(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
曲率を有する鋼製セグメントから形成されるシールドトンネルにおいて、仮設時に、該シールドトンネルの上方位置と下方位置に跨る鉛直方向に延設する支保工にて該シールドトンネルを支持する際に形成される、シールドトンネルと支保工の仮設構造であって、
前記鋼製セグメントの主桁の内空側に、曲率を有する受け桁が固定され、該受け桁に前記支保工が固定されており、
前記主桁には第一のせん断キーが取り付けられ、前記受け桁には第二のせん断キーが取付けられ、双方が係合して係合部を形成しており、
前記支保工から前記受け桁に伝達される軸力のうち、シールドトンネルの周方向の軸力分力に起因するせん断力を、該係合部を介して前記主桁に伝達していることを特徴とする、シールドトンネルと支保工の仮設構造。
前記周方向の軸力分力に起因するせん断力の作用方向の上流側に前記第二のせん断キーが配設され、下流側に前記第一のせん断キーが配設されていることを特徴とする、請求項1に記載のシールドトンネルと支保工の仮設構造。
2つのシールドトンネルが、少なくともそれらの上方においてパイプルーフにて接続されている多連円弧状の大断面トンネルにおいて、前記上方位置が前記シールドトンネルと前記パイプルーフの接続箇所もしくは接続箇所の近傍にあることを特徴とする、請求項1又は2に記載のシールドトンネルと支保工の仮設構造。
【背景技術】
【0002】
例えば、軟弱な地盤が分布する都市部で道路トンネルを施工する場合、開削工法の適用が一般的であるものの、開削工法は、工事中の騒音や振動、交通規制等の課題を内在している。また、都市部の道路下空間は、複数の地下鉄や共同溝等の埋設物が輻輳していることから、新たに施工しようとするトンネルの設置深度は往々にして深くなる傾向にあり、設置深度の深層化は建設費の高騰に直結する。このような背景の下、道路トンネルの施工に際してシールド工法を適用するケースが増加している。ところで、この道路トンネルの施工に当たり、一般の道路トンネルの施工では、例えば一台のシールド掘進機の掘進によって断面円形の本線トンネルが施工されることで足りる。一方、道路トンネルの分合流部の施工では、本線トンネルとランプトンネルの各断面を包括する、極めて大規模な地中拡幅が必要になり、その施工方法には様々な工夫を講じる必要がある。施工方法の一例として、本線トンネルとランプトンネルの2つのトンネル間に、直線状もしくは曲線状のパイプルーフを架け渡して先受け支保工を施工する方法が挙げられる。この先受け支保工を施工した後、パイプルーフ間をシールドトンネルを介して鉛直方向の支保工にて支持し、上方のパイプルーフ直下を掘削しながらトンネルの一部を撤去することにより、例えば多連円弧状の大断面空間が形成される。そして、このように形成された大断面空間において、上記する道路トンネルの分合流部等の構造物を構築することができる。
【0003】
このように、パイプルーフを用いて地中に並設された2つのトンネルを繋ぐ施工方法が提案されており、より詳細には、パイプルーフとパイプルーフが到達する到達側トンネルとを接続する施工方法が提案されている。この施工方法は、地中に複数のトンネルを併設させながら施工するステップ、発進側トンネルから地中に挿入されたパイプルーフ用の鋼管を到達側トンネルの表面もしくは表面から離れた位置まで推進させ、かつ、発進側トンネルから到達側トンネルに導坑を施工し、該導坑を利用して固定部材を到達側トンネルの表面まで搬送し、パイプルーフ用鋼管の端部と到達側トンネルの表面を固定部材を介して固定して双方のトンネル間にパイプルーフを架け渡して先受け支保工を形成するステップを有する(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記するようにシールドトンネルとパイプルーフとの接続箇所においては、様々な部材が錯綜している。そのため、支保工の上端から固定ボルトを上方に突出させ、この固定ボルトをシールドトンネルを構成する鋼製セグメントの主桁に直接的もしくは間接的に繋いで固定するには、作用する外力に対して十分な耐力を確保できる本数の固定ボルトを適用できない場合が生じ得る。