(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アゴニスト抗CD40抗体が、CP−870、893;ダセツズマブ;SEA−CD40;ADC−1013;RO7009789;及びChi Lob7/4から選択される抗体の重鎖CDR1−3及び軽鎖CDR1−3を含む、請求項1又は2に記載の医薬。
アゴニスト抗CD40抗体が、CP−870、893;ダセツズマブ;SEA−CD40;ADC−1013;RO7009789;及びChi Lob7/4から選択される抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む、請求項1又は2に記載の医薬。
アゴニスト抗CD40抗体が、CP−870、893;ダセツズマブ;SEA−CD40;ADC−1013;RO7009789;及びChi Lob7/4から選択される抗体である、請求項1又は2に記載の医薬。
がんが、非小細胞肺がん、メラノーマ、頭頸部の扁平上皮癌、卵巣がん、膵臓がん、腎細胞癌、肝細胞癌、膀胱がん、子宮内膜がん、ホジキンリンパ腫、肺がん、神経膠腫、多形神経膠芽腫、結腸がん、乳がん、骨がん、皮膚がん、子宮がん、胃がん(gastric cancer)、胃がん(stomach cancer)、リンパ腫、リンパ球性白血病、多発性骨髄腫、前立腺がん、中皮腫及び腎臓がんから選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載の医薬。
アゴニスト抗CD40抗体が、CP−870、893;ダセツズマブ;SEA−CD40;ADC−1013;RO7009789;及びChi Lob7/4から選択される抗体の重鎖CDR1−3及び軽鎖CDR1−3を含む、請求項17又は18に記載の組成物。
アゴニスト抗CD40抗体が、CP−870、893;ダセツズマブ;SEA−CD40;ADC−1013;RO7009789;及びChi Lob7/4から選択される抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む、請求項17又は18に記載の組成物。
アゴニスト抗CD40抗体が、CP−870、893;ダセツズマブ;SEA−CD40;ADC−1013;RO7009789;及びChi Lob7/4から選択される抗体である、請求項17又は18に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0025】
腫瘍関連マクロファージ(TAM)は、多くのがんの病因に関与し、予後不良と相関する。TAMは、複数の機構による抗腫瘍応答を抑制することができる。TAMは、腫瘍内樹状細胞の細胞傷害性T細胞応答を刺激する能力を抑制するように作用するTGFb及びIL−10などの抗炎症性サイトカインを発現する(Ruffell et al., 2014, Cancer Cell)。TAMはまた、免疫抑制制御性T細胞を腫瘍内に補充するケモカインを発現する。さらに、TAMは、T細胞活性化及び機能を直接抑制するように作用するT細胞阻害剤受容体PD−1及びCTLA−4のリガンドを発現する。CSF1Rの阻害は、マウスモデル及びヒト腫瘍における免疫抑制性TAMを減少させることができる。例えば、Ries et al., 2014, Cancer Cell, 25: 846-859; Pyontech et al., 2013, Nature Med., 19: 1264-1272; 及びZhu et al., 2014, Cancer Res., 74: 5057-5069を参照のこと。免疫抑制を低下させることによって作用するCSF1R遮断とは対照的に、免疫刺激剤は、免疫応答を刺激することによって作用する。
【0026】
本明細書で使用されるセクションの見出しは、構成上の目的のみのものであって、記載される内容を制限するものとして解釈されない。
【0027】
定義
別途定義するものを除き、本発明に関連して使用される科学及び技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。さらに、分脈上別段の必要がない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。
【0028】
組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、組織培養及び形質転換(例えばエレクトロポレーション、リポフェクション)、酵素反応、及び精製技術に関連して使用される例示的な技術は、当該技術分野で既知である。そのような技術及び手順の多くは、例えば、Sambrook et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989))等に記載されている。さらに、化学合成、化学分析、医薬品調製、製剤及び送達、並びに患者の治療のための例示的な技術もまた、当該技術分野で既知である。
【0029】
本願において、別途指定のない限り、「又は(or)」は、「及び/又は(and/or)」を意味する。多数従属クレームの文脈において、「又は」の使用は、1より多い先行する独立又は従属クレームを択一的な形式によってのみ引用する。また、「要素(element)」又は「構成要素(component)」といった用語は、1つの単位を含む要素及び構成要素と、別途指定のない限り、2つ以上のサブユニットを含む要素及び構成要素の双方を包含する。
【0030】
本開示に従って利用される場合、以下の用語は、別途指定のない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする。
【0031】
「核酸分子」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、互換的に使用することができ、ヌクレオチドのポリマーを指す。そのようなヌクレオチドのポリマーは、天然及び/又は非天然ヌクレオチドを含有し得、限定されないが、DNA、RNA及びPNAを含む。「核酸配列」は、核酸分子又はポリヌクレオチドを含むヌクレオチドの直鎖状配列を指す。
【0032】
「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを指すために互換的に使用され、最小の長さに限定されない。そのようなアミノ酸残基のポリマーは、天然又は非天然アミノ酸残基を含有し得、限定されないが、ペプチド、オリゴペプチド、二量体、三量体及び多量体のアミノ酸残基を含む。完全長タンパク質及びその断片の双方が、この定義に包含される。該用語は、ポリペプチドの発現後修飾、例えばグリコシル化、シアリル化、アセチル化、リン酸化等も含む。さらに、本発明の目的のために、「ポリペプチド」は、タンパク質が所望の活性を維持する限り、欠失、付加及び置換等の天然配列に対する修飾(一般に、本質的に保存的である)を含むタンパク質を指す。これらの修飾は、部位特異的突然変異誘発によるような、意図的なものであってもよく、又はタンパク質を産生する宿主の突然変異若しくはPCR増幅によるエラーによるなど、偶発的なものであってもよい。
【0033】
「CSF1R」という用語は、本明細書では、N末端ECD、膜貫通ドメイン及び細胞内チロシンキナーゼドメインを含み、N末端リーダー配列を伴うか又は伴わない完全長CSF1Rを指す。いくつかの実施態様において、CSF1Rは、配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列を有するヒトCSF1Rである。
【0034】
本明細書で使用する「免疫刺激剤」という用語は、共刺激分子を含む免疫刺激分子のアゴニストとして作用するか、又は、共抑制分子を含む免疫抑制分子のアンタゴニストとして作用するかのいずれかによって免疫系を刺激する分子を指す。免疫刺激剤は、抗体若しくは抗体断片、その他のタンパク質又はワクチンなどの生物学的物質であってもよく、あるいは小分子薬物であってもよい。「免疫刺激分子」は、免疫応答を増強、刺激、誘導又は「ターンオン」するように作用する受容体又はリガンドを含む。本明細書で定義される免疫刺激分子は、共刺激分子を含む。「免疫抑制分子」は、免疫応答を低減、阻害、抑制又は「ターンオフ」するように作用する受容体又はリガンドを含む。本明細書で定義される免疫抑制分子は、共抑制分子を含む。そのような免疫刺激性及び免疫抑制分子は、例えば、T細胞などの免疫細胞上に見出される受容体若しくはリガンド、又はNK細胞などの先天性免疫に関与する細胞上に見られる受容体又はリガンドであり得る。
【0035】
「B細胞表面抗原CD40」及び「CD40」という用語は、本明細書では、N末端ECD、膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインを含み、N末端リーダー配列を伴うか又は伴わない完全長CD40を指す。いくつかの実施態様において、CD40は、配列番号96のアミノ酸配列(シグナル配列を有する前駆体)又は配列番号97のアミノ酸配列(シグナル配列を有しない成熟型)を有するヒトCD40である。
【0036】
用語「CD40アゴニスト」は、CD40と相互作用し、CD40活性を増強する部分を指す。非限定的で例示的なCD40活性には、CD40によるシグナル伝達、抗原提示活性の増強、炎症促進性サイトカインの誘導、及び腫瘍殺傷活性の誘導が含まれる。いくつかの実施態様では、CD40アゴニストは、抗CD40抗体である。
【0037】
用語「抗CD40抗体」は、CD40に特異的に結合する抗体を指す。本明細書で使用される「抗CD40抗体」という用語は、別途指示がない限り、抗CD40アゴニスト抗体を指す。
【0038】
抗CSF1R抗体に関して、CSF1及び/又はIL−34などのリガンの「結合を遮断する」という用語及びその文法上の変化形は、CSF1Rと、例えばCSF1及び/又はIL−34などのCSF1Rリガンドとの間の相互作用を阻害する能力をいうのに用いられる。そのような阻害は、例えば、CSF1R上の重複する結合部位及び/又はリガンド親和性を変化させる抗体等によって誘導されるCSF1Rの立体構造変化のために、機構によって起こり得る。「機能的」と呼ばれる抗体及び抗体断片は、そのような特性を有することによって特徴付けられる。
【0039】
本明細書で使用される用語「抗体」は、重鎖の少なくとも相補性決定領域(CDR)1、CDR2及びCDR3、並びに軽鎖の少なくともCDR1、CDR2及びCDR3を含む分子を指し、該分子は抗原に結合する能力を有する。抗体という用語は、限定されないが、Fv、一本鎖Fv(scFv)、Fab、Fab’、及び(Fab’)
2等、抗原に結合する能力を有する断片を含む。抗体という用語はまた、限定されないが、キメラ抗体、ヒト化抗体、及びマウス、ヒト、カニクイザル等の様々な種の抗体も含む。
【0040】
いくつかの実施態様において、抗体は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施態様において、抗体は、重鎖可変領域と重鎖定常領域の少なくとも一部とを含む少なくとも1つの重鎖と、軽鎖可変領域と軽鎖定常領域の少なくとも一部とを含む少なくとも1の軽鎖を含む。いくつかの実施態様において、抗体は、各重鎖が重鎖可変領域と重鎖定常領域の少なくとも一部とを含む2つの重鎖と、各軽鎖が軽鎖可変領域と軽鎖定常領域の少なくとも一部とを含む2つの軽鎖を含む。本明細書で使用される場合、一本鎖Fv(scFv)又は、例えば6つのCDR(3つの重鎖CDRと3つの軽鎖CDR)すべてを含むその他任意の抗体は、重鎖及び軽鎖を有すると考えられる。いくつかのそのような実施態様では、重鎖は、3つの重鎖CDRを含む抗体の領域であり、軽鎖は、3つの軽鎖CDRを含む抗体の領域である。
【0041】
本明細書で使用される「重鎖可変領域」という用語は、重鎖CDR1、フレームワーク(FR)2、CDR2、FR3及びCDR3を含む領域を指す。いくつかの実施態様において、重鎖可変領域はまた、FR1の少なくとも一部及び/又はFR4の少なくとも一部を含む。いくつかの実施態様において、重鎖CDR1はKabat残基26から35に対応し、重鎖CDR2はKabat残基50から65に対応し、重鎖CDR3はKabat残基95から102に対応する。例えば、Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interest (1987及び1991, NIH, Bethesda, Md.);及び
図1を参照されたい。いくつかの実施態様において、重鎖CDR1はKabat残基31から35に対応し、重鎖CDR2はKabat残基50から65に対応し、重鎖CDR3はKabat残基95から102に対応する。同文献参照。
【0042】
本明細書で使用される「重鎖定常領域」という用語は、少なくとも3つの重鎖定常ドメイン、C
H1、C
H2及びC
H3を含む領域を指す。非限定的で例示的な重鎖定常領域には、γ、δ及びαが含まれる。非限定的で例示的な重鎖定常領域には、ε及びμも含まれる。各重鎖定常領域は、抗体のアイソタイプに対応する。例えば、γ定常領域を含む抗体はIgG抗体であり、δ定常領域を含む抗体はIgD抗体であり、α定常領域を含む抗体はIgA抗体である。さらに、μ定常領域を含む抗体はIgM抗体であり、ε定常領域を含む抗体はIgE抗体である。ある特定のアイソタイプは、さらにサブクラスに分けることができる。例えば、IgG抗体は、限定されないが、IgG1(γ
1定常領域を含む)、IgG2(γ
2定常領域を含む)、IgG3(γ
3定常領域を含む)及びIgG4(γ
4定常領域を含む)抗体を含み;IgA抗体は、限定されないが、IgA1(α
1定常領域を含む)及びIgA2(α
2定常領域を含む)抗体を含み;並びにIgM抗体は、限定されないが、IgM1及びIgM2を含む。
【0043】
いくつかの実施態様において、重鎖定常領域は、抗体に所望の特性を付与する1つ以上の突然変異(又は置換)、付加又は欠失を含む。非限定的で例示的な突然変異は、IgG4ヒンジ領域(定常ドメイン
H1とC
H2の間)におけるS241P突然変異であり、IgG1における対応するモチーフに類似している。いくつかの実施態様では、その突然変異は、より安定なIgG4抗体を生じる。例えばAngal et al., Mol. Immunol. 30: 105-108 (1993); Bloom et al., Prot. Sci. 6: 407-415 (1997); Schuurman et al., Mol. Immunol. 38: 1-8 (2001)を参照されたい。
【0044】
本明細書で使用される「重鎖」という用語は、リーダー配列を伴うか又は伴わない、少なくとも重鎖可変領域を含むポリペプチドを指す。いくつかの実施態様において、重鎖は、重鎖定常領域の少なくとも一部を含む。本明細書で使用される「完全長重鎖」という用語は、リーダー配列を伴うか又は伴わない、重鎖可変領域と重鎖定常領域とを含むポリペプチドを指す。
【0045】
本明細書で使用される「軽鎖可変領域」という用語は、軽鎖CDR1、フレームワーク(FR)2、CDR2、FR3及びCDR3を含む領域を指す。いくつかの実施態様において、軽鎖可変領域は、FR1及び/又はFR4も含む。いくつかの実施態様において、軽鎖CDR1はKabat残基24から34に対応し、軽鎖CDR2はKabat残基50から56に対応し、軽鎖CDR3はKabat残基89から97に対応する。例えば、Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interest (1987及び1991, NIH, Bethesda, Md.);及び
図1を参照されたい。
【0046】
本明細書で使用される「軽鎖定常領域」という用語は、軽鎖定常ドメインC
Lを含む領域を指す。非限定的で例示的な軽鎖定常領域には、λ及びκも含まれる。
【0047】
本明細書で使用される「軽鎖」という用語は、リーダー配列を伴うか又は伴わない、少なくとも軽鎖可変領域を含むポリペプチドを指す。いくつかの実施態様において、軽鎖は、軽鎖定常領域の少なくとも一部を含む。本明細書で使用される「完全長軽鎖」という用語は、リーダー配列を伴うか又は伴わない、軽鎖可変領域と軽鎖定常領域とを含むポリペプチドを指す。
【0048】
本明細書で使用される「キメラ抗体」は、第1の種(マウス、ラット、カニクイザル等)由来の少なくとも1の可変領域と、第2の種(例えばヒト、カニクイザルなど)由来の少なくとも1の定常領域とを含む抗体を指す。いくつかの実施態様において、キメラ抗体は、少なくとも1のマウス可変領域と少なくとも1のヒト定常領域とを含む。いくつかの実施態様において、キメラ抗体は、少なくとも1のカニクイザル可変領域と少なくとも1のヒト定常領域とを含む。いくつかの実施態様において、キメラ抗体は、少なくとも1のラット可変領域と少なくとも1マウス定常領域とを含む。いくつかの実施態様において、キメラ抗体の可変領域のすべてが第1の種由来であり、キメラ抗体の定常領域のすべてが第2の種由来である。
【0049】
本明細書で使用される「ヒト化抗体」は、非ヒト可変領域のフレームワーク領域内の少なくとも1つのアミノ酸がヒト可変領域の対応するアミノ酸で置換されている抗体を指す。いくつかの実施態様において、ヒト化抗体は、少なくとも1つのヒト定常領域又はその断片を含む。いくつかの実施態様において、ヒト化抗体は、Fab、scFv、(Fab’)
2等である。
【0050】
本明細書で使用される「CDR移植抗体」とは、第1(非ヒト)の種の相補性決定領域(CDR)が第2(ヒト)の種のフレームワーク領域(FR)上に移植されているヒト化抗体を指す。
【0051】
本明細書で使用される「ヒト抗体」は、ヒトにおいて産生される抗体、ヒト免疫グロブリン遺伝子を含む非ヒト動物において産生される抗体、例えばXenoMouse(登録商標)、及びファージディスプレイなどのin vitro法を用いて選択される抗体を指し、抗体レパートリーは、ヒト免疫グロブリン配列に基づく。
