特許第6971897号(P6971897)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6971897サーボ機構のパラメータ推定装置及びパラメータ推定方法並びにパラメータ推定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971897
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】サーボ機構のパラメータ推定装置及びパラメータ推定方法並びにパラメータ推定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20211111BHJP
   G05B 19/19 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   G05B23/02 P
   G05B19/19 Q
【請求項の数】23
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2018-49233(P2018-49233)
(22)【出願日】2018年3月16日
(65)【公開番号】特開2019-160143(P2019-160143A)
(43)【公開日】2019年9月19日
【審査請求日】2020年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(72)【発明者】
【氏名】加藤 義樹
(72)【発明者】
【氏名】粟屋 伊智郎
【審査官】 松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−188541(JP,A)
【文献】 特開2012−150721(JP,A)
【文献】 特開2000−242681(JP,A)
【文献】 特開2016−162210(JP,A)
【文献】 特開平08−050507(JP,A)
【文献】 特表2008−536219(JP,A)
【文献】 特開2004−212239(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/125256(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
G05B 19/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーボ機構の数値モデルに含まれる未知のパラメータを推定するパラメータ推定装置であって、
サーボ機構の実機に所定の目標値を与えたときに得られるm個(m≧1)の操作量に関する入力信号及びk個(k≧1)の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて生成されたm+k次元以下の正常状態軌跡と、
前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて生成された正常モデル状態軌跡と、
異常要因毎に作成された前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて前記異常要因毎に異常状態軌跡を生成し、生成した前記異常状態軌跡と前記異常要因とを関連付けた情報と、
前記サーボ機構の前記数値モデルにおいて、複数のパラメータを同時に変化させたパラメータ変更モデルの各々に、前記所定の目標値を設定したときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号とを用いて多数の変更状態軌跡を生成し、生成した前記変更状態軌跡と変化させた前記パラメータの情報とを関連付けた情報と
を記憶する記憶部と、
各前記異常状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第1の差分ベクトルとしてそれぞれ演算し、
各前記変更状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第2の差分ベクトルとしてそれぞれ演算し、
前記異常要因毎の前記第1の差分ベクトルと、前記変更状態軌跡毎の前記第2の差分ベクトルとの相関に関する評価値を第1の評価値として演算する第1演算部と、
前記第1の評価値または前記第1の評価値から得られる情報を既知パラメータ情報として記憶する既知パラメータ情報記憶部と、
観測対象である前記サーボ機構に前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を取得するデータ取得部と、
前記データ取得部によって取得された前記入力信号及び前記出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて、m+k次元以下の観測状態軌跡を生成する生成部と、
前記正常状態軌跡と前記観測状態軌跡との差分を第3の差分ベクトルとして演算し、
前記第3の差分ベクトルと前記第1の差分ベクトルとの相関に関する評価値を第2の評価値として演算し、
前記既知パラメータ情報記憶部に格納されている前記第1の評価値と前記第2の評価値とを用いて、前記観測対象である前記サーボ機構の推定パラメータを演算する第2演算部と
を具備するパラメータ推定装置。
【請求項2】
サーボ機構の数値モデルに含まれる未知のパラメータを推定するパラメータ推定装置であって、
サーボ機構の実機に所定の目標値を与えたときに得られるm個(m≧1)の操作量に関する入力信号及びk個(k≧1)の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて生成されたm+k次元以下の正常状態軌跡と、
前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて生成された正常モデル状態軌跡と、
異常要因毎に作成された前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて前記異常要因毎に異常状態軌跡を生成し、生成した前記異常状態軌跡と前記異常要因とを関連付けた情報と、
前記サーボ機構の前記数値モデルにおいて、複数のパラメータを同時に変化させたパラメータ変更モデルの各々に、前記所定の目標値を設定したときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号とを用いて多数の変更状態軌跡を生成し、生成した前記変更状態軌跡と変化させた前記パラメータの情報とを関連付けた情報と
を記憶する記憶部と、
各前記異常状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第1の差分ベクトルとしてそれぞれ演算し、
各前記変更状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第2の差分ベクトルとしてそれぞれ演算し、
前記異常要因毎の前記第1の差分ベクトルと、前記変更状態軌跡毎の前記第2の差分ベクトルとの相関に関する評価値を第1の評価値として演算する第1演算部と、
前記第1の評価値または前記第1の評価値から得られる情報を既知パラメータ情報として記憶する既知パラメータ情報記憶部と、
(i)観測対象である前記サーボ機構に前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて生成されたm+k次元以下の観測状態軌跡と、(ii)前記正常状態軌跡との差分を第3の差分ベクトルとして演算し、
前記第3の差分ベクトルと前記第1の差分ベクトルとの相関に関する評価値を第2の評価値として演算し、
前記既知パラメータ情報記憶部に格納されている前記第1の評価値と前記第2の評価値とを用いて、前記観測対象である前記サーボ機構の推定パラメータを演算する第2演算部と
を具備するパラメータ推定装置。
【請求項3】
サーボ機構の数値モデルに含まれる未知のパラメータを推定するパラメータ推定装置であって、
サーボ機構の実機に所定の目標値を与えたときに得られるm個(m≧1)の操作量に関する入力信号及びk個(k≧1)の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて生成されたm+k次元以下の正常状態軌跡と、
前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて生成された正常モデル状態軌跡と、
異常要因毎に作成された前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて前記異常要因毎に異常状態軌跡を生成し、生成した前記異常状態軌跡と前記異常要因とを関連付けた情報と、
前記サーボ機構の前記数値モデルにおいて、複数のパラメータを同時に変化させたパラメータ変更モデルの各々に、前記所定の目標値を設定したときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号とを用いて多数の変更状態軌跡を生成し、生成した前記変更状態軌跡と変化させた前記パラメータの情報とを関連付けた情報と
を記憶する記憶部と、
各前記異常状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第1の差分ベクトルとしてそれぞれ演算し、
各前記変更状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第2の差分ベクトルとしてそれぞれ演算し、
前記異常要因毎の前記第1の差分ベクトルと、前記変更状態軌跡毎の前記第2の差分ベクトルとの相関に関する評価値を第1の評価値として演算する第1演算部と、
前記第1の評価値または前記第1の評価値から得られる情報を既知パラメータ情報として記憶する既知パラメータ情報記憶部と、
(i)観測対象である前記サーボ機構に前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値に基づくm+k次元以下の観測状態軌跡と、(ii)前記正常状態軌跡との差分を第3の差分ベクトルとして演算し、
前記第3の差分ベクトルと前記第1の差分ベクトルとの相関に関する評価値を第2の評価値として演算し、
前記既知パラメータ情報記憶部に格納されている前記第1の評価値と前記第2の評価値とを用いて、前記観測対象である前記サーボ機構の推定パラメータを演算する第2演算部と
を具備するパラメータ推定装置。
【請求項4】
前記第1の評価値は、前記異常要因毎の前記第1の差分ベクトルと、前記変更状態軌跡毎の前記第2の差分ベクトルとの内積であり、
前記既知パラメータ情報記憶部は、前記第1の評価値に基づいて作成された異常要因毎の等高線群を記憶し、
前記第2演算部は、前記第3の差分ベクトルと前記第1の差分ベクトルとの内積を前記第2の評価値として演算し、前記異常要因毎の等高線群から前記第2の評価値に対応する等高線をそれぞれ特定し、特定した各前記等高線の交点から前記観測対象である前記サーボ機構の推定パラメータを演算する請求項1から3のいずれかに記載のパラメータ推定装置。
【請求項5】
前記第2演算部は、前記既知パラメータ情報記憶部に記憶されている前記第1の評価値の中から前記第2の評価値に近似する複数の第1の評価値を抽出し、抽出した複数の前記第1の評価値を前記第2の評価値に基づいて補間することにより、前記観測対象である前記サーボ機構の推定パラメータを演算する請求項1から3のいずれかに記載のパラメータ推定装置。
【請求項6】
サーボ機構の数値モデルに含まれる未知のパラメータを推定するパラメータ推定装置であって、
サーボ機構の実機に所定の目標値を与えたときに得られるm個(m≧1)の操作量に関する入力信号及びk個(k≧1)の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて生成されたm+k次元以下の正常状態軌跡と、
前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて生成された正常モデル状態軌跡と、
異常要因毎に作成された前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて前記異常要因毎に異常状態軌跡を生成し、生成した前記異常状態軌跡と前記異常要因とを関連付けた情報と
を記憶する記憶部と、
各前記異常状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第1の差分ベクトルとしてそれぞれ演算し、前記第1の差分ベクトル同士の内積を第1の内積結果として演算する第1演算部と、
前記第1の内積結果の逆行列を記憶する逆行列記憶部と、
観測対象である前記サーボ機構に前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を取得するデータ取得部と、