上記する支保工においては、パイプルーフ直下の地盤を掘削することによって当該パイプルーフに土水圧が作用し、この土水圧に起因してパイプルーフに軸力が生じ、このパイプルーフの軸力がシールドトンネルに伝達され、シールドトンネルから支保工に伝達される。このように支保工に伝達されたパイプルーフの軸力(荷重)は支保工の軸力となり、この軸力の反力が固定ボルトを介して鋼製セグメントの主桁に伝達されることになる。より具体的には、鋼製セグメントは所定の曲率を有していることから、支保工と鋼製セグメントの主桁の接続箇所においては、支保工の軸力が鋼製セグメントの周方向の軸力分力と鋼製セグメントの径方向の軸力分力に変換される。このうち、鋼製セグメントの周方向の軸力分力は、鋼製セグメントと支保工を繋ぐ固定ボルトにせん断力として作用することになる。しかしながら、パイプルーフ近傍におけるシールドトンネルと支保工の接続箇所においては上記するように部材が錯綜して十分な固定ボルトの設置が難しいことから、このように支保工から伝達される鋼製セグメントの周方向の軸力分力に起因するせん断力を負担できる十分な本数の固定ボルトを設置することも当然に難しい。なお、上記特許文献1に記載のパイプルーフの施工方法では、係る課題に対する解決手段の開示はない。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、仮設時にシールドトンネルをその内側から支持する支保工と該シールドトンネルの接続部やその近傍において、支保工から作用する軸力のうち、シールドトンネルの周方向の軸力分力に起因するせん断力を鋼製セグメントの主桁に効果的に伝達することを可能とした、シールドトンネルと支保工の仮設構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成すべく、本発明によるシールドトンネルと支保工の仮設構造の一態様は、曲率を有する鋼製セグメントから形成されるシールドトンネルにおいて、仮設時に、該シールドトンネルの上方位置と下方位置に跨る鉛直方向に延設する支保工にて該シールドトンネルを支持する際に形成される、シールドトンネルと支保工の仮設構造であって、
前記鋼製セグメントの主桁の内空側に、曲率を有する受け桁が固定され、該受け桁に前記支保工が固定されており、
前記主桁には第一のせん断キーが取り付けられ、前記受け桁には第二のせん断キーが取付けられ、双方が係合して係合部を形成しており、
前記支保工から前記受け桁に伝達される軸力のうち、シールドトンネルの周方向の軸力分力に起因するせん断力を、該係合部を介して前記主桁に伝達していることを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、主桁に取り付けられている第一のせん断キーと、受け桁に取り付けられている第二のせん断キーとが係合して係合部を形成し、支保工の軸力のうちシールドトンネルの周方向の軸力分力に起因するせん断力をこの係合部を介して鋼製セグメントの主桁に伝達することから、固定ボルトの本数を増加させることなく、十分なせん断耐力を有する仮設構造が形成される。なお、鉛直方向に延設する支保工に固定される受け桁と、鋼製セグメントの主桁とは、例えば複数の固定ボルトを介して直接的もしくは間接的に固定される。主桁に対する第一のせん断キーの固定と、受け桁に対する第二のせん断キーの固定は、いずれも溶接等にて行われる。これら第一のせん断キーと第二のせん断キーの形状や寸法は特に限定されず、所定のせん断耐力を有していればよい。最も簡易な構成としては、ともにブロック状の第一のせん断キーと第二のせん断キーを相互に当接させて係合部が形成される形態が挙げられる。
【0009】
また、本発明によるシールドトンネルと支保工の仮設構造の他の態様において、前記周方向の軸力分力に起因するせん断力の作用方向の上流側に前記第二のせん断キーが配設され、下流側に前記第一のせん断キーが配設されていることを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、支保工の軸力のうち、鋼製セグメントの周方向の軸力分力に起因するせん断力を、まず、せん断力が最初に伝達される受け桁からこの受け桁に固定されている第二のせん断キーに伝達し、第二のせん断キーに当接する第一のせん断キーに伝達し、第一のせん断キーが固定される鋼製セグメントの主桁に伝達する、せん断力のスムーズな伝達ルートが保証される。
