(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971849
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】コイルおよび電磁鋼帯または電磁鋼板
(51)【国際特許分類】
C23C 26/00 20060101AFI20211111BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20211111BHJP
C09D 163/00 20060101ALI20211111BHJP
C09D 163/02 20060101ALI20211111BHJP
B32B 15/092 20060101ALI20211111BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20211111BHJP
H01F 1/18 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
C23C26/00 A
C09D7/61
C09D163/00
C09D163/02
B32B15/092
B32B15/08 D
H01F1/18
【請求項の数】16
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-546997(P2017-546997)
(86)(22)【出願日】2016年3月24日
(65)【公表番号】特表2018-518591(P2018-518591A)
(43)【公表日】2018年7月12日
(86)【国際出願番号】EP2016056687
(87)【国際公開番号】WO2016151129
(87)【国際公開日】20160929
【審査請求日】2019年3月15日
(31)【優先権主張番号】15160680.3
(32)【優先日】2015年3月24日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506029255
【氏名又は名称】フェストアルピネ シュタール ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】VOESTALPINE STAHL GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】フルーフ,ロナウド
(72)【発明者】
【氏名】ティーフェンタラー,ローマン
【審査官】
萩原 周治
(56)【参考文献】
【文献】
欧州特許出願公開第00756297(EP,A1)
【文献】
特表2008−518087(JP,A)
【文献】
特開2003−213443(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/146821(WO,A1)
【文献】
特開2012−025999(JP,A)
【文献】
特表2011−508086(JP,A)
【文献】
特開2014−096429(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/061722(WO,A1)
【文献】
特開昭62−227093(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0088096(US,A1)
【文献】
中国特許出願公開第102459696(CN,A)
【文献】
国際公開第2006/049935(WO,A1)
【文献】
特表2016−506313(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/089593(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 24/00−30/00
C09D 1/00−10/00
C09D 101/00−201/10
B32B 1/00−43/00
H01F 1/00−1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂主成分と、少なくとも1つの硬化剤と、少なくとも1つの充填剤とを含む少なくとも1つの熱硬化性焼付けエナメル層がその平面の1つに設けられた電磁鋼帯または電磁鋼板であって、焼付けエナメル層の充填剤が、金属炭酸塩、又は、金属硫酸塩を含み、前記硬化剤の主成分がジシアンジアミドであり、
前記充填剤の平均粒径が0.6〜3μmであることを特徴とする電磁鋼帯または電磁鋼板。
【請求項2】
前記熱硬化性焼付けエナメル層が、5〜25vol%の充填剤を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の電磁鋼帯または電磁鋼板。
【請求項3】
前記熱硬化性焼付けエナメル層が、5〜20vol%の充填剤を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の電磁鋼帯または電磁鋼板。
【請求項4】