【0052】
「リーダー配列」という用語は、哺乳動物細胞からのポリペプチドの分泌を促進するポリペプチドのN末端に位置するアミノ酸残基の配列を指す。リーダー配列は、哺乳動物細胞からのポリペプチドの輸送の際に切断され、成熟タンパク質を形成することができる。リーダー配列は、天然でも合成でもよく、それらは、自身が結合しているタンパク質に対して異種又は相同であってよい。例示的なリーダー配列は、限定されないが、抗体リーダー配列、例えばヒト軽鎖及び重鎖リーダー配列にそれぞれ対応する配列番号3及び4のアミノ酸配列などを含む。非限定的で例示的リーダー配列には、異種タンパク質のリーダー配列も含まれる。いくつかの実施態様では、抗体は、リーダー配列を欠く。いくつかの実施態様において、抗体は、天然抗体リーダー配列及び異種リーダー配列から選択され得る少なくとも1のリーダー配列を含む。
【0053】
用語「ベクター」は、宿主細胞中で増殖し得るクローン化ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドを含有するように操作され得るポリヌクレオチドを記載するために使用される。ベクターは、次の要素:複製開始点、目的のポリペプチドの発現を調節する1つ以上の調節配列(例えばプロモーター及び/又はエンハンサーなど)、及び/又は1つ以上の選択マーカー遺伝子(例えば抗生物質耐性遺伝子、比色アッセイで使用され得る遺伝子、例えばβ−ガラクトシダーゼなど)のうちの1つ以上を含むことができる。「発現ベクター」という用語は、宿主細胞において目的のポリペプチドを発現させるために使用されるベクターを指す。
【0054】
「宿主細胞」は、ベクター又は単離されたポリヌクレオチドのレシピエントになり得るか、又はすでにレシピエントである細胞を指す。宿主細胞は、原核細胞又は真核細胞であってもよい。例示的な真核細胞には、哺乳動物細胞、例えば霊長類又は非霊長類の動物細胞;真菌細胞、例えば酵母;植物細胞;及び昆虫細胞が含まれる。非限定的で例示的な哺乳動物細胞には、限定されないが、NSO細胞、PER.C6(登録商標)細胞(Crucell)、293及びCHO細胞並びにそれらの誘導体、例えばそれぞれ293−6E及びDG44細胞が含まれる。
【0055】
本明細書で使用される「単離された」という用語は、自然界で典型的に共に見出される成分の少なくともいくつかから分離された分子を指す。例えば、ポリペプチドは、それが産生された細胞の成分の少なくともいくつかから分離されている場合、「単離された」という。ポリペプチドが発現後に細胞によって分泌される場合、それを産生する細胞からポリペプチドを含む上清を物理的に分離することは、ポリペプチドを「単離する」と考えられる。同様に、ポリヌクレオチドは、自然界では典型的により大きなポリヌクレオチド(例えば、DNAポリヌクレオチドの場合には、ゲノムDNA又はミトコンドリアDNAなど)の中に見出されるが、そのようはより大きなポリヌクレオチドの一部ではないとき、又は、例えばRNAポリヌクレオチドの場合、それが産生された細胞の成分の少なくともいくつかから分離されているとき、「単離された」という。したがって、宿主細胞内のベクターに含まれるDNAポリヌクレオチドは、自然界ではそのベクター中にそのポリヌクレオチドが見出されない限り、「単離された」ということができる。
【0056】
「上昇したレベル」という用語は、本明細書に記載のがん又は他の状態に罹患していない個体などのコントロールにおける同じ組織と比較した、対象の特定の組織におけるタンパク質がより高いレベルであることを意味する。上昇したレベルは、タンパク質の発現の増加、安定性の増加、分解の減少、分泌の増加、クリアランスの減少等、任意の機構の結果であり得る。
【0057】
「減少させる(「reduce」又は「reduces」)」という用語は、対象の特定の組織におけるタンパク質のレベルを少なくとも10%低下させることを意味する。いくつかの実施態様では、CSF1Rに結合する抗体などの薬剤は、対象の特定の組織におけるタンパク質のレベルを、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%又は少なくとも90%減少させる。いくつかの実施態様では、タンパク質のレベルは、CSF1Rに結合する抗体などの薬剤との接触前のタンパク質のレベルと比較して、低下する。
【0058】
「耐性」という用語は、治療剤に対する耐性の文脈で使用される場合、治療剤の標準用量に対する対象の過去の応答と比較した、又は治療剤の標準用量に対する同様の障害を有する同様の対象の予想される応答と比較した、治療剤の標準用量に対する応答の低下又は応答の欠如を意味する。したがって、いくつかの実施態様において、対象は、以前にその治療剤を与えられていないのに治療剤に耐性であってもよく、又は対象は、過去1回以上の機会に薬剤に応答した後に治療剤に対して耐性を生じてもよい。
【0059】
用語「対象」及び「患者」は、本明細書においては、ヒトを指すために互換的に使用される。また、いくつかの実施態様において、げっ歯類、サル、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、哺乳類の実験動物、哺乳類の家畜、哺乳動物の競技用動物及び哺乳類のペットを含むがこれらに限定されない他の哺乳類を治療する方法も、提供される。
【0060】
本明細書で使用される用語「試料」は、例えば物理的、生化学的、化学的及び/又は生理学的特性に基づいて特徴付け、定量及び/又は同定される細胞実体及び/又はその他の分子実体を含有する対象から得られるか又は由来する組成物を指す。例示的な試料は、組織試料である。
【0061】
「組織試料」という用語は、対象の組織から得られた類似の細胞の集合を指す。組織標本の供給源は、凍結及び/又は保存された新鮮な臓器若しくは組織試料又は生検若しくは吸引液由来の固形組織;血液又は任意の血液成分;脳脊髄液、羊水、腹水、滑液
又は間質液などの体液;対象の妊娠又は発達の任意の時点からの細胞であってもよい。いくつかの実施態様では、組織試料は、滑膜生検組織試料及び/又は滑液試料である。いくつかの実施態様では、組織試料は、滑液試料である。組織試料はまた、初代細胞又は培養細胞若しくは細胞株であってよい。組織試料は、罹患組織/臓器から任意選択的に得られる。組織試料は、天然の組織と本質的には混ざり合わない化合物、例えば防腐剤、抗凝血剤、緩衝剤、定着剤、栄養剤、抗生物質等を含んでもよい。本明細書で使用される「コントロール試料」又は「コントロール組織」は、対象が治療されている疾患に罹患していないことがわかっているか又はそう考えられる供給源から得られた試料、細胞又は組織を指す。
【0062】
本明細書の目的のために、組織試料の「切片」は、固体組織試料から切り出された組織又は細胞の薄片など、組織試料の一部又は断片を意味する。
【0063】
「がん」という用語は、本明細書では、異常に高いレベルの増殖及び成長を示す細胞の群を指すのに用いられる。がんは、良性(良性腫瘍ともいう)、前がん性又は悪性であり得る。がん細胞は、固形がん細胞又は白血病がん細胞であり得る。「がん増殖」という用語は、本明細書では、がんの大きさ又は広がりに相当する増加をもたらす、がんを含む細胞による増殖又は成長を指すのに用いられる。
【0064】
がんの例には、限定されないが、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫及び白血病が含まれる。そのようながんのより具体的で非限定的な例には、扁平上皮がん、小細胞肺がん、下垂体がん、食道がん、星状細胞腫、軟部組織肉腫、非小細胞肺がん(扁平上皮非小細胞肺がんを含む)、肺腺癌、肺扁平上皮癌、腹膜がん、肝細胞がん、消化管がん、膵がん、神経膠芽腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝がん、膀胱がん、ヘパトーマ、乳がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜又は子宮癌、唾液腺癌、腎臓がん、腎細胞癌、肝がん、前立腺がん、外陰部がん、甲状腺がん、肝癌、脳がん、子宮内膜がん、精巣がん、胆管癌、胆嚢癌、胃がん、メラノーマ、及び種々の頭頸部がん(頭頸部の扁平上皮癌を含む)が含まれる。
【0065】
「再発がん」という用語は、以前の治療レジメン後にがんが検出されなかった期間が存在し、その後で再発したがんを指す。
【0066】
「進行性がん」という用語は、治療レジメンの開始以来、大きさ又は腫瘍の広がりが増加しているがんである。特定の実施態様では、進行性がんは、治療レジメンの開始以来、大きさ又は腫瘍の広がりが少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%又は少なくとも50%増加しているがんである。
【0067】
「化学療法剤」は、がんの治療に有用な化学的化合物である。化学療法剤の例には、限定されないが、アルキル化剤、例えばチオテパ及びCytoxan(登録商標)シクロホスファミド;アルキルスルホネート、例えばブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファン;アジリジン、例えばベンゾドパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドパ(meturedopa)及びウレドパ(uredopa);アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド及びトリメチロールメラミン(trimethylolomelamine)を含むメチルアメラミン(methylamelamine)及びエチレンイミン;アセトゲニン(特にブラタシン及びブラタシノン(bullatacinone));カンプトテシン(合成類似物トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼルシン及びビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体KW−2189及びCB1−TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチイン;スポンギスタチン;ナイトロジェンマスタード、例えばクロラムブシル、クロルナファジン、クロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベムビチン(novembichin)、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロ尿素、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン及びラニムスチン;抗生物質、例えばエンジイン抗生物質(例えばカリケアマイシン、特にカリケアマイシンガンマ1I及びカリケアマイシンオメガI1(例えばAgnew, Chem Intl. Ed. Engl. 33: 183-186 (1994)参照);ダイネマイシンAを含むダイネマイシン;クロドロネートなどのビスホスホネート;エスペラミシン;並びにネオカルジノスタチン発色団及び関連の色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン(aclacinomysin)、アクチノマイシン、アントラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カルビシン(carabicin)、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン(chromomycinis)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、アドリアマイシン(登録商標)ドキソルビシン(モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、例えばマイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗剤、例えばメトトレキサート及び5−フルオロウラシル(5−FU);葉酸類似体、例えばデノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート;プリン類似体、例えばフルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えばアンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン;アンドロゲン、例えばカルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎剤、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補液、例えばフォリン酸(frolinic acid);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビスアントレン;エダトレキサート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン;ジアジクオン;エフロルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン(lonidainine);メイタンシノイド、例えばメイタンシン及びアンサマイトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール(mopidanmol);ニトラリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖類複合体(オレゴン州ユージーンのJHS Natural Products);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2”−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特にT−2毒素、ベラクリン(verracurin)A、ロリジンA及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール、ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えばタキソール(登録商標)パクリタキセル(ニュージャージー州プリンストンのBristol−Myers Squibb Oncology)、アブラキサン(登録商標)クレモホール不含、パクリタキセルのアルブミン操作されたナノ粒子製剤(イリノイ州ショウンバーグのAmerican Pharmaceutical Partners)及びタキソテール(登録商標)ドセタキセル(doxetaxel)(フランス、アントニーのRhone−Poulenc Rorer);クロラムブシル(chloranbucil);ジェムザール(登録商標)ゲムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金類似体、例えばシスプラチン、オキサリプラチン及びカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ナベルビン(登録商標)ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;イリノテカン(カンプトサール、CPT−11)(5−FU及びロイコボリンと併用するイリノテカン治療レジメンを含む);トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(difluorometlhylornithine)(DMFO);レチノド、例えばレチノイン酸;カペシタビン;コンブレタスタチン;ロイコポリン(LV);オキサリプラチン治療レジメン(FOLFOX)を含めたオキサリプラチン;PKCアルファ、Raf、H−Ras、EGFRの阻害剤(例えばエルロチニブ(タルセバ(登録商標)))及び細胞増殖を減少させるVEGF−A、並びに上述したものの薬学的に許容される塩、酸又は誘導体が含まれる。
【0068】
さらなる非限定的で例示的な化学療法剤には、抗エストロゲン及び選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)など、がんに対するホルモン作用を調節又は阻害する抗ホルモン剤、例えばタモキシフェン(ノルバデックス(登録商標)タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン及びフェアストン(登録商標)トレミフェン;副腎においてエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば4(5)−イミダゾール、アミノグルテチミド、Megase(登録商標)酢酸メゲストロール、アロマシン(登録商標)エキセメスタン、フォルメスタン(formestanie)、ファドロゾール、Rivisor(登録商標)ボロゾール、フェマーラ(登録商標)レトロゾール、アリミデックス(登録商標)アナストロゾ−ル;及び抗アンドロゲン薬、例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、ゴセレリン;及びトロキサシタビン(1,3−ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、異常な細胞増殖に関与するシグナル伝達経路における遺伝子、例えばPKCアルファ、Ralf、H−Rasの発現を阻害するもの;リボザイム、例えばVEGF発現阻害剤(Angiozyme(登録商標)リボザイムなど)、HER2発現阻害剤;遺伝子治療ワクチンなどのワクチン、例えば、アロベクチン(登録商標)ワクチン、ロイベクチン(登録商標)ワクチン、Vaxid(登録商標)ワクチン、Proleukin(登録商標)rIL−2;ラルトテカン(登録商標)トポイソメラーゼ1阻害剤;アバレリックス(登録商標)rmRH;並びに上述したものの薬学的に許容される塩、酸又は誘導体が含まれる。