【0011】
また、本発明によるシールドトンネルと支保工の仮設構造の他の態様は、2つのシールドトンネルが、少なくともそれらの上方においてパイプルーフにて接続されている多連円弧状の大断面トンネルにおいて、前記上方位置が前記シールドトンネルと前記パイプルーフの接続箇所もしくは接続箇所の近傍にあることを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、シールドトンネルとパイプルーフの接続箇所やその近傍において、鋼製セグメントに支保工が接続されていることから、様々な部材が錯綜し、十分な本数の固定ボルトにて支保工と鋼製セグメントを接続できない場合であっても、第一のせん断キーと第二のせん断キーが係合してなる係合部により、支保工の軸力のうち、鋼製セグメントの周方向の軸力分力に起因するせん断力に対して、十分に対抗することができる。
【0013】
ここで、「少なくともそれらの上方においてパイプルーフにて接続されている多連円弧状の大断面トンネル」とは、2つのシールドトンネルの上方にのみパイプルーフが設置されている大断面トンネルの他、2つのシールドトンネルの上方と下方の双方にパイプルーフが設置されている大断面トンネルを含む意味である。従って、前者の場合は、2つのシールドトンネルにおけるパイプルーフが接続される上方位置において本発明の仮設構造が適用され、後者の場合は、2つのシールドトンネルにおけるパイプルーフが接続される上方位置と下方位置において本発明の仮設構造が適用される。
【発明の効果】
【0014】
本発明のシールドトンネルと支保工の仮設構造によれば、仮設時にシールドトンネルをその内側から支持する支保工と該シールドトンネルの接続部やその近傍において、支保工から作用する軸力のうち、シールドトンネルの周方向の軸力分力に起因するせん断力を鋼製セグメントの主桁に効果的に伝達することができる。そして、シールドトンネルとパイプルーフとの接続箇所にこの仮設構造が適用される場合は、十分な本数の固定ボルトの設置が困難となり、十分なせん断耐力が確保し難いことから、本発明の仮設構造は特に好適である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係るシールドトンネルと支保工の仮設構造について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0017】
[実施形態]
<道路トンネルの分合流部の仮設構造(全体構成)>
はじめに、
図1を参照して、実施形態に係るシールドトンネルと支保工の仮設構造を備える、道路トンネルの分合流部の仮設構造の全体構成について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るシールドトンネルと支保工の仮設構造を有する、道路トンネルの分合流部の仮設構造を説明する断面図である。
図1に示すように、道路トンネルの分合流部の仮設構造は、地中に間隔を置いて併設施工された、相対的に小断面のランプトンネル100と、相対的に大断面の本線トンネル200と、ランプトンネル100と本線トンネル200の上方において双方のトンネル間に架け渡されたパイプルーフ300と、を有する。また、ランプトンネル100と本線トンネル200の下方位置には、双方のトンネル間に跨る先行仮設下部受け400をさらに有する。また、ランプトンネル100と本線トンネル200はともに、トンネル内において、パイプルーフ300との交差位置を起点として鉛直方向に延設する支保工60(鉛直支保工)を有し、以上で説明した各構成が仮設構造の基本構成となる。なお、ランプトンネル100と本線トンネル200の下方位置においても、一点鎖線で示す下方のパイプルーフ300Aを必要に応じて施工してもよく、下方のパイプルーフ300Aが施工される場合はこれも仮設構造の構成要素となる。なお、図示例のパイプルーフ300、300Aは曲線状であるが、直線状のパイプルーフであってもよい。