前記データ取得部によって取得された前記入力信号及び前記出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて、m+k次元以下の観測状態軌跡を生成する生成部と、
前記正常状態軌跡と前記観測状態軌跡との差分を第2の差分ベクトルとして演算し、
前記第2の差分ベクトルと、前記第1の差分ベクトルとの内積を第2の内積結果として演算し、
前記逆行列記憶部に予め格納されている前記逆行列と、前記第2の内積結果とを用いて、前記観測対象である前記サーボ機構の推定パラメータを演算する第2演算部と
を具備するパラメータ推定装置。
【請求項7】
サーボ機構の数値モデルに含まれる未知のパラメータを推定するパラメータ推定装置であって、
サーボ機構の実機に所定の目標値を与えたときに得られるm個(m≧1)の操作量に関する入力信号及びk個(k≧1)の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて生成されたm+k次元以下の正常状態軌跡と、
前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて生成された正常モデル状態軌跡と、
異常要因毎に作成された前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて前記異常要因毎に異常状態軌跡を生成し、生成した前記異常状態軌跡と前記異常要因とを関連付けた情報と
を記憶する記憶部と、
各前記異常状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第1の差分ベクトルとしてそれぞれ演算し、前記第1の差分ベクトル同士の内積を第1の内積結果として演算する第1演算部と、
前記第1の内積結果の逆行列を記憶する逆行列記憶部と、
(i)観測対象である前記サーボ機構に前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて生成されたm+k次元以下の観測状態軌跡と、(ii)前記正常状態軌跡との差分を第2の差分ベクトルとして演算し、
前記第2の差分ベクトルと、前記第1の差分ベクトルとの内積を第2の内積結果として演算し、
前記逆行列記憶部に予め格納されている前記逆行列と、前記第2の内積結果とを用いて、前記観測対象である前記サーボ機構の推定パラメータを演算する第2演算部と
を具備するパラメータ推定装置。
【請求項8】
サーボ機構の数値モデルに含まれる未知のパラメータを推定するパラメータ推定装置であって、
サーボ機構の実機に所定の目標値を与えたときに得られるm個(m≧1)の操作量に関する入力信号及びk個(k≧1)の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて生成されたm+k次元以下の正常状態軌跡と、
前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて生成された正常モデル状態軌跡と、
異常要因毎に作成された前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて前記異常要因毎に異常状態軌跡を生成し、生成した前記異常状態軌跡と前記異常要因とを関連付けた情報と
を記憶する記憶部と、
各前記異常状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第1の差分ベクトルとしてそれぞれ演算し、前記第1の差分ベクトル同士の内積を第1の内積結果として演算する第1演算部と、
前記第1の内積結果の逆行列を記憶する逆行列記憶部と、
(i)観測対象である前記サーボ機構に前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値に基づくm+k次元以下の観測状態軌跡と、(ii)前記正常状態軌跡との差分を第2の差分ベクトルとして演算し、
前記第2の差分ベクトルと、前記第1の差分ベクトルとの内積を第2の内積結果として演算し、
前記逆行列記憶部に予め格納されている前記逆行列と、前記第2の内積結果とを用いて、前記観測対象である前記サーボ機構の推定パラメータを演算する第2演算部と
を具備するパラメータ推定装置。
【請求項9】
サーボ機構の数値モデルに含まれる未知のパラメータを推定するパラメータ推定装置であって、
サーボ機構の実機に所定の目標値を与えたときに得られるm個(m≧1)の操作量に関する入力信号及びk個(k≧1)の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて生成されたm+k次元以下の正常状態軌跡と、
前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて生成された正常モデル状態軌跡と、
異常要因毎に作成された前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて前記異常要因毎に異常状態軌跡を生成し、生成した前記異常状態軌跡と前記異常要因とを関連付けた情報と、
を記憶する記憶部と、
各前記異常状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第1の差分ベクトルとしてそれぞれ演算する第1演算部と、
観測対象である前記サーボ機構に前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を取得するデータ取得部と、
前記データ取得部によって取得された前記入力信号及び前記出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて、m+k次元以下の観測状態軌跡を生成する生成部と、
前記正常状態軌跡と前記観測状態軌跡との差分を第2の差分ベクトルとして演算し、
各異常要因に算出された前記第1の差分ベクトルに各ゲインを乗じた要素と、前記第2の差分ベクトルとを用いて評価関数を作成し、前記評価関数が最小となる前記ゲインをそれぞれ特定し、特定した各前記ゲインから前記観測対象である前記サーボ機構の推定パラメータを演算する第2演算部と
を具備するパラメータ推定装置。
【請求項10】
サーボ機構の数値モデルに含まれる未知のパラメータを推定するパラメータ推定装置であって、
サーボ機構の実機に所定の目標値を与えたときに得られるm個(m≧1)の操作量に関する入力信号及びk個(k≧1)の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて生成されたm+k次元以下の正常状態軌跡と、
前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて生成された正常モデル状態軌跡と、
異常要因毎に作成された前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて前記異常要因毎に異常状態軌跡を生成し、生成した前記異常状態軌跡と前記異常要因とを関連付けた情報と、
を記憶する記憶部と、
各前記異常状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第1の差分ベクトルとしてそれぞれ演算する第1演算部と、
(i)観測対象である前記サーボ機構に前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて生成されたm+k次元以下の観測状態軌跡と、(ii)前記正常状態軌跡との差分を第2の差分ベクトルとして演算し、
各異常要因に算出された前記第1の差分ベクトルに各ゲインを乗じた要素と、前記第2の差分ベクトルとを用いて評価関数を作成し、前記評価関数が最小となる前記ゲインをそれぞれ特定し、特定した各前記ゲインから前記観測対象である前記サーボ機構の推定パラメータを演算する第2演算部と
を具備するパラメータ推定装置。
【請求項11】
サーボ機構の数値モデルに含まれる未知のパラメータを推定するパラメータ推定装置であって、
サーボ機構の実機に所定の目標値を与えたときに得られるm個(m≧1)の操作量に関する入力信号及びk個(k≧1)の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて生成されたm+k次元以下の正常状態軌跡と、
前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて生成された正常モデル状態軌跡と、
異常要因毎に作成された前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて前記異常要因毎に異常状態軌跡を生成し、生成した前記異常状態軌跡と前記異常要因とを関連付けた情報と、
を記憶する記憶部と、
各前記異常状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第1の差分ベクトルとしてそれぞれ演算する第1演算部と、
(i)観測対象である前記サーボ機構に前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値に基づくm+k次元以下の観測状態軌跡と、(ii)前記正常状態軌跡との差分を第2の差分ベクトルとして演算し、
各異常要因に算出された前記第1の差分ベクトルに各ゲインを乗じた要素と、前記第2の差分ベクトルとを用いて評価関数を作成し、前記評価関数が最小となる前記ゲインをそれぞれ特定し、特定した各前記ゲインから前記観測対象である前記サーボ機構の推定パラメータを演算する第2演算部と
を具備するパラメータ推定装置。
【請求項12】
サーボ機構の数値モデルに含まれる未知のパラメータを推定するパラメータ推定方法であって、
サーボ機構の実機に所定の目標値を与えたときに得られるm個(m≧1)の操作量に関する入力信号及びk個(k≧1)の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて生成されたm+k次元以下の正常状態軌跡と、
前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて生成された正常モデル状態軌跡と、
異常要因毎に作成された前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて前記異常要因毎に異常状態軌跡を生成し、生成した前記異常状態軌跡と前記異常要因とを関連付けた情報と、
前記サーボ機構の前記数値モデルにおいて、複数のパラメータを同時に変化させたパラメータ変更モデルの各々に、前記所定の目標値を設定したときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて多数の変更状態軌跡を生成し、生成した前記変更状態軌跡と変化させた前記パラメータの情報とを関連付けた情報と
を用いてパラメータを推定するパラメータ推定方法であって、
各前記異常状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第1の差分ベクトルとしてそれぞれ演算し、
各前記変更状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第2の差分ベクトルとしてそれぞれ演算し、
前記異常要因毎の前記第1の差分ベクトルと、前記変更状態軌跡毎の前記第2の差分ベクトルとの相関に関する評価値を第1の評価値として演算し、
前記第1の評価値または前記第1の評価値から得られる情報を既知パラメータ情報記憶部に記憶し、
観測対象である前記サーボ機構に前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を取得し、取得した前記入力信号及び前記出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて、m+k次元以下の観測状態軌跡を生成し、
前記正常状態軌跡と前記観測状態軌跡との差分を第3の差分ベクトルとして演算し、
前記第3の差分ベクトルと前記第1の差分ベクトルとの相関に関する評価値を第2の評価値として演算し、
前記第2の評価値と前記既知パラメータ情報記憶部に格納された前記第1の評価値とを用いて、前記観測対象である前記サーボ機構の推定パラメータを演算するパラメータ推定方法。
【請求項13】
サーボ機構の数値モデルに含まれる未知のパラメータを推定するパラメータ推定方法であって、
サーボ機構の実機に所定の目標値を与えたときに得られるm個(m≧1)の操作量に関する入力信号及びk個(k≧1)の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて生成されたm+k次元以下の正常状態軌跡と、
前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて生成された正常モデル状態軌跡と、
異常要因毎に作成された前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて前記異常要因毎に異常状態軌跡を生成し、生成した前記異常状態軌跡と前記異常要因とを関連付けた情報と、