前記熱硬化性焼付けエナメル層が、7〜16vol%の充填剤を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の電磁鋼帯または電磁鋼板。
【請求項5】
前記熱硬化性焼付けエナメル層が、
6〜10vol%の硬化剤と、
74〜85vol%のエポキシ樹脂を主成分として
含んでいることを特徴とする、請求項2〜4のうちいずれか一項に記載の電磁鋼帯または電磁鋼板。
【請求項6】
前記金属炭酸塩が炭酸カルシウム(CaCO3)であることを特徴とする、請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の電磁鋼帯または電磁鋼板。
【請求項7】
前記金属硫酸塩が硫酸バリウム(BaSO4)であることを特徴とする、請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の電磁鋼帯または電磁鋼板。
【請求項8】
前記焼付けエナメル層が、
エポキシ樹脂主成分との反応度が異なる少なくとも2つの硬化剤を含むことを特徴とする、請求項1〜7のうちいずれか一項に記載の電磁鋼帯または電磁鋼板。
【請求項9】
前記エポキシ樹脂主成分がビスフェノールAであることを特徴とする、請求項1〜8のうちいずれか一項に記載の電磁鋼帯または電磁鋼板。
【請求項10】
前記電磁鋼帯または電磁鋼板が、その両方の平面に熱硬化性焼付けエナメル層を有することを特徴とする、請求項1〜9のうちいずれか一項に記載の電磁鋼帯または電磁鋼板。
【請求項11】
請求項1〜10のうちいずれか一項に記載の電磁鋼帯または電磁鋼板を巻き上げたコイル。
【請求項12】
エポキシ樹脂主成分と、主成分がジシアンジアミドである硬化剤とを含む熱硬化性ホットメルト接着性エナメル、すなわち焼付けエナメルにおいて、その平面の少なくとも1つに前記焼付けエナメルが塗布された電磁鋼帯または電磁鋼板を巻き上げたコイルの形状安定性を向上させるための、金属炭酸塩、又は、金属硫酸塩を含む充填剤としての使用であって、
前記充填剤の平均粒径が0.6〜3μmであることを特徴とする使用。
【請求項13】
エポキシ樹脂主成分と、主成分がジシアンジアミドである硬化剤とを含む熱硬化性ホットメルト接着性エナメル、すなわち焼付けエナメルにおいて、電磁鋼帯または電磁鋼板の平面の少なくとも1つに前記焼付けエナメルが塗布されているときに、前記電磁鋼帯または電磁鋼板から製造された積層鉄心の長期温度耐性を向上させるための、金属炭酸塩、又は、金属硫酸塩を含む充填剤としての使用であって、
前記充填剤の平均粒径が0.6〜3μmであることを特徴とする使用。
【請求項14】
5〜25vol%の金属炭酸塩、又は、金属硫酸塩を使用することを特徴とする、請求項12または13に記載の使用。
【請求項15】
5〜20vol%の金属炭酸塩、又は、金属硫酸塩を使用することを特徴とする、請求項12または13に記載の使用。
【請求項16】
7〜16vol%の金属炭酸塩、又は、金属硫酸塩を使用することを特徴とする、請求項12または13に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ樹脂主成分と、少なくとも1つの硬化剤と、少なくとも1つの充填剤とを含む少なくとも1つの熱硬化性焼付けエナメル層がその平面の1つに設けられた電磁鋼帯または電磁鋼板に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁鋼帯または電磁鋼板のコーティングとして、先行技術(特許文献1)から熱硬化性ホットメルト接着性エナメルまたは焼付けエナメルが知られている。
【0003】
熱硬化性ホットメルト接着性エナメルは、焼付けエナメルとも呼ばれ、先行技術においては、ホットメルト接着剤を含む反応性接着剤系と理解される。例えば特許文献2から知られるそのようなホットメルト接着性エナメルは、例えば熱硬化性または熱硬化可能なホットメルト接着剤の溶液を提供できる。溶媒を除去した後、このホットメルト接着剤を、いわゆる焼付け工程、すなわち熱供給によって、まず接着させ、次いで硬化させることができる。
【0004】
しかしながら、エポキシ樹脂が主成分の熱硬化性焼付けエナメル層を有する電磁鋼帯または電磁鋼板製の積層鉄心は安定性に欠けるという不利な点がある。例えば、焼付けエナメルの最終架橋後に、接着強度と電気絶縁性の寿命が著しく低下していることが確認された。しかしながら、こうした不利な点を、硬化させた焼付けエナメル層の架橋密度を高めることによって克服する方法は、熱硬化性焼付けエナメルを有する電磁鋼帯または電磁鋼板の貯蔵安定性ゆえに制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2014/089593号