【0018】
仮設構造ではないが、ランプトンネル100と本線トンネル200にはそれぞれ、上方斜め支保工70と下方斜め支保工80が仮設段階で施工される。これらの部材はいずれも、図中の建築限界の外周側に位置しており、この建築限界の外周側に施工されるコンクリート等に埋設される部材となり得る。上方斜め支保工70は、図中の一点鎖線で示す本設トンネルの本設天井湾曲受け700の軸線に沿う方向に延びて、本設トンネル供用後に本設天井湾曲受け700から作用する軸力を逃がす部材である。一方、下方斜め支保工80は、図中の一点鎖線で示す本設トンネルの本設下方湾曲受け800の軸線に沿う方向に延びて、本設トンネル供用後に本設下方湾曲受け800から作用する軸力を逃がす部材である。
【0019】
本線トンネル200とランプトンネル100はいずれも、シールド工法にて施工され、複数の鋼製セグメント20がリング方向に接続されてセグメントリングを形成するとともに、複数のセグメントリングがトンネルの軸線方向に接続されることにより所定延長に亘るトンネルを形成している。各鋼製セグメント20は、周方向に延びる湾曲した複数の主桁21と、主桁21の外周面に溶接にて接続されたスキンプレート24と、主桁21の周方向端部において当該主桁21とスキンプレート24に溶接にて接続された継手板22と、主桁21同士を繋いで鋼製セグメント20を補強する縦リブ23と、を有する。
【0020】
本線トンネル200とランプトンネル100のうち、先行仮設下部受け400の端部が嵌め込まれる箇所には予め鋼製セグメント20に対して凹陥部25が設けられ、例えばこの凹陥部25は、トンネル施工当初はコンクリート等で閉塞されている。その施工方法の詳細は省略するが、例えば、ランプトンネル100の凹陥部25(発進部)から折れ機構を有して曲線施工対応の掘進機を発進させ、地山を掘進しながら鋼管50の推進を実行して鋼管50同士を繋ぐことにより、先行仮設下部受け400が施工される。この施工において、鋼管の推進に適用された掘進機は、本線トンネル200の凹陥部25まで到達して先行仮設下部受け400の施工を完了した後、例えば縮径して、先行仮設下部受け400を構成する複数の鋼管50の内部を介して発進側トンネル100内に引き戻されて回収されるのが好ましい。
【0021】
また、本線トンネル200とランプトンネル100において、本設天井湾曲受け700と本設下方湾曲受け800の端部が接続される箇所の鋼製セグメント20においても、それぞれ凹陥部26,27が予め設けられている。
【0022】
パイプルーフ300は、ランプトンネル100を発進側トンネルとし、ランプトンネル100から鋼管30を順次推進させながら到達側トンネルである本線トンネル200の手前まで湾曲線形を有して延設している。なお、ランプトンネル100が到達側トンネルであり、本線トンネル200が発進側トンネルであってもよい。パイプルーフ300を形成する先頭の鋼管30の先端31は到達側トンネル200に到達せず、トンネルの背面地山G内に留まっている。すなわち、パイプルーフ300を形成する先頭の鋼管30の先端31は、到達側トンネル200を貫通していない。
【0023】
到達側トンネル200側においては、到達側トンネル200の手前で先端31が止まっている鋼管30と、鋼製セグメント20においてスキンプレート24が撤去された領域から地山G内に突出している伝達部材10の突出部と、鋼管30の先端31と伝達部材10の突出部とを巻き込んで一体化しているコンクリート体40と、により、パイプルーフと到達側トンネルの接続構造500が形成される。一方、発進側トンネル100側においては、発進側トンネル100の内部に留まっているパイプルーフ300を構成する鋼管30の端部32と、鋼製セグメント20と、これらを巻き込んで一体化しているコンクリート体40と、により、パイプルーフと発進側トンネルの接続構造600が形成されている。なお、パイプルーフと到達側トンネルの接続構造、及びパイプルーフと発進側トンネルの接続構造は、図示例に限定されない。
【0024】
