め込まれるようになっているため、調整高さに応じて、木製幕板60を材軸方向に切断してその幅を調整せねばならないばかりか、この作業を橋軸方向に沿った長大な距離で行わねばならず、木製幕板60を桟木70に釘打ちする手間とも相俟って、型枠工事に長時間を要するという問題を生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、橋梁の上部構造を構成する床版に鉄筋コンクリート壁高欄を設ける場合において、該鉄筋コンクリート壁高欄の型枠工事の作業性を向上させることが可能な壁用型枠パネルを提供することを目的とする。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る壁用型枠パネルは請求項1に記載したように、建込み姿勢において各側方、下方及び上方に位置する縁部をそれぞれ一対の側方縁部、下方縁部及び上方縁部として有するとともに該建込み姿勢において前記上方縁部の水平位置が前記下方縁部の水平位置よりもコンクリート打設側にずれるように構成されてなる矩形状の面板部と、前記一対の側方縁部であって前記下方縁部の近傍に位置する部位にそれぞれ立設され前記建込み姿勢で下方となる方向に開いたスリットがそれぞれ形成された一対の堰板保持部と、前記面板部の非コンクリート打設側に基端部位が連結されてなる伸縮機構とを備えるとともに、前記スリットを、長尺状の堰板が挿入自在となるようにかつ該堰板が前記下方縁部に当接するように形成し、前記伸縮機構を、その先端部位が前記堰板の側面のうち、前記建込み姿勢で上面となる側面に当接自在となるように構成したものである。
【0011】
また、本発明に係る壁用型枠パネルは、前記面板部を、第1の平板状面板部及び該第1の平板状面板部に対して折り曲げられた形で連なる第2の平板状面板部からなる折曲げ状面板部で構成するとともに、前記第2の平板状面板部の縁部のうち、前記建込み姿勢において各側方及び下方に位置する縁部をそれぞれ前記一対の側方縁部及び前記下方縁部とし、前記第1の平板状面板部の縁部であってその非コンクリート打設側に補剛部を立設するとともに、該補剛部に前記一対の堰板保持部を一体化させたものである。
【0012】
また、本発明に係る壁用型枠パネルは、前記第1の平板状面板部の非コンクリート打設側であってその周縁より内側の領域に中間補剛部を立設するとともに、前記建込み姿勢で下方となる方向に開いた中間スリットが形成されかつ該中間スリットに挿入された前記堰板が前記下方縁部に当接するように形成されてなる中間堰板保持部を前記中間補剛部に一体化させる形で前記第2の平板状面板部の非コンクリート打設側であってその周縁より内側の領域に立設したものである。
【0013】
また、本発明に係る壁用型枠パネルは、前記伸縮機構を、ナット、該ナットに螺合されるボルト及び該ボルトの先端に取り付けられた当接部で構成し、前記ナットを前記基端部位として前記一対の堰板保持部又は前記中間堰板保持部に固着するとともに、前記当接部を前記先端部位としたものである。
【0014】
本発明に係る壁用型枠パネルにおいては、その建込み姿勢において、上方縁部の水平位置が下方縁部の水平位置よりもコンクリート打設側にずれるように面板部を構成してあるとともに、該面板部の一対の側方縁部であって下方縁部の近傍に位置する部位には、建込み姿勢で下方となる方向に開いたスリットが形成された堰板保持部をそれぞれ立設してあり、該スリットは、長尺状の堰板が挿入自在となるようにかつ該堰板がその幅が表れる側の側面で下方縁部に当接するように形成してある。
【0015】
このようにすると、床版の上面にほぼ垂直に長尺状の堰板を横置するとともに該堰板を一対の堰板保持部のスリットにそれぞれ挿入した状態において、該堰板は、その下縁で床版の床面に当接し、その幅が表れる側の側面で面板部の下方縁部に当接するため、堰板のスリットへの挿入深さとは関係なく、床版の上方空間は、面板部及び堰板で確実に仕切られる。