【0069】
「抗血管新生剤」又は「血管新生阻害剤とは、血管新生、脈管形成又は望ましくない血管透過を直接的又は間接的に阻害する、分子量の小さい物質、ポリヌクレオチド(例えば阻害RNA(RNAi又はsiRNA)を含む)、ポリペプチド、単離されたタンパク質、組換えタンパク質、抗体又はそのコンジュゲート若しくは融合タンパク質を指す。抗血管新生剤は結合して、血管新生因子又はその受容体の血管新生活性を遮断する薬剤を含むことが理解されるべきである。例えば、抗血管新生剤は、血管新生剤に対する抗体又はその他のアンタゴニスト剤、例えばVEGF−Aに対する抗体(例えばベバシズマブ(アバスチン(登録商標))又はVEGF−A受容体(例えばKDR受容体又はFlt−1受容体)に対する抗体、グリベック(登録商標)(メシレ酸イマチニブ)などの抗PDGFR阻害剤、VEGF受容体シグナル伝達を遮断する小分子(例えばPTK787/ZK2284、SU6668、スーテント(登録商標)/SU11248(リンゴ酸スニチニブ)、AMG706又は、例えば国際公開第2004/113304号などに記載されているものである。また、抗血管新生剤には、天然の血管新生阻害剤、例えばアンジオスタチン、エンドスタチンなども含まれる。例えば、Klagsbrun and D’Amore (1991) Annu. Rev. Physiol. 53:217-39;Streit and Detmar (2003) Oncogene 22:3172-3179(例えば、悪性メラノーマにおける抗血管新生療法の一覧を示す表3);Ferrara & Alitalo (1999) Nature Medicine 5(12): 1359-1364;Tonini et al. (2003) Oncogene 22:6549-6556(例えば既知の抗血管新生因子の一覧を示す表2);及び、Sato (2003) Int. J. Clin. Oncol. 8:200-206(例えば臨床試験において使用される抗血管新生剤の一覧を示す表1)を参照のこと。
【0070】
本明細書において使用される「増殖阻害剤」は、細胞(例えばVEGF発現細胞)の増殖をin vitro又はin vivoのいずれかで阻害する化合物又は組成物を指す。したがって、増殖阻害剤は、S期の細胞(例えばVEGF発現細胞)の割合を有意に減少させるものでありうる。増殖阻害剤の例には、限定されないが、細胞周期の進行を(S期以外の所で)遮断する薬剤、例えばG1停止又はM期停止を誘導する薬剤が含まれる。典型的なM期遮断剤は、ビンカ(ビンクリスチン及びビンブラスチン)、タキサン、並びに、例えばドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド及びブレオマイシン等のトポイソメラーゼII阻害剤を含む。G1停止させるこれらの薬剤は、例えばタモキシフェン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキサート、5−フルオロウラシル及びアラ−C等のDNAアルキル化剤であり、S期停止にも波及する。さらなる情報は、Mendelsohn及びIsrael編The Molecular Basis of Cancer, 第1章, Murakamiら著「Cell cycle regulation, oncogenes, and antineoplastic drugs」 (W.B. Saunders, Philadelphia, 1995)の例えば13頁に見出される。タキサン(パクリタキセル及びドセタキセル)は、共にイチイに由来する抗がん剤である。ヨーロッパイチイに由来するドセタキセル(タキソテール(登録商標)、ローヌ・プーラン・ローラー)は、パクリタキセル(タキソール(登録商標)、ブリストルマイヤーズスクイブ)の半合成類似体である。パクリタキセル及びドセタキセルは、チューブリン二量体からの微小管の集合を促進し、脱重合を防ぐことによって微小管を安定化させ、その結果細胞における有糸分裂を阻害する。
【0071】
「抗新生物組成物」という用語は、少なくとも1の活性治療剤を含むがんの治療において有用な組成物を指す。治療薬の例には、限定されないが、化学療法剤、増殖阻害剤、細胞傷害性剤、放射線療法に使用される薬剤、抗血管新生剤、がん免疫療法剤、アポトーシス剤、抗チューブリン剤、及びがんを治療するためのその他の薬剤、例えば抗HER−2抗体、抗CD20抗体、上皮増殖因子受容体(EGFR)アンタゴニスト(例えばチロシンキナーゼ阻害剤)、HER1/EGFR阻害剤(例えばエルロチニブ(タルセバ(登録商標))、血小板由来増殖因子の阻害剤(例えばグリベック(登録商標)(メシル酸イマチニブ))、COX−2阻害剤(例えばセレコキシブ)、インターフェロン、CTLA4阻害剤(例えば抗CTLA抗体イピリムマブ(ヤーボイ(登録商標)))、TIM3阻害剤(例えば抗TIM3抗体)、サイトカイン、標的ErbB2、ErbB3、ErbB4、PDGFRベータ、BlyS、APRIL、BCMA、CTLA4、IM3又はVEGF受容体(複数可)の1つ以上に結合するアンタゴニスト(例えば中和抗体)、TRAIL/Apo2、並びに他の生物活性剤及び有機化学的薬剤等が含まれる。また、これらの組み合せも、本発明に含まれる。
【0072】
因子がリガンドである場合には1つ以上の受容体に結合することを含め、薬剤が因子の活性を中和、遮断、阻害、抑制、低減及び/又は妨害するとき、薬剤は因子活性を「アンタゴナイズする」。
【0073】
本明細書で使用される「治療」は、標的とする病態又は障害を予防又は緩徐化(軽減)する)ことを目的とした、治療的処置及び予防的又は防止的手段の双方を指す。特定の実施態様において、用語「治療」は、ヒトを含む哺乳動物における疾患の治療の投与又は適用を包含し、疾患又は疾患の進行を阻害または遅延させること;退行を引き起こすこと又は欠失、欠損若しくは欠陥のある機能を復元若しくは修復すること等により、疾患を部分的に若しくは完全に緩和すること;非効率的な過程を刺激すること;又はプラトーをもたらし疾患の重症度を低下させることを含む。用語「治療」はまた、任意の表現型特性の重症度を低下させること、及び/又はその特性の発生率、程度又は尤度を低下させることも含む。治療を必要とする者には、既にその障害を有する者のみならず、障害を生じやすい者又は障害が予防されるべき者も含まれる。
【0074】
「有効量」又は「治療的有効量」という用語は、対象における疾患又は障害を治療するのに有効な薬物の量を指す。特定の実施態様において、有効量とは、所望の治療的又は予防的結果を達成するために必要な用量及び期間での、有効な量を指す。本発明の抗CSF1R抗体及び/又は免疫刺激剤の治療的有効量は、個体の病状、年齢、性別及び体重、及び個体において所望の反応を引き出すための抗体の能力等の要因によって変わり得る。治療的有効量は、抗体の毒性又は有害効果が治療的に有益な効果を上回る量を包含する。いくつかの実施態様において、表現「有効量」は、がんの治療に有効な抗体の量を指す。
【0075】
「予防的有効量」とは、所望の予防的結果を達成するために必要な用量及び期間での、有効な量を指す。必ずではないが、通常、予防的用量は疾病の前又は初期の段階で対象において使用されるため、予防的有効量は、治療的有効量よりも少ないであろう。
【0076】
1以上のさらなる治療薬と「組み合わせた」投与とは、任意の順序での同時(共)及び連続(逐次)投与を含む。
【0077】
「薬学的に許容される担体」とは、対象への投与のための「薬学的組成物」を共に含む治療剤と併せて使用するための、当該技術分野において慣用である非毒性の固体、半固体又は液体のカプセル化材料、処方助剤又は担体を指す。薬学的に許容される担体は、用いられる用量及び濃度でレシピエントに対して非毒性であり、製剤の他の成分と適合性である。薬学的に許容される担体は、用いられる製剤に適している。例えば、治療剤が経口投与される場合、担体は、ゲルカプセルであってもよい。治療剤が皮下投与される場合、担体は、理想的には皮膚に対して刺激性ではなく、注射部位反応を引き起こさない。
【0078】
抗CSF1R抗体
抗CSF1R抗体は、限定されないが、ヒト化抗体、キメラ抗体、マウス抗体、ヒト抗体、並びに本明細書に記載の重鎖及び/又は軽鎖CDRを含む抗体を含む。
【0079】
例示的なヒト化抗体
いくつかの実施態様では、CSF1Rに結合する抗体が提供される。ヒト化抗体は、抗体治療剤に対する免疫応答をもたらすことができる非ヒト抗体に対するヒト免疫応答(ヒト抗マウス抗体(HAMA)応答など)を低減又は排除するため、治療分子として有用である。
【0080】
非限定的で例示的なヒト化抗体には、本明細書に記載のhuAb1〜huAb16が含まれる。非限定的で例示的なヒト化抗体には、huAb1からhuAb16より選択される抗体の重鎖可変領域及び/又はhuAb1からhuAb16より選択される抗体の軽鎖可変領域を含む抗体も含まれる。非限定的で例示的なヒト化抗体には、配列番号39から45より選択される重鎖可変領域及び/又は配列番号46から52より選択される軽鎖可変領域を含む抗体も含まれる。例示的なヒト化抗体には、限定されないが、0301、0302及び0311から選択される抗体の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、並びに/又は軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含むヒト化抗体も含まれる。
【0081】
いくつかの実施態様では、ヒト化抗CSF1R体は、0301、0302及び0311から選択される抗体の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、並びに/又は軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含む。非限定的で例示的なヒト化抗CSF1R抗体には、配列番号15、16及び17;配列番号21、22及び23;並びに配列番号27、28及び29から選択される重鎖CDR1、CDR2及びCDR3のセットを含む抗体が含まれる。非限定的で例示的なヒト化抗CSF1R抗体にはまた、配列番号18、19及び20;配列番号24、25及び26;並びに配列番号30、31及び32から選択される軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3のセットを含む抗体も含まれる。
【0082】
非限定的で例示的なヒト化抗CSF1R抗体には、表1(配列番号を表示。配列については、表8を参照)の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、並びに軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3のセットを含む抗体が含まれる。表1の各行は、例示的な抗体の重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、並びに軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3を示す。
【0083】
さらなる例示的なヒト化抗体
いくつかの実施態様において、ヒト化抗CSF1R抗体は、配列番号9、11、13、及び39から45から選択される配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一である可変領域配列を含む重鎖を含み、CSF1Rに結合する。いくつかの実施態様において、ヒト化抗CSF1R抗体は、配列番号10、12、14、及び46から52より選択される配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一である可変領域配列を含む軽鎖を含み、CSF1Rに結合する。いくつかの実施態様において、ヒト化抗CSF1R抗体は、配列番号9、11、13、及び39から45より選択される配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一の可変領域を含む重鎖と、配列番号10、12、14、及び46から52より選択される配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一の可変領域配列を含む軽鎖とを含み、CSF1Rに結合する。
【0084】
本明細書中で使用される場合、特定のポリペプチドが例えばアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるか否かは、例えばコンピュータープログラムを用いて決定することができる。特定の配列が、例えば参照配列と95%同一であるか否かを決定する場合、同一性のパーセンテージは、参照アミノ酸配列の完全長に対して計算される。
【0085】
いくつかの実施態様において、ヒト化抗CSF1R抗体は、本明細書で論じられるCDRの少なくとも1を含む。すなわち、いくつかの実施態様において、ヒト化抗CSF1R抗体は、本明細書で論じられる重鎖CDR1、本明細書で論じられる重鎖CDR2、本明細書で論じられる重鎖CDR3、本明細書で論じられる軽鎖CDR1、本明細書で論じられる軽鎖CDR2、及び本明細書で論じられる軽鎖CDR3から選択される少なくとも1つのCDRを含む。さらに、いくつかの実施態様において、ヒト化抗CSF1R抗体は、本明細書で論じられるCDRに基づく少なくとも1つの突然変異CDRを含み、突然変異CDRは、本明細書で論じられる該CDRに対して1、2、3又は4つのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施態様において、アミノ酸置換の1つ以上は、保存的アミノ酸置換である。当業者は、特定のCDR配列に適した1つ以上の保存的アミノ酸置換を選択することができ、この場合適切な保存的アミノ酸置換は、突然変異CDRを含む抗体の結合特性を有意に変化させるとは予想されない。
【0086】
例示的なヒト化抗CSF1R抗体はまた、CSF1Rへの結合について本明細書に記載の抗体と競合する抗体も含む。したがって、いくつかの実施態様では、CSF1Rへの結合についてFab0301、0302及び0311から選択される抗体及びこれらのFabの二価(すなわち2つの重鎖及び2つの軽鎖を有する)抗体バージョンと競合するヒト化抗CSF1R抗体が提供される。
【0087】
例示的なヒト化抗体定常領域
いくつかの実施態様において、本明細書に記載のヒト化抗体は、1つ以上のヒト定常領域を含む。いくつかの実施態様において、ヒト重鎖定常領域は、IgA、IgG及びIgDから選択されるアイソタイプである。いくつかの実施態様において、ヒト軽鎖定常領域は、κ及びλから選択されるアイソタイプである。いくつかの実施態様において、本明細書に記載のヒト化抗体は、ヒトIgG定常領域を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載のヒト化抗体は、ヒトIgG4重鎖定常領域を含む。いくつかのそのような実施態様において、本明細書に記載のヒト化抗体は、ヒトIgG4定常領域にS241P突然変異を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載のヒト化抗体は、ヒトIgG4定常領域及びヒトκ軽鎖を含む。
【0088】
重鎖定常領域の選択により、抗体がin vivoでエフェクター機能を有するか否かを決定することができる。そのようなエフェクター機能は、いくつかの実施態様では、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)を含み、抗体が結合する細胞を死滅させることができる。いくつかのがんを治療する方法を含むいくつかの治療方法では、例えば腫瘍の維持又は増殖を助ける細胞に抗体が結合する場合、細胞死滅が望ましい。腫瘍の維持又は増殖を支えることができる例示的な細胞には、限定されないが、腫瘍細胞それ自体、腫瘍への脈管構造の補充を助ける細胞、及び腫瘍増殖若しくは腫瘍生存を支えるか若しくは促進するリガンド、増殖因子又は対抗受容体を提供する細胞が含まれる。いくつかの実施態様において、エフェクター機能が望ましい場合、ヒトIgG1重鎖又はヒトIgG3重鎖を含む抗CSF1R抗体が選択される。
【0089】
抗体は、任意の方法によってヒト化され得る。ヒト化の非限定的で例示的な方法には、例えば米国特許第5530101号;同5585089号;同5693761号;同5693762号;同6180370号;Jones et al., Nature 321: 522-525 (1986);Riechmann et al., Nature 332: 323-27 (1988);Verhoeyen et al., Science 239: 1534-36 (1988);及び米国特許公開第2009/0136500号に記載されている方法が含まれる。
【0090】
上記のように、ヒト化抗体は、非ヒト可変領域のフレームワーク領域内の少なくとも1つのアミノ酸がヒトフレームワーク領域内の対応する位置のアミノ酸で置換されている抗体である。いくつかの実施態様において、非ヒト可変領域のフレームワーク領域内の少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも15又は少なくとも20のアミノ酸は、1つ以上のヒトフレームワーク領域内の1つ以上の対応する位置のアミノ酸で置換されている。
