(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971912
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】ダイレクトツーオブジェクトプリンタのための物体ホルダ
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20211111BHJP
B41J 3/407 20060101ALI20211111BHJP
B41J 29/387 20060101ALI20211111BHJP
G06K 19/07 20060101ALI20211111BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J3/407
B41J29/387
G06K19/07 230
G06K7/10 100
B41J2/01 109
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-95124(P2018-95124)
(22)【出願日】2018年5月17日
(65)【公開番号】特開2019-1156(P2019-1156A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2021年5月14日
(31)【優先権主張番号】15/621,450
(32)【優先日】2017年6月13日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト・エイ・イリザリー
(72)【発明者】
【氏名】カルロス・エム・テレーロ
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブ・アール・マッカーシー
【審査官】
小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】
特開2017−024408(JP,A)
【文献】
特表2016−520371(JP,A)
【文献】
特表2016−520372(JP,A)
【文献】
特表2016−520373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01
B41J 3/407
B41J 29/387
G06K 19/07
G06K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイレクトツーオブジェクト印刷システム内で物体を保持するための物体ホルダであって、
ダイレクトツーオブジェクト印刷システムの少なくとも1つの印刷ヘッドによって形成された平面と平行に位置付けられた支持部材を、摺動可能に横移動させるように構成されたシャトルマウントと、
前記シャトルマウントに取り付けられたブラダであって、前記ブラダは印刷される物体の空洞に挿入され、前記ブラダは気体または液体のいずれか1つで充填されており、前記充填されたブラダは前記物体が印刷されている間に前記物体を抑えるために前記空洞中で膨張する、前記ブラダと、
前記充填されたブラダを、抑えられている前記物体の前記空洞の形状に適合するように構成された、前記ブラダを囲むメッシュと、を備える、物体ホルダ。
【請求項2】
前記ブラダを前記気体及び前記液体のうちの一方で充填するように構成されたポンプをさらに備え、前記充填されたブラダが、前記空洞の中に延び、前記物体を印刷されている間拘束する、請求項1に記載の物体ホルダ。
【請求項3】
物体の表面上に印刷するためのダイレクトツーオブジェクト印刷システムであって、
前記物体の表面上に向かってマーキング材料を噴出するように構成された、少なくとも1つの印刷ヘッドと、
前記少なくとも1つの印刷ヘッドによって形成された平面と平行に位置付けられた支持部材と、
物体ホルダであって、
前記支持部材を摺動可能に横移動させるように構成されたシャトルマウントと、
前記シャトルマウントに取り付けされたブラダであって、前記ブラダは印刷される物体の空洞に挿入され、前記ブラダは気体または液体のいずれか1つで充填されており、前記充填されたブラダは前記物体が印刷されている間に前記物体を抑えるために前記空洞中で膨張する、前記ブラダと、
前記充填されたブラダを、抑えられている前記物体の前記空洞の形状に適合するように構成された、前記ブラダを囲むメッシュと、
を備える、物体ホルダと、