前記サーボ機構の前記数値モデルにおいて、複数のパラメータを同時に変化させたパラメータ変更モデルの各々に、前記所定の目標値を設定したときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて多数の変更状態軌跡を生成し、生成した前記変更状態軌跡と変化させた前記パラメータの情報とを関連付けた情報と
を用いてパラメータを推定するパラメータ推定方法であって、
各前記異常状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第1の差分ベクトルとしてそれぞれ演算し、
各前記変更状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第2の差分ベクトルとしてそれぞれ演算し、
前記異常要因毎の前記第1の差分ベクトルと、前記変更状態軌跡毎の前記第2の差分ベクトルとの相関に関する評価値を第1の評価値として演算し、
前記第1の評価値または前記第1の評価値から得られる情報を既知パラメータ情報記憶部に記憶し、
(i)観測対象である前記サーボ機構に前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて生成されたm+k次元以下の観測状態軌跡と、(ii)前記正常状態軌跡との差分を第3の差分ベクトルとして演算し、
前記第3の差分ベクトルと前記第1の差分ベクトルとの相関に関する評価値を第2の評価値として演算し、
前記第2の評価値と前記既知パラメータ情報記憶部に格納された前記第1の評価値とを用いて、前記観測対象である前記サーボ機構の推定パラメータを演算するパラメータ推定方法。
【請求項14】
サーボ機構の数値モデルに含まれる未知のパラメータを推定するパラメータ推定方法であって、
サーボ機構の実機に所定の目標値を与えたときに得られるm個(m≧1)の操作量に関する入力信号及びk個(k≧1)の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて生成されたm+k次元以下の正常状態軌跡と、
前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて生成された正常モデル状態軌跡と、
異常要因毎に作成された前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて前記異常要因毎に異常状態軌跡を生成し、生成した前記異常状態軌跡と前記異常要因とを関連付けた情報と、
前記サーボ機構の前記数値モデルにおいて、複数のパラメータを同時に変化させたパラメータ変更モデルの各々に、前記所定の目標値を設定したときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて多数の変更状態軌跡を生成し、生成した前記変更状態軌跡と変化させた前記パラメータの情報とを関連付けた情報と
を用いてパラメータを推定するパラメータ推定方法であって、
各前記異常状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第1の差分ベクトルとしてそれぞれ演算し、
各前記変更状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第2の差分ベクトルとしてそれぞれ演算し、
前記異常要因毎の前記第1の差分ベクトルと、前記変更状態軌跡毎の前記第2の差分ベクトルとの相関に関する評価値を第1の評価値として演算し、
前記第1の評価値または前記第1の評価値から得られる情報を既知パラメータ情報記憶部に記憶し、
(i)観測対象である前記サーボ機構に前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値に基づくm+k次元以下の観測状態軌跡と、(ii)前記正常状態軌跡との差分を第3の差分ベクトルとして演算し、
前記第3の差分ベクトルと前記第1の差分ベクトルとの相関に関する評価値を第2の評価値として演算し、
前記第2の評価値と前記既知パラメータ情報記憶部に格納された前記第1の評価値とを用いて、前記観測対象である前記サーボ機構の推定パラメータを演算するパラメータ推定方法。
【請求項15】
サーボ機構の数値モデルに含まれる未知のパラメータを推定するパラメータ推定方法であって、
サーボ機構の実機に所定の目標値を与えたときに得られるm個(m≧1)の操作量に関する入力信号及びk個(k≧1)の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて生成されたm+k次元以下の正常状態軌跡と、
前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて生成された正常モデル状態軌跡と、
異常要因毎に作成された前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて前記異常要因毎に異常状態軌跡を生成し、生成した前記異常状態軌跡と前記異常要因とを関連付けた情報と
を用いてパラメータを推定するパラメータ推定方法であって、
各前記異常状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第1の差分ベクトルとしてそれぞれ演算し、前記第1の差分ベクトル同士の内積を第1の内積結果として演算し、
前記第1の内積結果の逆行列を逆行列記憶部に記憶し、
観測対象である前記サーボ機構に前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を取得し、取得した前記入力信号及び前記出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて、m+k次元以下の観測状態軌跡を生成し、
前記正常状態軌跡と前記観測状態軌跡との差分を第2の差分ベクトルとして演算し、
前記第2の差分ベクトルと、前記第1の差分ベクトルとの内積を第2の内積結果として演算し、
前記逆行列記憶部に記憶した前記逆行列と、前記第2の内積結果とを用いて、前記観測対象である前記サーボ機構の推定パラメータを演算するパラメータ推定方法。
【請求項16】
サーボ機構の数値モデルに含まれる未知のパラメータを推定するパラメータ推定方法であって、
サーボ機構の実機に所定の目標値を与えたときに得られるm個(m≧1)の操作量に関する入力信号及びk個(k≧1)の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて生成されたm+k次元以下の正常状態軌跡と、
前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて生成された正常モデル状態軌跡と、
異常要因毎に作成された前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて前記異常要因毎に異常状態軌跡を生成し、生成した前記異常状態軌跡と前記異常要因とを関連付けた情報と
を用いてパラメータを推定するパラメータ推定方法であって、
各前記異常状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第1の差分ベクトルとしてそれぞれ演算し、前記第1の差分ベクトル同士の内積を第1の内積結果として演算し、
前記第1の内積結果の逆行列を逆行列記憶部に記憶し、
(i)観測対象である前記サーボ機構に前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて生成されたm+k次元以下の観測状態軌跡と、(ii)前記正常状態軌跡との差分を第2の差分ベクトルとして演算し、
前記第2の差分ベクトルと、前記第1の差分ベクトルとの内積を第2の内積結果として演算し、
前記逆行列記憶部に記憶した前記逆行列と、前記第2の内積結果とを用いて、前記観測対象である前記サーボ機構の推定パラメータを演算するパラメータ推定方法。
【請求項17】
サーボ機構の数値モデルに含まれる未知のパラメータを推定するパラメータ推定方法であって、
サーボ機構の実機に所定の目標値を与えたときに得られるm個(m≧1)の操作量に関する入力信号及びk個(k≧1)の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて生成されたm+k次元以下の正常状態軌跡と、
前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて生成された正常モデル状態軌跡と、
異常要因毎に作成された前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて前記異常要因毎に異常状態軌跡を生成し、生成した前記異常状態軌跡と前記異常要因とを関連付けた情報と
を用いてパラメータを推定するパラメータ推定方法であって、
各前記異常状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第1の差分ベクトルとしてそれぞれ演算し、前記第1の差分ベクトル同士の内積を第1の内積結果として演算し、
前記第1の内積結果の逆行列を逆行列記憶部に記憶し、
(i)観測対象である前記サーボ機構に前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値に基づくm+k次元以下の観測状態軌跡と、(ii)前記正常状態軌跡との差分を第2の差分ベクトルとして演算し、
前記第2の差分ベクトルと、前記第1の差分ベクトルとの内積を第2の内積結果として演算し、
前記逆行列記憶部に記憶した前記逆行列と、前記第2の内積結果とを用いて、前記観測対象である前記サーボ機構の推定パラメータを演算するパラメータ推定方法。
【請求項18】
サーボ機構の数値モデルに含まれる未知のパラメータを推定するパラメータ推定方法であって、
サーボ機構の実機に所定の目標値を与えたときに得られるm個(m≧1)の操作量に関する入力信号及びk個(k≧1)の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて生成されたm+k次元以下の正常状態軌跡と、
前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて生成された正常モデル状態軌跡と、
異常要因毎に作成された前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて前記異常要因毎に異常状態軌跡を生成し、生成した前記異常状態軌跡と前記異常要因とを関連付けた情報と
を用いてパラメータを推定するパラメータ推定方法であって、
各前記異常状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第1の差分ベクトルとしてそれぞれ演算し、
観測対象である前記サーボ機構に前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を取得し、取得した前記入力信号及び前記出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて、m+k次元以下の観測状態軌跡を生成し、
前記正常状態軌跡と前記観測状態軌跡との差分を第2の差分ベクトルとして演算し、
各異常要因に算出された前記第1の差分ベクトルに各ゲインを乗じた要素と、前記第2の差分ベクトルとを用いて評価関数を作成し、前記評価関数が最小となる前記ゲインをそれぞれ特定し、特定した各前記ゲインから前記観測対象である前記サーボ機構の推定パラメータを演算するパラメータ推定方法。
【請求項19】
サーボ機構の数値モデルに含まれる未知のパラメータを推定するパラメータ推定方法であって、
サーボ機構の実機に所定の目標値を与えたときに得られるm個(m≧1)の操作量に関する入力信号及びk個(k≧1)の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて生成されたm+k次元以下の正常状態軌跡と、
前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて生成された正常モデル状態軌跡と、
異常要因毎に作成された前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて前記異常要因毎に異常状態軌跡を生成し、生成した前記異常状態軌跡と前記異常要因とを関連付けた情報と
を用いてパラメータを推定するパラメータ推定方法であって、
各前記異常状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第1の差分ベクトルとしてそれぞれ演算し、
(i)観測対象である前記サーボ機構に前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて生成されたm+k次元以下の観測状態軌跡と、(ii)前記正常状態軌跡との差分を第2の差分ベクトルとして演算し、
