特許第6971854号(P6971854)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971854
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】ディーゼル酸化触媒
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/68 20060101AFI20211111BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20211111BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20211111BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20211111BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20211111BHJP
   F01N 3/035 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   B01J23/68 A
   B01D53/94 223
   B01D53/94 245
   B01D53/94 280
   B01D53/94 400
   F01N3/10 A
   F01N3/28 301P
   F01N3/28 301E
   F01N3/24 E
   F01N3/035 A
   F01N3/035 E
【請求項の数】24
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2017-559782(P2017-559782)
(86)(22)【出願日】2016年2月8日
(65)【公表番号】特表2018-511475(P2018-511475A)
(43)【公表日】2018年4月26日
(86)【国際出願番号】US2016016949
(87)【国際公開番号】WO2016130456
(87)【国際公開日】20160818
【審査請求日】2019年2月8日
(31)【優先権主張番号】62/113,696
(32)【優先日】2015年2月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100156812
【弁理士】
【氏名又は名称】篠 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シアン スン
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ウィリアム マッカンティ
(72)【発明者】
【氏名】スタンリー エイ. ロス
(72)【発明者】
【氏名】シャオライ ヂェン
(72)【発明者】
【氏名】オルガ ゲアラッハ
(72)【発明者】
【氏名】マークス ケーゲル
【審査官】 山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−528119(JP,A)
【文献】 特開2009−007946(JP,A)
【文献】 特表平08−503880(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0305612(US,A1)
【文献】 特表2012−515085(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0183490(US,A1)
【文献】 特開平07−163871(JP,A)
【文献】 特開2007−000773(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/026203(WO,A2)
【文献】 特開2014−226656(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/151557(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 − 35/00
B01D 53/34
F01N 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体基材;および
前記支持体基材の少なくとも一部上の触媒被覆を含み、前記触媒被覆は、
少なくとも1種の白金族金属(PGM)および第1の耐火性金属酸化物を含む第1の酸化成分、ここで、前記第1の酸化成分は、ゼオライト不含である;
アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、およびマンガンの1種以上を含むNOx貯蔵成分;および
アルミナ上にマンガンを含む第2の耐火性金属酸化物、ゼオライト、および少なくとも1種のPGMを含む第2の酸化成分
を含み、
前記第1の酸化成分、前記NOx貯蔵成分、または前記第2の酸化成分の1つ以上は、マンガンを含む個々の成分の質量を基準として、マンガンを0.1〜100質量%の範囲の量で含み、かつ、前記第1の酸化成分は、前記支持体基材上の下層内にあり、前記NOx貯蔵成分は、前記下層上の中間層内にあり、かつ前記第2の酸化成分は、前記中間層上の上層内にある、酸化触媒複合体。
【請求項2】
次の条件:
前記第1の酸化成分は、白金(Pt)およびパラジウム(Pd)を、0:1〜4:1のPt対Pdの質量比で含むこと;
前記第1の酸化成分は、ゼオライト不含であること;
前記NOx貯蔵成分は、ジルコニア不含であること;
前記NOx貯蔵成分は、PtおよびPd不含であること;
前記第2の酸化成分は、Ptを含むこと;
前記第2の酸化成分は、パラジウム不含であること
の1つ以上が当てはまる、請求項1記載の酸化触媒複合体。
【請求項3】
前記第1の酸化成分は、PtおよびPdを、0:1〜4:1のPt対Pdの質量比で含み、かつゼオライト不含であり;
前記NOx貯蔵成分は、ジルコニア不含であり、かつPtおよびPd不含であり;かつ
前記第2の酸化成分は、Ptを含み、かつパラジウム不含である、
請求項1記載の酸化触媒複合体。
【請求項4】
前記第1の耐火性金属酸化物および前記第2の耐火性金属酸化物は、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、セリア、またはマンガンの1種以上を含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の酸化触媒複合体。
【請求項5】
前記第1の酸化成分は、PtおよびPdの合計を、0.00035g/cm〜0.00706g/cm(10g/ft3〜200g/ft3)の範囲の量で含み、かつこの場合、前記第2の酸化成分は、白金を、0.00035g/cm〜0.00424g/cm(10g/ft3〜120g/ft3)の範囲の量で含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の酸化触媒複合体。
【請求項6】
前記マンガンは、Si、Fe、Co、Ni、Cu、In、Sn、Ir、Ce、Pr、またはこれらの組合せでドープされている、請求項1〜5のいずれかに記載の酸化触媒複合体。
【請求項7】
前記第1の酸化成分、前記NOx貯蔵成分、または前記第2の酸化成分の1つ以上は、セリアを含む成分の質量を基準として、セリア(Ce)を0.1〜100質量%の範囲の量で含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の酸化触媒複合体。
【請求項8】
前記Ceは、Si、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、In、Sn、Ir、Pr、およびこれらの組合せから選択される元素でドープされている、請求項7記載の酸化触媒複合体。
【請求項9】
前記NOx貯蔵成分は、前記NOx貯蔵成分の質量を基準として、アルミナを80〜99.8質量%の範囲で、マンガンを0.1〜10質量%の範囲の量で、およびセリアを0.1〜10質量%の範囲の量で含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の酸化触媒複合体。
【請求項10】
前記NOx貯蔵成分は、前記NOx貯蔵成分の質量を基準として、セリアを80〜99.8質量%の範囲で、アルミナを0.1〜10質量%の範囲の量で、およびシリカを0.1〜10質量%の範囲の量で含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の酸化触媒複合体。
【請求項11】
前記NOx貯蔵成分は、0.4より大きいMn/(Ce+Mn)の質量比率を示す、請求項9記載の酸化触媒複合体。
【請求項12】
前記第1の酸化成分は、さらに、酸化バリウムを、0.00011g/cm〜0.00353g/cm(3〜100g/ft3)の範囲の量で含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の酸化触媒複合体。
【請求項13】
前記第2の酸化成分は、ZSM−5、ベータ、モルデナイト、Y−ゼオライト、CHA骨格型ゼオライト、フェリエライト、またはこれらの組合せから選択された熱水安定性ゼオライトを含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の酸化触媒複合体。
【請求項14】
前記支持体基材は、フロースルー型モノリス、ウォールフロー型モノリス、フォーム、またはメッシュから選択される、請求項1から13までのいずれか1項記載の酸化触媒複合体。
【請求項15】
排気ガス流を、請求項1から14までのいずれか1項記載の酸化触媒複合体と接触させ、かつ前記排気ガス流を下流のSCR触媒に通すことを含む、ディーゼルエンジン排気ガス流を処理する方法。
【請求項16】
前記下流のSCR触媒は、ウォールフロー型フィルタモノリスに堆積されている、請求項15記載の方法。
【請求項17】
炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物、粒子状物質、および他の排気成分を含むリーンバーンエンジン排気ガス流を処理する系において、前記系は、
排気マニホールドを介してリーンバーンエンジンと流体連結する形の排気管;
請求項1から14までのいずれか1項記載の酸化触媒複合体;および
前記酸化触媒複合体の下流に配置された触媒添加型スートフィルタおよびSCR触媒
を含む、リーンバーンエンジン排気ガス流を処理する系。
【請求項18】
前記SCR触媒は、前記触媒添加型スートフィルタ上の触媒被覆として存在する、請求項17記載の系。
【請求項19】
前記SCR触媒は、前記酸化触媒複合体の下流のフロースルー型モノリス上にあり、かつ前記触媒添加型スートフィルタは、前記SCR触媒の下流にある、請求項17記載の系。
【請求項20】
前記触媒添加型スートフィルタは、前記酸化触媒複合体の下流にあり、かつ前記SCR触媒は、前記触媒添加型スートフィルタの下流のフロースルー型モノリス上にある、請求項17記載の系。
【請求項21】
前記SCR触媒は、二重六員環(d6r)単位を示すモレキュラーシーブスを含む、請求項17記載の系。
【請求項22】
前記SCR触媒は、CHA、AEI、またはAFX骨格型ゼオライトから選択される、請求項21記載の系。
【請求項23】
前記SCR触媒は、Cu、Fe、Co、Ni、La、Ce、Mn、V、Ag、およびこれらの組合せから選択される金属が添加されている、請求項22記載の系。
【請求項24】
前記SCR触媒は、Cu、Fe、およびこれらの組合せから選択される金属が添加されている、請求項23記載の系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンガンおよび/またはセリアを含む酸化触媒に関する。さらに、具体的には、実施態様は、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、またはマンガンの1種以上を含むNOx貯蔵成分を含む積層された酸化触媒複合体に関する。この酸化触媒複合体は耐硫黄性であり、かつ低温NOx貯蔵/放出のために使用される。
背景技術
【0002】
リーンバーンエンジン、例えばディーゼルエンジンおよびリーンバーンガソリンエンジンの運転は、ユーザーに優れた燃料経済性を提供し、かつ燃料希薄条件下で高い空/燃比でのその運転のために、気相の炭化水素および一酸化炭素の低いエミッションを示す。さらに、ディーゼルエンジンは、燃料経済性、耐久性、および低速で高トルクを生じる能力の観点で、ガソリン(火花点火式)エンジンに対して十分な利点を提供する。
【0003】
しかしながら、エミッションの観点からは、ディーゼルエンジンは、火花点火式エンジンよりも、より厳しい問題を示すことがある。ディーゼルエンジン排気ガスは、不均質な混合物であるため、エミッションの問題は、粒子状物質(PM)、窒素酸化物(NOx)、未燃焼炭化水素(HC)、および一酸化炭素(CO)に関連する。
【0004】
NOxは、窒素酸化物の多様な化学種を表現するために用いられる用語であり、とりわけ、一酸化窒素(NO)および二酸化窒素(NO2)を含む。NOは、上層大気内でNO2に変換され、そこで太陽光の存在下で一連の反応を通じて、光化学スモッグ形成として公知のプロセスを受けると考えられているために、懸念されている。炭化水素は、酸性雨の多大な影響を与える原因物質であるために懸念されている。他方で、地表のNO2は、酸化剤として高い潜在能力を示し、かつ強い肺刺激物である。
【0005】