前記物体が前記少なくとも1つの印刷ヘッドを通過するときに、前記少なくとも1つの印刷ヘッドに、前記物体ホルダによって保持された前記物体上にマーキング材料を噴出させるように構成されたコントローラと、を備える、ダイレクトツーオブジェクト印刷システム。
【請求項4】
動作的に、前記物体ホルダに前記支持部材を摺動可能に横移動させるためのアクチュエータをさらに備える、請求項3に記載のダイレクトツーオブジェクト印刷システム。
【請求項5】
プーリに接触するベルトをさらに備え、前記プーリのうちの1つが、前記プーリに、前記ベルトを前記プーリを中心として移動させ、前記物体ホルダを前記少なくとも1つの印刷ヘッドを通過して移動させる前記アクチュエータに動作的に接続される、請求項4に記載のダイレクトツーオブジェクト印刷システム。
【請求項6】
識別タグと入力装置とをさらに備える、請求項3に記載のダイレクトツーオブジェクト印刷システム。
【請求項7】
前記識別タグが、識別子を包含するRFIDタグであり、かつ前記入力装置がRFIDリーダであるか、
前記識別タグが、識別子を包含するバーコードであり、かつ前記入力装置がバーコードリーダであるか、
前記識別タグが、少なくとも1つの機械的マークであり、前記入力装置が前記機械的マークに追従し、アームの位置を、識別子を含む電気信号に変換する付勢アームであるか、
のいずれかである、請求項6に記載のダイレクトツーオブジェクト印刷システム。
【請求項8】
前記コントローラが、
前記入力装置から前記識別子を受信し、
前記識別子を、メモリに記憶された少なくとも1つの識別子と比較し、
メモリに記憶された前記識別子のいずれかとの一致に失敗した前記識別子に応じて、前記アクチュエータを動作停止させるようにさらに構成される、請求項6に記載のダイレクトツーオブジェクト印刷システム。
【請求項9】
前記コントローラが、
前記入力装置から前記識別子を受信し、
前記識別子を、メモリに記憶された識別子と比較し、
メモリに記憶された前記識別子のいずれかとの一致に失敗した前記識別子に応じて、前記少なくとも1つの印刷ヘッドを動作停止させるようにさらに構成される、請求項6に記載のダイレクトツーオブジェクト印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の表面上にインクを直接付着さえるための印刷システムに向けられ、より特定的には、ダイレクトツーオブジェクト(direct−to−object)印刷システム内で、物体が印刷されている間、物体をしっかりと抑えるための物体ホルダ装置に向けられる。
【背景技術】
【0002】
文書再生技術で知られているプリンタは、マーキング材料、例えばインクまたはトナーを、紙シート上に付与する。無視できない深さを有する物体、例えばコーヒーカップ、ボトル等に何らかの印刷をするために、通常は、ラベルが印刷され、印刷されたラベルが物体の表面上に付与される。しかしながら、いくつかの製造及び生産環境では、物体自体の上に直接印刷することが望ましいが、このことは、そのような専用ダイレクトツーオブジェクト印刷システムが商業的により広範に受け入れられるようになる前に克服しなければならない多種多様な障害をもたらす。これらの障害のうちの1つは、物体が印刷されている間、どのようにして物体をそのような専用プリンタに固定するかである。そのようなダイレクトツーオブジェクト印刷システムは、多くの場合物体ホルダと称される構成要素を有する。本発明は、物体の表面上に直接印刷するように設計されたダイレクトツーオブジェクト印刷システムで用いるための物体ホルダに特に向けられる。
【発明の概要】
【0003】
ダイレクトツーオブジェクト印刷システム内で物体を抑えるための物体ホルダが開示される。物体ホルダは、一般に、ダイレクトツーオブジェクト印刷システムの少なくとも1つの印刷ヘッドによって形成された平面と平行に位置付けられた支持部材を、摺動可能に横移動させるように構成されたシャトルマウントを備える。シャトルマウントまたは抑え具のいずれかに取り付けられた膨張可能なブラダ。ブラダは、印刷される物体の空洞に挿入される。そして、ポンプは、ブラダを気体及び液体のいずれかで充填し、ブラダを膨張させる。物体の空洞の内側で膨張したブラダは、物体の表面に印刷がなされることを可能にする。一実施形態では、充填されたブラダは、人間の足の形状にほぼ適合し、印刷されている物体は、履物である。
【0004】