各異常要因に算出された前記第1の差分ベクトルに各ゲインを乗じた要素と、前記第2の差分ベクトルとを用いて評価関数を作成し、前記評価関数が最小となる前記ゲインをそれぞれ特定し、特定した各前記ゲインから前記観測対象である前記サーボ機構の推定パラメータを演算するパラメータ推定方法。
【請求項20】
サーボ機構の数値モデルに含まれる未知のパラメータを推定するパラメータ推定方法であって、
サーボ機構の実機に所定の目標値を与えたときに得られるm個(m≧1)の操作量に関する入力信号及びk個(k≧1)の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて生成されたm+k次元以下の正常状態軌跡と、
前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて生成された正常モデル状態軌跡と、
異常要因毎に作成された前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて前記異常要因毎に異常状態軌跡を生成し、生成した前記異常状態軌跡と前記異常要因とを関連付けた情報と
を用いてパラメータを推定するパラメータ推定方法であって、
各前記異常状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第1の差分ベクトルとしてそれぞれ演算し、
(i)観測対象である前記サーボ機構に前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値に基づくm+k次元以下の観測状態軌跡と、(ii)前記正常状態軌跡との差分を第2の差分ベクトルとして演算し、
各異常要因に算出された前記第1の差分ベクトルに各ゲインを乗じた要素と、前記第2の差分ベクトルとを用いて評価関数を作成し、前記評価関数が最小となる前記ゲインをそれぞれ特定し、特定した各前記ゲインから前記観測対象である前記サーボ機構の推定パラメータを演算するパラメータ推定方法。
【請求項21】
サーボ機構の数値モデルに含まれる未知のパラメータを推定するためのパラメータ推定プログラムであって、
サーボ機構の実機に所定の目標値を与えたときに得られるm個(m≧1)の操作量に関する入力信号及びk個(k≧1)の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて生成されたm+k次元以下の正常状態軌跡と、
前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて生成された正常モデル状態軌跡と、
異常要因毎に作成された前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて前記異常要因毎に異常状態軌跡を生成し、生成した前記異常状態軌跡と前記異常要因とを関連付けた情報と、
前記サーボ機構の前記数値モデルにおいて、複数のパラメータを同時に変化させたパラメータ変更モデルの各々に、前記所定の目標値を設定したときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて多数の変更状態軌跡を生成し、生成した前記変更状態軌跡と変化させた前記パラメータの情報とを関連付けた情報と
を用いてパラメータを推定するためのパラメータ推定プログラムであって、
各前記異常状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第1の差分ベクトルとしてそれぞれ演算する処理と、
各前記変更状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第2の差分ベクトルとしてそれぞれ演算する処理と、
前記異常要因毎の前記第1の差分ベクトルと、前記変更状態軌跡毎の前記第2の差分ベクトルとの相関に関する評価値を第1の評価値として演算する処理と、
前記第1の評価値または前記第1の評価値から得られる情報を既知パラメータ情報記憶部に記憶する処理と、
観測対象であるサーボ機構に前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を取得し、取得した前記入力信号及び前記出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて、m+k次元以下の観測状態軌跡を生成する処理と、
前記正常状態軌跡と前記観測状態軌跡との差分を第3の差分ベクトルとして演算する処理と、
前記第3の差分ベクトルと前記第1の差分ベクトルとの相関に関する評価値を第2の評価値として演算する処理と、
前記第2の評価値と前記既知パラメータ情報記憶部に格納された前記第1の評価値とを用いて、前記観測対象である前記サーボ機構の推定パラメータを演算する処理と
をコンピュータに実行させるためのパラメータ推定プログラム。
【請求項22】
サーボ機構の数値モデルに含まれる未知のパラメータを推定するためのパラメータ推定プログラムであって、
サーボ機構の実機に所定の目標値を与えたときに得られるm個(m≧1)の操作量に関する入力信号及びk個(k≧1)の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて生成されたm+k次元以下の正常状態軌跡と、
前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて生成された正常モデル状態軌跡と、
異常要因毎に作成された前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて前記異常要因毎に異常状態軌跡を生成し、生成した前記異常状態軌跡と前記異常要因とを関連付けた情報と
を用いてパラメータを推定するためのパラメータ推定プログラムであって、
各前記異常状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第1の差分ベクトルとしてそれぞれ演算し、前記第1の差分ベクトル同士の内積を第1の内積結果として演算する処理と、
前記第1の内積結果の逆行列を逆行列記憶部に記憶する処理と、
観測対象であるサーボ機構に前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を取得し、取得した前記入力信号及び前記出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて、m+k次元以下の観測状態軌跡を生成する処理と、
前記正常状態軌跡と前記観測状態軌跡との差分を第2の差分ベクトルとして演算する処理と、
前記第2の差分ベクトルと、前記第1の差分ベクトルとの内積を第2の内積結果として演算する処理と、
前記逆行列記憶部に記憶した前記逆行列と、前記第2の内積結果とを用いて、前記観測対象である前記サーボ機構の推定パラメータを演算する処理と
をコンピュータに実行させるためのパラメータ推定プログラム。
【請求項23】
サーボ機構の数値モデルに含まれる未知のパラメータを推定するためのパラメータ推定プログラムであって、
サーボ機構の実機に所定の目標値を与えたときに得られるm個(m≧1)の操作量に関する入力信号及びk個(k≧1)の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて生成されたm+k次元以下の正常状態軌跡と、
前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて生成された正常モデル状態軌跡と、
異常要因毎に作成された前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて前記異常要因毎に異常状態軌跡を生成し、生成した前記異常状態軌跡と前記異常要因とを関連付けた情報と
を用いてパラメータを推定するためのパラメータ推定プログラムであって、
各前記異常状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第1の差分ベクトルとしてそれぞれ演算する処理と、
観測対象であるサーボ機構に前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を取得し、取得した前記入力信号及び前記出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて、m+k次元以下の観測状態軌跡を生成する処理と、
前記正常状態軌跡と前記観測状態軌跡との差分を第2の差分ベクトルとして演算する処理と、
各異常要因に算出された前記第1の差分ベクトルに各ゲインを乗じた要素と、前記第2の差分ベクトルとを用いて評価関数を作成し、前記評価関数が最小となる前記ゲインをそれぞれ特定し、特定した各前記ゲインから前記観測対象である前記サーボ機構の推定パラメータを演算する処理と
をコンピュータに実行させるためのパラメータ推定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーボ機構のパラメータ推定装置及びパラメータ推定方法並びにパラメータ推定プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
NC工作機械等のサーボ機構の異常を検知する方法として、サーボ系の数値モデルを予め求めておき、この数値モデルを利用して異常を診断する方法が知られている。例えば、特許文献1には、油圧サーボ系の数値モデルを用意し、数値モデルに用いられる一次遅れ系の時定数及び定常ゲイン並びに二次遅れ系の共振周波数、減衰係数、及び定常ゲイン等のパラメータを同定し、これらパラメータの組み合わせに基づいてサーボ機構の診断や管理を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−212239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている方法では、パラメータを少しずつ変化させたループ演算によってパラメータの同定を行うため、パラメータ同定に要する時間が非常に長く、また、処理負担も大きいという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、パラメータ推定に係る処理負担の軽減及び処理時間の短縮を図ることのできるサーボ機構のパラメータ推定装置及びパラメータ推定方法並びにパラメータ推定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様は、サーボ機構の実機に所定の目標値を与えたときに得られるm個(m≧1)の操作量に関する入力信号及びk個(k≧1)の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて生成されたm+k次元以下の正常状態軌跡と、前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて生成された正常モデル状態軌跡と、異常要因毎に作成された前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて前記異常要因毎に異常状態軌跡を生成し、生成した前記異常状態軌跡と前記異常要因とを関連付けた情報と、前記サーボ機構の前記数値モデルにおいて、複数のパラメータを同時に変化させたパラメータ変更モデルの各々に、前記所定の目標値を設定したときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号とを用いて多数の変更状態軌跡を生成し、生成した前記変更状態軌跡と変化させた前記パラメータの情報とを関連付けた情報とを記憶する記憶部と、各前記異常状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第1の差分ベクトルとしてそれぞれ演算し、各前記変更状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第2の差分ベクトルとしてそれぞれ演算し、前記前記異常要因毎の前記第1の差分ベクトルと、前記変更状態軌跡毎の前記第2の差分ベクトルとの相関に関する評価値を第1の評価値として演算する第1演算部と、観測対象であるサーボ機構に前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を取得するデータ取得部と、前記データ取得部によって取得された前記入力信号及び前記出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて、m+k次元以下の観測状態軌跡を生成する生成部と、前記正常状態軌跡と前記観測状態軌跡との差分を第3の差分ベクトルとして演算し、前記第3の差分ベクトルと前記第1の差分ベクトルとの相関に関する評価値を第2の評価値として演算し、前記第1の評価値と前記第2の評価値とを用いて、前記観測対象である前記サーボ機構の推定パラメータを演算する第2演算部とを具備するパラメータ推定装置である。