【特許文献2】欧州特許出願公開第0008811号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって本発明の課題は、冒頭で説明した先行技術に基づき、一方で、熱硬化性があり、ゆえになおも硬化可能な焼付けエナメル層を有する電磁鋼帯または電磁鋼板が高い貯蔵安定性を有し、他方で、最終架橋させた焼付けエナメル層を有するこの電磁鋼帯または電磁鋼板から作られる製品が高い安定性を備えることができるように、エポキシ樹脂主成分を有する焼付けエナメル層を変化させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の課題は、焼付けエナメル層の充填剤が、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属硫化物、金属ケイ酸塩、もしくは金属リン酸塩、またはこれらの複数からなる任意の混合物を含むことによって解決される。
【0008】
焼付けエナメル層の充填剤が、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属硫化物、金属ケイ酸塩、もしくは金属リン酸塩、またはこれらの複数からなる任意の混合物を含んでいると、驚くことに、それにより、最終架橋させた状態における焼付けエナメルの材料結合の安定性を著しく向上させられることが確認できた。とりわけ、長期的温度安定性の向上が確認でき、これにより、比較的長い使用期間の後でも、例えば積層鉄心の材料結合式に焼結させた焼付けエナメルにおいて剥離強さが保証できる。
【0009】
これらの利点に共通しているのは、架橋させた焼付けエナメル層の架橋密度は、必ずしも変更の必要がないことであり、そのため、本発明に従って、熱硬化性があり、ゆえに硬化可能な、または架橋可能な、すなわち反応性の焼付けエナメルを塗布した電磁鋼帯または電磁鋼板で、比較的高い貯蔵安定性も実現できる。他の充填剤と比べて、金属炭酸塩と金属硫酸塩が充填剤として特に好ましいことが判明した。金属炭酸塩と金属硫酸塩は、他の充填剤と比べて、すなわち、液状の焼付けエナメルの貯蔵安定性だけでなく、硬化させた焼付けエナメルの強度も向上させることができる。これは、金属炭酸塩である炭酸カルシウムと、金属硫酸塩である硫酸バリウムに特に当てはまる。さらに、本発明による充填剤は、なおも架橋可能な焼付けエナメル層、またはホットメルト接着性エナメル層を有する本発明による電磁鋼板から作られた、貯蔵されたコイルの形状安定性を向上させることができる。充填剤は、例えば焼付けエナメル層の表面粗さを高めるのに役立ち、それにより、電磁鋼帯の巻きが自然にゆるみにくくなる。一般に、電磁鋼帯の両平面が焼付けエナメル層を有している場合、特に有利であり得ると言える。
【0010】
熱硬化性焼付けエナメル層が、5〜25vol%または5〜20vol%の充填剤を含んでいる場合、これにより、焼付けエナメル層を無圧で熱硬化させるときに、場合によっては層厚が厚くなるのを防ぐことができるが、これは焼付けエナメル層の加熱時のスプリングバック効果によるものと見なすことができる。しかしながら、本発明による充填剤は焼付けエナメル層の流動性を低下させるため、化学反応が生じるまでスプリングバックが起こらず、そのため、架橋させた状態で焼付けエナメル層の層厚が厚くならない。このとき、好ましくは7〜16vol%の充填剤が特に優れている可能性がある。
【0011】
熱硬化性焼付けエナメル層が、6〜10vol%の硬化剤と、例えば残部として、74〜85vol%のエポキシ樹脂を主成分として含んでいる場合、有利な組成であることが判明している。残部であるエポキシ樹脂主成分の他に、焼付けエナメル層には、場合によっては不純物も含有されていてよい。
【0012】
金属炭酸塩の充填剤としては、例えば炭酸カルシウム(Ca−CO3)が優れている可能性がある。炭酸カルシウムは、比較的高い耐酸化性を有することができ、これにより、焼付けエナメルの安定性を大幅に向上させることができる。加えて、硬化させた焼付けエナメルにおける炭酸カルシウムの構造は、強度が高い場合に優れている可能性がある。
【0013】
硬化させた焼付けエナメルの強度をさらに上げるには、金属硫酸塩である硫酸バリウム(BaSO4)を充填剤として使用すると役立つ可能性がある。
【0014】
金属硫化物の充填剤としては、例えば硫化亜鉛(ZnS)が優れている可能性がある。金属ケイ酸塩の充填剤としては、例えばケイ酸マグネシウム(MgO3Si)またはケイ酸アルミニウムが優れている可能性がある。加えて、金属リン酸塩の充填剤としては、例えばリン酸亜鉛Zn3(PO4)2が優れている可能性がある。さらに、混合物の充填剤として、例えばリトポンが優れている可能性がある。
【0015】
架橋させた焼付けエナメル層の接着強度は、充填剤の平均粒径が0.6〜3μmである場合に、さらに向上させることができる。
【0016】
硬化剤の主成分がジシアンジアミドであれば、これにより焼付けエナメル層の貯蔵安定性をさらに向上させることができる。
【0017】
電磁鋼帯または電磁鋼板の加工を容易にするために、焼付けエナメル層は、例えば室温で、および/または焼付けエナメル層の乾燥工程で、すなわち例えば180〜240℃でエポキシ樹脂主成分との反応度が異なる少なくとも2つの硬化剤を含むことができる。それにより、例えば2つの硬化剤の予備反応を通じて、焼付けエナメル層の貯蔵安定性および/または粘度も調整できる。
【0018】