本発明の物体ホルダのさまざまな実施形態を用いるように構成されたダイレクトツーオブジェクト印刷システムが開示される。一実施形態では、ダイレクトツーオブジェクト印刷システムは、マーキング材料、例えばインクを噴出するように構成された少なくとも1つの印刷ヘッドを内蔵する。物体ホルダは、印刷ヘッドによって形成された平面と平行に位置付けられた支持部材を摺動可能に横移動させるように構成される。動作的に、物体ホルダに、物体を印刷ヘッドを通過して支持部材に沿って移動させるアクチュエータ。物体が印刷ヘッドを通過して移動すると、印刷ヘッドに、物体ホルダによって保持された物体の上に向かってマーキング材料を噴出させるコントローラ。
【0005】
上述の機器及びダイレクトツーオブジェクト印刷システムの特徴及び利点は、以下の記述及び添付の図面から容易に明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本明細書に開示された主題の前述及び他の特徴及び他の利点は、添付の図面と併用して解釈される以下の詳細な説明から明らかとなろう。
【0007】
【
図1】本明細書に開示されたダイレクトツーオブジェクト印刷システムの一例の実施形態を図示する。
【
図2】ダイレクトツーオブジェクト印刷システム内で物体を抑えるための本物体ホルダの一実施形態の側面図を示す。
【
図3】印刷される履物の内部空洞に挿入されている
図2のブラダを示す。
【
図4】抑え装置を利用して、弾性抑え具の端が取り付けられる複数の取り付け点を有するシャトルマウントに物体を固定する、本物体ホルダの別の実施形態を示す。
【
図5】印刷される物体を下に挿入することに備えて、
図4の抑え装置の弾性抑え具を引っ張るユーザの手を示す。
【
図6】
図4及び5の抑え装置の別の実施形態を示し、シャトルマウントは、複数の弾性抑え具がシャトルマウントにスニーカーをまとめて抑え得るように取り付けられる、フックを有する複数の可動磁石を有する。
【
図7】
図1のダイレクトツーオブジェクト印刷システムの代替の実施形態を示す。
【
図8】
図1のダイレクトツーオブジェクト印刷システムの別の代替の実施形態を示す。
【
図9】キャビネットに収容された本ダイレクトツーオブジェクト印刷システムの一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ダイレクトツーオブジェクト印刷システム内で物体をしっかりと抑えるための物体ホルダと、本発明の物体ホルダのさまざまな実施形態を動作的に用いるように構成されたダイレクトツーオブジェクト印刷システムとが開示される。
【0009】
非限定的な定義
「物体(object)」は、インクで印刷される少なくとも1つの表面を有する。物体の例は、靴、スニーカー、ソックス、及び内部空洞を有する他のアイテムである。
【0010】
「ダイレクトツーオブジェクト印刷システム(direct−to−object print system)」、または単に「印刷システム」は、物体の表面上に印刷するように設計されたプリンタである。
図1のダイレクトツーオブジェクト印刷システムは、少なくとも以下の構成要素、すなわち、少なくとも1つの印刷ヘッド、支持部材、アクチュエータ、コントローラ、及び物体ホルダを内蔵する。
【0011】
「印刷ヘッド(printhead)」または「印刷ヘッド(print head)」は、物体の表面上に向かってインク等のマーキング材料の液滴を放出または噴出し、それによって、物体上にマークを作成する要素(例えば、インクジェット)である。一実施形態では、ダイレクトツーオブジェクト印刷システムは、複数のモノクロ印刷ヘッドと、UV硬化ランプとを有する。印刷ゾーンは、単一のM系列印刷ヘッドの幅(最大4インチ)である。各印刷ヘッドは、マーキング材料(図示せず)の供給部に流体接続される。印刷ヘッドのいくつかまたはすべてが、同じ供給部に接続されてもよい。各印刷ヘッドは、各自の供給部に接続されることができ、そのため、各印刷ヘッドは、異なるマーキング材料を噴出する。
図1の104には、10×1の印刷ヘッドのアレイが示される。
【0012】
図1の106における「支持部材(support member)」は、印刷ヘッドによって形成された平面と平行であるように位置付けられ、支持部材の一端が支持部材の他端よりも高い重力ポテンシャルにあるように向けられる。印刷ヘッド及び支持部材の垂直構成は、本ダイレクトツーオブジェクト印刷システムが、水平な向きの印刷ヘッド及び支持部材によって構成されたシステムよりも小さな設置面積を有することを可能にする。代替の実施形態では、水平構成は印刷ヘッドに向けられ、それによって、物体ホルダが、物体を、水平に配置された印刷ヘッドを通過して移動させるようにされる。