リーンバーンエンジンからのNOxの効果的な低減を達成することは困難である、というのも高いNOx変換率は、一般に還元剤リッチ条件を必要とするためである。排気流のNOx成分を無害な成分に変換することは、一般に、燃料希薄条件下で運転するために特別なNOx低減戦略を必要とする。この戦略の一つは、還元剤(例えば尿素)の存在下で、SCR触媒、例えばバナジア−チタニアを基礎とする触媒またはCu、Feのような卑金属または他の卑金属で促進されたゼオライトによるNOxの反応を伴うNOxの選択的接触還元(SCR)を利用する。性能の向上は、特に低い温度範囲(例えば<250℃)で、SCR触媒への供給ガス中でのNO2/NOxの適切な比率が存在する場合に観察することができる。耐火性金属酸化物担体上に分散された白金族金属(PGM)のような貴金属を含む酸化触媒は、炭化水素および一酸化炭素の両方のガス状汚染物の酸化を触媒作用することによりこの汚染物を二酸化炭素と水とに変換するディーゼルエンジンの排気の処理において使用するために公知である。このような触媒は、一般にディーゼル酸化触媒(DOC)といわれるユニット内に含まれ、このユニットは、排気を大気に排出する前に処理するために、ディーゼル動力エンジンからの排気流路内に置かれる。一般的に、ディーゼル酸化触媒は、セラミックまたは金属支持体基材(例えば、フロースルー型モノリス支持体)上に形成され、この支持体基材上に1種以上の触媒被覆組成物が堆積される。ガス状HC、CO、および粒子状物質の可溶性有機成分(SOF)の変換に加えて、白金族金属を含む酸化触媒(この酸化触媒は、一般に耐火性酸化物担体上に分散されている)は、一酸化窒素(NO)の二酸化窒素(NO2)への酸化を促進する。
【0006】
内燃機関の排気を処理するために使用される触媒は、エンジン運転の初期コールドスタート期間のような比較的低い温度運転の期間の間では余り効果的ではない、というのもこのエンジン排気は、排気中の有害成分の効率的な接触変換のために十分に高い温度ではないためである。このため、この分野で、ガス状汚染物質、通常では炭化水素を吸着し、かつこの汚染物質を初期コールドスタート期間中保持するために、接触処理系の一部として、ゼオライトのような吸着材料を含むことが公知である。排気ガス温度が上昇すると、吸着された炭化水素は、吸着剤から追い出され、かつより高い温度で接触処理に供される。
【0007】
耐火性金属酸化物担体上に分散された白金族金属(PGM)を含む酸化触媒は、ディーゼルエンジンからの排気ガスエミッションを処理することにおいて使用されることが知られている。白金(Pt)は、希薄条件下でかつ燃料硫黄の存在下で高温エージングの後で、DOCにおいて相変わらずCOおよびHCを酸化するための最も有効な金属である。パラジウム(Pd)を基礎とする触媒を使用する主な利点の一つは、Ptと比べてPdのコストが低いことである。しかしながら、Pdを基礎とするディーゼル酸化触媒は、特に高レベルの硫黄を含む排気(高い硫黄を含む燃料より)を処理するために使用する場合、またはHC貯蔵材料と共に使用する場合に、一般に、COおよびHCの酸化のための比較的高いライトオフ温度を示す。特別な成分についての「ライトオフ」温度は、これらの成分の50%が反応する温度と定義される。Pd含有DOCは、HCを変換および/またはNOxを酸化するPtの活性を被毒しかねず、かつ触媒を硫黄被毒に敏感にしかねない。この特性は、一般に、Pdリッチ酸化触媒の使用は、リンバーン運転、特にエンジン温度がほとんどの運転条件について250℃未満のままである軽負荷ディーゼル用途に限定されていた。
【0008】
相手先商標製品の製造会社(OEM)は、このエンジンがより効率的になるように改良している。効率が向上されたことにより、排気ガス温度は低下された。したがって、コールドスタートNOxエミッションに対処する酸化触媒を開発する要求が継続中である。下流のNOx除去、特に下流のSCR触媒の性能を改善するために、DOCから搬出される排気ガスの高められたNO2含有率を提供するディーゼル酸化触媒(DOC)を提供することが望ましい。使用において、SCR触媒は、排気中でCO2とNH3とに分解するNH3前駆体、一般に尿素水の導入を必要とする。一般的な尿素制御戦略は、NH3を形成する尿素加水分解の温度である180℃未満の排気温度で尿素の導入を開始しない。ディーゼル排気の温度は、燃料経済性を改善するために低減されるので、時間のかなりの割合は、180℃未満で費やされる。したがって、制御されたNOxエミッションのために、排気温度が180℃より高くに上昇するまでに他の手段が必要である。
発明の概要
【0009】
本発明は、NOxを、低温では貯蔵することができ、排気内へ尿素を注入することができ、SCR触媒が活性化される点まで排気ガス温度が上昇する際に、SCR触媒内へ熱的に放出することができる新規DOC調製物を開示する。この適用にとって特に重要なのは、本発明のNOx吸着成分が、一般に従来のリーンNOxトラップ(LNT)のために必要とされるようなリッチな脱硫酸戦略を必要とせずに、フィルタ再生において達成可能な温度(<650℃)で容易に脱硫酸できることである。
【0010】
本発明の第1の態様は、酸化触媒に関する。1つ以上の実施形態の場合に、酸化触媒複合体(例えば、リーンバーンエンジンからの排気ガスエミッションを低減するために適する)は、支持体基材;およびこの支持体基材の少なくとも一部分上の触媒被覆を含むことができ、この触媒被覆は、少なくとも1種の白金族金属(PGM)と第1の耐火性金属酸化物とを含む第1の酸化成分(ここで、第1の酸化成分は、ほぼゼオライト不含である);アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、およびマンガンの1種以上を含むNOx貯蔵成分;および第2の耐火性金属酸化物、ゼオライト、および少なくとも1種のPGMを含む第2の酸化成分を含む。いくつかの実施態様の場合に、酸化触媒複合体は、次の条件の1つ以上を適用するように構成することができる:第1の酸化成分は、白金(Pt)およびパラジウム(Pd)を、約0:1〜4:1(例えば0.1:1〜約4:1、約0.5:1〜約4:1、約1:1〜約4:1、約2:1〜約4:1、または約3:1〜約4:1)のPt対Pdの質量比で含む;第1の酸化成分は、ほぼゼオライト不含である;NOx貯蔵成分は、ほぼジルコニア不含である;NOx貯蔵成分は、ほぼPtおよびPd不含である;第2の酸化成分はPtを含む;第2の酸化成分は、ほぼパラジウム不含である。
【0011】
いくつかの実施態様の場合に、酸化触媒は、長さ、入口端および出口端を有する支持体基材、この支持体上の酸化触媒材料の触媒被覆を含むことができ、この酸化触媒材料は、第1の耐火性金属酸化物担体、白金(Pt)およびパラジウム(Pd)を含み、約0:1〜4:1の範囲のPt対Pdの質量比を有する第1の酸化成分(ここで、この第1の酸化成分は、ほぼゼオライト不含である);アルミナ、シリカ、チタニア、セリアまたはマンガンの1種以上を含むNOx貯蔵成分(ここで、このNOx貯蔵成分は、ほぼジルコニア不含であり、かつほぼ白金およびパラジウム不含である);および第2の耐火性金属酸化物、ゼオライト、および白金(Pt)を含む第2の酸化成分(ここで、この第2の酸化成分は、ほぼパラジウム不含である)を含む。
【0012】
いくつかの実施態様の場合に、第1の酸化成分は、支持体基材上の下層内にあり、NOx貯蔵成分は、この下層上の中間層内にあり、かつ第2の酸化成分は、この中間層上の上層内にある。
【0013】
いくつかの実施態様の場合に、第1の酸化成分は、支持体基材上の下層内にあり、かつNOx貯蔵成分と第2の酸化成分とは、この下層上の混合型の上層内に混合されている。
【0014】
いくつかの実施態様の場合に、第1の酸化成分とNOx貯蔵成分は混合されていて、かつ支持体基材上の混合型の下層内にあり、かつ第2の酸化成分は、混合型の下層上の上層内にある。
【0015】
いくつかの実施態様の場合に、NOx貯蔵成分は、支持体基材上の下層内にあり、かつ第1の酸化成分と第2の酸化成分とは、この下層上の区分けされた上層内にある。
【0016】
いくつかの実施態様の場合に、第1の酸化成分は、入口端にあり、かつ第2の酸化成分は、出口端にある。
【0017】
いくつかの実施態様の場合に、第1の耐火性金属酸化物担体および第2の耐火性金属酸化物担体は、無関係に、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、セリア、またはマンガンの1種以上を含む。
【0018】
いくつかの実施態様の場合に、第1の酸化成分は、白金およびパラジウムを、約10g/ft3〜200g/ft3の範囲の量で含み、かつこの場合、第2の酸化成分は、白金を、約10g/ft3〜約120g/ft3の範囲の量で含む。
【0019】
いくつかの実施態様の場合に、第1の酸化成分、NOx貯蔵成分、または第2の酸化成分の1つ以上は、マンガンを含む成分の質量を基準として、マンガンを約0.1〜100質量%の範囲の量で含む。
【0020】
いくつかの実施態様の場合に、マンガンは、Si、Fe、Co、Ni、Cu、In、Sn、Ir、Ce、Pr、またはこれらの組合せでドープされている。
【0021】
いくつかの実施態様の場合に、第1の酸化成分、NOx貯蔵成分、または第2の酸化成分の1つ以上は、セリアを含む成分の質量を基準として、セリア(Ce)を約0.1〜100質量%の範囲の量で含む。
【0022】
いくつかの実施態様の場合に、Ceは、Si、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、In、Sn、Ir、Pr、およびこれらの組合せから選択される元素でドープされている。
【0023】
いくつかの実施態様の場合に、NOx貯蔵成分は、NOx貯蔵成分の質量を基準として、アルミナを約80〜99.8質量%の範囲で、マンガンを約0.1〜10質量%の範囲の量で、およびセリアを約0.1〜10質量%の範囲の量で含む。
【0024】
いくつかの実施態様の場合に、NOx貯蔵成分は、NOx貯蔵成分の質量を基準として、セリアを約80〜99.8質量%の範囲で、アルミナを約0.1〜10質量%の範囲の量で、およびシリカを約0.1〜10質量%の範囲の量で含む。
【0025】
いくつかの実施態様の場合に、酸化触媒複合体は、0.4より大きいMn/(Ce+Mn)の質量比率を示す。
【0026】
いくつかの実施態様の場合に、第1の酸化成分は、さらに、酸化バリウムを、約3〜100g/ft3の範囲の量で含む。
【0027】
いくつかの実施態様の場合に、第2の酸化成分は、ZSM−5、ベータ、モルデナイト、Y−ゼオライト、CHA骨格型ゼオライト、フェリエライト、又はこれらの組合せから選択される熱水安定性ゼオライトを含む。
【0028】
いくつかの実施態様の場合に、支持体基材は、フロースルー型モノリス、ウォールフロー型モノリス、フォーム、またはメッシュから選択される。
【0029】
本発明の第2の態様は、ディーゼルエンジン排気ガス流を処理する方法に関する。1つ以上の実施態様の場合に、ディーゼルエンジン排気ガス流を処理する方法は、排気ガス流を第1〜第18の実施態様の酸化触媒複合体と接触させ、かつこの排気ガス流を下流のSCR触媒に通すことを含む。
【0030】
いくつかの実施態様の場合に、下流のSCR触媒は、ウォールフロー型フィルタモノリスに堆積されている。
【0031】
本発明の第3の態様は、リーンバーンエンジン排気ガス流を処理する系に関する。1つ以上の実施態様の場合に、炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物、粒子状物質および他の排気成分を含むリーンバーンエンジン排気ガス流を処理する系は:排気マニホールドを介してリーンバーンエンジンと流体連結する形の排気管;第1〜第18の実施態様の酸化触媒複合体;および酸化触媒複合体の下流に配置された触媒添加型スートフィルタおよびSCR触媒を含む。
【0032】
いくつかの実施態様の場合に、SCR触媒は、触媒添加型スートフィルタ上のウォッシュコートとして存在する。
【0033】
いくつかの実施態様の場合に、SCR触媒は、酸化触媒複合体の下流のフロースルー型モノリス上にあり、かつ触媒添加型スートフィルタは、SCR触媒の下流にある。
【0034】
いくつかの実施態様の場合に、触媒添加型スートフィルタは、酸化触媒複合体の下流にあり、かつSCR触媒は、触媒添加型スートフィルタの下流のフロースルー型モノリス上にある。
【0035】
いくつかの実施態様の場合に、SCR触媒は、二重六員環(d6r)単位を示すモレキュラーシーブスを含む。
【0036】
いくつかの実施態様の場合に、SCR触媒は、CHA、AEI、またはAFX骨格型ゼオライトから選択される。
【0037】
上述の実施態様は、必ずしも排他的ではないと解釈される。むしろ、これらの実施態様の任意の2つ以上を任意の方法で組み合わせてよい。さらに、これらの実施態様からの任意の特別な構成要素を任意の方法で組み合わせてよい。したがって、本開示は、これらの実施態様の任意の2つ以上からの構成要素の全ての組合せを包含する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】1つ以上の実施態様との関連で酸化触媒複合体を有していてよいハニカムタイプの耐火性支持体部分の斜視図。
【0039】
図2図1に示されたガス流通路の1つの拡大図を示す、図1との関連で拡大された部分断面図。
【0040】
図3】多様な実施態様による酸化触媒複合体の断面図。
【0041】
図4】多様な実施態様による酸化触媒複合体の断面図。
【0042】
図5】多様な実施態様による酸化触媒複合体の断面図。
【0043】
図6】1つ以上の実施態様によるエンジン処理系の略図。
【0044】
図7】1つ以上の実施態様によるエンジン処理系の略図。
【0045】
図8】1つ以上の実施態様によるエンジン処理系の略図。
【0046】
図9】時間に対するDOC入口温度および速度のグラフ。
【0047】
詳細な説明
本発明のいくつかの例示的な実施態様を説明する前に、これらの実施態様は、本発明の原理および適用の単なる実例にすぎないと解釈されるべきである。したがって、例示された実施態様に多くの変更を行ってよく、かつ開示されたような本発明の精神および範囲から逸れることなく他の構成を考え出してもよいと解釈されるべきである。