【0016】
また、本発明に係る壁用型枠パネルにおいては、面板部の非コンクリート打設側に基端部位が連結されてなる伸縮機構を、その先端部位が、上述した堰板の側面のうち、建込み姿勢で上面となる側面、言い換えれば厚みが表れる側の側面に当接自在となるように構成してあるので、伸縮機構を作動させ又は操作して基端部位と先端部位との相対距離を変化させることにより、同じく堰板のスリットへの挿入深さとは関係なく、壁用型枠パネルは、伸縮機構及び堰板を介して床版の床面に支持される。
【0017】
そのため、床版床面からの型枠設置高さを調整してコンクリート打設を行う必要がある場合であっても、かかる高さ調整を容易に行うことが可能となり、かくして鉄筋コンクリート壁を構築する際の型枠工事における作業性を大幅に向上させることができる。
【0018】
面板部は、建込み姿勢において上方縁部の水平位置が下方縁部の水平位置よりもコンクリート打設側にずれるように構成されていれば足りるものであって、建込み姿勢において床版に対し傾斜するように構成され、又はコンクリート打設側に凸となるように折曲げ状若しくは湾曲状に形成されたものが包摂されるが、第1の平板状面板部及び該第1の平板状面板部に対して折り曲げられた形で連なる第2の平板状面板部からなる折曲げ状面板部で構成し、第1の平板状面板部の縁部であってその非コンクリート打設側に補剛部を立設するとともに該補剛部に一対の堰板保持部を一体化させた構成が典型例となる。
【0019】
なお、かかる構成においては、第2の平板状面板部の縁部のうち、建込み姿勢において各側方及び下方に位置する縁部がそれぞれ上述の一対の側方縁部及び下方縁部に該当し、第1の平板状面板部の縁部のうち、建込み姿勢において上方に位置する縁部は、上述の上方縁部に該当する。
【0020】
面板部は、その周縁のみならず、内側にも中間補剛部や中間堰板保持部を設けた構成が採用可能であって、かかる構成によれば、剛性が高くなってパネルの大型化が可能となる。
【0021】
具体的には、第1の平板状面板部の非コンクリート打設側であってその周縁より内側の領域に中間補剛部を立設するとともに、建込み姿勢で下方となる方向に開いた中間スリットが形成されかつ該中間スリットに挿入された堰板が下方縁部に当接するように形成されてなる中間堰板保持部を上述の中間補剛部に一体化させる形で第2の平板状面板部の非コンクリート打設側であってその周縁より内側の領域に立設した構成を採用することができる。
【0022】
伸縮機構は、床版床面にほぼ垂直に横置された長尺状の堰板を介して該床版から反力をとることで、全体荷重を支持しつつ、その基端部位と先端部位との距離を変更できるものであれば、その構成は任意であるが、高ナット、該高ナットに螺合されるボルト及び該ボルトの先端に取り付けられた当接部で構成するとともに、高ナットを基端部位として上述の堰板保持部又は中間堰板保持部に固着するとともに、当接部を上述の先端部位とした構成が典型例となる。
【0023】
本発明に係る壁用型枠パネルは、橋梁の上部構造を構成する床版に構築される鉄筋コンクリート壁高欄への適用が主たるものとなるが、橋梁に限らず、広く鉄筋コンクリート壁に適用することが可能である。
【0024】
また、本発明に係る壁用型枠パネルは、鉄筋コンクリート壁の一方の側面に設ける型枠材として単体で成立し得るが、上述した上方縁部を該上方縁部に公知の型枠パネルが連結できるように構成したならば、安価に調達可能な型枠パネル、例えば木製の合板パネルと組み合わせることにより、型枠パネル全体の製作コストを抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本実施形態に係る壁用型枠パネル1の全体斜視図。