【0091】
いくつかの実施態様において、置換に使用される対応するヒトアミノ酸のいくつかは、異なるヒト免疫グロブリン遺伝子のフレームワーク領域由来である。すなわち、いくつかのそのような実施態様において、1つ以上の非ヒトアミノ酸は、第1のヒト抗体のヒトフレームワーク領域由来の対応するアミノ酸で置換されていてもよく、又は第1のヒト免疫グロブリン遺伝子によってコードされていてもよく;1つ以上の非ヒトアミノ酸は、第2のヒト抗体のヒトフレームワーク領域由来の対応するアミノ酸で置換されていてもよく、又は第2のヒト免疫グロブリン遺伝子によってコードされていてもよく;1つ以上の非ヒトアミノ酸は、第3のヒト抗体のヒトフレームワーク領域由来の対応するアミノ酸で置換されていてもよく、又は第3のヒト免疫グロブリン遺伝子によってコードされていてもよい。さらに、いくつかの実施態様において、単一のフレームワーク領域、例えばFR2における置換に用いられる対応するヒトアミノ酸のすべてが、同一のヒトフレームワーク由来である必要はない。しかし、いくつかの実施態様において、置換に用いられる対応するヒトアミノ酸のすべてが、同一のヒト抗体由来であるか、又は同一のヒト免疫グロブリン遺伝子によってコードされている。
【0092】
いくつかの実施態様において、抗体は、1つ以上のフレームワーク領域の全体を対応するヒトフレームワーク領域で置換することによってヒト化される。いくつかの実施態様において、置換される非ヒトフレームワーク領域に対して最高レベルの相同性を有するヒトフレームワーク領域が選択される。いくつかの実施態様では、そのようなヒト化抗体は、CDR移植抗体である。
【0093】
いくつかの実施態様において、CDR移植に続いて、1つ以上のフレームワークアミノ酸が、マウスフレームワーク領域の対応するアミノ酸に戻される。いくつかの実施態様において、そのような「逆突然変異」は、1つ以上のCDRの構造に寄与すると思われる、及び/又は抗原コンタクトに関与し得る、及び/又は抗体の全体的な構造統合性に関与すると思われる1つ以上のマウスフレームワークアミノ酸を保持するためになされる。いくつかの実施態様において、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、1又は0の逆突然変異がCDR移植後の抗体のフレームワーク領域に対してなされる。
【0094】
いくつかの実施態様において、ヒト化抗体はまた、ヒト重鎖定常領域及び/又はヒト軽鎖定常領域.も含む。
【0095】
例示的なキメラ抗体
いくつかの実施態様では、抗CSF1R抗体は、キメラ抗体である。いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体は、少なくとも1の非ヒト可変領域及び少なくとも1のヒト定常領域を含む。いくつかのそのような実施態様において、抗CSF1R抗体の可変領域のすべてが非ヒト可変領域であり、抗CSF1R抗体の定常領域のすべてがヒト定常領域である。いくつかの実施態様において、キメラ抗体の1つ以上の可変領域は、マウス可変領域である。キメラ抗体のヒト定常領域は、非ヒト定常領域と同じアイソタイプである必要はなく、必要に応じて置き換わる。キメラ抗体は、例えば米国特許第4816567号及びMorrison et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81: 6851-55 (1984)に記載されている。
【0096】
非限定的で例示的なキメラ抗体には、0301、0302及び0311から選択される抗体の重及び/又は軽鎖可変領域を含むキメラ抗体が含まれる。非限定的で例示的な追加のキメラ抗体には、0301、0302及び0311から選択される抗体の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3並びに/又は軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含むキメラ抗体が含まれる。
【0097】
非限定的で例示的なキメラ抗CSF1R抗体には、重及び軽鎖可変領域の配列番号9と10;配列番号11と12;配列番号13と14の対を含む抗体が含まれる。
【0098】
非限定的で例示的な抗CSF1R抗体には、上の表1に示される重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、並びに軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3のセットを含む抗体が含まれる。
【0099】
さらなる例示的なキメラ抗体
いくつかの実施態様において、キメラ抗CSF1R抗体は、配列番号9、11、13、及び39から45より選択される配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一である可変領域配列を含む重鎖を含み、CSF1Rに結合する。いくつかの実施態様において、キメラ抗CSF1R抗体は、配列番号10、12、14、及び46から52より選択される配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一である可変領域配列を含む軽鎖を含み、CSF1Rに結合する。いくつかの実施態様において、キメラ抗CSF1R抗体は、配列番号9、11、13、及び39から45より選択される配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一の可変領域を含む重鎖と、配列番号10、12、14、及び46から52より選択される配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一の可変領域配列を含む軽鎖とを含み、CSF1Rに結合する。
【0100】
いくつかの実施態様において、キメラ抗CSF1R抗体は、本明細書で論じられるCDRの少なくとも1を含む。すなわち、いくつかの実施態様において、キメラ抗CSF1R抗体は、本明細書で論じられる重鎖CDR1、本明細書で論じられる重鎖CDR2、本明細書で論じられる重鎖CDR3、本明細書で論じられる軽鎖CDR1、本明細書で論じられる軽鎖CDR2、及び本明細書で論じられる軽鎖CDR3から選択される少なくとも1つのCDRを含む。さらに、いくつかの実施態様において、キメラ抗CSF1R抗体は、本明細書で論じられるCDRに基づく少なくとも1つの突然変異CDRを含み、突然変異CDRは、本明細書で論じられる該CDRに対して1、2、3又は4つのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施態様において、アミノ酸置換の1つ以上は、保存的アミノ酸置換である。当業者は、特定のCDR配列に適した1つ以上の保存的アミノ酸置換を選択することができ、適切な保存的アミノ酸置換は、突然変異CDRを含む抗体の結合特性を著しく変化させるとは予想されない。
【0101】
例示的なキメラ抗CSF1R抗体はまた、CSF1Rへの結合について本明細書に記載の抗体と競合するキメラ抗体も含む。したがって、いくつかの実施態様では、CSF1Rへの結合についてFab0301、0302及び0311から選択される抗体及びこれらのFabの二価(すなわち2つの重鎖及び2つの軽鎖を有する)抗体バージョンと競合するキメラ抗CSF1R抗体が提供される。
【0102】
例示的なキメラ抗体定常領域
いくつかの実施態様において、本明細書に記載のキメラ抗体は、1つ以上のヒト定常領域を含む。いくつかの実施態様において、ヒト重鎖定常領域は、IgA、IgG及びIgDから選択されるアイソタイプである。いくつかの実施態様において、ヒト軽鎖定常領域は、κ及びλから選択されるアイソタイプである。いくつかの実施態様において、本明細書に記載のキメラ抗体は、ヒトIgG定常領域を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載のキメラ抗体は、ヒトIgG4重鎖定常領域を含む。いくつかのそのような実施態様において、本明細書に記載のキメラ抗体は、ヒトIgG4定常領域にS241P突然変異を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載のキメラ抗体は、ヒトIgG4定常領域及びヒトκ軽鎖を含む。
【0103】
上記のように、エフェクター機能が望ましいか否かは、抗体を対象とする特定の治療方法に依存し得る。したがって、いくつかの実施態様において、エフェクター機能が望ましい場合、ヒトIgG1重鎖定常領域又はヒトIgG3重鎖定常領域を含むキメラ抗CSF1R抗体が選択される。いくつかの実施態様において、エフェクター機能が望ましくない場合、ヒトIgG4又はIgG2重鎖定常領域を含むキメラ抗CSF1R抗体が選択される。
【0104】
例示的なヒト抗体
ヒト抗体は、任意の適切な方法によって作製することができる。非限定的で例示的な方法は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を含むトランスジェニックマウスにおいてヒト抗体を作製することを含む。例えば、Jakobovits et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 2551-55 (1993); Jakobovits et al., Nature 362: 255-8 (1993); Lonberg et al., Nature 368: 856-9 (1994);及び米国特許第5545807号;;同6713610号;同6673986号;同6162963号;同5545807号;同6300129号;同6255458号;同5877397号;同5874299号;同5545806を参照されたい。
【0105】
また、非限定的で例示的な方法には、ファージディスプレイライブラリーを用いてヒト抗体を作製することも含まれる。例えば、Hoogenboom et al., J. Mol. Biol. 227: 381-8 (1992); Marks et al., J. Mol. Biol. 222: 581-97 (1991);及びPCT公開番号WO99/10494を参照されたい。
【0106】
いくつかの実施態様において、ヒト抗CSF1R抗体は、配列番号1の配列を有するポリペプチドに結合する。例示的なヒト抗CSF1R抗体には、CSF1Rへの結合について本明細書に記載の抗体と競合する抗体も含まれる。したがって、いくつかの実施態様では、CSF1Rへの結合についてFab0301、0302及び0311から選択される抗体及びこれらのFabの二価(すなわち2つの重鎖及び2つの軽鎖を有する)抗体バージョンと競合するヒト抗CSF1R抗体が提供される。
【0107】
いくつかの実施態様において、ヒト抗CSF1R抗体は、1つ以上のヒト定常領域を含む。いくつかの実施態様において、ヒト重鎖定常領域は、IgA、IgG及びIgDから選択されるアイソタイプである。いくつかの実施態様において、ヒト軽鎖定常領域は、κ及びλから選択されるアイソタイプである。いくつかの実施態様において、本明細書に記載のヒト抗体は、ヒトIgG定常領域を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載のヒト抗体は、ヒトIgG4重鎖定常領域を含む。いくつかのそのような実施態様において、本明細書に記載のヒト抗体は、ヒトIgG4定常領域にS241P突然変異を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載のヒト抗体は、ヒトIgG4定常領域及びヒトκ軽鎖を含む。
【0108】
いくつかの実施態様において、エフェクター機能が望ましい場合、ヒトIgG1重鎖定常領域又はヒトIgG3重鎖定常領域を含むヒト抗CSF1R抗体が選択される。いくつかの実施態様において、エフェクター機能が望ましくない場合、ヒトIgG4又はIgG2重鎖定常領域を含むヒト抗CSF1R抗体が選択される。
【0109】
例示的な追加の抗CSF1R抗体
例示的な抗CSF1R抗体には、例えば本明細書に記載のCDR配列を1つ以上含むマウス、ヒト化、ヒト、キメラ及び操作された抗体も含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様では、抗CSF1R抗体は、本明細書に記載の重鎖可変領域を含む。いくつかの実施態様では、抗CSF1R抗体は、本明細書に記載の軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体は、本明細書に記載の重鎖可変領域及び本明細書に記載の軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体は、本明細書に記載の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含む。いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体は、本明細書に記載の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含む。いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体は、本明細書に記載の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、並びに本明細書に記載の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含む。
【0110】
いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体は、Fab0301、0302及び0311から選択される抗体の重鎖可変領域を含む。非限定的で例示的な抗CSF1R抗体には、ヒト化抗体huAb1〜huAb16より選択される抗体の重鎖可変領域を含む抗体も含まれる。非限定的で例示的な抗CSF1R抗体には、配列番号9、11、13、及び39から45より選択される配列を含む重鎖可変領域を含む抗体が含まれる。
【0111】
いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体は、Fab0301、0302及び0311から選択される抗体の軽鎖可変領域を含む。非限定的で例示的な抗CSF1R抗体には、ヒト化抗体huAb1〜huAb16より選択される抗体の軽鎖可変領域を含む抗体も含まれる。非限定的で例示的な抗CSF1R抗体には、配列番号10、12、14、及び46から52より選択される配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体が含まれる。
【0112】
いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体は、Fab0301、0302及び0311から選択される抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。非限定的で例示的な抗CSF1R抗体には、ヒト化抗体huAb1〜huAb16より選択される抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む抗体も含まれる。非限定的で例示的な抗CSF1R抗体には、重及び軽鎖可変領域の配列番号9と10;配列番号11と12;配列番号13と14;配列番号39と40;配列番号41と42;配列番号43と44;配列番号45と46;配列番号47と48;配列番号49と50;配列番号51と52の対を含む抗体が含まれる。非限定的で例示的な抗CSF1R抗体には、重及び軽鎖の配列番号33と34;配列番号35と36;配列番号37と38の対を含む抗体も含まれる。
【0113】
いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体は、Fab0301、0302及び0311から選択される抗体の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含む。非限定的で例示的な抗CSF1R抗体には、配列番号15、16及び17;配列番号21、22及び23;並びに配列番号27、28及び29から選択される重鎖CDR1、CDR2及びCDR3のセットを含む抗体も含まれる。
【0114】
いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体は、Fab0301、0302及び0311から選択される抗体の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含む。非限定的で例示的な抗CSF1R抗体には、配列番号18、19及び20;配列番号24、25及び26;並びに配列番号30、31及び32から選択される軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3のセットを含む抗体も含まれる。
【0115】
いくつかの実施態様では、抗CSF1R体は、Fab0301、0302及び0311から選択される抗体の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、並びに軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含む。
【0116】
非限定的で例示的な抗CSF1R抗体には、上の表1に示される重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、並びに軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3のセットを含む抗体が含まれる。