【0048】
相手先商標製品の製造会社(OEM)は、より効率的となるようにそのエンジンを改善し、その結果、排気ガス温度は低下している。したがって、コールドスタートNOxエミッションに取り組む必要がある。総NOxエミッションを低減する1つの方法は、例えば、NO2を捕捉する塩基性のアルカリ成分またはアルカリ土類成分の使用によってNOxを吸着することである。しかしながら、温度が450℃を越えて上昇するまで、または環境がリッチ(つまり、空/燃比が化学量論値よりも小さい)になるまで、吸着されたNOxを保持するNOxトラップ触媒とは異なり、350℃未満の温度(Extra Urban Driving Cycle(EUDC)中での最高排気ガス温度)で熱的にNOxを放出し、その結果、再び再使用することができる吸着剤が望まれる。この種の吸着は、時には、「受動的NOx吸着(Passive NOx Adsorption)」または「低温リーンNOxトラップ(Low Temperature Lean NOx Trap)(LT−LNT)」と呼ばれることがある。
【0049】
本発明の実施態様によると、NOx貯蔵成分としての酸化触媒中へのマンガンおよび/またはセリアの組込が、DOC、および潜在的に同様にフィルタから出る排気ガスの低温NO2貯蔵/放出を向上し、こうして下流のSCR反応の効率を改善することが判明している。1つ以上の実施態様の場合に、この酸化触媒は、酸化触媒のすぐ下流に配置されたSCR触媒成分上での、NOxの低温SCRのために十分なNO2を作り出す。1つ以上の実施態様の場合に、この目的は、下流のSCR触媒が、NOxエミッションを制御するために排気中へ尿素を注入する時点である180℃の排気温度に達した後に、DOCからNOxを放出することである。実際に、これは、DOC入口温度が、200〜350℃または200〜400℃の間隔にある場合である。
【0050】
ここで使用される場合に、「下流」とは、酸化触媒とSCR触媒との間に介在する触媒が存在することを除外するものではない。もちろん、還元剤注入器は、SCR触媒の上流に配置されていて、1つ以上の実施態様によると、SCR触媒のすぐ上流に配置されている。この還元剤は、一般に、窒素を含む還元剤、例えばアンモニアまたはアンモニア前駆体、例えば尿素または尿素溶液である。
【0051】
この分野で公知のように、アンモニアの存在でのNOxのSCRは、次の反応を示す:
4NH3 + 4NO + O2 → 4N2 + 6H2O(標準SCR反応)(1)
4NH3 + 2NO +2NO2 → 4N2 + 6H2O(急速SCR反応)(2)
4NH3 + 3NO2 → 3.5N2 + 6H2O(低速NO2−SCR反応)(3)
【0052】
反応「(2)」は、急速SCR反応といわれる。本出願人は、SCR触媒が、ディーゼル酸化触媒のすぐ下流にある場合、例えばSCR触媒が、フィルタ上にある場合、またはSCR触媒が、DOCの下流のフロースルー型基材上にある場合、炭化水素が、急速SCR反応を抑制する傾向があることを見出した。さらに、低温では、例えば150℃〜300℃の間、または150℃〜250℃の間では、慣用のディーゼル酸化触媒は、300℃未満および250℃未満の温度で、NOxのSCRを促進する十分なNO2を提供しない。本発明の1つ以上の実施態様によるこのディーゼル酸化触媒は、低温で、例えば300℃未満で、およびいくつかの実施態様の場合には250℃未満で、NOxのSCRを促進する。1つ以上の実施態様の場合に、ディーゼル酸化触媒は、HCを捕捉して、HCが、ディーゼル酸化触媒の下流のSCR触媒で急速SCR反応を阻害することを防ぐ。
【0053】
1つ以上の実施態様によると、酸化触媒複合体は、長さ、入口端および出口端を有する支持体基材、この支持体上の酸化触媒材料の触媒被覆を備え、この酸化触媒材料は、第1の酸化成分、第2の酸化成分およびNOx貯蔵成分を含む。1つ以上の実施態様の場合に、第1の酸化成分は、第1の耐火性金属酸化物担体、白金(Pt)およびパラジウム(Pd)成分を含み、ここで、Pt対Pdの質量比は約0:1〜4:1の範囲にあり、NOx貯蔵成分は、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、またはマンガンの1つ以上を含み、ここで、NOx貯蔵成分は、ほぼジルコニア不含であり、かつほぼ白金およびパラジウム不含であり;かつ第2の酸化成分は、ゼオライト、白金(Pt)および第2の耐火性金属酸化物を含み、ここで、第2のウォッシュコートは、ほぼパラジウム不含である。
【0054】
この開示で使用した用語に関して、次の定義が提供される。
【0055】
ここで使用される場合に、「触媒複合体」の用語は、CO、HC、およびNOの接触酸化のために効果的である触媒成分、例えば白金族金属成分を含む1つ以上のウォッシュコート層を備えた支持体基材、例えばハニカム型基材を含む触媒物品に関する。
【0056】
ここで使用される場合に、「触媒」または「触媒組成物」または「触媒材料」の用語は、反応を促進する材料に関する。
【0057】
ここで使用される場合に、「触媒被覆」の用語は、担体もしくは支持体中にまたは担体もしくは支持体上に提供された触媒、触媒組成物、または触媒材料の内容物に関する。触媒被覆は、触媒、触媒組成物、または触媒材料の単層であることができるか、同じ触媒、触媒組成物、または触媒材料の多層であることができるか、異なる触媒、触媒組成物、または触媒材料を有する多層であるか、または担体または他の支持体の表面内の細孔中に存在することができる。
【0058】
ここで使用される場合に、「ウォッシュコート」の用語は、処理されるガス流の通過を許容するために十分に多孔質である支持体基材材料、例えばハニカム型支持体部分に適用された触媒材料または他の材料の薄い付着性被覆の分野における通常の意味を有する。この分野で理解されているように、ウォッシュコートは、スラリー中の粒子の分散液から得られ、この分散液を基材に適用し、乾燥し、焼成して、多孔質ウォッシュコートが提供される。この「ウォッシュコート」の用語は、単層被覆または多層被覆を包含する。例えば、触媒被覆の単層を形成するために、複数の触媒組成物を組み合わせて、1つのウォッシュコートとして適用してよい。他の例の場合に、第1の層を形成するために、第1の触媒組成物を1つのウォッシュコートとして適用することができ、かつ第2の層を形成するために、第2の触媒組成物を1つのウォッシュコートとして適用することができ、かつこれらの層は共に触媒被覆を含むことができる。
【0059】
ここで使用される場合に、「耐火性金属酸化物担体」または「担体」の用語は、付加的に化合物または元素を担持する下層の高表面積の材料に関する。この担体粒子は、20Åより大きな細孔および広い細孔分布を示す。ここで定義されたように、金属酸化物担体は、モレキュラーシーブス、特にゼオライトを除外する。特別な実施態様の場合に、高表面積の金属酸化物担体は、例えば、一般に60平方メートル/グラム(「m2/g」)を越える、しばしば約200m2/g以上までのBET表面積を示す「ガンマアルミナ」または「活性化アルミナ」ともいわれるアルミナ担体材料を利用することができる。このような活性化アルミナは、通常では、アルミナのガンマ相およびデルタ相の混合物であるが、実質的な量のイータアルミナ相、カッパアルミナ相およびシータアルミナ相を含んでいてもよい。活性化アルミナとは別の耐火性金属酸化物を、所定の触媒中の触媒成分の少なくともいくつかのための担体として使用することができる。例えば、バルクセリア、ジルコニア、アルファアルミナ、シリカ、チタニア、および他の材料も、このような使用のために公知である。本発明の1つ以上の実施態様は、アルミナ、ジルコニア、シリカ、チタニア、セリア、シリカ−アルミナ、ジルコニア−アルミナ、チタニア−アルミナ、ランタナ−アルミナ、ランタナ−ジルコニア−アルミナ、バリア−アルミナ、バリア−ランタナ−アルミナ、バリア−ランタナ−ネオジミア−アルミナ、ジルコニア−シリカ、チタニア−シリカ、またはジルコニア−チタニア、またはこれらの組合せからなる群から選択される活性化化合物を含む耐火性金属酸化物担体を含む。このような材料の多くは、活性化アルミナよりもかなり低いBET表面積を示すという欠点を示すが、この欠点は、得られる触媒のより大きな耐久性または性能の向上により相殺される傾向がある。ここで使用される場合に、「BET表面積」の用語は、N2吸着により表面積を決定するBrunauer、Emmett、Teller法を参照する通常の意味を有する。細孔直径および細孔容積も、BET型のN2吸着または脱着試験を用いて決定することができる。
【0060】
1つ以上の実施態様の場合に、第1の酸化成分および第2の酸化成分は、それぞれ、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、セリア、またはマンガンの1種以上を含む第1の耐火性金属酸化物担体および第2の耐火性金属酸化物担体を含む。第1の耐火性金属酸化物担体および第2の耐火性金属酸化物担体は、同じであるか又は異なることができる。
【0061】
1つ以上の実施態様の場合に、NOx貯蔵成分は、ほぼジルコニア不含である。ここで使用される場合に、「ほぼジルコニア不含」の用語は、NOx貯蔵成分にジルコニアは意図的に添加されず、かつ一般に、NOx貯蔵成分中でジルコニア約1質量%未満が存在することを意味する。
【0062】
1つ以上の実施態様の場合に、NOx貯蔵成分は、アルミナ、マンガン、およびセリアを含む。他の特別な実施態様の場合に、NOx貯蔵成分は、セリア、アルミナ、およびシリカを含む。さらに他の実施態様の場合に、NOx貯蔵成分は、アルミナ、シリカ、セリア、およびマンガンを含む。
【0063】
1つ以上の実施態様によると、第1の酸化成分、NOx貯蔵成分、または第2の酸化成分の1つ以上は、マンガン(Mn)を含む。焼成の際に、このマンガンは、酸化マンガン(Mnxy)の1つ以上の形態になることは、当業者に認識されるであろう。1つ以上の実施態様の場合に、マンガン含有率は、個々の成分の質量を基準として(すなわち第1の酸化成分、NOx貯蔵成分および/または第2の酸化成分の質量を基準として)、0.1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、および100質量%を含む0.1質量%〜100質量%の範囲にある。他の実施態様の場合に、マンガン含有率は、1〜100%、または2〜100%、または1〜10%の範囲にある。1つ以上の特別な実施態様の場合に、第1の酸化成分は、第1の酸化成分の質量を基準として約1〜10%の範囲の量でマンガンを含む。
【0064】
1つ以上の実施態様の場合に、マンガンを、酸化触媒複合体の個々の成分内に、バルクの形態でまたは表面の形態で、または離散的な酸化マンガン(Mnxy)の形態で組み込むことができる。1つ以上の実施態様の場合に、マンガンは、酢酸マンガン、硝酸マンガン、硫酸マンガン、またはこれらの組合せから選択される可溶性マンガン種から誘導される。他の実施態様の場合に、マンガンは、MnO、Mn23、MnO2、およびこれらの組合せから選択されるバルクの形態の酸化マンガンから誘導される。
【0065】
1つ以上の実施態様によると、耐火性金属酸化物担体は、マンガン塩で含浸されている。ここで使用される場合に、「含浸された」の用語は、マンガン含有溶液を、ゼオライトまたは耐火性金属酸化物担体のような材料の細孔内に入れられることを意味する。詳細な実施態様の場合に、金属の含浸は、希釈されたマンガン含有溶液の体積が担体ボディの細孔容積にほぼ等しいインシピエントウェットネス法により達成される。インシピエントウェットネス含浸は、一般に、材料の細孔系の全体にわたり、前駆体の溶液の実質的に均一な分配を生じさせる。金属を付加する他の方法もこの分野で公知であり、かつ使用することができる。
【0066】
したがって、1つ以上の実施態様によると、耐火性金属酸化物担体は、マンガンの供給源で担体を含浸するために、遊星型ミキサー中でマンガンの溶液を滴下して処理される。
【0067】
1つ以上の実施態様の場合に、マンガンを、Si、Fe、Co、Ni、Cu、In、Sn、Ir、Ce、およびPrから選択される1種以上の金属と一緒に滴下することができる。マンガンを1種以上の金属と一緒に滴下するような場合には、混合酸化物が形成されることが認識されるであろう。
【0068】
1つ以上の実施態様の場合に、NOx貯蔵成分は、アルミナ、NOx貯蔵成分の複合体の質量を基準として約0.1〜10質量%の範囲の量のマンガン、および約0.1〜10質量%の範囲の量のセリアを含む。このような実施態様の場合には、アルミナが、約80質量%〜約99.8質量%の量で存在することが当業者には認識されるであろう。特別な実施態様の場合に、NOx貯蔵成分は、アルミナ約90質量%、MnO2 5質量%、およびCeO2 5質量%を含む。1つ以上の特別な実施態様の場合に、NOx貯蔵成分は、0.4より大きいMn/(Ce+Mn)の質量比率を示し、この質量比率は、0.5より大きい、0.55より大きい、0.60より大きい、0.65より大きい、0.7より大きい、0.75より大きい、0.8より大きい、0.85より大きい、0.9より大きい、0.95より大きいことを含む。1つ以上の実施態様の場合に、NOx貯蔵成分は、約1のMn/(Ce+Mn)の比率を示す。いくつかの実施態様の場合に、NOx貯蔵成分は、約0.4〜約3、約0.5〜約2.5、約0.6〜約2、または約0.75〜約1.5のMn/(Ce+Mn)の比率を示す。Mn/(Ce+Mn)の比率は、酸化物としての質量%の比率、MnO/(CeO2+MnO)である。
【0069】