図2】本実施形態に係る壁用型枠パネル1の分解斜視図。
図3】本実施形態に係る壁用型枠パネル1をA−A線方向から見た矢視図。
図4】本実施形態に係る壁用型枠パネル1を用いて鉄筋コンクリート壁を構築する際の施工手順を示した図。
図5】引き続き施工手順を示した図であって、コンクリート打設直前の様子を示した鉛直断面図。
図6】引き続き鉄筋コンクリート壁を構築する際の施工手順を示した図であって、(a)は型枠解体後の様子を示した鉛直断面図、(b)は床版2上に舗装62を施した様子を示した鉛直断面図。
図7】本実施形態に係る壁用型枠パネルの変形例を示した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る壁用型枠パネルの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0027】
図1は、本実施形態に係る壁用型枠パネルを示した全体斜視図、図2は同じく分解斜視図、図3は同じくA−A線方向から見た矢視図である。これらの図に示すように、本実施形態に係る壁用型枠パネル1は、橋梁の上部構造を構成する床版2に鉄筋コンクリート壁としての鉄筋コンクリート壁高欄を構築する際、その内側型枠の一部として用いられるものであって、矩形状の面板部3と、一対の堰板保持部4,4と、中間堰板保持部5a,5b,5c,5dと、伸縮機構6a,6bとを備える。
【0028】
面板部3は、第1の平板状面板部としての面板部3a及び該面板部に対してコンクリート打設側に凸となるように折り曲げられた形で連なる第2の平板状面板部としての面板部3bからなる折曲げ状面板部として構成してあり、例えば鋼板を折り曲げ形成して構成することができる。
【0029】
面板部3aには、建込み姿勢で上方に位置する縁部が上段上方縁部16として形成してあるとともに、建込み姿勢で側方に位置する縁部が上段側方縁部7,7として形成してあり、上段上方縁部16は、本発明に係る上方縁部に対応する。
【0030】
面板部3bには、建込み姿勢で側方に位置する縁部が下段側方縁部8,8として形成してあるとともに、建込み姿勢で下方に位置する縁部が下段下方縁部9として形成してあり、下段側方縁部8,8と下段下方縁部9はそれぞれ、本発明に係る一対の側方縁部と下方縁部に対応する。
【0031】
面板部3は、建込み姿勢において、上段上方縁部16の水平位置が、下段下方縁部9の水平位置よりもコンクリート打設側、図1,2では紙面奥側、図3では紙面左側にずれるように構成してある。
【0032】
堰板保持部4,4は、下段側方縁部8,8であって下段下方縁部9の近傍に位置する部位にかつ面板部3bの非コンクリート打設側にそれぞれ立設してあり、中間堰板保持部5a,5b,5c,5dは、下段下方縁部9の近傍に位置する部位にかつ面板部3bの非コンクリート打設側であってその周縁より内側の領域にそれぞれ立設してある。
【0033】
面板部3aの上段上方縁部16と上段側方縁部7,7には、それらの非コンクリート打設側にリブ状をなす補剛部10と補剛部11,11をそれぞれ立設してあるとともに、補剛部11,11に堰板保持部4,4をそれぞれ一体化してある。
【0034】
補剛部10、補剛部11,11及び堰板保持部4,4は、例えば鋼板で構成することができる。
【0035】
面板部3aの周縁内側領域においては、その非コンクリート打設側にリブ状の中間補剛部12a,12b,12c,12dを立設するとともに、該中間補剛部に中間堰板保持部5a,5b,5c,5dをそれぞれ一体化してある。
【0036】
中間補剛部12a,12b,12c,12d及び中間堰板保持部5a,5b,5c,5dについても、同様に鋼板で構成すればよい。
【0037】