【0013】
図1の110における「アクチュエータ(actuator)」は、物体ホルダに、支持部材を摺動可能に横移動させる電気機械装置である。一実施形態では、コントローラは、アクチュエータに、印刷ヘッドと印刷されている物体の表面との間の空隙の乱気流を弱める速度で、物体ホルダを移動させる。
【0014】
「物体ホルダ(object holder)」は、物体ホルダが支持部材に沿って移動している間、物体を物理的に拘束し、それによって、物体が印刷ヘッドを通過することができるようにされる。本明細書に開示された物体ホルダは、一般に、支持部材106を摺動可能に横移動させるように構成されたシャトルマウント112と、ブラダ108と、ポンプ113とを備える。
【0015】
図1の108における「ブラダ(bladder)」は、力を加えることによって膨張することが可能であり、力が除かれるとほぼその原型に戻る任意の材料であることができる。例えば、ある量の空気がブラダ注入されると、膨張する。該空気量がブラダから引き出されると、ブラダは部分的に縮小する。ブラダは、硬いホースまたは柔軟なホースに接続される。ホースは、ポンプに接続される。
【0016】
図1の113における「ポンプ(pump)」は、一般に知られているように、気体かまたは液体のいずれかをホース115を通してブラダ108の中に注入し、それによって、ブラダを膨張させる。膨張したブラダは、物体が印刷されている間、物理的に保持する。一実施形態では、充填されたブラダは、人間の足の形状にほぼ適合し、物体は履物である。バルブ117は、ブラダ内部の圧力を解放するために利用され、それによって、物体が物体ホルダから取り外されることができるようにされる。ポンプ113及び/またはバルブ117は、コントローラによって操作され得る。
【0017】
図1の114における「コントローラ(controller)」は、本ダイレクトツーオブジェクト印刷システムのさまざまな構成要素を制御するプロセッサまたはASICである。コントローラは、実行されると、アクチュエータ110に信号を送るかさもなければ操作して、物体ホルダを印刷ヘッドを通過して移動させるようにコントローラを構成する機械可読プログラム命令を、メモリ116から取り出すように構成される。他の取り出された命令が実行されると、コントローラは、印刷ヘッドに信号を送るか、さもなければ印刷ヘッドを操作して、的確な時に、物体ホルダによって抑えつけられた物体の表面上の所望の箇所でのマーキング材料の噴出を開始/停止するように構成される。コントローラは、さまざまな印刷ヘッドを操作して、それによって、個々の印刷ヘッドが、マーキング材料の異なるサイズの液滴を噴出するようにさらに構成され得る。コントローラは、ユーザインターフェースと通信するように構成され得る。
【0018】
図1の118における「ユーザインターフェース(user interface)」は、一般にユーザに視覚情報を提示するためのタッチスクリーン、モニタ、またはLCD装置等のディスプレイ120と、可聴音を発する報知器122と、ユーザ入力または選択を受信するためのキーパッド等の入力装置124とを備える。コントローラは、ユーザインターフェースを操作して、オペレータに故障を知らせるように構成されることができる。コントローラは、システム内の印刷ヘッド及び印刷ヘッドに供給されているインクの構成を検出するようにシステムを監視する。インクまたは印刷ヘッド構成が、物体を正確かつ適切に印刷することが不可能である場合、その後、ユーザに対して、ユーザインターフェースのディスプレイ上に、例えばインクを変える必要があるか、または印刷ヘッドを再構成する必要があることのメッセージが提示される。コントローラは、ユーザインターフェースの報知器を用いて、オペレータにシステムのステータスを知らせ、障害状態及び表示されたメッセージへ注意を向けさせるように構成されることができる。ユーザインターフェースは、警告灯をさらに含み得る。
【0019】