理論に拘束される意図はないが、アルミナ上のマンガンは、硫黄被毒に対する耐性を改善すると考えられる。ここで使用される場合に、「硫黄エージング」または「耐硫黄性」または「硫黄耐久性」の用語は、排気ガス中に含まれるNO、CO、およびHCを酸化するための酸化触媒の、硫黄酸化物(SOx)の影響の後での能力に関する。本願において、特に重要なのは、本発明のNOx吸着成分が、慣用のNOxトラップのために通常必要なようなリッチな脱硫酸戦略を必要とせずに、フィルタ再生で達成できる温度(<650℃)で容易に脱硫酸できることである。理論に拘束される意図はないが、セリア/シリカ/アルミナは、マンガン/セリアについてと同様に、硫黄被毒に対する耐久性を改善すると考えられる。
【0070】
他の実施態様の場合に、NOx貯蔵成分は、セリア、NOx貯蔵成分の質量を基準として、約0.1〜10質量%の範囲の量のアルミナ、および約0.1〜10質量%の範囲の量のシリカを含む。このような実施態様の場合には、セリアが、約80質量%〜約99.8質量%の量で存在することは当業者には認識されるであろう。特別な実施態様の場合に、NOx貯蔵成分は、約96質量%の量のセリア、約1質量%の量のシリカ、および約3質量%の量の結合剤としてのアルミナを含む。
【0071】
1つ以上の実施態様の場合に、セリアは、Si、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、In、Sn、Ir、Pr、およびこれらの組合せから選択される元素でドープされる。
【0072】
1つ以上の実施態様によると、NOx貯蔵成分は、ほぼ白金およびパラジウム不含である。ここで使用される場合に、「ほぼ白金およびパラジウム不含」の用語は、NOx貯蔵成分に白金およびパラジウムは意図的に添加されず、かつ一般に、NOx成分中で白金およびパラジウム約0.1%未満が存在することを意味する。しかしながら、負荷/被覆の間に、微量の白金およびパラジウムが、触媒被覆の一方の成分から、他方の成分へ移行してよく、その結果、微量の白金およびパラジウムが、NOx貯蔵成分中に存在することができることが当業者に認識されるであろう。
【0073】
1つ以上の実施態様によると、第1の酸化成分は、ほぼゼオライト不含である。ここで使用される場合に、「ほぼゼオライト不含」の用語は、第1の酸化成分にゼオライトは意図的に添加されず、かつ一般に第1の酸化成分中でゼオライト約1%未満が存在することを意味する。
【0074】
1つ以上の実施態様によると、第1の酸化成分は、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、セリア、またはマンガンの1種以上から選択される第1の耐火性金属酸化物担体、白金(Pt)成分およびパラジウム(Pd)成分を含む。第1の触媒被覆層中の白金対パラジウムの比は、広い範囲にわたり変化することができる。一般に、第1の酸化成分の白金対パラジウムの質量比に関する限り、特別な制限はない。1つ以上の実施態様の場合に、第1の酸化成分の白金対パラジウムの質量比は、約0:1〜4:1の範囲内にあることができ、この質量比は、0:1、1:1、2:1、3:1、および4:1を含む。例えば、Pt:Pd質量比は、約0.1:1〜4:1、約0.5:1〜4:1、約1:1〜約4:1約2:1〜約4:1、または約3:1〜約4:1であることができる。1つ以上の実施態様の場合に、第1の酸化成分中の白金およびパラジウムの負荷量は、約10g/ft3〜200g/ft3の範囲にあることができる。一般に、第1の酸化成分のパラジウム含有量に関する限り、特別な制限はない。また、第1の酸化成分の白金含有率に関する限り、特別な制限はない。特別な実施態様の場合に、第1の酸化成分中のPtの負荷量は、約2g/ft3〜40g/ft3の範囲であることができ、かつ第1の酸化成分中のPdの負荷量は、約10g/ft3〜約200g/ft3の範囲であることができる。1つ以上の実施態様の場合に、総PGM負荷量は、約10〜約200g/ft3であることができる。
【0075】
1つ以上の実施態様によると、酸化触媒複合体は、ガス状汚染物、通常では炭化水素を吸収し、かつそれを初期コールドスタート期間の間に保持するために、ゼオライトを含む吸着材料を含む。排気温度が上昇すると、吸着された炭化水素は、吸着剤から追い出され、より高い温度で接触処理に供される。したがって、1つ以上の実施態様の場合に、第2の酸化成分は、ゼオライト、白金(Pt)、および第2の耐火性金属酸化物を含み、ここで、第2の酸化成分は、ほぼパラジウム不含である。ここで使用される場合に、「ほぼパラジウム不含」の用語は、第2の酸化成分にパラジウムは意図的に添加されず、かつ一般に第2の酸化成分中でパラジウム約0.1質量%未満が存在することを意味する。しかしながら、負荷/被覆の間に、微量のパラジウムが、触媒被覆の一方の成分から他方の成分へ移行してよく、その結果、微量のパラジウムが、第2の酸化成分中に存在することができることが当業者に認識されるであろう。このように、第2の酸化成分は、ほぼパラジウム不含である場合、この第2の酸化成分は、微量のパラジウムを含んでよく、例えば、第2の酸化成分の全質量を基準として、約0.05質量%未満、約0.025質量%未満、または約0.01質量%未満の範囲で含まれていてよい。
【0076】
ここで使用される場合に、ゼオライトのような「モレキュラーシーブス」の用語は、粒子の形態で接触貴金属を担持してよい材料に関し、この材料は、20Å以下の平均細孔サイズを示すほぼ均一な細孔分布を示す。
【0077】
一般に、ゼオライト/アルミノケイ酸塩の任意の構造タイプ、例えばABW、ACO、AEI、AEL、AEN、AET、AFG、AFI、AFN、AFO、AFR、AFS、AFT、AFX、AFY、AHT、ANA、APC、APD、AST、ASV、ATN、ATO、ATS、ATT、ATV、AWO、AWW、BCT、BEA、BEC、BIK、BOG、BPH、BRE、CAN、CAS、SCO、CFI、SGF、CGS、CHA、CHI、CLO、CON、CZP、DAC、DDR、DFO、DFT、DOH、DON、EAB、EDI、EMT、EON、EPI、ERI、ESV、ETR、EUO、FAU、FER、FRA、GIS、GIU、GME、GON、GOO、HEU、IFR、IHW、ISV、ITE、ITH、ITW、IWR、IWW、JBW、KFI、LAU、LEV、LIO、LIT、LOS、LOV、LTA、LTL、LTN、MAR、MAZ、MEI、MEL、MEP、MER、MFI、MFS、MON、MOR、MOZ、MSO、MTF、MTN、MTT、MTW、MWW、NAB、NAT、NES、NON、NPO、NSI、OBW、OFF、OSI、OSO、OWE、PAR、PAU、PHI、PON、RHO、RON、RRO、RSN、RTE、RTH、RUT、RWR、RWY、SAO、SAS、SAT、SAV、SBE、SBS、SBT、SFE、SFF、SFG、SFH、SFN、SFO、SGT、SOD、SOS、SSY、STF、STI、STT、TER、THO、TON、TSC、UEI、UFI、UOZ、USI、UTL、VET、VFI、VNI、VSV、WIE、WEN、YUG、ZON、またはこれらの組合せの構造タイプを使用することができる。
【0078】
このゼオライトは、天然または合成のゼオライト、例えばフォージャサイト、チャバサイト、クリノプチロライト、モルデナイト、シリカライト、ゼオライトX、ゼオライトY、超安定ゼオライトY、ZSM−5、ZSM−12、SSZ−3、SAPO5、オフレタイト、またはベータゼオライトであることができる。特別な実施態様の場合に、このゼオライトは、高いシリカ対アルミナ比率(SAR)を示す。ゼオライトは、少なくとも25、特に少なくとも50のシリカ:アルミナモル比率を示してよく、25〜1000、50〜500、同様に25〜300、100〜250、あるいは35〜180の有効範囲も例示される。1つ以上の実施態様の場合に、ゼオライトは、約30〜150のSARまたは>500のSARを示すベータゼオライトである。
【0079】
1つ以上の実施態様の場合に、第2の酸化成分は、ZSM−5、ベータゼオライト、モルデナイト、Yゼオライト、CHA骨格型ゼオライト、フェリエライト、またはこれらの組合せから選択される熱水安定性ゼオライトを含む。特別な実施態様の場合に、第2の酸化成分は、ベータゼオライトを含む。1つ以上の実施態様の場合に、第2の酸化成分は、ゼオライトを、0.1〜1g/in3の全体量で含み、この全体量は、0.3〜0.8g/in3、0.35〜0.75g/in3、および0.35〜0.5g/in3を含む。特別な実施態様の場合に、第2の酸化成分は、ゼオライトを約0.5g/in3の全体量で含む。
【0080】
本発明による酸化触媒複合体の成分の各々は、それぞれ上述の担体材料を含む触媒被覆から形成する(例えばウォッシュコートとして適用する)ことができる。結合剤および安定剤のような他の添加剤が、触媒被覆を形成するために使用するウォッシュコート中に含まれていてよい。米国特許第4,727,052号明細書に記載されたように、活性化アルミナのような多孔質担体材料は、高めた温度でガンマからアルファへの不所望なアルミナ相変態を防ぐために、熱的に安定化することができる。安定化剤は、マグネシウム、バリウム、カルシウムおよびストロンチウムからなる群から選択されるアルカリ土類金属成分から選択することができる。存在する場合に、安定剤材料を、被覆中に約0.01g/in3〜約0.15g/in3の量で添加することができる。
【0081】
1つ以上の実施態様の場合に、第1の酸化成分は、さらに、Mg、Ca、Sr、またはBaから選択されるアルカリ土類金属を含むことができる。特別な実施態様の場合に、第1の酸化成分は、さらに、Ba、特に酸化バリウムを含む。このアルカリ土類は、約3〜約100g/ft3(3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、および100g/ft3を含む)の量で存在することができる。
【0082】
一般に、酸化触媒中の各々の個々の成分のウォッシュコート負荷量に関する限り、特別な制限はない。1つ以上の実施態様の場合に、第1の酸化成分、NOx貯蔵成分、および第2の酸化成分の1つ以上は、0.1g/in3〜6.0g/in3の量のウォッシュコート負荷量を示す。
【0083】
1つ以上の実施態様の場合に、NOx貯蔵成分、第1の酸化成分、および第2の酸化成分を含む酸化触媒は、次いで、セラミック製もしくは金属製のフロースルー型モノリス、またはウォールフロー型フィルタに適用される。ここで使用される場合に、「層」の用語は、支持体基材上のディーゼル酸化触媒の位置を表示するために使用される。触媒被覆成分の積層について特に順序がないことは認識されるであろう。
【0084】
1つ以上の実施態様の場合に、第1の酸化成分とNOx貯蔵成分とは混合される。他の実施態様の場合に、NOx貯蔵成分と第2の酸化成分とは混合される。これらの成分の混合は均一であることができるが、いくつかの場合に、被覆層中で、個々の成分の局在化された濃縮を、不利な相互作用を緩和するために行ってよく、例えばPtとセリアとの相互作用の最小化が有益であってよいことが当業者には認識されるであろう。
【0085】
1つ以上の実施態様の場合に、第1の酸化成分は、支持体基材上の下層であり、NOx貯蔵成分は、この下層上の中間層であり、かつ第2の酸化成分は、この中間層上(または中間層の上方)の上層である。
【0086】
他の実施態様の場合に、第1の酸化成分は、支持体基材上の下層であり、かつNOx貯蔵成分と第2の酸化成分とは、この下層上の混合型の上層内に混合されている。
【0087】
さらに別の実施態様の場合に、第1の酸化成分とNOx貯蔵成分とは混合されていて、かつ支持体基材上の混合型の下層内にあり、かつ第2の酸化成分は、この混合型の下層上(または混合型の下層の上方)の上層内にある。
【0088】
1つ以上の実施態様の場合に、NOx貯蔵成分は、支持体基材上の下層であり、かつ第1の酸化成分と第2の酸化成分とは、この下層上(または下層の上方)の区分けされた上層内で区分けされた関係にある。このような実施態様の場合に、第1の酸化成分は、上流端にあることができ、かつ第2の酸化成分は、下流端に配置されることができる。他の実施態様の場合に、第2の酸化成分は、上流端にあることができ、かつ第1の酸化成分は、下流端に配置されることができる。
【0089】
上流区域と下流区域とが少なくとも部分的に重複できることは当業者に認識されるであろう。1つ以上の実施態様の場合に、上流区域は、少なくとも部分的に下流区域と重複する。他の実施態様の場合に、下流区域は、少なくとも部分的に上流区域と重複する。
【0090】
1つ以上の実施態様の場合に、上流区域と下流区域とは、相互に直接隣接していてよい。さらに別の実施態様の場合に、上流区域と下流区域との間に隔たりがあってよい。
【0091】
ここで使用される場合に、「上流」および「下流」の用語は、エンジンからテールパイプに向かうエンジン排気ガス流の流れに従った相対的な方向に関し、エンジンは、上流の位置にあり、かつテールパイプおよび任意の汚染対策物品、例えばフィルタおよび触媒は、エンジンの下流にある。
【0092】
ここで使用される場合に、「流」の用語は、おおまかに、固体または液状の粒子状物質を含んでいてよい流動するガスの任意の組合せに関する。「ガス流」または「排気ガス流」の用語は、液滴、固体粒子などのような同伴されたガス状でない成分を含んでいてよいリーンバーンエンジンの排気のようなガス状の構成要素の流れを意味する。リーンバーンエンジンの排気ガス流は、一般に、さらに燃焼生成物、不完全燃焼の生成物、窒素の酸化物、燃焼可能なおよび/または炭素質の粒子状物質(スート)、および未反応の酸素および窒素を含む。
【0093】
1つ以上の実施態様によると、酸化触媒複合体は、さらに、支持体基材と下層との間に配置された下塗層を備えることができる。1つ以上の実施態様の場合に、この下塗層は、アルミナ、特にガンマ−アルミナを含む。下塗層が存在する実施態様の場合に、この下塗層は、支持体基材上に被覆され、次いで下層をこの下塗層の上方(または下塗層の上)に被覆することができる。1つ以上の実施態様の場合に、この下塗層は、1種以上の白金族金属および/またはゼオライトを含むことができる。