面板部3aの周縁内側領域においては、中間補剛部12a,12b,12c,12dの面外剛性を高めるべく、それらに直交する形で非コンクリート打設側にリブ状の補剛部13a,13b,13c,13d,13eを立設してあるとともに、堰板保持部4,4及び中間堰板保持部5a,5b,5c,5dには、それらの上縁を相互につなぐ形で補剛プレート14が、下縁をつなぐ形で補剛プレート15がそれぞれ架け渡してあり、堰板保持部4,4及び中間堰板保持部5a,5b,5c,5dの面外剛性を高める機能を果たす。
【0038】
ここで、堰板保持部4,4には、建込み姿勢で下方となる方向に開いたスリット21,21をそれぞれ形成してあるとともに、該スリットは、床版2にほぼ垂直となるように該床版の上面に横向きに載置された長尺状の堰板31が挿入自在となるように、かつ該堰板のうち、幅が表れる側の側面36で下段下方縁部9に当接するように形成してある。
【0039】
また、中間堰板保持部5a,5b,5c,5dには、建込み姿勢で下方となる方向に開いた中間スリット22をそれぞれ形成してあるとともに、該中間スリットは、堰板31が挿入自在となるように、かつ該堰板のうち、幅が表れる側の側面36で下段下方縁部9に当接するように形成してある。
【0040】
また、伸縮機構6a,6bは、面板部3の非コンクリート打設側にそれぞれ設けてあって、ナットとしての高ナット32、該高ナットに螺合されるボルト33及び該ボルトの先端に取り付けられた当接部34で構成してあり、基端部位である高ナット32,32を中間堰板保持部5aと中間堰板保持部5dにそれぞれ溶接等で固着してあるとともに、先端部位である当接部34,34を、堰板31の側面のうち、建込み姿勢で上面となる側面、言い換えれば厚みが表れる側の側面35にそれぞれ当接自在となるように構成してある。
【0041】
本実施形態に係る壁用型枠パネル1においては、その建込み姿勢において、上段上方縁部16の水平位置が下段下方縁部9の水平位置よりもコンクリート打設側にずれるように面板部3を構成してあり、面板部3bであって下段下方縁部9の近傍に位置する部位には、建込み姿勢で下方となる方向に開いたスリット21が形成された堰板保持部4,4をそれぞれ立設してあるとともに、同じく建込み姿勢で下方となる方向に開いたスリット22が形成された中間堰板保持部5a,5b,5c,5dをそれぞれ立設してあり、該各スリットは、長尺状の堰板31が挿入自在となるようにかつ該堰板が、その幅が表れる側の側面36で下段下方縁部9に当接するように形成してある。
【0042】
このようにすると、床版2の上面にほぼ垂直に長尺状の堰板31を横向きに載置するとともに該堰板を各堰板保持部4のスリット21及び中間堰板保持部5a,5b,5c,5dのスリット22にそれぞれ挿入した状態において、該堰板は、その下縁で床版2の床面に当接し、その幅が表れる側の側面36で面板部3bの下段下方縁部9に当接するため、スリット21やスリット22への堰板31の挿入深さとは関係なく、床版2の上方空間は、面板部3及び堰板31で確実に仕切られる。
【0043】
また、本実施形態に係る壁用型枠パネル1においては、面板部3の非コンクリート打設側である中間堰板保持部5a,5dに基端部位である高ナット32が連結されてなる伸縮機構6a,6bを、その先端部位である当接部34が、堰板31の側面のうち、厚みが表れる側の側面35に当接自在となるように構成してあるので、ボルト33を高ナット32にねじ込んで基端部位と先端部位との相対距離を変化させることにより、スリット21やスリット22への堰板31の挿入深さとは関係なく、壁用型枠パネル1は、伸縮機構6a,6b及び堰板31を介して床版2の床面に支持される。
【0044】
本実施形態に係る壁用型枠パネル1を用いて床版2に鉄筋コンクリート壁高欄を構築するには、予め堰板31に転倒防止板41を直交方向に取り付けておき、次いで図4(a)に示すように、転倒防止板41を床版2に留め付けることにより、堰板31を該床版の床面に立設する。