【0007】
より具体的には、上記サーボ機構のパラメータ推定装置において、前記正常状態軌跡は、正常時における前記入力信号及び前記出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を各前記操作量及び各前記制御量に対応した座標軸上にそれぞれプロットすることにより生成され、前記観測状態軌跡は、前記データ取得部によって取得された前記入力信号及び前記出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を各前記操作量及び各前記制御量に対応した座標軸上にそれぞれプロットすることにより生成されてもよい。
【0008】
本態様によれば、比較対象となるサーボ機構の実機に所定の目標値を与えたときに得られるm個(m≧1)の操作量に関する入力信号及びk個(k≧1)の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する(例えば、同じサンプリングタイムに取得された)入力信号の信号値及び出力信号の信号値が1つのデータ集合体とされ、これらのデータを用いてm+k次元以下の正常状態軌跡が生成される。この正常状態軌跡は記憶部に格納され、観測対象のサーボ機構のパラメータ推定に利用される。また、同様の手法により、正常モデル状態軌跡、複数の異常状態軌跡、多数の変更状態軌跡が生成され、これらがそれぞれ記憶部に格納される。そして、第1演算部により、正常モデル状態軌跡、複数の異常状態軌跡、多数の変更状態軌跡を用いて事前に既知パラメータ情報が作成され、既知パラメータ情報記憶部に格納される。
このように、シミュレーション等によって事前に既知パラメータ情報を用意し、これを既知パラメータ情報記憶部に格納することで、観測対象となるサーボ機構のパラメータ推定時には、簡素な演算を行えばよいこととなる。これにより、パラメータ推定時における第2演算部による演算負担を軽減するとともに、演算時間を短縮することが可能となる。
また、本態様によれば、時系列で取得される入力信号及び出力信号を比較するのではなく、時系列の信号のうち、互いに同期する信号値を一つのデータ集合体とし、これらのデータ集合体を用いて状態軌跡を作成し、この状態軌跡を用いたパラメータ推定を行う。これにより、サーボ機構の特性変化をより簡単に把握することが可能となる。
【0009】
上記パラメータ推定装置において、前記第1の評価値は、前記異常要因毎の前記第1の差分ベクトルと、前記変更状態軌跡毎の前記第2の差分ベクトルとの内積であり、前記既知パラメータ情報記憶部は、前記第1の評価値に基づいて作成された異常要因毎の等高線群を記憶し、前記第2演算部は、前記第3の差分ベクトルと前記第1の差分ベクトルとの内積を前記第2の評価値として演算し、前記異常要因毎の等高線群から前記第2の評価値に対応する等高線をそれぞれ特定し、特定した各前記等高線の交点から前記観測対象である前記サーボ機構の推定パラメータを演算することとしてもよい。
【0010】
上記パラメータ推定装置によれば、等高線群を用いるので、容易にパラメータを推定することが可能となる。
【0011】
上記パラメータ推定装置において、前記第2演算部は、前記既知パラメータ情報記憶部に記憶されている前記第1の評価値の中から前記第2の評価値に近似する複数の第1の評価値を抽出し、抽出した複数の前記第1の評価値を前記第2の評価値に基づいて補間することにより、前記観測対象である前記サーボ機構の推定パラメータを演算することとしてもよい。
【0012】
上記パラメータ推定装置によれば、演算結果を補間してサーボ機構のパラメータを推定するので、予め用意しておく変更状態軌跡等の情報を少なくすることができる。これにより、処理負担の軽減及び記憶部のストレージ容量を小さくすることが可能となる。
【0013】
本発明の第二態様は、サーボ機構の実機に所定の目標値を与えたときに得られるm個(m≧1)の操作量に関する入力信号及びk個(k≧1)の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて生成されたm+k次元以下の正常状態軌跡と、前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて生成された正常モデル状態軌跡と、異常要因毎に作成された前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて前記異常要因毎に異常状態軌跡を生成し、生成した前記異常状態軌跡と前記異常要因とを関連付けた情報とを記憶する記憶部と、各前記異常状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第1の差分ベクトルとしてそれぞれ演算し、前記第1の差分ベクトル同士の内積を第1の内積結果として演算する第1演算部と、前記第1の内積結果の逆行列を記憶する逆行列記憶部と、観測対象であるサーボ機構に前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を取得するデータ取得部と、前記データ取得部によって取得された前記入力信号及び前記出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて、m+k次元以下の観測状態軌跡を生成する生成部と、前記正常状態軌跡と前記観測状態軌跡との差分を第2の差分ベクトルとして演算し、前記第2の差分ベクトルと、前記第1の差分ベクトルとの内積を第2の内積結果として演算し、前記逆行列記憶部に予め格納されている前記逆行列と、前記第2の内積結果とを用いて、前記観測対象である前記サーボ機構の推定パラメータを演算する第2演算部とを具備するパラメータ推定装置である。
【0014】
本態様によれば、各異常要因間の内積行列の逆行列を既知パラメータ情報として予め算出して逆行列記憶部に格納するので、パラメータ推定時においては、この逆行列を用いて容易にパラメータを推定することができる。
【0015】
本発明の第三態様は、サーボ機構の実機に所定の目標値を与えたときに得られるm個(m≧1)の操作量に関する入力信号及びk個(k≧1)の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて生成されたm+k次元以下の正常状態軌跡と、前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて生成された正常モデル状態軌跡と、異常要因毎に作成された前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて前記異常要因毎に異常状態軌跡を生成し、生成した前記異常状態軌跡と前記異常要因とを関連付けた情報と、を記憶する記憶部と、各前記異常状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第1の差分ベクトルとしてそれぞれ演算する第1演算部と、観測対象であるサーボ機構に前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を取得するデータ取得部と、前記データ取得部によって取得された前記入力信号及び前記出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて、m+k次元以下の観測状態軌跡を生成する生成部と、前記正常状態軌跡と前記観測状態軌跡との差分を第2の差分ベクトルとして演算し、各異常要因に算出された前記第1の差分ベクトルに各ゲインを乗じた要素と、前記第2の差分ベクトルとを用いて評価関数を作成し、前記評価関数が最小となる前記ゲインをそれぞれ特定し、特定した各前記ゲインから前記観測対象である前記サーボ機構の推定パラメータを演算する第2演算部とを具備するパラメータ推定装置である。
【0016】
本態様によれば、観測状態軌跡と正常状態軌跡との差分ベクトルを、状態軌跡を異常要因毎の差分ベクトルの線形和としてみなして評価関数を作成し、この評価関数を最小とする各ゲインを特定する。そして、特定した各ゲインを用いて各種パラメータを推定する。これにより、簡素な演算処理によってパラメータの推定を容易に行うことが可能となる。パラメータ変更モデルを必要としないため、ストレージ容量を低減することができるとともに、前処理における処理負担の軽減及び処理時間の短縮を図ることが可能となる。
【0017】
本発明の第四態様は、サーボ機構の実機に所定の目標値を与えたときに得られるm個(m≧1)の操作量に関する入力信号及びk個(k≧1)の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて生成されたm+k次元以下の正常状態軌跡と、前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて生成された正常モデル状態軌跡と、異常要因毎に作成された前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて前記異常要因毎に異常状態軌跡を生成し、生成した前記異常状態軌跡と前記異常要因とを関連付けた情報と、前記サーボ機構の前記数値モデルにおいて、複数のパラメータを同時に変化させたパラメータ変更モデルの各々に、前記所定の目標値を設定したときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて多数の変更状態軌跡を生成し、生成した前記変更状態軌跡と変化させた前記パラメータの情報とを関連付けた情報とを用いてパラメータを推定するパラメータ推定方法であって、各前記異常状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第1の差分ベクトルとしてそれぞれ演算し、各前記変更状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第2の差分ベクトルとしてそれぞれ演算し、前記前記異常要因毎の前記第1の差分ベクトルと、前記変更状態軌跡毎の前記第2の差分ベクトルとの相関に関する評価値を第1の評価値として演算し、前記第1の評価値または前記第1の評価値から得られる情報を既知パラメータ情報記憶部に記憶し、観測対象であるサーボ機構に前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を取得し、取得した前記入力信号及び前記出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて、m+k次元以下の観測状態軌跡を生成し、前記正常状態軌跡と前記観測状態軌跡との差分を第3の差分ベクトルとして演算し、前記第3の差分ベクトルと前記第1の差分ベクトルとの相関に関する評価値を第2の評価値として演算し、前記第2の評価値と前記既知パラメータ情報記憶部に格納された前記第1の評価値とを用いて、前記観測対象である前記サーボ機構の推定パラメータを演算するパラメータ推定方法である。
【0018】
本発明の第五態様は、サーボ機構の実機に所定の目標値を与えたときに得られるm個(m≧1)の操作量に関する入力信号及びk個(k≧1)の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて生成されたm+k次元以下の正常状態軌跡と、前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて生成された正常モデル状態軌跡と、異常要因毎に作成された前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて前記異常要因毎に異常状態軌跡を生成し、生成した前記異常状態軌跡と前記異常要因とを関連付けた情報とを用いてパラメータを推定するパラメータ推定方法であって、各前記異常状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第1の差分ベクトルとしてそれぞれ演算し、前記第1の差分ベクトル同士の内積を第1の内積結果として演算し、前記第1の内積結果の逆行列を逆行列記憶部に記憶し、観測対象であるサーボ機構に前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を取得し、取得した前記入力信号及び前記出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて、m+k次元以下の観測状態軌跡を生成し、前記正常状態軌跡と前記観測状態軌跡との差分を第2の差分ベクトルとして演算し、前記第2の差分ベクトルと、前記第1の差分ベクトルとの内積を第2の内積結果として演算し、前記逆行列記憶部に記憶した前記逆行列と、前記第2の内積結果とを用いて、前記観測対象である前記サーボ機構の推定パラメータを演算するパラメータ推定方法である。