支持体基材
【0094】
ここで使用される場合に、「支持体」および「基材」の用語は、モノリス材料に関し、モノリス材料上には、耐火性金属酸化物担体が配置されており、前記耐火性金属酸化物担体は、典型的には、その上に触媒種を備えた複数の担体を含む触媒被覆の形態である。1つ以上の実施態様の場合に、基材は、DOC触媒を製造するために一般に使用される材料のいずれかであってよく、かつ一般にフォーム、金属、またはセラミックハニカム構造を示す。通路が流体を通すように、基材の入口面から出口面まで貫通して延びている複数の微細な平行のガス流通通路を備えたタイプのモノリス基材のような任意の適切な基材を使用してよい。流体入口から流体出口までほぼまっすぐな経路である通路は、触媒材料が「ウォッシュコート」として被覆された壁部によって画定されるので、この通路を通って流れるガスは、触媒材料と接触する。ウォッシュコートは、液体媒体中に担体の特定の固体含有率(例えば30〜50質量%)を含むスラリーを製造し、次いでこれを支持体基材上に被覆し、乾燥して触媒被覆層を提供することにより形成される。
【0095】
モノリス基材の流通通路は、台形、矩形、正方形、正弦波形、六角形、楕円形、円形などのような任意の適切な横断面形状およびサイズであることができる薄壁の通路である。このような構造は、横断面の1平方インチあたり約60から約600以上までのガス入口開口(例えばセル)を備えていてよい。
【0096】
セラミック基材は、任意の適切な耐火性材料、例えばコーディエライト、コーディエライト−αアルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、チタン酸アルミニウム、ジルコニウムムライト、スポジュメン、アルミナ−シリカマグネシア、ケイ酸ジルコニウム、シリマナイト、ケイ酸マグネシウム、ジルコニア、ペタライト、α−アルミナ、アルミノケイ酸塩などからなっていてよい。
【0097】
1つ以上の実施態様による酸化触媒複合体のため有用な基材は、事実上金属であってもよく、かつ1つ以上の金属または金属合金から構成されていてよい。金属基材は、波形シートまたはモノリス形態のような多様な形状で使用されてよい。適切な金属担体は、チタンおよびステンレス鋼、ならびに実質的な成分または主成分が鉄である他の合金のような耐熱性金属および金属合金を含む。
触媒複合体の製造
【0098】
1つ以上の実施態様による酸化触媒複合体は、単層で、または少なくとも二層、および少なくとも三層を含む多層で形成されてよい。いくつかの状況では、触媒材料のスラリーを製造し、かつこのスラリーを用いて基材上に多層を形成することが適切であってよい。酸化触媒複合体は、公知のプロセス、例えばインシピエントウェットネスにより製造することができる。代表的プロセスを以下に示す。
【0099】
酸化触媒複合体は、モノリス基材上の複数の層の形で製造することができる。特定の触媒被覆の第1の層のために、ガンマアルミナのような高表面積の耐火性金属酸化物の微細な粒子を、適切な媒体、例えば水中でスラリーにする。次いで、基材を、1回以上このようなスラリー中に浸漬してよいか、またはスラリーを基材上に被覆してよいので、金属酸化物の所望の負荷量が基材上に堆積する。貴金属(例えばパラジウム、白金、ロジウム、および/または組合せ)および安定剤および/または助触媒のような成分を導入するために、このような成分は、基材被覆の前に、水溶性または水分散性の化合物または錯体の混合物として、スラリーに導入してよい。あるいは、貴金属、安定剤および助触媒を、水に分散可能な溶液として、スラリーが、モノリス基材に適用された後に添加してよい。その後、被覆された基材を、熱により、例えば400〜600℃で、約10分〜約4時間焼成する。白金および/またはパラジウムが所望の場合に、耐火性金属酸化物担体、例えば活性化アルミナ上のこれらの成分の分散液を達成するために、白金およびパラジウム成分を、化合物または錯体の形態で使用する。ここで使用される場合に、「白金成分」および「パラジウム成分」は、焼成またはその使用の際に、触媒活性形、通常では金属または金属酸化物に分解されるか、または他の方法で変換される任意の化合物、錯体などに関する。一般に、これらの貴金属の可溶性化合物または錯体の水溶液が使用される。適切な化合物の無限定の例は、硝酸パラジウム、硝酸テトラアミンパラジウム、塩化白金、酢酸テトラアミン白金、および硝酸白金を含む。焼成工程の間に、または少なくともこの複合体の使用の初期段階の間に、このような化合物は、金属またはその化合物の触媒活性形に変換される。
【0100】
積層された触媒複合体の任意の層を製造する適切な方法は、所望の貴金属化合物(例えば白金化合物および/またはパラジウム化合物)の溶液と、少なくとも1つの担体、例えば微細な、高い表面積の耐火性金属酸化物担体、例えばガンマアルミナとの混合物を製造し、溶液のほぼ全てを吸収させるためにこれを十分に乾燥し、後に被覆可能なスラリーを形成するために、水と合わせて湿った固体を形成する。1つ以上の実施態様の場合に、スラリーは酸性であり、例えば約2〜約7未満のpHを示す。スラリーのpHは、適切な量の無機酸または有機酸をスラリーに添加することにより低下されてよい。両方の組合せは、酸と原材料との適合性を考慮する場合に使用することができる。無機酸は、硝酸を含むが、これに限定されない。有機酸は、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタミン酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、酒石酸、クエン酸などを含むが、これらに限定されない。その後に、所望の場合に、水溶性または水分散性の化合物、および/または安定剤、例えば酢酸バリウム、および助触媒、例えば硝酸ランタンを、スラリーに添加してよい。
【0101】
1つ以上の実施態様の場合に、スラリー中の粒子を粉砕し、実質的に全てを18ミクロン未満の粒子サイズを示す固体にする。この粉砕は、ボールミルまたは他の同等の器具で達成してよく、かつスラリーの固体含有率は、例えば約20〜60質量%、または30〜40質量%であってよい。
【0102】
付加的な層、すなわち第2の層は、第1の層上に、基材上での第1の層の堆積について記載した方法と同じ方法で製造および堆積されてよい。
【0103】
1つ以上の実施態様による酸化触媒複合体は、図1を参照してより容易に認識することができる。図1は、1つ以上の実施態様に従って、耐火性基材部2を示す。図1を参照して、耐火性基材部2は、円筒外周面4、上流端面6、および端面6と実質的に同一の下流端面8を有する円筒状の形状である。基材部2は、この基材部2中に形成された複数の微細な平行のガス流通通路10を備える。図2に示すように、流通通路10は、壁部12により形成され、かつ上流端面6から下流端面8まで基材2を貫通して延び、この通路10は、ガス流通通路10を介して基材2を縦方向に通る流体、例えばガス流の流動を可能にするように遮られていない。図2においてより容易に示すように、壁部12は、ガス流通通路10が、実質的に規則的な多角形の形状、ほぼ正方形を示すが、図示された実施態様の場合には、米国特許第4,335,023号明細書に記載されたように丸められた角部を備えるように寸法決めおよび構成されている。触媒被覆層14は、基材部の壁部12に付着されるか、または基材部の壁部12上に被覆される。図2に示すように、付加的触媒被覆層16は、触媒被覆層14上に被覆される。1つ以上の実施態様の場合に、第3の触媒被覆層(図示されていない)を、基材の下に適用することができる。触媒被覆層14は、1つ以上の実施態様に従って、第1の酸化成分、NOx貯蔵成分、第2の酸化成分、またはこれらの組合せを含むことができることは、当業者に認識されるであろう。付加的触媒被覆層16は、1つ以上の実施態様に従って、第1の酸化成分、NOx貯蔵成分、第2の酸化成分、またはこれらの組合せを含むことができる。1つ以上の実施態様の場合に、第3の触媒被覆層(図示されていない)は、1つ以上の実施態様に従って、基材の下に適用することができ、かつ第1の酸化成分、NOx貯蔵成分、第2の酸化成分、またはこれらの組合せを含むことができる。したがって、基材2の壁部12は、所望のように、1つの触媒被覆層、2つの触媒被覆層、3つ触媒被覆層、またはそれより多くの触媒被覆層を備えることができる。単一の触媒被覆層は、1つの成分、2つの成分、3つの成分、またはそれより多くの成分を含んでいてよい。例えば、単一の触媒被覆層は、第1の酸化成分、NOx貯蔵成分、および第2の酸化成分の1つだけを含んでいてよい。いくつかの実施態様の場合に、単一の触媒被覆層は、第1の酸化成分とNOx貯蔵成分とを含んでいてよい。いくつかの実施態様の場合に、単一の触媒被覆層は、第1の酸化成分と第2の酸化成分とを含んでいてよい。いくつかの実施態様の場合に、単一の触媒被覆層は、NOx貯蔵成分と第2の酸化成分とを含んでいてよい。いくつかの実施態様の場合に、単一の触媒被覆層は、第1の酸化成分、NOx貯蔵成分、および第2の酸化成分の全てを含んでいてよい。触媒被覆層の1つまたは複数は、壁部が第1の酸化成分、NOx貯蔵成分、および第2の酸化成分の全てで被覆されるように、基材2の壁部12に適用してよい。
【0104】
図2に示すように、基材部2は、ガス流通通路10により提供された空所を含み、かつこの通路10の断面積および通路を画定する壁部12の厚さは、基材部の一方のタイプから他方のタイプまで変化する。同様に、このような基材に適用された触媒被覆の質量は、事例ごとに変化する。したがって、触媒被覆または触媒金属成分、または組成物の他の成分の量を述べる場合、触媒基材の単位体積当たりの成分の質量の単位を使用することが好都合である。したがって、ここでは、立方インチ当たりのグラム(「g/in3」)および立方フィート当たりのグラム(「g/ft3」)の単位が、基材部の空所の体積を含めた基材部の体積当たりの成分の質量を意味するために使用される。
【0105】
第1の酸化成分、NOx貯蔵成分、および第2の酸化成分を含む1つ以上の実施態様による酸化触媒複合体は、図3〜5を参照してより容易に理解することができる。図3は、ディーゼルエンジンからの排気ガスエミッションの低減のための積層された酸化触媒複合体20の実施態様を示す。1つ以上の実施態様の場合に、基材22は、一般に、ハニカム基材の複数の通路24を備え、簡潔さのために、この基材の1つの通路だけを断面図で示す。基材22は、入口端または上流端26、および出口端または下流端28を備え、かつ3つの個別の触媒被覆層を備える。1つ以上の実施態様の場合に、第1の酸化成分は、基材22上の下層30であり;1つ以上の実施態様のNOx貯蔵成分は、下層30上の中間層32であり;かつ第2の酸化成分は、中間層32上の上層34である。1つ以上の実施態様によると、酸化触媒複合体は、さらに、基材22と下層30との間に配置された下塗層(図示されていない)を備えることができる。1つ以上の実施態様の場合に、下塗層は、アルミナ、特にガンマアルミナを含む。下塗層が存在する実施態様の場合に、下塗層は、基材22上に被覆され、次いで第1の酸化成分が、下塗層の上方(または上)に、下層30の形で被覆される。1つ以上の実施態様の場合に、下塗層は、1つ以上の白金族金属および/またはゼオライトを含むことができる。したがって、基材22は、連続して、任意に下塗層、下層30、中間層32、および上層34で被覆されることができる。いくつかの実施態様の場合に、下塗層、下層30、中間層32、および上層34は、それぞれ、単一組成物(例えばアルミナ成分、第1の酸化成分、NOx貯蔵成分、または第2の酸化成分)を含むことができる。
【0106】
図4は、ディーゼルエンジンからの排気ガスエミッションの低減のための積層された酸化触媒複合体40の実施態様を示す。1つ以上の実施態様の場合に、基材42は、一般に、ハニカム基材の複数の通路44を備え、簡潔さのために、この基材の1つの通路だけを断面図で示す。基材42は、入口端または上流端46、および出口端または下流端48を備え、かつ2つの個別の触媒被覆層を備える。1つ以上の実施態様の場合に、第1の酸化成分は、基材42上の下層50であり、NOx貯蔵成分および第2の酸化成分は、下層50上の混合型の上層52を形成するために混合される。1つ以上の実施態様によると、酸化触媒複合体は、さらに、基材42と下層50との間に配置された下塗層(図示されていない)を備えることができる。1つ以上の実施態様の場合に、下塗層は、アルミナ、特にガンマアルミナを含む。下塗層が存在する実施態様の場合に、下塗層は、基材42上に被覆され、次いで第1の酸化成分が、下塗層の上方(または上)に、下層50の形で被覆され、かつNOx貯蔵成分および第2の酸化剤成分は、下層50上に混合型の上層52を形成するために混合される。1つ以上の実施態様の場合に、下塗層は、1つ以上の白金族金属および/またはゼオライトを含むことができる。
【0107】
図4を参照して、他の実施態様の場合に、第1の酸化成分とNOx貯蔵成分とは混合され、かつ基材42上の混合型の下層50を形成し、かつ第2の酸化成分は、混合型の下層50上の上層52である。1つ以上の実施態様によると、酸化触媒複合体は、またさらに、基材42と下層50との間に配置された下塗層(図示されていない)を備えることができる。下塗層が存在する実施態様の場合に、下塗層は、基材42上に被覆され、次いで第1の酸化成分とNOx貯蔵成分とは混合され、かつ下塗層の上方(または上)に被覆された混合型の下層50を形成し、かつ第2の酸化成分は、下層50上の上層52である。したがって、基材42は、連続して、任意の下塗層、下層50、および上層52で被覆されることができる。いくつかの実施態様の場合に、下層50と上層52との一方は、単一組成物(例えば第1の酸化成分または第2の酸化成分)を含むことができ、かつ下層50と上層52の他方は、組成物のブレンド(例えば、第1の酸化成分とNOx貯蔵成分とのブレンド、または第2の酸化成分とNOx貯蔵成分とのブレンド)を含むことができる。