【0117】
さらなる例示的な抗体
いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体は、配列番号9、11、13、及び39から45より選択される配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一である可変領域配列を含む重鎖を含み、CSF1Rに結合する。いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体は、配列番号10、12、14、及び46から52より選択される配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一である可変領域配列を含む軽鎖を含み、CSF1Rに結合する。いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体は、配列番号9、11、13、及び39から45より選択される配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一の可変領域を含む重鎖と、配列番号10、12、14、及び46から52より選択される配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一の可変領域配列を含む軽鎖とを含み、CSF1Rに結合する。
【0118】
いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体は、本明細書で論じられるCDRの少なくとも1を含む。すなわち、いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体は、本明細書で論じられる重鎖CDR1、本明細書で論じられる重鎖CDR2、本明細書で論じられる重鎖CDR3、本明細書で論じられる軽鎖CDR1、本明細書で論じられる軽鎖CDR2、及び本明細書で論じられる軽鎖CDR3から選択される少なくとも1つのCDRを含む。さらに、いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体は、本明細書で論じられるCDRに基づく少なくとも1つの突然変異CDRを含み、突然変異CDRは、本明細書で論じられる該CDRに対して1、2、3又は4つのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施態様において、アミノ酸置換の1つ以上は、保存的アミノ酸置換である。当業者は、特定のCDR配列に適した1つ以上の保存的アミノ酸置換を選択することができ、適切な保存的アミノ酸置換は、突然変異CDRを含む抗体の結合特性を著しく変化させるとは予想されない。
【0119】
例示的な抗CSF1R抗体には、CSF1Rへの結合について本明細書に記載の抗体と競合する抗体も含まれる。したがって、いくつかの実施態様では、CSF1Rへの結合についてFab0301、0302及び0311から選択される抗体及びこれらのFabの二価(すなわち2つの重鎖及び2つの軽鎖を有する)抗体バージョンと競合する抗CSF1R抗体が提供される。
【0120】
例示的な抗体定常領域
いくつかの実施態様において、本明細書に記載の抗体は、1つ以上のヒト定常領域を含む。いくつかの実施態様において、ヒト重鎖定常領域は、IgA、IgG及びIgDから選択されるアイソタイプである。いくつかの実施態様において、ヒト軽鎖定常領域は、κ及びλから選択されるアイソタイプである。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の抗体は、ヒトIgG定常領域を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の抗体は、ヒトIgG4重鎖定常領域を含む。いくつかのそのような実施態様において、本明細書に記載の抗体は、ヒトIgG4定常領域にS241P突然変異を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の抗体は、ヒトIgG4定常領域及びヒトκ軽鎖を含む。
【0121】
上記のように、エフェクター機能が望ましいか否かは、抗体を対象とする特定の治療方法に依存し得る。したがって、いくつかの実施態様において、エフェクター機能が望ましい場合、ヒトIgG1重鎖定常領域又はヒトIgG3重鎖定常領域を含む抗CSF1R抗体が選択される。いくつかの実施態様において、エフェクター機能が望ましくない場合、ヒトIgG4又はIgG2重鎖定常領域を含む抗CSF1R抗体が選択される。
【0122】
例示的な抗CSF1R重鎖可変領域
いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体重鎖可変領域が提供される。いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体重鎖可変領域は、マウス可変領域、ヒト可変領域又はヒト化可変領域である。
【0123】
抗CSF1R抗体重鎖可変領域は、重鎖CDR1、FR2、CDR2、FR3及びCDR3を含む。いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体重鎖可変領域は、重鎖FR1及び/又はFR4をさらに含む。非限定的で例示的な重鎖可変領域には、限定されないが、配列番号9、11、13、及び39から45より選択されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域が含まれる。
【0124】
いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体重鎖可変領域は、配列番号15、21及び27から選択される配列を含むCDR1を含む。
【0125】
いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体重鎖可変領域は、配列番号16、22及び28から選択される配列を含むCDR2を含む。
【0126】
いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体重鎖可変領域は、配列番号17、23及び29から選択される配列を含むCDR3を含む。
【0127】
非限定的で例示的な重鎖可変領域には、限定されないが、配列番号15、16及び17;配列番号21、22及び23;並びに配列番号27、28及び29から選択されるCDR1、CDR2及びCDR3のセットを含む重鎖可変領域が含まれる。
【0128】
いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体重鎖は、配列番号9、11、13、及び39から45より選択される配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一の可変領域配列を含み、重鎖は、軽鎖と共に、CSF1Rに結合する抗体を形成する能力を有する。
【0129】
いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体重鎖は、本明細書で論じられるCDRの少なくとも1つを含む。すなわち、いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体重鎖は、本明細書で論じられる重鎖CDR1、本明細書で論じられる重鎖CDR2、及び本明細書で論じられる重鎖CDR3から選択される少なくとも1つのCDRを含む。さらに、いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体重鎖は、本明細書で論じられるCDRに基づく少なくとも1つの突然変異CDRを含み、突然変異CDRは、本明細書で論じられる該CDRに対して1、2、3又は4つのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施態様において、アミノ酸置換の1つ以上は、保存的アミノ酸置換である。当業者は、特定のCDR配列に適した1つ以上の保存的アミノ酸置換を選択することができ、適切な保存的アミノ酸置換は、突然変異CDRを含む重鎖の結合特性を有意に変化させるとは予想されない。
【0130】
いくつかの実施態様において、重鎖は、重鎖定常領域を含む。いくつかの実施態様において、重鎖は、ヒト重鎖定常領域を含む。いくつかの実施態様において、ヒト重鎖定常領域は、IgA、IgG及びIgDから選択されるアイソタイプである。いくつかの実施態様において、ヒト重鎖定常領域は、IgG定常領域である。いくつかの実施態様において、重鎖は、ヒトigG4重鎖定常領域を含む。いくつかのそのような実施態様において、ヒトIgG4重鎖定常領域は、S241P突然変異を含む。
【0131】
いくつかの実施態様において、エフェクター機能が望ましい場合、重鎖は、ヒトIgG1又はIgG3重鎖定常領域を含む。いくつかの実施態様において、エフェクター機能があまり望ましくない場合、重鎖は、ヒトIgG4又はIgG2重鎖定常領域を含む。
【0132】
例示的な抗CSF1R軽鎖可変領域
いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体軽鎖可変領域が提供される。いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体軽鎖可変領域は、マウス可変領域、ヒト可変領域又はヒト化可変領域である。
【0133】
抗CSF1R抗体軽鎖可変領域は、軽鎖CDR1、FR2、CDR2、FR3及びCDR3を含む。いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体軽鎖可変領域は、軽鎖FR1及び/又はFR4をさらに含む。非限定的で例示的な軽鎖可変領域には、配列番号10、12、14、及び46から52より選択されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域が含まれる。
【0134】
いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体軽鎖可変領域は、配列番号18、24及び30から選択される配列を含むCDR1を含む。
【0135】
いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体軽鎖可変領域は、配列番号19、25及び31から選択される配列を含むCDR2を含む。
【0136】
いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体軽鎖可変領域は、配列番号20、26及び32から選択される配列を含むCDR3を含む。
【0137】
非限定的で例示的な軽鎖可変領域には、限定されないが、配列番号18、19及び20;配列番号24、25及び26;並びに配列番号30、31及び32から選択されるCDR1、CDR2及びCDR3のセットを含む軽鎖可変領域が含まれる。
【0138】
いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体軽鎖は、配列番号10、12、14、及び46から52より選択される配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一の可変領域配列を含み、軽鎖は、重鎖と共に、CSF1Rに結合する抗体を形成する能力を有する。
【0139】
いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体軽鎖は、本明細書で論じられるCDRの少なくとも1つを含む。すなわち、いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体軽鎖は、本明細書で論じられる軽鎖CDR1、本明細書で論じられる軽鎖CDR2、及び本明細書で論じられる軽鎖CDR3から選択される少なくとも1つのCDRを含む。さらに、いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体軽鎖は、本明細書で論じられるCDRに基づく少なくとも1つの突然変異CDRを含み、突然変異CDRは、本明細書で論じられる該CDRに対して1、2、3又は4つのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施態様において、アミノ酸置換の1つ以上は、保存的アミノ酸置換である。当業者は、特定のCDR配列に適した1つ以上の保存的アミノ酸置換を選択することができ、適切な保存的アミノ酸置換は、突然変異CDRを含む重鎖の結合特性を有意に変化させるとは予想されない。
【0140】
いくつかの実施態様において、軽鎖は、ヒト軽鎖定常領域を含む。いくつかの実施態様において、ヒト軽鎖定常領域は、ヒトκ及びヒトλ軽鎖定常領域から選択される。
【0141】
例示的な追加のCSF1R結合分子
いくつかの実施態様では、CSF1Rに結合する追加の分子が提供される。そのような分子には、限定されないが、抗カリン(anti-calin)、アドネクチン、アンキリンリピート等の非古典的足場が含まれる。例えば、Hosse et al., Prot. Sci. 15:14 (2006); Fiedler, M. and Skerra, A., “Non-Antibody Scaffolds,” pp.467-499, Handbook of Therapeutic Antibodies, Dubel, S., ed., Wiley-VCH, Weinheim, Germany, 2007を参照されたい。
【0142】
抗CSF1R抗体の例示的な特性
いくつかの実施態様において、上記の構造を有する抗体は、1nM未満の結合親和性(KD)でCSF1Rに結合し、CSF1R及び/又はIL−34のCSF1Rへの結合を遮断し、CSF1R及び/又はIL−34によって誘導されるCSF1Rリン酸化を抑制する。
【0143】
いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体は、CSF1Rの細胞外ドメイン(CSF1R−ECD)に結合する。いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体は、1nM未満、0.5nM未満、0.1nM未満又は0.05nM未満のCSF1Rに対する結合親和性(K
D)を有する。いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体は、0.01〜1nM、0.01〜0.5nM、0.01〜0.1nM、0.01〜0.05nM又は0.02〜0.05nMのK
Dを有する。
【0144】
いくつかの実施態様では、抗CSF1R抗体は、CSF1Rへのリガンド結合を遮断する。いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体は、CSF1のCSF1Rへの結合を遮断する。いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体は、IL−34のCSF1Rへの結合を遮断する。いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体は、CSF1RとIL−34の双方のCSF1Rに対する結合を遮断する。いくつかの実施態様において、リガンド結合を遮断する抗体は、CSF1Rの細胞外ドメインに結合する。いくつかの実施態様において、目的に応じて参照により本明細書に援用される米国特許第8206715号の実施例7などに記載のアッセイを用い、抗体がリガンドのCSF1Rに対する検出可能な結合量を少なくとも50%減少させる場合、抗体は、CSF1Rへのリガンド結合を遮断する。いくつかの実施態様において、抗体は、リガンドのCSF1Rに対する検出可能な結合の量を、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%又は少なくとも90%減少させる。いくつかのそのような実施態様において、抗体は、リガンド結合を少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%等、遮断するといわれる。
【0145】
いくつかの実施態様では、抗CSF1R抗体は、リガンド誘導性CSF1Rリン酸化を抑制する。いくつかの実施態様では、抗CSF1R抗体は、CSF1誘導性CSF1Rリン酸化を抑制する。いくつかの実施態様では、抗CSF1R抗体は、IL−34誘導性CSF1Rリン酸化を抑制する。いくつかの実施態様では、抗CSF1R抗体は、CSF1誘導性とIL−34誘導性双方のCSF1Rリン酸化を抑制する。いくつかの実施態様において、目的に応じて参照により本明細書に援用される米国特許第8206715号の実施例6などに記載のアッセイを用い、抗体が検出可能なリガンド誘導性CSF1Rリン酸化の量を少なくとも50%減少させる場合、抗体は、「リガンド誘導性CSF1Rリン酸化を抑制する」と考えられる。いくつかの実施態様において、抗体は、検出可能なリガンド誘導性CSF1Rリン酸化の量を少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%又は少なくとも90%減少させる。いくつかのそのような実施態様において、抗体は、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%等、リガンド誘導性CSF1Rリン酸化を抑制するといわれている。
【0146】