図1の126における「識別タグ(identification tag)」は、物体ホルダに取り付けられた機械可読マークである。識別タグは、入力装置、例えばセンサ128によって可読であるかさもなければ受信可能である識別子を組み入れている。識別子は、印刷されている物体及び/または支持部材を横移動しているときの物体の場所に関する情報を包含している。受信された識別子は、次にコントローラに伝達される。識別タグは、例えば、入力装置がRFIDリーダである無線認証(RFID)タグであることができる。また、識別タグは、入力装置がバーコードリーダであるバーコードであることもできる。別の実施形態では、識別タグは、識別タグを含むエリアの面に追従する付勢アームによって検出されるかさもなければ読み取られることができる、物体または物体ホルダの1つ以上の突起、くぼみ、またはそれらの組み合わせを備える。本実施形態では、付勢アームは、識別タグを含む機械的マークの検出された突起、くぼみ、及び同様の位置を、次に処理のためにコントローラに伝達される電気信号に変換するカムフォロアである。他の実施形態では、識別タグは、光学的または電磁的マークを備える。コントローラは、入力装置から受信された識別子を、メモリ116に記憶されたさまざまな識別子と比較する。コントローラは、メモリに記憶された識別子との一致に失敗した受信された識別子に応じて、アクチュエータの動作及び/または印刷ヘッドの動作を停止させることができる。また、コントローラは、ユーザインターフェースを用いて、オペレータに、行うことを要する処理を知らせるように構成されることもできる。例えば、識別タグは物体ホルダ内の物体が、特別な処置、例えば印刷に先立つ前コーティング、または物体が印刷された後の後コーティングを必要とすることを示し得る。識別タグの場所または識別タグの検出の失敗は、コントローラに、物体ホルダによって保持された物体が位置ずれしているか、緩んでいるか、または一緒に無くなっていることを示し得る。これらの例では、コントローラはディスプレイ120に、検出された状態に関するメッセージを伝達する。
【0020】
図1の128における「センサ(sensor)」は、テストパターンを有する一枚の印刷媒体を撮像することによって画像データを生成するように位置付けられた装置、例えばデジタルカメラまたは他の撮像装置である。コントローラは、センサから画像データを受信し、画像データを分析して、印刷ヘッドのアライメント、画質、及び他の保守上の問題、例えば動作不能なイジェクタ、少量のインク供給、またはインクの質の低下を特定するように構成される。コントローラは、ユーザインターフェースを用いて、オペレータが、コントローラがダイレクトツーオブジェクト印刷システムの動作を停止させた理由を理解することが可能であるような操作を通知する。
【0021】
物体ホルダの実施形態
ここで、ダイレクトツーオブジェクト印刷システムにおいて物体が印刷されている間、物体をしっかりと抑えるための本物体ホルダの一実施形態の側面図を示す
図2に言及する。
図2の物体ホルダは、シャトルマウント212と、単一のユニットを構成し得る背部支持ブレース204及び上部支持ブレース205とを有する。シャトルマウントは、支持部材106を摺動可能に横移動させる。ブラダ208は、(201において)シャトルマウントに取り付けられる。ブラダは、ホース115に接続される。ホースは、ポンプ113に接続される。
図2の実施形態では、ブラダは、ブラダを所望の形状に膨張させるように構成されたワイヤメッシュ202をさらに備える。メッシュは、ブラダの内側にあることができるか、ブラダの外側にあることができるか、またはブラダを構成する材料に組み入れられることができる。膨張したブラダの所望の形状は、人間の足の形状にほぼ適合し、印刷される物体は、履物である。
【0022】
ここで、印刷される履物の内部空洞に挿入されている
図2のブラダを示す
図3に言及する。
図3では、ブラダ208は、背部支持304に接続される上部支持ブレース205に接続される。つぶれたブラダ108は、(301において)印刷することが意図される履物300(スニーカー)の内部空洞に挿入される。いったんブラダがスニーカーの空洞に挿入されると、ポンプ(
図1の113)が進み、ブラダを気体または液体のいずれかで充填する。ブラダを充填することによって、ブラダをスニーカーの内側で膨張させる。膨張したブラダは、メッシュによって形成された形状をほぼ呈するように構成される。ブラダの膨張は、スニーカーが印刷されている間、スニーカーをシャトルマウントに物理的に抑えつけるように機能する。印刷ヘッドの平面に対するシャトルマウント及びブラダの向きによって、スニーカーの異なる面を印刷することができる。いったんスニーカーの表面が印刷されると、値(