図示例の道路トンネルの分合流部の仮設構造では、ランプトンネル100と本線トンネル200の背面地山G内において地盤改良を行っていない。それは、パイプルーフと到達側トンネルの接続構造500等の構築において、背面地山G内に作業員が進入して施工する必要性がないからであるが、地盤条件や地下水条件、施工性や工費等を勘案して、ランプトンネル100と本線トンネル200の背面地山G内にて適宜の地盤改良施工が行われてもよく、本実施形態に係る接続方法は地盤改良施工を完全に排除するものではない。
【0025】
シールドトンネル100,200と鉛直方向に延設する支保工60の仮設構造900(より具体的には、シールドトンネル100,200と支保工60の接続部周辺の構造)については、以下に詳説する。
【0026】
<シールドトンネルと支保工の仮設構造>
次に、
図2及び
図3を参照して、本発明の実施形態に係るシールドトンネルと支保工の仮設構造を説明する。
図2は、パイプルーフと到達側トンネルの接続部であって、かつシールドトンネルと支保工の仮設構造を拡大した断面図であり、
図3は、係合部を示す斜視図である。なお、
図2,3では、シールドトンネル200の上方位置と支保工60との接続箇所における仮設構造900を取り上げて示しているが、シールドトンネル200の下方位置と支保工60との接続箇所における仮設構造や、シールドトンネル100の上方位置及び下方位置と支保工60との接続箇所における仮設構造も同様の構成を有している。
【0027】
まず、シールドトンネルと支保工の仮設構造の近傍にある、パイプルーフと到達側トンネルの接続構造500について説明する。到達側トンネル200のうち、接続構造500を形成する領域においては、伝達部材10を取付ける際に干渉し得るスキンプレート24や縦リブ23が撤去されており、鋼製セグメント20を構成する縦リブ23に対して伝達部材10が溶接にて接続されている。伝達部材10は、縦リブ23において主桁21の内側端面よりも地山側(主桁21の桁高内)に固定されており、鋼製セグメント20の背面地山G内に突出した状態で配設されている。
【0028】
伝達部材10は、縦リブ23に固定される鋼製の固定フランジ11と、固定フランジ11に固定されて固定フランジ11に直交する方向の幅が部位ごとに変化している鋼製のウエブ12と、ウエブ12に固定されて鋼管30の先端31の端面に対向する対向面を有する鋼製の対向フランジ13と、を有している。伝達部材10の固定フランジ11が縦リブ23に溶接にて接続されていることにより、伝達部材10は縦リブ23を介して主桁21に間接的に接続されている。なお、図示例以外にも、伝達部材10が主桁21に直接接続される形態であってもよいし、主桁21と縦リブ23の双方に接続される形態であってもよい。
【0029】
伝達部材10のウエブ12は、撤去されたスキンプレート24と交差する位置において、幅(固定フランジ11からの高さ)が最大となる山形の側面形状を有している。また、角鋼管30の軸線方向に対して伝達部材10の対向フランジ13が対峙している。この構成により、
図2に示すように、角鋼管30の先端31から作用するパイプルーフ300からの軸力をまず対向フランジ13にて受け、対向フランジ13からウエブ12を介し、固定フランジ11を介してY1方向に当該軸力が縦リブ23に伝達され、縦リブ23を介して主桁21に伝達される。
【0030】
鋼製セグメント20において、伝達部材10と離間した位置には、別途の縦リブ23に溝形鋼から形成される支持部材14が溶接にて接続されている。そして、伝達部材10が接続されている縦リブ23と支持部材14が接続されている縦リブ23にはそれぞれ、それらのトンネル内空側の端部においてフランジ23aが設けてあり、各フランジ23aに跨るようにして鋼製のプレート材15がフランジ23aに対して溶接にて接続されている。さらに、この鋼製のプレート材15の下面には、断面が逆Tの字状の形鋼16,17が井桁状に組み付けられ、相互に溶接接合されてなるフレーム材18が配設されており、このフレーム材18がプレート材15に溶接にて接続されて、当該プレート材15が下方から補剛されてなるコンクリート体支持部材19を形成している。
【0031】