いくつかの実施態様において、抗体は、CSF1及び/又はIL−34の存在下で、単球増殖及び/又は生存応答を抑制する。いくつかの実施態様において、目的に応じて参照により本明細書に援用される米国特許第8206715号、実施例10などに記載のアッセイを用い、抗体がCSF1及び/又はIL−34の存在下で単球増殖及び/又は生存応答の量を少なくとも50%減少させる場合、抗体は、「単球増殖及び/又は生存応答を抑制する」と考えられる。いくつかの実施態様において、抗体は、CSF1及び/又はIL−34の存在下で、単球増殖及び/又は生存応答の量を少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%又は少なくとも90%減少させる。いくつかのそのような実施態様において、抗体は、単球増殖及び/又は生存応答を少なくとも少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%等抑制するといわれている。
【0147】
例示的な免疫刺激剤
免疫刺激剤は、例えば小分子薬物、抗体若しくはその断片又はその他の生物学的分子若しくは小分子を含み得る。生物学的免疫刺激剤の例には、抗体、抗体断片、例えば受容体−リガンド結合を遮断する受容体又はリガンドポリペプチドの断片、ワクチン及びサイトカインが含まれるが、これらに限定されない。一実施態様において、抗体は、モノクローナル抗体である。ある特定の態様において、モノクローナル抗体は、ヒト化又はヒト抗体である。
【0148】
いくつかの実施態様では、少なくとも1の免疫刺激剤が、共刺激分子を含む免疫刺激分子のアゴニストを含むが、いくつかの実施様では、少なくとも1の免疫刺激剤が、共抑制分子を含む免疫抑制分子のアンタゴニストを含む。いくつかの実施態様では、少なくとも1の免疫刺激剤が、T細胞などの免疫細胞上に見られる共刺激分子を含む免疫刺激分子のアゴニストを含む。いくつかの実施態様では、少なくとも1の免疫刺激剤が、T細胞などの免疫細胞上に見られる共刺激分子を含む免疫刺激分子のアンタゴニストを含む。いくつかの実施態様では、少なくとも1の免疫刺激剤が、NK細胞などの自然免疫に関わる細胞上に見られる共刺激分子を含む免疫刺激分子のアゴニストを含む。いくつかの実施態様では、少なくとも1の免疫刺激剤が、NK細胞などの自然免疫に関わる細胞上に見られる共抑制分子を含む免疫抑制分子のアンタゴニストを含む。いくつかの実施態様において、この組み合わせは、治療される対象における抗原特異的T細胞応答及び/又は該対象における自然免疫応答を増強する。いくつかの実施態様において、この組み合わせは、抗CSF1R抗体又は免疫刺激剤単独の投与と比較して、異種移植モデルなどの動物のがんモデルにおける抗腫瘍応答の改善をもたらす。いくつかの実施態様において、この組み合わせは、抗CSF1R抗体又は免疫刺激剤単独の投与と比較して、異種移植モデルなどの動物のがんモデルにおいて相乗的な応答をもたらす。
【0149】
ある特定の実施態様では、免疫刺激剤は、免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)のメンバーである刺激又は抑制分子を標的とする。例えば、免疫刺激剤は、B7−1、B7−2、B7−H2(ICOS−L)、B7−H3、B7−H4、B7−H5(VISTA)及びB7−H6を含む膜結合リガンドのB7ファミリーのメンバー又はB7ファミリーメンバーに特異的に結合する共刺激性若しくは共抑制性受容体を標的とする(又はそれらに特異的に結合する)薬剤であってもよい。免疫刺激剤は、膜結合リガンドのTNFファミリーのメンバー又はTNFファミリーのメンバーに特異的に結合する共刺激若しくは共抑制性受容体を標的とする薬剤であってもよい。免疫刺激剤によって標的とされ得る例示的なTNF及びTNFRファミリーメンバーには、CD40並びにCD40L、OX−40、OX−40L、GITR、GITRL、CD70、CD27L、CD30、CD30L、4−1BBL、CD137(4−1BB)、TRAIL/Apo2−L、TRAILR1/DR4、TRAILR2/DR5、TRAILR3、TRAILR4、OPG、RANK、RANKL、TWEAKR/Fn14、TWEAK、BAFFR、EDAR、XEDAR、TACI、APRIL、BCMA、LTβR、LIGHT、DcR3、HVEM、VEGI/TL1A、TRAMP/DR3、EDAR、EDA1、XEDAR、EDA2、TNFR1、リンホトキシンα/TNFβ、TNFR2、TNFα、LTβR、リンホトキシンα1β2、FAS、FASL、RELT、DR6、TROY及びNGFRが含まれる。免疫刺激剤は、上記のようなB7ファミリーメンバー、B7受容体ファミリーメンバー、TNFファミリーメンバー又はTNFRファミリーメンバーなどのIgSFメンバーを標的とする薬剤、例えば抗体であり得る。
【0150】
いくつかの実施態様において、免疫刺激剤は、(i)CTLA−4、LAG−3、TIM3、ガレクチン9、CEACAM−1、BTLA、CD69、ガレクチン1、TIGIT、CD113、GPR56、VISTA、B7−H3、B7−H4、2B4、CD48、GARP、PD1H、LAIR1、TIM−1、TIM−4及びILT4といったT細胞活性化を抑制するタンパク質のアンタゴニスト(例えば免疫チェックポイント阻害剤)を含んでいてもよく、及び/又は(ii)B7−1、B7−2、CD28,4−1BB(CD137)、4−1BBL、ICOS、ICOS−L、OX40、OX40L、GITR、GITRL、CD70、CD27、CD40,、CD40L、DR3及びCD28HといったT細胞活性化を刺激するタンパク質のアゴニストを含んでいてもよい。
【0151】
いくつかの実施態様において、免疫刺激剤は、T細胞活性化を抑制するサイトカイン(例えばIL−6、IL−10、TGF−β、VEGF及び他の免疫抑制性サイトカイン)を抑制する薬剤を含んでいてもよく、又はそのようなサイトカインのアンタゴニストである。いくつかの実施態様において、免疫刺激剤は、CXCR2(例えばMK−7123)、CXCR4(例えばAMD3100)、CCR2又はCCR4(モガムリズマブ)などのケモカインのアンタゴニストを含んでいてもよい。
【0152】
いくつかの実施態様において、免疫刺激剤は、NK細胞上の抑制性受容体のアンタゴニスト又はNK細胞上の活性化受容体のアゴニストを含み得る。例えば、抗CSF1R抗体は、KIRのアンタゴニストと、任意選択的に少なくとも1の他の免疫刺激剤、例えばCD40のアゴニストと組み合わせることができる。
【0153】
免疫刺激剤はまた、TGF−βシグナル伝達を抑制する薬剤、腫瘍抗原提示を増強する薬剤、例えば樹状細胞ワクチン、GM−CSF分泌細胞ワクチン、CpGオリゴヌクレオチド及びイミキモド、又は腫瘍細胞の免疫原性を増強する療法(例えばアントラサイクリン)を含み得る。
【0154】
免疫刺激剤はまた、特定のワクチン、例えばメソテリン標的ワクチン又は弱毒化リステリアがんワクチン、例えばCRS−207を含み得る。
【0155】
免疫刺激剤はまた、CD25に特異的に結合する薬剤など、Treg細胞を枯渇させるか又は遮断する薬剤を含み得る。
【0156】
免疫刺激剤はまた、インドールアミンジオキシゲナーゼ(IDO)、ジオキシゲナーゼ、アルギナーゼ又は一酸化窒素合成酵素などの代謝酵素を抑制する薬剤を含み得る。
【0157】
免疫刺激剤はまた、アデノシンの形成を抑制するか又はアデノシンA2A受容体を抑制する薬剤を含み得る。
【0158】
免疫刺激剤はまた、T細胞アネルギー又は枯渇を逆転させる/防止する薬剤と、腫瘍部位で先天的免疫の活性化及び/又は炎症を引き起こす薬剤とを含み得る。
【0159】
抗CSF1R抗体は、CD40アゴニスト及び少なくとも1の追加の免疫刺激剤など、2以上の免疫刺激剤と組み合わせることができる。抗CSF1R抗体は、任意選択的にCD40アゴニストを伴い、免疫経路の複数の要素を標的とするコンビナトリアルアプローチである、例えば次の1つ以上:腫瘍抗原提示を増強する少なくとも1の薬剤(例えば樹状細胞ワクチン、GM−CSF分泌細胞ワクチン、CpGオリゴヌクレオチド、イミキモド);例えばCTLA−4経路を阻害することによって、及び/又はTreg若しくは他の免疫抑制細胞を枯渇させることによって負の免疫調節を抑制する少なくとも1の薬剤;例えばCD−137、OX−40及び/若しくはGITR経路を刺激し、並びに/又はT細胞エフェクター機能を刺激するアゴニストを用いて正の免疫調節を刺激する療法;抗腫瘍T細胞の出現頻度を全身的に増加させる少なくとも1の薬剤;例えばCD25のアンタゴニスト(例えばダクリズマブ)を用いて、又はエクスビボ抗CD25ビーズ枯渇によって、腫瘍内のTレグなどのTレグを枯渇又は抑制する療法;腫瘍内のサプレッサー骨髄系細胞の機能に影響を及ぼす少なくとも1の薬剤;腫瘍細胞の免疫原性を増強する療法(例えばアントラサイクリン);例えばキメラ抗原受容体によって改変された細胞などの遺伝子組換え細胞を含む養子T細胞又はNK細胞移入(CAR−T療法);インドールアミンジオキシゲナーゼ(IDO)、ジオキシゲナーゼ、アルギナーゼ又は一酸化窒素合成酵素などの代謝酵素を抑制する少なくとも1の薬剤;T細胞のアネルギー又は枯渇を逆転させる/防止する少なくとも1の薬剤;腫瘍部位で先天性免疫の活性化及び/又は炎症を引き起こす療法;免疫刺激性サイトカインの投与又は免疫抑制性サイトカインの遮断と組み合わせることができる。
【0160】
例えば、抗CSF1R抗体は、任意選択的にCD40アゴニストを伴い、正の共刺激受容体を結合する1以上のアゴニスト剤;腫瘍微小環境内で異なる免疫抑制経路を克服するアンタゴニストなど、抑制性受容体を介したシグナル伝達を弱める1以上のアンタゴニスト(遮断薬);T細胞などの抗腫瘍免疫細胞の出現頻度を全身的に増加させ、(例えばCD25を阻害することによって)Tregを枯渇させるか又は抑制する1以上の薬剤;IDOなどの代謝酵素を抑制する1以上の薬剤;T細胞のアネルギー又は枯渇を逆転させる/防止する1以上の薬剤;及び腫瘍部位で先天性免疫の活性化及び/又は炎症を引き起こす1以上の薬剤と共に使用することができる。
【0161】
一実施態様では、少なくとも1の免疫刺激剤が、アンタゴニスト性CTLA−4抗体などのCTLA−4アンタゴニストを含む。好適なCTLA−4抗体には、例えばYERVOY(イピリムマブ)又はトレメリムマブが含まれる。
【0162】
いくつかの実施態様では、少なくとも1の免疫刺激剤が、アンタゴニスト性LAG−3抗体などのLAG−3アンタゴニストを含む。好適なLAG3抗体には、例えばBMS−986016(国際公開第10/19570号、国際公開第14/08218号)又はIMP−731若しくはIMP−321(国際公開第08/132601号、国際公開第09/44273号)が含まれる。
【0163】
いくつかの実施態様では、少なくとも1の免疫刺激剤が、アゴニスト性CD137抗体などのCD137(4−1BB)アゴニストを含む。好適なCD137抗体には、例えばウレルマブ又はPF−05082566(国際公開第12/32433号)が含まれる。
【0164】
いくつかの実施態様では、少なくとも1の免疫刺激剤が、アゴニスト性GITR抗体などのGITRアゴニストを含む。好適なGITR抗体には、例えばTRX−518(国際公開第06/105021号、国際公開第09/009116号)、MK−4166(国際公開第11/028683号)又は国際公開第2015/031667号に開示のGITR抗体が含まれる。
【0165】
いくつかの実施態様では、少なくとも1の免疫刺激剤が、アゴニスト性OX40抗体などのOX40アゴニストを含む。好適なOX40抗体には、例えばMEDI−6383、MEDI−6469又はMOXR0916(RG7888;国際公開第06/029879号)が含まれる。
【0166】
いくつかの実施態様では、少なくとも1の免疫刺激剤が、アゴニスト性CD27抗体であるCD27アゴニストを含む。好適なCD27抗体には、例えばバルリルマブ(CDX−1127)が含まれる。
【0167】
いくつかの実施態様では、少なくとも1の免疫刺激剤が、B7H3を標的とするMGA271(国際公開第11/109400号)を含む。
【0168】
いくつかの実施態様では、少なくとも1の免疫刺激剤が、リリルマブなどのKIRアンタゴニストを含む。
【0169】
いくつかの実施態様では、少なくとも1の免疫刺激剤が、IDOアンタゴニストを含む。IDOアンタゴニストには、例えばINCB−024360(国際公開第2006/122150号、国際公開第07/75598号、国際公開第08/36653号、国際公開第08/36642号)、インドキシモド、NLG−919(国際公開第09/73620号、国際公開第09/1156652号、国際公開第11/56652号、国際公開第12/142237号)又はF001287が含まれる。
【0170】
いくつかの実施態様では、少なくとも1の免疫刺激剤が、Toll様受容体アゴニスト、例えばTLR2/4アゴニスト(例えばカルメット−ゲラン桿菌);TLR7アゴニスト(例えばヒルトノール又はイミキモド);TLR7/8アゴニスト(例えばレシキモド);又はTLR9アゴニスト(例えばCpG7909)を含む。
【0171】
いくつかの実施態様では、少なくとも1の免疫刺激剤が、TGF−β阻害剤、例えばGC1008、LY2157299、TEW7197又はIMC−TR1を含む。
【0172】
CD40アゴニスト及び例示的なCD40アゴニスト分子
いくつかの実施態様では、少なくとも1の免疫刺激剤が、任意選択的に本明細書に記載の少なくとも1の追加の免疫刺激剤と共に、CD40アゴニストを含む。細胞表面分子CD40は、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーのメンバーであり、樹状細胞、B細胞、マクロファージ及び単球などの抗原提示細胞によって発現され、また、免疫、造血、血管及び上皮細胞などの他の細胞種上並びに種々の腫瘍細胞上に発現される。抗原提示細胞において、CD40シグナル伝達は、T細胞共刺激分子及び免疫応答の誘導に必要な他の重要な免疫メディエーターの活性化及びアップレギュレーションをもたらす。CD40のアゴニストは、見込みのあるがん療法であり、腫瘍細胞に対する抗腫瘍免疫活性化及び直接的な細胞傷害性効果の双方により腫瘍縮小を引き起こす。CD40標的療法は、進行がん患者において第1相臨床評価を受けており、最初の結果では、重篤な毒性がない限りは有効であることが示された。
【0173】
CD40に関して、例えば動物モデルでは、樹状細胞上のCD40の結合が腫瘍死滅を媒介する細胞傷害性Tリンパ球の活性化をもたらすことを示されている(Marzo et al., 2000, J. Immunol.; Todryk et al., 2001, J. Immunol. Methods)。マクロファージ上のCD40の活性化は、腫瘍崩壊活性をもたらし(Beatty et al., 2011, Science)、CD40で刺激された抗原提示細胞から産生されるサイトカインは、腫瘍根絶に重要なナチュラルキラー細胞の活性化をもたらす。抗腫瘍免疫応答の複雑な性質を考えると、効果的ながん療法は、複数の免疫療法剤を組み合わせる必要がある。これと一致して、CSF1Rの小分子阻害は、膵臓腫瘍モデルにおける抗PD1免疫チェックポイント遮断と相乗効果を生み出すことが示された。Zhu et al., 2014, Cancer Res., 74: 5057-5069を参照のこと。したがって、CSF1R発現TAMを有する腫瘍は、抗CSF1R抗体及びCD40アゴニストとの併用療法に感受性であり得る。
【0174】
本発明の組成物及び方法の例示的なCD40アゴニストには、例えばCD40活性を増強する抗CD40抗体が含まれる。そのような抗体は、ヒト化抗体、キメラ抗体、マウス抗体、ヒト抗体、並びに本明細書で論じられる抗CD40抗体の重鎖及び/又は軽鎖CDRを含む抗体であり得る。
【0175】
種々のアゴニスト抗CD40抗体が、当該技術分野で知られている。非限定的で例示的なアゴニスト抗CD40抗体には、限定されないが、CP−870、893(Pfizer/VLST;欧州特許第1476185号及び米国特許第7338660号の抗体21.4.1;clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02225002も参照);ダセツズマブ(Seattle Genetics;本明細書では配列番号98及び99;米国特許第6946129号及び米国特許第8303955号も参照);RO7009789(ロッシュ;例えばclinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02304393も参照);ADC−1013(Alligator Bioscience;米国特許出願公開第2014/0348836号;clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02379741も参照);SEA−CD40(Seattle Genetics;配列番号98及び99を含む抗体のアフコシル化形態;clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02376699も参照);及びChi Lob7/4(サザンプトン大学;米国特許出願公開第2009/0074711号;clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01561911も参照)が含まれる。例えばVonderheide et al., 2013, Clin Cancer Res 19:1035を参照されたい。
【0176】
例示的なCD40アゴニストには、組換えCD40Lも含まれる。
【0177】
例示的な抗体コンジュゲート
いくつかの実施態様では、抗体は、標識及び/又は細胞傷害性剤とコンジュゲートされる。本明細書で使用される場合、標識は、抗体の検出を容易にし、及び/又は抗体が結合する分子の検出を容易にする部分である。非限定的で例示的な標識には、放射性同位体、蛍光基、酵素基、化学発光基、ビオチン、エピトープタグ、金属結合タグ等が含まれるが、これらに限定されない。当業者であれば、意図する用途に応じて適切な標識を選択することができる。