【0019】
本発明の第六態様は、サーボ機構の実機に所定の目標値を与えたときに得られるm個(m≧1)の操作量に関する入力信号及びk個(k≧1)の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて生成されたm+k次元以下の正常状態軌跡と、前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて生成された正常モデル状態軌跡と、異常要因毎に作成された前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて前記異常要因毎に異常状態軌跡を生成し、生成した前記異常状態軌跡と前記異常要因とを関連付けた情報とを用いてパラメータを推定するパラメータ推定方法であって、各前記異常状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第1の差分ベクトルとしてそれぞれ演算し、観測対象であるサーボ機構に前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を取得し、取得した前記入力信号及び前記出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて、m+k次元以下の観測状態軌跡を生成し、前記正常状態軌跡と前記観測状態軌跡との差分を第2の差分ベクトルとして演算し、各異常要因に算出された前記第1の差分ベクトルに各ゲインを乗じた要素と、前記第2の差分ベクトルとを用いて評価関数を作成し、前記評価関数が最小となる前記ゲインをそれぞれ特定し、特定した各前記ゲインから前記観測対象である前記サーボ機構の推定パラメータを演算するパラメータ推定方法である。
【0020】
本発明の第七態様は、サーボ機構の実機に所定の目標値を与えたときに得られるm個(m≧1)の操作量に関する入力信号及びk個(k≧1)の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて生成されたm+k次元以下の正常状態軌跡と、前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて生成された正常モデル状態軌跡と、異常要因毎に作成された前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて前記異常要因毎に異常状態軌跡を生成し、生成した前記異常状態軌跡と前記異常要因とを関連付けた情報と、前記サーボ機構の前記数値モデルにおいて、複数のパラメータを同時に変化させたパラメータ変更モデルの各々に、前記所定の目標値を設定したときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて多数の変更状態軌跡を生成し、生成した前記変更状態軌跡と変化させた前記パラメータの情報とを関連付けた情報とを用いてパラメータを推定するためのパラメータ推定プログラムであって、各前記異常状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第1の差分ベクトルとしてそれぞれ演算する処理と、各前記変更状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第2の差分ベクトルとしてそれぞれ演算する処理と、前記前記異常要因毎の前記第1の差分ベクトルと、前記変更状態軌跡毎の前記第2の差分ベクトルとの相関に関する評価値を第1の評価値として演算する処理と、前記第1の評価値または前記第1の評価値から得られる情報を既知パラメータ情報記憶部に記憶する処理と、観測対象であるサーボ機構に前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を取得し、取得した前記入力信号及び前記出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて、m+k次元以下の観測状態軌跡を生成する処理と、前記正常状態軌跡と前記観測状態軌跡との差分を第3の差分ベクトルとして演算する処理と、前記第3の差分ベクトルと前記第1の差分ベクトルとの相関に関する評価値を第2の評価値として演算する処理と、前記第2の評価値と前記既知パラメータ情報記憶部に格納された前記第1の評価値とを用いて、前記観測対象である前記サーボ機構の推定パラメータを演算する処理とをコンピュータに実行させるためのパラメータ推定プログラムである。
【0021】
本発明の第八態様は、サーボ機構の実機に所定の目標値を与えたときに得られるm個(m≧1)の操作量に関する入力信号及びk個(k≧1)の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて生成されたm+k次元以下の正常状態軌跡と、前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて生成された正常モデル状態軌跡と、異常要因毎に作成された前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて前記異常要因毎に異常状態軌跡を生成し、生成した前記異常状態軌跡と前記異常要因とを関連付けた情報とを用いてパラメータを推定するためのパラメータ推定プログラムであって、各前記異常状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第1の差分ベクトルとしてそれぞれ演算し、前記第1の差分ベクトル同士の内積を第1の内積結果として演算する処理と、前記第1の内積結果の逆行列を逆行列記憶部に記憶する処理と、観測対象であるサーボ機構に前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を取得し、取得した前記入力信号及び前記出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて、m+k次元以下の観測状態軌跡を生成する処理と、前記正常状態軌跡と前記観測状態軌跡との差分を第2の差分ベクトルとして演算する処理と、前記第2の差分ベクトルと、前記第1の差分ベクトルとの内積を第2の内積結果として演算する処理と、前記逆行列記憶部に記憶した前記逆行列と、前記第2の内積結果とを用いて、前記観測対象である前記サーボ機構の推定パラメータを演算する処理とをコンピュータに実行させるためのパラメータ推定プログラムである。
【0022】
本発明の第九態様は、サーボ機構の実機に所定の目標値を与えたときに得られるm個(m≧1)の操作量に関する入力信号及びk個(k≧1)の制御量に関する出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて生成されたm+k次元以下の正常状態軌跡と、前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて生成された正常モデル状態軌跡と、異常要因毎に作成された前記サーボ機構の数値モデルに、前記所定の目標値を与えた時の前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を用いて前記異常要因毎に異常状態軌跡を生成し、生成した前記異常状態軌跡と前記異常要因とを関連付けた情報とを用いてパラメータを推定するためのパラメータ推定プログラムであって、各前記異常状態軌跡と前記正常モデル状態軌跡との差分を第1の差分ベクトルとしてそれぞれ演算する処理と、観測対象であるサーボ機構に前記所定の目標値を与えたときの前記m個の操作量に関する入力信号及び前記k個の制御量に関する出力信号を取得し、取得した前記入力信号及び前記出力信号のうち、互いに同期する前記入力信号の信号値及び前記出力信号の信号値を用いて、m+k次元以下の観測状態軌跡を生成する処理と、前記正常状態軌跡と前記観測状態軌跡との差分を第2の差分ベクトルとして演算する処理と、各異常要因に算出された前記第1の差分ベクトルに各ゲインを乗じた要素と、前記第2の差分ベクトルとを用いて評価関数を作成し、前記評価関数が最小となる前記ゲインをそれぞれ特定し、特定した各前記ゲインから前記観測対象である前記サーボ機構の推定パラメータを演算する処理とをコンピュータに実行させるためのパラメータ推定プログラムである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、パラメータ推定に係る処理負担の軽減及び処理時間の短縮を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1実施形態に係るサーボ機構のパラメータ推定装置のハードウェア構成を示した図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るサーボ機構のパラメータ推定装置が備える機能を模式化して示した機能ブロック図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る正常状態軌跡について説明するための図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る正常状態軌跡について説明するための図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る正常状態軌跡について説明するための図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る正常モデル状態軌跡と異常状態軌跡との差分ベクトルについて説明するための図である。
図7】本発明の第1実施形態に係るパラメータ推定装置において、異常要因としてガタと摩擦とを想定した場合の等高線群の一例を示す。
図8図7に示した等高線群からパラメータを推定する方法を説明するための図である。
図9】本発明の第2実施形態に係るパラメータ推定方法について説明するための図である。
図10】本発明の第3実施形態に係るサーボ機構のパラメータ推定装置が備える機能を模式化して示した機能ブロック図である。
図11】本発明の第4実施形態に係るサーボ機構のパラメータ推定装置が備える機能を模式化して示した機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明に係るサーボ機構のパラメータ推定装置及びパラメータ推定方法並びにパラメータ推定プログラムの各実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るサーボ機構のパラメータ推定装置のハードウェア構成を示した図である。図1に示すように、サーボ機構のパラメータ推定装置1は、いわゆるコンピュータシステムであり、CPU(Central Processing Unit)11、CPU11が実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)12、各プログラム実行時のワーク領域として機能するRAM(Random Access Memory)13、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)14、ネットワークに接続するための通信インターフェース15、キーボードやマウス等からなる入力部16、及びデータを表示する液晶表示装置等からなる表示部17等をそれぞれ備えている。これら各部は、バス18を介して接続されている。
上記ROM12には、各種プログラム(例えば、サーボ機構の診断プログラム)が格納されており、CPU11がROM12からRAM13にプログラムを読み出し、実行することにより種々の機能を実現させる。なお、CPU11が実行するプログラム等を記憶するための記憶媒体は、ROM12に限られず、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等で構成される他の記録媒体であってもよい。
【0026】
図2は、本発明の第1実施形態に係るサーボ機構のパラメータ推定装置1が備える機能を模式化して示した機能ブロック図である。図2に示すように、サーボ機構のパラメータ推定装置1(以下、単に「パラメータ推定装置1」という。)は、主に、記憶部と、第1演算部と、第2演算部と、既知パラメータ情報記憶部28と、データ取得部29と、観測状態軌跡生成部30とを備えている。本実施形態においては、記憶部の一例として、正常データ記憶部21、正常モデルデータ記憶部22、異常データ記憶部23、及び変更データ記憶部24を備えている。また、第1演算部の一例として、第1差分演算部25、第2差分演算部26、第1内積演算部27を備えている。また、第2演算部の一例として、第3差分演算部31、第2内積演算部32、及びパラメータ推定部33を備えている。