パイプルーフ300を形成する鋼管30の先端31と、伝達部材10の背面地山G内に突出している突出部と、を巻き込んで双方を一体化するようにしてコンクリート体40が造成されている。そして、鋼管30の先端31と、伝達部材10の突出部と、コンクリート体40と、により、パイプルーフと到達側トンネルの接続構造500が形成される。コンクリート体40は、発進側トンネル100側から充填され、パイプルーフ300を形成する鋼管30を介して流し込まれたフレッシュコンクリートが鋼管30の先端31から到達側トンネル200の背面地山G内に充填され、硬化することによって形成されている。このことに関連して、パイプルーフ300を構成する鋼管30内にはコンクリート体41が形成されており、パイプルーフ300の剛性をさらに高めている。
【0032】
仮設時にパイプルーフ300の直下を掘削することにより、パイプルーフ300には支持する背面地山Gの土圧(もしくは土水圧)が作用し、この土圧に起因してパイプルーフ300には軸力N1が生じる。
【0033】
曲率を有する鋼管30の端部31の軸線方向に作用する軸力N1に対峙するように、伝達部材10の対向フランジ13の第一フランジ13aが配設され、この第一フランジ13aにて軸力N1を直接的に受け、ウエブ12に軸力N1が伝達される。そして、ウエブ12に伝達された軸力N1は、縦リブ23を介して鋼製セグメント20の主桁21にY1方向に伝達される。
【0034】
次に、シールドトンネルと支保工の仮設構造について説明する。パイプルーフ300とシールドトンネル200の接続箇所の近傍においては、
図2に示すように、円弧状の鋼製セグメント20の内空側において、鋼製セグメント20と同じ曲率を有する受け桁90が固定されている。この受け桁90は、H型鋼等の型鋼等から形成され、その長手方向に所定間隔を置いて複数の補剛リブ91が装着されている。
【0035】
受け桁90の上フランジには、不図示の複数の固定ボルトが上方に突出するように固定され、複数の固定ボルトが鋼製セグメント20やコンクリート体支持部材19等に固定されている。一方、受け桁90の下フランジには、鉛直方向の支保工60が固定されており、鋼製セグメント20とこれに固定されている受け桁90、及び受け桁90を支持する支保工60とにより、シールドトンネルと支保工の仮設構造900が形成される。
【0036】
H型鋼等の型鋼や鋼管等から形成される支保工60の端面には台座62が固定され、台座62の上端の曲率面が支保工60の下フランジに溶接もしくはボルト等にて接続されている。台座62も、H型鋼等の型鋼や鋼管等から形成され、その下端に端部プレート63が溶接等にて固定され、端部プレート61,63同士はボルト等にて接続されている。
【0037】
パイプルーフ300の軸力N1は鋼製セグメント20の主桁21に伝達された後、その一部は受け桁90を介して支保工60に伝達され、この支保工60にて軸力N1の一部が支持される。支保工60に伝達された軸力N1の一部は反力N2(支保工60の軸力)となって受け桁90に作用する。
【0038】
鋼製セグメント20は所定の曲率を有した円弧状を呈していることから、軸力N2が受け桁90に伝達された際に、この軸力N2はシールドトンネル200の径方向の軸力分力Nrと、シールドトンネル200の周方向の軸力分力Nθの2方向の分力を有する。径方向の軸力分力Nrは、例えば上方にあるコンクリート体40に対して圧縮力として作用することから、当該コンクリート体40にて対抗することができ、必要に応じて鋼製セグメント20もこの圧縮力の一部を負担する。
【0039】
一方、周方向の軸力分力Nθは、受け桁90に作用し、より詳細には、受け桁90と鋼製セグメント20を繋ぐ不図示の固定ボルトに対してせん断力として作用する。作用するせん断力に対抗するせん断耐力に見合う十分な本数の固定ボルトが存在する場合は、固定ボルトのみでこのせん断力に対抗できる。しかしながら、
図2から明らかなように、仮設構造900の周辺には様々な部材が錯綜して相互に組み付けられていることから、十分な本数の固定ボルトにて受け桁90と鋼製セグメント20を接続することができない場合が往々にして生じ得る。そこで、鋼製セグメント20の主桁21と受け桁90に対し、それぞれ第一のせん断キー28と第二のせん断キー92を固定し、第一のせん断キー28と第二のせん断キー92を係合させる構成を適用している。