【0178】
本明細書で使用される場合、細胞傷害性剤は、1つ以上の細胞の増殖能を低下させる部分である。例えば、細胞がアポトーシスを受けたり、又は他の方法で死に至る、細胞が細胞周期をたどらない、及び/又は分裂しない、細胞が分化する等の理由で増殖しにくくなるとき、細胞の増殖能力が低下する。非限定的で例示的な細胞傷害性剤には、放射性同位元素、毒素及び化学療法剤が含まれるが、これらに限定されない。当業者であれば、意図する用途に応じて適切な細胞傷害性を選択することができる。
【0179】
いくつかの実施態様において、標識及び/又は細胞傷害性剤は、化学的方法を用いてin vitroで抗体にコンジュゲートしている。コンジュゲーションの非限定的で例示的な化学的方法は、当該技術分野で知られているが、例えばThermo Scientific Life Science Research Produces(前Pierce;イリノイ州ロックフォード)、Prozyme(カリフォルニア州ヘーワード)、SACRI Antibody Services(カナダ、カルガリー)、AbD Serotec(ノースカロライナ州ローリー)等から市販されているサービス、方法及び/又は試薬を含む。いくつかの実施態様において、標識及び/又は細胞傷害性剤がポリペプチドである場合、標識及び/又は細胞傷害性剤は、少なくとも1つの抗体鎖を有する同じ発現ベクターから発現され、抗体鎖と融合する標識及び/又は細胞傷害性剤を含むポリペプチドを生成することができる。当業者であれば、意図する用途に応じて標識及び/又は細胞傷害性剤を抗体にコンジュゲートさせるための適切な方法を選択することができる。
【0180】
例示的なリーダー配列
一部の分泌タンパク質を大量に発現及び分泌させるためには、異種タンパク質由来のリーダー配列が望ましい可能性がある。いくつかの実施態様において、リーダー配列は、配列番号3及び4から選択されるが、これらは、それぞれ軽鎖リーダー配列及び重鎖リーダー配列である。いくつかの実施態様において、異種リーダー配列を用いることは、リーダー配列は分泌過程の間にERにおいて除去されるため、得られる成熟ポリペプチドが改変されない点で有利であり得る。異種リーダー配列の付加は、一部のタンパク質を発現及び分泌させるために必要とされ得る。
【0181】
特定の例示的なリーダー配列は、例えばシンガポール国立大学生化学部によって維持されているオンラインリーダー配列データベースに記載されている。Choo et al., BMC Bioinformatics, 6: 249 (2005);及びPCT公開番号WO2006/081430を参照。
【0182】
抗体をコードする核酸分子
抗体の1つ以上の鎖をコードするポリヌクレオチドを含む核酸分子が提供される。いくつかの実施態様において、核酸分子は、抗体の重鎖又は軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施態様において、核酸分子は、抗体の重鎖をコードするポリヌクレオチドと、軽鎖をコードするポリヌクレオチドの双方を含む。いくつかの実施態様において、第1の核酸分子は、重鎖をコードする第1のポリヌクレオチドを含み、第2の核酸分子は、軽鎖をコードする第2のポリヌクレオチドを含む。
【0183】
いくつかのそのような実施態様において、重鎖及び軽鎖は、2つの別々のポリペプチドとして、1つの核酸分子又は2つの別々の核酸分子から発現される。抗体がscFvである場合などのいくつかの実施態様において、単一のポリヌクレオチドは、一緒に連結された重鎖及び軽鎖の双方を含む単一のポリペプチドをコードする。
【0184】
いくつかの実施態様において、抗体の重鎖又は軽鎖をコードするポリヌクレオチドは、翻訳された場合、重鎖又は軽鎖のN末端に位置するリーダー配列をコードするヌクレオチド配列を含む。上記のように、リーダー配列は、天然の重鎖若しくは軽鎖リーダー配列であってもよく、又は別の異種リーダー配列であってもよい。
【0185】
核酸分子は、当該技術分野で慣用の組換えDNA技術を用いて構築することができる。いくつかの実施態様において、核酸分子は、選択された宿主細胞における発現に適した発現ベクターである。
【0186】
抗体の発現及び産生
ベクター
抗体重鎖及び/又は軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含むベクターが提供される。抗体重鎖及び/又は軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含むベクターもまた、提供される。そのようなベクターには、DNAベクター、ファージベクター、ウイルスベクター、レトロウイルスベクター等が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、ベクターは、重鎖をコードする第1のポリヌクレオチド配列と、軽鎖をコードする第2のポリヌクレオチド配列とを含む。いくつかの実施態様において、重鎖及び軽鎖は、2つの別々のポリペプチドとしてベクターから発現される。いくつかの実施態様において、重鎖及び軽鎖は、例えば抗体がscFvである場合など、単一のポリペプチドの一部として発現される。
【0187】
いくつかの実施態様において、第1のベクターは重鎖をコードするポリヌクレオチドを含み、第2のベクターは軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施態様において、第1のベクター及び第2のベクターは、同様の量(同様のモル量又は同様の質量など)で宿主細胞にトランスフェクトされる。いくつかの実施態様において、5:1〜1:5のモル又は質量比の第1のベクターと第2のベクターが、宿主細胞にトランスフェクトされる。いくつかの実施態様では、重鎖をコードするベクター及び軽鎖をコードするベクターをコードするベクターについて、1:1〜1:5の質量比が用いられる。いくつかの実施態様において、重鎖をコードするベクター及び軽鎖をコードするベクターについて、1:2の質量比が用いられる。
【0188】
いくつかの実施態様において、CHO若しくはCHO由来細胞又はNS0細胞におけるポリペプチドの発現に最適化されたベクターが選択される。例示的なそのようなベクターは、例えばRunning Deer et al., Biotechnol. Prog. 20:880-889 (2004)に記載されている。
【0189】
いくつかの実施態様において、ベクターは、ヒトを含む動物における抗体重鎖及び/又は抗体軽鎖のin vivo発現のために選択される。そのようないくつかの実施態様において、ポリペプチドの発現は、組織特異的に機能するプロモーターの制御下にある。例えば、肝臓特異的プロモーターは、例えばPCT公開番号WO2006/076288に記載されている。
【0190】
宿主細胞
様々な実施態様において、抗体重鎖及び/又は軽鎖は、細菌細胞などの原核細胞;又は真菌細胞(例えば酵母)、植物細胞、昆虫細胞及び哺乳動物細胞等の真核細胞において発現され得る。そのような発現は、例えば当該技術分野で既知の手順に従って実施することができる。ポリペプチドを発現するために使用され得る例示的な真核細胞には、限定されないが、COS細胞(COS7細胞を含む);293細胞(293−6E細胞を含む);CHO細胞(CHO−S及びDG44細胞を含む);PER.C6(登録商標)細胞(Crucell);及びNS0細胞が含まれる。いくつかの実施態様において、抗体重鎖及び/又は軽鎖は、酵母中で発現し得る。例えば、米国特許出願公開第2006/0270045号を参照のこと。いくつかの実施態様において、特定の真核生物宿主細胞は、抗体重鎖及び/又は軽鎖に対して所望の翻訳後修飾を行う能力に基づいて選択される。例えば、いくつかの実施態様において、CHO細胞は、293細胞で生成された同じポリペプチドよりも高いレベルのシアリル化を有するポリペプチドを生成する。
【0191】
1つ以上の核酸の所望の宿主細胞への導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、感染等を含むがこれらに限定されない任意の方法によって達成することができる。非限定的で例示的な方法は、例えばSambrook et al.,Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 第3版Cold Spring Harbor Laboratory Press (2001)に記載されている。核酸は、任意の適切な方法に従って、所望の宿主細胞において一過性に又は安定にトランスフェクトされ得る。
【0192】
いくつかの実施態様において、任意の適切な方法に従って、ポリペプチドをコードする1つ以上の核酸分子で改変又はトランスフェクトされた動物において、1つ以上のポリペプチドをin vivoで生成させることができる。
【0193】
抗体の精製
抗体は、任意の適切な方法によって精製することができる。そのような方法には、限定されないが、アフィニティーマトリックス又は疎水性相互作用クロマトグラフィーの使用が含まれる。適切な親和性リガンドには、抗体定常領域に結合する抗原及びリガンドが含まれる。例えば、定常領域に結合し、抗体を精製するために、プロテインA、プロテインG、プロテインA/G又は抗体アフィニティーカラムを使用することができる。疎水性相互作用クロマトグラフィー、例えばブチル又はフェニルカラムも、一部のポリペプチドを精製するのに適している。ポリペプチドを精製する多くの方法が、当該技術分野で知られている。
【0194】
無細胞抗体産生
いくつかの実施態様では、抗体は、無細胞系で産生される。非限定的で例示的な無細胞系は、例えば、Sitaraman et al., Methods Mol. Biol. 498: 229-44 (2009); Spirin, Trends Biotechnol. 22: 538-45 (2004); Endo et al., Biotechnol. Adv. 21: 695-713 (2003)に記載されている。
【0195】
治療用組成物及び方法
がんを治療する方法
いくつかの実施態様において、有効量の抗CSF1R抗体及び有効量の少なくとも1の免疫刺激剤を投与することを含む、がんを治療するための方法が提供される。いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体及び少なくとも1の免疫刺激剤は、同時に投与される。例えば、治療剤は、一緒に注入されてもよく、又はほぼ同時に注入されてもよい。いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体及び少なくとも1の免疫刺激剤は、逐次的に投与される。例えば、いくつかの実施態様では、2種の治療剤が30分、60分、90分、120分、3時間、6時間、12時間、24時間、36時間、48時間、3日間、5日間、7日間又は2週間の間隔で投与されるように、抗CSF1R抗体は、少なくとも1の免疫刺激剤の前又は後に逐次的に投与される。
【0196】
いくつかの実施態様において、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3用量、少なくとも5用量又は少なくとも10用量の抗CSF1R抗体が、少なくとも1の免疫刺激剤の投与前に投与される。いくつかの実施態様において、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3用量、少なくとも5用量又は少なくとも10用量の少なくとも1の免疫刺激剤が、抗CSF1R抗体の投与の前に投与される。いくつかの実施態様において、免疫刺激剤の最終投与は、CSFR1阻害剤の初回投与の少なくとも1、2、3、5、10日前又は1、2、3、5、12、24週間前になされる。いくつかの実施態様において、CSFR1阻害剤の最終投与は、少なくとも1の免疫刺激剤の初回投与の少なくとも1、2、3、5、10日前又は1、2、3、5、12、24週間前になされる。いくつかの実施態様において、対象は、少なくとも1の免疫刺激剤で治療を受けたか又は受けており、抗CSF1R抗体が治療レジメンに加えられている。
【0197】
いくつかの実施態様において、患者におけるTAM及び/又はCD8+T細胞のレベルを決定することを含む、抗CSF1R抗体と、例えばCD40アゴニストなどの少なくとも1の免疫刺激剤との併用療法のための患者を選択する方法が提供される。いくつかの実施態様において、患者のTAMレベルが高い場合、該患者は、併用療法のために選別される。いくつかの実施態様において、患者のTAM及びCD8+T細胞レベルが高い場合、該患者は、併用療法のために選別される。TAM又はCD8+T細胞のレベルは、がんに罹患していない個体のレベルよりも少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%又は少なくとも100%高い場合、「高い」とみなされる。いくつかの実施態様において、TAM又はCD8+T細胞のレベルは、がんを有する個体に見られる中央値レベルを上回る場合、「高い」とみなされる。いくつかの実施態様において、患者のTAMレベルが高く、CD8+T細胞レベルが低い場合、該患者は、抗CSF1R抗体と少なくとも1の免疫刺激剤(例えばCD40アゴニスト)との併用療法のために選別される。CD8+T細胞のレベルは、がんを有する個体に見られる中央値を下回る場合、「低い」とみなされる。いくつかの実施態様では、CD8+T細胞のレベルは、がんに罹患していない個体のレベルよりも少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%又は少なくとも100%低い場合、「低い」とみなされる。いくつかの実施態様において、患者のTAM上のCSF1Rの発現が決定される。いくつかの実施態様では、患者のTAMがCSF1Rを発現する場合、該患者は、併用療法のために選別される。いくつかの実施態様では、患者のTAMが上昇したレベルのCSF1Rを発現する場合、該患者は、併用療法のために選別される。いくつかの実施態様において、CSF1Rのレベルががんを有する個体のTAM上に発現されたCSF1Rの中央値レベル以上である場合、患者のTAMは、「上昇した」レベルのCSF1Rを発現するとみなされる。いくつかの実施態様では、患者のCSF1R発現がCD8+T細胞のレベルと高い相関を示す場合、該患者は、併用療法のために選別される。発現ががんに罹患している個体に見られる中央値以上であれば、発現の相関関係は「高い」とみなされる。
【0198】
TAM、CSF1R発現、CD8+T細胞及び/又は制御性T細胞のレベルは、当該技術分野での方法によって測定することができる。非限定的で例示的な(Nonexemplary)方法には、免疫組織化学(IHC)、蛍光標識細胞分取(FACS)、タンパク質アレイ、並びにRNA配列決定、遺伝子アレイ及び定量PCRなどの遺伝子発現アッセイが含まれる。いくつかの実施態様において、CSF1R、CD68、CD163、CD8及びFoxP3から選択される1つ以上のマーカーは、IHC、FACS又は腫瘍切片若しくは腫瘍切片からの解離細胞に対する遺伝子発現アッセイによって検出され得る。
【0199】
いくつかの実施態様において、がんは、扁平上皮がん、小細胞肺がん、下垂体がん、食道がん、星状細胞腫、軟部組織肉腫、非小細胞肺がん、肺腺癌、肺扁平上皮癌、腹膜がん、肝細胞がん、消化管がん、膵がん、神経膠芽腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝がん、膀胱がん、ヘパトーマ、乳がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜又は子宮癌、唾液腺癌、腎臓がん(kidney cancer)、腎がん(renal cancer)、肝がん、前立腺がん、外陰部がん、甲状腺がん、肝癌、脳がん、子宮内膜がん、精巣がん、胆管癌、胆嚢癌、胃がん、メラノーマ、及び種々の頭頸部がんから選択される。いくつかの実施態様において、肺がんは、非小細胞肺がん又は肺扁平上皮癌である。いくつかの実施態様において、白血病は、急性骨髄性白血病又は慢性リンパ球性白血病である。いくつかの実施態様において、乳がんは、乳房浸潤性癌である。いくつかの実施態様において、卵巣がんは、卵巣漿液性嚢胞腺癌である。いくつかの実施態様において、腎臓がんは、腎臓腎明細胞癌(kidney renal clear cell carcinoma)である。いくつかの実施態様において、結腸がんは、結腸腺癌である。いくつかの実施態様において、膀胱がんは、膀胱尿路上皮癌である。いくつかの実施態様において、がんは、膀胱がん、子宮頸がん(扁平上皮細胞頸部がんなど)、頭頸部扁平上皮癌、直腸腺癌、非小細胞肺がん、子宮内膜がん、前立腺腺癌、結腸がん、卵巣がん(漿液性卵巣上皮がんなど)及びメラノーマから選択される。
【0200】
いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体は、CSF1R及び/若しくはIL−34のCSF1Rへの結合を遮断し、並びに/又はCSF1及び/若しくはIL−34によって誘導されるCSF1Rリン酸化を抑制する。いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体は、CSF1R及びIL−34のCSF1Rへの結合を遮断し、並びに/又はCSF1及び/若しくはIL−34によって誘導されるCSF1Rリン酸化を抑制する。いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体は、本明細書に記載のhuAb1からhuAb16より選択される抗体のCDR又は可変領域を含む。いくつかの実施態様において、抗CSF1R抗体は、huAb1のCDR又は可変領域を含む。