卓越した機械特性と良好な粘着性は、ビスフェノールA(2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン)をエポキシ樹脂主成分とすることによって確保できる。一般に、エポキシ樹脂主成分は、例えばビスフェノールAがそうであるように、多価フェノールのグリシジルエーテルをベースにできると言える。
【0019】
好ましくは、電磁鋼帯または電磁鋼板は、その両平面に熱硬化性焼付けエナメル層を有することにより環境影響から保護され、それにより後の加工が容易になる。
【0020】
好ましくは、電磁鋼帯または電磁鋼板は、コイルに巻き上げることができ、この巻き上げた状態で、本発明による充填剤に基づいて、コイルの高い形状安定性を保証することができる。例えば、電磁鋼帯または電磁鋼板が、その両平面に熱硬化性焼付けエナメル層を有する場合にもそうなる。
【0021】
本発明は、エポキシ樹脂主成分と硬化剤とを含む熱硬化性焼付けエナメルにおいて、その平面の少なくとも1つに焼付けエナメルが塗布された電磁鋼帯または電磁鋼板を巻き上げたコイルの形状安定性を向上させるために、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属硫化物、金属ケイ酸塩、もしくは金属リン酸塩、またはこれらの複数からなる任意の混合物を充填剤として使用すると、とりわけ優れている可能性がある。
【0022】
さらに、エポキシ樹脂主成分と硬化剤とを含む熱硬化性焼付けエナメルにおいて、電磁鋼帯または電磁鋼板の平面の少なくとも1つに焼付けエナメルが塗布されているときに、電磁鋼帯または電磁鋼板から製造された積層鉄心の長期温度耐性を向上させるために、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属硫化物、金属ケイ酸塩、もしくは金属リン酸塩、またはこれらの複数からなる任意の混合物を充填剤として使用することができる。
【0023】
本発明による技術的効果は、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属硫化物、金属ケイ酸塩、もしくは金属リン酸塩、またはこれらの複数からなる任意の混合物が5〜25vol%ですでに、または5〜20vol%、または7〜16vol%であっても可能であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】焼付けエナメル層1、2、または3の剥離強さの正規化曲線を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0026】
達成される効果を証明するために、電磁鋼帯に、さまざまな組成の焼付けエナメルを塗布し、この焼付けエナメルを塗布した電磁鋼帯を、200℃での使用200時間後の貯蔵安定性と剥離強さについて調べた。
【0027】
さまざまな焼付けエナメル層を表1に示す。
【0029】
試験した焼付けエナメル層1、2、および3はすべて、エポキシ樹脂主成分と6〜10vol%の硬化剤とを含んでおり、このとき、焼付けエナメル層2および3は、第1の焼付けエナメル層と異なり、粒径が0.6〜3μmの充填剤をそれぞれ5〜20vol%含んでいる。好ましくは、焼付けエナメル層1、2、および3は、それぞれ74〜85vol%のエポキシ樹脂主成分を含んでいるか、または、一般にぞれぞれ残部としてエポキシ樹脂主成分を含んでいる。
【0030】
加えて、焼付けエナメル層に複数の硬化剤を使用することも考えられる。好ましくは、硬化剤のジシアンジアミドと比較して、室温で、および/または焼付けエナメル層の乾燥工程で、例えば180〜240℃で反応が早く、それによりエポキシ樹脂主成分との予備反応によって、例えば焼付けエナメル層の粘度を調整できる、さらに別の硬化剤を添加する。これにより、有利には、鋼帯から切り離された部分を接着してつなぎ合わせる際に、焼付けエナメル層が押しつぶされるのも防ぐことができる。このために、追加的な硬化剤として、例えば低温硬化アミン(例えば:AEP n−アミノエチルピベラジン、脂環式ポリアミン)が考えられる。加えて一般に、本発明による充填剤は、不活性充填剤もしくは活性充填剤、またはこれに関して機能付与した充填剤であり得ると言える。
【0031】
一般に、前述したvol%は、焼付けエナメル層の固形分の総量を指している、あるいは、言及したvol%を合わせて固形分の総量になると言える。
【0032】
図1は、コイルとして貯蔵され、次いで、焼付けエナメル層1、2、および3を焼結して積層鉄心に加工された、熱硬化性、または硬化可能な焼付けエナメル層1、2、または3を有する電磁鋼帯を示す。焼付けエナメル層1を有する電磁鋼帯と比べて、焼付けエナメル層2および3を有する電磁鋼帯は、200℃での使用200時間後の耐熱老化において、著しく高い剥離強さが確認され、これは、
図1の剥離強さの正規化曲線から確認できる。
【0033】
加えて、熱硬化性があり、ゆえになおも硬化可能な焼付けエナメル層2および3を有する、巻き上げた状態の電磁鋼帯製のコイルは、積層鉄心にさらに加工するまで、高い形状安定性を示した。さらにこの形状安定性は、熱硬化性があり、ゆえになおも硬化可能な焼付けエナメル層1を有する電磁鋼帯製のコイルよりも著しく高い。