第1演算部は、第2演算部がパラメータを推定する際に使用する既知パラメータ情報を得るために必要な演算を行う。第1演算部によって演算された既知パラメータ情報は、既知パラメータ情報記憶部28に格納される。また、第2演算部は、既知パラメータ情報記憶部28に格納された既知パラメータ情報を用いて、観測対象のサーボ機構のパラメータを推定するための演算処理を行うものである。すなわち、第1演算部は、前段階処理に関する演算を行う部であり、第2演算部は、実際にパラメータ推定を行うときに使用される演算部である。
【0027】
サーボ機構は、所定の目標値が与えられたときに、制御量を目標値に一致させるための少なくとも1つの入力信号が入力され、その応答として制御量が変化する機構である。制御量としては、例えば、位置、方位、姿勢等が挙げられる。サーボ機構の一例として、ロボット、NC工作機械等が挙げられる。
【0028】
正常データ記憶部21には、正常状態軌跡が格納されている。例えば、正常状態軌跡は、以下の手順によって生成される。
まず、比較対象となるサーボ機構の実機を用意する。この実機は、例えば、正常なサーボ機構の実機であり、好ましくは、各パラメータが最適値にチューニングされた良品モデルとなるサーボ機構である。
本実施形態では、図3に示すように、このサーボ機構に対して所定の目標値を与えたときに、m個(m≧1)の時系列の入力信号[U1(t)、U2(t)、・・・Um(t)]が制御対象であるサーボ機構の機械システム10に与えられ、その応答信号(制御量)としてk個(k≧1)の時系列の出力信号[Y1(t)、Y2(t)、・・・Yk(t)]が得られるサーボ機構を例示して説明する。
【0029】
次に、図4に示すように、比較対象のサーボ機構の実機に対して所定の目標値を与えた時の時系列の入力信号[U1(t)、U2(t)、・・・Um(t)]と時系列の出力信号[Y1(t)、Y2(t)、・・・Yk(t)]において、互いに同期する信号値、例えば、同じサンプリングタイムtiに取得された入力信号の信号値[U1(ti)、U2(ti)、・・・Um(ti)]及び出力信号の信号値[Y1(ti)、Y2(ti)、・・・Yk(ti)]を1つのデータ集合体とし、図5に示すように、各操作量及び各制御量に対応した座標軸上にそれぞれ信号値をプロットする。そして、プロットした信号値をそれぞれつなぐことにより、m+k次元の状態軌跡を生成する。そして、この作業をサンプリングタイム毎に行うことで、サンプリング数N+1に対応する数の軌跡が描かれることとなる。
状態軌跡は例えば、以下の(1)式で表される。
【0030】
【数1】
【0031】
このようにして生成された各サンプリングタイムに対応する複数の状態軌跡は、正常状態軌跡として正常データ記憶部21に格納される。
また、上記例では、m+k次元の状態軌跡としたが、入力信号及び出力信号の全ての信号値を用いる必要はなく、例えば、所定の操作量および所定の制御量を省略し、m+k次元未満の状態軌跡を生成することとしてもよい。
【0032】
正常モデルデータ記憶部22には、比較対象となる正常なサーボ機構の数値モデル、例えば、上記正常状態軌跡を得たサーボ機構の数値モデルを用いて得た状態軌跡が正常モデル状態軌跡として格納されている。正常モデル状態軌跡は、以下の(2)式で表される。
【0033】
【数2】
【0034】
なお、正常状態軌跡と正常モデル状態軌跡との違いは、実機を用いるか、数値モデルを用いるかの違いであるので、正常モデル状態軌跡の詳細な作成方法の説明を省略する。
【0035】
異常データ記憶部23には、複数の異常状態軌跡が格納されている。例えば、異常状態軌跡は、以下の手順によって生成される。
まず、複数の異なる異常要因a〜nを想定し、その異常要因a〜nに対応するサーボ機構の数値モデルを生成する。異常要因の一例として、サーボ機構に作用する各種摩擦パラメータの変化や不感帯(ガタ、バックラッシュ等)の変化等が挙げられる。なお、異常要因の種類や想定数については特に限定されない。ここで作成される各異常要因a〜nのサーボ機構の数値モデルは、例えば、上述した正常時のサーボ機構の数値モデルに対してそれぞれの異常要因に関する所定のパラメータを変化させた数値モデルであってもよい。
【0036】
続いて、異常要因毎に作成したサーボ機構の数値モデルに対して、正常状態軌跡を作成したときと同じ目標値を与え、上述した正常時と同様に、そのときの時系列の入力信号及び時系列の出力信号を得る。そして、この入力信号及び出力信号を用いて、上述した正常状態軌跡と同様の処理を行うことにより、各異常要因に対する異常状態軌跡(第1異常状態軌跡〜第n異常状態軌跡)を生成する。このように生成された異常状態軌跡は、異常要因と関連付けられて異常データ記憶部23に格納される。
各異常要因における異常状態軌跡は、例えば、以下の(3)式で表される。
【0037】
【数3】
【0038】
変更データ記憶部24には、多数の変更状態軌跡が格納されている。例えば、変更状態軌跡は以下の手順によって生成される。
まず、比較対象となる正常なサーボ機構の数値モデル、例えば、上記正常状態軌跡を得たサーボ機構の数値モデルにおいて、同時に複数のパラメータの数値を変更させた多数のパラメータ変更モデルを用意し、各パラメータ変更モデルに対して、正常状態軌跡を作成したときと同じ目標値を与え、上述した正常時と同様に、そのときの時系列の入力信号及び時系列の出力信号を得る。そして、この入力信号及び出力信号を用いて、上述した正常状態軌跡と同様の処理を行うことにより、各パラメータ変更モデルに対応する変更状態軌跡を生成する。
このように生成された変更状態軌跡は、変化させたパラメータの情報と関連付けられて変更データ記憶部24に格納される。
【0039】
第1差分演算部25は、異常データ記憶部23に格納されている各異常状態軌跡と、正常モデルデータ記憶部22に格納されている正常モデル状態軌跡との差分ベクトルをそれぞれ演算する。具体的には、第1差分演算部25は、互いに同期がとれている軌跡、換言すると、同じサンプリングタイム(i=0〜N)に取得された状態軌跡同士の差分を演算することで差分ベクトルを算出する。差分ベクトルは、図6に示すように、操作量及び制御量毎に算出される。この結果、以下の(4)式で表されるように、各異常要因a〜nについて差分ベクトルがそれぞれ演算される。
【0040】
【数4】
【0041】
第2差分演算部26は、変更データ記憶部24に格納されている各変更状態軌跡と正常モデルデータ記憶部22に格納されている正常モデル状態軌跡との差分ベクトルをそれぞれ演算する。なお、差分ベクトルの演算手法については、上記第1差分演算部25と同様である。
これにより、各変更状態軌跡について差分ベクトルが演算される。例えば、変更状態軌跡が20個用意されていた場合には、演算結果として20個の差分ベクトルが得られることとなる。
【0042】
第1内積演算部27は、第1差分演算部25によって演算された異常要因毎の差分ベクトルと、第2差分演算部26によって算出された各変更状態軌跡の差分ベクトルとの内積を演算する。これにより、例えば、変更状態軌跡が20個用意されていた場合には、異常要因a〜nのそれぞれについて、20個の内積結果がそれぞれ算出される。
【0043】
既知パラメータ情報記憶部28には、例えば、第1内積演算部27によって算出された内積結果に基づいて作成された異常要因毎の等高線群が既知パラメータ情報として、既知パラメータ情報記憶部28に格納される。
例えば、図7に、異常要因としてガタと摩擦とを想定した場合の等高線群の一例を示す。図7(a)は、ガタの異常要因に関する等高線群の一例を示し、図7(b)は摩擦の異常要因に関する等高線群の一例を示している。図7(a)、(b)において、x軸はバックラッシュ、y軸は摩擦、z軸は内積を示している。
【0044】
データ取得部29は、観測対象となるサーボ機構における時系列の入力信号及び時系列の出力信号を取得する。例えば、データ取得部29は、サーボ機構の起動時やメンテナンス直後等の所定のタイミングで、観測対象であるサーボ機構に対して、正常状態軌跡を作成したときと同じ目標値を与えたときの時系列の入力信号と時系列の出力信号とを取得する。
【0045】
観測状態軌跡生成部30は、データ取得部29によって取得された時系列の入力信号及び時系列の出力信号を用いて、上述した正常状態軌跡と同様の処理を行うことにより、観測状態軌跡を生成する。具体的には、データ取得部29によって取得された時系列の入力信号及び時系列の出力信号のうち、同じサンプリングタイムi(i=0〜N)に取得された入力信号の信号値及び出力信号の信号値を1つのデータ集合体とし、各操作量及び各制御量に対応した座標軸上にそれぞれ信号値をプロットする。そして、プロットした信号値をそれぞれつなぐことにより、m+k次元の観測状態軌跡を生成する。
観測状態軌跡は例えば、以下の(5)式で表される。
【0046】
【数5】
【0047】
第3差分演算部31は、正常データ記憶部21に格納されている正常状態軌跡と、観測状態軌跡生成部30によって生成された観測状態軌跡との差分を差分ベクトルとして演算する。
第2内積演算部32は、第3差分演算部31によって算出された差分ベクトルと、第1差分演算部25によって算出された差分ベクトルとの内積を演算する。
パラメータ推定部33は、既知パラメータ情報記憶部28に予め格納されている上述の既知パラメータ情報と第2内積演算部32の演算結果とを用いて、観測対象であるサーボ機構のパラメータを推定する。
【0048】
具体的には、パラメータ推定部33は、既知パラメータ情報記憶部28に格納されている異常要因毎の等高線群から第2内積演算部32によって異常要因毎に算出された内積演算結果に対応する等高線をそれぞれ抽出し、抽出した等高線の交点から比較対象のサーボ機構のパラメータを推定する。例えば、図7に示したように、異常要因としてガタ及び摩擦を想定した場合、図7(a)に示したガタに関する等高線群から、第2内積演算部32によって算出されたガタに関する内積演算結果に対応する等高線を抽出し、図7(b)に示した摩擦に関する等高線群から、第2内積演算部32によって算出された摩擦に関する内積演算結果に対応する等高線を抽出する。例えば、抽出したそれぞれの等高線は、図8に示すように、バックラッシュと摩擦とで規定される座標空間上に表される。そして、これらの等高線の交点によって定まるバックラッシュと摩擦の値を取得する。そして、取得したバックラッシュと摩擦の値を、観測対象であるサーボ機構のパラメータとして出力する。
【0049】
次に、上記構成を備えるパラメータ推定装置1の演算処理の流れについて説明する。
まず、観測対象のサーボ機構のパラメータ推定を実行する前段階として、既知パラメータ情報を作成する前処理が行われる。
具体的には、正常状態軌跡が実機を用いた試験により得られるとともに、正常モデル状態軌跡、複数の異常状態軌跡、及び複数の変更状態軌跡がシミュレーションによって取得され、それぞれの記憶部21〜24に格納される。
続いて、正常モデル状態軌跡と各異常状態軌跡との差分ベクトルが第1差分演算部25によって算出され、同様に、正常モデル状態軌跡と各変更状態軌跡との差分ベクトルが第2差分演算部26によって算出される。
【0050】
続いて、第1内積演算部27において、第1差分演算部25によって演算された異常要因毎の差分ベクトルと、第2差分演算部26によって算出された各変更状態軌跡の差分ベクトルとの内積が算出され、この算出結果を用いて異常要因毎の等高線群が作成され、既知パラメータ情報として既知パラメータ情報記憶部28に格納される。
また、第1差分演算部25によって算出された異常要因毎の差分ベクトルについても、観測対象であるサーボ機構のパラメータ推定時に用いられるデータとなるので、第1差分演算部25の演算結果を図示しない記憶部に格納しておいてもよい。
【0051】
上記のように、本実施形態によれば、正常データ記憶部21、正常モデルデータ記憶部22、異常データ記憶部23、変更データ記憶部24、及び既知パラメータ情報記憶部28に格納される種々の情報は、観測対象となるサーボ機構のパラメータ推定を行う前に予め取得または演算されてそれぞれの記憶部に格納されている。そして、これらの情報を事前に用意しておくことで、観測対象となるサーボ機構のパラメータ推定時における演算処理負担を大幅に軽減できるとともに、処理時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0052】
次に、観測対象となるサーボ機構のパラメータ推定時に実行されるパラメータ推定処理について説明する。
まず、データ取得部29によって観測対象となるサーボ機構における時系列の入力信号及び時系列の出力信号が取得され、観測状態軌跡生成部30によって、観測状態軌跡が生成される。
続いて、第3差分演算部31によって、正常データ記憶部21に格納されている正常状態軌跡と、観測状態軌跡生成部30によって生成された観測状態軌跡との差分が差分ベクトルとして演算される。そして、第2内積演算部32において、第3差分演算部31によって算出された差分ベクトルと、第1差分演算部25によって算出された差分ベクトルとの内積が演算される。
【0053】