図1の117)を用いて、ブラダ内部の圧力を解放し、それによって、新たに印刷されたスニーカーがシャトルマウントから取り除かれることを可能にする。本プロセスは、本ダイレクトツーオブジェクト印刷システムを用いて印刷される次の履物について繰り返される。
【0023】
ここで、本物体ホルダ112の別の実施形態を示す
図4に言及し、抑え装置を利用して、弾性抑え具の端が取り付けられる複数の取り付け点を有するシャトルマウントに物体を固定する。本実施形態では、物体ホルダは、支持部材106を摺動可能に横移動させるように構成されたシャトルマウント400を備える。シャトルマウントは、弾性抑え具402の端が選択的に着脱されることができる複数の取り付け点401を有する。弾性抑え具402は、(403において)ともに接合され、物体(図示せず)をシャトルマウント400に抑えつけるように機能する弾性的に膨張可能な網を一緒に形成する。例えば、印刷される物体が、例えば靴またはスニーカー等の履物であった場合、弾性抑え具402は、物体が印刷されている間、靴またはスニーカーを物体ホルダの表面にまとめて抑えつける。
図5に示されるように、ユーザの手501は、
図4の抑え装置の複数の弾性抑え具503を伸ばし、(502において)抑え具を、印刷される物体をその下に挿入することに備えて拡張する。ブラダ(図示せず)は、物体及び実施次第で、物体がシャトルマウントに固定される前か、または物体がシャトルマウントに固定された後に、印刷される物体の空洞に挿入される前に、印刷される物体の空洞に挿入されることができる。
【0024】
ここで、
図4及び5の抑え装置の別の実施形態を示す
図6に言及し、シャトルマウント400は、各々がフックを有する複数の可動磁石601を有する。弾性抑え具の端は、磁石のフックに取り付けられる。物体(スニーカー600)は、抑え装置を構成する複数の弾性抑え具によって、シャトルマウントの表面にしっかりと抑えられる。ブラダ108は、スニーカーの空洞に挿入された状態で示されている。ポンプ(図示せず)は、ホース115を通してブラダを充填し、ブラダを物体の内側で膨張させ、それによって、物体の表面に印刷することができるようにされる。
【0025】
図4〜6の抑え装置に関して本明細書で示され説明された実施形態は、説明を目的とし、請求項をそれらの実施形態に厳密に限定すると考えられるものではないことが理解されるべきである。クリップ、クランプ、ストラップ、及び他の抑え具等の抑え装置の他の実施形態は、添付の請求項の範囲に含まれることが意図される。
【0026】
ダイレクトツーオブジェクト印刷システムの実施形態
本発明の物体ホルダのさまざまな実施形態を用いるように構成されたダイレクトツーオブジェクト印刷システムがさらに開示される。
【0027】
ここで、ベルトを用いて物体ホルダを印刷ヘッドを通過して移動させる、
図1のダイレクトツーオブジェクト印刷システムの代替の実施形態を図示する
図7に言及する。支持部材は、周囲にシャトルマウント112が摺動可能に取り付けられた一対の支持部材706A及び706Bを備える。固定して位置付けられた一対のプーリ708A及び708Bとベルト710とが、プーリの対を中心として乗せられたエンドレスベルトを形成し、回転可能なプーリ712は、エンドレスベルトに係合し、第3のプーリが、本明細書に開示された物体ホルダを移動させるように、プーリの対を中心として移動するエンドレスベルトの移動に応じて回転することを可能にする。アクチュエータ716は、駆動プーリを動作的に回転させ、プーリを中心としてエンドレスベルトを移動させる。コントローラ114は、アクチュエータを動作させるように構成される。
図1の物体ホルダは、下位の構成要素を示すために省略されている。
【0028】
ここで、
図1のダイレクトツーオブジェクト印刷システムのさらに別の実施形態を図示する
図8に言及する。ベルト802の一端は、アクチュエータ716に動作的に接続される巻き取りリール804に動作的に接続される。ベルトの他端は、806で位置的に固定される。ベルトはまた、物体ホルダに取り付けられた回転可能なプーリ712に係合する。支持部材は、周囲にシャトルマウント112が摺動可能に取り付けられた一対の支持部材706A及び706Bを備える。アクチュエータは、巻き取りリールを回転させ、巻き取りリールの周囲にベルトの長さの一部を巻き付けて、物体ホルダを印刷ヘッドを通過して移動させる。アクチュエータは、巻き取りリールからベルトを外す。コントローラ114は、アクチュエータを動作させるように構成される。