【0108】
図5は、軸方向で区切られた上層(72/74)を備えた、積層された酸化触媒複合体60の例示的な実施態様を示す。図5を参照して、1つ以上の実施態様の場合に、基材62は、一般に、ハニカム基材の複数の通路64を備え、簡潔さのために、この基材の1つの通路だけを断面図で示す。基材62は、入口端または上流端66、および出口端または下流端68を備え、かつ2つの個別の触媒被覆を備える。基材62は、軸方向長さLを示す。1つ以上の実施態様の場合に、NOx貯蔵成分は、基材62上の下層70であり、この下層70は、基材62の入口端66から、基材62の軸方向長さLにわたり出口端68に至まで延びている。第1の酸化成分と第2の酸化成分とは、下層70上の区切られた上層として区切られた関係で被覆される。1つ以上の実施態様の場合に、第1の酸化成分は、入口端または上流端にあり、かつ第2の酸化成分は、出口端または下流端にある。第1の酸化成分72は、基材62の入口端66から、基材62の全体の軸方向長さLよりも短い長さにわたって延びている。第1の酸化成分区域72の長さは、図5において第1の区域72aとして印される。第2の酸化成分74は、基材62の出口端68から、基材62の全体の軸方向長さLよりも短い長さにわたって延びている。第2の触媒被覆区域74の長さは、図5において第2の区域74aとして印される。1つ以上の実施態様によると、酸化触媒複合体は、またさらに、基材62と下層70との間に配置された下塗層(図示されていない)を備えることができる。下塗層が存在する実施態様の場合に、下塗層は、基材62上に被覆され、次いでNOx貯蔵成分が、下塗層の上方(または上)に被覆された下層70であり、かつ第1の酸化成分および第2の酸化成分は、下層70上の区切られた上層として区切られた関係で被覆される。
【0109】
図5を参照して、他の実施態様の場合に、第1の酸化成分は、出口端または下流端にあり、かつ第2の酸化成分は、入口端または上流端にある。第1の酸化成分74は、基材62の出口端68から、基材62の全体の軸方向長さLよりも短い長さにわたって延びている。第1の酸化成分区域74の長さは、図5において第1の区域74aとして印されている。第2の酸化成分72は、基材62の入口端66から、基材62の全体の軸方向長さLよりも短い長さにわたって延びている。第2の触媒被覆区域72の長さは、図5において第2の区域72aとして印される。
【0110】
上流区域と下流区域とが少なくとも部分的に重複できることは当業者に認識されるであろう。1つ以上の実施態様の場合に、上流区域は、少なくとも部分的に下流区域と重複する。他の実施態様の場合に、下流区域は、少なくとも部分的に上流区域と重複する。1つ以上の実施態様の場合に、少なくとも部分的な重複は、約0.1%〜約50%の範囲にある。別の実施態様の場合に、上流区域と下流区域とは、相互に直接隣接していてよい。さらに別の実施態様の場合に、上流区域と下流区域との間に隔たりがあってよい。第1の区域74aと第2の区域72aとはそれぞれ、各々の長さを示すことができ、かつ第1の区域74aの長さの、第2の区域72aの長さに対する比は、約5:1〜約1:5、約4:1〜約1:4、約3:1〜約1:3、約2:1〜約1:2,または約1:1であることができる。
エミッション処理系
【0111】
1つ以上の実施態様の酸化触媒複合体は、ディーゼル排気ガスエミッションの処理のために、1つ以上の付加的成分を含む組込型のエミッション処理系において使用することができる。したがって、本発明の第2の態様の実施態様は、ディーゼルエンジンからのガス状排気流を処理する系に関する。排気ガス流は、炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物、粒子状物質、および他の排気成分を含むことができる。1つ以上の実施態様の場合に、排気ガス処理系は、排気マニホールドを介してディーゼルエンジンと流体連結する形の排気管;本発明の酸化触媒複合体;および酸化触媒複合体と流体連結する形の、次の:触媒添加型スートフィルタ(CSF)および触媒添加型スートフィルタの下流に配置された選択的接触還元(SCR)触媒/物品の1つ以上を含む。1つ以上の特別な実施態様の場合に、排気ガス処理系は、排気マニホールドを介してディーゼルエンジンと流体連結する形の排気管;本発明の酸化触媒複合体;および酸化触媒複合体と流体連結する形の、選択的接触還元(SCR)触媒/物品およびSCR触媒の下流に配置された触媒添加型スートフィルタ(CSF)を含む。1つ以上のさらに特別な実施態様の場合に、排気ガス処理系は、排気マニホールドを介してディーゼルエンジンと流体連結する形の排気管;本発明の酸化触媒複合体;および酸化触媒複合体と流体連結する形の、フィルタ上に直接被覆されかつ酸化触媒複合体の下流に配置された選択的接触還元触媒/物品(フィルタ上のSCR)を含む。付加的なフロースルー型SCR触媒は、任意にフィルタ上のSCRの下流に配置されていてよい。
【0112】
1つ以上の実施態様による酸化触媒複合体の使用による排気ガスエミッションの処理に加えて、粒子状物質の除去のためのスートフィルタを使用してよい。一般に、スートフィルタは、酸化触媒複合体の下流に配置されている。1つ以上の実施態様の場合に、スートフィルタは、触媒添加型スートフィルタ(CSF)である。CSFは、捕捉されたスートを焼却するためおよび/または排気ガス流エミッションを酸化するための1つ以上の触媒を含む触媒被覆層で被覆された基材を備えていてよい。一般に、スート焼却触媒は、スートを焼却するための任意の公知の触媒であることができる。例えばCSFは、未燃焼の炭化水素およびいくらかの粒子状物質の燃焼のための1つ以上の高い表面積の耐火性酸化物(例えば、酸化アルミニウムまたはセリア−ジルコニア)で被覆されていることができる。このスート焼却触媒は1つ以上の白金族金属(PGM)触媒(白金、パラジウム、および/またはロジウム)を含む酸化触媒であることができる。
【0113】
例示的なエミッション処理系は、本発明の1つ以上の実施態様と関連して、エミッション処理系の模式図を表す図6〜8を参照してさらに容易に理解することができる。図6は、排気マニホールドを介してディーゼルエンジン81と流体連結する形の排気管82;および1つ以上の実施態様によるディーゼル酸化触媒複合体83を備えたエミッション処理系80の例示的な実施態様を示す。ディーゼル酸化触媒複合体83内で、未燃焼のガス状および揮発性の炭化水素(すなわちVOF)と一酸化炭素とは、十分に燃焼され、二酸化炭素と水とが形成される。さらに、NOx成分のNOの割合を、ディーゼル酸化触媒(DOC)内でNO2に酸化させてよい。この排気流は、次いで、排気管ライン85を介して、下流の選択的接触還元(SCR)成分86に運ばれる。このSCR触媒86は、酸化触媒とSCR触媒との間に触媒材料を介在させずに、酸化触媒83のすぐ下流に配置されている。アンモニア前駆体(例えば尿素水)は、ライン84を介して、排気ライン85内へ注入される。添加されたアンモニアを含む排気ガス流は、ライン85を介して、NOxの処理および/または変換のために、SCR成分86に運ばれる。特別な実施態様の場合に、任意の触媒添加型スートフィルタ(CSF)87が、SCR触媒の下流に配置されていてよく、かつ排気ガス流は、任意の排気管88を介してCSF87に運ばれてよい。
【0114】
一般に、例えばハニカム式ウォールフロー型フィルタ、巻型または充填型ファイバーフィルタ、連続気泡フォーム、焼結金属フィルタなどを含む任意の公知のフィルタ基材を使用することができ、ウォールフロー型フィルタが特に適している。CSF組成物を支持するために有用なウォールフロー型基材は、基材の縦軸に沿って延びる複数の微細な、ほぼ平行のガス流通通路を備える。一般に、各々の通路は、基材ボディの一端で遮閉され、別の通路は、反対側の端面で遮閉されている。このようなモノリス式支持体は、横断面の1平方インチ当たり約700以上までの流通通路(またはセル)を備えていてよいが、遙かに少ないものも使用してよい。例えば、この支持体は、約7〜600、通常では約100〜400のセル/平方インチ(「cpsi」)を示してよい。これらのセルは、矩形、正方形、円形、楕円形、三角形、六角形、または他の多角形形状の横断面を示すことができる。一般に、ウォールフロー型基材は、0.002〜0.02インチの壁厚を示す。
【0115】
一般的なウォールフロー型フィルタ基材は、コーディエライト、α−アルミナ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、チタン酸アルミニウム、ジルコニア、ムライト、スポジュメン、アルミナ−シリカ−マグネシアまたはケイ酸ジルコニウムのようなセラミック状の材料、または多孔質耐火性金属から構成される。フィルタ基材は、セラミックファイバまたは金属ファイバ複合体材料から形成されていてもよい。
【0116】
他の実施態様の場合に、例示的なエミッション処理系は、エミッション処理系90の模式図を示す図7の参照によりさらに容易に理解することができる。図7を参照して、ガス状汚染物(例えば、未燃焼炭化水素、一酸化炭素およびNOx)および粒子状物質を含む排気ガス流は、排気管ライン92を介して、ディーゼルエンジンのようなリーンバーンエンジン91から、本発明の1つ以上の実施態様による酸化触媒複合体の形態のディーゼル酸化触媒(DOC)93に運ばれる。DOC93内で、未燃焼のガス状のおよび揮発性の炭化水素(すなわちVOF)と一酸化炭素とは、十分に燃焼され、二酸化炭素と水とが形成される。さらに、NOx成分のNOの割合を、DOC内でNO2に酸化させてよい。この排気流は、次いで、排気ライン94を介して、排気ガス流内に存在する粒子状物質を捕捉する触媒添加型スートフィルタ(CSF)95に運ばれる。このCSF95は、任意に受動的再生のために触媒作用される。CSF95を介して粒子状物質を除去した後に、排気ガス流は、排気ライン96を介して運ばれる。アンモニア前駆体(例えば尿素水)は、ライン97を介して、排気ライン96内へ注入される。添加されたアンモニアを含む排気ガス流は、ライン96を介して、NOxの処理および/または変換のために、下流の選択的接触還元(SCR)成分98に運ばれる。1つ以上の実施態様の場合に、排気ガス流は、任意の排気管99を介して、全てのスリップしたアンモニアを系から除去するために、SCR成分98の下流に配置された任意のアンモニア酸化触媒(AMOX)100に運ぶことができる。ここで使用される場合に、「アンモニア分解触媒」または「アンモニア酸化触媒(AMOX)」の用語は、NH3の酸化を促進する触媒に関する。特別な実施態様の場合に、AMOX触媒は、白金、パラジウム、ロジウム、またはこれらの組合せのような白金族金属を含んでよい。
【0117】
このようなAMOX触媒は、SCR触媒を含む排気ガス処理系において有益である。本発明の譲受人に譲渡された米国特許第5,516,497号明細書(この全体の内容は、参照によりここに組み込まれる)に記載されているように、酸素、窒素酸化物およびアンモニアを含むガス流を、第1の触媒および第2の触媒に連続して通過させることができ、第1の触媒は窒素酸化物の還元に好都合であり、かつ第2の触媒は過剰のアンモニアの酸化又は他の分解に好都合である。米国特許第5,516,497号明細書に記載されているように、第1の触媒は、ゼオライトを含むSCR触媒であることができ、第2の触媒は、ゼオライトを含むAMOX触媒であることができる。
【0118】
AMOX触媒組成物および/またはSCR触媒組成物は、フロースルー型フィルタまたはウォールフロー型フィルタに被覆することができる。ウォールフロー型基材を使用する場合、生じるシステムは、ガス状汚染物と共に粒子状物質を除去することができる。ウォールフロー型基材は、コーディエライト、チタン酸アルミニウムまたは炭化ケイ素のようなこの分野で通常公知の材料から製造することができる。ウォールフロー型基材への触媒組成物の負荷量は、多孔率および壁厚のような基材特性に依存し、かつ一般にフロースルー型基材の負荷量より低くなることは理解されるであろう。
【0119】
他の例示的なエミッション処理系は、エミッション処理系101の模式図を示す図8に示される。図8を参照して、ガス状汚染物(例えば、未燃焼炭化水素、一酸化炭素およびNOx)および粒子状物質を含む排気ガス流は、排気ライン104を介して、ディーゼルエンジンのようなリーンバーンエンジン102から、本発明の実施態様による酸化触媒複合体の形態のディーゼル酸化触媒(DOC)106に運ばれる。DOC106内で、未燃焼のガス状のおよび揮発性の炭化水素(すなわちVOF)と一酸化炭素とは、十分に燃焼され、二酸化炭素と水とが形成される。さらに、NOx成分のNOの割合を、DOC内でNO2に酸化させてよい。この排気流は、次いで、排気ライン108を介して運ばれる。アンモニア前駆体(例えば尿素水)は、ライン110を介して、排気ライン108内へ注入される。添加されたアンモニアを含む排気ガス流は、ライン108を介して、排気ガス流中に存在する粒子状物質の捕捉、およびNOxの処理および/または変換のために、触媒添加型スートフィルタ内に支持された選択的接触還元成分(フィルタ上のSCR)に運ばれる。任意に、この排気ガス流は、ライン114を介して、NOxの更なる処理および/または変換のために、下流の選択的接触還元(SCR)成分116に運ばれてよい。1つ以上の実施態様の場合に、排気ガス流は、任意の排気管118を介して、全てのスリップしたアンモニアを系から除去するために、SCR成分116の下流に配置された任意のアンモニア酸化触媒(AMOX)120に運ぶことができる。
【0120】