続いて、パラメータ推定部33において、第2内積演算部32の演算結果に基づいて、異常要因毎の等高線群から対応する等高線がそれぞれ特定され、特定された等高線の交点によって定まるパラメータ値が比較対象のサーボ機構のパラメータとして推定される。パラメータ推定部33によって推定されたパラメータ値は、例えば、表示部17(図1参照)に表示されるなどして、設計者に通知される。このようなパラメータ値は、例えば、観測対象となるサーボ機構の制御パラメータをチューニングするときに参照されたり、異常検知を行う時の異常特定に役立てられたりする。
【0054】
以上説明してきたように、本実施形態に係るサーボ機構のパラメータ推定装置及びパラメータ推定方法並びにパラメータ推定プログラムによれば、比較対象のサーボ機構の数値モデルにおいて、複数のパラメータを同時に変更したパラメータ変更モデルを多数作成し、これらのパラメータ変更モデルを用いて事前に既知パラメータ情報、すなわち、異常要因毎の等高線群を作成しておく。そして、観測対象のサーボ機構のパラメータを推定するときには、事前に作成しておいた既知パラメータ情報を用いてパラメータを推定する。これにより、パラメータ推定時における演算処理を極めて簡素化することができ、例えば、ループ演算を行っていた従来のパラメータ推定手法に比べて、パラメータ推定処理の時間を大幅に短縮することが可能となる。
また、既知パラメータ情報は、同じ機種のサーボ機構に対して共通に使用することができる。したがって、例えば、出荷時において、出荷予定の多数のサーボ機構のパラメータ推定を同じ既知パラメータ情報を用いて推定することが可能となる。また、例えば、既知パラメータ情報を生成するときに使用した比較対象のサーボ機構の実機やその数値モデルを好適なパラメータにチューニングしたものとすることで、出荷予定のサーボ機構を最適なパラメータに合わせこむことが可能となる。
【0055】
更に、本実施形態によれば、観測対象のサーボ機構の状態軌跡から差分ベクトルを得る際には、比較対象のサーボ機構の実機を用いて得られた正常状態軌跡を用い、異常要因毎の異常状態軌跡や、各変更状態軌跡から差分ベクトルを算出する際には、比較対象のサーボ機構の数値モデルから得られた正常モデル状態軌跡を用いる。このように、例えば、観測状態軌跡と実機の正常状態軌跡とから差分ベクトルを演算することにより、実機において発生するノイズなどの影響を相殺することが可能となる。これにより、ノイズの影響を低減でき、パラメータ推定精度を更に高めることが可能となる。
【0056】
次に、本発明の第2実施形態に係るサーボ機構のパラメータ推定装置及びパラメータ推定方法並びにパラメータ推定プログラムについて説明する。例えば、上述した第1実施形態では、図7(a)、(b)に示したように等高線群を得る必要があるため、パラメータ変更モデルを作成するときに非常に細かくパラメータを変化させ、網羅的に内積結果を得る必要があった。しかしながら、この方法だと、比較的高いパラメータ推定精度は期待できるが、既知パラメータ情報を得るのに相当な時間を要するとともに、既知パラメータ情報記憶部28のストレージ容量も大きくする必要がある。
そこで、本実施形態では、比較的粗めにパラメータを変化させることにより、使用するパラメータ変更モデルの数を低減させ、処理負担及び既知パラメータ情報記憶部28のストレージ容量の低減を図る。
【0057】
すなわち、本実施形態によれば、上述した第1実施形態と略同様の構成を有するが、既知パラメータ情報を得るのに用いるパラメータ変更モデルの数が少ないため、図7に示したように等高線群を得ることができず、例えば、図7に示したようなバックラッシュ、摩擦、内積からなる座標空間において、パラメータ変更モデルの数だけ点がプロットされるような状態となる。そして、このような座標空間に内積結果がプロットされた情報を異常要因毎に作成し、既知パラメータ情報として既知パラメータ情報記憶部28に格納する。
そして、上述したパラメータ推定時においては、第2内積演算部32によって算出された異常要因毎の内積結果に対応する点に近い位置にあるプロットを既知パラメータ情報の中から抽出し、図9に示すように、抽出したプロットの値を公知の補間手法を用いて補間することで、パラメータを推定する。
【0058】
このように、第1実施形態に比べて粗めにパラメータを変更させたパラメータ変更モデルを用意し、このパラメータ変更モデルを用いて既知パラメータ情報を用意するので、既知パラメータ情報のデータ容量を小さくすることができる。この結果、既知パラメータ情報記憶部28のストレージ容量を小さくすることが可能となり、また、前処理に要する時間も短縮することが可能となる。
【0059】
なお、上述した第1及び第2実施形態では、各差分ベクトルの相関に関する評価値として「内積」を用いる場合について説明したが、差分ベクトルの相関に関する評価値は、この例に限定されない。例えば、内積に代えて、正規化された内積(正規化内積)を用いることとしても良い。通常、内積は以下の(6)式で表されるが、正規化内積は(7)式で表され、例えば、互いのベクトルの「大きさの比×方向の差」で表される。
【0060】
【数6】
【0061】
このように、内積に代えて正規化内積を用いることにより、「大きさの比」と「方向の差」の2つを個別に演算することができ、より冗長性を持たせることが可能となる。これにより、データに含まれるノイズの影響を低減でき、パラメータの推定精度を向上させることができる。
【0062】
次に、本発明の第3実施形態に係るサーボ機構のパラメータ推定装置及びパラメータ推定方法並びにパラメータ推定プログラムについて説明する。上述した第1または第2実施形態では、正常数値モデルにおいて複数のパラメータを同時に変化させたパラメータ変更モデルを多数用いてパラメータの推定を行っていたが、本実施形態では、図10に示すように、パラメータ変更モデルを用いずにパラメータを推定する点において、上記各実施形態と異なる。
【0063】
以下、本実施形態に係るサーボ機構のパラメータ推定装置及びパラメータ推定方法並びにパラメータ推定プログラムについて、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0064】
本実施形態に係るパラメータ推定装置1aは、図10に示すように、例えば、正常データ記憶部21、正常モデルデータ記憶部22、異常データ記憶部23、第1差分演算部25、第1内積演算部35、既知パラメータ情報記憶部28’、データ取得部29、観測状態軌跡生成部30、第3差分演算部31、第2内積演算部32、及びパラメータ推定部33aを備えている。
【0065】
本実施形態における主な特徴の一つである第1内積演算部35は、第1差分演算部25によって演算された異常要因毎の差分ベクトル同士の内積を算出する。これにより、各異常要素間の内積行列が算出される。
ここで、第2内積演算部32によって算出される観測状態軌跡の差分ベクトルと異常要因毎の差分ベクトルとの内積と、第1内積演算部35によって算出される上記異常要素間の内積とが線形で表される場合、以下の(8)式に示される行列式が成立する。
【0066】
【数7】
【0067】
上記(8)式において、ベクトルAは第2内積演算部32によって算出される観測状態軌跡の差分ベクトルと異常要因毎の差分ベクトルとの内積ベクトル、行列Bは第1内積演算部35によって算出される上記異常要素間の内積行列、ベクトルKは観測状態軌跡の差分ベクトルを形作る異常要因毎の差分ベクトルのゲインベクトルを示している。
【0068】
すなわち、上記(8)式から未知数であるゲインベクトルKを得るためには、以下の(9)式のように、ベクトルAに対して行列Bの逆行列を乗じればよい。
【0069】
【数8】
【0070】
そこで、本実施形態では、前処理として、正常モデル状態軌跡と各異常状態軌跡との差分ベクトルを第1差分演算部25によって算出し、算出結果として得られた差分ベクトル同士を第1内積演算部35が乗じることにより、異常要素間の内積行列を算出する。そして、第1内積演算部35によって得られた異常要素間の内積行列の逆行列を既知パラメータ情報として既知パラメータ情報記憶部28’に予め格納しておく。
【0071】
そして、パラメータ推定時において、パラメータ推定部33aは、第3差分演算部31によって算出された観測状態軌跡と正常状態軌跡との差分ベクトルと、第1差分演算部25によって算出された異常要因毎の差分ベクトルとの内積ベクトルに、既知パラメータ情報記憶部28’に予め格納されている逆行列を乗じることにより、直接的に各ゲインベクトルの値を算出する。そして、算出した各ゲインベクトルを用いて、観測状態軌跡の推定パラメータベクトルを演算する。例えば、以下の(10)式を用いて、観測状態軌跡の推定パラメータのベクトルを演算する。
【0072】
【数9】
【0073】
上記(10)式において、ベクトルPestは、観測状態軌跡の推定パラメータのベクトル、ベクトルPabnは各異常のパラメータのベクトル、ベクトルPnomは、正常モデルのパラメータのベクトルである。
【0074】
以上説明したように、本実施形態に係るサーボ機構のパラメータ推定装置及びパラメータ推定方法並びにパラメータ推定プログラムによれば、各異常要因間の内積行列の逆行列を既知パラメータ情報として予め算出して既知パラメータ情報記憶部28’に格納するので、パラメータ推定時においては、この逆行列を用いて容易にパラメータを推定することができる。
【0075】
次に、本発明の第4実施形態に係るサーボ機構のパラメータ推定装置及びパラメータ推定方法並びにパラメータ推定プログラムについて説明する。上述した各実施形態においては、内積を用いずに、最小に情報を用いて各パラメータを推定する。
以下、図11を参照して、本実施形態に係るサーボ機構のパラメータ推定装置1bについて説明する。
【0076】
本実施形態に係るパラメータ推定装置1bは、図11に示すように、正常データ記憶部21、正常モデルデータ記憶部22、異常データ記憶部23、第1差分演算部25、データ取得部29、観測状態軌跡生成部30、第3差分演算部31、評価関数作成部40、及びパラメータ推定部33bを備えている。ここで、異常データ記憶部23に格納されている各異常状態軌跡a〜nは、例えば、正常モデル状態軌跡を得るときに用いた数値モデルに対して、各異常要因a〜nに影響するそれぞれ一つのパラメータの値を変更することで作成された異常数値モデルをそれぞれ用いて作成された状態軌跡である。
【0077】
第1差分演算部25は、上述したように、異常要因毎に作成された異常状態軌跡と正常モデル状態軌跡との差分ベクトルをそれぞれ演算する。
また、第3差分演算部31は、観測状態軌跡と正常状態軌跡との差分ベクトルを演算する。
評価関数作成部40は、第1差分演算部25によって演算された各差分ベクトルにそれぞれ異常要因毎のゲインKa〜Knを乗じ、これらを足し合わせた項を第3差分演算部31が算出した差分ベクトルから減じた評価関数Xを作成する。すなわち、評価関数Xは、以下の(9)式で表される。
【0078】
【数10】
【0079】
パラメータ推定部33bは、評価関数作成部40によって作成された評価関数Xの値が最小となる各ゲインK〜Kの値を最小二乗法等の統計的手法を用いて算出し、算出した各ゲインK〜Kからパラメータを推定する。
ここで、上述したように、各異常状態軌跡a〜nは、正常モデルに対してそれぞれ一つのパラメータしか変更していないので、異常要因毎のモデルのパラメータ値とそれに対応するゲインから各パラメータを推定することができる。
【0080】
以上説明したように、本実施形態に係るサーボ機構のパラメータ推定装置及び診断方法並びに診断プログラムによれば、観測状態軌跡と正常状態軌跡との差分ベクトルを、状態軌跡を異常要因毎の差分ベクトルの線形和としてみなして評価関数Xを作成し、この評価関数Xを最小とする各ゲインK〜Kを得る。そして、取得した各ゲインK〜Kを用いて各種パラメータを推定する。これにより、簡素な演算処理によってパラメータの推定を容易に行うことが可能となる。また、第1実施形態に係るサーボ機構のパラメータ推定装置と異なり、パラメータ変更モデル等を必要としないため、ストレージ容量を低減することができるとともに、前処理における処理負担の軽減及び処理時間の短縮を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0081】
1、1a、1b:パラメータ推定装置
10:機械システム
21:正常データ記憶部
22:正常モデルデータ記憶部
23:異常データ記憶部
24:変更データ記憶部
25:第1差分演算部
26:第2差分演算部
27、35:第1内積演算部
28、28’:既知パラメータ情報記憶部
29:データ取得部
30:観測状態軌跡生成部
31:第3差分演算部
32:第2内積演算部
33、33a、33b:パラメータ推定部
40:評価関数作成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11