【0201】
いくつかの実施態様では、少なくとも1の免疫刺激剤が、T細胞の活性化の抑制剤のアンタゴニストを含むが、いくつかの実施態様では、少なくとも1の免疫刺激剤が、T細胞の活性化の刺激剤のアゴニストを含む。いくつかの実施態様では、少なくとも1の免疫刺激剤が、CTLA4、LAG−3、ガレクチン1、ガレクチン9、CEACAM−1、BTLA、CD25、CD69、TIGIT、CD113、GPR56、VISTA、B7−H3、B7−H4、2B4、CD48、GARP、PD1H、LAIR1、TIM1、TIM3、TIM4、ILT4、IL−6、IL−10、TGFβ、VEGF、KIR、LAG−3、アデノシンA2A受容体、PI3Kデルタ又はIDOのアンタゴニストを含む。いくつかの実施態様では、少なくとも1の免疫刺激剤が、B7−1、B7−2、CD28、4−1BB(CD137)、4−1BBL、ICOS、ICOS−L、OX40、OX40L、GITR、GITRL、CD27、CD40、CD40L、DR3、CD28H、IL−2、IL−7、IL−12、IL−15、IL−21、IFNα、STINGのアゴニスト、又はTLR2/4アゴニストなどのToll様受容体アゴニストを含む。いくつかの実施態様では、少なくとも1の免疫刺激剤が、B7−1、B7−2、B7−H2(ICOS−L)、B7−H3、B7−H4、B7−H5(VISTA)及びB7−H6といった膜結合タンパク質のB7ファミリーのメンバーに結合する薬剤を含む。いくつかの実施態様では、少なくとも1の免疫刺激剤が、CD40、CD40L、OX40、OX40L、GITR、GITRL、CD70、CD27L、CD30、CD30L、4−1BBL、CD137(4−1BB)、TRAIL/Apo2−L、TRAILR1/DR4、TRAILR2/DR5、TRAILR3、TRAILR4、OPG、RANK、RANKL、TWEAKR/Fn14、TWEAK、BAFFR、EDAR、XEDAR、EDA1、EDA2、TACI、APRIL、BCMA、LTβR、LIGHT、DeR3、HVEM、VEGL/TL1A、TRAMP/DR3、TNFR1、TNFβ、TNFR2、TNFα、1β2、FAS、FASL、RELT、DR6、TROY若しくはNGFβといったTNF受容体ファミリーのメンバーに結合するか、又はTNF受容体ファミリーのメンバーに結合している共刺激若しくは共抑制分子に結合する薬剤を含む。いくつかの実施態様では、少なくとも1の免疫刺激剤が、IL−6、IL−10、TGFβ、VEGFといったT細胞活性化を抑制するサイトカインをアンタゴナイズするか又は妨げる薬剤を含む。いくつかの実施態様では、少なくとも1の免疫刺激剤が、IL−2、IL−7、IL−12、IL−15、IL−21及びIFNαといったT細胞活性化を刺激するサイトカインのアゴニストを含む。いくつかの実施態様では、少なくとも1の免疫刺激剤が、CXCR2、CXCR4、CCR2又はCCR4といったケモカインのアンタゴニストを含む。いくつかの実施態様では、少なくとも1の免疫刺激剤が、抗体を含む。いくつかの実施態様では、少なくとも1の免疫刺激剤が、例えばメソテリン標的化ワクチン又はCRS−207などの減弱化リステリアがんワクチンといったワクチンを含んでいてもよい。
【0202】
いくつかの実施態様において、少なくとも1の免疫刺激剤が、CD40アゴニスト、例えば抗CD40抗体を含む。非限定的で例示的なアゴニスト抗CD40抗体には、CP−870、893(Pfizer/VLST);ダセツズマブ(Seattle Genetics);RO7009789(ロッシュ);ACD−1013(Alligator Bioscience);SEA−CD40(Seattle Genetics);及びChi Lob7/4(サザンプトン大学)が含まれる。いくつかの実施態様では、CD40アゴニストは、組換えCD40Lである。
【0203】
投与経路及び担体
様々な実施態様において、抗体は、経口、動脈内、非経口、鼻腔内、筋肉内、心内、脳室内、気管内、頬側、直腸、腹腔内、皮内、局所、経皮、及び髄腔内に、又は移植若しくは吸入を含むがこれらに限定されない種々の経路でin vivo投与することができる。主題の組成物は、カプセル剤、散剤、顆粒剤、軟膏剤、液剤、坐剤、浣腸剤、注射剤、吸入剤及びエアロゾルを含むがこれらに限定されない、固体、半固体、液体又は気体の形態の製剤に製剤化することができる。抗体をコードする核酸分子を金微粒子にコーティングし、文献に記載されているように粒子衝撃装置又は「遺伝子銃」によって皮内送達することができる(例えばTang et al., Nature 356:152-154 (1992)参照)。適切な製剤及び投与経路は、意図する用途に応じて選択され得る。
【0204】
様々な実施態様において、抗体を含む組成物は、様々な薬学的に許容される担体と共に製剤中に提供される(例えばGennaro, Remington: The Science and Practice of Pharmacy with Facts and Comparisons: Drugfacts Plus, 第20版 (2003); Ansel et al., Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, 第7版, Lippencott Williams and Wilkins (2004); Kibbe et al., Handbook of Pharmaceutical Excipients, 第3版., Pharmaceutical Press (2000)を参照)。ビヒクル、アジュバント及び希釈剤を含む種々の薬学的に許容される担体が利用可能である。さらに、Ph調節剤及び緩衝剤、等張化剤、安定化剤、湿潤剤等の種々の薬学的に許容される補助剤も利用可能である。非限定的で例示的な担体には、生理食塩水、緩衝食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0205】
様々な実施態様において、抗体を含む組成物は、植物性又は他の油、合成脂肪族酸グリセリド、高級脂肪族酸のエステル又はプロピレングリコール等の水性又は非水性溶媒中に溶解、懸濁又は乳化させることによって、また、所望であれば等張剤、懸濁化剤、乳化剤、安定化剤及び防腐剤等の通常の添加剤と共に、皮下投与を含む注入用に調製することができる。様々な実施態様において、組成物は、例えばジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素等の許容される加圧噴射剤を使用して、吸入用に製剤化することができる。組成物はまた、様々な実施態様において、生分解性又は非生分解性ポリマーなどの徐放性マイクロカプセルに製剤化することもできる。非限定的で例示的な生分解性製剤には、ポリ乳酸−グリコール酸ポリマーが含まれる。非限定的で例示的な非生物分解性製剤には、ポリグリセリン脂肪酸エステルが含まれる。そのような製剤を製造する特定の方法は、例えば欧州特許出願公開第1125844号に記載されている。
【0206】
抗体又は抗体の組み合わせの1用量以上を各々が収容する1つ以上の容器を含む医薬品パック及びキットもまた、提供される。いくつかの実施態様において、1以上の追加の薬剤を伴うか又は伴わない、抗体又は抗体の組み合わせを含む組成物の所定量を含む単位投薬量が提供される。いくつかの実施態様において、そのような単位投薬量は、使い捨ての充填済み注射用シリンジで供給される。様々な実施態様において、単位投薬量に含まれる組成物は、生理食塩水、スクロース等;リン酸塩などの緩衝剤等を含み;及び/又は安定で効果的なpH範囲内で製剤化することができる。あるいは、いくつかの実施態様において、組成物は、適切な液体、例えば滅菌水の添加時に再構成可能な凍結乾燥粉末として提供され得る。いくつかの実施態様において、組成物は、スクロース及びアルギニンを含むがこれらに限定されない、タンパク質凝集を抑制する1つ以上の物質を含む。いくつかの実施態様において、本発明の組成物は、ヘパリン及び/又はプロテオグリカンを含む。
【0207】
医薬組成物は、特定の適応症の治療又は予防に有効な量で投与される。治療的有効量は、典型的には、治療される対象の体重、体調若しくは健康状態、治療される状態の広範さ、又は治療される対象の年齢に依存する。一般に、抗体は、約10μg/kg体重〜約100mg/kg体重/用量の範囲の量で投与され得る。いくつかの実施態様において、抗体は、約50μg/kg体重〜約5mg/kg体重/用量の範囲の量で投与され得る。いくつかの実施態様において、抗体は、約100μg/kg体重〜約10mg/kg体重/用量の範囲の量で投与され得る。いくつかの実施態様において、抗体は、約100μg/kg体重〜約20mg/kg体重/用量の範囲の量で投与され得る。いくつかの実施態様において、抗体は、約0.5mg/kg体重〜約20mg/kg体重/用量の範囲の量で投与され得る。
【0208】
抗体組成物は、必要に応じて対象に投与することができる。投与頻度の決定は、治療される状態の考慮事項、治療される対象の年齢、治療される状態の重篤度、治療される対象の全身的な健康状態等に基づいて、主治医などの当業者によってなされてもよい。いくつかの実施態様において、有効量の抗体が1回以上対象に投与される。様々な実施態様において、抗体の有効用量は、1ヶ月に1回、1ヶ月に1回未満、例えば2ヶ月おき又は3ヶ月おきに対象に投与される。他の実施態様では、有効量の抗体は、例えば1ヶ月に1回以上、例えば3週間おき、2週間おき又は毎週など、1ヶ月に1回以上投与される。いくつかの実施態様において、有効量の抗体は、1、2、3、4又は5週間に1回投与される。いくつかの実施態様において、有効量の抗体は、週に2回又は3回投与される。有効量の抗体は、対象に少なくとも1回投与される。いくつかの実施態様において、有効量の抗体は、例えば少なくとも1ヶ月間、少なくとも6ヶ月間又は少なくとも1年間の期間、複数回投与してもよい。
【0209】
追加の併用療法
上記の治療的組み合わせは、単独で、又は他の治療様式と共に投与することができる。上記の治療的組み合わせは、例えば手術、化学療法、放射線療法、又は別の治療用抗体などの生物学的製剤の投与などの他の治療様式の前に、実質的に同時に、又はその後に提供することができる。いくつかの実施態様において、がんは、外科手術、化学療法及び放射線療法又はそれらの組み合わせから選択される療法の後に再発又は進行した。
【0210】
がんの治療のために、該組み合わせは、例えば化学療法剤、増殖阻害剤、遺伝子治療ワクチンなどの抗がんワクチン、抗血管新生剤及び/又は抗悪性腫瘍組成物といった、1以上の追加の抗がん剤と併せて投与することができる。本発明の抗体と組み合わせて使用することができる化学療法剤、増殖阻害剤、抗がんワクチン、抗血管新生剤及び抗悪性腫瘍組成物の非限定的な例は、本明細書では「定義」の下に提供されている。
【0211】
いくつかの実施態様において、ステロイド又は非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)などとの併用で抗炎症薬を投与することができる。
【実施例】
【0212】
以下に論じる実施例は、単に本発明の例示を目的としており、決して本発明を限定するものと解されるべきではない。実施例は、以下の実験が実施されたすべて又は唯一の実験であることを表すためのものではない。使用される数値(例えば量、温度など)に関して正確を期するように努めているが、ある程度の実験誤差及び偏差は考慮されるべきである。別段の指示がない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏であり、圧力は大気圧又はそれに近い圧力である。
【0213】
実施例1: ヒト化抗CSF1R抗体
種々のヒト化抗CSF1R抗体が、これまでに開発されている。例えば、PCT公開番号WO2011/140249参照。
【0214】
親キメラ抗体可変領域の配列及びヒトアクセプター可変フレームワーク領域の配列と整列したヒト化重鎖可変領域及びヒト化軽鎖可変領域の各々の配列を
図1(重鎖)と2(軽鎖)に示す。ヒトアクセプター可変フレームワーク領域配列に対するヒト化可変領域配列の変化を四角で囲んでいる。各可変領域のCDRの各々を四角の中に示し、四角で囲んだ配列の上に「CDR」と表示している。
【0215】
以下の表8は、抗体huAb1からhuAb16のヒト化重鎖及びヒト化軽鎖の完全な配列を示す。これらの各抗体のヒト化重鎖及びヒト化軽鎖の名称及び配列番号を表3に示す。
【0216】
16種のヒト化抗体を、先に記載のように、ヒト、カニクイザル及びマウスCSF1R ECDへの結合について試験した。例えば、PCT公開番号WO2011/140249参照。それらの抗体は、ヒトとカニクイザルのCSF1R ECD双方に結合するが、マウスCSF1R ECDには結合しないことが判明した。ヒト化抗体はまた、ヒトとカニクイザルのCSF1R双方へのCSF1及びIL−34の結合を遮断し、CHO細胞で発現したヒトCSF1RのCSF1誘導及びIL−34誘導性リン酸化を抑制することも見出された。例えば、PCT公開番号WO2011/140249参照。
【0217】
ヒトCSF1R ECDへの結合についてのk
a、k
d及びK
Dは、先に決定され、表4に示されている。例えば、PCT公開番号WO2011/140249参照。
【0218】
実施例2: 併用療法による抗腫瘍活性の増強
6〜8週齢のメスのC57BL/6マウスを、ケージあたり5匹収容し、自由給餌給水とする。マウスは、飼育施設に到着してから少なくとも3日間順応させる。腫瘍細胞株接種の前に、マウスの体重測定し、脇腹を剃毛する。
【0219】
マウス結腸腺癌細胞株MC38をRPMI+10%FBS+2mM L−グルタミン+抗生物質/抗真菌剤中に37℃、5%CO
2で培養する。細胞を、5百万細胞/mlの濃度で、50%/vのDPBSと50%/vのマトリゲルとの溶液に懸濁させる。27G1/2針を用いて各マウスの右側脇腹に100μlの細胞溶液(0.5百万個の細胞)を移植する。18G針及びシリンジを使用することにより、また、わずかにボルテックスすることにより、細胞がチューブの底に沈降しないようにする。ストレスを軽減し、より正確な腫瘍細胞移植を可能にするために、イソフルランを用いてマウスを麻酔する。各腫瘍の長さ(L)及び幅(W)を電子ノギスを用いて測定し、腫瘍の体積(V)をV=(L×W
2/2を用いて算出する。平均腫瘍体積が約105mm
3に達したら、以下に記載のようにマウスを群分けし、投与する。
【0220】
群及び投薬
マウスを以下の群に分け、キメララット抗マウスCSF1R抗体(マウスIgG1;「cmFPA008」という)及び/又は抗CD40抗体FGK45(Bio X Cell;Rolink et al., 1996, Immunity 5:319-330参照)を、以下に記載の投与スケジュールに従って投与した。
● コントロール:マウスIgG、30mg/kg、i.p. 1X/wk、0日目から開始。ラットIgG 100μg i.p. 0日目。
● huAb1:抗CSF1R抗体、30mg/kg、i.p. 1X/wk、0日目から開始。ラットIgG 100μg i.p. 0日目。
● 抗CD40(高):抗CD40抗体、100μg i.p. 0日目 マウスIgG、30mg/kg、i.p. 1x/wk、0日目から開始。
● 組み合わせ(高):抗CSF1R抗体、30mg/kg、i.p. 1x/wk、0日目から開始、抗CD40、100μg i.p. 0日目。
● 抗CD40(低):抗CD40抗体、30μg i.p. 0日目。マウスIgG、30mg/kg、i.p. 1x/wk、0日目から開始。
● 組み合わせ(低):抗CSF1R抗体、30mg/kg、i.p. 1x/wk、0日目から開始、抗CD40抗体、30μg i.p. 0日目。
【0221】
投与スケジュール及び群分けを以下の表5に示す。
【0222】
以下の兆候のいずれかが観察された場合は、試験の終了前に動物を安楽死させる。
● 最初の体重から15%以上の減量。
● 腫瘍の潰瘍が観察される。
● マウスが瀕死に見える。
● 個々の腫瘍体積が最初の体重の10%以上である。
【0223】
薬物動態(PK)分析のために血漿を収集する。試験最終日に、心臓内出血により全血を採取し、PK分析のために血漿を単離する(生体分析群)。以下の分析のために、各群から少なくとも5つの腫瘍を収集する。コラゲナーゼ処理により腫瘍の単細胞単離体を生成させ、FACSを用いて免疫細胞の腫瘍への浸潤を調べる。腫瘍切片も液体窒素中で急速凍結させ、タンパク質とmRNAの抽出のために−80℃で保存する。腫瘍切片を最適切削温度(OCT)化合物に埋め込み、−80℃で保存する。腫瘍切片はまた、10%緩衝化ホルマリン中に一晩置き、翌日70%エタノールに移す。
【0224】
この実験の結果を
図3及び
図4に示す。
図3に示すように、抗CSF1R抗体と抗CD40抗体(高)との組み合わせは、初期の腫瘍縮小に続いて腫瘍停止を生じた。抗CSF1R抗体と抗CD40抗体(低)との組み合わせも、いずれの治療単独よりも高い有効性を示した。
図4は、(A)11日目及び(B)13日目の個々の腫瘍体積を示す。表6は、一方向ANOVAを用いた11日目及び13日目の腫瘍体積の測定値を示す。抗CSF1R抗体と抗CD40抗体(高)との組み合わせは、いずれの治療単独よりもより良好な有効性を有意に示した。
【0225】
図5は、週に少なくとも2回測定した、試験中の全動物の体重を示す。コントロールと比較していずれの群でも有意な体重差は観察されなかった。
【0226】
配列表
表10は、本明細書で論じられる特定の配列を提供する。ポリペプチド及び抗体配列はすべて、別途記載がない限、リーダー配列なしで示している。