この実施態様の場合に、適切なSCR成分は、スートフィルタ成分の下流に配置される。エミッション処理系で使用するための適切なSCR触媒成分は、600℃未満の温度で、NOx成分の還元を効果的に接触作用することができるので、一般に低い排気温度と関連する低負荷量の条件下でも、適切なNOxレベルを処理することができる。実施態様の場合に、触媒物品は、この系に添加される還元剤の量に依存して、NOx成分の少なくとも50%をN2に還元することができる。この組成物についての他の望ましい特性は、任意の過剰のNH3からN2とH2Oとへの酸化を選択的に接触作用する能力を有するので、NH3は、大気中に排出されない。エミッション処理系で使用される有用なSCR触媒組成物は、650℃を越える温度に対して耐熱性を有するべきである。このような高温は、上流の触媒添加型スートフィルタの再生の間に生じることがある。
【0121】
適切なSCR触媒組成物は、例えば米国特許第4,961,917号明細書(’917特許)および同第5,516,497号明細書に記載されていて、これらの両方は、その全体において参照によりここに組み込まれる。’917特許に記載された組成物は、ゼオライト中に存在する鉄および銅助触媒の一方または両方を、助触媒+ゼオライトの全質量の約0.1〜30質量%の量で、特に約1〜5質量%の量で含む。NOxをNH3でN2に還元することを接触作用するその能力に加えて、開示された組成物は、特に比較的高い助触媒濃度を示すこの組成物にとって、過剰のNH3のO2による酸化を促進することもできる。本発明の1つ以上の実施態様に従って使用してもよい他の特定のSCR組成物は、8員環の小細孔のモレキュラーシーブスを含む。ここで使用される場合に、「小細孔」の用語は、約5オングストロームより小さく、例えば約3.8オングストロームの細孔開口部に関する。「8員環の」ゼオライトの語句は、8員環の細孔開口部と、二重六員環の第二次構造単位とを示し、かつ4員環構造単位による二重六員環構造単位の結合から生じるかご状構造を示すゼオライトに関する。ゼオライトは、第二次構造単位(SBU)と複合構造単位(CBU)とからなり、多くの異なる骨格構造に現れる。第二次構造単位は、16までの四面体原子を含み、かつ非キラルである。複合構造単位は、アキラルである必要はなく、必ずしも骨格全体を構築するために使用することはできない。例えば、ゼオライトの1つの群は、その骨格構造中に単4員環(s4r)複合構造単位を示す。4員環中で、「4」は、四面体のケイ素およびアルミニウム原子の位置を示し、かつ酸素原子は、四面体原子の間に配置される。他の複合構造単位は、例えば、単6員環(s6r)単位、二重4員環(d4r)単位、および二重6員環(d6r)単位を含む。d4r単位は、2つのs4r単位の連結により作り出される。d6r単位は、2つのs6r単位の連結により作り出される。d6r単位中には、12の四面体原子が存在する。d6r第二次構造単位を含むゼオライト骨格型は、AEI、AFT、AFX、CHA、EAB、EMT、ERI、FAU、GME、JSR、KFI、LEV、LTL、LTN、MOZ、MSO、MWW、OFF、SAS、SAT、SAV、SBS、SBT、SFW、SSF、SZR、TSC、およびWENを含む。
【0122】
1つ以上の実施態様の場合に、SCR触媒は、二重六員環(d6r)単位を含むモレキュラーシーブスを含む。特別な実施態様の場合に、SCR触媒は、CHA、AEI、またはAFX骨格型ゼオライトを含む。さらに特別な実施態様の場合に、SCR触媒は、CHA骨格型ゼオライトを含む。SCR触媒は、助触媒金属、例えば銅、鉄、コバルト、ニッケル、ランタン、セリウム、マンガン、バナジウム、銀、またはこれらの組合せを含んでよい。さらに特に、SCR触媒は、銅、鉄、またはこれらの組合せから選択される助触媒金属を含んでよい。1つ以上の実施態様の場合に、例示的にCHA骨格型ゼオライトは、約15より大きいシリカ対アルミナ比率(SAR)を示し、かつ約0.2質量%を越える銅含有率を示す。さらに特別な実施態様の場合に、シリカ対アルミナのモル比率は、約15〜約256であり、銅含有率は、約0.2質量%〜約5質量%である。SCR用の他の有用な組成は、CHA骨格構造を示すゼオライト系でないモレキュラーシーブスを含む。例えば、SAPO−34、SAPO−44、およびSAPO−18のようなシリコアルミノホスファートは、1つ以上の実施態様に従って使用してよい。他の有用なSCR触媒は、V25、WO3、およびTiO2の1種以上を含む混合酸化物を含むことができる。
処理方法
【0123】
本発明の第3の態様は、一酸化炭素、炭化水素、NOx、および粒子状物質を含むディーゼル排気ガス流を処理するための方法に関する。1つ以上の実施態様の場合に、この方法は、排気ガス流を本発明の酸化触媒複合体と接触させることを含む。
【0124】
本発明の実施態様を、ここで、次の実施例を参照して説明する。本発明のいくつかの例示的な実施態様を説明する前に、本発明は、次の説明で述べられた構成またはプロセス工程の詳細に限定されないことが理解される。本発明は、別の実施態様が可能であり、かつ多様な方法で実施または実行することが可能である。
実施例
【0125】
I.NOx吸着/脱着についての熱重量分析(TGA)
【0126】
試験定義:熱重量分析(TGA)は、PerkinElmer Pyris 1 TGAを用いて実施した。次の方法論を、NO2吸着/脱着測定のために使用した:試料を乾燥するために、N2中で温度を600℃に上昇;N2中で室温に冷却、20min保持。N2中1000ppmのNO2/3000ppmのO2のフローを導入、120min保持。NO2/O2のフローを停止、N2中で20min保持。温度を、それぞれ120℃、250℃、および350℃で20min停止しながら600℃に上昇。
【0127】
次の材料を製造した:
【0128】
A.アルミナの調査
【0129】
純アルミナ:参考例1
【0130】
製造:参考例1の試料は、約145〜155m2/gの表面積、0.8〜0.9cc/gの細孔容積を示す純(100%)アルミナである。
【0131】
アルミナ/マンガン:実施例1
【0132】
製造:ガンマ−アルミナ粉末の量を計量し、かつ質量を記録した。この粉末を、所望の濃度(3.3%MnO)に達するまで酢酸マンガン溶液で含浸した。この試料を120℃で1時間乾燥し、次いで空気中で500℃で1h焼成した。実施例1は、組成Al/Mn(95/5)を示した。
【0133】
アルミナ/セリア/マンガン:実施例2
【0134】
製造:実施例1からのMn被覆ガンマ−アルミナ粉末の量を計量し、かつ質量を記録した。この粉末を、所望の濃度(3.2%CeO2)に達するまで硝酸セリウム溶液で含浸した。この試料を120℃で1時間乾燥し、かつ空気中で500℃で1h焼成した。実施例2は、組成Al/Ce/Mn(90/5/5)を示した。
【0135】
製造した粉末試料を、次のエージングの手順に従ってエージングさせた:管状炉中で800℃/10%H2O/空気/25時間。
【0136】
試験:アルミナ試料についてのTGA試験結果を、表1に示す:
【0137】
表1:
【表1】
【0138】
結果:表1より、脱着特性がアルミナ内にMnを導入することにより高められることが分かる。120℃での吸着率は、N2中で120℃、20minの安定化後のNO2吸着に基づく質量増加(g)を、600℃での乾燥後の室温での質量(g)で除した質量%として定義される。脱着率は、120℃から350℃までの全質量損失(g)を、先に定義された全吸着量(g)で除した質量%として定義される。Mn含浸アルミナ(実施例1)およびCe/Mn含浸アルミナは、フレッシュまたはエージングの場合で、参考例1のアルミナと同様なNOx吸着能力を示す。Mn含浸アルミナ(実施例1)は、フレッシュまたはエージングの場合で、350℃で、参考例1のアルミナよりも、吸着されたNOxの高い率を脱着する。Ce/Mn含浸アルミナ(実施例2)は、フレッシュまたはエージングの場合で、Mn/アルミナ(実施例1)よりも、吸着されたNOxの高い率を脱着する。
【0139】
B.セリアの調査
【0140】
純セリア:参考例2
【0141】
製造:参考例2の試料は、約140〜160m2/gの表面積、0.3〜0.4cc/gの細孔容積を有する純(100%)セリアである。
【0142】
セリア/シリカ:実施例3
【0143】
製造:オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を、エタノール中に溶かした。セリア(参考例2)を、TEOS/EtOHで含浸した。セリアを、室温で約30min浸し、引き続き炉内で110℃で2時間加熱した。この材料を、炉内で550℃で焼成した。最終的な材料は、セリア上に1.0%シリカを有した。実施例3は、組成Ce/Si(99:1)を有する。
【0144】
セリア/シリカ:実施例4
【0145】
製造:実施例4は、異なる濃度のTEOS/EtOHを用いて、実施例3と同じ製造プロセスに従って製造した。最終的な材料は、セリア上に5.0%シリカを有した。実施例4は、組成Ce/Si(95/5)を有する。
【0146】
セリア/マンガン:実施例5
【0147】
製造:セリア粉末(参考例2)の量を計量し、かつ質量を記録した。この粉末を、所望の濃度(0.1%MnO)に達するまで酢酸マンガン溶液で含浸した。この試料を120℃で1時間乾燥し、次いで空気中で500℃で1h焼成した。実施例5は、組成Ce/Mn(99.9/0.1)を有した。
【0148】
セリア/マンガン:実施例6
【0149】
製造:実施例6は、実施例5のプロセスに従って製造したが、最終的な粉末は、セリア上に5.0%MnOの濃度を有した。実施例6は、組成Ce/Mn(95/5)を有する。
【0150】
試験:セリア試料についてのTGA試験結果を、表2に示す:
【0151】
表2:
【表2】
【0152】
結果:表2より、Si含浸セリア(実施例3)が、フレッシュまたはエージングの場合で、参考例2のセリアと比べて、120〜350℃で、より高い脱着率を示すが、120℃でのNOx吸着能力は低下することが分かる。セリア上でのSi負荷量の増加(実施例4)は、脱着特性を高めるが、NOx吸着能力をさらに低下させる。Mn含浸セリア(実施例5)もまた、参考例2のセリアと比べて、高い脱着率を示すが、NOx吸着能力は低下する。セリア上でのMn負荷量の増加(実施例6)は、脱着特性を高めるが、NOx吸着能力をさらに低下させる。
【0153】
II.PGMなしの粉末試験
【0154】
実験室反応器中での粉末試験を、N2中のNO/NO2/O2/H2Oの供給ガス流で行った。NO2吸着/脱着測定のために次の手順を使用した:1.5g(コランダムで3mlの床体積に希釈)の質量を有する粉末試料を、反応器内に装填した。この反応器を、120℃でN2でパージし;NO(100ppm)、NO2(100ppm)、O2(10%)、H2O(5%)、N2(残り)の組成を示す供給ガスを、この反応器内に30分間導入し(吸着段階);次いでこのNO/NO2供給ガスを止め、かつ反応器を、30℃/minの速度で600℃にまで昇温した。NO/NO2は、化学発光ガス分析器を用いて定量化した。NOx吸着は、120℃で30minで、NOx濃度対時間の曲線の下で面積を積分することによって定量化された。同様に、NOx脱着は、200〜400℃および200〜600℃の間隔で、触媒粉末から発生した測定されたNOxを積分することにより定量化された。
【0155】
粉末試料を、上記実施例1〜5と同様に製造した。
【0156】
この粉末をペレットの形状に圧縮し、次いで粉砕し、250〜500μmの粒子サイズに達するまで篩い分けした。この粉末を、空気中10%H2Oで、800℃で16hエージングさせた。
【0157】
表3は、これらの試料の組成の調製物を示す。
【0158】
表3:
【表3】
【0159】
表4は、これらの粉末試料のNOx脱着特性を示す。
【0160】
表4:
【表4】
【0161】
アルミナへのMnおよびMn/Ceの添加は、アルミナのNOx脱着特性を高める。セリア上のシリカの添加は、セリアのNOx脱着特性を高める。
【0162】
実施例6:他のドーパント
【0163】
表2から分かるとおり、SiおよびMnの両方は、純セリアのNOx脱着特性を高める。他のいくつかのドーパントをセリア内に導入し、特にCOライトオフ活性において、この多様なドーパントの含浸の効果を比較した。表5は、試料調製物を示す。
【0164】
表5:
【表5】
【0165】
試験:試料100mgを、1mLの試料体積にまで(コランダムで)希釈した。測定時間:3minの平行化時間+30sのサンプリング時間。温度(℃):120、135、150、165、180、195、210、225、250、300、350℃;GHSV:50000h-1;供給組成:700ppm CO、190ppm−C1 HC(130ppmはデカンから、60ppmはプロピレンから)、40ppm NO、10%O2、6%CO2、5%H2O。各触媒の2回の運転を実施し、かつ第2回の運転からのデータを触媒順位付けのために使用した。
【0166】
表6は、この試験からの結果を表す。これらの試料を、空気中10%H2Oで800℃で20hrエージングさせた。
【0167】
表6:
【表6】
【0168】
表6は、エージング後で、参考例2のセリアと比較して、多様な塩基性金属でドープされたセリア触媒のCOライトオフ性能を示す。これらのセリアを基礎とする化合物のいずれも、エージング後で350℃での実用的なNO2収率を示さないが、Mn、Ni、およびPrは、COライトオフ活性における向上をもたらす。
【0169】
III.多層触媒のモノリス試験
【0170】
モノリス試料の製造:
【0171】
基材を被覆しかつ多層触媒を製造するために、次の触媒被覆層を製造した。
【0172】