図1の物体ホルダは、下位の構成要素を示すために省略されている。
【0029】
ここで、キャビネット902に収容された本ダイレクトツーオブジェクト印刷システム900の一実施形態を示す
図9に言及する。物体ホルダは省略されている。
【0030】
本明細書に開示されたダイレクトツーオブジェクト印刷システムは、コンピューティング技術で一般に理解されるように、ワークステーションと通信して設置されることができる。そのようなワークステーションは、コンピュータケースを有し、これはさまざまな構成要素、例えば、プロセッサ及びメモリを備えるマザーボード、ネットワークカード、ビデオカード、例えばフロッピーディスク、光ディスク、CD−ROM、DVD、磁気テープ等の機械可読媒体に読み書きすることが可能であるハードドライブ、及びコンピュータワークステーションの機能性を行うために必要である他のソフトウェア及びハードウェアを収容する。ワークステーションは、情報、画像、分類、演算値、抽出された血管、患者の医療情報、結果、暫定値等を表示するためのディスプレイ装置、例えばCRT、LCD、またはタッチスクリーン装置をさらに含む。ユーザは、その情報のいずれかを視認し、そこに表示されたメニューの選択肢から選択をすることができる。ワークステーションは、オペレーティングシステムを、そして本明細書の教示に従って処理するために必要な情報を入力し、選択し、変更し、受け入れるために、英数字値、メニュー、スクロールバー、ダイヤル、スライダブルバー、プルダウンオプション、選択可能ボタン等を表示するように構成された他の専用ソフトウェアを有する。ワークステーションは、本ダイレクトツーオブジェクト印刷システムの動作に関する画像及び情報を表示することができる。ユーザまたは技術者は、ワークステーションのユーザインターフェースを用いて、実施に依存して、必要または所望に応じてパラメータを設定し、値を視認/調整/削除し、本ダイレクトツーオブジェクト印刷システムのさまざまな動作的構成要素のさまざまな態様を調整することができる。これらの選択または入力は、記憶装置に記憶され得る。設定値は、記憶装置から取り出されることができる。ワークステーションは、ラップトップ、メインフレーム、またはASIC等の専用コンピュータ、回路等であることができる。
【0031】
ワークステーションの構成要素のいずれかが、ダイレクトツーオブジェクト印刷システムのモジュール及び処理装置のうちのいずれかと通信して設置されてもよく、本ダイレクトツーオブジェクト印刷システムの動作的な構成要素のいずれかが、記憶装置及びコンピュータ可読媒体と通信して設置されることができ、データ、変数、記録、パラメータ、機能、及び/または機械可読/実行可能プログラム命令を記憶し得、それらの意図された機能を行うことを要するときにそこから取り出し得る。本ダイレクトツーオブジェクト印刷システムのさまざまな構成要素は、有線または無線プロトコルを介して、ネットワークを経由して、1つ以上のリモート装置と通信して設置され得る。ダイレクトツーオブジェクト印刷システムの構成要素のいずれかによって行われる機能性のいくつかまたはすべてが、ワークステーションによって、全体にまたは部分的に制御されることができることが理解されるべきである。
【0032】
本明細書の教示は、関連技術の常識をもって、本明細書に提供された機能性の説明から、必要以上の実験なしに、任意の既知の、または適用可能な分野における当業者によって後に開発されるシステム、構造、装置、及び/またはソフトウェアを用いて、ハードウェアまたはソフトウェアにおいて実施されることができる。本明細書に開示されたシステムの1つ以上の態様は、単独でまたは製品セットまたはサービスの一部として別個に出荷されるか、販売されるか、リースされるか、さもなければ提供され得る製造物品に組み入れられ得る。上記で開示された、またそのほかの特徴及び機能、またはそれらの代替は、望ましくは、他の異なるシステムまたはアプリケーションに組み合わせられ得る。
【0033】
現時点で予測されていないかもしくは予期されていない代替、改変、変形、または改良は、当業者によって明らかになり、及び/または後になされ得、これらは、以下の請求項によって包括されることがさらに意図される。