【0040】
第一のせん断キー28と第二のせん断キー92は、ともに扁平な立方体状の鋼製のブロック体からなり、第一のせん断キー28と第二のせん断キー92によって係合部93が形成される。周方向の軸力分力Nθに起因するせん断力の作用方向の上流側、すなわち、支保工60に近い側に第二のせん断キー92が配設され、せん断力の作用方向の下流側に第一のせん断キー28が配設される。このような配設形態により、周方向の軸力分力Nθに起因するせん断力を、まず、せん断力が最初に伝達される受け桁90からこの受け桁90に固定されている第二のせん断キー92に伝達し、第二のせん断キー92に当接する第一のせん断キー28に伝達し、第一のせん断キー28が固定されている鋼製セグメント20の主桁21に伝達する、Y2方向の伝達経路が形成される。すなわち、周方向の軸力分力Nθに起因するせん断力を、係合部93を介して、Y2方向の伝達経路を経てスムーズに主桁21に伝達することができる。
【0041】
図3に示すように、鋼製セグメント20の主桁21に対して、第一のせん断キー28の端部は、隅肉溶接部29や不図示の開先溶接部等によって接続されている。なお、主桁21の側面に対して第一のせん断キー28が片持ち梁状に接続されていることから、必要に応じて、第一のせん断キー28から主桁21に亘る補剛リブを双方の部材に跨るようにして接続し、補強してもよい。一方、受け桁90の上フランジに対して、第二のせん断キー92の下端が開先溶接部94等によって接続されている。
【0042】
このように、周方向の軸力分力Nθに起因するせん断力を、係合部93を介して主桁21に伝達することにより、パイプルーフ300とシールドトンネル200の接続箇所等、様々な部材が錯綜していて十分な本数の固定ボルトにて受け桁90と鋼製セグメント20を接続することができない場所において、このせん断力の主桁21への伝達を比較的シンプルな構成の係合部93にて実現することができる。特に、図示例のせん断キー28、92はいずれも立方体状のブロック体であることから、シンプルな形状で十分な剛性を有し、係合部93の形成に要するコストも高価にならない。なお、せん断キー28,92の形状は、図示例の立方体状に限定されるものでなく、双方が係合して係合部を形成できる多様な形状形態のせん断キーが適用可能である。また、図示例のせん断キー28,92は、相互に一面で当接して係合するのみであるが、一方のせん断キーが他方のせん断キー側に延びる係合爪を備えていて、面接触に加えて係合爪にて係合される形態であってもよい。この形態によれば、係合部にせん断力が作用した際に、一方のせん断キーが他方のせん断キーとの接触面から外れる恐れがない。
【0043】
鋼製セグメント20の主桁21に対する第一のせん断キー28の接続と、受け桁90に対する第二のせん断キー92の接続は、例えば工場にて予め接続する形態であってもよいし、現場にて接続する形態であってもよい。ただし、第一のせん断キー28と第二のせん断キー92のそれぞれの接続をともに工場にておこなう場合、現場において第一のせん断キー28と第二のせん断キー92を係合して係合部93を形成しようとした際に、施工誤差等によって双方のせん断キー28,92の係合ができなくなる恐れがある。一方で、鋼製セグメント20の主桁21に対して他部材を現場にて溶接等することにより、主構造部材である主桁21に対して少なからず影響を及ぼす可能性は否定できない。従って、鋼製セグメント20の主桁21に対する第一のせん断キー28の接続は、工場にて綿密な管理の下で行い、仮設部材である受け桁90に対する第二のせん断キー92の接続は、現場にて第一のせん断キー28と係合できる位置に接続する方法が好ましい。
【0044】
なお、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、また、本発明はここで示した構成に何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。