第1の酸化成分 − 第1の酸化成分用のウォッシュコートを次のように製造した:セリア粉末を含む担体材料(参考例2)を、インシピエントウェットネス技術を用いて硝酸Pdで含浸した。次いで、同じ担体材料を、酸化バリウムで含浸した。生じたPdおよびBa含浸セリア粉末を焼成した。ガンマ−アルミナ(参考例1)を添加した。pH値を、HNO3を用いて調節し、粒子サイズを90%が約7.3μm未満に低下するまで粉砕した。第1の酸化成分用のウォッシュコート負荷量は、約0.8g/in3であり、23g/ft3のPd負荷量、および45g/ft3のBa負荷量を示した。
【0173】
第2の酸化成分 − 第2の酸化成分用のウォッシュコートを次のように製造した:アルミナおよびマンガンを含む担体材料(実施例1)を、インシピエントウェットネス技術を用いてPtアミン溶液で含浸した。生じたPt含浸Mn−アルミナ粉末を、脱イオン水で希釈した。生じた水性スラリーのpH値を、HNO3の添加によりpH約4.5に調節した。このスラリーを混合し、約23μmの粒子サイズに粉砕した。ゼオライトを、混合しながらスラリーに添加した。第2の酸化成分用のウォッシュコート負荷量は、約1.4g/in3であり、47g/ft3のPt負荷量を示した。
【0174】
NOx貯蔵成分A − NOx貯蔵成分A用のウォッシュコートを次のように製造した:アルミナおよびマンガンを含む担体材料(実施例1)を、水で希釈した。ガンマアルミナ(参考例1)を、混合しながらスラリーに添加した。pHを、HNO3を用いて約4に調節した。スラリーを、約23μm(90%)の粒子サイズに粉砕した。ゼオライトを、混合しながらスラリーに添加した。NOx貯蔵成分A用のウォッシュコート負荷量は、400cpsi基材上に被覆する場合に約1.1g/in3であり、かつNOx貯蔵成分A用のウォッシュコート負荷量は、600cpsi基材上に被覆する場合に約1.7g/in3であった。
【0175】
NOx貯蔵成分B − NOx貯蔵成分B用のウォッシュコートを次のように製造した:セリアを含む担体材料(参考例2)を、水で希釈した。ガンマアルミナ(参考例1)を添加し、スラリーを混合した。pHを、HNO3を用いて約4に調節した。スラリーを、約7μm(90%)の粒子サイズに粉砕した。ゼオライトおよびアルミナ結合剤をスラリーに添加し、スラリーを十分に混合した。NOx貯蔵成分B用のウォッシュコート負荷量は、約1.2g/in3であった。
【0176】
NOx貯蔵成分C − NOx貯蔵成分C用のウォッシュコートを次のように製造した:Si−セリアを含む担体材料(実施例3)を、水で希釈した。ガンマアルミナ(参考例1)を添加し、スラリーを混合した。pHを、HNO3を用いて約5に調節した。スラリーを、約7μm(90%)の粒子サイズに粉砕した。ゼオライトをスラリーに添加し、引き続きアルミナ結合剤を添加し、スラリーを混合した。NOx貯蔵成分C用のウォッシュコート負荷量は、約1.2g/in3であった。
【0177】
NOx貯蔵成分D − NOx貯蔵成分D用のウォッシュコートを次のように製造した:Mn−セリアを含む担体材料(実施例2)を、水で希釈した。pHを、HNO3を用いて約5に調節した。スラリーを、約13μm(90%)の粒子サイズに粉砕した。ゼオライトをスラリーに添加し、スラリーを混合した。NOx貯蔵成分D用のウォッシュコート負荷量は、約1.7g/in3であった。
【0178】
参考例3:二層触媒
【0179】
第1の酸化成分のウォッシュコートスラリーを、400cpsiのコーディエライト基材上に被覆した。被覆されたモノリスを乾燥し、次いで400〜550℃の範囲で2〜4時間焼成した。第2のウォッシュコートのスラリーを、コーディエライト基材上の第1のウォッシュコート上に被覆した。被覆されたモノリスを乾燥し、次いで400〜550℃の範囲で2〜4時間焼成し、二層の参考触媒をもたらした。
【0180】
実施例7 − 三層触媒
【0181】
第1の酸化成分のウォッシュコートスラリーを、400cpsiコーディエライト基材上に被覆した。被覆されたモノリスを乾燥し、次いで400〜550℃の範囲で2〜4時間焼成した。NOx貯蔵成分Aのウォッシュコートスラリーを、コーディエライト基材上の第1の酸化成分上に被覆した。被覆されたモノリスを乾燥し、次いで400〜550℃の範囲で2〜4時間焼成した。第2の酸化成分のウォッシュコートスラリーを、NOx貯蔵成分A上に被覆して、三層触媒をもたらした。被覆されたモノリスを乾燥し、次いで400〜550℃の範囲で2〜4hr焼成した。
【0182】
実施例8 − 三層触媒
【0183】
NOx貯蔵成分Aのウォッシュコートスラリーを、400cpsiのコーディエライト基材上に被覆した。被覆されたモノリスを乾燥し、次いで400〜550℃の範囲で2〜4時間焼成した。第1の酸化成分のウォッシュコートスラリーを、コーディエライト基材上のNOx貯蔵成分A上に被覆した。被覆されたモノリスを乾燥し、次いで400〜550℃の範囲で2〜4時間焼成した。第2の酸化成分のウォッシュコートスラリーを、第1の酸化成分上に被覆して、三層触媒をもたらした。被覆されたモノリスを乾燥し、次いで400〜550℃の範囲で2〜4hr焼成した。
【0184】
モノリス試料のエージング:触媒被覆されたモノリスを、次のエージング手順に従ってエージングさせた:モノリスの入口側に配置された熱電対を備えた管状炉中で800℃/10%H2O/空気/25時間。
【0185】
モノリス試料の試験:COおよびHC酸化ならびにNO2形成についての触媒性能を決定するために、典型的なEuro-6 NEDCプロトコルに従い、全体のNEDCサイクルにわたって平均化した。NEDCプロトコル用の典型的な温度および速度プロフィールを図9に示す。
【0186】
試験結果:
【0187】
定常状態のNO酸化休止:
【0188】
NOのNO2への酸化を、180℃(SV−25,000/hおよび100ppm NO)、250℃(33,000/hおよび250ppm NO)および310℃(52,000/hおよび500ppm NO)で定量化した。結果を表7に示す。
【0189】
表7:
【表7】
【0190】
表7からの結果は、非PGM低温NOx脱着層を、下層または中間層として設けることにより、定常状態のNO2/NOx性能における向上を示す。
【0191】
表8は、NEDC Euro-6プロトコル結果を表す。
【0192】
表8:
【表8】
【0193】
一時的NEDCサイクル下で、表8からの結果は、エージング後で、特にNO変換において、非PGM NOx脱着層の添加からの著しい利益を示す。
【0194】
参考例4:二層触媒
【0195】
第1の酸化成分のウォッシュコートスラリーを、600cpsiのコーディエライト基材上に被覆した。この被覆されたモノリスを乾燥し、次いで400〜550℃の範囲で2〜4時間焼成した。第2の酸化成分のスラリーを、コーディエライト基材上の第1の酸化成分上に被覆した。この被覆されたモノリスを乾燥し、次いで400〜550℃の範囲で2〜4時間焼成して、二層参考触媒をもたらした。
【0196】
実施例9 − 三層触媒
【0197】
第1の酸化成分のウォッシュコートスラリーを、600cpsiのコーディエライト基材上に被覆した。この被覆されたモノリスを乾燥し、次いで400〜550℃の範囲で2〜4時間焼成した。
【0198】
NOx貯蔵成分Bのウォッシュコートスラリーを、第1の酸化成分上に被覆した。この被覆されたモノリスを乾燥し、次いで400〜550℃の範囲で2〜4時間焼成した。
【0199】
次いで、第2の酸化成分のウォッシュコートスラリーを、NOx貯蔵成分B上に被覆した。この被覆されたモノリスを乾燥し、次いで400〜550℃の範囲で2〜4時間焼成して、三層触媒をもたらした。
【0200】
実施例10 − 三層触媒
【0201】
第1の酸化成分のウォッシュコートスラリーを、600cpsiのコーディエライト基材上に被覆した。この被覆されたモノリスを乾燥し、次いで400〜550℃の範囲で2〜4時間焼成した。
【0202】
NOx貯蔵成分Cのウォッシュコートスラリーを、第1の酸化成分上に被覆した。この被覆されたモノリスを乾燥し、次いで400〜550℃の範囲で2〜4時間焼成した。
【0203】
次いで、第2の酸化成分のウォッシュコートスラリーを、NOx貯蔵成分C上に被覆した。この被覆されたモノリスを乾燥し、次いで400〜550℃の範囲で2〜4時間焼成して、三層触媒をもたらした。
【0204】
実施例11 − 三層触媒
【0205】
第1の酸化成分のウォッシュコートスラリーを、600cpsiのコーディエライト基材上に被覆した。この被覆されたモノリスを乾燥し、次いで400〜550℃の範囲で2〜4時間焼成した。
【0206】
NOx貯蔵成分Aのウォッシュコートスラリーを、第1の酸化成分上に被覆した。この被覆されたモノリスを乾燥し、次いで400〜550℃の範囲で2〜4時間焼成した。
【0207】
次いで、第2の酸化成分のウォッシュコートスラリーを、NOx貯蔵成分A上に被覆した。この被覆されたモノリスを乾燥し、次いで400〜550℃の範囲で2〜4時間焼成して、三層触媒をもたらした。
【0208】
実施例12 − 三層触媒
【0209】
第1の酸化成分のウォッシュコートスラリーを、600cpsiのコーディエライト基材上に被覆した。この被覆されたモノリスを乾燥し、次いで400〜550℃の範囲で2〜4時間焼成した。
【0210】
NOx貯蔵成分Dのウォッシュコートスラリーを、第1の酸化成分上に被覆した。この被覆されたモノリスを乾燥し、次いで400〜550℃の範囲で2〜4時間焼成した。
【0211】
次いで、第2の酸化成分のウォッシュコートスラリーを、NOx貯蔵成分D上に被覆した。この被覆されたモノリスを乾燥し、次いで400〜550℃の範囲で2〜4時間焼成して、三層触媒をもたらした。
【0212】
モノリス試料のエージング:触媒被覆されたモノリスを、次のエージング手順に従ってエージングさせた:モノリスの入口側に配置された熱電対を備えた管状炉中で800℃/10%H2O/空気/25時間。
【0213】
モノリス試料の試験:COおよびHC酸化ならびにNO2形成についての触媒性能を決定するために、典型的なEuro-6 NEDCプロトコルに従い、全体のNEDCサイクルにわたって平均化した。
【0214】
試験結果:
【0215】
表9は、NOライトオフプロトコル結果を示す。
【0216】
表9:
【表9】
【0217】
表9からの結果は、350℃未満の温度でセリア単独よりも高いNOx脱着特性を示すSi/セリア化合物(実施例10)が、セリアだけの中間層触媒(実施例9)よりも改善されたNO2/NOx性能を示す。また、Ce/Mn/Al化合物含有の中間層触媒(実施例12)は、Mn/Alを含む触媒(実施例11)よりも高いNO2/NOx性能をもたらす。
【0218】
表10は、NEDC Euro-6プロトコル結果を示す。
【0219】
表10:
【表10】
【0220】
表10からの結果は、Si/セリア化合物(実施例10)の使用が、セリア含有触媒(実施例9)よりも触媒の全体性能を向上させ、かつCe/Mn/Al化合物含有中間層触媒(実施例12)は、Mn/Alを含む触媒(実施例11)よりも高い全体性能をもたらすことを示す。
【0221】
IV.硫酸化/脱硫酸
【0222】
硫酸化プロトコルを次のように定義した:250℃の入口温度;SV=35,000hr-1;O2=10%;水=5%;SO2=15ppm、88分の持続時間で(触媒への1g/L S暴露が生じる)。
【0223】
脱硫酸プロトコルを次のように定義した:350℃の入口温度;SV=35,000hr-1;O2=12.5%;水=5%;10分の持続時間で2750ppmの濃度でドデカンを注入(650℃のDOC出口温度が生じる)。
【0224】
NO2性能中の硫黄耐久性
【0225】
実施例13:実施例9および実施例10からのフレッシュの試料を、硫酸化及び脱硫酸プロセスの前に、安定化工程(10%のH2Oおよび空気と共に、600℃で4時間の焼成)に供する。
【0226】
表11(NOライトオフプロトコル)
【表11】
【0227】
表12(NEDC Euro-6プロトコル)
【表12】
【0228】
表11および12からの結果は、二層参考触媒(参考例4)と比較して、低温NOx脱着層の導入により、NO変換の安定性が改善されたことを示す。
【0229】
実施例14:実施例11および12からのエージングされた試料を、特定のプロトコルに従って硫酸化および脱硫酸した。
【0230】
結果:
【0231】
表13(NEDC Euro-6プロトコル):
【表13】
【0232】
表13からの結果は、低温NOx脱着層の添加が、硫黄に対するNO2性能の安定性を向上させ、よって自動車適用のために必要な耐硫黄性が提供される。
【0233】
この明細書を通して「1実施態様」、「特定の実施態様」、「1つ以上の実施態様」または「実施態様」の言及は、これらの実施態様との関連で記載された特定の特徴、構造、材料、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施態様に含まれることを意味する。したがって、この明細書を通して多様な箇所での「1つ以上の実施態様の場合に」、「特定の実施態様の場合に」、「1実施態様の場合に」または「実施態様の場合に」の語句の出現は、必ずしも本発明の同じ実施態様に関連するものではない。さらに、特定の特徴、構造、材料または特性は、1つ以上の実施態様において、任意の適切な方法で組み合わせてよい。
【0234】
ここで本発明を特定の実施態様に関連して説明したが、これらの実施態様は、本発明の原理および適用の単なる例示にすぎないと解釈されるべきである。本発明の精神および範囲から逸脱することなしに、本発明の方法および装置に多様な変更および変化を加えることができることは、当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内で変更および変化を含むことを意味する。
図1
図2
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図6
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図8
図9