【0045】
なお、堰板31は、壁用型枠パネル1の面板部3が、鉄筋コンクリート壁高欄の橋梁内側壁面に沿って建て込まれるように水平位置を適宜決定する。また、鉄筋(図示せず)については、型枠工事と交錯せぬよう、適宜先行して配筋しておく。
【0046】
次に、堰板保持部4,4の各スリット21及び中間堰板保持部5a,5b,5c,5dの各スリット22に堰板31が挿入されるように、壁用型枠パネル1を下げ降ろす。
【0047】
次に、所望の高さ位置で壁用型枠パネル1を吊持し、次いで図4(b)に示すように、伸縮機構6a,6bのボルト33をそれぞれねじ込み、それらの当接部34を堰板31の側面35に当接することで、壁用型枠パネル1の自重を堰板31を介して床版2の床面で支持する。
【0048】
次に、図5に示すように、鉄筋コンクリート壁高欄の橋梁内側壁面に沿うように、壁用型枠パネル1の補剛部10に木製の合板パネル51を連結して内側型枠を完成させるとともに、床版2の裏面に取り付けられた腕木52の先端に載せる形で、木製の合板パネル53を鉄筋コンクリート壁高欄の橋梁外側壁面に沿うように外側型枠として建て込み、該外側型枠を、堰板31,壁用型枠パネル1及び合板パネル51からなる内側型枠と連結する。
【0049】
連結にあたっては、セパレータ(図示せず)、フォームタイ(登録商標)等の名称で販売されている連結具及び端太角材を適宜組み合わせればよい。
【0050】
次に、内側型枠と外側型枠の間にコンクリートを打設し、適宜養生させた後、脱型して図6(a)に示すように鉄筋コンクリート壁高欄61とするとともに、道路橋であれば、同図(b)に示すように床版2の床面に舗装62を施す。
【0051】
以上説明したように、本実施形態に係る壁用型枠パネル1によれば、床面からの型枠設置高さを調整してコンクリート打設を行う必要がある場合であっても、かかる高さ調整を容易に行うことが可能となり、かくして鉄筋コンクリート壁高欄61を構築する際の型枠工事における作業性を大幅に向上させることができる。
【0052】
本実施形態では、一対の堰板保持部4,4及び補剛部11,11の間に、4組の中間堰板保持部5a,5b,5c,5d及び中間補剛部12a,12b,12c,12dを設けるようにしたが、中間堰板保持部及び中間補剛部の組数は任意であるし、これらを設けずとも全体剛性を確保できるのであれば、図7(a)に示すようにこれらを省略してもかまわないし、同図(b)に示すように、補剛部10,11や補剛プレート14,15を省略した構成が本発明から排除されるものではない。
【0053】
また、本実施形態では、面板部3を面板部3a及び面板部3bからなる折曲げ状面板部として構成したが、本発明の面板部は、建込み姿勢において上方縁部の水平位置が下方縁部の水平位置よりもコンクリート打設側にずれるように構成されていれば足りるものであって、図7(c)に示すように、コンクリート打設側に凸となるように湾曲状に形成されてなる面板部71や、同図(d)に示すように、建込み姿勢において床版に対し傾斜するように構成されてなる面板部72も包摂される。
【符号の説明】
【0054】
1 壁用型枠パネル
2 床版
3 面板部
3a 第1の平板状面板部
3b 第2の平板状面板部
4 堰板保持部
5a〜5d 中間堰板保持部
6a,6b 伸縮機構
8,8 一対の側方縁部
9 下段下方縁部(下方縁部)
10,11 補剛部
12a〜12d 中間補剛部
16 上段上方縁部(上方縁部)
21 スリット
22 中間スリット
31 堰板
32 高ナット(ナット、基端部位)
33 ボルト
34 当接部(先端部位)
35 堰板31の側面(厚みが表れる面)
36 堰板31の側面(幅が表れる面)
71,72 面板部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7